4月30日木曜日 快晴
神山は携帯電話の呼び出し音で起きた
時計はまだ7時になったばかりだった
「おはようございます 洋子です」
「やあ ありがとう もう直ぐ起きる所だった」
「良かったですね ではこれだけです 会社で」
「うん ありがとう」
電話を切って冷蔵庫からビールを出しテラスに出てみた
爽やかな風が優しく躰をなで今日の昇進を祝っているように思えた
携帯電話が又なったので出てみると亜矢子だった
「朝早くからごめんなさい 亜矢子です」
「やあ おはよう」
「昨夜 電話したんだけど 出なかったから」
「うん 疲れたのか早く寝てしまった ごめんなさい」
「そう それで わかったわ 橘の事」
「良かったじゃないか 理由は?」
「ええ 実は私への嫌がらせだったわ 酷いわね」
「なに それ」
「もう 以前になるんだけど 何回か彼から誘われていたの
だけど 私の好みじゃないし誘いに応じなかったの
で 私はお客さんと仲良く話をしたりしている物だからやきもちを
焼き それが原因だって言われたわ それで橘は厳重注意を受けたわ」
「しかし そんな事されても困るよな 酷い話だね」
「ええ 椿支配人もあきれていたわ ただ彼には5年程前に離婚しているの
そのあと彼女ができたけど 今年正月に分かれて それもあったみたい」
「困ったな 自分で蒔いた種なんだから亜矢子には関係ないのに」
「ええ これで解決したから 静かになると思うわ
また騒いだら 今度は首だって言っていたわ」
「よかったね」
「ごめんなさい 遅くなって おめでとうございます」
「えっ あっ ありがとうございます」
「頑張ってね それから宝くじのお金だけど こんどはちゃんと
一億五千万円 送るわ 私怖いわ」
「うん お願いします」
「近いうちに送金します」
「分りました それと亜矢子は合計4億だよね 今度は建てられるよ」
「ええ お話を待っています」
「うん では」
神山が電話を切るとドアホンが鳴っているので玄関に行くと
「おはようございます 起きた?」
祥子がモニターに写っていた
扉を開けて
「やあ おはよう 今日は早いね」
「ええ 昨夜は早めに切りげて帰って来ました お食事はまだでしょ」
「うん」
「だったら 今日は出来ているから食べていって」
「うん 10分位でいくよ」
「は~い 分りました 待っています」
神山はシャワーで髪と体を入念に洗い祥子の部屋に行った
和食が用意されていて
「美味しそうだね」
そう言い神山は冷蔵庫からビールを出して グラスを食卓に置き
祥子が座るのを待った 祥子が煮物を置いてテーブルに着くと
神山がグラスにビールを注ぎ乾杯をした
「おめでとうございます 頑張ってくださいね」
「うん ありがとう がんばるよ」
祥子は神山と久しぶりの朝食なので嬉しかった
一口食べては神山の顔をみてにこやかにしてまた箸を動かしていた
神山も久しぶりの家庭料理を有り難いと思って感謝していた
綺麗に食べ終わると神山と祥子は
「ご馳走様でした」
そう言い 席を立ち食器類をさげ神山はソファーに座ってお茶を飲んだ
TVをつけて見るとアレックス氏の来日とアレックスジャパンの事を
報道していた アルタや御殿場アウトレットの件は報道されなかった
神山は洋子に電話をしてアレックスジャパンの件を話をした
「ごめん 今日アルタに行くまでにアレックスジャパンの株や
売上など それに平行してアレックスJrの素行関係の記事を纏めてほしい」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 出来ています」
「ありがとう さすがだ では会社で見せてもらうね」
神山の電話が終ると祥子がソファーに座って
「大変ね そこまでお仕事するわけ」
「うん こちらが仕事を優位に進めるには 相手を知らないとね」
「そうね 素晴らしいわね」
祥子は神山のほほに軽くキスをしてきた
神山は正面から唇を合わせ祥子を抱きしめた
二人はベッドに倒れ交わった
祥子は久しぶりと言って 寂しかったとも言った
久しぶりの肉棒を思い切り楽しんだ祥子はあっけなく昇天し
まだ元気な肉棒で再度 膣の中で楽しんだ
神山も今度は昇天してしまい祥子も併せるように昇天した
時計を見ると8時30分になったので部屋に戻る仕度をすると
「今夜は早いの?」
「全然 わからない 読めないごめんなさい 出勤は」
「ええ 9時ごろ出ますが」
「うん 僕はもうすぐ出かけるよ」
「そうね お仕事が広がったもんね 電話を下さい」
神山は頷いて部屋を後にし 出かける用意をし部屋を見わたした
久しぶりに地下鉄で出勤をし銀座に9時10分に着いた
次長室に入ると洋子が
「おはようございます ここに用意してあります」
洋子がソファーに着るものを並べて待っていた
神山がGパンを脱いでスーツのパンツを穿こうとした時洋子が
「これはご褒美です」
と言っておちんちんにキスをした
「大変なご褒美だ ありがとう」
神山はさっさと着替えると9時30分まであと15分になった
洋子も一番素敵な高額なスーツを着ていて
「はい 一廻りしてください」
神山は言われた通りゆっくり廻ると
「はい 異常なし 出かけましょう」
二人はお揃いのスーツで本社の秘書室へ向った
エレベーターを降りると皆が待っていて拍手が沸いているなか
神山と洋子は秘書室に行った
暫くすると秘書室長が
「これから 特別人事命課を行います」
そう発表されると神山は秘書室の部屋に入った
社長の権田三朗 副社長の時田 理事の西野 など理事が全員列席していた
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って東京本社次長を任命する
平成10年4月30日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
神山は社長の権田三朗から辞令を貰った
「特別命課
神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタの勤務を任命する
平成10年4月30日 株式会社鈴や 社長 権田三朗」
今度の人事命課でアルタで働く事が許された
神山は特命辞令を社長の権田三朗から受け取った
列席していた理事たちから拍手が沸いた
社長の権田三朗が近寄ってきて
「神山君 頑張ってください 期待しています」
「はい ありがとうございます ご期待に添うよう頑張ります」
また拍手が沸いて 神山の儀式が終った
池上店長が
「おめでとうございます 頑張って ワシは銀座店があるから失礼する」
池上店長は屋敷徹の人事発令を行う為慌しく部屋を出て行った
銀座店の秘書課では当初の9時30分より5分遅らせ準備していた
池上店長が戻ると早速人事命課が始まった
「屋敷 徹 殿 右のもの 本日を持って販売促進部催事課装飾デザイナーを
任命する
平成10年4月30日 銀座店店長 池上 聡」
辞令を受け取った屋敷徹は早速催事課に行って待ち構えていた
スタッフに挨拶をした
杉田は神山のような上司がくると信じていたので驚いたが
逆に頑張る意欲が湧いてきた
一方本社秘書室では理事たちがさり社長の権田三朗と
副社長 時田清三郎 神山の3人だけになった
当面課題になる御殿場アウトレットについての方向性などの意見を
聞かれ 昨日洋子に話をした要点をわかりやすく説明した
社長の権田三朗は
「うん 素晴らしいアイデアだ 誰も考えつかないだろう なあ時田さん」
「ええ 私も始めて聞きましたが そこまで考えているとは
思っていませんでした」
「うん そうだ 何かこじれたらワシの名前を出していいぞ いいね
ただし これは勘弁してくれ」
社長の権田三朗は小指をだして笑いながら言った
「社長 外に私の秘書がおります お呼び致しましょうか」
「うん 頼む 会って見たいな」
神山は外で待っている洋子を呼び部屋に入るよう指示した
「おはようございます 先日神山次長の専属秘書を命じられました
田所洋子です」
「ほう 綺麗な方だ 神山君頼んだよ それにしても二人とも
いいスーツを着ているな 羨ましいな なあ 時田さん」
「ええ 私も神山さんが スーツで出席するとは思ってもいませんでした」
「実は初めてです スーツ姿は」
「ほう 普段は?」
「ええ Gパンにジャケット ノーネクタイです」
「そうか 倉さん流だな それでもこれだけの地位になったんだ
ワシもノーネクタイにするかな」
「しかし Gパンはちょっと」
みんなが笑って お開きになった
神山は部屋を出ようとした時に社長の権田から包みを渡され
「ワシからのプレゼントじゃ 有効に使ってくれ 頼んだよ」
「はい ありがとうございます」
そして副社長 時田も包みを神山に手渡し
「これは ワシからの気持ちじゃ また足りなかったら来なさい いいね」
「はい ありがとうございます ご両人から頂いた物を有効活用いたします」
そう言い部屋を出ると秘書室で新しい名刺を貰った 秘書室長が
「神山次長 おめでとうございます こちらの名刺はアルタさんと話し
作りました」
神山は見てみるとアルタと鈴やの肩書きが入っている名刺だった
秘書室長が紙袋を用意してくれたので包みをその中に入れて
「室長 これから忙しくなりお手数を掛ける事が多くなります
よろしくお願いします」
神山は洋子と挨拶をして部屋を出て各理事のあいさつ廻りをした
各理事とも封筒を用意していて軍資金を差し出してきた
みんなに挨拶が終ると洋子の古巣人事課や秘書課に挨拶をして
エレベーターで待っていると人事課の先輩や安井がきて洋子に
「これ 神山さん おめでとうございます 洋子をお願いしますね」
神山は綺麗な色が混ざったバラの花束をもらった
「どうもありがとうございます 洋子さんはびしびし鍛えます」
みんなは大笑いして拍手をしてくれた
エレベーターで下がり次長室に向っているとすれ違う社員がお辞儀をし
挨拶されるので神山は頷き返した
神山と洋子は池上店長を訪れ改めてお礼をした
「頑張ってな 期待している なんでも言ってください協力します」
「ありがとうございます 頑張ります」
「そうだ 日本酒とビール 届いている ありがとうございます」
「どうでした」
「うん 美味しいよ 久しぶりだなあんなに美味しい日本酒は」
「良かったです では失礼します」
神山が帰ろうとした特 池上店長が包みを持ってきて
「何かと掛かるだろう これを足しにしてください 気持ちじゃ」
「はい ありがとうございます」
神山と洋子は丁寧にお辞儀をして店長室を出ると秘書課で
「神山さん おはようございます それとビール美味しかったわ」
「良かったです そのうちここで買えるようになりますよ」
「ほんと 嬉しいわ だけど神山さんがいなくなるんで寂しいわ」
「ははは ちょくちょく来ますよ 大丈夫ですよ ご安心下さい」
「お願いね ちょっと待っていて」
そういうとデジカメを用意して 神山を中心に秘書課の女の子と
記念撮影をした
「田所先輩も入ってください」
洋子が神山の隣りに入ってもう一枚記念写真を撮影した
「ありがとうございます」
神山は手を振って秘書課をあとにすると販促部長席に行き挨拶を済ませた
色々と挨拶回りをして最後に催事課についた
部屋の中は屋敷の加入で賑わっていて
「部屋の中が騒々しいね」
「ええ 新しい屋敷君でしょ」
神山と洋子はそう話して入っていくと更に騒がしくなった
「やあ 山ちゃんじゃない 次長 おめでとうございます」
「いいですよ 課長 山ちゃんで」
「しかし 凄いね 人気だね」
「えっ」
「うん 社内から神山次長はおられますかって さっきから電話が多くてね」
「まあ 勘弁してください」
「山ちゃん それにしても格好いいね 決まっているよ」
「そうでしょ 洋子さんと一緒ですよ」
「そうだね ほんと田所さんもなんか凄く綺麗だよ 眩しいよ」
そこへ屋敷が近寄ってきて
「神山先輩 おめでとうございます 神山先輩に負けないよう頑張ります」
「うん 頼んだよ 翔を兄貴と思ってしっかり支えてな いいね」
「はい 分りました ありがとうございます」
そう言いお辞儀をしていると後ろから杉田が
「先輩 おめでとうございます 逆だったのでビックリしているんですが
先輩の名を汚さぬよう頑張ります」
「うん 頼んだよ 翔ならいい兄貴になれるよ ねぇ洋子さん」
「ええ 大丈夫ですよ やってくれるわよ」
「はいありがとうございます」
今度は倉元が
「おう 山ちゃんおめでとうございます 頑張ってな ワシも応援するよ」
「はい ありがとうございます ところで筒井さんの件 ご存知ですか」
「ああ 倒れたんだろ 今朝聞いた 昼からいこうと思っている」
「そうですか 昨日伺ったんですが 夜に電話がありまして
今週中には退院出来る事になりました」
「おう そうか よかったなそれは」
「ええ まだ細かい所は判らないそうですが勤務に支障が無いみたいです」
「うん ありがとう 山ちゃんも働き過ぎるなよ」
「ええ 時間を作って休みます」
「うん それと日本酒が届いた ありがとうございます」
「あの日本酒をここで買えるようにしたいんです 練っているところです
内緒ですよ」
「おう そうか楽しみが増えるな 分った内緒だ」
みんなと挨拶を終えて部屋を出るとき由香里が
「これからも頑張ってね 応援しているわ」
そう言い花束を神山に渡した 少し目が潤んでいた
「ありがとうございます 隣りなんだから元気出して」
由香里は何も言わずお辞儀をして催事課の部屋に戻った
神山と洋子はようやく次長室に戻るとソファーに座り洋子に
「ねぇ 洋子 ご苦労様でした コーヒーをくれる」
神山は本当に疲れ果てた 洋子がコーヒーをだすと一息で飲んで
「ビールが良いや ビールを下さい」
「は~い 分りました ゆっくりしてくださいね」
神山はどうしてこんなに疲れるのか判らなかったが
交わりの事を思い出した
昨日は朝早くから亜矢子 昼から洋子 そして今朝 祥子と
休んでいなかった なるほどと思った
神山は次長席に置いた紙袋から包みや封筒を取り出しあけた
すべて現金だった
社長の権田は現金1千5百万円と東海4県ガソリン無料カードが入っていた
副社長の時田は現金1千万円 西野理事からは現金300万円と
首都高 東名、中央高速の無料カードが入っていた
その他の理事11名も各300万円入っていて本社で合計6100万円
神山は驚いて 洋子に積み上げた札束を見せると
「なに これ 凄すぎるわね 私が知っている限り 多くて7百万よ
けた違いね ふぁ~凄い」
神山は更に池上店長の包みを開けてみると1千万入っていた
積み上げると洋子は
「なんて額なの なんか信じられないわ」
結局7100万円のご祝儀が有った事になる
神山はそのうちの1千万円を取り洋子を呼ぶと
「これは臨時ボーナスだ 受け取ってください」
「へぇ~ だけどこれは軍資金でしょ」
「大丈夫だよ 任せなさい 受け取らなければ僕が貰うよ」
「はい 分りました 頂きます ありがとうございます」
「うん よし それで僕は1千1百万円を貰う いいね」
「はい 分りました」
「それで 残った5千万円だけど 代々木に1千万置いておきます
あと 2千万づつ保管 頼みます」
神山は洋子に2千万円を渡し残った2千万円を自分の引き出しに入れた
「あ~あ くたびれた」
次長席で背伸びをしていると洋子が
「お休みになられるんでしたら着替えて方が良いわよ」
「そうだね そうだ洋子 ニーナ・ニーナにいこう」
神山は着替えるとそのまま横になるのでカード入れを買いに
ニーナ・ニーナに向った
店内に入ると女性の社員が
「神山次長 おめでとうございます」
と挨拶されるので 頷いて挨拶を返した
ニーナ・ニーナには祥子もいて神山を迎えたがビックリした様子で
「ファッションショーのモデルより素敵です 良かったです着て頂いて」
「うん ありがとう 実はカード入れを買いに来ました」
祥子はいくつか見せ神山は札入れと同じつくりのカード入れを買った
帰る時に祥子が神山と洋子に
「済みませんが記念写真を撮らせて下さい」
と言われ 神山と洋子が並んだ写真を何枚か撮影した
「筒井もこれで満足してくれると思います ありがとうございます」
神山と洋子はお辞儀をしてニーナ・ニーナをでて次長室に戻った
「あ~あ ようやく前半戦終了だ」
「そうですね 後半戦が控えていますよ」
神山は時計を見ると12時少し前だったが
「洋子 築地にいこう 催事課の若いの連れて」
「ええ いいわ」
神山はGパンに着替え 出掛ける仕度をして
催事課に行ってみると皆がいて
「あれ これからアルタに行くんでしょ」
杉田が着替えをした神山に言った
「うん 翔 屋敷を誘って築地にいこう」
この声が聞こえたのか参加者が増えた
結局 倉元 杉田 屋敷 由香里 神山 洋子の6人になってしまった
2台のタクシーで銀座築地 寿司屋いせ丸にきた
神山が入ると女将が
「神山様 ご昇進おめでとうございます
何時もご利用をありがとうございます」
「ありがとうございます 今日は新人を連れてきましたよ」
女将が奥の座敷を案内してくれた
部屋に入り 神山と洋子が上座に座って落ち着くと
女将がビールとおつまみ 鮮魚を運んできた
倉元の音頭で乾杯が行われた 神山は
「倉さん 僕は早く出ます ここに10万入っていますので
お会計をお願いします 足りない分はあとでお返しします」
「おう 余ったら呑んじゃうぞ」
「ええ 構いません」
二人は相談が済むとみんなで屋敷と杉田をもちあげ楽しかった
盛り上がって話をしていると倉元が小さな声で
「ところで山ちゃん 秘書室で何かあったか」
「いいえ別に 社長の権田さんと副社長の時田さんと雑談程度ですが」
「そうか いやね 先ほど副社長の時田さんから電話があって
社長の権田さんが大変喜んでいる 倉さんありがとうって
こちらは訳がわからず はい ありがとうございます だよ」
「もしかしたら スーツで行ったところ 時田さんが
スーツ姿を私は初めて見ました と言われ 普段はGパンに
ジャケット ノーネクタイですって言われたんです そしたら
倉元流かって言われて Gパン穿いてもここまでくるって
そこじゃないですか だって社長の権田さん おれもこれからは
ノーネクタイだって そう言われてましたよ 冗談でしょうが」
「おう そうか 仕事はスーツじゃない これが分ったんだね」
「ええ そうだと思います」
時計を見ると12時30分になっていたので洋子に
巻物などご飯類を頼んでもらった 倉元が又小さい声で
「山ちゃん 由香里姫を頼むよ 誘ってくれ」
「駄目なんです 洋子さんにばれました 倉さんの事も
金輪際駄目なんです」
「そうか オレしかいないか よし頑張ろう しかしな酒呑むと
元気が出ないんだ 困ったな」
「済みません 頑張ってください」
「おう しかし困った うん」
ふたりでこそこそ話をしていると由香里が
「なに こそこそ話しているの いやね」
「うん 由香里姫が今後大変になるって そんな事です」
「山ちゃん だめよ そんな」
「だって 若いの増えれば翔で大変なのにね 大変でしょ」
「そうね」
「だから 埋蔵金の話をしていたの で倉さん鈴や装飾に
10万預けてありますから 使ってください」
「おう わかった 使うよ」
「なんか変ね 怪しいわ」
この席では由香里は洋子と離れて座っていた
洋子はもっぱら杉田や屋敷と話をしていた
神山と洋子のご飯類が運ばれ
「すみません あとが有りますのでお先に頂きます」
二人は食べながらも話をしていた 賑やかで笑い声が耐えなかった
「倉さん お先に失礼します」
神山と洋子は寿司屋を出るとタクシーで部屋に戻った
「どう 楽しかった」
「ええ 若い人って いいわね」
「うん翔はいい奴だから 屋敷君も伸びるよきっと」
時計はまだ13時になったばかりだった
洋子が作ってくれた資料を次長席でコーヒーを飲みながら目を通した
分らない事が有ると洋子を呼んでそれでも分らない時はPCで調べた
神山は
「よし 作戦は出来上がった どう出てくるか楽しみだ」
そう言ってタバコを吹かしていると洋子が目の前で着替え始めた
神山は黙ってみていたが自身も着替え始めた
Gパンを脱ぐと元気になっているおちんちんを洋子が発見して
「まあ いやらしい 早く小さくしてよ 間に合わないわよ」
「うん でもな」
洋子は神山に近づきおちんちんを撫でたと思うと思いっきり叩いた
「なにするんだ 痛いよ」
「ほら 小さく成ったでしょ」
言われると今の衝撃で小さくなっていた
「感謝してもいいでしょ」
「わかった ありがとうございます」
神山と洋子はお互いのスーツを確認しあって異常がなかったので
部屋を出ると催事課の倉元と由香里にばったりであった 倉元が
「おう 山ちゃんこれからか そうだこれお釣り」
倉元は現金と領収書を神山に渡すと
「何とかするから 気にするな」
と小さい声で耳打ちしてきた 神山は大袈裟に
「ありがとうございます」
と深々と頭を下げてその場を後にした
ホテルの地下駐車場から貴婦人をだし
アルタまで運転するのは神山だった
渋滞に捕まる事無く文京区のアルタ本社に着いた
時間はまだ充分あったので受付嬢の小谷は仕切りのある
待合室を案内して神山達は待った
しかし約束の14時を過ぎてもなかなかお呼びが掛からないので
洋子が小谷に訳を聞きに行くと
「外人のお客様とお食事にいかれ まだ戻って来られないんです」
小谷も少し不安になっているところへ内藤社長たちが帰ってきた
一緒だったのはアレックス氏と夫人 アレックスジャパンの
アレックスJr社長と副社長ボーン シュナイダーといった面々だった
神山と洋子は待合室で随分と待たされたが 小谷から
「お待たせして済みませんでした こちらへどうぞ」
といって7階の秘書課に案内され待たされた
秘書課課長が神山と洋子を呼んだので社長室へ入った
社長室は先日の役員が全員並んでいた 内藤社長が辞令を読み始めた
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
意匠担当常務を任命する
平成10年4月30日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
神山が一歩でて人事命課を頂き下がろうとすると そのままでと言われ
「特別命課 神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って
株式会社鈴や東京本社勤務を任命する
平成10年4月30日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
神山は今度は下がって 洋子のところに並び待つと洋子が呼ばれ
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
意匠担当常務 神山 龍巳の専属秘書部長を任命する
平成10年4月30日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
洋子も下がろうとするとそのままでと言われ
「特別命課 田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って
株式会社鈴や東京本社勤務を任命する
平成10年4月30日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
これで正真正銘2つの会社で勤務する事ができるようになった
辞令交付が終った時に役員から拍手が沸いた
神山と洋子は皆にお辞儀をして挨拶をした
内藤社長が近寄ってきて
「これから直ぐにアレックスグループと会います まず挨拶をお願いします」
「はい 分りました」
内藤社長と神山と洋子は6階の応接室に入ると
ソファーに座っていた4人が立ち上がって内藤社長を迎えた
「ではアレックス氏 私どもの強力な人間を紹介します
さあ 神山さん田所さん どうぞお入りください」
神山と洋子が部屋に入った時 アレックスグループは皆驚いた
「おお あのときのあなたか」
神山はこうなる事を予測していて
「脅かすつもりは全然無かった ただお会いした時はアルタの社員では
なかった しかし今はアルタの社員です よろしくお願いします」
アレックス氏が
「貴方なら 知っている 全てを任せることができる」
「素敵だったわ ここでお会いできて幸せよ」
アレックス氏の夫人が言った
洋子と夫人がアレックス氏と神山が抱き合って再会を祝った
内藤社長も訳が分らなくて どう進めるか神山に任せた
アレックス夫妻の挨拶を終ると 今度はJrとボーンの
アレックスジャパンとの挨拶になった
Jrは
「もう 投げないでくれ 柔道が素晴らしいスポーツと分った」
「うん もう投げない しかし御殿場アウトレットが順調に
進まなかった時は投げる」
「もう いやだ 神山の強さは充分分っている」
「わかった そうしたら私をアレックスジャパンの最高顧問にしなさい
私は部下を一回も投げた事が無い どうする?」
「私より 権限があるのか」
「当然だ 貴方の努力が足りないから日本のマーケットでは
どんどんと下降線を描いている これでもいいのか
私は御殿場アウトレットを基盤にして業績を良くする
これでも分らないか」
神山は洋子に作ってもらった資料を見せ悪い所を説明し
最善策を分りやすく説明した
「少し待ってくれ 父親と相談する」
アレックスJrはアレックス氏と相談したが父親は
「おまえは 神山さんに負けたんだ 今の話を聞いていても
きちんと整理され分りやすかった
短時間でこれだけ業績分析を行ったのは珍しい
私は彼が社長でもいいと思っている
彼は絶対に会社を再建してくれる 彼の言う通りにしなさい」
アレックスJrが神山に
「お願いします 再建してください」
「わかった 会社の対外部についてはアレックスJrでいいが
決定権は全てこの私にある それでいいな」
「任せる」
神山は洋子に今のことを全て書いて大至急契約書を作ることを指示した
洋子は事の成り行きを全てメモを取っていたので直ぐに文章に出来た
原案ができるとJrに見せ 頷くとアレックス氏に
チェックしてもらったが
「神山さん 貴方だったら社長でもいい 迎えたい 考えてくれ
ここにかかれた事にはOKだ 頼んだよ」
神山は頷き 内藤社長にタイプ室を教えてもらって洋子が
契約書をタイプした 待っている間にアレックス氏と雑談した
「いつまで日本にいますか」
「うん 3日くらいはいてゆっくり骨休めをする」
「この間 踊りすぎたんではないか」
「いや 良かった 洋子のお尻は最高だ」
それを聞いていた夫人から
「また そんな事ばかり言っているわ」
3人は大笑いした Jrとボーンはしょぼくれて元気が無かった
洋子がタイプした契約書を2通持ってきた
要約すると アレックスジャパンの最高責任者は神山龍巳であること
人事権を含む全ての権限があること アレックスジャパンの
全てのメディア対策制作権限はアルタが行うこれは御殿場アウトレット
だけでなくアレックスジャパンの商圏全てにこの権限が最優先される
以上 この契約は1998、4、30から効力を持つ
この契約に違反した場合は 神山 龍巳の人事権が発令される
アレックスジャパン アレックス氏 神山 内藤社長 のサインが
出来る様に下をあけてあった
神山はまずアレックス氏に見せOK JrもOK 内藤社長もOK
全員が サインする前に神山がアルタの会議室で
この契約書を交わしたと自筆で追記した
まずアレックスジャパンの両名 アレックス氏 内藤社長 神山と
サインをして 立会人として洋子の名前もサインさせた
神山は2通のコピーを洋子にお願いし またアレックス氏と話をした
御殿場アウトレットの概要を話すと喜んで協力すると言った
「そうしたら その広場にF-1を飾っても良いね」
「そうですね その下のレベルでイベントを考えていきましょう」
「うん 来年が楽しみだ」
「我社も頑張って業績はいい しかし利益はけた違いなので
資金は全て出してほしい わたし達は能力を提供する」
「構わない 神山さんに全面的に資金協力する」
「契約書は作るか」
「そんなもん入らない 日本は任せた 神山さんとアルタさんに」
話が終ると洋子が原文をアレックスJr 神山 コピーを
アレックス氏 内藤社長に渡し封筒を一緒に渡した
そろそろ時間だから帰ろうとするアレックス氏に
「私の就任パーティーが2日12時にホテルオートモで行うが
参加されますか?」
「うん 宿泊しているから顔を出すよ」
「1分のスピーチをお願いできますか?」
「おう たった1分か するよ」
アレックス氏はウインクして
「夜 踊っているから寝ているかも分らない 起こしてくれ
部屋の番号は 2011号室だ 頼んだよ」
「ええ ホテルの人間がお迎えに伺います」
「うん 楽しみにしている では失礼するよ」
神山とアレックス氏は抱き合って別れ 夫人も洋子と抱き合って
別れる時に
「早く一緒になりなさい いい男よ」
「ありがとうございます 頑張るわ」
夫人がウインクして別れた
アレックスJrも
「ボス 頑張るから もう投げないでほしい」
笑顔で握手した ボーンも
「ボスには従うから投げないでくれ」
こちらも笑顔で握手して別れた
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