「今 自分が言っただろ」
「ああッ またはまった もう」
「まあ ほんと良かったな」
神山はまた引き出しの中を整理し始めた 杉田が寂しそうに
「先輩 僕が居ない時にお願いします 辛いですから」
神山は
「そうか わかった ごめんな」
そう言いダンボールを纏めていると内線が掛かってきた
神山が躊躇していると杉田がでて
「はい 催事課の杉田ですが」
「私は隣りの田所です 今の応対は120点よ」
「えっ 試したんですか ひどいな~ このごろ直しているんですよ」
「そうね いいわよいまので 試したんじゃないの 神山部長は居ますか」
「はい 代わります 先輩 洋子さん」
「うん ありがとう はい神山です」
「いま納車です 至急パーキングまで来てくださいって 西野理事から」
「わかった なにか持っていくものは」
「ええ 会社だから不要と仰られていたわ」
神山は翔に
「ついてくるか 納車だ」
「いきます」
神山と杉田はパーキングの事務所に駆け足で向った
洋子は後から歩いてきた
(まあ 駆け足して 嬉しいのね
いいわね男っていくつになっても無邪気になれるのね)
フェアレディーZが置いてある場所に行くと西野理事が
「早く来たよ ビックリした」
「ありがとうございます 綺麗だなこの曲線」
「山ちゃん こちら今回お世話になった日産の方だ」
神山と日産の部長が挨拶を終ると 簡単な説明がされた
全てを聞き終わると 部長が
「これが車の鍵です 以上で終わりです」
西野理事がちょと一回りしてくればと進められたので
助手席に洋子を乗せて走った しかし込んでいる道なので
3速で充分だった ハンドルは敏感に反応してくれて楽だった
1周してくると西野理事が
「どうだ山ちゃん なにか問題点は無いか?」
「ええ いまのところ無しです ただトップを入れていないから
分りませんが 今日 静岡へ行きますから試します」
「わかった では部長さん ありがとうございます
また なにか発生しましたらご連絡いたします」
西野理事は神山に
「では 大切に頼んだよ」
「はい 分りました ありがとうございます」
西野理事が戻っていくと洋子が
「ねぇ 首都高を1周しましょう 時間はあるわ」
「うん そうしよう じゃあ 翔 悪いけど 次ぎ乗せるから」
「はい 分りました 行ってらっしゃい」
「最初は私が運転していい?」
「うん 構わないよ 途中で降りて交代しよう」
「そうね」
洋子はフェアレディーZの運転席に乗り込むと体を包んでくれる
シートに満足をしていた
エンジンを掛けると
「良い音ね 素敵だわ」
洋子は直ぐに発進させ巧みなハンドル捌きで直ぐに高速に入った
トップに入れて走り回っているとあっという間に渋谷にきた
下に降りて運転を交代するとやはりトップで走ってもまだまだ
余力を残していた 暫く走っていると銀座の出口が迫ってきて
下に降りると鈴やの前にあるホテル禅の地下駐車場へ止めた
「いいわね この音好きよ」
「うん スムーズにシフトが出来るね」
話していると警備員がこちらに来たので名刺を渡し
「これからお世話になります よろしくお願いします」
警備員も帽子を取って挨拶をした
「さあ お昼はどうする」
「ええ ニーナ・ニーナさんは2時でしょ」
「うん 時間はまだ2時間以上あるな そうしたろしゃぶしゃぶはどう」
「ええ いきたいわ~」
神山と洋子は近くのしゃぶしゃぶに行った
夜は高いが平日の昼間はランチタイムで美味しいお肉を
格安で提供している店で女性客にも人気が高い
ショッピングビルの3階にありエレベーターを降りて直ぐにお店が在った
まだお昼休み前だったので比較的空いていた
店員に案内され ビールと定食2人前を注文した
直ぐにビールが出され神山と洋子は
「貴婦人に乾杯」
ふたりは美味しそうにビールを呑んだ
神山は
「このお店の良い所は 安くて美味しい それかな」
「だけど夜は高いんでしょ」
「うん 勿論お肉が違うと思うけど 4500円からだよ
来た事無いけどね 以前夜のメニューが誤って置いてあり
驚いて 帰ろうと思ったよ」
「夜はそんなに高いんだ やっぱり昼でいいわね」
しゃぶしゃぶの用意がされお肉がくると直ぐになくなり
追加注文をした 洋子は
「ステーキもいいけどこう言ったさっぱりもいいわね」
「うん 結構さっぱりと頂けるね ポン酢も美味しいし」
お肉と野菜を食べて最後はきしめんをこのスープで頂く
スープの中に塩と胡椒 ねぎを入れると美味しい
ご飯を入れてお茶漬けのように食べる人もいる
デザートを出されそれも食べ終わるといい気もちになった
部屋に戻ると洋子に1時間昼ねすると言ってソファーに横になった
昨夜は早く寝たのにまだ眠たく直ぐに寝てしまった
暫くすると洋子が
「あなた そろそろ起きて下さい 時間です」
神山ははっとして起き上がり
「ありがとう 気持ちよかった 抜けたな コーヒーを買ってくる」
そう言い神山はコーヒーを買い部屋に戻った
「はい 洋子の分」
神山は洋子にコーヒーを渡すと次長席の引出しから50万円だし
財布に入れ洋子がコーヒーを飲み終わると
「さあ そろそろいこうか 大丈夫」
「ええ 行きましょう」
ふたりは駐車場にいってフェアレディーZに乗り込んだ
運転は神山がした
「ねえ 洋子さ今日だけど 例の東都食品の調査 あれ 明日で良いから
今日は留守電で帰宅して良いよ」
「えっ ほんとですか」
「うん 1日からだろう煩くなるのは だから休める時
休んで でなかったら今日ある程度しあげ明日は休みでいいよ」
「分りました 今日頑張ってあした休みます」
「もしかして 明日早かったら代々木に行きます
13時までに電話するけどなかったらお母さんと夕飯を食べてね」
「は~い 分りました でもいいの 一人で」
「僕より 母親だろ 一緒にいられる時は一緒にね」
話している間に青山のニーナ・ニーナについた
まだ時間まで充分あったがエレベーターで6階に行くと
受付があり
「神山さまお待ちしておりました どうぞこちらへ」
受付嬢に案内されたのは応接間だった
お茶を用意され暫くすると 筒井副社長ら3名が部屋に入ってきた
筒井は神山を見ると挨拶抜きで神山に近寄り
「先日は 本当に感謝しております ありがとうございます」
深々とお辞儀をし挨拶された
神山は
「筒井さん さあ頭を上げてください」
筒井たち4人はゆっくりと頭を上げ神山を見ていた
「筒井さん良かったじゃないですか おかげで僕は後輩から
色々と言われていますよ」
「ええ 杉田さんも遅くまで上原でがんばって頂き感謝で一杯です
さあ どうぞお掛けください」
神山は礼を言って座った
「本当は人事命課のあとに伺うのが本筋ですが 30日を過ぎると
こちらに来られるのが遅くなると危惧して今日伺いました」
「わざわざご丁寧にありがとうございます」
「私は30日の人事命課で東京本社次長になります で隣りの
田所さんは部長 私の専属秘書として働いて貰います
彼女は4月20日に人事命課を頂いていまして現在は
一緒に行動をしています 尚 4月30日は鈴やだけではなく
アルタの担当常務で入社します 田所さんも部長 私の専属秘書で
入社します 筒井さん並びに皆様にはこれからもお世話になります
よろしくお願いします」
「ご丁寧に 本当にありがとうございます それと神山さんにご注意を
受けたことにより今は一枚岩になり頑張っています
その件についても 感謝いたしております ありがとうございます」
筒井が終ると 祥子と浜野が
「本当に恥ずかしい所をお見せし失礼致しました
ご指導を承り現在 浜野も職務を忠実にこなしています
本当に神山様のお陰です 上原も順調な売上でこれも神山様を中心に
造っていただいた宝物だと思って仕事をしています」
祥子が終ると 浜野が
「先日はありがとうございます 目が覚め人の大切さを実感しています
これからもどうぞ至らない所がございましたらご指導のほう
宜しくお願い致します」
全員が終ると筒井が電話で受付に例のものを持ってきてくれと言うと
受付嬢が部屋に入ってきて筒井に手渡した
「山ちゃん これは日本いや世界でたった一着のスーツだこれを着て
くれないか 私だけではなくニーナ・ニーナジャパン皆からの
プレゼントだ 受け取ってくれないか」
神山は少し考えてから
「はい ありがとうございます 大切にします」
「よかったわ」
ニーナ・ニーナの面々が喜んで拍手が沸いた
「山ちゃん さあ開けて来てください」
神山は携帯ハンガーから出すと 洋子の着ているスーツと同じ生地の
スーツだった
「わあ 格好良いですね もしかして田所さんのスーツと同じ生地ですか」
「うん そうです 早速そちらの部屋で着替えてください」
神山は案内された部屋で着替えると結構動きやすかったし軽かった
「こんな感じです」
神山が みんなに分るよう廻ると
「凄い似合うわ すてきね」
と口々に誉められた 洋子も素敵ですと言っていた
神山はしわになるので今までのGパンスタイルに着替え席に戻ると
シャンパンが用意されていた
「それではささやかですが ご昇進お祝いおめでとうございます 乾杯」
神山はちょっと口につけ筒井に
「今日 車で来たんです 済みません」
「いつも車じゃないか」
「あっ 自分の車です 勿論 会社もちですが」
「えっ 自分の車って 会社が買ってくれたの?」
「ええ そうです 先ほど納車され 今銀座から乗ってきました」
「へぇ~ みんな 山ちゃんは会社から車をプレゼントされたんだ
君たちも見習いなさい いいね」
「はい 分りました」
「なので 田所さんは運転しませんから勧めてください お願いします」
「わかった 悪かったな 知らなかったもんだから 今度ゆっくり」
「ありがとうございます このスーツは 紳士は扱っていないですよね」
「3年程前にニーナ・ニーナのファッションショーが開かれた時
作られた特注品で 男性モデルが着た最初で最後のスーツだよ
3人だから3着作って ニーナ・ニーナパリ本社
ニーナ・ニーナニューヨーク そしてニーナ・ニーナジャパン ここに
納められたんだ だから世界で一着しかないんだ」
「いいんですか 僕みたいな者が頂いて」
「うん 我社を救ってくれた恩人だからね 皆もそう決めていたみたいだ」
「分りました ありがとうございます そうすると靴とシャツを
揃えないといけないですね ふぁ~大変だ 田所さん」
洋子が
「優しい心温まるお話ですね ありがとうございます 神山も
今まで以上 男に磨きが掛かると思います
今後もお力添えをよろしくお願いします」
またみんなから拍手が起きた
筒井が
「さあ 堅苦しい話はここまで 少しですが楽しんで下さい」
「山ちゃん 今夜はどう?」
「済みません これから静岡です 車で」
「えっ 静岡 御殿場ではなく」
「御殿場も入りますが 行く所は静岡です」
「なんなの?まあ仕事だろうが」
「ええ まだ決まっていないので公表しないで下さい」
神山はアルタと老人ホームの件を掻い摘んで話した
「へぇ~ 山ちゃん 何でも出来ちゃうね 僕には付いて行けないや」
「そうですよ 副社長と中味の構造が違いますよきっと」
「私も凄いと思いましたもん だって池上店長さんを整理要員に
しちゃうんですよ それで池上店長さんは何も言わないでお客さんに
もまれながら一生懸命でした それと商品がなくなる前にマイクロで
銀座にお客さんを運ぶなんて誰が考えますか それと副社長も
仰られましたが 入場制限のタイミング
正直 神山様があの場に居なかったら
どうなっているんだろうと考えると怖いです」
「ありがとうございます ただ普段から考えている事を
実行しているだけで 特別な事は無いですよ
一つ言えるのは 僕一人では出来ません 協力してくれる人が
居るから出来るんです それだけですね」
「あのあと知っている 聞いた?」
「いえ、、、?」
「1階のフロアだけではなくて 地下食料品が凄い売れたんだって
結局 人が人を呼んだんだね 店長も驚いていたよ」
「それで納得 夜 催事課で宴会ですって 池上店長が歌われたそうです」
「そんなに嬉しかったんだね それが山ちゃんだからだろう」
「まあ そうしときましょ」
洋子は祥子や浜野と話していた
筒井が
「では 楽しんでいると思いますが そろそろ時間です
次回はゆっくりとしましょう 山ちゃん 田所さん
その時は出席してくださいね」
「ありがとうございます 仲間に入れてもらいます」
筒井が 下まで送ると言ったのでみな一緒に降りてきて駐車場にきた
一同が驚いて声が出なかった 筒井が
「このフェアレディーZ?」
「ええ アルタの内藤社長は4シートですが これは2シートです
ハンドルも軽くて結構はまりますね ねぇ田所さん」
「ええ いい車です 素直ですね もっとも新しいし 先ほど
首都高を130,140出したんですがびくともしなかったですよ」
「えっ 田所さんが140を出すんですか」
「ええ 神山さんは140,150さしてさすがって ねぇ」
「ええ 230出しても平気でしょ この車は」
筒井が
「なに 二人ともスピード狂?」
「いえ 全然 安全運転ですよ メリハリをつけ運転しているのです」
「まあ わかった 気を付けてね」
神山と洋子はニーナ・ニーナの面々に挨拶をして車を出した
神山が
「さっきのスーツだけど軽いね だから女性に愛されるんだね」
「ええ軽かったでしょ 貴方すごいわ 格好良かった
私が言っているから 本格的よ 惚れ直したわ
30日に着なさいよ 素敵よ」
「うん 靴が無いし シャツもないし ネクタイ無いし
あの手に合うものは何も無し」
「ねぇ 何時に出るの」
「うん 熱海に5時待ち合わせ そこからはこの車で入らない
バスかタクシーだよ」
「貴方の運転なら 1時間で行くわ まだ2時30分よ
戻ったら 大急ぎで買いましょ 靴だけ選べばあとは私が
選んでおくわ そうしましょ」
「うん 悪いね 時間を取ってもらい」
「ううん 素敵なほうがいいもん」
「わかった そうしたら 靴を買って シャツまでいけるでしょう」
「ええ」
「あと靴下だ あの手は持っていない それとポケットチーフ
そうか 洋子のを借りれば済むね」
「ええ 大丈夫よ 私のでも 後は無いわね」
「うん」
「ほら 貴方も運転上手よ」
「ありがとうございます 何もでないな運転中は」
二人は大笑いした
直ぐに鈴やについた 車をホテルの地下駐車場に入れると
スーツを持ってそのまま紳士靴売場に行った
結構種類があったが 先日の係長がいて説明すると
3足候補を持ってきた 洋子も一緒に選んだ
「どれも似たり寄ったりだね」
「この靴が合うと思うわ」
「そうだな これにしよう じゃあちょと穿かせて それと薄い靴下を
貸して貰えるかな」
係長は薄手の靴下を用意してくれた
神山は鏡の前に立ってスーツのズボンを当てて
「これでいい お会計は現金でするからね 幾ら」
係長は 4万8千円と言ったので5万円出した
洋子が靴を持ってくれてシャツ売場に行った
「シャツも色々あるね」
「ネクタイだから このスーツだとワイドカラーがいいかな」
以前の係長が寄って来て
「神山部長様先日は失礼しました」
神山はシャツに詳しい人間を呼んでもらった
直ぐに来て 神山はスーツをハンガーから出して見せた
2種類のシャツを選び 通常こちらを着られる方が多いと説明を受け
洋子と相談してもう一方のシャツを選んだ 2万円だった
まだ時間があったので 靴下を買いネクタイを選ぼうと思ったが
「柄があると可笑しいかな」
「そうね わたしは無いほうが好きだけど 当たり前になるし
いっそうの事 ニーナ・ニーナに行ってみましょうよ」
「うん」
ふたりはニーナ・ニーナのブティックでネクタイを探し始めた
丁度祥子が用事があって戻ってきたので聞いてみると
「確か無地ではなかった筈です」
祥子が合うネクタイを3本出してくれた
どれも個性が強かったが 洋子と祥子が同じ意見で決まった
3万円だったので清算をして 急いで部屋に戻ると
まだ3時30分だったので その場で着替え洋子に見てもらった
「どう」
「ええ 凄く素敵よ ポケットチーフがあるから待っていて」
洋子はクローゼットから自分のポケットチーフを出して
神山の胸に差した 着替え室に入って見てみると
全てにバランスが取れていて可笑しくなかった
神山は着替え室の中でGパンスタイルに替え出ると
スーツや靴を整理してボストンバッグを持って仕度した
「これで 問題ないね」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい あとは片付けます」
「うん ありがとう 忘れ物はないな それと30日だけど
何時に出られる」
「ええ 9時30分でしょ 私は9時頃来ますよ」
「わかった ありがとう 電話します」
「はい 分りました 気を付けてね 行ってらっしゃい」
「うん」
神山は時計を見ると3時15分になっていた
地下の駐車場からフェアレディーZを出すと
ビルの前に洋子がいたので止ると
「これ忘れ物」
「なに?」
「お金 朝も さっきも使ったでしょ だから50万円入ってます」
「ありがとう 忘れていた では行ってきます」
「はい」
神山は静かに出し 銀座通りを走り首都高に入って
東名高速に入った 今日の東名は空いてたのでどんどんスピードがでた
あまり出しすぎると不味いと思って少し控えたが
それでも130は下がらなかった 小田原に出て真鶴にくると
燃料が心配になったので スタンドによってハイオクを
満タンにして貰った 下の道路はゆっくりと走り熱海についた
やはり早かった 1時間掛からなかった 屋根つきの駐車場を
見つけるのに苦労したが ホテルの駐車場を借りる事にした
洋子が心配してくれているので電話をすると
「ありがとう さっき着いたよ 気持ちよかった
車はホテルの駐車場に入れた」
「良かったわ まだ新車だからいたずらは嫌ですもん
早かったわね 200出した?」
「出さないよ でもまだ踏み込めたよ 150くらいが安定しているね」
「そうでしょ あの車ってその位のスピードでも
アクセルコントロールが出来るし最高よね 帰りも気を付けてね」
「うん なるべく電話をする 今日はありがとう」
「は~い 分りました」
電話を切ると祥子に電話をした直ぐに出て
「私です 今日はありがとうございます でも車素敵ね」
「うん 仕事だよ 全て仕事です それとネクタイありがとう
早速次長室で着替え鏡を見たらよかったよ 田所さんも誉めていた
今は もう熱海に来ているんだ これから仕事です」
「熱海?」
「うん 御殿場とは違うけど まだハッキリしていないので
何もいえないけどね」
「明日は?」
「こちらでの話し合いがめど着けば早いし分らない」
「遅くなってもいいから 電話ください 寂しいわ」
「おいおい 分るけど こちらはいつも電話をしているよ」
「そうね ごめんなさい これから気を付けます」
「まあ 会社の中が良くなれば良い事じゃないか」
「ええ ありがとうございます 助かったわ」
「では がんばって」
「は~い 分りました」
神山は時計を見るとまだ4時30分だったので
離れのある網代の清碧旅館へ電話をすると空いているのでOKとの事
神山は2名で予約を入れた
先日のように時間が余ったが 亜矢子に電話をした
「私です こんにちわ」
「やあ 今何処にいますか?」
「ええ ごめんなさい 先に熱海に来ているわ」
「ほんと 僕も来ているよ どこにいる」
「ええ 駅の改札でて直ぐ右にある喫茶店」
「わかった 直ぐに行くから出て待っていて」
「はい 分りました」
神山は歩いて改札口に行き亜矢子を見つけた
「こんにちわ ごめんなさい 早く来て」
「こちらこそ もっと早く電話をすればよかった」
「ううん 私が電話すればよかたのね」
「そんな事ないよ 僕が悪かった」
「今日はどこ?」
「網代です」
「ねぇ 赤いの穿いてきた?」
「うん 穿いているよ」
「そうしたら 運試ししよう」
神山と亜矢子は先日大当たりを出した宝くじ売場に行き
スクラッチ宝くじを選んだ
先日同様に神山の手が自然と動き一枚を選んび銀のところを削った
又当った 3万円が当った 今度は亜矢子が選んだのを削ると
1万円が当った
「まだ 運が味方してくれているわ」
「では この宝くじを買ってみようよ」
「そうね 今日はどんな数字にしますか」
「う~ん この間の数字は覚えている?」
「ええ ここにメモをしているわ」
「そうしたら 数字を逆にしてどうだろう」
「いい考えね 縁起のある数字ですのもね」
神山は亜矢子の数字を逆した
09組 153920の番号を探すと売場のおばさんは
ニコニコしてあるわよと教えてくれたので
その番号を含む10枚を連番で買った
今度は神山の数字で99組 170124となってまた
おばさんに探してもらったら今度のもあって
その番号を含む10枚を連番で買った
「では タクシーに乗ろう」
神山はロータリーで客待ちのタクシーに乗り込み
「網代の清碧旅館までお願いします」
神山は老人ホームの件を話そうとしたが金額が大きいので辞めた
「ねぇ あの田所さんて 素敵な方ね 女性が見てもうっとりするわ」
「彼女も亜矢子の事を素敵だって言っていたよ」
「ねぇ あなた あの人と関係しているでしょ いいの
お仕事上仕方ないわ だけどね 私と一緒の時は私だけにしてね」
「わかった ごめん」
「ううん 誤らなくてもいいの 貴方のような素敵な男性は
そういないわ 女性がほおって置かないわよ その方が女は
良いに決まっているでしょ 自然の摂理よ」
「わかった」
「だから堂々としていいのよ 多分あの人も分っているはずよ
ただ口に出さないだけだわ 怖いから その夢を破れば
私みたいに強くなれるわよ」
「そうか そんなに分るんだ 彼女の事 よく話していたね
椿さんも仲がいいですねって仰られてたよ」
「う~ん 何かわからないけど 凄く自然に話せたわ
高校の同級生と久しぶりに会うって感覚じゃなくて
さっきまで 話していた感じで話せたわ 不思議ね 初めてよ」
「そんな事あるんだ」
先日の話をしていると旅館に着いた
.