2014年3月24日月曜日

紫陽花 8 - 53 Vol. 3



6月22日 月曜日 曇り
「じゃあカトリアーナ 何かあったら携帯まで電話をくださいね」
「はい 分かりました それでもうここには来られないんですか」
「うーん なるべく来るようにしたいな」
「うん 分かりました 私も連休の時には遊びに行きます」
「うん 連絡を待っています では」
「はーい ありがとうございました」
神山は伊豆山ホテル スキエの駐車場でカトリアーナと別れた
昨夜は4人で楽しんだが 今朝早いという事で早く寝た
それでも 24時を過ぎていたが神山は6時に目を覚まし
カトリアーナと浴室で戯れると 近いうちに会う約束をした
神山は伊豆山を下ると 小田原に向かい東名高速を使い
赤坂のスタジオに戻ってきた
「お疲れ様でした」
「さあ それでは出勤の支度は出来たかな」
「ええ 大丈夫よ あなたは休まなくていいの」
「そうしたらビールを呑んで 一眠りします 今は9時だから大丈夫だね」
洋子が話していると祐子がビールを持ってきて
「はい どうぞ ふふふ」
「うん ありがとう そうだ 洋子が運転すればいいんだね うん」
「わぁー 運転してもいいですか 嬉しいわ」
洋子は神山の頬にキスをすると祐子が
「もう 洋子さんたら直ぐに神山さんにキスをするんだから ずるい もう」
「ははは 仲良くね でもカトリアーナは当分向こうでアルバイトだって」
「そうすると 暫く逢えないわね 寂しいわ」
「まあ こちらから出向けばいいんだけどね ただ仕事が詰まるとね」
「そうよね でも時間を作って 行きましょうよ ねっ」
「うん そうしよう」
神山はビールを2本呑むと横になって眠りに着いた

「遅いな 今日はいつもより遅いのかな なあ幸三ちゃん」
「先輩 まだ9時30分ですよ 10時になれば来ますよ
落ち着いてくださいよ」
鈴やGプロの部屋では内野誠二が田所洋子の出勤をまだかと待っていた
先日のゴルフ場で内野に応援をしてくれた篠原涼子の事で相談しようと
朝早くからきて 落ち着かない時間を過ごしていた
「それで先輩はどうなんですか」
「どうなんですかって?」
「ええ ほら断られた時のことですよ 大丈夫ですか?」
「うん その事もちゃんと考えているよ 大丈夫さ」
「でも 上手くいくといいですね 応援しますから」
「うん 美佳も上手くいっている様子だし 田所さんに話せば
なにか気が楽になるような 気がするんだ」
「そうですね 僕も早く出現しないかな」
「そうだね 頑張らないとな」
二人が話しているところへ高橋孝一が出勤してきた
「おはよう 早いね二人とも」
「課長が遅いんですよ もう直ぐ10時ですよ」
「えっ また まだ9時40分じゃないか 脅かすなよ もう」
二人は高橋が出勤してきたので 雑談を止めて仕事の話に変わった
高橋は今日からクライアントの説明会と思い準備を万全にした
「二人とも 確か今日からクライアント説明会だけど
説明不足にならないように きちんと準備をしてくれるかな」
「はい 何時呼ばれても大丈夫なように準備を しています」
高橋が自分のブースや鈴や食品 ニーナ・ニーナなどのブースを
点検している時に神山が部屋に入ってきた

「やあ おはようございます 先日はお疲れ様でした」
「山ちゃんこそ お疲れ様でした それで今 最終確認をしていたんだ」
「うん ありがとう 完璧だね それでクライアントの説明会は
明日からです それで今日はそのシュミレーションをします
勿論 デザインと予算が絡んできます 予算については
ある程度のところまで 突っ込んで話します いいですね」
「そうすると 山ちゃんがクライアントになるわけ?」
「うん でもいいし 田所さんでもいいと思っているよ なにか?」
「うん 第三者がいた方が チェックできると思ったんですよ」
「うん そうですね でも大丈夫だよ 彼女に任せておけば ねっ」
「はい そうですね 任せましょう それで何時からですか」
「うん これから次長室で始めようと思うけど どうかな」
「了解です 大丈夫ですよ 行きましょう」
神山を先頭に3階の次長室に入ると洋子が笑顔でみなを迎えた
内野は席に着く前に洋子に
「田所さん 実はご相談したい事がありますので 時間を作ってください」
「まあ 誠二さんから相談 いいわよ そうしたらこのシュミレーションの
休憩時間のときでもいいかしら」
「はい お願いします」
内野誠二はこの言葉を伝えるとにこやかな顔になり ほっとした

「最初は アレックスブースからです 説明は担当者のみ
他の人は自分のときの参考にしてください いいですね
それから考ちゃん 出来れば午後からは 建築も交えた方がいいな」
「そうですね これから連絡しますが 何時ごろにしますか」
「うん 2時にここでいいですよ そうすれば訴求力が上がるでしょ」
「ええ 別の角度から見ても この方法がベターと説明できます」
「うん では連絡をしてくれるかな それだったら 午後からは
グラフィックの田辺君や見積もりの山下君も一緒にどうだろう 」
「そうですね 彼らはもう少ししたら来ると思いますよ
途中で連絡を入れます とりあえず渡辺に電話をします」
高橋はアルタスカイのここの現場を見ている渡辺高次課長に内容を話すと
快く引き受けてくれ 14時にGプロの部屋に来てくれる事になった
「山ちゃん OKです 楽しみにしていますと言っていました」
「うん では初めようか 最初の挨拶は抜きで 本筋から入ってね」
アレックスブースの高橋からプランの説明が始まると
さすがに慣れているのか 神山も頷く事が多く 終了した
「さあ 洋子さんどうでしたか 今の説明は」
「ええ 出資者として聞いていましたが 大変分かり易く説明され
私は 感心し このプランに出資したくなりました」
「って 事で 大丈夫のようですね 僕も自分の思いが反映されていて
凄くよく纏めてもらったと思っています 考ちゃん ありがとう」
「いえいえ 緊張しましたよ 正直」
「ははは では10分休憩しよう」
神山はそういうと冷蔵庫から缶ビールを取り出しみんなに配った
「田所さん よろしいですか」
「ええ 神山さん ちょっと席を外します」
「うん 10分したら戻ってきてね お願いします」
「はーい」

内野は洋子と二人だけで話したかったので ビルの屋上に来てもらった
「どうしたの 内野さん」
「ええ 実は 先日のゴルフの時に 篠原さんが僕の事を
応援してくれたんです それで その事で彼女のことが 
好きになりまして 田所さんにそこら辺を聞いて貰いたいんです
勿論 僕の思いだけですから 彼女が嫌と言えば諦めます」
「そうなの そんなに応援してくれたんだ」
「ええ 池ポチャのときも 応援してくれたし 何か芽生えた感じです」
「ふふふ 分かったわ 駄目だった時は 潔く諦められる?」
「ええ 大丈夫です なんか自分で言うとあがってしまい
何も言えなくなると思うんですよ なのでお願いします」
「ふふふ 分かりました でも 先方にも都合があるから 時間は掛かるわ」
「はい お願いします」
内野は深々とお辞儀をして洋子にお願いをした

「さあ 次は鈴や食品だよ 幸三ちゃん お願いします」
田中幸三は今回の目玉になっている地下共有部分については
説明不足と思われるくらい 説明をしなかった
その他については 高橋と優劣付けがたい説明で終了した
「幸三ちゃん なんで地下部分を省いたの?」
「ええ ここは私が説明するより 神山さんがトータルで説明されると思い
省きました 私の説明だとどうしても鈴や食品に偏ります
しかし 経費捻出を考えるなら 神山さんに説明していただいた方が
グローバルな角度で話されますから 省きました」
神山は暫く考え 田中の言うとおりだと思った
「分かりました ありがとう 午後もそれで行きましょう
ただ 午後はミックスします いいですね そこではちゃんと
説明をしてください 考ちゃん 頼みましたよ」
「はい 了解です 僕が山ちゃんになって説明をします」
「うん そうそう それでお願いします 洋子さんどうでしたか」
「ええ 不明瞭なところを除けば 出資します OKです」
「って ことで10分休憩」
高橋がGプロの部屋に行くと田辺と山下が出勤していたので
午後から本格的なシュミレーションをするので 今回も見て欲しいと
次長室に連れてきた
神山は冷蔵庫から缶ビールを取り出し みんなに配ると
「さあ ニーナ・ニーナだけれど 楽しみだな まあゆっくり呑んでやろう」
Gプロの面々も缶ビールを呑んでいると佐藤部長が次長室にきて
「山ちゃん お疲れ様 遅れて申し訳ない」
神山は缶ビールを佐藤に渡すと
「大丈夫ですよ 順調に進んでいます 田所出資者はOKですから」
「へぇー そうですか 見れなくて残念です」
「でも 午後から本格的なシュミレーションです その時もお願いしますね」

「さあ 誠二ちゃん お願いしますね」
「参りましたね 皆さんが居るのに」
「まあ 現実はそうでしょ 緊張しないでリラックスして」
内野はAプラン(箱を1つしか借りれなかった場合)とBプラン
(箱を2つ借りて 真ん中の仕切りを排除した場合)を
分かり易く説明した 神山は予算のことを話すと 最初は頼りなさそうな
顔をしたが 洋子の顔を見て 頷いているのに勇気付けられ
神山を驚かすほどの説得力ある 説明をし終了した
「誠二ちゃん 凄いよ 完璧だ 僕は意地悪な質問をしたけれど
この位の質問は出てくるよ しかし大したものです」
佐藤部長も神山の質問に丁寧に答えた内野を褒めていた
「どうですか 洋子出資者は」
「はい 大変分かり易くくすぐられました 出資はOKです ふふふ」
「って事で 誠二ちゃん 大したものだ うん
では 2時から ここで建築を交えた本格的なシュミレーションをします
遅れないようにお願いしますね そうそう田辺ちゃんと山下ちゃんも
当然だけど 参加してね 午後はそちらにも質問するから」
「はい 分かりました」
「はい ありがとうございます では解散」

「洋子 ありがとう さあどこに行こうか」
「ねえ 築地はどうかしら」
「ははは また断られたりして でも電話をしてください」
洋子はクスクス笑いながらいせ丸に電話をすると神山にOKサインを出した
「良かったわ さあ行きましょう」
洋子と神山はタクシーで築地の寿司屋いせ丸に向かった
暖簾をくぐると女将が笑顔で迎えてくれて 奥座敷を案内してくれた
「洋子 内野君の相談って なんだったの」
「ええ 先日のゴルフでアレックスの篠原涼子さんが
ずっと応援をしてくれたんですって それで内野さんに恋に芽生えた
みたいなんですって だから自分で言えないから 私に聞いて欲しい
そういった内容よ」
「ふーん そうか 大変な役を仰せつかったね」
「でも 振られたら潔く諦めるって言っていたわ」
「うーん そうなんだ でも先ほどの彼は大したものだった うん」
「ふふふ あなたが意地悪な質問をしたでしょ」
「うん」
「彼ったら私の顔を見ているの だから頷いてのよ
そうしたら 私も驚いたわ ピンポイントでちゃんと説明できたし」
「そうか あの時は洋子の事を見ていたんだ 僕も驚いたよ
急にエンジンがかかって そのままエンストしないもんね」
「ええ だからきっと自分が頼りに出来る素敵な人が出来たら
きっと今まで以上の力を発揮するわよ 間違いないわ」
「そうだね うん じゃ篠原さんの件はお願いしますね」
「はーい 分かりました」
女将が気を利かせて 鮮魚のつまみとビールを運んでくると神山は
美味しいといって 良く箸が進んだ
「ねえ 祐子さんはどうしているのかしら ほら急に一人でしょ」
「うん大丈夫だよ 僕が心配しなくても 彼女は自分をちゃんと見ている
今日も多分 掃除が終わったら プールで泳いでいるよ」
「そうなの 私だったら そこまで出来るかしら」
「またまた そんな可愛い事言っちゃって」
「まあ 失礼な 可愛いですよ 幾つになっても もう」
丁度その時に 女将がネギトロの巻物を運んできたので日本酒を頼んだ
「大丈夫? まだ大切なお仕事があるのに」
「うん 大丈夫 多少呑んでいた方が ストレートに出るから ははは」
「まあ 知らないわよ 本当に」
「まあまあ ほら相手のことを考えるでしょ それを無くすのさ」
「ほんとは呑みたいんでしょ もう」
「うん 言えている 洋子も呑みなさい」
「えっー では少しね」
洋子と神山は日本酒を呑みながら お寿司を充分堪能し部屋に戻った

午後からのシュミレーションは 各ブース担当とグラフィックデザイナーの
田辺と見積もり関係の山下 建築設計の渡辺が同席し クライアントとして
神山と洋子が質問をする役になり 佐藤部長は後ろで見学をする事になった
「では 最初はアレックスのブースから初めましょう」
高橋は今朝の練習でも 上手にポイントを分かり易く説明していった
説明が一通り終わったところで神山や洋子の質問が始まった
「高橋さん ここの地下部分では私どもアレックスのカラーが
出ていないように 見受けられるのですが 経費はどうなっていますか」
「ええ 仰られるとおり このパースはあくまでもたたき台です
会社のカラーを出していくとなれば 調整をさせて頂きますが
具体的に どのようなご提案がございますか」
神山と洋子は高橋も上手に受けていると思い神山が
「ええ 例えばここの壁ですが この部分を我が社の基本カラー
ブルーとグリーンを使ってもらえると ブースからの導線がしっかりと
表現できると思いますが 如何でしょうか」
高橋はグラフィックの田辺と相談をして
「はい それでしたら 基本カラーのブルーとグリーンを
全面に出していきます ただ 両方のカラーを細かく端から端まで
デザインするのではなくてアレックスブースに近い方はより
アレックスを表現できるように変更します ただ この共有部分は
鈴や食品さんも入っていますので そこはご理解をお願いします」
神山と洋子は頷いて
「考ちゃん 今ので充分です ポイントはアレックスと鈴や食品で
この地下を盛り上げると言う事で どちらかが目立っても
けんかしてしまうんだ だから アレックスに近い方は
カラーを出してもいいと思います 洋子さんはありますか?」
「ええ 私も今の説明で充分逃げ道を作りながら 尚且つ相手を満足させ
充分な説明だと思います」
「うん ありがとう 後はイベントの話などになると思います
そうすると 僕の出番で色々と資料を見せながら進めていきます」
「じゃ 山ちゃん こんな感じでよかったのかな」
「うん この質問は想定内だからね お願いしますね ところで田辺ちゃん
この後 どの様に進めるのかな」
「ええ アレックスカラーを通路と壁に上手に配色して ブースの入り口で
完全にアレックスと分かるように します 例えば白い床にこちら側の
鈴や食品さんでは 20cm幅のラインでも アレックスの入り口では
もっと太く そう楔形のようなデザインにすれば 顧客誘導にもなるし
面白い効果があると思います」
「そうだね 食品では普通のラインだが アレックスブースに入る直前で
カラーが全面的に出ると 面白い構成が出来ますね」
「ええ そこはもう想定してデザインは考えています 一応たたき台ですが」
田辺はPCで処理をしたデザインを見せてくれた
「うん なかなかいいですね このデザインなら自然に溶け込みますね
そうしたら 本番の時にもこれを使いましょう」
「はい ありがとうございます」

午後のシュミレーションを終えると神山が高橋と田中に
「そうしたら 考ちゃんと幸三ちゃんはブースまでで 地下の共有部分は
僕が説明していこうか どうしますか」
「ええ その方がいいと思いますよ 山ちゃんが話してくれた方が
ある部分安心だし 説得力もあるし うん助かります」
「ははは 駄目だよ考ちゃん なにも出ないですよ
分かりました 地下については 僕が説明していきます」
神山は時計を見ると17時を指していたので
「では 今日はありがとうございます 明日は考ちゃん お願いしますね
それから 田辺ちゃんと山下ちゃん 渡辺ちゃんも同席してね」
「はい 了解しました」
「明日は10時からここで行います 遅れないように来てください」
Gプロの面々は洋子と神山にお辞儀をして 部屋を出て行った
「山ちゃん ありがとう しかしここまで準備しておけば
もう後は簡単に進みますね」
「そうですね 現実的な話はやはり経費でしょうね どこまで出すか
例えアレックスが出しても 鈴や食品が出さなければ 東都食品も
それ以上出さないでしょ そこですね ポイントは」
「そうしたら 明日も私はこちらで聞いていていいですね」
「ええ 勿論ですよ 佐藤部長にいて頂いたほうが 安心ですよ」
「ははは それはこちらの台詞ですよ では明日 10時前に来ます」
「ええ お願いしますね」

佐藤部長が部屋を出てようやく今日の仕事が終わった
「洋子は今日は早く帰ったほうがいいね」
「ええ 昨夜の事がありますから 早く帰ります」
「そうしたら 今日はもういいよ」
「そうですか お中元のお礼状がもう少しで終わりますけれど」
「うん 明日早く来て 仕上げてくれればいいですよ それで大丈夫?」
「ええ もう9割がた入力してあるので あと少しです」
「うん じゃ明日にしてください」
「ではお先に失礼しますね」
洋子はそういうと私服に着替え 次長室を出て行った
神山は夕飯のことを思い祐子に電話をした
「わぁー 神山さん お疲れ様です」
「うん 今日は久しぶりに疲れたな ははは それで今夜は
夕飯を外で食べるから 準備してくださいね」
「はーい 分かりました 大体何時頃ですか」
「うん 後1時間くらいで そっちに行きます」
「はい お待ちしています 楽しいなぁー 待っていますねー」
「うん では」
神山は電話を切ると 明日予想される質問の返答を考え書いて行った
レポート用紙を眺めてみると どこのブースでも使えるようだった
神山はこれをマニュアルにすれば 今後の仕事にも使えると判断し
明日にでも洋子に修正をしてもらい 完成させようと思った

神山は蒼いBMWをガレージに仕舞うと祐子の出迎えを受けた
「おいおい キスは分かったよ」
「だって 待ちどうしかったんだもの いいでしょ」
「さあ 着替えをするからね」
神山は2階の主賓室に入ると 簡単にシャワーを浴び着替えた
下に行くと祐子が待っていて
「今夜は何処に連れて行ってくれるんですか?」
「うん 上原の駅前寿司に行こうと思っているよ」
「わぁー 嬉しいわ」
神山はタクシーを呼ぶと ソファーで寛いだ
祐子とビールを呑んでいると 門扉にタクシーが着たので部屋を出た
上原で降りニーナ・ニーナブティックの前を通ると由貴と目が合い
神山はご飯を食べる格好して 駅前寿司を指差すと由貴は頷いた
暖簾をくぐると女将がいつもの様に 奥の座敷を案内され
早速 神山は生ビールと注文した
「ねえ 神山さん 私ね今日は午前中にお仕事を済ませて
午後からはスカイハイホテルのプールに行ってきたの ふふふ」
「そうか どう 泳ぎやすかった?」
「ええ それでそこの会員になっちゃった ふふふ」
「へぇー 凄いね」
「ええ だって1時間800円でしょ 3時間泳ぐと2400円ですよ」
「えっ 1時間800円もするのか あそこが」
「だから 子供や家族連れと言った 普段良く見かける光景ではないわ
なので 泳ぎやすいし 気持ちがいいわよ ふふふ」
「で 会員券は幾らだったの」
「ええ 正会員で100万円したけど 入会したわ」
「えっ 100万円 おいおい 凄いなー」
「だって ドリンクや軽食が無料なの 1回いくと5千円掛かるもん
それに同伴者 1名まで正会員と同じ待遇よ だから神山さんも
一緒に行った場合 全て無料なの いいでしょ ふふふ」
神山は一石二鳥の金額にしては まあまあ仕方が無いかと思い
バッグから100万円を取り出し
「じゃ これを渡しておきます 会員権の補充だよ」
「わぁー ありがとうございます」
「でも 会員になるとパスポートをぶら下げてプールに入るの?」
「ううん 受付でパスポートを見せると ICが組み込まれた
ブレスレットかショーツの脇に挟む布を渡されるのよ
それで着替えた時に 渡された物を身につけていればいいの」
「へぇー おしゃれだね」
「ええ ドリンクの時もわざわざ財布を取りに行かなくてもいいし
ロッカーも会員になると 間仕切りされていてシャワー付きなの」
「へぇー 凄く豪華だね」
「それからね 化粧室もあるんです ほらドライヤーなんかがあるわよ」
「へぇー 普通見かけないよね」
「そうでしょ お風呂屋さんより綺麗だったわ」
二人が話しながら食べたり呑んだりしていると
ニーナ・ニーナの浜野由貴と安田桃子が入ってきた
祐子が気が付き 手を振ると由貴と桃子も手を振って答えた
「わぁー 神山さん こんばんわ 誘っていただいてうれしいわ」
桃子と由貴は神山の頬にキスをすると 神山達と反対側に座った
「さあ どんどんと食べてね」
「はーい」

由貴と桃子は神山と一昨日会ったばかりなのに 仕事の事や
ゴルフの事など 話をして盛り上がった
ここでも美佳の話が出たが 神山は決して自分から言わなければ
向こうも変な詮索をしなくなるよと みんなに伝えると
由貴や桃子は頷いて 自分達から話題を変えた
「ねえ 神山さん 先日久保チーフが 棚の飾り付けを変えたんですよ」
「うん いいことだね 最初に話しをしてあるんだ」
「それでね お客様でグラスが凄く気に入られて 銀座を紹介したんです」
「そうすると グラスが良く見えるように工夫したんだね いい事だね」
「ええ それでそのお客様が又来られて ありがとうって 言われました
勿論 ディスプレイのグラスは無かったんですが 1客7千円もする
インポート物を購入されたと 言われてましたよ」
「へぇー そうか うちは良い物があるけれど 訴求力が無いのかな」
「そうですよ お客様はちゃんと見ています だからチーフも喜んでました」
「うん 先ほどは気が付かなかったけれど 帰りにでも見てみるよ」
「ええ この頃チーフも明るくなって 私も元気を貰っています」
「うん 由貴と桃子が頑張っているから 嬉しいんだよ 良かったね」
神山は祥子と会わなければいけないと思いながらも なかなか時間を
作らなかったが いい材料が出てきたので 会いたくなった
もしかしたら どこかに別な男が出来て 明るくなったのか、、、
兎にも角にも時間を作り会おうと思った






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