高橋が
「そうです しかし準備万端ですね」
「何処か分らなかったから こんなにコピーをしました」
「孝ちゃんは何回くらい行っているの?」
「う~ん 10回くらいかな 内野君も確かその位ですよ」
「で スコアは?」
「ええ 90位で悪い時で95くらい行きますね ここは調子が良いと
飛ばすでしょ そこがネックですね きちんとボールを運べば
いいスコアが出ますよ」
「そうですね この解説にも落とし所がキーポイントになるって
それだから女性のお客さんも多いのではないかしら」
「そうですね 女性プレイヤーも結構多かったですね」
「わかった そうしたら みんな二日酔いでプレーすれば田所さんに
勝てるわけだ」
「それで勝っても面白くないから 私も二日酔いになるわ
そうしたら運転できないわね どうしましょ」
みんな大笑いだった 気が付かないうちにしめ鯖が来ていた
「洋子さん見せて」
「はい どうぞ」
神山と高橋はコースレイアウトを良く見た
「さっき孝ちゃんが言っていた 飛ばしすぎは確かにきついね
これにはラフが書かれていないから分らないけど 結構タイトですね」
「うん 見た感じはそうでもないけど ナイスショットで行ってみると
背丈のあるラフだったり バンカーだったりでスコアを落としたよ
しかし 池なんか造りが綺麗だったよ 設計が良いんだね」
「楽しみだな ねぇ洋子さん」
「ええ 今夜から寝られないわ」
ゴルフの話で盛り上がっている時に高橋の携帯がなった
高橋は頷いたり色々はなしていた 電話が終ると
「山ちゃん ごめんなさい 応援要請で会社に戻るね」
「ご飯は」
「うん何とかする ここ建て替えておいて 明日領収書ください」
「了解 明日 何かあったら電話を下さい」
「了解 田所さん失礼します」
「こちらこそ残念ですわ ありがとうございます」
高橋が会社に戻って行くと話は神山の昇進祝賀会になった
「大変だってね 昨夜 翔から電話があってリストもれ無いか確認だって」
「ええ 招待状が副社長になっているんです だからどんな人呼ぶかで
秘書室でも大騒ぎになっているわ」
「うん 催事課でも60名と言われたがオーバーしていますって
こちらに言われても困る部分だよな 何でも内藤社長と副社長で
話が決まったって行っていたけどそうなの?」
「ええ 最初は催事課は催事課で行うつもりで 副社長も行いたかったの
それで内藤社長から電話があったみたいなの で内藤社長の提案で
合同祝賀会になったと聞いているわ」
「しかし 内藤社長と副社長がそんな話をしていたなんて驚きだね」
「ええ でも考えてみれば合同のほうが合理面は除いてもメリットは
たくさん有るわよ ネックは会場費だけど内藤社長と副社長が
折半ですって」
「えっ 二人で折半?」
「ええ おじ様には直接聞いていないけど伝わってきたわ」
「へぇ~ 信じられないな」
「まだ有るの 貴方だけじゃなくて 私もなの」
「へぇ~ 一緒か、、、どうなっているんだ
結局副社長は今後の僕たちの仕事を考えて 副社長のところで
考えていたけど その話がどこからか、、、そうか西野理事から
もれて たまたまアルタも二人を紹介する意味で考えていた
しかし催事課も当然行うからそれだったら 合同でって事かな」
「そうね それしか考えられないわ」
二人はしめ鯖やネギトロ巻きをを食べた
「わぁ~ おなか一杯 よく食べました」
「僕もおなか一杯だ よく食べた」
「洋子 これからどうする」
「う~ん 時間が半端ね 貴方のマンションで一休みしたいな~」
「うん それもいけど 表参道に行こうか?」
「ええ 行きましょう 賛成」
神山はカウンターで会計を済ませ駅前寿司を出てタクシーを拾った
車は夜の渋谷を抜け表参道に入った
うなぎ屋おおたを過ぎたところで降りカクテルバー
『アメリカン ポップス』に向かった
店内に入ると先日着たようにポップアップな曲が流れていた
カウンターでビールを頼み洋子と乾杯して呑んだ
話をしているとプレスリーの曲が流れて来たので 洋子は神山を誘い 357
「ねぇ 踊りましょうよ」
そう言い 二人は真中で踊り始めた
洋子の踊りが上手で回りの男達は指笛を吹いていた
2曲を踊り終わると少し休みたいと言ってビールが置いてあるカウンターに
戻り飲み干すと 神山と洋子はカクテルを頼んだ
神山はドライマティニィーを舐めるように楽しみ 洋子はトマトジュースを
ベースにしたカクテルを呑んでいた
「洋子 気を悪くしないで聞いてほしい」
「なあに?」
「うん じつはあそこのマンション以外に部屋を借りようと
思っているんだよ」
「えっ」
「知っているように落ち着かないだろ プライベートも無いし
だからここいらに借りようと思っている」
「ええ いいけど 横浜はどうするの? 私はそれだったら
横浜に行っても大丈夫よ だって幾らお金が有るって言っても
少し勿体無いと思うわ だけどこの周辺だと
近所の目があるから少し離れたほうがいいわ」
「そうか 横浜は生活の場所だけど 狭いしどうかなと思って」
「うん 分るわ あなたは大丈夫?そんなに何ヶ所もあって」
「うん 洋子と二人の場所を確保したいのさ
そうすると 横浜より上原に近い場所で プライベートが保てる
部屋が欲しくなったわけさ」
「そうね あの部屋では落ち着かないもんね ねぇそうしたら
横浜からこっちに引越しをしたら それで一回荷物を整理すれば
結構広くなるし ねっ それで家財道具も新調できるでしょ
上原のマンションは貴方が払っているの?」
「うん現状 横浜はアルタ支払い 上原はニーナ・ニーナさ
ニーナ・ニーナの仕事は御殿場アウトレットの仕事が
終るまでとなっているけど 三重県にもアウトレットが出来
そこにも出店計画があるんだ だからあの場所は何時なくなるか
わからないし 逆にアルタの仕事が中心になってくると
家賃支払いはアルタになって そのままあそこに居るかと
非常に不安定なのさ だから当分横浜はそのままにしておこうと
思っているんだよ」
「そうね 仕事の流れでその都度引越しは大変よね
ねぇ そうしたら明日探しましょうよ ねっ」
「うん このままで行くと洋子は当分僕と一緒に行動する事になる
そして やはり動かなければいけなくなって来ると思う
そこは大丈夫だね」
「ええ 大丈夫よ アルタさんも付いているしおじ様もいるし」
「うん アルタは内藤社長で大丈夫だと思うけど 時田さんは
動かされないかな それが心配だよ」
「ええ 副社長と言ってもサラリーマンには変わりないしね
大丈夫よ ちゃんとついていくから だってどッかに行く時は
アルタさんだって一緒に動かさないと駄目でしょ 平気です」
「そうしたら 明日 探そう」
「ええ お部屋の数は少なくて良いけど 広いほうが良いわ
それと見晴らしが良くて 日が入るところ それと私の家から
10分以上離れていて 駐車場があるところ ねっ」
「そうだね その条件で一回当ってみよう」
「嬉しいわ 一緒に居られる時間が一杯増えるのね」
洋子は神山にキスをした 店内では曲がブルースに変った
「ねえ 踊りましょ」
洋子は神山の手をひいて真中に出て抱きつくように踊った
先日一回踊っている神山は直ぐにリズムに乗ることが出来て
足運びを上手に洋子をリードした
二人の踊りが上手で周りを圧倒しセンターでは二人だけになった
洋子は両手を神山の首に巻き神山は洋子の腰を支え見詰め合って
曲に乗ってダンスを楽しんでいた
ダンスも終盤に入りそろそろ終る頃 洋子の体によろけて
倒れかかってきた外人がいて神山と洋子に謝った
神山は一瞬気が付かなかったが 外人が気が付いて
「ごめんなさい 伊豆では大変失礼な事をした
出来れば 許してほしい」
そう言ってきた時に曲が終わり カウンターに戻ると外人達も一緒に来て
「本当に申し訳なかった 反省をしている」
そう言って財布から20万円を出し神山に
「これは先日渡せなかった分だ 受け取ってくれ」
二人の外人は神山にお辞儀をして許して欲しいと訴えた
洋子が
「どうしたの この外人さん それに20万円って」
神山は洋子に掻い摘んで 伊豆ぐらんぱる公園でゴルフの賭けの
話を説明した 洋子は 358
「そうしたら 頂いておけば」
「うん そうしよう ただなんであんな行為をしたかを聞いてみる」
「そうね そこが肝心だもんね」
「わかった しかしなぜ女性にあんな態度を取ったか訳を
聞かないと許せないし 許せなかったら もう一回投げる いいか」
「分った もう投げないで下さい 私は怖い 貴方は強い」
聞くと 先日会社のプレゼンで日本の会社に負け
更に情報収集でその会社に負け 大損害を出したと
グランドマネージャーに大変怒られた
自分は今までの仕事を認められなく気分が落ち込んでいた
グランドマネージャーは日本の仕事を見に来ていて
このままでは君達は首になる可能性があるとそこまで言われ
自分としては気分転換で遊びに行った そんな時
彼女達が現れ17番ホールで美味しい事を言って来たので
ついつい賭けゴルフをしてしまった そこで彼女達から6万円を
借りたのをへたくそだから負けたんだ 返せと言われ頭に来た
自分はシングルプレイヤーの自覚があるので言われると余計頭に来た
「うん わかった その会社とはアレックスグループか」
外人が驚いて 何故知っているんだというので
ただ似たような話を先日聞いたからさというと
「日本の会社はアルタって会社で 大変優秀な社員を迎えると言っていた
そうなるとアレックスジャパンは 潰れてしまうかもしれない」
「どうして」
「アレックスジャパンの仕事がなくなるからだ」
「わかった 多分大丈夫だよ アルタは悪い会社じゃない 信用していい」
「了解 柔道の強い人は嘘をつかない 信用する」
「うん 僕は神山です 名前を教えてほしい」
二人の外人は自己紹介した
一人はアレックスグループのアレックス氏の息子アレックスJr
アレックスジャパンの社長をしている
もう一人はボーン シュナイダーといい副社長をしていた
「分りました それでは今後女性には優しくな」
神山は言い終わると20万円を受け取った
Jrとボーンは仲直りと言ってカクテルをご馳走してくれた
「あなた 凄い Jrを投げ飛ばしたなんて 信じられない」
洋子はそう言ってJrにどうやって投げられたか教えてと尋ねた
するとパンチを出したが当らず次の瞬間 投げられていた わからない
そこへボーンが
「あれは柔道ゲームで見たことがある 一本背負いだった すばやかった」
洋子は凄いと言って
「ねぇ 見たい お願い見せて」
Jrは痛いから嫌だと言い拒んでいたがボーンが
「よし 僕がかたきを取ってやる どうだ神山?」
「いいよ どうぞ」
そう言って 二人はフロアのセンターで向かい合った
周りはけんかと思ったのかざわざわしてきたので神山が
「これは ショーです 柔道のショーです」
そうすると周りが静かになった
ボーンと神山は向かい合ったまま動かなかった
1分が過ぎ2分が過ぎようとした時
ボーンが神山のボディーに向かってパンチを出してきた
神山は瞬間ボーンの目の前から消えた
ボーンは体勢を崩し前のめりになった所を神山の片足がボーンの腹に
添えられ そのまま一回転して神山の後ろに投げられた
Jrは両手で顔を覆い
「神山さん もう勘弁してください この事もお詫びします」
Jrはボーンが神山にけんかを仕掛けた事のお詫びだと言って
30万円を渡した
神山は少ない その財布の中身を全部よこせと言ったが
「これだけしかない 申し訳ない」
そこにボーンが戻ってきて神山に謝った 神山は許せないと言うと
床に土下座をした
「わかったから 立ち上がれ ボーンも財布の中 全部出せ」
仕方なくボーンも40万円を出し神山に渡した
ボーンは何故パンチを交わすことが出来たと聞いてきたから
神山はここの問題だ わからないか
「先日 Jrは顔を狙って打ち損じ負けた
ではボディーならあの技はつかえないはずだと思ったから巴投げをした」
アレックスJrが
「神山は頭がいいしきれる こんな人物は初めてだ 一緒に仕事をしたいね」
「うん その時はお手柔らかに」
外人たちと神山が握手をすると 周りで見守っていた客から歓声が沸いた
二人の外人たちは少しの間神山と話していたが店をでた 359
「あなた 凄いわ Jrが言っていたけどきれるわね ほんと」
「洋子 この話はここだけにしよう いいね」
「ええ 当然です 私 貴方に抱かれたいわ 今すぐ」
神山は洋子を智から強く抱きしめキスをした
暫く話をしたり踊ったりしていると
「ねぇ そろそろ帰りましょうか」
神山は時計を見るとまだ10時を過ぎたところだった
「まだ10時だよ」
「ええ こうしているとずーっと一緒に居たくなるから」
「うん そうだね 出ようか」
神山と洋子は『アメリカン ポップス』を後にして表参道を歩いた
この時間になると さすがに人通りは減っても
若い子や カップルは手を繋いだりして散歩を楽しんでいた
「ねえ」
洋子が神山の手を握ると神山は握り返してきた
暫く歩いていると 右手にオープンカフェがあったので
「洋子 アイスクリームでも食べないか?」
「えっ あなたがアイスクリーム? いいわよ食べましょ」
神山と洋子は道路を渡ってカフェに入りアイスクリームを頼んだ
ウエイトレスに
「グラスワインは置いている?」
「ええ ございますが」
「うん ひとつください」
「どうするの?ワインを頼んで」
「うん クリームの上にかけるんだ 美味しいよ」
「なんだ それをしたかった訳ですね 確かに美味しいわね
あなたにとっては大発見でしょ これで私と一緒に食べられるから」
「そう努力をしています」
「私も昔食べたこと有るけれど どうかな しかし貴方は初心者だからねっ」
「まあ初心者だから そうやって色々と試してみるよ」
笑っているとアイスクリームとワインが運ばれてきて
神山はクリームの上にワインをかけ一口食べた
「うん 美味しいや 洋子もかけたら」
「ええ そうするわ」
神山に言われ洋子もクリームの上にワインをかけた
「久しぶりね こうやって食べるのは 20代かな
会社に入って時に 先輩から教わって食べたことがあるわ」
「そうすうと ぼくの発見はそれ以来の大発見になるわけだ」
二人は互いの顔をみて笑った
「そうですね 大発見よ 甘い物食べられない人が努力して食べるのは」
洋子が甘い物でもさっぱりとした物は後味も美味しいけれど
粘っこい甘さは口の中に残って好きじゃないといった
「女の子も拘りがあるんだ 知らなかったよ」
「そうよ 男だったらだれでも良い訳じゃないから ちょっと外れたかな」
神山と洋子は最初は真面目な顔で見つめあったが噴出してしまった
「そうすると 明日はどこで待ち合わせをしようか」
神山は絶対に現場だけは避けたい思いで 待ち合わせ場所を考えた
「ええ そうね 現場だと出にくくなるし う~ん 何処かの
ホテルで待ち合わせをして、、、私 賃貸の物件を扱っている
週刊誌を見たこと有るからそれで探しましょうか」
「うん 不動産屋を回るよりその方が選択肢が増えるしね いいね
そうしたら 渋谷駅の新しく出来たホテルは知っている?」
「ええ そこの12階にレストランがあるわ そこで10時はどう?」
「うん 10時にしよう わからなくなったら携帯でね」
「わぁ~良かった これから気兼ねなく会えるとこが出来て」
「まだ決まっていないから そんなに喜ぶのは早いよ」
「だけど 明日決めるでしょ」
「うん 明日は下見さ 決めるのは後日でいいと思う そうしたら
渋谷の駅売店で買い求めよう」
「そうね 選択肢があるし慌てなくてもいいわね 行きましょう渋谷駅」
神山と洋子はタクシーで渋谷駅の売店で週刊誌があったので
2冊買い求めた
「今夜は少し調べてみるよ」
「ええ 私も探すわ」
ふたりは渋谷駅で別れた
洋子はタクシーで帰るというので見送った
神山も上原のマンションまでタクシーを利用した
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