「どちらでもいいよ 亜矢子の仕事しやすいほうで」
「ええ 一緒のほうが助かるの 翌日ゴルフの方がいらしていて
お部屋割をどうしようか考えていた所よ 助かったわ」
「わかった 多分椿さんもご存知だと思うが内緒だよ 30日までは」
「ええ多分ご存知よ 私からは言わないわ 内緒にしておくわ」
「うん 頼みますね」
「私 幸せよ 凄い人とお付き合いできた事を誇りに思うわ ずっと」
「さて おなかも一杯になったし どこにこうか?」
「ねぇそうしたら 城ヶ崎海岸へ行きたいな」
「うん そうしようか」
二人は手を繋いで公園を出てバスの発車時刻を調べたら行ったばかりで
30分以上待つのでタクシーで城ヶ崎海岸へ向かった
亜矢子は神山の肩に寄りかかりうっとりとしていた
愛らしい横顔で太陽の光が端正な輪郭をくっきりさせていた
平日で道路が空いている事もあり直ぐに付いた
つり橋の入り口に売店があり そこで亜矢子がインスタントカメラを買い
「これでね あの白い灯台から海を撮るの きっと綺麗よ」
神山と亜矢子は白い灯台に登ると確かに海は紺碧で綺麗だった
言葉では言い表せない不思議な世界だった
亜矢子はその海を何枚も何枚も写真を撮っていた
神山は岸壁に打ち砕ける波を見ていた 何回も何回も当っては砕け
しかし岸壁は動じなかった 何かが見えているがはっきりと
イメージできなかった
亜矢子に岸壁の波を教えてあげると わぁ凄いといって写真を撮った
吊り橋を渡ろうとすると 向こうから葉山と高柳がこちらに向かっていた
先方も気がつき会釈をしてきたので 神山は頷くだけにした
吊り橋の真中で葉山と高柳が
「先ほどは ありがとうございます 助かりました
それとお金ですが 神山様にお返しをしようと話をしていたんです」
「僕は要らない 今後人をよく吟味して遊ぶ事ですね では」
神山と亜矢子は彼女達と別れた
渡り終わると 亜矢子は
「真中で止った時にちょっと下を見たのそうしたら怖かったわ」
思い出したのか神山の腕をきつく抱いた
ここはカップルが多くどこを見回してもカップルばかりだった
亜矢子が写真を撮っているので神山も何箇所か写真を撮った
「すみません 写真を撮って貰えないですか」
と声を掛けられたので振り返ると まだ若いカップルだった
「はい どこを背景にしますか?」
海を背景にして欲しいと希望してきたので神山は指示をして
構図を決めてシャッターを押した
カメラを持ち主に返すと又 別のカップルから依頼があり 結局
4組写真を撮った事になる
「大変ね人気カメラマンは 優しいから頼られるのね あなたは」
「今の若い女の子は積極的だね ああやってリードして写真を撮って」
「ねぇ 私の写真を撮って 海を背景にお願い」
インスタントカメラを神山に渡しポーズを作った
ファインダーで見ると改めて綺麗だった
神山は違う角度からもう一枚撮ると 亜矢子にカメラを返し
「改めて 惚れ直しました 凄く綺麗だったよ
海も綺麗に背景に出来たし ばっちしだよ」
「ありがとう でも私写真なんて殆ど撮った事無いの
なんか違う自分がいるようで嫌だったわ でも今日は楽しいからいいの」
「それでインスタントカメラを買う気になったの?」
「ええ 今日はいつもと違うんです それでカメラを買ったの
ほら あなたと一緒だし ふふふ」
「そう言うときはきっといい写真が撮れているよ」
「そうね ありがとう」
城ヶ崎海岸を二人は探険したが 亜矢子が少し疲れたと言ったので
タクシーでホテルに帰る事にした
ホテルに着くと夕飯まで充分に時間があるのでフロントで貸切露天風呂の
予約状況を聞くとあと15分で空くと言うので予約をした
部屋に戻ると亜矢子は神山に抱き付いてきて
「やっと二人だけになったわ 嬉しいわ」
「うん こうやって抱けるもんな 僕も嬉しいよ」
神山は冷蔵庫からビールを出して 亜矢子に渡し乾杯した
一息つくと新しい浴衣に着替えビールを持ってテラスに出た 亜矢子が
「ねぇ 私の裸を撮影してくれる?」
神山は驚いたが
「うん そうしたらテラスの椅子に座っているポーズがいいと思うよ」 339
亜矢子はカメラを神山に渡し椅子に座った
胸と大事な所はタオルで隠したが充分セクシーだったので
構図を変え3カットくらいシャッターを押した
「じゃあ 行こうか」
神山はフロントへ露天風呂の鍵を受け取りに行った
露天風呂の入り口で亜矢子は待っていて 神山が来ると一緒に
脱衣所に入った 今回は昨日同様男風呂だった
亜矢子が浴衣を脱ぐと下は何も付けていなかった
ガラス戸を開けると海からの風が気持ちよく 持って来たビールを呑んだ
神山はビールを持って湯船に入った 亜矢子も入ってきて
「今朝はビックリしたわね 突然」
「うん 音が聞こえなかったよ だけど亜矢子は全然動じなかったね」
「そんな事無いわ 心臓が破裂しそうだったわよ」
「そんな風には見えなかったよ」
「ええ ある部分で開き直ったのね あんな事初めてよ」
「ああ しかしいい体験をしたもんだ もう一度体験しても良いかもね」
「ば~か しらない 私がどれだけどきどきしていたかわかる」
「ごめんごめん 金輪際嫌だね 特にああいった女性の類は」
「そうね 私たちと世界が違うわ」
亜矢子がまだ小さいおちんちんを遊んできたので 神山は縁に座った
「なんか今朝と同じね」
神山と亜矢子は笑った
「よし ここは静かに入って 部屋に帰ってからにしよう」
「そうよね 昨夜は私直ぐ寝たしごめんなさい」
二人はおちんちんや乳首を触るだけにして 楽しみを後に残した
しかし亜矢子は感じているらしく 我慢できなくなり
「ねぇ お願いだから触らないで 感じて来ているの ねぇやめて」
「わかった これは公園のお返し」
神山はクリトリスを柔らかく撫でたりつねったりした
「もうしません ほんとだからやめて お願いだから触らないで」
「わかった?辛かったんだよ 僕だって」
「もうしません お願いします」
神山は触るのを止めると亜矢子は神山にかぶさりキスを繰り返しした
部屋に戻る時ビールを買い求め手を繋いで部屋に入った
亜矢子は部屋に入るなり神山に抱きつき唇を合わせてきた
二人はそのままベッドにたおれ戯れた
ソファーに横たわると 海の向こうにある太陽が静かに赤くなっていた
神山は冷蔵庫からビールを出して亜矢子とテラスに出てみると
真っ赤な太陽は海に一筋の光線を差し小波が反射していた
ふたりは互いの腰に手を回し自然の偉大なショーを眺めていた
ゆっくりと半分ぐらい沈んでくると
今日も一日が終るようで寂しい気持ちになった
神山はロレックスを覗くと6時少し前になっていたので
「亜矢子 素晴らしいね いつ見ても飽きないな」
「ええ 今日もご苦労様でしたって そう思うわ」
「そろそろ下で夕飯を食べようよ」
「もう そんな時間なの 日が沈むのを見ていると時間を忘れるわね」
二人は部屋を見渡しドアを閉めた
亜矢子は神山の腕をしっかり抱きつきレストランに向かった
レストランはほぼ満席だったが 奥の外が見えるガラス側にテーブルが
空いていて ウエイトレスに案内された
神山はビールを注文し亜矢子と外の夕日が沈んだ景色を楽しんだ
「ふぁ~ 綺麗 なんとも言えないわね」
「うん 最後の光が小波に映っていて カメラを持って来れば良かった」
暫くするとウエイトレスがビールを運んできた
「お待たせしました こちらが今夜のお品書きです」
そう言って先付けを置くと二人のグラスにビールを注いで
「あとのお料理は 直ぐにお持ちいたしますので 少々お待ちください」
お辞儀をして 厨房カウンターに戻り 各テーブルを見渡していた
亜矢子がビールグラスを持ち 神山もグラスを持った
「では お疲れ様でした 乾杯」
「うん 乾杯 ほんとに大変な一日でした ご苦労様」
「先付けが変っているわね 昨夜と違うわ」
「そうだね 大変だね ホテルはこうやって献立も替え 苦情も聞いて」
「そうね だけど今はそれが当たり前になっているから苦にならないわ」
「そうか 一種慣れかな」
「ええ 多分ね」
ビールが無くなったのでウエイトレスを呼びビールを注文した 340
テーブルに置いてあるお品書きを見てみると
さっぱり分らないので亜矢子に聞くと
「ええ 少しずつ変えているでしょ お刺身は多分一緒だと思うわ
鮮魚の盛り合わせが違ってくるんじゃない」
次に運ばれてきたのは 前菜と吸い物だった
やはり吸い物も昨日と材料が違っていた 当然味も違って美味しかった
ビールも呑み出されたものも食べるとタイミングよく刺身が出て来た
神山はウエイトレスにワインを注文した
すでに用意されていたのかチェイサーも一緒に直ぐに持って来てくれた
ワインが冷えていたので ウエイトレスにワインクーラーを頼んだ
下駄の切り身には新鮮な鯛など昨夜と同じ盛り合わせで
丸い器も伊勢えびが動いていたりこちらも新鮮だった
今夜はもう一つ器が用意されしめ鯖が盛られていた
「美味しそうだね このしめ鯖は」
箸を動かし口にはこぶと 美味しかった 先日上原で食べたのと
同じ位美味しかった
「美味しいよ しめ鯖」
亜矢子は言われて口に運んで一口食べると
「ふぁ~ 久しぶり 美味しいわ うん あぶらもあって美味しい」
「実はこのしめ鯖で副社長と仲良くなったんだ」
神山はしめ鯖事件を簡単に説明した
「ほんと 2回も食べたの その副社長さんよっぽどお好きなのね」
「うん お肉より魚だね」
「羨ましいわね 都会わ」
「なに言っているの こっちだって新鮮な魚介類豊富じゃないか」
「ええ だけど毎日食べられないわ 贅沢な悩みね」
神山はボトルを持ってワインをグラスに注いだ
ワインを呑もうとすると亜矢子が顔を近づけ
「ねぇ あの二人こっちを見ているわ 嫌ね」
神山も亜矢子の目線を追いかけると 葉山と高柳がこちらを観察していた
「ほっておけ なにを言われても聞かれても知らん振りだよ」
亜矢子は頷き ワインを呑み刺身を食べ始め久々に
運動をしたのか よく呑み食べた
神山は二人のテーブルには特別料理が置いてないので
スタンダードプランで宿泊しているのだろうと思った
伊勢えびも歯ごたえがあってあまく美味しかったので
ウエイトレスを呼んで
「このエビの頭を少しでいいのですがお味噌汁で頂けますか?」
と尋ねると 出来ますが少々お時間を頂きますと言い
厨房から取り皿を持ってきて 伊勢えびを乗せて戻った
「ふぁ~美味しそうね 楽しみだわ」
「うん 以前頂いた事があるんだけど なんとも言えなかったね
そうだ あしたはそこへいこう 真鶴だけどいいよね」
「ええ 大丈夫よ 行きましょう また太るわ」
ふたりは見詰め合って笑った
そうしているうちに 煮物が運ばれてきた
竹の子が出てきたが旬には少し早いと思い
一口食べると 口の中でとろけた不思議な竹の子だった
亜矢子も美味しいけど 竹の子らしくないと不評だった
「京都の竹の子と三島で売っている竹の子をたして割ったような感じ」
「うん 歯ごたえが無いね あえて出しているんだから
なにか理由は有るんだろうけど 分らないや僕は」
不評だった竹の子を食べワインをグラスに注ぎ箸を進めると
焼き物が運ばれてきた
今夜はえぼだいとイカの一夜干しを焼き魚で 牛肉サイコロ焼きが出てきた
神山と亜矢子は美味しい美味しいと言い 味わいながら食べた
牛肉にはおろしニンニクが付いていて それを乗せて食べると
美味しさが倍増した 亜矢子が
「もう一度 はやしのステーキを食べたいわ ホテルより美味しいかもね」
「ぼくも食べたいと思っている 近いうちに仕事で伺う事になると思うよ」
「ふぁ~ いいな 一緒に食べたいな」
「プライベートでも行こうね」
神山はサイコロステーキが美味しくて直ぐに食べてしまったので
ウエイトレスに追加をお願いした
彼女が戻る時に視線を葉山と高柳に移すと寂しそうに食事をしていたので
神山は再びウエイトレスを呼ぶと 嫌な顔をしないできてくれた
「直ぐにできる牛肉料理をあのご婦人たちに差し上げてくれ それと
こちらにワインを一本 あちらにも一本頼む」
「お会計は神山様で宜しいのですか?」
「勿論 あちらはまだ刺身だから焼き物には間に合うし 彼女たちは
スタンダードプランでしょ」
「ええ そうです」 341
「わかった 大至急手配してください」
「はい 分りました」
ウエイトレスは厨房に入って料理長と話しているが頷いてOKと言っていた
「なんで あげるの さっき言っていたのに」
「うん どこかで会った時に今度はこちらが断然優位になるだろ
それにこの位だったら 外人のお金で充分お釣りが来るよ
そういったお金は貯めるとろくな事が無い 使うに限るさ」
「そうね どこかお仕事で会った時完全に優位に立てて進められるわね」
サイコロステーキが運ばれてきた 一口食べると先ほどより硬かった
もしやと思ったが ここで料理長と話す事も無いだろう思いやめた
亜矢子も
「さっきより少し硬いわ 同じお肉かしら これ」
神山は先日学んだお肉の特性を分りやすく説明した
「そう 同じお肉でもそんなに変るの へ~ 知らなかったわ」
「うん 今後の仕事の資料さ」
「あなたってどこまで凄いの 計り知れないわ」
「そんな事はないんだよ 不思議に思った事を追求しているだけさ
なんで しめ鯖が美味しいのだろうとかさ」
「ふぁ~ そんな事出来ないわ 私 途中でギブアップね」
神山と亜矢子は少し硬い牛肉サイコロステーキを食べて
よく冷えたワインも呑んだ
えぼだいや干しいかも美味しかった えぼだいは適当にあぶらが乗ってて
口の中でとろけた いかも柔らかく潮の味があって ワインではなく
日本酒が欲しくなった
神山と亜矢子に揚げ物が出される時に葉山と高柳のテーブルに
昨日食べた朴葉焼きとワインが運ばれた 彼女達は最初頼んでいないと
断っていたが 神山からの差し入れと聞くと素直に受け入れた
神山が丁度彼女達を見た時 葉山と高柳は会釈をして
何か言いたそうだったが神山は頷きすぐに亜矢子に
「彼女達 喜んでいるよ しょぼくれた顔で食事は美味しくないからね」
「よかったわ あの細くて綺麗な方確か高柳さんでしょ
来週 結婚式で独身最後がつまらない食事では 最悪ですもんね」
「うん 結構綺麗だけど ぼくのタイプじゃない 性格も嫌だ」
「随分と嫌われた物ね 可哀相」
「ぼくが悪いんじゃない 彼女がそうしたんだよ」
「そうね 彼女達が悪いわ ああゆう性格の人達って多いから気をつけてね」
「わかった さあ食べよう」
料理は揚げ物 酢物 ご飯 留椀 香物 と次々と出てきて
どれも美味しく食べられた 留椀の時に先ほどの伊勢えびのお味噌汁も
一緒に出てきた 大きな盃に魚介類がぎっしり入っていて美味しく
熱いご飯に掛けて食べたくなるほどだった
伊勢エビの味噌汁を飲み終わると ウエイトレスが来て
「神山様 御代わりがございますが 如何されますか?」
亜矢子に聞くと遠慮すると言うので
「先ほどのご婦人達に分けてください お願いします」
ウエイトレスは分りましたと言って厨房に伝えた
すべて綺麗に食べ終ると デザートが最後に用意された
今夜はフルーツの上にアイスクリームが乗っていたので
ワインを少したらし食べてみた 結構ワインの渋みとアイスクリームの
甘さがマッチし美味しかった それを見ていて亜矢子もまねをした
「こうやって頂くのも美味しいわね 今度自宅でやってみよう」
「上手く行ったら はやしでメニューに出せばいいよ」
「そうね もう試しているかもね あの人努力家だから」
神山と亜矢子は全部綺麗にすると ワインが昨日同様余ってしまったので
部屋に持って帰る事にした
レストランを出る時 伝票を確認したら
牛肉サイコロ3 6000円 ワイン2 30000円と書かれていて
間違いが無いのでサインをした
レストランを出てフロントに行き 貸切露天風呂の空き時間を尋ねると
1時間後の21時に空くと言うので予約を入れた
二人は6階の自動販売機でビールを多めに買って部屋に戻った
神山と亜矢子は
「食べたし飲んだね 美味しかった 今日は芝生で運動したから
よく入ったのかな」
「ええ 私もおなか一杯よ 少し横になっていい」
「うん 1時間後だから 横になろう」
神山と亜矢子はくっついて横になると神山が触りだしたので
「ねぇ ほんと可笑しいの だから勘弁して お願いだから触らないでね」
「分りました 触りませんよ」
神山と亜矢子は背中合わせで横になっていると亜矢子は寝てしまった
神山は一人起きて冷蔵庫からビールを出して 342
テラスで海風を受けながら呑んだ 気持ちよかった
神山は昨日と今日の支出を簡単に計算した
伊豆急で5000円 タクシー1000円 ワイン15000円
今日がタクシー12000円 公園内で7000円 帰りのタクシーが
7000円 食事で36000円 ビールとカラオケが5000円
約合計9万円だった 賭けゴルフで21万入っているので
今回はその分で充分足りた
ぼんやりとしていると携帯電話が鳴っていた 神山の携帯だった
部屋に戻り電話に出てみると杉田からだっら
「先輩 翔です お休みのところすみません」
「うん どうした?」
「2件有りまして まず先輩の昇進祝賀会がホテルオートモで行われる
事になりました それもアルタさんと合同です」
「えっ ホテルオートモ なんでまた 凄すぎるな」
「ええ 内藤社長さんのご提案だそうです
これからの仕事を考えると別々より一緒にどうですかと言う事ですって」
「へぇ~ 驚きだな うん内藤社長の言う通りででしょ わかるな」
「それで うちが最低60名集め 最終的に200名規模だそうですよ」
「へぇ~ 200名 なんだそれ おい本当か 翔」
「ええ その準備で今リストを作ったり てんてこ舞です
みんな残業ですからね ほんと 急に言われてもね」
「そうか ごめんな 倉さんは」
「ええ リストを出して由香里姫と帰っちゃいました 僕一人です」
「うん ありがと それで僕関係のリストか?」
「ええ その確認をしたかったんですが 今から業者さんを
読み上げますから 抜けていたら教えてください
なんと言っても 副社長名で手渡しなんですよ」
「えっ 副社長が絡んでいるの そうか分った
内藤社長と副社長時田さんが決めたんだ きっと わかった言ってくれ」
リストは全員が奥村に提出し 市川がダブっていたり整理したものを
杉田が今持っている 読み上げられると神山は 全て聞いたことがある
業者の名前ばっかりで 漏れは無いと思ったが 今一度読まれていない
業者があるか頭の仲で整理した 神山は年度行事で
お世話になった人がいないか確認すると 3社ほど出てきた
「この3社は普段はあまり取引が無いけど 秋の銀座大祭りの時
色々と接触がある この会社を入れるか否かは任せる」
「はい メモをとりました 他には」
「う~ん 少し待ってくれ うん その位だ」
「はい 分りました しかしオーバーしているんですけど
大丈夫なのかな」
「大丈夫だよ 任せておけば あとはないか?」
「ええ ほんとは声も聞きたかったんです」
「わかったよ ありがとう」
「では失礼します」
「明日はこちらから電話する 多分夕方に上原だ」
「はい 分りました」
神山が電話をきると 亜矢子が起きていて
「大変ね お休みなのに」
「うん まあしょうがないよ ぼくの為に残業をしているんだ」
「へぇ~ 貴方の為に残業」
神山は今の話を説明した
「ふぁ~ あのホテルオートモで200名の祝賀会 ほんと?」
「うん だから聞いたんだ そうしたら招待状は副社長名だって」
「ほんものね 凄いわね なにか貴方が遠い存在になりそう
私 一瞬寂しくなったわ」
「大丈夫だよ しかし200名だって どんな人が来るんだろうねぇ」
「偉い方 会社の社長さんとかでしょ あなたが今後働きやすいように
色々な方面の方たちとご挨拶があるんでしょ しかし凄いわね」
神山と亜矢子は話の内容に酔っていた
部屋の時計が21時少し前を差していたので 貸切露天風呂の準備をした
露天風呂に入っても神山と亜矢子は祝賀会の事で頭が一杯だった
亜矢子は小さいおちんちんをひっぱたりして遊んでいた
「あなたが偉くなっても私と付き合ってくれる?」
「当たり前じゃないか 何で?」
「だって大きくならないもん」
「わかった しかし部屋に帰ってからにしよう」
「うん だけど小さいとつまらないわ」
亜矢子はそう言って いじり始め少しずつ大きくなるおちんちんを
頼もしそうに見ていたが
「こんど連泊出来るのが何時になるか分らないわ だから今夜は離さないわ」
「うん 連泊でなくとも逢えるよ 時間を作りますから」 343
「お願いね 私寂しいから」
「うん 分りました」
神山と亜矢子は持ってきたワインとビールを呑んだ
時間は早かったが 貸切露天風呂をでて部屋に戻った
亜矢子が
「昨夜はカラオケしたでしょ 今夜は卓球しない ねぇ
私 以前卓球をしていたの だからやろう」
神山と亜矢子はフロントに卓球の予約状況を聞いてみると
空いているのでいつでも使えますと返事が返ってきた
神山と亜矢子はフロントで手続きをすると卓球室に入った
二人はかわるがわるサーブを打って楽しんでいた
神山が大袈裟に打ち損じたり大笑いの連発だった
少しからだが温まってきたのでビールを呑みながら亜矢子と
話をしていると 部屋の外で葉山と高柳がこちらを観ていた
神山は相手にしなかったが 亜矢子は2人より4人のほうが
楽しいからと言って彼女達に近づき誘った
葉山と高柳が
「先ほどはありがとうございます ご馳走様でした」
「うん 寂しそうだったかね 独身最後の旅行が」
「はい 楽しくなりました ワインまでありがとうございます
実は 卓球をしたいと思っていたんですが 満室と断られ
しかし 見てみようって 着たんです」
「そうか 僕らは休んでいるから どうぞ」
葉山と高柳は お辞儀をして卓球をはじめた
最初は簡単にラリーをしていたが そのうち本格的に打ち合いをした時に
亜矢子は はっと気が付いた もしや高校3年の時インターハイで3位に
なったペアではないかと 面影が少し残っていたもう20年くらい前の
記憶だ 間違っていたら失礼だし確かめるのは止めようと思っていた
見ているとあの頃の自分が思い出された 父親を無くし
気分を紛らわせるには卓球しかなかった
その努力が実って3年生の時はシングルで1位に輝いた
3年の時彼女達が2年生でダブルスで3位とはっきりと思い出した
目の前に自分の青春時代が戻ってきた 喜んだ亜矢子は
2対1で打ち合った 最初はラリーで肩慣らしをした
葉山と高柳たちはまだ気が付いていなかった 亜矢子は葉山に
「ねぇ 1対1でやらない」
「ええ お上手のようなので 楽しいです 21ポイントでサーブは3回で」
最初のサーブは亜矢子がした 葉山は返せなかった次のサーブは打ち返し
ラリーが続いたがやはり亜矢子がかった 次のサーブは葉山は上手に
返したが入らなかった 今度は葉山がサーブの番だった
上手な変化球を出しても打ち返された 亜矢子はポイントを落とす事無く
順調だった 15対0で亜矢子が勝っている時に高柳が
「ちょっと待ってください あの間違っていたら申し訳ないのですが
桜川さんは高校3年の時にインターハイで優勝された桜川さん?」
「ええ そうよ」
葉山と高柳はやっぱりと言って
「お手合わせ ありがとうございました」
神山は何を言っているのか分らなかったが 亜矢子が葉山や高柳と
同じ様に卓球をしていた事を知った 高柳が
「私たちは東京三校で出ていました 桜川先輩は県立静岡でしたよね」
「ええ 私も先ほど座っている時思い出しましたよ
残念だったわね 第3ゲーム 最後サービスミスだったでしょ」
高柳はよく覚えていると感心し
「よく覚えていらっしゃいますね ええ あのサービスミスは残念でした」
亜矢子は今度は高柳とプレーを楽しんだ 二人とも青春時代を
思い出し ゲームは楽しく進み終わった
葉山と高柳は神山と亜矢子に
「ありがとうございました いい記念が一杯です
先輩 ありがとうございました 楽しい記念が出来ました」
「良かったわね 今日の出来事は胸の中にしまって置きましょうね」
「はい 分りました ありがとうございます 失礼します」
そういって葉山や高柳は卓球室を後にした
二人が帰った後 亜矢子は笑いながらプレーをし
ワインやビールを呑んだ
少しプレーをすると亜矢子は少し休みたいと言って部屋に戻った
「少し呑みすぎたかしら ごめんなさい」
「うん いいよ 青春時代を思い出せたんだから」
亜矢子は突然泣き出した 神山は はっと思ったが遅かった
「ごめんよ お父さんの事思い出させて ごめん」
「亜矢子は大丈夫よ ありがとう なぜかあの頃の自分が思い出されて」
神山は亜矢子をしっかりと抱きしめベッドに横にした
(参った 反省だ 高校時代はお父さんの事で辛かったんだよな)
神山は冷蔵庫からビールを出してテラスで一人で呑んだ
亜矢子は起きてきそうに無いので寝る事にした
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