2013年2月27日水曜日

薔薇 2 - 27 Vol. 3



7Hは470y Par4でこのコースで一番難易度が高いコースで
少し打ち上げの右ドッグレッグ 右はOBになっている
フェアウェイも狭く落としどころ勝負になってくる
風が吹いている時はボギーで上出来なホールだった
神山は右の曲がり角を狙ってドライバーを思い切り振った
ボールは右に出たが途中から左に向っていき山斜面の左ラフに入った
珍しいことが起こったので皆が
「よかったよ スーパーマンとは戦えないもん なあみんな」
「そう 私もスーパーマンとはやりたくないわ」
「神山さんも人間だったんだ よかたです」
神山は
「たまにはね 嫌われるから」
洋子は手堅くスプーンで打ってきた フェアウェイ真中で270y残
内野はドライバーで打ったがやはり力み左に行って神山の手前だった
高橋は洋子同様にスプーンで打ちフェアウェイ左 260y残
神山と内野は左に曲げたが距離は出ていたので 洋子が打った80y残
高橋もスプーンで打ち左にいきラフ70y残
内野は3アイアンで打ったが100y残してしまったがフェアウェイに
転がした 神山は5アイアンで出すだけでやはり120y残
神山はピッチングで打ったがグリーンオーバーしてしまい3オン
出来なかった 内野もピッチングで打ったがガードバンカーに捕まる
洋子は手堅く打ち3オンした 高橋も3オン 最初に内野が
バンカーショットでグリーンに乗せるだけだった4オン
神山がパターで寄せたがラインに乗らず2mを残した
洋子と高橋は2パットでボギーとした
内野は2パットでダブルボギーにしてしまった
神山は入らず3パットでダボになった
8Hは神山ボギー 洋子ダボ 高橋と内野は共にダボと
全員が崩れた
ここまで神山は+5 洋子+7 高橋と内野はともに+10のスコアだった
現状 神山が有利だが洋子が4のハンデが有るので2つ負けている事になる
「山ちゃん ハンデで田所さんに2つだよ 挽回しないと」
「うん 孝ちゃんもいいスコアじゃない」
「そんな ダボを2つも出していたら駄目だよ」
「そうです ボギーで来ていたのにダボ ダボではきついです」 
9Hは160y Par3 池超えの軽い打ちおろし
ここはティーグランドの前が崖になっていてグリーンまで池があり
フェアウェイは左にあるがカートが通る狭い場所で
池を完全に越えなければ攻略できないコースだった
神山は6番アイアンで軽く打ってワンオン
洋子は4番アイアンでワンオンした 神山と洋子は共に昇り20y残
高橋は6番アイアンで打ち左のガードバンカーに入ってしまった
最後は内野だが 池ポチャの事は誰も口にしなかった 神山が
「誠二君 力まずに打てば大丈夫だよ」
この一言で高橋や洋子も
「うん 力まず ね 力まずだよ」
この時 内野はボールが池に飛び込む事しか考えていなかった
6番アイアンで打ったボールは30y位のところで池に入った
内野はその場でしゃがみ込み うなっていたが気を取り直して
打ち直し第3打となった
内野は今度5番アイアンに変え軽く振ったがグリーンに僅かに届かず
またしゃがみ込んだ こんどはまた6番アイアンに替えて構えた
打ち直し第5打だったがこれは池の真中に直撃してしまった
しゃがみ込んだ内野にキャディーが
「ヘッドアップが早くなっているわよ 頭を残せば大丈夫よ」
アドバイスがあり 打ち直し第7打はようやくグリーン右の縁に転がった
ほっとした皆が
「よくやった 偉い ギブアップしないところはアルタの星だ」
「よかったわね キャディーさんにお礼いった」
「そう 力むとだめ よかった」
神山と洋子はパー 高橋はボギー 内野は8オン2パットの10と
午前最後のホール結果だ
午前ハーフの結果は 神山+5 洋子+7 高橋+11 内野+17
結局 神山は洋子のハンデで負けている
午後のハーフスタートは11時30分で40分有った

レストランはまだ疎らで数組しか利用していなかった
神山達はビールをまず頼みおつまみを数点注文し ご飯類は
少しあとで注文すといった
ビールが運ばれて来ると高橋が
「では ギブアップしなかったアルタの星に乾杯」
「わあ 悪すぎですよ あんな なんとも無い池なのに」
「誠二 それがゴルフだ 甘く見てはいけない な~あんて だめだ
気を引き締めよう」
「神山さん 凄いわね 41って」
「いやいや まぐれさ 午後もこのまぐれが続けば良いけどね」
「神山さん あの時 9番ですけど 神山さんや高橋さん田所さんの
言葉は何にも聞こえなかったんです 悪魔と戦っていたんです
池という悪魔と だけど負けました あ~あ だめだ」
神山は洋子に
「そうとう昨夜の事が効いているね」
「ええ 効きすぎね」
「ここまで来ると 自分で建て直しをしないとね 人が言っても駄目だね」
「ええ 彼 午後から崩れるわよ きっと」
「うん まあ仕方ないさ」
神山は内野を見ると高橋と話しているが
内野はしょぼくれたまま頷くだけだった
神山は
「誠二君 ビールを呑んで元気だそう」
神山はそう言ってビールを追加した
おつまみやビールを呑み少し元気になった内野だが
「僕 日本酒貰います」
そう宣言して日本酒を注文した 高橋が
「山ちゃんは今日予定ある?」
「うん 午後が終ったらここで呑むと運転があるから
東京で軽くって思っているんだ」
「うん ありがとう 上原に5時に帰れれば大丈夫です」
「うん まだ11時だし 2時には上がるでしょ そうすると1時間で
帰って まあ2時間位できますね」
「うん そうしたら風呂もなしにするか」
「しかし 女性もいるし」
「平気よ このままで 今日汗かかないから大丈夫ですよ ご安心下さい
着替えだけはさせて」
「そうしたらその計画で行きましょう」
「うん みんな呑むからね 大変だ 誠二君はもう駄目だし」
打ち合わせをしていると高橋がウエイトレスにご飯を注文した
内野は日本酒を追加した
「孝ちゃん そうしたら 上原の駅前寿司にしよう
日曜日だと すいているし」
「そうですね 僕らも電車近いですから そうしましょう」
神山はビールを呑みながらおつまみを食べた
「この時間だともうハーフ廻れるね」
「そうね この時期だから廻れるわね」
「又 来よう」
「ええ 風が無い日に」
「今日はこのスコアだけど風が有ったら 5つくらいは落とすね
ここ難しいもん」
「ええ 結構フェアウェイが狭いですよね 風があったらラフで駄目ね」
「うん」
神山がそろそろご飯を食べたいと思っていると4人前の定食が
運ばれてきて早速食べた 
内野はまだ日本酒が残っているので呑みながら食べていた
食べ終わると11時15分になっていた

みんなは10Hのベンチに座って 神山はタバコを吹かし気分を
落ち着かせていた
キャディーさんがカートを持って来たので神山は人がいないとこで
素振りをしスイングチェックをした
前の組が打ち終わったので 神山がティーグランドにティーを差し
打つ準備をしていた
10H530y Par5 いきなりロングだが殆どストレートな
コースだがフェアウェイは結構せまかった
神山は3オン2パット パー 洋子と高橋は4オン2パットのボギー 
内野は乱れ 4オン3パットのダボ
11H440yPar4 打ち下ろしの左ドッグレッグ 
神山 洋子 高橋3人はボギー 内野はダボ
12H390yPar4 打ち上げのストレート
神山 洋子は共にボギー 高橋と内野はダボ
13H160yPar3 打ち下ろしだがグリーンが
小さくバンカーがグリーンを取り巻いている 
神山パー 洋子と内野はバンカーで苦労し共にダボ 高橋はボギー
このホールを終った時点で 神山は洋子にハンデを引いて1打勝った
14Hは全員がボギー 15Hは内野がダボ 他はボギーで上がった
16Hは池越えの170yPar3 
神山はグリーンを外しカップまで20m 洋子はグリーンと池の間
40y残 高橋は飛ばしすぎてグリーンオーバー45y残
内野は池に2回入れて打ち直し3回目で5オンさせた カップまで25m
内野が寄せたが入らず2パットで7つ叩いてしまった
洋子は寄せたが入らずパーで上がった 高橋はちょろして
3オン1パットのボギーだった
神山が打つ番になったがなかなか打たなかった
構えてから暫くするとパターが自然と出てスライスラインに乗って
チップインバーディーをとった
「すごいぞー やったね」
みんなが喜んだ
17Hは比較的やさしく神山 洋子 高橋はパーで上がり
内野はボギーになってしまった
最終ホール18番は比較的やさしい打ち下ろし 540y Par5
神山はドライバーで思い切り振ると左に出たので少し右を向いて
思い切り振りぬいた ボールは左には少し行ったがOBラインのそばで
ラフに捕まった 
神山はこのホールバーディーで上がると今までに出した事がない
初めての70台それもぎりぎりの79と凄いスコアを残す思いで
ドライバーを思い切り振り抜いた
洋子と高橋はフェアウェイに打ち安全策ととった
内野は左のラフに打ち込んだ 
内野が最初に第2打を打つがこれも左のラフ 又 打つが
バンカーに捕まったりして結局8つ叩いて上がった
洋子と高橋は確実にボールを運んだがグリーンでてこずり
共にボギーとした
神山は深いラフからだったが上手に出して
3オン2パットのパーで上がった
全てのホールを終った4人は挨拶したが内野が気分を悪くして
化粧室に飛び込んでいった 暫く出てこないので高橋が様子を
見に行ったが高橋が
「ねえ 内野を少し休ませるよ だめなんだ」
「うん良いよ」
「それでさ 僕らはあとで車で帰る事にするから
先に出てくれるかな 賭けの清算は後日でお願いします」
「うん いいよ ここのプレー費や食事は」
「うん うちでもつ事になっているから心配しないで」
「しかし 大丈夫かな 待っていてもいいよ」
「だけど車汚したら 大変だしね」
「うん 分った そうしたら 受付に二人分清算終了としてもらえる?」
「うん 了解」
「軽く汗を流して着替えるから」
「ほんと ごめんなさい よく言っておくよ」
「昨夜寝ていないんだと思うよ」
「うん 多分ね 楽しかったのにごめんなさい 埋め合わせはします」
「うん ではお願いします」
神山と洋子はそれぞれ更衣室で着替えフロントに帰ってきた
「お疲れ様でした 大変な事にならなければいいけど」
「うん 3時間も睡眠をとれば元気になるよ 大丈夫だよ」
神山と洋子はキャディーバッグを車にしまいながら内野の事を案じた

「よし 帰りは僕が運転するよ」
「はい 分りました」
神山は東名高速御殿場インターに入ると飛ばした
来る時 洋子が癖があると行ったが高速では分らなかった
「ねぇ このまま渋谷で 冷蔵庫を買うか?」
「ええ 洗濯機もあまり大きくなくて良いと思うわ」
「渋谷の家電量販店で台車を借りれば何とかなるし」
「そうね 地ビールも冷やせるしね」
「うん あとは湯沸しとレンジがあれば大丈夫なのかな?」
「そうね ガステーブルはお料理を作る時でしょ
でも小さい一口コンロはあっても良いかなと思うわ
これから麺類を食べたくなった時とか 必要でしょ」
「うん そうだね ねぇ悪いけどメモしてくれる今の分
選べる時間があったら買おう」
「はい 分りました」
神山が飛ばしたので15時に渋谷で降りることが出来た
そのまま家電量販店の駐車場に入り売場に行った
最初に冷蔵庫をみて中型を買い洗濯機を見ることにした
色々とあったが あまり小さいと洗濯物が入らなくなるので
これも中型を買った冷蔵庫が8万円で洗濯機が5万円だった
店員に訳を言って台車をかり 代々木のマンションへ向った
市街地は日曜日とあってそんなに込んでいなかった
マンションに着くと 台車を利用して冷蔵庫 洗濯機を自室に運び
直ぐに家電量販店に戻り先ほどの店員に台車を返した
「さあ 湯沸しとレンジとガステーブルか」
「ええ あとは無いと思います」
神山は湯沸し2万円 電子レンジ7万円 ガステーブル3万円を
買って車に運んだ 売場に戻って
「扇風機はどうだろう 必要ないかな」
「う~ん どうでしょう その時で良いでしょ」
「は~い 分りましたぞ そうだね」
「あと コンセントが足りないしこまごました物を買おう」
神山は延長コードやコンセントを買い求めた
コード類だけで1万円したので
「こんなに高いんだ」
と驚いた
神山と洋子は直ぐに代々木のマンションに戻って荷物を運んだ
「ねぇ まだ時間あるでしょ」
神山は時計を見ると16時30分だったので
「うん あるよ」
「そうしたら食器類を買いましょうよ 渋谷だったら一杯お店が在るし」
「うん」
神山は渋谷で有名な食器店に行き店内を見渡した
「洋子 僕はこうやってセット物でなくてお皿一枚ずつ
違った物が良いな 例えば このこ皿のように同じ大きさでも
色々と楽しいでしょ」
「ええ 普通の白いお皿とか 青磁風のお皿より楽しいわね」
神山の提案で色々と買い揃え全部で4万円したたが 
「グラスは高いのにしよう」
そう言って ビールのグラス2万円 ワインのグラス5万円
日常使用するのグラス 1万円 を買った
「そうしたら 洗剤なども買いましょうよ」
「うん そうしよう」
このお店では取扱が無いので 台所小物雑貨を扱ってるお店が
そぐ傍だったので グラス類を車に積んで台所用品や
洗面所用品 浴室用品をかった
全部で2万円も掛かってしまった
「こやって揃えると結構かかるんだね 上原はちょこちょこと
買っていたから分らなかったけれど」
「掛かるわね 私もビックリしたわ」
「大袈裟に言うとこれで生活できるね」
「大袈裟でなくて大丈夫ですよ 出来ます」
神山と洋子は代々木のマンションに帰ると神山が
「このカード 1枚だからもう1枚必要でしょ」
「ええ 出来たらその方が助かるわ」
「そうしたら 管理人さんに聞いてみるね」
神山は管理人室に行って話すと
「はい すぐに出来ますが5万円の保証金とカード制作費で2000円
掛かりますがどうされますか」
「はい ではすぐに作ってください」
神山は財布から52000円出し渡すと暗証番号を聞かれたので
伝えると 5分も掛からないで出来上がってきた
部屋に戻って包装紙を片付け始めると電気屋がきた
ドアホンで確認を取り1階の自動扉を開けて 玄関も開けておいた
直ぐに家具屋が来て同じ様に1階の自動扉を開けた
どちらの配送も大変だと感じた管理人が少しの間ドアを開放して
その間に配送車から1階のロビーに移していた
部屋の中はごった返し神山と洋子の居場所が無かった
しかし1時間もすると落ち着いてきてダンボールなど不要品を
片付け始めた 
神山は電気屋を捕まえ 冷蔵庫や洗濯機に設定設置をお願いした
快く引き受けてくれ助かった 電気屋は不要になった
ダンボールを一緒に持って行ってくれた
暫くすると全部終わり 電気屋も家具屋も帰った

「ふぁ~ 素敵ね あなたの感覚ってこうなんだ」
洋子は部屋の中に配置された家具を見て
何処かのホテルにいる気持ちになった
神山はソファーに座ると 沈み込み気持ちよかった
「洋子 座ってごらん 気持ちが良いよ」
洋子はガラステーブルを挟んで反対側に座った
「ふぁ~ 気持ち良いわ 眠たくなるわ」
神山は寝室にいきベッドに横になった 上原と違って気持ちよかった
なにからなにまで新しいと気持ちがいいと思った
洋子は食器類を洗い始めるとガス屋がきた
1階ドアを開けると暫くしてまたドアホンが鳴ったので開け
ガステーブルの接続をしてガスがつくようになった
「ねぇ 洋子 忘れていたね カーテン」
「あっ そうですね 寸法を測って近いうちに買いましょう」
洋子は食器を洗い終わると 食器棚を拭き始めたので手伝った
全ての食器がデパートで陳列されているように綺麗に並べられた
洋子は再びソファーに座り見渡すと
「ほんと素敵よ 綺麗なお部屋に出来たわね 素晴らしいわ」
神山は冷蔵庫から地ビールを出して洋子に渡した
「さあ 新しい部屋に乾杯だ」
「ええ おめでとうございます わたしもがんばるわ」
「うん 頼んだよ」
洋子は嬉しそうに地ビールを呑んだ
「洋子 今日買い物全部で 幾らぐらいだった」
「ええ 46万円使ったわ カードの保証金も一緒だけど」
「ありがとう そやって直ぐ出てくると」
「だって もう癖ね これは職業病でしょ」
二人は見詰め合ってわらった
「気が付かなかった もうこんな時間だ 何か食べにいこう」
神山は時計を見ると21時になろうとしていた
「そうね いいわよ 駅前寿司で」
「そうするか 車はここに置いといて 明日僕が会社に乗っていこう
そうすると 今夜はゴルフバッグはここに置き近いうちに移動 
洋子もそれで良いよね」
「ええ 大丈夫よ 当分使わないわ」
「近くにゴルフ練習場が在ればここでも良いけどね」
「探して置きます」
「ありがとう」
「洋子 気を悪くしないでほしいんだが この部屋の出入りは自由さ
しかし無断使用は控えてくれ お願いします 色々と大変だから」
「ええ 大丈夫よ 私がここを勝手に使って何か起きたら大変です」
「うん ありがとう そう言ってもらえると助かるよ 
それと 幾ら大事な商談相手もいれない ここは二人だけしか知らない
内藤社長は知っているが ほかは誰も知らない いいね」 
「はい 分りました 大丈夫ですよ ご安心下さい」
「そうしたら バッグ類を持って来よう」
神山と洋子は下に行ってバンからゴルフバッグを取り出し部屋へ
持って帰った
「そうか この中に肌着があるね」
「ええ だけど明日会社から持って帰ります」
「なんか便利そうだけど 不便だね」
「ここは 代々木ホテルと位置付けすれば 迷わないわよ」
「代々木ホテルか そうだね そうすると専用の浴衣が必要だね」
「ええ 時間を作って買いましょ」
「うん ではこのボストンは車だ ごめんなさいね 行ったり来たり」
「ええ 平気よ」
「今夜はこれで大丈夫かな」
神山は癖で部屋中を見渡し
「では 行きましょう」

神山と洋子はタクシーで上原の駅前寿司に行った
日曜日なので家族連れが多いが 奥の座敷は空いていた
女将がビールを持ってきてくれた
神山が洋子にビールをグラスに注ぎ
二人はようやく落ち着き洋子が
「内野さん 大丈夫なのかな心配ですね」
「でも 何も連絡が無いから大丈夫だよ」
「内野さんって 杉田君に似てませんか 純情で素朴な感じがしたわ」
「そう言われると なるほど似ているね 二人とも飾り気が無いからいいね」 
「あなた」
「うん」
「もう内野さん 私たちとゴルフしないわよきっと あなたが苛めたから」
「おいおい 遊んでくれないなきっと 洋子しかいないか相手は」
「そうね 二人で日本中のゴルフ場を廻るのも良いでしょうね」
「うん プラス1日でいいからね 3日の仕事だったら4日目にはゴルフ」
「ええ バッグも送れるし便利になってますから」
「これから 仕事の時はそうしよう」
神山と洋子はゴルフの話で盛り上がっていた 神山の携帯が鳴った
「はい神山ですが」
「高橋です こんばんわ」
「やあ 孝ちゃん 誠二君は大丈夫?」
「ええ あれから少し酷かったんですが 3時間くらい仮眠させて
帰ってきました 本当にご迷惑をお掛けしました すみませんでした」
「良かったですね 大事にならなくて」
「ええ ありがとうございます それで 山ちゃんの明日の予定は?」
「うん 9時にご挨拶に伺いますが」
「うん 夜は」
「う~ん 分らないな どうして?」
「ええ 誠二君がお詫びをしたいって言っているんです」
「ああ 気にないでって 言うとよけい気にするな 今は忙しいって
そう伝えて 時間が出来たら連絡するし これから毎日会うと思うよ」
「そうですね 分りました」
神山は電話を切ると洋子に
「誠二君が気にしていて お詫びをしたいんだって やさしい子だね」
「ええ 貴方に申し訳なくてどうにもならないのよ きっと」
「そうだね 杉田と一緒だ 彼も後3日で先輩になるんだね」
「ええ 美術の屋敷君も結構 純粋で好感が持てるわ 催事課には
ピッタリの性格だと思うわ 返事はしっかりしているし」
「それはいつ調べたの」
「だって そんな探偵じゃないからしつこく付回してた訳じゃないわよ
すれ違った時とかの感じよ」
「そうか 気をつけよう いつ誰に狙われているか分らない訳だ」
「そうよ 貴方位になると みんなが注目するでしょうね」
神山も誰かに狙われている話をされると怖くなった
「明日は 8時30分にでてアルタだったね 部屋はどうなんだろう
使えるのかな 何か聞いた今日」
「そう言えば 何も話が出なかったですね」
「わかった 孝ちゃんに聞いてみるね」
神山は携帯で高橋に電話をした
「孝ちゃん 神山です 何度も済みません」
「いえ」
「明日の次長室の件だけどどうなっていますか」
「ええ 多分早めに出勤と考え7時に田中君が行きます
済みませんでした 先ほど言わなくて」
「そうしたら 7時30分に変更してください お願いします」
「はい了解です」
洋子に
「明日 7時に待っているからと言われても早すぎるから
7時30分にしてもらった だからその時間にお願いします」
「そうね 電話の設定とかいろいろと聞かなければいけないし
大丈夫ですよ ご安心下さい」
洋子は笑顔で言った
「次長室も楽しみだね どんな風になっているか」
「ええ しかし工場で見た時と違うでしょうね」
「うん 工場は広いけど 普通は狭い所で使うものだからね
なんと言うか味が凝縮されたといったら言いか まあそんなとこです」
ふたりはゴルフをしたせいか よく食べよく呑んだ
「そうだ忘れていた 東都食品 関東で有名な一流企業だけど
何でもいい 調べてくれる?」
「なんでもいい?」
「うん 出来れば内情だ いいね」
「スキャンダルを含めてですか?」
「うん そのスキャンダルでその後どう動いているかとか」
「はい 分りました」
「それと アルタから出る時に 土地と言ってくれるかな」
「えっ 土地?ですか」
「うん 内藤社長に聞くタイミングが無くて だから忘れていると困るから」
「はい 出ときに 土地ですね」
洋子は分らないけど神山が何かで動き出していると感じていた
ただはっきりとしていないので私にいえないのだろうと思っていた
「さあ こんなところかな」
「私 食べ過ぎたわ おなか一杯」
「僕もだ これはゴルフだね 健康でいいね 来週からはというより
30日から動くね 楽しみだ」
神山は最後の『楽しみだ』を言った時はどこか違う世界を見て
言っていると洋子は感じ取った もう動いているこの人は
「では 本日は色々とありお疲れ様でした ありがとうね」
「わたしも楽しかったわ」
「あす早いから帰ろう 代々木ホテル駐車場7時でどう 一緒にいこう」
「分りました 待っているわね お願い」
「よし決まった では帰るか」
「はい」





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2013年2月22日金曜日

薔薇 2 - 27 Vol. 2



高橋と内野は
「ねぇ 山ちゃん どうして分ったの」
「うん 食べてたら そう感じたんだよ 何も無いよ」
「分らないな なぜそんな所に気が付くのかも」
「僕なんて なに食べても一緒ですよ」
「うん それで商売も出来る しかし本物を扱う事は出来ないし
食べさせる事も出来ない まあコンビニやファーストフードだね」
「そんな また落ち込みですよ」
「そう言えば 明日 池越えがあったね なんか夢に出て来そうだよ
誠二君が 池ポチャって」
「なんですか 失礼な 絶対に落としませんから」
「失礼しました ねぇ池ポチャなんてすること無いもんね」
「今まで 7,8回ですが」
「何処で落としたの」
「ええ 千葉なんですけど 大した事無かったんですよ
だけど 変に力んで 池ポチャでした」
隣りで洋子が笑っていて 堪えきれずに
「誠二君 まんまと神山マジックに引っ掛かったわね 明日落とすわよ」
「また田所さんまで そんな」
「だって 誠二君が嫌な場面を今も思い出しているでしょ」
「ええ」
「ゴルフってメンタルでしょ 明日そのキーワードを引き出せば
貴方の体は動かなくなって 池ポチャよ」
神山と洋子は顔みて大笑いした
これも作戦の一つだった 別に打ち合わせをしていないが
洋子は神山が何をしたいか敏感に感じ取ってフォローした
話は尽きなかったが明日があるのでここでお開きにした
神山は別料金の伝票を持って精算して皆で部屋に帰った
普段なら21時30分という時刻は飲み歩いている時間だが
今日は早めに解散した
帰り際に明日の確認をした
「そうしたら 7時30分に出れば充分間に合うね」
「了解です」
部屋に入ると洋子が
「先ほどのお肉はお幾らですか」
「うん 1枚5千円だった だからまあまあのお肉だね」
「うんそうですね 美味しかったですよ サイコロより」
「ワインは安かったな 4千円かな」
「ええ 若かったわ でもあれはあれで美味しかったわ」
神山は冷蔵庫から地ビールを出して洋子と呑んだ
暫く話をして今日は早く寝ようかと申し出ると洋子も頷いた
一つのベッドだと又 寝られなるから別々に寝た
神山が6時30分に目覚ましをセットしてベッドにもぐった

4月27日 月曜日 快晴
神山は目覚ましの鳴る前に起きていた 洋子を起こさないように
冷蔵庫から地ビールを出した ベランダに出てタバコを吹かしながら
地ビールを呑んだ 朝日を浴びて気持ちよかった
神山はタバコを吸い終わると部屋に戻ってシャワーを浴びた
お湯を熱くして体をしゃきっとさせた
充分な睡眠のお陰でからだはよく反応した
まだ6時なので早いかと思ったが洋子の寝顔を見ると
はっとする位 亜矢子と似ていた 神山は今後 
注意しなければ いけないと思った
神山は洋子のデジカメで寝顔を撮影した
洋子はシャッターの音で目が覚めた
「おはようございます どうですかぐっすりと寝られた?」
「おはようございます ええ 早いのね」
「だって 8時間だよ まあ普段が普段だから今日は丁度いいかな」
「もうシャワー浴びたの?」
「うん 絶好調さ」
神山はストレッチを見せ充分に体が動いている事を伝えた 
「ふぁ~ やだな 自分ばかり 私置いていかれたわ さっ おきよっと」
洋子もすぐにシャワーに入り 体をぴりっとさせた
「昨夜聞くの忘れたけど朝食 孝ちゃんと内野君 どうするのかな」
「ええ 私たちはどうする?」
「今ごろ サンドイッチなんてないよな」
「聞いてみれば 何かあったら食べたいわ」
「うん聞いてみるよ」
神山は7200番を廻すと亜矢子でない子が出て
「神山様 どうかされましたか?」
「うん 朝食を忘れまして 何かあるかお聞きしたいんですが」
「はい おにぎりとおしんこうがございます」
神山は洋子におにぎり おしんこうだがいいかと聞くと頷くので 
「では おにぎりとおしんこうを2人前お願いします
お味噌汁は有りますか」
「はい ご用意できますがインスタントでございます 宜しいでしょうか」
「分りました お味噌汁もお願いします それと高橋さんの部屋にも
持って行って頂けますか」
「はい では早速ご用意いたします ありがとうございます」
「洋子 お味噌汁はインスタントだって 良いよね」
「ええ ありがとうございます 食べられるだけで嬉しいわ」
神山はデジカメのモニターを見せた
「どう 可愛らしいよね まだあどけなさが残ってるよ」
「まあ いやだ 寝顔なんて撮られたの高校生以来かな
だけど あなたが言うように可愛い女の子って感じね」 
「そうだろ 可愛いよ」
「今日ね ミニスカートにするか パンツにするか両方持ってきての
あなた選んでくれる?」
「うん いいよ」
洋子はバッグから最初 ミニスカートを出して穿いた
「浴衣でよく分らないよ 脱いだほうがいいな」
洋子は浴衣を脱いで見せた 均整の取れた躰だと思った 
「ねぇ バストばかり見ないで もう ちゃんと見てよ」
「うん 分りました うんイメージしたから今度はパンツだね」
洋子はミニスカートを脱ぐと生まれたままの姿でお尻をこちらに向けた
神山は気をそらすのに必死だった 
「どう こっちは」
なんとも甲乙つけがたく返事に迷ってしまった
しかし 第三者に綺麗な裸のももを見られたくなかったので
「決定 このパンツ姿で行きましょう」
洋子はニコニコしながら浴衣を着て神山にキスをした時
部屋がノックされたので神山があけると 女の子が食事を運んできた
神山は受け取りながら
「お会計は」
「はい お一人様450円です」
神山は4人分で1800円払い
「高橋さん達はもう行かれたの」
「いえ これからです お電話をしてから伺います」 
「ありがとう」
若い女の子は深々とお辞儀をして戻っていった
「さあ 食べましょう」
お椀の蓋を開けると味噌汁がいい香りだった 
洋子もテーブルについて
「頂きます」

ふたりは代々木でも簡単な朝食を食べたいわねと話し合った
おにぎりは少し小ぶりで神山は直ぐに食べてしまい
お味噌汁を飲むと多少は食べたかなと言う感じだった
神山は冷蔵庫から地ビールを出し呑んでいると内線が鳴り 
受話器をとると高橋だった
「おはようございます 高橋です 済みません 用意しなくて
今 聞きました ありがとうございます」
「やあ おはようございます 孝ちゃん よく寝られた?」
「いえ だめです」
「なんで?」
「ええ 誠二君が落ち込んで 池ポチャの話し もう大変でした」
「そうすると誠二君は落ちたね」
「ええ 可哀相なので ずっと付き合ってました」
「わかった そうしたら 7時30分じゃ無くて 7時15分位で
下で落ち合いましょう」
「ハイ了解です 7時15分 OKです」
神山は洋子に今の話を伝えると 大笑いをしてしまった
「朝一で 池ポチャの夢はどうだった と言ったら逆にしらけるから
そのホールに向かう時さりげなくキャディーさんに
みんな落とすんですってね なんて言ったら ポチャだね」
「もう あなた 苛めるのやめなさい しかし楽しいわね」
洋子は又 思い出し笑っている
「ねぇ ところで パンツを選んだらなぜニコニコしたの?」
「だって 私だってそうするから 別に試した訳じゃ無いのよ
ほんと迷っていたの ただ男のひとは自分の彼女の素足を第三者に
見せたがるか考えたの 普通に考えれば見せないと思ったの」
「じゃあ ぼくが普通じゃなかったら どうする?」
「う~ん 分らないわ だって普通だから さあ支度しましょう」

洋子の号令で神山も仕度をした 先日 熱海で買った赤いショーツを
穿くと洋子が
「ふぁ~ 凄い これ婦人用でしょ このような趣味も合ったの?」
「うん 赤は縁起がいい まあ紳士用はゴワゴワして駄目だった
それで買った」
「ふ~ん そうなんだ ここがグロテスクよ お風呂に入れないでしょ」
「パンツと一緒に脱ぐさ 大丈夫だよ」
「ふぁ~しかし 凄いわ それで何か良い事有った」
「うん ダブルスコアを出した」
ふたりはまた大笑いした
神山は黒のスラックスに白のポロシャツ 洋子はオフホワイトの
スラックスに鮮やかなバイオレットのポロシャツだった
エレベーターで下に行くと誰も来ていなかったので 玄関を見ると
亜矢子がニコニコと寄ってきたので
「おはようございます あれ穿いたよ」
小声で言ったら 頷いて 普通より少し大きい声で
「神山様 頑張ってくださいね」
と言った 洋子が近寄ってきたので
「ハッパを掛けられた」
「素敵な女性に囲まれて如何ですか」
「うん 最高に決まっているでしょ」
3人で話していると椿が来て 
「神山様 昨夜はありがとうございます 驚きました」
「いえ 好奇心旺盛ですから お邪魔して済みませんでした」
「とんでもございません またお越しくださいませ」
「ええ 近いうちに伺います その時は宜しくお願いします」
高橋と内野がようやくきた
「済みません 遅くなりました 今車を持ってきます」
「ええ ここで待っています」
椿と神山が雑談している時 洋子は亜矢子と話していた
直ぐにバンが来て昨夜注文した地酒と地ビールを積み
神山と洋子が乗り込み 挨拶をして発車した


御殿場カンツリーの御殿場コースには15分ほどで着いた
受付で高橋がアルタで予約していますと伝えると 前3組がキャンセルに
なり1番目のスタートで8時00分のスタートに繰り上がった
あと30分しかないので神山は少しでも食べておいて良かったと思った
売店でゴルフボールを買いロッカーへ行ってバッグを預け
財布はカウンターで貴重品として預かってもらった
バッグからパターを出しグリーンの練習をしていると
高橋と内野 洋子が集まってきた 思い思いに練習していたが
神山は赤パンの実力を探るため パターをじっと握っているだけだった
構えて何もしない神山を見て3人はどうかしたのかと思い
近づいた 神山の腕が自然に動き出しボールをヒットすると
10mある距離を入れてしまった
自身も驚いたが廻りはもっと驚いた
こんどは15mに挑戦した この時も素振りをしないで暫くして打つと
また入れてしまった
同じ距離を自分の感覚で打っても入ってしまう
「山ちゃん どうしたの 練習していたでしょ」
「うん まあね」
「神山さん 凄いわ 素振りをしないで 入れるなんて」
「うん まあね」
神山はそう言うと 今度は2mの距離を試したがこれも入った
「山ちゃんさ 今から運を使うと本番で運がなくなるよ」
「そうだね 辞めておこう 孝ちゃんの言う通り」
そう言い辞めたが パットラインが見える どこに行っても
パットラインが見えた 試しに見えるパットラインに乗るよう
手で転がすと入った 神山は今度は打ちっぱなしに行って
ドライバーを振ってみた まっすぐに飛んでくれた
今度はスライスをかけて打ったら綺麗にスライスが掛かった
神山はさっき高橋が言っていた言葉を思い出し辞めた


「山ちゃん 山ちゃん 起きて 着きました」
「うん ああ ごめん」
「山ちゃん 大丈夫?」
「うん」
「さっき すぅ~て寝ちゃったんですよ」
「ごめんごめん ああいい夢だった」
神山はゴテンバ グランド インを出て ふっと寝てしまった
皆は受付でスタート手続きを終るとロッカーへ向った
神山は売店でゴルフボールを買い ロッカーへにバッグを預け
財布はカウンターで貴重品として預かってもらった
神山は夢のように赤パンの魔力が通じるかわくわくしていた
8時30分のスタートなので充分に時間は有った
4人はレストランでコーヒーを飲んだりしたが神山はビールを貰った
高橋が
「1打千円 男性はスクラッチ 田所さんは1Rハンデ4でどう?」
と聞いてきたので
「うん いいでしょう ねぇ 洋子さん」
「ええ 大丈夫です お願いします」
相談がまとまり4人はカートに乗せられたバッグからパターを取り出し
グリーン練習場でパッティングの練習を始めた
神山が夢で起きた事が現実になるかじっと構えたままでいた
しかしなにも起きずに仕方なく打つとカップそばまで転がった
カップまでのラインが見えるか夢のように見えるかグリーン上を
見つめていたが ラインは浮かんで来なかった
神山はなぜ寝てしまったんだろうと言う事とあの夢はなんなんだろう
と不安がっていた
練習に夢中になっていると洋子が
「あなた 大丈夫?」
「うん 平気だよ なんで?」
「だって さっきなにか そう魂が抜けたような力なくふっと
寝てしまったの だから病気かと思ったんだけど息をしているから
そのまんま寝かせておいた訳なの」
「うん 気持ちよく寝られ いい夢をみたよ」
洋子の表情は明るくなって
「そう 大丈夫ね 頑張りましょ」
二人はまた練習グリーンでパッティングの感覚を試した

時間が来てティーグランドに向かう時に高橋が
「山ちゃん さっき受付に聞いたら こんなにベストな天候は
まれで お客様たちは大当たりですだって 
こうなったら ほんと良いスコアが出そうだね」
「うん なんかわくわくするね」
受付が言っているように 風がぜんぜん無い日は珍しく
月に数えるほどしかないコースコンディションだった
フェアウェイが広いわけではなく 風が吹くと難しいコースだった
特に南西からの風 北東からの風は強い時には4番手5番手
違う事もあるほど難しく攻略が出来ない
1Hで順番を決めた
順番は 洋子 神山 高橋 内野の順になった
1Hは400y Par4のストレートなレイアウトだった
洋子はドライバーを持ち軽く素振りをして構えた
女性特有の柔らかくてしなやかなスイングをして打ったボールは
フェアウェイ真中に運ばれ 残180yのところまで転がった
男性群が
「ナイスショット」
と誉めるとニコニコしてさがってきた
次は神山の順番でやはりドライバーを持ってティーグランドに立った
洋子と同じ様に2,3回素振りをして構えた
神山は7割程度の力で打つとまっすぐに飛んで行って残150yまで
転がっていった 後ろから
「ナイスショット」
と言われるとちょっことお辞儀して下がった 高橋が
「素晴らしいですね 山ちゃん」
「いや 頑張って」
高橋は激励されティーグランドに立った
ドライバーを数回振って構えた 力が入って左のラフに捕まった
残180yだった 戻ってきた高橋に神山が
「力んだでしょ」
「うん 力はいったよ 山ちゃんのあんなの見せられたから」
そう話していると最後の内野が左のラフに打ち込んでしまった残200y
コースを歩いていると風が無く気持ちよかった
内野のボールは余り深くは無かったが 木が邪魔して直接グリーンを
狙えなかった 5番アイアンで刻んだつもりが飛びすぎて
ガードバンカーに入ってしまった 2打終了 残30y
高橋の位置は比較的グリーンを狙いやすかったがそれでもグリーン真中は
無理で5番アイアンでフックをかけた 上手に掛かってフェアウェイ
真中に落ちて残30yにきた2打終了 フェアウェイ真中にある洋子が
スプーンで軽く打ってグリーンにオンしたがピンまで20yと
今ひとつだった 神山が7番アイアンで打つとピン手前8yにつけた
神山と洋子が2オン成功でパター勝負になった
高橋がピッチングで打つとボールはピンをこえスピンが効かずにグリーン
オーバーをしてしまった 内野もバンカーから出しただけでエッジに止った
結局このホールは神山がバディー洋子がパー高橋と内野がボギーとなった
2Hに向う時に洋子が
「凄く上手ね 力んでいないし」
「うん まだ分らないけど このクラブが本当にバランスがいいんだ
だってさっきのが初めてだよ 打ったの」
「えっ 初めてであんなに飛ぶの 凄いわ」
2Hは420y Par4の左ドッグレッグ少し打上げになっていた
神山はキャディーに曲がり角までの距離を聞くと200yだと
教えてくれたのでドライバーで左の林ギリギリを狙って打った
ボールは先ほどと同じ様にまっすぐに飛んでいった
フェアウェイの右側になったが残160yにつけた
洋子は曲がり角の少し先まで飛んでいった 残190yまで行った
高橋と内野は共に狙いすぎて左のラフに捕まった残は200y以上有った
高橋から先に打ったがガードバンカーに入ってしまった
内野はグリーン手前まで打ってきた
このホールは神山が2オン2パットのパー 洋子は3オン2パットで
ボギー 高橋は3オン2パットのボギー 内野は3オン2パットで
ボギーとなった 高橋と内野が
「山ちゃん すごいね ドライバーが冴えているね」
「うん バランスが凄くいいよ だって力加減は7割くらいだよ」
「へぇ~ それで飛ぶんだ 見せて」
高橋と内野は神山のゴルフクラブを覗き驚いた
「山ちゃん こんな高いもん使っているんだ 凄いや」
「うん 貰いもんだよ」
「これ高いのって知っている?」
「ううん ぜんぜん」
「ドライバーだけで10万するよ へぇ~これは負けるわ」
高橋と内野は神山のドライバーを素振りすると
「うん山ちゃんが言うようにバランスが凄くいいね 宝だね」
「ありがとう」
話しながら3Hにきた
3Hは490y Par5右ドッグレッグ打ち下ろしでグリーン手前が
見えているが右はOBになっていてOBに入れると前進4打のグリーンが
設けられているホールだった さらにコースが全体に緩やかに曲線を
描いているので曲がり角が無く難しかった
神山はスプーンで左の山側を狙ってスライスをかけたボールは
フェアウェイ真中に落ち転がった 残260y
洋子はドライバーで右をギリギリ狙って打って230y飛ばし
フェアウェイ真中に転がしてきた残260y
高橋は神山と同じスプーンで打ってきてようやくフェアウェイに運んだ
残280y
内野はドライバーで右のOBギリギリを狙いフェアウェイ左に打った
残250yと飛ばした
洋子が内野に
「凄いわ ここでドライバーを使うなんて」
「ええ 1番2番と左に行っているんで ここは少し冒険でしたね」
「頑張ってね」
洋子はスプーンで手堅く打ってグリーン手前50yに付けた
神山もスプーンを使ってグリーン手前40yに飛ばしてきた
高橋は力んで左のラフに入れてしまい残100yとした
一番飛んでいる内野は素晴らしく綺麗な弾道でグリーン手前30yと
飛ばした
このホールは神山が3オン3パットのボギー洋子が4オン2パットの
ボギー高橋が4オン3パットのダブルボギー 内野が3オン3パットの
ボギーとなった
4H,5Hは全員がボギーで6Hに向った
6Hの手前に売店があり飲料水やタバコ チョコレートなどがあり
神山は2人のキャディーにチョコレートを上げた
4人がビールを呑み6Hのティーグランドへ向った
6Hは165y Par3 打ち下ろしの谷越え
神山は5番アイアンでまっすぐに飛びワンオンした
「ナイスオン」
と言われ ピンまで15y
洋子はクリークを使った やはりワンオンしピンまで18y
内野は5番で打ったが左にこぼしピンまで25y
高橋も5番で打ち右のガードバンカーに転んだ
内野は体勢が良くなく左足を随分と上げる格好で打ち2オンしたが
ピンまで25y残 高橋はバンカーショットで上手に2オンしたが
下りでピンまで4yと微妙な距離を残した
洋子はフックラインを読みカップ30cmでパーで上がった
神山もフックラインを読みカップ50cmでパーで上がった
内野は2パットでボギーで上がった
高橋はスライスラインを読み見事に4yを入れボギーにした
7Hに行く時に洋子や高橋 内野から
「山ちゃん 今日凄いスコアじゃない まだ2オーバーだよ
どうなっているの」
「うん 風が無ければこのコースは簡単だと思うよ
力まず 打てばそんな変な所にいかないしね」
「このまんまだと30台も出るよきっと」
「そうよ 力まずに頑張ってね」
「うん ありがとう」
この誉め言葉が良くなかった






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2013年2月17日日曜日

薔薇 2 - 27 Vol. 1



4月26日 日曜日 ゴテンバ グランド イン 夜
神山と洋子がグランドフロアに行くと高橋と内野はまだ来ていなかった
今日する仕事内容を洋子に説明をしていると
高橋と内野がエレベータから降りてきて高橋が
「済みません 遅くなりまして これから準備に取り掛かります」
「分りました それまでちょっと失礼する」
内野がきょとんとしていると高橋が
「な 早いんだよ 山ちゃんは わかった?」
「はい 今後気を付けます」
高橋と内野は車に向かって材料などを取りに行った

一方神山と洋子は3Fショッピングモール
ブティック「モテリコ」へ入った
神山が
「何か ほしいのある?」
「えっ なんで」
「お仕事さ」
「うん わかったわ そうしたらこれがいいな」
洋子が選んだのは 小さいダイヤが入ったペンダントトップだった
値段が160万円したがいいだろうと思い
「このレベルで大丈夫かな」
「ええ 余り大きすぎないし かといって小さくも無いわ
ダイヤの大きさは戦略構想に一番だと思うわ」
「そうしたら チェーンは持っている」
「そうね でも一緒に買うわね」
洋子は普通より少し大きい目なチェーンを手にとり
「これだったら 合うと思うわ」
神山は店員にここのカードを見せ2点の金額を聞いた
「いつもご利用ありがとうございます」
暫く計算をして
「神山様 ペンダントは40%OFFにさせて頂きまして 96万円
チェーンが半額で丁度100万円で如何でしょうか」
「うん ありがとうございます」
そう言い神山が清算し 商品は今使うのでそのまま受け取った
早速洋子は付け鏡を見ると喜んだ
「うん 素敵だ 顔が映える よかったよ」
「ありがとうございます こういうの欲しかったの でもね」
「よし 下の二人が気がつくか楽しみだね」
「しかし安くなるわね 驚いたわ」
神山は隣りのランファンショップに連れて行った
「さあ 今度は僕の為に どきどきするのを買おう」
「まあ いやらしい でもいいわ 貴方が喜ぶなら」
洋子は店内を色々と見まわしてシルクでレースの付いたショーツと
それに合うキャミソールを買った 
神山がその他に シルクレースのショーツを3枚買って渡した
「こんなにいいの?」
「うん ショーツは何枚有ってもいいだろうしゴミにはならないさ」
「そうね うれしいわ だけど母がみたら驚いて失神するわ」
二人は顔をみて笑った

グランドフロアにつくと準備が出来ていた
「遅くなりました」
高橋と内野は
「今 出来たとこです では始めましょうか」
高橋と内野はサインプレートを慎重に運び 柱には取り付け金物が
付いていて固定するだけだった サインが付くと支配人の
椿が寄って来て神山に
「素晴らしく 綺麗でいいですね ここにぴったりですね」
「そうですね 色が素敵でこのホテルとバランスが取れていていいです」
洋子は取り付けている時の模様をデジカメで撮影し終ると
神山が呼んで椿に紹介した
「椿さん 遅くなって済みません こんど私の秘書になってもらった
田所さんです」
「始めまして 田所と申します 宜しくお願いします」
「ありがとうございます 私はここの総支配人 椿です
神山さんには何時もお世話になっています 
こちらこそ宜しくお願いします」 
サイン工事をしている高橋から 
「山ちゃん ここを押さえて貰いたいんだ お願い」
「はい 了解」
1枚目のサインプレートは3人がかりで取り付けられた
取り付けたあと 高橋と内野は少しさがって見て
「うん 高さも充分に有るしOKだね」
「ええ 入り口からも良く見えますよ」
高橋と内野は神山に
「決まりですね」
「うん 大丈夫ですね」
そう言い 神山はプレートを弄ったが全然びくとも動かなかった
「そうしたら 次は高いから気を付けてね 洋子さん この階段周りで
お客さんの安全確保をお願いね」
「は~い 分りました」
洋子はペンダントを付けた嬉しさかうきうきしていた
神山が脚立を支え高橋が脚立に昇り内野がサインプレートを持ち上げた
高橋が上で受けとると 壁に仮止めをして降りてきた
内野が水平レベルを出す為にプレートへ印をつけたところに
水平器をあてて高橋がレベル調整をした
神山がプレートを押さえて高橋と内野は固定していった
また高橋が脚立に昇りプレート上部を固定した
すべて終ると神山が先ほどと同じ様に下から押し上げたり動かしたが
動かなかった 
次のサインプレートも同じ工程で取り付けられた
全てが終ったところで高橋が椿に
「取り付けが完了しました 点検をお願いします」
椿はプレートを自分で触ったり 叩いたりと色々と安全面を
考えていたがすべてOKだった
「はい 大丈夫です」
「はい ありがとうございます それで表示内容の変更とか
発生しましたら遠慮なく内藤なり私どもへご連絡ください」
「はい 分りました ありがとうございます」
全員でお辞儀をして挨拶をした
洋子は全体の写真と各プレートを撮影していた
神山は時計を見ると18時30分になっていた
高橋と内野は道具を片付け車に運んでいたので神山も一緒に手伝った
戻ってみると洋子と亜矢子がモップで床を綺麗にしていた
二人を見ていると同じプロポーションでよく観察すると
顔の作りも似ていた 高橋と内野が神山に
「双子みたいですね そっくりじゃないですか」
神山が
「しかし 似ているね びっくりした 二人とも美人だしうん」
「山ちゃん 大丈夫 さあいきましょう」
神山がみんなをティーサロン前に集め
「ありがとうございました 桜川さんに掃除まで手伝って頂いて
ありがとうございます で 19時30分に 山側3Fのステーキで
落ち合いましょう 桜川さん4名で予約できますか」
「はい 出来ます 今確認しますね」
亜矢子はインカムを利用して連絡をとり
「大丈夫です 予約を入れさせて頂きました」
「と 言う事ですから 時間厳守です ありがとうございました」
神山たちは4人でエレベーターに乗り部屋に向かった
最上階の7階に着くと二手に分かれ
「山ちゃん では現地で」
「了解です」

各自部屋に戻った
洋子がドアを閉めると直ぐに抱きついて来た
「あ~ 気持ちいいわ こうしているだけでも」 
「わかったから 苦しいよ 先に頭を洗いたいな」
「ええ 私もシャンプーしようっと」
神山は先に脱ぎ始めジャケットをクローゼットにしまい
Gパンを脱ぎ捨てていると洋子が後ろから大事なところを触ってきた
「洋子今はだめだよ」
「いいの こやっていると ほら大きくなってきたでしょ」
洋子が言うように大きく硬くなってきて肉棒は上を向いていた
神山はわざと洋子に向き パンツを下げると肉棒がぶるんを上を向いた
「さあ 入ろう」 
神山は先にシャワーを簡単に浴びていると洋子が入ってきた
「あら もう洗ったの 私楽しみにしていたのに」
「うん お願い洗ってくれる」
洋子はニコニコしながら神山に近づき後ろに廻って
「じゃあ 背中から洗うわね」
洋子はボディーソープを良く薄めて神山の背中に塗って
自分の乳房を押し付けてきた
「ふぁ~きもちがいいな 弾力があって ぷりぷりして」
洋子の手は神山の肉棒を握っていた
神山は気持ちよくなり
「ねぇ だめだよ 出ちゃうよ」
「って事は気持ちいいんだ ふぅ ふぅ」
洋子は どんどんと大きく硬くなる肉棒をさらにしごいた
まだ2回目なのに回転させたり根本をきつく握ったり
色々と変化をつけ攻撃してきた
神山は我慢できずに
「洋子 頼むから辞めてくれ 出る」
「いいわよ 出して」
そう言いながら洋子は手の動きを早くした
神山は堪えきれずに発射してしまった
洋子が
「どうだった 気持ちよかった?」
「うん だけどなんでまた」
「色々と研究したのよ よかったわ貴方に喜んでもらえて」
「よし では今度は僕の番だ」
そう言って洋子の体をボディーシャンプーで優しくなでていると
少し喘いできたので 乳首を優しく触ったりつねったりした
神山の硬くなっている肉棒で 洋子のお尻に押し付けた
「ああ あ 気持ちいわ 素敵」
洋子は上ずった声で神山に言ってきた 
秘所をまさぐると躰を動かし始め そのうちに腰を振ってきた
神山は更にクリトリスを責めると躰を前かがみにしながら
「あっ だめっ いきそうよ ねえったら 」
相当感じているのだろう ぬめりのある体液が溢れ出てきた
「ねえ~ 本当にだめ~ 欲しくなるでしょ」
「さっき僕がこんな状態だった」
「あっ あっあ うっ うっ~」
「気持ちいいんだ そうでしょ」
「そ・う い い うっ う」
「欲しかったら ほらそうしたら元気君に手を添えて」
そう聞いて洋子の手が神山の肉棒を掴み動かし始めた
神山はすぐに硬く逞しくなり そのまま洋子の中に入った
洋子は縁に手をついて腰を前後に激しく振った
「どうしたの洋子 そんなに早くては直ぐにいってしまうよ」
「いいわよ あなた 早くちょうだい きて」
喘ぎながら洋子は昇天したが直ぐに又 腰を振ってきた
神山も洋子の動きに負けない力強さでピストン運動をした
根本まで入ると洋子はときどき頭をそらせて喘いでいた
「ねえ 今日は凄く感じるの もっと奥までいれて」
神山は根元の更に根元まで突き入れると
洋子は躰全体で絞り出すような声をだし昇天してしまった
神山も洋子に合わせ発射した
「ねぇ 来ているわ あ・な・た・が、、、あっ うっ」
結びついたまま 体を入れ替え神山が下になりそのまま余韻を楽しんだ
一息つくと神山と洋子は浴槽につかった
「ここのって 広くて大きいわね 嬉しいわ」
「こんなに大きいと本当にお風呂に入った感じだね」
「ええ 代々木の部屋も大きかったけど負けるわね」
二人はわらった

「このお部屋スイートでしょ なのに何故ツインなのかしら
あっ そうか私たちだけね知っているのは そうよね」
「うん 逆にダブルなんて事になると怒られる場合があるし」
「うん 女性は男性と同じ部屋で泊まる時はそれなりの覚悟は
出来ているはずよ だからお部屋に入って揉める事は無いと思うわ」 
「そうなんだ まあ考えてみればそうだよね」
洋子は一回昇天したので今は落ち着いていた
「さあ 今度は髪を洗ってあげる」
そう言って洋子を洗い場に呼び座らせるとシャワーで髪をぬらし
シャンプーを付け洗っていると洋子が神山のおちんちんを
触り始めてきた
神山はわざと触りやすい位置にかえると 顔を少し上に目を瞑って
おちんちんをおしゃぶりし始めた
「うぐぅ うぐぅ ねぇ 硬くなってきたわ 貴方の頂戴」
そう言って口と手で肉棒をしごいた 神山はまだ充分でないので
我慢していた
「さあ 流すから離して」
「は~い 分りました つまんないの でないよ」
「水道と違って 捻れば出るもんじゃないよ ほらいいかい」
「ええ 瞑ったわ」
神山はお湯が耳の中に入らないように手のひらでカバーしながら洗った
洋子は気持ち良かったのかさっぱりとして
「さあ 次は貴方の番よ ここに首を置いて寝てね」
洋子は浴槽の縁に神山の首を凭れ掛かるようにしてシャワーで髪を濡らし
シャンプーを付けた
洋子は神山の口に自分の秘所をあてがい髪の毛を洗っていった 
時々喘ぎ声が聞こえたが目は開けなかった
洋子の髪の毛を洗う手が一本になったと思うと もう一本は肉棒を
マッサージしにきた
神山はクリトリスを舐めたり優しく噛んでいると洋子の腰が前後に
動き始め喘ぎ声も大きくなってきた
神山は 手を使って乳首をつねったりするとねばねばした洋子の
体液が一気に溢れてきた 神山の口の周りはべとべとになった
瞬くすると洋子は立ち上がり
「さあ 今度は流しますよ 目を瞑っててね」
神山は頷くシャワーでシャンプーを流した
綺麗になると洋子がタオルで顔を拭いてくれた
「気持ちよかった?」
「うん 上も下も はじめてだよ」
「ほんと うれしいわ」

神山と洋子はタオルで躰を良く拭いて浴衣を着てソファーに座った
部屋の時計を見ると19時を廻っていた
「ねぇ洋子 先ほどの伝票をつくろう」
「ええ ちょっとまって」 
洋子は手帳を持ってきて
「私が書きます 貴方は見ていて」
「はい了解です」
と 言って神山は冷蔵庫から地ビールを出して洋子に渡した
「ありがとう なんで判るの あと少し遅かったら
私が冷蔵庫から地ビールを出していたわ ふしぎ それから
デジカメの写真を見てください 色々教えてね」
神山はテーブルに置いてあるデジカメのスイッチをONにして再生した
「なんだ~ これ~」
洋子は
「あっ 消すの忘れた 見ないで」
「だめだ 見たから 説明がないと削除できない」
「じゃあ 当てて」
「だから なんだか 生き物かな 水が付いて光っているようだし
なんだろう 牛肉のたたきの色なんだよな 美味しそうな
ピンクだけど この周りが黒ずんでいる わかった」
「わかった? ほんと?」
「うん これは牛肉のたたきを接写で撮影したカットだ ここがそうだ」
「ば~か 知らないもう」
「だってこのピンクは牛肉そのものだよ そしてまわりの黒ずみも」
「、、、」 
「なっ そうでしょ 当ったから悔しいんでしょ」
「あそこを撮ったの」
「何 あそこって、、、えっ あそこ、、、ほんと」
「ば~か 知らない さっき見たでしょ ば~か」
「、、、しかしなんでまた」
「だって接写が5cmと書いてあったから 撮ったの」
「だから なんで あそこなの」
「、、、初めてだったから どうなっているか判らないでしょ
誰かに聞くわけ出来ないし だって あそこにあれからまだずーっと
貴方が入っているの 可笑しいでしょ だから自分で撮ったの」
「そうか ごめんなさい しかし大丈夫だろ 今は」
「ええ ぜんぜん まだ残っているけど 感度良好よ」

洋子は笑顔で話し伝票を作っていった
神山は又 見たが笑ってしまい 次の写真を見ていった
小田原工場の昼食風景 高橋と内野の拡大写真
次長室建具や什器の写真 ゴテンバ グランド インの写真と
極め細やかに撮影していた
一通り見終わった時に洋子が
「ねぇ この分は私が持っている分で支払いましょう」
「うん 大体だけど 25万円かな」
「はい 分りました」
「それで 今 残高は」
「ええ 470万で今回100万持って来ています」
「分った そしたら そこから出しておいて お願いします」
「はい 分りました 全部記入終了 やったー早いでしょ」
「えっ 早いや 凄いね ありがとう ところでね 今日 内藤社長から
代々木の支度金500万貰った覚えおいて」
「内藤社長から 凄いわね だけどまだ買うのが有るし 
そうすると 1千万は有る訳ですね」
「うん 今後の事を考えると分らないけど 有効活用をしよう
すぐに洋子にニーナ・ニーナの事務服関係が出て行くし
まあ がつがつしないで 有効活用しましょう」
洋子は無いよりあった方が言いといって神山にキスをした
「そうしたら桜川さんに頼もう 内線7200でお願いして」
洋子はお届け伝票が書き上がったのでお願いしますといった
暫くすると亜矢子が部屋をノックし洋子がドアを開けた
亜矢子が洋子の浴衣姿を見て
「まあ 素敵 和風も良くお似合いですよ」
「ありがとう 桜川さんもきっとお似合いだと思うわ」
二人はまんざら社交辞令でもなさそうな雰囲気だった
洋子が伝票の説明をし終ると亜矢子が先ほどの手紙を見せてくれた
それは筆で書かれた達筆な文字で神山は
「ふぁ~ 綺麗な字ですね うん ありがとうございます」
洋子も
「素晴らしいわ ありがとうございます 桜川さんがお書きになられたの?」
「ええ 何とか書かせて頂きました 良かったですお気に召して頂きまして」 
「それで 合計はお幾らかしら」
「はい 少々お待ちくださいませ」
亜矢子は電卓で計算して 
「286300円です」
「はい 分りました」
洋子は財布から 29万円出して お釣りを貰った 神山が
「済まないけど 日本酒 一升瓶2本と地ビール3ケースを明日
車に積み込む事は出来ますか?」
「ええ 直ぐに積み込めるよう手配いたします」
「そうしたらその分を今お支払いします」
「ハイ 52000円です」
洋子は財布からお金を出して亜矢子に渡した
「ありがとうございます 領収書は明日商品につけて置きます」
「どうもありがとう 助かります それで届くのは 28日でいいのかな」
「ええ 28日に届きます」
「ありがとう」
「では失礼致します」
亜矢子は丁寧にお辞儀をして出て行った
洋子が神山に
「桜川さんって 素敵な女性ね いつ見てもさっきも言ったけど」
「うん 素敵な女性だね」
「ねぇ 追加した分はどうするの?」
「うん あれは悪いけど代々木だ リラックスの為に買った
もちろんリラックスするのは僕だけじゃないけどね」
「やだ 変な言い方して 嫌い もう」
部屋の時計を見てみると7時20分を差していた
神山は少し気になり 7200番を廻した
直ぐに亜矢子がでて
「神山様 どうされましたか」
「うん ここの宿泊代とか ワインなんかはどうなっていますか
って言うのもワインを呑むと思うんです あまり椿さんに甘えてばかり
いられないからお聴きしたんですが」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい」
「いいのかな でもご好意だから分りました ありがとうございます」
「はい 失礼致します」
神山は電話を切って洋子に
「ここの素泊まりで2万円だよ それプラス食事だもんな」
「大丈夫でしょ ここ大きいし 経営がしっかりしているわ」
「えっ どうして」 
「うん 色々と調べるのが好きだから Webで会社内容を調べたわ
そしたら堅実経営ね リゾートでしっかり会員を抱えているし」
「ほう 凄いね よく調べた よしではいこう」

神山と洋子は部屋を出て山側3階のステーキに行った
入って見ると高橋と内野が先に来てビールを呑んでいた
「ごめんごめん 遅くなりまして済みません」
「ええ 遅いです もう3本目です 美味しいですね」
今夜はカウンターではなくテーブル席だった
神山と洋子が座ると地ビールが出てきてまずは皆で乾杯した
「山ちゃん 僕は幸せだよ 上原はさっき何も無いってね それで
ここの現場は早く終るし 山ちゃんと仕事していると幸せだよ」
「そうですよ だって8時に終って食事より全然違いますからね
まあ 一杯 ぐっと空けて」
神山は地ビールを呑んだが 直ぐに
「誠二君 僕はここのワインを呑みたいからこれが最後ね ありがとう」
「そうか 地ビールだとおなか一杯になりますよね 分りました」
そんな話しをしていると魚介類の鉄板焼きが出てきた
神山はワインを注文しチェイサーも洋子の分と一緒に頼んだ
「出来れば クーラーBOXにアイスを入れてもらうとありがたい」
ウエイトレスは早速ワインクーラー準備してくれた
神山はワインをグラスに注ぎ改めて味を吟味した
やはりミディアムボディーのワインだった
隣りの洋子に言うと
「ええ 神山さんの言う通りだと思います 青山と同じ感じですね」
「うん あといい忘れたけど ここのお肉は美味しい そうだ」
神山はウエイトレスを呼んで今日頂くお肉より美味しいお勧めはあるのか
と聞くとウエイトレスがコック長に聞きに言った
コック長が自ら神山のところに来て
「ある事は有りますが はっきり申し上げますと このワインでは
味わえません」
「分りました そのお肉を2人前4皿 それに合うワインをボトルで
1本お願いします 勿論別料金でお願いします」 
「はい 畏まりました それではサイコロステーキをお出しする時に
一緒に運ばせて頂きます ありがとうございます」
神山と洋子は顔を見合わせ 
「また 何か解き明かされるかもね」
「ええ 私もうきうきしています」
高橋と内野はなにを話しているのか分らないと言ったので
神山はお肉にも高橋と内野の性格が違うように違うと言うと
「お肉はお肉です そうかな」
「うん まあ運ばれてきたら違いが分るかな」
4人で牛肉の話しで盛り上がったがやはり明日のゴルフが主役だった
「へぇ~ 田所さん2回もホールインワン出したんですか
これでは勝負になりませんよ ねえ 山ちゃん」
「うん しかし彼女は心優しい女性だ そこらへんは手加減してくれるよ」
「ええ 手加減出来ない時が多いです それでバーディーです」
「山ちゃん もういい加減にしてよ プレーする前から負けてるよ」
内野も
「田所さん ぼくはまだか弱いんです 苛めないで下さい」
「ええ でもか弱い時にしっかりと叩き込まないと神山さんのように
りっぱな人間にならないわよ だから明日はびしびし行きましょうね」
「ねぇ 神山さん ぼく 初めてです こんなに落ち込んだの」
みんな大笑いだった

魚介類も食べ野菜類も食べいよいよ牛肉の出番がきた時に
新しいワインが運ばれてきた 神山は早速グラスに注ぎワインをなめた
今まで呑んでいたのと違い若くてフルーティーだった
洋子に確認したら同じ事を言った
高橋と内野も神山がした事と同じ様にワインを呑み
「うん このワインの方がフルーティーだ」
と言い 呑んでいた 間もなくサイコロステーキとお勧めのステーキが
テーブルに運ばれてきた
神山は最初にサイコロステーキを食べワインを舐めもう一度
サイコロステーキを食べた チェイーサーで口の中をさっぱりさせ
若いワインをなめ お勧めステーキを食べてまた若いワインを舐めた
そしてお勧めステーキを食べた 
神山は何かが違うと感じていた 洋子を見るとやはり考えている
ためしに若いワインをなめサイコロステーキを食べてみると
若いワインの味が勝りおやっと思った
では逆にお勧めステーキを食べてワインを呑むと牛肉の味が勝っていた
そうするとワインの味と牛肉の相性かと思った
神山はコック長に
「こちらのお勧めステーキの方が仕入れ値段が高いですよね」
「ええ そうです」
「倍くらい違うんじゃないですか?」
「ええ よくお分りになられましたね 仰られるように全然違う肉です」
「そうすると このお勧めステーキは牛肉が持っている味が濃い訳ですね」
「ええ すごいですね その通りです」
「だから 味を飽きさせない為にフルーティーなワインで口を
さっぱりすると そんな感じですかね」
「ええ その通りですよ いい牛肉は味が濃厚です そこで言われたように
味を継続させるのにマイルドなワインよりフルーティーなワインが
合います 一般的には しかし牛肉の味をより好まれる方のワインは
マイルドなミディアムボディーなど あとはヘビーボディーなワインでも
濃厚なワインがあります そのワインで召し上がる方もいらっしゃいます」
「ありがとうございます 少し勉強になりました それと別料金は
ここでお支払いしますので伝票をお願いします」
「はい ありがとうございます しかしそうやって食べて頂くと
大変嬉しいです」
「いえこちらこそ」
神山と洋子はなるほどと思い もう一度食べてみた
やはりお勧めステーキのほうが美味しかった
高橋と内野は訳が分らなかったが神山がコック長と話をしている
内容と照らし合わせながら食べると神山の言っている通りだった






.

2013年2月12日火曜日

薔薇 1 - 26 Vol. 3



「そんな事無いよ 今まで通りさ」
神山は外に居る筒井に今朝の祥子の状況と自分がしかった事
祥子が筒井に何かを相談するという事を簡単に説明した
「多分 これで 一件落着だと思うけど 来たら聞きます
どうも 本当にありがとうございます」

時間は10時になっていた 神山の携帯がなった
「はい 神山ですが」
「内藤です おはようございます」
「おはようございます 昨夜は遅くに失礼しました」
「いえ とんでもないです ところで代々木ですがOKです」
「ありがとうございます よかったです」
「それで 今日上原に行きます そのときに自動ドアのカードを渡します」
「ありがとうございます 助かります」
「それで足りました?」
「ええ ぎりぎりでした 配達は27日の18時でお願いしてます」
「わかりました そうですね11時のオープンには間に合うよう行きます」
「はい お待ちしています」
神山が高橋に
「内藤社長が11時に来られると連絡があったよ」
「よかったですね オープンに間に合って」
「うん」
神山は鈴やの秘書課に電話した
「神山ですが お疲れ様です」
「あら神山さん お元気ですか みんな寂しがっているわよ」
「はい 落ち着いたら店長のお顔を拝見しに伺いますが
店長は上原に何時頃お見えになられるんでしょうか」
「ええ 11時でしょ 間に合うように伺いますよ
そうそう お土産ありがとうごさいます 美味しかったわ」
「ええ 少し休んでいなかったので温泉に行きました」
「まあ でも元気そうね がんばってね」
「ハイありがとうございます」
神山は電話を切ると催事課に電話した
「神山です」
「あっ 先輩 こんにちわ どうですか上原は」
「うん何事も無く順調だよ 課長は」
「ハイ 替わりますね 課長 神山部長からです」
「うん やあ山ちゃん どう上原は」
「ええ何も無しです ところで11時のオープンには
何方が来られますか」
「うん 倉さんが行ってくれる」
「分りました 筒井さんが居るから大丈夫ですね
それと祝賀会大変ですね」
「うん 一応出来たよ それで山ちゃんの3社も来て頂くことでOKです」
「ありがとうございます また何かあったら電話ください 
済みません 翔をお願いします」
「翔 山ちゃんだ」
「違うでしょ 課長 神山部長でしょ  悪い悪いそうだな」
「はい翔です」
「うん ぼくの机の後ろに荷物があるだろう」
「ええ 山積みになってますが」  
「その中に ビトロのボストンは分る?」
「ええ すぐに分りますよ こんなに高いの買って良いですね」
「仕事だよ わかった そうしたらそのバッグだけ除いて
あとは紐でくくっておいてほしいんだ お願い 頼みます」
「ええ 紐で縛っておけば良いですね」
「うん 頼みます」
「はい 了解です」
神山は電話を切ると 洋子に電話をした
「神山です こんにちわ」
「洋子です お疲れ様です」
「ねェ 洋子はバッグはビトロにするの」
「ええ折角だから そうしますが」
「そうしたら 催事課へ行ってもらって 僕の机の後ろにバッグが
あります それをもってきてほしいんだ」
「はい 分りました 上原はどうですか」
「うん ありがとう 何事も無く進んでいます」
「よかったわ では自宅を出るときに電話をします」
「うん それと ガソリンを満タンにしておいて
一応満タンで来ているはずだけど お願いします」
「はい 分りました」

神山が電話を切ると内藤社長夫妻が来ていた
気がつき挨拶をすると 内藤が呼んで
「はい カードキー 暗証番号は山ちゃんの社員番号6桁です
それと これ支度金 使って」
そう言って 茶封筒を渡された神山は
「ありがとうございます 大事に使わせて頂きます」
「はい それでマンションは会社名義で借りますが 
郵送物関係で xxx号 神山でOKと言われました」
「何から何までありがとうございます
アレックスグループの時に頑張ります」
「ええ お願いします」
「アレックス氏と会うのはいつですか」
「えっ なんで極秘事項を知っているの?」
「ええ 今はちょっと」
「内緒です 30日の辞令交付後です」
「分りました ありがとうございます」
「この話は最高機密です お願いします」
「大丈夫です 僕にとっても、、、、まあ 明日頑張ります」
「どう クラブ 大丈夫?」
「ええ バランスが僕にピッタリです ただ調子良すぎると
スコアが悪くなるみたいなので気を付けます」
「うん あそこはピンポイントで責めれば大丈夫だよ」
「はい ありがとうございます」
神山はお辞儀をすると 内藤真奈美に挨拶をした
「本当は一緒に行きたかったの 残念ね 今度ご一緒させて」
「はいありがとうございます 教えてください お願いします」
「はい 色々とね」
内藤真奈美と挨拶を終ると次々偉い人がきた
神山は祥子のところに行き
「ねえ 鍵が閉まる引出しはある」
「ええ あるけど なにか?」
「うん 少しの間預かってもらいたい」
わかったと言って事務所の机に鍵が掛かる引出しがありそこに預けた
「鍵は祥子だけ 持っているのは?」
「ええ そうよ 滅多に空けないからお貸ししましょうか」
「うん ありがたい」

そろそろ11時か皆集まってきた
神山は写真を撮ってあげれば喜ぶと思って 駅に駆け足で買いに行った
コンパクトカメラだが ないよりましだった
そろそろ11時になった 何処から用意したのかマイクとスピーカーが
入り口前にセットされた
周りを見ると池上店長や倉元も来ていた
11時になると マイクの前に筒井が立って 女性社員は筒井の後ろに
整列していた
筒井の挨拶が始まった 神山はみんなで並んでいるカットを3枚
筒井の写真など撮影した 
挨拶が終ると道路に溢れている関係者や招待客から拍手が沸いた
客が店舗内に入ると入りきれなかった 神山が筒井に
「入場制限しないと危険です 私も手伝います 大至急しましょう」
「うん わかった やろう」
筒井が 後から入ろうとしている招待客を駅と反対方向へ3列で
並べた それでも他のお店まで行ってしまい 神山は迷惑の
掛かっている店主に謝って廻った 知らない間に倉元や池上店長も
人員整理をはじめていた 神山は催事課の奥村課長に電話をして
事情を説明し杉田を大至急応援に来て欲しい事を伝えると
直ぐに行かせると返事を貰った その事を筒井に話をした
神山はここまで招待客が来るとは思わなかった
最後尾を確認すると少しづつだが伸びていた
神山は筒井に一回のお買い物時間は30分で客を総入れ替えに
しないと後ろが伸びているので苦情になると進言した
筒井は直ぐにここのお客様は11時30分で一回出て頂きます
お店の外にまだ並ばれています 再度お買い物される方は
列にお並びくださいと アナウンスした
神山は客がどんどん伸び迷惑のかかる他のお店の店主に 謝って廻った
あとは商品が持つか この調子だとすぐになくなりそうだった
神山はバックヤードに行くと祥子がダンボールの開梱作業をしていたので
手伝い 商品を店に出すよう指示した
筒井がマイクを持って11時30分になったから入れ替えですと言って
招待客の総入れ替えをした 店舗から出た客は半分位が列の後ろに並んだ 
そこへ翔が応援で駆けつけてくれた
「先輩 なんですか バーゲンじゃないですよね」
「うん そうだよ それと翔 これお駄賃だ」
神山は翔に5千円あげた
「今後ろで池上店長が整理されているから 挨拶をして替わってくれ」
「はい 分りました」

神山は少し余裕が出来なにが出ているか観察すると
平均して売れているように見えた
池上店長が
「山ちゃん凄いな しかし的確な判断だったな」
「あっ 店長ありがとうございます 済みません私のミスです
考えていませんでした 申し訳ございません」
「うん どうだね 回転は」
「ええ 今観察しましたが平均に出ています」
「う~ん わかんないな 安い訳じゃないだろ なのに分んない」
「ええ 世界七不思議が一つ増えました しかしこの購買力だと
あと1時間持つかどうかです バックヤードはありません 
かといって この混雑に商品を搬入する事は不可能です
そうだ 銀座店に廻す方法があれば なんとかなるかな
どうでしょうか ここで完売になった後銀座店に廻す事は」
「うん 筒井君に聞いてみよう しかし車はどうする」
「ハイ 今当ります」
「うん頼んだよ」
神山は上野店流通センターに電話をした
「神山です ご無沙汰しています」
「おお山ちゃん元気か まだ早いがおめでとうございます すごいな
おれを追い抜いて ところで何か」
「ええ マイクロ2台3時間位でいいんですが貸してもらえませんか」
「どうしたの」
神山は上原の現状を説明し池上店長もご存知ですと伝えると
「分ったわ 高いぞ」
「ええ ニーナ・ニーナの筒井さんに廻してください」 
「そうすると 多少のピストンだね」
「ええ 2,3回で済むと思います」
話をしているところへ池上店長がOKサインを出した
「今 池上店長と筒井副社長の話が纏まりました お願いします」
「うん分った 場所は代々木上原駅だね」
「ハイ 国道から入るとすぐです 駅に入る道が2本ありますが
国道に駅名が出たら曲がって直ぐです」
「ありがとうございます わかりやすい 30分位掛かるが いいかな」
「ええ それより12時30分に来て頂くと良いですね お願いします」
「はい 山ちゃんのお願いじゃ断れないよ では」
神山は池上店長に上野の流通センターからマイクロバス25人乗り
2台を3時間借りた事を報告した
「わかった 筒井君に話してくれ」
神山は筒井を探し マイクロバスの件を話した
「山ちゃん 本当に何から何までありがとうございます」
「しかし 請求書は来ると思いますよ」 
「うん ありがとうございます」
そろそろ12時になったのか 筒井がマイクを持って総入れ替えの事を
アナウンスし始めた
神山は一息つく為に皆に見えない路地に入ると高橋がいて
「すごいね バーゲンじゃないのに それにしてもさすがだね山ちゃん
改めて ほれなおした」
神山はタバコを吸いながら
「だってあのまま営業していたらゴルフどころじゃないでしょ
棚板ガラスが割れたとか人が転んで什器を壊すとかねえ」
「ん まあ そこまで考えたの 客の事だけではなく」
「はっきり言って 客は後です 什器が先です 仕事終ろうよって」
「まいった 池上店長さんは客だと言っていたよ よくやったって」
「ははは それでしたら そうしましょうね」
神山はタバコが美味しかった
朝 むしゃくしゃしたのが晴れた気がした
「ところで内藤社長は」 
「うん この人ごみでは選べないと言って帰りました」
「そうだね 後日来て頂くしかないか これじゃあ出来の良し悪しも
判らないしね」
「うん そうそう」
神山はタバコを吸ったので路地を出ようとすると倉元が入ってきた
「山ちゃん 素早い判断で皆を救ったな おめでとう 感服した」
「ありがとうございます 嬉しいです では戻ります」

神山は店舗の前に行くと列の後ろが伸びていないので
ピストンは一回で済むかなと思った
中の商品はどんどん無くなって行った
しかしこんな売上だとアンテナショップとしての資料が出来ないと思った
神山は筒井に次の現場があるので13時少し前にアルタの
高橋とここを離れる事を伝えた
筒井は何回もありがとうございますと繰り返していた
マイクロバスが来て12時30分の総入れ替えが始まったが
筒井は 銀座店にいかれるお客様にマイクロバスを用意した旨の
アナウンスをすると店舗から出てきた客は列の後ろに行かないで
マイクロバスに乗車した マイクロバスは満員で発車していった
その光景を見ていた池上店長が神山に
「山ちゃん これ少ないが ワシの気持ちです 納めてくれ」
「そんな いいですよ店長 その分を今夜催事課で寿司の方が
よろこびますよ そうしてください お願いします」
「うん 分ったわ 山ちゃんも参加するだろ」
「済みません 次の現場がありまして もう直ぐ離れます
筒井さんにも話してあります」 
「そうか 分った」
「出来れば ニーナ・ニーナのお嬢様たちにどうですか」
「そうだな そうしよう」
「いつもお気に掛けてくださいましてありがとうございます」
「うん ではがんばってな」
「はい ありがとうございます」
しばらくすると洋子から電話があった
「今出ました お願いします」
「はい了解」
「あなた 又 凄い事されましたね 銀座店では大騒ぎよ」
「ありがとうございます では待っています」
神山はアルタの高橋に車の件を伝えると筒井に挨拶をしてでた
まだある列の後ろで翔が頑張っているので
「頼んだよ そしてここが終っても 筒井副社長の所に行って
きちんとお手伝いをするんだ 判ったね」
「はい 分りました 神山部長」
神山はポケットに手を入れると鍵が出てきて思い出した
店舗内のバックヤードに行き茶封筒を取り出し鍵を祥子に返した
「よかったね 来ないよりは」
「ほんとありがとうございます 何から何まで 助かったわ」
「僕は明日帰ってくるが遅くなる」
「えっ どこに行くの」
「ゴテンバ グランド インの仕事 前に話をしたよ」
「ごめんなさい 忘れていました 済みませんでした
気を付けてね」
「うん アルタも居なくなる 筒井さんに話はしてある 頑張って」
神山はお待たせと言ってマンションへ向かった
マンションに着く洋子と内野誠二はすでに来ていた
神山は洋子からバッグを受け取り 部屋に戻り 今朝用意した
バッグの中身を全部入れ替えた 
内藤社長から貰った茶封筒を開けてみると500万円入っていた
一応 カメラバッグに入れ 所持金を100万円にしてバッグを担いで
駐車場についた
「ごめん 遅くなりました」
内野が運転する事になり高橋が前で 後ろに神山と洋子が座った  
駐車場を出た車は高速に入るまで幾つかの信号があるが
今日は全然止らずに進みスムースに高速に入った
内野が
「田所さん 運転しにくいですね この車」
「ええ 変な癖がついていて 2速から3速が一番酷いわね」
「えっ 済みません 僕はそこまでわかりません」
車の中は大笑いだった
神山は洋子に
「ねぇ ガスはどうでした」 
「ええ 満タンでした」
「よかった ありがとうございます」
神山は高橋と内野に聞こえないよう小声で
「内藤社長にアレックス氏の来日を聞いたのね 30日だって
辞令交付のあと会う予定です
ところが なんでアレックス氏の来日を知っているんだと
不思議がっていた だから色々と情報は集めています
そうしたら これは社内でも最高機密なので内緒ですって」
「そうすると Jrも知らない可能性があるわけね」
「うん そうだ」
「ねぇ 30日にJrも来ると面白いわね ひょとすると
アレックスジャパンが面白くなるわね」
「うん」
神山はPCで調べプリントアウトしたものを洋子に見せた
洋子は
「わぁ~ 凄い ここまで調べたんですね」
「うん Jrは不味いんだ こんな風に書かれて」
「ねぇ アレックスジャパンの買収?考えている?」
「いや そこまでは 買収ではなく 傘下に出来ればアルタと鈴やは
安泰だろう そこでどちらの傘下にするかだね
お互い利益が絡むし」 
「そうね でもアルタが握って 鈴やが独占販売だったら
問題ないでしょ」
「うん やはり販売については鈴やルートだね なにか段々と
考えが纏まってきた」
「たのもしわ」

内野の運転で1時間しないうちに小田原工場についた
工場長の赤坂が出迎え
「いらっしゃい 神山さん」
「先日はありがとうございます それと第二貨物の常務からも
お礼の言葉を頂きました お昼が大変良かったと」
「ありがとうございます 早速ですが 荷物は」
高橋と内野が
「先にお昼にしましょう まだなんです」
「はい それでは」 
高橋と内野が先に歩き社員食堂のフロアに着いた
赤坂が
「済みません 今日の営業はいつもの半分くらいです 何処にされますか」
高橋が神山に
「お寿司にする?」
「うん 洋子さんは」
「ええ お寿司でお願いします」
赤坂がカードをスキャンさせ暗証番号を打って入店した
今日は忙しい部署だけ出勤という事だが結構繁盛していた
5人は景色が見える席につき洋子が
「ふぁ~景色がいい所ですね 羨ましいですね」
「ありがとうございます 唯一の自慢です
高橋さん ビールは」
「うん 内野君を除いてください」 
洋子が
「私が運転するわ だから皆さんで呑んで」
神山が
「では お言葉に甘え 仕事に支障が無い程度に 頂きましょう」
赤坂がテーブルのボタンでビールと鮮魚の盛り合わせを注文した
ビールが運ばれ鮮魚も運ばれ乾杯した
神山はここ数日美味しい鮮魚ばかり口にしているが
ここの鮮魚も甲乙つけがたく美味しかった
神山は赤坂に
「上原の什器 ありがとうございます 大変よく出来ていて驚いています」
「神山さんに誉めて頂くと嬉しいです こちらこそありがとうございます」
神山は簡単に挨拶を済ませ又食べた
話題はもっぱら上原の爆発的なオープンで賑わった事で盛り上がった

全員が食べ終わると洋子の希望で工場を案内してもらった
鈴やに入る次長室の建具を制作している部屋に入った
洋子はパースを見ているのでイメージは出来ていたが
「ふぁ~素敵 この家具が来るんですね」
「ええ これから運び出します どうぞ触ってください」
神山と洋子 高橋と内野たちは口々に
よく出来ていると褒め称えた
神山は今度 田中幸三にあったら誉めてあげようと思った
受け付けカウンターや椅子があったのでそこに座り
「この高さはすごく使い易く疲れませんね 気に入ったわ」
神山も次長テーブルに座ったが高さがぴたりと決まり気に入った
洋子が納得するまで見学し ゴテンバ グランド インの
サインを運び出し赤坂に御礼を言って工場を後にした
運転は洋子がして横に神山 高橋と内野は後ろに座った
一行の車は有料道路から高速に入りゴテンバ グランド インへ向かった
洋子の運転は決して危なくは無いがスピードが出ていた
内野が
「田所さん 早いですね 僕なんか少し怖いですよ」
「大丈夫よ もっと出しましょうか」
そう言って スピードを上げた
限界と思われる160キロまで出すと
「この車 これが限界ね 踏み込んでいるけど 出ないわ」
ウインカーを頻繁に出して追い抜く様は男かおまけだった
神山が
「パトカー大丈夫かな」
「ええ ここらはカーブが多くて追い駆けられないから居ないわ」
神山が驚いていると 高橋と内野は洋子の運転に圧倒されていた
洋子が出したスピードだけではないが早く着きそうだった

ゴテンバ グランド インには16時過ぎに着いた
車から降りると亜矢子と椿が駆け寄ってきて椿が神山に
「よく来て下さいました ありがとうございます 
では ラウンジにお茶をご用意しておりますのでどうぞ」
4人がグランドフロアにあるティーサロンに向かう時に椿が神山に
「神山様 今回地ビールの件 ありがとうございます
この事で拡張が順調に進みます これは少ないですが御礼です
お納めください 今後も色々とご指導をお願いします」
神山は頷き椿から封筒を貰いみんなが待っているサロンに行った
洋子が
「私 美味しい地ビールが欲しいわ」
亜矢子が
「はい 只今ご用意いたします」
お辞儀をしてサロンの厨房に入っていった 神山が椿に
「椿さん 簡単な工事なので出来れば早めに行いたいのですが
早めるのは難しいですか?」
「ええ 今日のチェックインの状況を見ておりますと
これから作業をして頂いて結構です お願いします」
そうと決まり 4人は手順を確認し神山が
「そうしたら 今16時15分だから 16時30分に
最初に取り付けるあの柱で待ち合わせしよう どう孝ちゃん」
「うん準備があるから 16時45分でどう?」
「うん ではお願いします」
洋子が地ビールを全部呑んだところで亜矢子と若い女性の案内で
エレベーターに乗り最上階に着いた
神山と洋子の部屋は事務室の隣りで亜矢子が案内した
高橋と内野は反対側の角部屋を案内された
亜矢子は神山と洋子を部屋に案内すると
「神山様 申し訳ございません お部屋が埋まってしまい
大変ご不便お掛けします 高橋様と内野様にもご協力お願いしています」
亜矢子が丁寧にお辞儀をしながら謝った
「ありがとうございます いいよね一緒でも」
「ええ 大丈夫ですありがとうございます」
「それでは何かご不明な点がございましたら内線の7200番に
お掛けください お願いします」
「ありがとう 早速で申し訳ないですが お届け伝票を下さい」
「はい 早速お持ちいたします」
亜矢子は丁寧にお辞儀をして部屋を出て行った

洋子は
「綺麗な方ね ちょっと暗さがあって素敵」
「うん あとでここの日本酒を皆に届けます ちょっとメモいい」
「はい」
神山は亜矢子の事について 今は余り触れたくなかった
「まず日本酒は副社長 西野理事 池上店長 催事課の倉元さん
奥村課長 由香里姫 翔 市川 ニーナ・ニーナ筒井さん かな
地ビールは銀座店催事課宛 秘書課宛 販促部長席宛 
東京本社秘書室宛 秘書課宛 人事課宛 かな どこか漏れているかな?」 
「はい 大丈夫だと思います」
「あとね ニーナ・ニーナの本社筒井さん宛 それと銀座店の
食品部長席宛でここには宣伝の意味があるので2ケース そして
手紙を添えて貰いたいな 
【この地ビールは私 神山が惚れたビールです
私だけでなくこの美味しさを皆様で吟味をしてください なんて
硬いこと言わずに がんがん呑んで中元戦を頑張りましょう】
で どうだろう?」
洋子は笑いながら
「貴方らしくて はっきりしていていいわ 大丈夫よ 
ただ それだけだと そうかで終るかもしれないので
【部長 大きな仕事になります お時間の空いた時に
ご相談させてください】
を付け加えるとどうかしら?」 
洋子はニコニコとしながら 神山の顔を覗いた
「さすが 僕の心を読んでいますね そうなんだ鈴やでも販売する
足がかりにしたいんだ 関東では販売されていないし アルタの
販売権も御殿場アウトレットだし そうすると多少高くても
口コミで広がれば嬉しい話しさ 兎に角 女性に受けているでしょ
このままでは勿体無いしね 良い商材だと思うよ」
「ええ そうね 凄いわね あなたには いつも感心させられるわ」 
「そうしたら住所など調べてくれる」
「はい 分りました」

そのとき亜矢子が伝票を持ってきた 
以前も使った事のあるお届け伝票だった
「ねぇ桜川さん 手紙を一箇所だけど入れたいんだが出来るかな」
「ええ 出来ますよ 宜しかったらワープロで制作しましょうか」
「うん お願いします」
神山は先ほどのメモを渡し頼んだ 亜矢子は目を通し笑顔になった
何か言いたそうだったが洋子の手前頷くだけだった
「畏まりました 白い封筒で 神山様のお名前を入れて宜しいですね」
「ええ 宛名は伝票の部長名でお願いします」
「はい 畏まりました
伝票にお手紙つきと記しておきます」
「ありがとうございます 助かります」 
「では失礼致します」
亜矢子は深々とお辞儀をして部屋から出て行った
「次長全部判りました」
「なんだよ 次長って いいよ普段通りで」
洋子は両手を上げて神山に抱きつきキスをしながら
「私が初めてでしょ こうやって呼ばれたの」
「うん そう言えばそうだね」 
「これで互角よ」
「なにが」
「だって 貴方が最初」
「えっ 最初、、、ああ 最初ね」
「もう ばか 知らない 私にとってとっても大切なもんだからね」
「わかった では伝票の件は後回しにして」
神山は冷蔵庫からビールを出して洋子と呑んだ

一方 高橋と内野の部屋では
「高橋さん田所さんて 見かけによらぬドライバーですね」
「うん こっちも怖かったよ」
「しかしあんなに綺麗でおしとやかで あんな運転をするなんて
女って判らないですね ほんとうに」
「女だけじゃないよ 山ちゃんだって 人間じゃないよ
彼は現代のスーパーマンです」
高橋と内野は地ビールを呑み終わると
「さて準備しよう 車から降ろし準備しないと山ちゃんの雷が落ちるぞ」
「えっ 山ちゃんが雷をですか」
高橋は今朝上原で起こった事を内野に説明した
内野の顔から笑顔が消え真剣な口調で
「よほど見かねて 怒ったんでしょうね」
「うん ぼくも初めて見たよ あんなに怒っている所」
「やっぱ 人間じゃないですか」
「だね さあいくぞ」 
「はい 早くすませて美味しいもの食べましょう」
高橋と内野はまだ時間に充分間に合ったが部屋を出て準備に取り掛かった

「さて洋子 時間は充分だけど下に行って下見をしよう」
「ええ 化粧室に行きます ちょっと待って」
洋子が浴室に消えたので椿から貰った封筒を開けると
達筆な毛筆の手紙と現金100万円が入っていた
【この度は大変嬉しいご提案を頂き家内ともども喜んでいる
次第でございます 今後もご提案ご指導を承りたいと存じ上げます
同封致しましたのは気持ちでございます お納めください
ゴテンバ グランド イン 総支配人 椿 秀介】
神山はこれからも地ビールを拡張しようと考えた
洋子が
「お待たせしました さあ行きましょうか」





.

2013年2月7日木曜日

薔薇 1 - 26 Vol. 2



「今ね さっき撮影した写真を見ていたの」 
「うん 見せて」
洋子は神山にデジカメを渡して
「ねっ 2件目が断然いいわ それとタクシーの運転手さんが
言っていた事が本当ならば 絶対に2件目ね」
「決まったよ」
「えっ なにが?」
「だから2件目が」
「えっ どう言う訳」
「うん さっき内藤社長と話したんだ そうしたら決まったのさ」
「ねぇ 解るように話して」
「うん 早い話洋子があの部屋を頻繁に出入りすると
有らぬ疑いが発生して 鈴ややアルタにとって非常に
不利益になってくるので 関係者がしらないプライベートな時間を
作れる場所が必要になってくるだろうと内藤社長が気にしていた訳
あの部屋は鈴ややアルタやニーナ・ニーナの皆が知っている
作業場兼住居さ 部屋から洋子の出入りが頻繁にするのを見た人間は
面白おかしく風潮されるわけさ そこが心配の種になるって事です
そこでアルタは住宅手当があるのでそれを充当すると言ってたよ
だから決まりです」
「ふぁ~ ほんと 嬉しいわ」
「うん それで支度金を頂いた 700万」
「ふぁ~ ほんと しかしねぇ」
「うん 僕はゆっくり出来るところだから いい家具買うつもりだよ
そうなると この位必要になってくる」
「そうなると 28日の挨拶周りの時にお礼を言わないといけないわね」
「うん 僕が言うから傍でお辞儀するだけで良いよ」
「はい 分りました 家具を選ぶのに時間がかかるわね」
「うん 明日内藤社長から返事が来るから 27日のゴルフの後は
渋谷に高級家具が揃っているお店が在るからそこで選ぼう
カーテン等もそこで揃えればいいし」
「そうね たしか22時までやっているでしょ そうしたらこれから
行きましょうか」
「うんそうだね 膳は急げだ」
神山と洋子は少し食べたが巻物を頼んでこれから買う品物を
リストアップした 簡単な食器棚 チェスト 引き出しチェストなど
上原では造り付けでついていたが こんどは自分で探さなければ
いけなかった

全てを食べ終わると清算しタクシーで渋谷に向かった
高級家具を扱っている家具センターに入ると神山はイタリアの
有名ブランド アルフレッタのコーナーに行った
広さが8mx10mの陳列スペースにリビングルームを想定した
コーナーがあった 神山は洋子に
「このままで 入るでしょ」
洋子は不動産屋に貰った資料を取り出し 寸法を確認した所
充分収まった 神山は店員にほしい家具を順番に伝えた
チェスト2台40万円 引き出しハイチェスト1台25万円
引き出しミドルチェスト1台20万円 食器棚1台30万円
クローゼット1台40万円 ガラステーブル1台25万円
ソファー2台60万円 PCなどが置けるテーブル 25万円
椅子2脚 10万円  合計275万円
店員に確認すると全て在庫があり明日以降の配達可能という事で
早速支払いを済ませ住所と携帯電話をお届け伝票に記入した
「あとシモンズのベッド等一緒に届けてもらいたいが出来ますか」
「はい 出来ます それでは私が一緒に付いていき 商品を
ひとまとめします」
神山は次にベッドでは有名で高級ホテルで使われている
シモノズのベッドを見たが 一番大きいキングサイズの
ベッドを選んだ 業務用と違いスプリングが2段になっているベッド
これはお買い得で30万円
次にこのベッドサイズに合う大きさの羊毛敷きパッドやシーツ
羽毛布団 これから必要になる薄い羽毛布団など在庫を確認したところ
OKサインが出たこちらの合計が40万円 合計70万円
次にタオル売場で上質コットン使用の大判バスタオル5枚や
台所で使うタオル 化粧室で使うタオルなど合計10万円
神山は洋子に
「どうだろう これだけ揃っていれば まずは大丈夫なのかな」
「そうね あと家庭用品は後からちょこちょこ揃えられるし大丈夫です」
「そうすると クーラーだね」
「ええ そうね 取り扱っていますか」
洋子が店員に聞くと 
「種類は多いほうではありませんが扱っています」
次に クーラーを見に行って20畳タイプを2台購入した 合計50万円
照明器具を見るとシンプルな物を選び2台合計10万円
ここで神山が内藤社長に電話をした
「神山です いま渋谷で家具類を揃えています
ところで PCやTVはこちらで揃えて構いませんか?」
「ええ お願いします 足りなくなったら 言ってください」
「はい ありがとうございます」
電話を切った神山は店員にPCとTVの取扱を聞いたが
扱っていなかったので 後日揃え様と洋子に言った
店員が
「全ての商品が明日以降の配達や取り付け工事OKです」
と言ってくれたので
「では 27日月曜日の18時でお願いします」
「はい 畏まりました そのように手配させて頂きます」
神山は洋子に
「何か足りない物あるかな?」
「ええ大丈夫よ これだけ揃えば充分だわ」
神山は店員に
「では お待ちしてますので お願いします」
「はい 本日はご来店ありがとうございます」
洋子が計算をしてくれていて
「このお店で 合計415万円よ 凄いわね」
「うん そのくらいなると思う しかし良い物だから長く使っても
決して飽きが来ないさ そこがいいと思うよ」

神山は時計を見るとまだ21時だったので昼 デジカメを買った
家電量販店へ向かった
PCコーナーに行くと種類が豊富で迷ったが洋子が
「あそこのお部屋で本格的なPCは不要でしょ
だからノートPCで良いと思うけどどう?」
「そうだね 大きいデスクトップで場所取られたくないしね」
神山はそう言ってノート型PCと簡単なプリンター それと
インターネットで必要なプロバイダー契約をした 
店員に配達をして貰えるか聞いたところ明日以降のお届けでOKと
言われ配達手続きをした
神山はTVも購入するが一緒に届けて貰えるか聞いたら
「私が TVコーナーに一緒に行くます 大丈夫です」
TVコーナーに行き 48インチ薄型モニターとTVチューナーを
購入した 神山は洋子に
「あと何かあるかな?」
「ええ 小さいラジオがあると便利かなと思います」
「うん そうだね」
神山と洋子はラジオコーナーで邪魔にならない大きさのラジオを買った
このお店では PC20万円 プリンター10万円 モニター40万円
TVチューナー6万円 ラジオ2万円 と合計78万円だった
神山は店員に
「これで全てです 配達の手続きをお願いします」
店員が全ての商品を神山に確認して伝票を作った
お届け伝票に必要事項を記入して配達日は4月27日月曜日の
18時に指定した 
店員が伝票類の控えを神山に渡して完了した
神山は洋子に
「なんか忙しかったね」 
「ええ あの短時間にこれだけの商品をセレクトするなんて
並みの人間ができる事ではないわ 改めて貴方の凄さに感心したわ」
「うん まあ 興味あると調べるでしょ それが頭の中に入っていて
必要な時にスムーズに出てくる その判断を素早くしているだけさ
だから洋子と一緒だよ」
「どこか回路が違うのね 私 貴方のスピードについて行けなかったわ」 
「うん ありがとうございます さて慌てて食べたからおなかすいたな」
「ええ 私も 何処かで食べなおししましょうか」 
「そうしたら 昼の中華は あそこの餃子美味しかったよ」
「ええ そうしましょう 確か23時オーダーストップよ」

神山は時計を見るとまだ22時になっていなかった
歩いて直ぐのホテルに行き中華料理店に入った
ここもまだ客が多かった ウエイトレスの案内でテーブルに着くと
ビールと餃子を頼み
「あとは これからメニューをみてオーダーします」
ウエイトレスはお辞儀をして厨房へ行った
神山は洋子に
「先ほどの間取図を見せてほしい」
「はい ちょっと待ってね」
洋子はバッグから間取図をだし テーブルに広げて
家具類の配置を楽しく検討した
洋子が慌てた様子で
「ねぇ あなた ダイニングセットが抜けているわ」
「うん でも必要かな だって食事をしたければ外で充分だと思うし 
それで今は不要と思って買わなかった」
「そうね あの部屋で24時間生活しないからそれで良いかしら
必要になったらその時に買えば良いわよ」
「うん だから 28日は午後から必要な家電小物をチェックして
購入すれば良いでしょ 例えば冷蔵庫とか 湯沸しとか」
「そうね 冷蔵庫も大きさがあるし 今日急がなくても良いわね」
神山と洋子は27日に届けられる商品を待ちどうしかった
注文した単品が時間を空けて食べるのに都合よく運ばれてきた
神山と洋子はよく食べた
ウエイトレスが近寄ってきて
「そろそろラストオーダーになりますが、、、」
神山は洋子に
「久しぶりにラーメンでも食べるかな?」
「ええ 頂くわ」
ウエイトレスにシンプルなラーメンを1つ注文し
分けるので小さい器を2つ貰った
運ばれると 久しぶりなので美味しかった
屋台のラーメン屋と違って具が一杯入っていた
神山と洋子はスープまできれいにした
「あ~ 美味しかった 満腹です」
「ええ わたしも 美味しかったわ あなたと一緒だからよけい」
二人はおなかと幸せが一杯になり店を出た
少し歩いて
「洋子 明日は13時に上原のマンションだけど 気をつけて来なさい
いいね それで例え5分でも遅れるようだったら僕の携帯に
必ず電話をしてください」
「ええ わかったわ 一応 家を出る時にします」
「うん 頼みます」
「はい 分りました」
「うん ではお休みなさい」
「は~い お休みなさい」 

神山と洋子は別々のタクシーで家に帰った
マンションに着いた神山は入り口で祥子の部屋を押した
在宅であればドアホンが鳴りこちらのインターホンに声が
聞こえてくるはずだが 3回鳴らしても出てこなかった
神山は部屋に戻ると祥子の携帯を鳴らしたが応答しなかった
今日は久しぶりに早く寝ようとシャワーを浴び
冷蔵庫からビールを出して呑んでいると携帯が鳴った出てみると
「亜矢子です こんばんわ 夜遅くにごめんなさい」
「いえ今帰った所で シャワーを浴びて地ビールを呑んでるよ」
「ねっぇ聞いて驚かないでね」
「うん 又当った?」
「ええ当ったわ」
「へー それで幾らなの?」
「1等の1億円よ」
「えっ、、、いちおくえん?」
「ええ その前後賞が1枚当って5000万円」 
「えっ、、、5000まんえん、、、」
「ええ今言ったのは私のボディーサイズのほうね 
実は貴方のボディーサイズも当ったわ」
「えっ、、、」
「2等賞で3000万円 こちらは前後賞が2つ当って
1500万円の2枚で3000万円よ 合計で2億1千万円」
「えっ、、、におくいっせんまんえん へぇ~、、、なにほんと」
「ええ 本当よ ありがとうございます あなた それでね
貴方のボディーサイズの分6000万円は貴方のだから
明日来た時にお渡しするわね」
「えっ、、、そんな ねぇホント」
「ええ私も新聞を何十回も確認して 宝くじセンターにも確認したわ」
「えっ、、、う~ん そうしたら 僕が貰うお金は1000万円で良いよ
またいつなんどき必要になるか分らないだろ ねっそうしよう
で 無かったら 亜矢子と分かれる いいね」
「嫌よ 別れるなんて 言わないで」
亜矢子が電話口で泣いているのが分った 
「ごめん 言いすぎた ごめんね」
「もう絶対に言わないで 嫌よ その言葉は、、、」
「うん ごめんなさい 絶対に言わないよ 信じてくれ
しかし 僕はこれからお金が入ってくる しかし亜矢子の場合は
いつもと一緒だ だったらお母さんの事もあるし 
気持ちよく受け取ってくれ お願いします」
「ありがとう 分ったわ では明日は用意出来ないから
次に逢う時か 銀行に振り込むわ」
「うん 1000万だと持ち歩くのに物騒だから振込みがいいな
じゃあ 言うよ xxxx銀行 普通口座 xxxxxxx
名義はカミヤマケー です」
「復唱するわね 、、、、、、、、、、、、で間違っていない?」
「うん 大丈夫だよ お願いします しかしどうしたんだろうね
亜矢子さ この事 分っていると思うけど人に言ったら
絶対だめだよ いい」
「ええ」
「お金の使い方も普段通りにしていないと いいね」
「はい 分りました」
「うん 言ったらお終い 亜矢子が不幸になるだけだよ いいね」
「はい 分りました ありがとう 実はね このお金で 富士の方に
引越しを考えているの 母は抗がん剤を使わなくて良かったの
しかし先生がいい病院を紹介して下さるって仰られるの
この話は前から出ていたんだけど ほら お金が無いから
今の先生の所に行ってたの だから空気のいいそして
いい病院の近くを探そうと考えていたの だけど相談できる人が
居ないでしょ だからあなたにお願いしようと思ったの」
「うん いい事だよ それで新築するわけだ」
「ええ そうすれば自宅で診る事が出来るし なにしろ
今は病院で可哀相だから せめて一緒に生活して
昔の恩返しが出来れば良いと思ったの 駄目ですか」
「いや そんな事は無い う~ん しかし来週は分らないが
出来るだけ三島に行くよう時間を作る」
「ええ 信じているわ」
「うん さっきは言いすぎた 本当にごめんなさい」
「うん あなたの事分っているから 気持ちは凄く嬉しいの
ただね 別れるって言わないで おねがい 亜矢子どうしたら
いいか分らなくなっちゃうから もう言わないで」
「うん 言わない ごめんね 折角の嬉しい報告で 楽しかった
時間を壊してしまって」
「うん いいわ 元気が出てきたから」
「うん 勤務のスケジュールを教えてくれる」
「ええ 29日水 5月2土 5火 8金です その前の日は
12時で上がれる日よ」
「分ったわ 最悪休日前になるかもしれないけどなるだけ早く行く」
「ええ 待っているわ ごめんなさい 我侭言って」
「恩返しのいい我侭じゃないか わかった 今日はまだ仕事?」
「ええ これから仮眠よ それではお待ちしています 明日は
早いの 来るのは」
「うん 出来るだけ早く行く でも5時を過ぎますね 6時から
直ぐ仕事が出来るよう準備しないといけないからね」
「わかったわ 気をつけてきてね」
「うん では亜矢子も気を付けてね お休み」
「ええ お休みなさい」
神山は電話を切ると果たして誰に相談するか悩んだ
しかし浮かんで来なかった

ロレックスを見ると24時を廻っているのでもう一度祥子に電話をしたら
繋がり
「ごめんなさい 今帰るととこなの ごめんなさい」
「うん では先に寝るよ」
「怒っている」
「勿論さ ではお休み」
電話を切って 祥子は一体何を考えているのか判らなくなった
スタッフの話し合いなど日にちを変えれば済む事で
今そんな時期か考えて欲しかった
上手く行っていないのなら それは今日までの指導が間違っていた
神山はそれしか考えられなかった
冷蔵庫からビールを出しタバコをふかして暫くして眠った

4月26日 日曜日 快晴 朝
神山は目覚まし時計より早く起きた
カーテンを開けると目に入る家の屋根が眩しく光っていた
神山は冷蔵庫からビールを出してテラスの椅子で呑んだ
昨夜の亜矢子の話しが頭から離れなかった
時間は早かったが アルタの高橋に電話をした
「神山です 朝早くからごめんなさい」
「いえ いいですよ 何かありました?」
「うん アルタさんって 一般家屋って扱っている 新築だけど」
「う~ん あまりないですね しかし社長に話せば判りませんよ」
「うん ありがとう 今日 社長は何時頃来るかな」
「昨夜の話だと11時オープンなのでその前にはくるそうです」
「うん 分りました そのとき聞いて見ます」
「山ちゃんが造るの?」
「いやいや 知人ですよ」
「はい 分りました では僕は出来るだけ早く大工と行きます
それと ゴルフの件は順調です」
「了解です では現場で」

神山は高橋に言われゴルフの準備をはじめた
ボストンバッグを催事課に届けてもらってそのままにしてしまった
今日は横浜から持ってきたバッグを使う事にした
色々と調べていくとゴルフボールが全然無く後は万全だった 
内藤社長から貰ったゴルフセットでクラブを握るのは
初めてだが 少し振ったところバランスが良くて打ちやすそうだった
パターも高額品でこれもバランスが良く打ち易そうだった
13時に戻ってあれこれ慌てないように一箇所に纏め
後は準備する物は無いと見回し確認をした
ゴルフの準備で時間を忘れ時計を見ると8時を廻っていた
神山は祥子に電話をした まだ寝ているのか出なかった
今日 上原の仕事は11時のオープンに顔を揃える人達との
挨拶をするだけだった
一応ディスプレーを見るが基本は昨日出来ていたので
今日は少しの手直しで充分いけると考えていた
なんとしても13時少し前に出て 小田原に行きたかった
高橋が9時に現場に来ると言っていたのでその時間に
合わせてここを出ようと考えたが 軽くサンドイッチを食べたくなり
まだ8時30分だが出る用意をした
部屋を出る時祥子から電話があったので出ると
「ごめんなさい 遅くなって 今起きたところです」
「うん 僕は駅でサンドイッチを食べるからこれから出る」
「ごめんなさい約束破って 怒っている?」
「あきれているよ 何があったか分らないけど 今日の事を
考えるなら 皆を早く返して爽やかな顔でオープンを迎えるのが
普通だろう 多分今日の事で揉めたと思うが それは昨夜
話す事ではなく昨夜までに決めておく事ではないのかな?
このオープンにみんなの努力があるんだ それを忘れるな」
「はい そうです ごめんなさい」
「忙しいのは分るが そう言った事をきちんと決めていくのが
祥子の立場だろうと思う 忙しそうだからお先に」
神山はそう言って 部屋を出て どうしたものか考えた
この間も浜野の一件で悩んでいたし 自分で抱え込みし過ぎて
どうにも解決出来なくなったと考えられる
祥子は良い子に成ろうとしてはいないが 多分に
そいった所も見え隠れした
祥子がこのような生活を続けるならば 代々木で寝起き
する事が多くなりそうだと思った

やはり一人で歩くのは寂しい物があった
今まで一生懸命に現場に行っていた祥子と違う祥子が居るようだった
今朝は現場を通る道ではなく別の道で駅まで行った
売店で新聞を久しぶりに買いカフェスタンドに入った
コービーとサンドイッチを注文し新聞を読んでいると アルタの高橋が
「山ちゃん どうしたの ここで さては外泊?」
「ちがうよ さっきの電話も部屋からですよ」
「久保さんは」
「うん 携帯掛けたら 起きたばかりと言っていた」
「うん まああの人も大変だね 昨日も一人で頑張っていたよ」
「そこなんだよ 前にも相談されたんだけど 自分で溜め込む
性格かなって 相談する人間がいない訳さ 自分の弱い所を
人に見せたくないから 抱え込んだらお終いだよ」
「うん そうだね 山ちゃんに甘えているけど  
どう切り出すか分らないんだと思うよ」
「そうかな まあ 仕方ないですね ところでゴルフバッグは?」
「うん もう誠二君に渡してあるよ どう内藤社長から貰ったクラブ」
「うん さっきちょこと振ったんだけど振りぬけがいいし
あのバランスは僕にピッタリだよ」
「アレレ そうすると明日は山ちゃんかな なんか山ちゃん オーラーが
出ているよ ほんと」
「まさか 禿げていないよ そんな」 
神山とアルタの高橋はおおわらいした

軽食を済ませた二人は現場に着いたが誰も来ていなくて神山が
シャッターをあけ中を一通り見渡した
外からの光線が綺麗に入って商品もはえて見えた
神山は照明をつけ外に出てみると陳列された商品が
先ほどより更に見栄えした 神山は高橋を呼んで
「思った通りに効果が出ているね」
「そうですね 商品が映えて見えますよ うん良く出来ました」
「僕はこのような仕事で外は初めてなんですよ
しかしこれで少し勉強できましたね 床もいいし 自分で
誉めるのは余り好きではないけど 100点でも良いでしょう」
「うん 山ちゃんがコーディネートしてくれなかったらアウトでしょ
ぼくはそう思っていますよ ほんと」 
「ありがとう やはり現場だね 現場を把握しないと出来ないね」
「うん そうですね ここのように主役が商品で脇役が造作や什器
しかし造作や什器もしっかり主張していますからね 凄いですね」

神山と高橋が話しているところへ祥子が俯いてきた
「済みませんでした 遅くなりました」
神山と高橋は顔見合わせ高橋が 店から出て行った
「なあ祥子 もう二度と言わないよ 自分で抱え込んで良い格好するの
辞めなさい でないと我々が振り回され 仕事が出来なくなる
先日の浜野君のように打ち明けてもらえば何とか考える
抱え込んで何でも自分で解決しようとする事は絶対に辞めなさい
筒井さんも居る ぼくも付いている そんなに自分で
格好つけるんだったら 今後祥子と仕事が出来ない 良いかな」
「はい 今朝の電話の通りで 何とかしようと思っていたの だけど
蓋を開けたら大違いで大変だったんです」
「うん その話は昨夜ではなくもっと早めに解決をしておかなければ
いけないことだろ だから何か小さい事でも抱え込んで 解決すると
言う事を辞めないと 同じ事の繰り返しになるし
祥子の進退問題に発展する いいね分った」
「はい 分りました どうも済みません 今日筒井と相談します」
「うん でないと祥子の居場所がなくなるよ ほんと
筒井さんが自分で決めなさい そんな事は と言われ迷ったら
僕が居るだろ そこだよ 見極めをきちんとしないとだめだ いいね」
「はい 分りました ほんとごめんなさい」
神山と祥子は話しが終わり祥子は元気なさそうに仕事をはじめた
今まで見た事が無い暗い表情だった
しかし ここで立ち直らせるにはああ言う事を言わなければ 
駄目になると思った
神山は祥子に近づき
「ほら 笑顔だよ笑顔 お客さん見ているよ それも仕事 ねっ」

神山に励まされた祥子は作り笑いで
「は~い 分りました 頑張るわ ありがとう やっぱりあなたね」
「さあ 笑顔 ねっ 笑顔」
そう言って 外に出たら高橋が
「山ちゃんらしいや 久保さん やる気出したもん いいなもてる男は」
「さあ お仕事ですね」 
高橋と話し終わるとニーナ・ニーナの面々がにこにこやってきた
時計は9時30分になっていた 神山はカチンと来ていた
ニーナ・ニーナの女性軍が神山におはようございますと言ったので
「おはようございます では無い
何時だと思っている 遅い しっかり準備をしなければ
いけない時だろ それをこんな時間に来て なにを考えている」
その剣幕でみなビックリしたが浜野が
「昨夜 話したんです チーフと それでこの時間に来たんですが 
どこか間違っていますか」
「わかった 君はそれをどう思う」
「ええ チーフの指示だったので別になんとも思っていません」
「この中に早く来て仕事をしようと思ったのは誰もいないのか」
みんなシーンとしていた
「いいかい 分っていると思うが 君たちの給料がこのショップに
掛かっているんだ 大切なショップって分っているのか
会社のお金を使って アルタさんだって頑張って造ってくれただろう
そんな自分のお店をなぜ大切にしない 浜野君」
「ええ 早く来る予定だったんですが 昨夜あれだけ準備をして
あと仕事は事務所の整理だけだったんでゆっくりしよって事ですが
悪いですか」
「掃除は」
「ええ チーフが私がやるって言うので任せてます」
「君はそれでいいと思うか」
「神山さん 部長さんだからと言って そこまで言われるんですか」 
「うん これは役職抜き にんげんとして言っている
ぼくは工事を一杯見てきた その中で チーフが言ったから
遅く出てきました という話は今まで聞いた事がないし初めてだ
この店舗が非常に大切なところに位置している事はわかっていると思う
それだったら 例え応援でも 自分が何とか力になれないか
そうやって考える事が大切だと思う 昨夜どれだけ準備出来たかなんて
それは自己満足だ 仕事は探せば転がっている
君のような腐った考えの人間はこのニーナ・ニーナでは必要と
していないだろう だからと言って 他で働いても
今の考えを直さなければ 同じ事の繰り返しで
仲間に迷惑をかけるだけだ 僕は人間としてあたりまえのことを
言っている この事は筒井さんにもきちんと話をする
そして君の言動が影響してニーナ・ニーナが可笑しくなったら
僕達の仕事が無くなる そしたら君は皆にどうやって
償いをしてくれる」
浜野は俯いて泣いていた
「済みませんでした 私が悪かったです 済みません」
「だめだ そんな事では 僕に謝るんじゃない 君が引き連れてきた
仲間にちゃんと謝って仕事をするのが本筋だろう 違うか」
「はい 分りました」
浜野は 遅く来た仲間全員に頭を深々と下げ 
「みなさん ごめんなさい 私が間違っていました 
このお店は私たちが造ったお店です 力を合わせましょう
神山さん 先ほどは大変失礼申し上げました」
「あとは」
浜野はきょとんとしているので
「チーフに何故謝罪しない 君の上司だろ ふざけるな」
また浜野は泣いた
「僕に謝るより チーフ 君の上司に謝るのが先だ
そうやって上下関係をばらばらに考えているような人間も
ニーナ・ニーナでは必要としていない ふざけるな 上司は僕じゃない」
浜野はもう涙で化粧が落ちて顔がぐしゃぐしゃになっていた
「いいか 上司を上司として敬う事が出来ない人間は
どんな仕事をしても同じさ この言葉を聞いて悔しかったら
上司から 浜野は凄く上司思いの子ですって言わせてごらん
そうしたら僕は君をニーナ・ニーナの一員として認める 分るか」
浜野はもう声が出ないで頷くだけだったそして祥子のところへ行って
「先輩 ごめんなさい もう二度とあんな事はしません
どうか許してください 済みませんでした」
祥子が一枚上手だった
「私は 何も知りません ここを造ってくれた人に 
売上ナンバーワンと言う恩返しをしたいだけです
貴方もその仲間に入りたかったら お化粧を直して
仕事を探し オープンに間に合わせなさい わかった」
浜野は今度は声を出して泣きじゃくった 
そこに筒井が来ていて
「浜野君 今出ている涙が本物か偽者かは君の努力次第だよ
わかったら チーフに言われた事をしなさい」
浜野は筒井の声を聞いて また大声でないた
筒井が他の女の子に事務所にいくよう指示した
「山ちゃん ありがとうございます 助かりました
実際 私が甘やかせたのがいけなかったのです そのために久保君を
追い込ませたのかもしれない 本当にありがとうございます」
筒井は頭を深々と下げたので
「筒井さん 頭を上げてください 僕は当たり前の事を言っただけです
それが彼女にとって新鮮だったら今まで可笑しかったんですね 
まあ 荒治療でしたがここまで言わないと分ってもらえないと
思いまして 言わせて頂きました 
こちらこそ お忙しい所済みませんでした」
「いや 私も聞いていて 胸に何かくるものがありました
これで 一枚岩になるでしょう」
筒井の話しが終ると祥子が神山に
「ありがとうございます 私は彼女を甘やかしたかも知れません
しかし 神山さんの話で組織が少し分りかけてきました
今後は躊躇する事無く指導をしていきます」
「うん 久保君そうだよ 私の代弁だと言っていい
部下にはズバズバと言えばいい これからそうしてくれ」
「はい 分りました ありがとうございます」
祥子はそう言って 仕事に戻った 暫くすると浜野を除き
みんなが祥子に向かって
「チーフ 済みませんでした 私もここのお店の仲間に入ります
不注意がありましたらどんどんと指摘をしてください お願いします」
「分ったわ 自分で仕事を見つけ 笑顔で仕事をしてね 笑顔よ」
神山は祥子がようやく普段に戻ったと思った
そとで見ていた高橋が
「またやったですね 山ちゃん あなたは なにほんと」
「何にもしていないさ ごくごく普通の話しさ そうだろ」
「うん まあ しかし迫力が違うな なんか 次長になるから
心構えが違ってきたのかな」





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2013年2月2日土曜日

薔薇 1 - 26 Vol. 1



4月25日 土曜日 
神山はけたたましく鳴る目覚まし時計で目が覚めた
昨夜は23時過ぎに帰宅したが祥子は不在でそのまま寝てしまったようだ
携帯電話の着信記録を見たが祥子からの電話はなかった
神山は冷蔵庫からビールを出してテラスに出たが
あいにくの霧雨ですぐに部屋に入った

タバコを吹かし昨日渋谷で買った賃貸物件の週刊誌を開き覗いた
上原のINDXで見てみるとここの3階が空いていて12万円で出ていた
神山の部屋は最上階なのでもう少し高くなるのかと考えた
ここから代々木公園方面でここと同じ様にワンルームで広い部屋が有った
最上階で12万円した 築2年だから綺麗だと思い○印を付けた
あと何箇所かあり全て○印を付け第一候補から順番に番号を振って
わかり易くしておいた
幸いな事に候補5番までは全て同じ不動産屋で現地を回るのも
1社で済むので手間が省けたと思った

神山はマンション探しを終えるとPCで過去の記事を調べてみた
先日洋子がアレックス氏の来日だったと言う記事を探した
検索エンジンを利用してみると果たしてアレックス氏と婦人の
写真付き記事で出ていた
暫く関連記事を見ていると【アレックスジャパン撤退か】と書かれたた
記事が出ていたので早速コピーした 
日付は4月21日18時になっていた
神山は時計を見ると7時30分になっていたので洋子に電話をした
「はい 田所です おはようございます」
「おはようございます 神山です 実は今 アレックス氏の関連記事を
色々と見ていたんだが 【アレックスジャパン撤退か】と日経が
4月21日18時で配信しているんだ そこで洋子の家で取っている
新聞でこの記事が出ているか調べてほしいんだ」
「はい 分りました PCの記事が新聞媒体になっているかですね」 
「うん もし時間が有るようだったら アレックス氏の所から
xxxに行ってxxxの所から下に行ってxxxにいく
そうすると出てきたよ」
「はい 分りました しかし 神山さんはなんでも出来るんですね」
「あっ お母さんがそばに居るんだ」
「はい 分りました それではまたご連絡します」
神山は今度会話のサインを決めておくと良いかなと思ったが
実際に使うときに忘れていたらどうにもならないので辞めた
更にアレックスグループの関連記事を調べれとアレックスジャパンの
社内報を扱っている記事に当った
【社長アレックスJrの放漫経営】これはやはり日経の記事で
昨年9月1日付けだった
神山はこの記事もコピーした
アレックスJrは人間としてはいいものを持っているが父親が
偉大すぎて嫌気がさしているのかも知れない
少し短気だが果たしてあの性格で経営はどうか考えると?マークが付く
更に株式チャートを見てみるとやはり右下下がりだった
この情報もコピーした
改めて時計を確認すると8時になっていた
神山は祥子がどうしたのか心配になり携帯電話に電話したが出なかった
話が盛り上がり誰かの所にでも泊まっているのだろうと思った時
神山の携帯電話が鳴ったので出てみると祥子だった
「おはよう ごめんなさい 私今起きた」
「どこに居るの?」
「お部屋よ 来る?」
「ああ 顔をだすよ」
神山は起きたままの格好で祥子の部屋に行った
一目で呑みすぎと分る顔をしていた
「おはよう ごめんなさい 電話しなくて」
「うん 待っていたけど寝てしまったよ」
「昨日手伝った子は本社の女の子達で それで余り外で呑んだ事が
無いって言う事だったの それでカラオケ行ったりして
呑みすぎちゃったの わかる?」
「うん 昨夜一杯呑みましたって書いてある」
「ほんとうに ごめんなさい ふぁ~だめだわ」
「そうしたら 僕は今夜現場に行く 午前中は別件で出かけるから
ゆっくりしなさい 但し15分位前には行って応援隊を待っていないと」
「はい 分りました 怒っている?」 
「うん 怒っているよ では しゃっきっとしないとだめだ」
「はい 分りました」
神山は祥子にきつく当ったが果たしてわかってもらえたか心配だった
すくわれるのは準備当日という事でこれがオープン当日だと
どうにも打つ手が無いだろうと感じた

神山は貯めておいた肌着類を洗濯機で洗った
昨夜着たジャケットから90万円出てきて一瞬思い出せなかったが
アレックスJr達から貰ったお金と思い出した
これだけお金が入ってくるとどこにしまうか考えてしまったが
一応カメラバッグにしまった 
金庫はいかにもお金がありますと見られるので簡単な登山バッグでも
買って 非常食と現金を入れておけば いざという時にもOKと思った
神山は50万円ほど持ってカメラバッグの中を調べると
アルタの100万円を除いても250万円はあったので
そのうちの100万円を持って銀行に入れておこうと考えた
通帳を見てみるとこの2週間で250万円も入金していた
神山は洋子が言ったデジタルカメラをインターネットで
性能や機能や使いやすさや 価格を調べ
2つ位に候補をしぼってメモった
神山は賃貸物件を実際に見て回る時に使えると思い
レストランを出てから大きい家電量販店があるのでそこで買おうと決めた
ぼんやりとWebを見ているとドアホンがなったのでモニターを
見ると祥子だったので戸を開けた
「さっきはありがとうございます 寝坊していたわ これから行って
応援隊を待つわ 貴方が夕方に来るまで陳列を終えて飾付けが
出来たらしておきます」
「うん 分りました それで遅くなるのかな?」
「多分 筒井が来てくれるし わからないわ」
「そうだね しかし今夜はアルコール控えないと
明日臭くて仕事にならないよ 分った まあ筒井さんの事だから
そんな遅くまで呑まないと思うがね」
「はい 分りました」
「それと あと一つ 26日のオープンが済んだら僕とアルタの高橋君は
ゴテンバ グランド インの仕事で居なくなります 27日は現地で
骨休みです 分った」
「はい 分りました けどアルタの人も27日は骨休みするの?」
「そう 作業メンバー慰労会さ 26日は小田原工場に立ち寄って
それからゴテンバ グランド インの現場さ 運がよければ 
今夜会えるかもだね」
「そうね 昨夜はほんとごめんなさい 今夜は早めに帰れるようします
だって 寂しいもん」
「わかった では行ってらっしゃい」
「は~い 行ってきます」

神山は1階のロビーまで見送って部屋に戻ると
まだ9時前で時間が中途半端に余ったのでベッドに横になり
洋子との逢瀬を考えた しかし夕方筒井さんと内藤社長が来ると
二人だけ抜け出す事が出来ないと思い どうしたものかと考えた
神山は冷蔵庫からビールを出してタバコを吹かしたが いいアイデアは
見つからなかった 今日はがんじがらめだった
普通何処かに抜け穴があるがそれが見つからなかった
洗濯機の洗濯終了ブザーが鳴り 洗濯ものを浴室に干し自動乾燥の
スイッチをONにして部屋に戻った
再びベッドで横になっていると時間がすぐに過ぎ9時30分になった 
神山は熱いシャワーを浴びて出かける仕度をしてからタクシーを
マンションまで呼んでロビーで待つ事にした
少しの間タバコを吸っているとタクシーの運転手がマンションの
自動ドア入り口へ小雨の中 小走りで駆け寄ってきた
神山は傘を差し運転手と一緒に車に乗った
行き先を告げると
「この雨は 今夜あがるって言ってましたよ」
「そうですか 上がりますか 今夜」
「ええ 今 天気予報で言っていましたよ 明日は快晴ですって」
「ありがとうございます 助かるね」 

運転手と天気予報の会話をしていると渋谷のホテルについた
車を降りるとすぐの所にATMがあったので入金をした
ホテルの12階レストランに行くと洋子が先に来ていて
手を振ってくれた
「お待たせ さっきはごめんね」
「いいの ほら年寄りだから朝は早いでしょ あの時間帯は
丁度 元気はつらつの時間だわ」
「うん 気を付けます」
「何 頼む? 私はコーヒーを頼んだの」
「う~ん ビールとサンドイッチ」 
「食べてこなかったの」
「うん 時間はあったけど 材料がアルコールばかりでは何も出来ないよ」
「もう だめじゃない 私がついていればちゃんと食べれるのに」
「うん そうだね」
神山はウエイトレスを呼んでビールとサンドイッチを注文した
「この赤く丸をつけた所が良いかなって 候補さ」 
洋子は神山が印をつけた物件を見てみると驚いた
「ふぁ~ 私と同じよ そうなの広くてワンルームで最上階で
探して 駐車場とか色々と条件を当てはめたの
まったく一緒よ 凄いわね」
神山と洋子はさらに書かれている情報を確認しながら
他に見落としが無いか調べたら一つ一戸建てが出てきた
神山は運ばれてきたサンドイッチを食べながら
「しかし 一戸建てだと ちょっとメンテナンスが大変だね」
「そうね 当然タタミ敷きだから ちょっと大変ね
これから飛び回るとゆっくりとお掃除だけで大変よ」
「そうしたらここはパスしよう そうすると二人の候補で行くと
最初に出てきた この5つの物件だね」
「そうね どこも12万だったら同じじゃないかしら
貴方のマンションも出ていたわ」
「うん 3階ででしょ 12万円 しかし 自分の部屋と
行ったり着たりでなんか落ち着かないしな」
「ええ 私もそう思ったわ それに3階だったらせめて南向きでないと
出ていたのは北向きで貴方のしたでしょ やっぱり
日が差し込んだほうが気分がほぐれると思うわ」
「うん 僕もそう思うよ あそこの部屋で丸一日過ごした事が無いから
判らない所が有るけど 南向きがいいでしょう」 
「そうね」
「そうしたら電話をしてみようか」
「ええ」
神山は記載されている不動産屋に電話をしてみると受付が出て
今の時間は営業が全員出ていて対応できないので 13時に営業を
待機させますからご来店くださいといわれ
「では必ず伺いますので 資料など準備をお願いします」
神山は物件ナンバーを伝え 受付は復唱してくれた
「それでは お願いします」
「はい お待ちしております」
神山は用件を伝えた事がOKだった事を洋子に言った
「そうすると時間が余ったわね」
「うん 家電量販店でデジカメを買って早めのお昼にしよう」
「ええ そうしましょう デジカメを買う気になったの?」
「うん 今回の物件めぐりで使えるしね」
「いい考えだわ 私も買おうかしら」
「うん 僕が忘れた時に役に立つね しかし洋子が忘れたら大笑いだ」
ふたりは顔を見詰め合って笑った

神山と洋子はレストランを出てすぐ傍にある家電量販店に向かい
デジカメコーナーに行った
いろいろ種類がある中で洋子が
「これだけあると迷うわね ねぇ」
「大丈夫だよ ちゃんとリストアップしてきた」
神山は朝調べたメモを洋子に見せた
「へぇ~ 準備が出来ているのね 凄い」
神山と洋子はリストアップした機種を見ていると店員が近寄ってきた
「もうお決まりですか」
神山は性能や機能や使いやすさや 価格などで
2機種にしぼった事を告げると 
店員は良く調べてきた事とこの2機種は人気が有るとも付け加えた
神山は大きさが違うので小さい方を洋子に大きい方を自分が使うが
洋子に聞いたら 同じ方が言いといわれ 小さい方を色違いを2台買い
記憶カードなども予備を含め購入した
バッテリーは単3乾電池なので少し余分に買った 合計で15万円だった
神山財布から15万円出し会計をしようとすると
洋子がこれは会社で買いましょうと言い清算した
二人は箱など余分な物はお店で処分してもらい
カメラにストラップをつけて首から下げた
洋子はなれないのかバッグの中にしまって歩いた
再びホテルに戻った二人は中華料理店に入った
時間は充分にあったが定食に単品を少し追加して頼んだ
不動産屋にはここから車で10分ほどだったが 
デジカメの取扱説明書など見たり操作など覚えていると
直ぐに時間が過ぎてしまうのを心配したからだった
ビールとシュウマイや餃子が先に運ばれてきた
洋子が楽しそうに
「では デジカメさんに乾杯」
普段は冗談や洋子と逢うまでの出来事など喋る神山だったが
今日だけ余り言葉が無く食べる事に集中した 
洋子もそんな神山の気持ちを判ってか口数は少なかったが
「ねぇ あなた今夜はどうなっているの?」
「うん 筒井さんと内藤社長が来るでしょ それで筒井さんは
ニーナ・ニーナの連中とご飯だけど 内藤社長が読めないんだ」
「そうなんだ アルタの高橋さんを誘って何処かに行くとかは」
「うん それだったら僕を誘うだろう 読めないなほんと」
話が終ってしまった洋子は仕方ないかと思った
普段なら 理由を聞いてくるのに今は余裕が無いのかなと思った
しかし神山がデジカメを覚えようとしているのを邪魔は出来なかった
突然神山が洋子の目を見て
「ごめんな 喋らないから気を使ってくれて ごめん」
洋子は胸が熱くなって目が潤んでしまった
暫くすると神山は全部食べ終わりビールを注文した
「やはり普段のペースで無いから 呑まないと元気が出ないよ」
洋子は神山が笑顔で話し出したので安心して
「私も食べ終わったら教えてね」
「うん 急がなくていいよ 消化不良を起こすよ 焦ると」
「は~い 分りました」
神山は取扱説明書の操作するページや設定を読んで早速撮影した
最初に日時設定をしてズーム機能やその他の機能をいじっていた
次にフラッシュをたいたりして納得していた
「洋子 貸してごらん 日時設定をするから」
洋子は箸を置いてバッグからデジカメを取り出し渡した 
神山は受け取るとバッテリーを入れ 簡単に日時設定をして
その他の設定も取り説を見ないで行ってしまった
洋子のデジカメを設定し終わるとフラッシュをたいたが
光らなかったので色々と見たが判らなかった
「これ 初期不良かもしれないな 困ったな」
そう言って取り説をもう一度見直したら フラッシュのボタンを
押していない事に気がつきもう一度フラッシュをたいて見たら成功した
「ハハハ 僕の間違いでした お騒がせしました」
普段の神山に戻ったので洋子は笑ってしまった
洋子も食べ終わり ビールを呑みながら操作方法を聞いて自分で
シャッターボタンを押した
神山の顔写真が大きく写っていた洋子は神山に
「ねぇ みて こんなに大きく撮れたわ」
神山は自分の顔をみて
「こんなに大きいと幾ら自分でも気持ち悪いや 早く削除して」
「削除は 確かここのボタンを押して あれ、、、出来ないわ」
「貸してごらん」
洋子が手渡し 操作を教えてもらった
「わかったわ ここのボタンを間違えたんだ ありがとうございます」
食事を終った二人はデジカメをいじりまわし短時間だが操作を覚えた
「意外と簡単だったね このデジカメ」
「ええ そうね 操作を2、3回失敗すれば覚えるもん 嬉しいわ」
「早いね もうこんな時間だよ 出よう」

慌てて会計を済ませ時計を見ると12時45分になっていた
急いでタクシーに乗り込み行く先を告げた
神山が思っていたより早く不動産屋に着いた 
店内に行くと受付嬢に神山ですと伝えると 座りカウンターを案内された
暫く待つと営業らしき女性が近寄ってきて自己紹介をして椅子に座った
カウンターには神山が指示した資料が並べられた
各物件の状況や特徴を一通り説明されると 今度は実際に部屋を
見て廻る事になり その営業が車で案内してくれた
最初の部屋は 神山が一番候補に上げた部屋だった
「ここはとても見晴らしがよく 南向きなので陽射しもあります」
神山と洋子は所々写真を撮った
「ねぇ 思っていた以上にいい所ね」
「うん ぼくもそう思うよ」
神山と洋子がいいと思った部屋はワンルームで飾付けがなく
シンプルでモダンな感じだった
神山と洋子は週刊誌に感想を書いた
風呂場と化粧室を見たが記事に記載されている寸法より小さく感じた
ここも写真を撮っておいた
部屋を見終わると 次の物件に移動した
この部屋は寝室とDLKと二部屋に分かれていて 寝室用の部屋も
10畳ほどあり大きかった この部屋も南向きで陽射しが入ってきた
玄関を入るとLDで右側に浴室が南側にありキッチンが浴室の後ろ側に
あってLDの左側に寝室がある ここは東南角になる
神山が気に入ったのはテラスが上原と同じ様に広い事が気に入った
洋子も資料の間取図より大きく感じられると言って写真を撮っていた
風呂場が素敵だった テラスに面していて上原より広く前面ガラスで
覆われ浴槽もジャグジーが付いていた
丁度南西角に位置していた
キッチンはカウンターで仕切られていて これはこれでいいかなと
思い神山と洋子は写真を撮った
部屋のコンセントの位置など写真に撮っておいた
全ての説明が終ったのでこの部屋をでて次の物件に移った
3件目から5件目までは同じ様な感じで資料の間取図通りで
新しい発見は無かった
不動産屋に戻ったのが16時になっていた
テーブルに座るとどうするか神山と洋子は相談していた
営業の女性が言うには 手付金として家賃の半額6万円を
払って頂けるようなら 2週間は抑えるといわれた
手付金は2週間を超えると戻らないが以内なら日割りで戻ると言われた
これは契約をしてもしなくても同じ様に支払われると言った
神山は2件目の部屋が気に入りどうかと洋子に聞いたらOKだったので
2件目の部屋に手付金を6万円洋子が支払った
「自動ドアで 駐車場も広いし 管理人さん居るし 申し分ないと
思うわ 契約する?」
「うん 分るけど一応初心で行こうよ ねぇ」
「そうね 2週間あるしね」
「うん あと周りも調べたいし 酒屋とか寿司屋とか」
「美容室もね」
「そうそう だから 一応手付にしておこう」 
神山と洋子はそう決めて 改めて営業の名刺や領収書を貰った
営業の説明を聞き終わると5時近くになっていた
神山と洋子は御礼を言って不動産屋を出ると
雨が小ぶりになってきたので明日は晴れる事を祈った

すぐにタクシーが来たので乗り込み上原に向かった
車の中で洋子が撮影した写真をバックモニターで見ていた
「2件目は本当に素敵ね 周りは静かだし 今の上原に似ているわね」
「うん 浴室兼化粧室兼乾燥室 一緒だよ ただ前面ガラスには驚いたね」
運転手が話を聞いていたのか
「お客さん達は お部屋探しをされたのですか」
「ええ」
「それでしたら 評判が良い物件をお教えしましょうか」
「何処かあるんですか」
「ええ 実はそこに住んでいた方の まあ専属ドライバーだったんですが
その方が ご実家に戻られたんで 今空家に成っている筈です」
「どこですか それは」
「ええ お客さんたちが乗られた処から車で5分程度の
小高い山の上にある とても静かなマンションです 確かまだ
建てられて2年位だったと思いますよ 廻りはきちんとされた
会社の重役さんの家だったり とにかく静かですね」
「マンションの名前は?」
「ええ xxxxxxマンションです そこの最上階とその方は
仰られてました」
神山と洋子は顔を見合わせた
「その方とは男性ですか」
「いえ 女性で 表参道でファッションのお店を出されていましたがね
何時も決まった時間にお迎えに行ってました 綺麗な方でした
つい先日でした 実家に帰る事になりましたありがとうございますって
少し張り合いが無くなって寂しい思いをしています 
あっ すみません 愚痴を言って」
「いえ ありがとうございます 探します」

話を聞き終わった時に上原の現場についた
二人は運転手にお礼を言って別れた 少し歩いて現場に入った
神山と洋子は内緒のサインを出し互いに頷いた
「孝ちゃん 遅くなりまし済みません」
「やあ 山ちゃんと田所さん いらっしゃい 遅くないですよ
もう終わりですよ」
「えっ そんな」
「うそうそ 今ね 筒井さんが来て皆にコーヒーをご馳走している
だけど 陳列は終ったと言っていたよ」
「そうだね あと飾付けだけど それもほぼ終っているね」
「うん だからさ 筒井さんうれしいんだよ きっと 
それで昨夜の領収書は」
「いいよ たまには」
「わかった ありがとうございます でも済みませんでした」
「人気もんは辛いね」
3人で笑った
「それで 何か追加とか変更はあった?」
「うん それがぜんぜんなにもな~し 退屈しています
商品陳列の時 壊したとか はずれたとか なんにもな~し
ほんと 久しぶりじゃないかな こんな退屈しているの」
「そう 大変だね それで 御殿場コース攻略法を考えていたんでしょ」
「うん まあ 参った 大工も帰りたいって言うけどね
なんかあった時は一人で出来ないし これは山ちゃんが悪いんだ」
「そう 早く進めば山ちゃん 退屈すれば山ちゃん ですよ」
また皆で大笑いしているところへニーナ・ニーナの部隊が
休憩から戻ってきた 筒井が
「山ちゃん ありがとうございます 凄くいいのを造ってくれて
感謝している ありがとうございます それにアルタさんも
一所懸命作ってくれたので感謝しているよ」
「僕は大した事していないですよ 久保さんや現場のアルタの高橋に
御礼を言ってくださいよ ほんと」
「おかげで 仕事が早く進み今 みんなで休憩作戦会議をしていたんだ」
「もう 終わりですか?」
「うん あと飾付けの手直し 商品のバランスチェックかな」
「良かったですね」
「商品が当初予定していたより一割位多く入る事が分ったので
嬉しい悲鳴ですよ あっ 遅くなったけど アルタさんでは常務に
なられると聞いたよ 凄いね それからこちらの方が秘書さん?」
「はい 私は鈴や東京本社神山次長 アルタ担当常務神山さんの
専属秘書の田所洋子です これからもお力になれるよう
努力致しますのでお願いします」
「申し遅れました ニーナ・ニーナの筒井です
確か 本社人事ですよね」
「ええ そうです」
「これから 山ちゃんを支えて下さいね」
「はい ありがとうございます それでニーナ・ニーナさんには改めて
28日の14時にご挨拶にうかがわせて頂きます お願いします」
「はい 分りました お待ちしています」
挨拶が終ったので現場を見てみると祥子が珊瑚の砂を出してきて 
棚などのポイントになる場所に置いていった 
神山が祥子に
「珊瑚の砂は最初は少なめに薄く広げて それからグラスとか置くと
綺麗に見えるよ それと考え方だけど ドーナツのように
真中を開けて構成しても面白いかもしれない 色々と試した方が良いよ
ただし 全部が同じ構成でないとばらばらで訴求力が無くなる わかった」
「はい 分りました あとで見てください」
「うん か 明日早くが良いでしょう」 
神山と祥子がディスプレーの事で話している間に内藤社長が来ていて
筒井と二人きりで相談していたが終ると神山を呼んで
「お疲れ様です 山ちゃん あとで時間を作ってください
直ぐに終ります」
「はい 分りました 僕一人が良いですか」
「ええ では お願いしますね そうですね そうしたら今大丈夫ですか」
「ええ」

内藤社長は高橋に30分位寿司屋に行くといい筒井にも30分ほど
山ちゃんをお借りしますと言って出た
寿司屋に入ると女将が奥の座敷を案内した
「いや 山ちゃんのおかげで我社は安泰です」
「えっ」
「ほら 地ビールさ 御殿場アウトレットがある限り 絶対安泰
いや 本当にありがとうございます 感謝ですよ」
「そんな 何もしていないですよ」
「まあまあ 権利を取得する事が凄く難しいんです
それが まだ誰も手を付けていない地ビールだったんで助かりました」
「良かったですね」
女将がビールと鮮魚の盛り合わせを持ってきた
神山が慌てて
「ごめんなさい 今回はこれだけにして お願いします」
女将が頷きカウンターへ戻っていった
内藤社長が二人のグラスにビールを注いだ
「では 乾杯」
二人でビールを呑むと内藤社長が
「実はここに来て貰ったのは 今のマンションの他に 何処か
住処を作らないとお互いぎすぎすして仕事が捗らないだろうと
考えたわけさ 結局 田所さんと次長室以外で話となると
横浜しかないけど あそこにわざわざいかれない
となると ここら近辺でプライベートな部屋を持つ必要が出てくる
分ってもらえれかな このことはさっき筒井さんにも話をしてある
田所さんが久保さんと鉢合わせしないうちに手を打たないと
仕事が出来なくなる そうするとアルタにとっても痛手なんだよ
だから大至急 探してそこで田所さんと話をして貰いたいんだ」
「ありがとうございます 実は久保さんが居ない日に呼んで
仕事場を見て貰ったんですが あの部屋の出入りは危険が伴うと
思いまして 今日探して 手付金を払ってきました
場所はここと彼女の家と中間くらいで環境も良かったですよ」
「山ちゃんは素晴らしいや もうそこまで気が付いて
手を打っていたなんて 分りました良かったです
すると久保さんも田所さんもまだ何も知らない訳ですね」
「ええ 僕の仕事場兼住居があそこにあると言う事実だけです」
「うん 素晴らしいね 分りました それで住民票など色々と
手続きが大変になってくるので アルタで借ります それと
家具類は山ちゃんが購入してください スタンスとしては
秘密の部屋 ですね」
内藤社長と神山は大笑いした 神山は今日 不動産屋で手続きした
書類一式を内藤社長に渡した
「山ちゃん 最悪法人契約を不動産屋と結べなかった時は山ちゃんの
個人になるけど 大丈夫?」
「ええ 別に構いませんよ」
「分りました 早速明日手配します 午前中には連絡します」
「ありがとうございます 何から何まで」
「鈴やさんにとっても至宝ならうちでも同じ事です
それで 家具類はこれで買ってください お願いします
それと 日産フェアレディーを鈴やさんで買われたと
お聴きしました 済みませんうちでご用意できなくて
本当に申し訳ないと思っています」
「早いですね 西野理事ですか?」
「ええ そうなんです 内緒ですよ 怒られますから」
「はい 分りました」
「では 私は先に帰ります あと筒井さんには私から電話しますから
それと26,27日楽しんできてください あっ26日は仕事でしたね」
内藤社長はそう言って先に出て行った

神山は先ほど置かれた事務袋を開けてみると700万円入っていた
信じられないが バッグに入れ神山も清算して店を出た
現場にもどると筒井が寄って来て
「山ちゃん よかった 今聞いた このことは3人の秘密だ」
「ええ」
そう言ってお辞儀をして店舗内に入るとニーナ・ニーナは
帰り仕度をしていた 祥子が
「ねぇ こうやってディスプレーしたけど大丈夫なのかな」
「うん」
神山は全体を見渡しOKサインを出した
「細かい所は明日僕が直接直してあげるよ」
「ふぁ~ ありがとうございます 助かるわ」
横にいた田所が
「神山さんてそうやって何時も親切だから男女 関係無くもてるのね」
「そんな事無いって さあニーナ・ニーナさんお帰りだからね 孝ちゃん」
神山は高橋の傍に行って小声で
「二人の女性の前で必要以外のことは内緒だよ」
「うん了解です 今 内藤からも釘を刺されました刺激するなって」
そうしている内に ニーナ・ニーナの面々が店舗から出て行った
「お疲れ様」
見送ったあと高橋は大工を返し神山と洋子に
「昨夜食べ残した物を食べたいんだけど また本社応援です
済みません それで明日は昨夜の予定通り行動しますのでお願いします
朝は 9時には来ます それでは失礼します」
「うん残念だけど 明日お願いしますね」

高橋と別れた神山と洋子は
「さあ どこへ食べに行きますか」
神山は時計を見ると18時を少し廻っていた
「私は 駅前寿司で充分よ 美味しいし」
「よし 行こう」
神山は先ほどの件をどこまで洋子に伝えるか迷ったので
内藤社長に電話した
「神山です 先ほどはありがとうございます」
「いえ こちらこそ ありがとうございます」
「ところで 先ほどの物件ですが田所さんには アルタさんの
福利厚生の一環で用意して頂いたと説明していいですか」
「そうですね キーは隣りにニーナ・ニーナさんの事を表現しなければ
良いと思いますが」
「ええ しかし 今後アルタさんで仕事をする上で そのように
しておいた方が 例えば転勤になっても通りが良いと思いますが」
「そうですね 凄い 山ちゃん そこまで考えるとは そうしましょう
実際の支払いは 住宅手当で経費計上しますから妥当でしょ 了解です」
「はい では失礼します」
話が終って中に入ると洋子は奥の座敷に座っていた
「ごめん 遅くなりまして」





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