2012年5月28日月曜日

芽吹き 2 - 6 Vol. 1



4月6日 月曜日 小雨

「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って専門部長を任命する
平成9年4月6日 銀座店店長 池上 聡」
神山は特例の人事命課を受けた
秘書課課長 店次長 販促部長を筆頭に他の部長が見守る中
人事辞令が発令された
「山ちゃん 頑張ってくれよ」
店長から励ましの言葉を頂き
「精一杯 尽力を発揮いたします 鈴やの為にも
ニーナ・ニーナジャパンの為にも 本日はありがとうございます」
神山は辞令を交付されてようやく自分が専門部長に
なったことを意識したがこれからが大変だと気を引き締めた
秘書課から催事課のビルに帰る途中 課長クラスと行き交うと
「おめでとう がんばってな」
と皆声を掛けられた
今回の人事は特例中の特例で 銀座店の皆がすぐに知る事になった

催事課に戻ると皆が神山の帰りを待っていて
「おめでとう すごいな 頑張ってくれよ」
と お祝いと励ましの言葉があちこちから来た
「ありがとうございます 暫くの間 銀座が手薄に成りますが
ここに居るスタッフが私をカバーし仕事をさせて頂きます」
神山の第一声をききあちこちから拍手がわいた
催事課でも奥村課長が異例の発表をした
「取引先の方も殆ど来られているので ここで人事発表を行います
本日をもって神山さんは専門部長になられました
現在 銀座店の仕事のほかにニーナ・ニーナジャパンの
代々木上原店出店準備の為 そちらの仕事もして頂きます 
以上宜しくお願いします」
奥村課長の発表が終るとまたお祝いの拍手がわいた
神山はここまで発表をされたのであればと思い
「私が抜けた所は 杉田君がフォローしてくれるようになっています
勿論 倉元部長が全てを見るようにはなっていますが
杉田君にもがんばって頂きたいと思っています」
神山は奥村課長を見たが こちらを見て頷き返してきた
「神山部長が言われたように 杉田君がフォローをしますので
各取引先の方も杉田君を後押しして下さるようお願いします
杉田君 一言どうかね」
「はい 今回 神山部長のフォローをさせて頂きます
微力な私ですが精一杯頑張りますので ご支援をお願いします」
ここで又 部屋に居る皆から拍手が沸いた
なかなか自分の席につくことが出来ない神山だった
電話機が鳴ったので由香里が受話器を取り上げると
ニーナ・ニーナジャパンの筒井からだった
「神山部長 ニーナ・ニーナJPの筒井副社長からお電話です」
由香里が改まった口調で受話器を手渡すので お互い笑った
「はい神山ですが ありがとうございます」
「いや おめでとう 今忙しいだろうから又 後で」
「はい では」
受話器を置くとすぐに電話機がなった 今度は神山が取り上げると
「アルタの内藤ですが 神山部長はいらしゃいますか」
「神山です」
「やあ 昇進おめでとう 頑張ってください」
「はい 分りました 今後も宜しくお願いします」
受話器を置き奥村課長にアルタの社長から
お祝いの言葉を頂いた事を伝えた
(しかし なんで取引先のお偉方がいるのだろう
それに余り知らない取引先も来ているな)
取引先と催事課の皆が久しぶりで揃うので宴会場のような
そうぞうしい会話で大変だった
「課長 僕は上原で1時に約束がありますので 暫くしたらでます」
「そうか 昼を一緒にと思ったが 仕方ないな」
「又 設けてください 由香里姫と連絡を取り合いますから」
「うん 経費もこれからある程度自由だから由香里さんに言ってくれ」
「おう 良かったな 山ちゃん 頼むぞ」
「倉さん ありがとうございます それとこのカードの件も」
「ああ 大変だものな」
「それから 昨日アルタさんからビール券を一杯頂きました」
「おう それはいい事だ 寄らせてもらうよ」
神山は自分の席につき 杉田とデザインの割り振りをした
殆どを杉田にまかせたが自身もデザインしFAXで送る事にした
売場との打ち合わせは杉田が行うがチェックは神山が行う事に
なっているので 詳細を電話連絡するよう指示した
全てに経費が絡んでいるので 少ない予算で大きな効果を
生むように考える事を充分と説明した
「はい 分りました ご迷惑をお掛けしないよう頑張ります」
「うん頼んだよ 何かあったら 携帯でも良いから連絡をくれ」
「迷ったときは上司に相談する事 自分の判断はだめだぞ いいね」
「はい 分りました」
杉田と話をしている間に各取引先もぽつぽつと引き上げていった

4月6日8時 代々木上原
業務用の電話が鳴り響き バスから出るとアルタの高橋からだった
「ごめんね 山ちゃん」
「おやようさん どうしたの?」
「うん 今日お昼に現場で打ち合わせをしたいんだけれど」
「うん 何時?」
「1時がいいんだ」
「いいよ 現場でいいんだね」
「うん 実は今 ニーナ・ニーナの筒井さんから連絡があって
チーフの久保さんが1時に現場に来るんだって
それで 一応 顔合わせと仕事の進め方を説明しようと思って」
神山はこのとき久保祥子を知っている事を伏せて
「分かった どちらにしても 1時に現場に行きます」
「うん お願いします」
「了解」
神山は高橋との電話を切ると祥子に電話をした
「はい 祥子です おはようございます」
「おはよう ところで 1時に上原で打ち合わせって知っている?」
「ええ 先ほど筒井さんから電話があって 会社に寄らないで
上原の現場に直接行くよう 指示がありました」
「えっ そうなの 今ね アルタから電話があって チーフの
久保さんと顔合わせと今後のためにで1時現場って言われた」
「ふふふ そうすると 筒井さんが動かしているのね
私もびっくりしているんだもん」
「じゃあ 現場が終わったら会社にいくの?」
「ううん そのまま帰っていいって 言われたけれど
一旦帰社して報告だけするわ」
「そうだね その方がすっきりするし じゃあ 1時に
そうそう そうしたら東京駅から 一緒にいく?」
「うーん いいわよ 恥ずかしいでしょ」
「まあ そうだね では」
神山は電話を切ると 筒井がなぜこのような細工をしたのか
いくら考えても分からなかった
出かける支度をして バックの中を確認すると
昨日 高橋から貰った封筒が二つと筒井から貰った封筒があり
中を確認した
アルタの方は 最初が100万で後から佐藤部長が20万
ニーナ・ニーナの筒井さんが10万と合計130万のご祝儀だった
佐藤部長から貰ったタクシー券は30枚も入っていて
使い道に困るほどだった
(よし 今朝は少し贅沢して タクシーで出勤してみよう)
神山は姿見で確認すると バッグを持ち部屋を後にした
大通りにでてタクシーを拾い 銀座まで走ると渋滞に
つかまることなく スムーズに事務所までたどり着いた

銀座店催事課
「課長 このご祝儀 どうされるんですか?」
斉藤由香里は業者から貰った祝儀袋の束を奥村に見せた
「由香里さん 山ちゃん宛ては」
「ええ こちらに別にしてあります」
「そうか 催事課できたんだね」
「ええ 山ちゃんにっていわれ これは催事課さんですって
そうやって置かれていかれました」
今日来た業者の数は数えていないが50や70社くらいは
入れ替わり来ていたと見られる
奥村が祝儀袋を見ていると 同じ業者から複数頂いているのもあり
いままで昇進や歓送迎会でこれだけ ご祝儀が集まったのも
珍しく 奥村も戸惑った
「由香里さん 山ちゃんの分は 本人に渡して ねっ
で 催事課の分だよな どうするのこれ はぁー」
斉藤由香里が言うには 山ちゃんの分は合計で43社170万
催事課分が46社で90万円あるという
「そうしたら 業者名と金額を帳簿につけて 軍資金に回そう」
「はい 分かりました じゃあ 山ちゃんの分は、、、」
「うん そのまま渡して 後は本人が処理をするでしょ」
「はい 分かりました」
斉藤由香里は 奥村と話をした後 神山の席に行き
「はい ご祝儀よ 課長に相談してあるから 大丈夫」
「えっ ご祝儀、、、課長 頂いていいんですか?」
「うん 頂きなさい」
「ねえ 由香里さん この場合 お返しは?」
「ご祝儀だからなしよ 今までも無かったから」
「はーい ありがとうございまーす」 
「部長様 しっかりしてくださいね」
由香里は神山の目を見ながら笑顔で伝えた
「おう 山ちゃん 近いうちにご馳走様 ははは」
「ええ 近いうちに いいですよ」
「せんぱーい ごちでーす」
「翔 お仕事優先 分かる ねだるのはまだ早いの」
「そうよ 翔君 貴方も早く偉くなって ご馳走してね いい」
「ありゃー なんでこっちにくるの もう」
「おう 翔 早く偉くなって 酒でもごちさせてくれ」
「はい 分かりました がんばります」
「その調子で頑張れよ 頼んだぞ それではそろそろ
上原に行きます なにかあったら 携帯にください」
「おう 頑張ってな 明日のニーナ・ニーナのステージは大丈夫だよな」
「ええ 店長の林さんと先ほども確認をしています 大丈夫です」
「わかった 上原の後は上原だよな、、、」
「もう 倉さん 呼んでくださればいつでも来ますよ」
「うん 頼んだぞ」
「はい では」
神山は翔の肩をたたき 倉元に会釈をし
「じゃあ 課長 お願いします」
「うん 頑張ってな」
神山はようやくと催事課の部屋を出ると 帰りもタクシーを利用し
銀座と上原の時間を計ることにした

乗車し運転手に行き先を告げたときに携帯電話が鳴った
「アルタの高橋です おめでとうございます」
「孝ちゃんありがと」
「今どこですか」
「タクシーで上原に向かっているところです」
「そうしたら昨日の寿司屋は如何ですか」
「そうしたらそこで あと20分位で着きます」
「僕らは13時前に着く予定ですよお待ちしています」
「では」
玄関を入ると高橋達が座っている座敷から拍手が来た
「山ちゃん こっちです」
「はずかしいよ まったく」
ちょうど昼飯時だったので満員の店内はびっくりしていた
「神山部長おめでとうございます」
「やめてくれよおしりがカユイよ」
高橋のほか 内野 田中が祝辞をいい
「それでは乾杯しましょう」
4人は神山の昇進祝いと今後の繁栄を誓い乾杯した
皆がビールを一呑みし終えた後
「孝ちゃん今朝ね社長から電話があって 驚いているんだ」
「本当は内緒だけど 筒井さんから電話があったって」
「そうなんだ それに取引先のお偉方が来ていて驚いた」
「凄いね 多分倉さんが指示しているのでしょう」
「そうか倉さんか そうだね考えられないもんな」
「人事発表は盛大でしたね」
「うん 催事課の部屋って結構広いけど身動きが取れない位だった」
「凄かったね ところで何を食べますか」
「鮮魚の盛り合わせでいいでしょ」
「そうだろうと思って 注文しておいた」
「そうしたら あと酢の物が欲しいな」
「それも 頼んであるよ」
「なんだお見通しか」
「だって山ちゃんは 上野の時からほとんど一緒だもんね」
二人は顔を見合わせ笑った
あらかじめ注文しておいたので盛り合わせはすぐに出てきた
ビールがすぐに無くなったので追加注文をした

神山は祥子に場所の変更を知らせようと携帯電話を出した
「山ちゃん どこに電話するの」
「うん ニーナ・ニーナの久保さんに場所の変更でさ」
「大丈夫ですよ もう筒井さんに連絡してあります」
「なんだ 早いね」
「勿論 後で怒られますよ 食べ物は後で怖いですからね」
「ははは その通り」
4人が噂をしていると祥子が現れた
神山は直ぐに気が付いて 手を挙げて合図をした
祥子はニコニコして近づくとみんなに
「ニーナ・ニーナの久保です よろしくお願いします」
「さあ 久保さん どうぞ上がってください」
祥子は靴を脱ぐと 座敷に上がり 神山の横に座った
「本当にすみません 色々と変更して」
祥子がアルタや神山に誤ると 高橋が
「いいですよ 筒井さんも考えられていると思います」
「そう言って下さると助かります 
そうそう 神山さん 部長昇進 おめでとうございます」
神山は一瞬あれっと思ったが 直ぐに
「いやぁ ありがとうございます でもこの現場が終われば
元の課長に戻りますから はい」
アルタの3人が聞いていた
「そうだ 久保さん アルタの方を紹介しますね
こちらが今回の責任者 高橋課長 こちらが内野係長 それで
こちらが田中係長です それでいつも3人一緒で
いち・にい・さんコンビって呼ばれているんです」
祥子はきょとんとしているので 高橋が
「ははは 僕が孝一で 内野君が誠二 田中君が幸三で
それで ワン・ツー・スリーコンビなんですよ」
ようやく意味が分かった祥子は 可笑しくてケタケタ笑った
「私 一生懸命考えたけれど 分からなかったわ ふふふ」
神山は昨日 筒井副社長と佐藤部長のやり取りや 考え方など
ポイントを掴んで 祥子に説明し 
「オープンは一応6月初旬までと言われてますが 僕は無理なく
早くできればそれに越した事は無いと思います
それで今回 僕がここの責任者と言う形で応援をします」
「はい お願いします 私 何も分からないので ご迷惑を
おかけする事があると思います よろしくお願いしますね」
祥子が笑顔でお辞儀をすると高橋が
「さあ久保さん 顔合わせの行事です」
高橋が祥子のグラスにビールを注ぐと
「では これからお願いしまーす 乾杯」
「かんぱーい」
グラスをカチンと合わせると祥子は ビールを一息で呑んだ
「わぁおー さあどうぞ」
高橋がビールを注ぐと 笑顔で答え今度は少し呑んで置いた
神山が
「実際問題として久保さんの商品展開は進んでいると思います
そこで 問題になるのが 今までのような百貨店と違い 顧客を
外から導入すると言うところが 違います
何かと言うと 欲しい顧客しか店には入って来ないと言う事です」
「そうだよね そこが難しいよね」
「僕はまだ現場に入っていないので なんとも言えませんが
図面を見る限り 成功すると信じていますよ」
「おぅ 山ちゃんから お墨付きを貰った 大丈夫だね」
「でも あくまでも机上の計算ですよ」
祥子を交えて 今後の進め方などを話していると
神山の携帯電話がけたたましく鳴った

「はい 神山ですよ」
「神山さん 凄いわよ やったわね」
「神山ですが 由香里さん?」
「聞いてくれた 大変よ」
「だから なにが大変なんだよ」
「神山さん 正真正銘の部長よ」
「えっ だって8級課長がそんな、、、」
「そう普通は9級課長に進級して肩書きは部長ってなるでしょ」
「そうだよね」
「あなた 忘れてきたでしょ 昇級の命課」
「えっ そんな事ないよ」
「昼過ぎに秘書課から電話があって 忘れ物があるから来なさいって
それで行ったら 命課は部長職になっているでしょ 皆びっくりよ」
「えっ なにそれ」
「奥村課長や倉さんも 間違いじゃないかって 言っていたわ」
「そしたら 本当の部長だ
しかし どうしたんだ いきなり飛び越しちゃって」
「課長なんてひっくり返りそうだったわよ」
「そうするとさ 残業とか定休日出勤とか無くなるわけ」
「そうね 無くなるわね その代わりタイムカードが無くなるわよ」
「今の僕はタイムカードが有った方が助かるな」
「でもいいじゃない いろいろな面で優遇されているから」
「倉さんと一緒だ 大変だね」
「ねっ 大変でしょ」
神山の勤務する鈴やでは出向社員 派遣社員の場合
通常 現在の職級に2階級足した役職で勤務する事になる
職級は係長が6級7級で課長が8級9級となっている
例えば6級の係長が出向なり派遣なりされると その勤務先では
課長で勤務する事になる 本給は係長のままで手当てが僅かに上がる
今回 神山は8級課長なので通常は部長職で本給は8級のままになる
ところが9級課長を飛び越え本当の部長に命課されたのだ
いままで例が無く神山自身も聞いた事がない出来事だった
「じゃあ 誰か帰ってきた?」
「ちょっとお待ちください 部長」
由香里がかしこまった言い方をしたので誰かなと考えていたが
「奥村です 部長おめでとうございます」
「いやですよ そんな言い方 課長」
「しかし 驚いたよ そんな大切な命課を忘れるなんて」
「だけど 店長から頂いたのは1枚でしたよ」
「先ほど確認したが 秘書課長が店長に渡すのを忘れてそうだ」
「やっぱり だけどその場で頂いていたら ひっくり返っていますよ」
「そうだよな 俺を飛び越したんだもんな 凄いよ ほんと」
「そんないじめないで下さいよ」
「ちょっと待ってな 倉さんと変わるから」
「山ちゃん 凄いな みなびっくりしているよ」
「ありがとうございます」
「おう 俺も店長に確認したんだよ 9級の間違いじゃないのってね」
「ええ」
「そしたら 部長だ 倉さんの後釜 今のうちに作るって言われた」
「そんなに仕事していないのにな~」
「おう 兎に角良かった 頑張ってな」

神山は突然の出来事で驚いていると 高橋も誰かと話している
様子でこちらを伺いながら 頷いていた
「神山部長 内藤からです」
「はい 神山です」
「山ちゃん おめでとう 正真正銘の部長だね」
「はぁ 早いですね」
「うん 上原の件 頼みましたよ 部長」
「はい 了解しました」
電話を高橋に戻すと 高橋はまた頷きながら話をして終わった
神山は横の祥子を見ると やはり携帯電話で頷きながら
話していて 神山に電話を渡し
「筒井からです おめでとうございます」
「はい 神山です」
「山ちゃん 凄いな おめでとう 正真正銘の部長だね」
「ええ でも課長で残業で稼いだほうが いいと思っていますよ」
「なに言っているんだ 待遇が違うよ 待遇が
まあ 久保君と仲良くし 厳しく指導してくださいね」
「はい 了解しました」
神山は携帯電話を祥子に返すとみんなが
「部長昇進 おめでとうございます 良かったですね」
「ははは でもね本音は課長職で 残業や徹夜をすると
給料が凄い額になるんだよ そっちが良かったけどね」
高橋孝一が
「でもさ 待遇が違うでしょ やっぱり発言力も違うし
社内では出向肩書きが通用しないから 良かったじゃない」
「そうだね いくら部長でも社内では課長だもん うん」
祥子が嬉しそうな笑顔で神山に
「ご昇進 おめでとうございます お願いしますね部長」
「ははは そんなぁ 改まって言われるとお尻がムズムズする」
「まぁ」
みんなは大笑いしていると 女将が鮮魚のおつまみを運び
「昇進祝いです おめでとうございます
どうぞ召し上がってくださいね」
神山は突然の事だったが 
「はい ありがとうございます 
これからもちょくちょく来ますので お願いしますね」
「山ちゃん 美味しそうだよ まずは山ちゃんからどうぞ」
神山は高橋に薦められ 一番最初に箸をつけた
「うん 美味しいよ さあ食べようよ 久保さんも食べて」
みんなが鮮魚のおつまみを食べていると
神山の携帯電話がまた鳴った 出てみると熱海の金子亜紀だった
「神山さん おめでとうございます 凄いですね」
「やあ ありがとう でもなんで亜紀ちゃんのところまで」






次回は6月2日掲載です
.

2012年5月23日水曜日

芽吹き 1 - 5



「お客さん 起きてください お客さん」
「うーん うん ああ ごめんなさい」
「よっぽど疲れているんですね 着きましたよ 上原です」
「どうもありがとう」
神山は料金を払い降りると 傍にあるコンビニで
紙コップや紙皿 おつまみなどを買い込み 部屋に戻った
(しかし このタイミングで 筒井さんや佐藤さんが
なんで事務所の開設お祝いなんだろう? 分からないな)
神山は催事課から持って来た デザイン用具をお菓子の空き缶に
入れたまま テーブルのところに置いた
(机が無いと言うことは 机も欲しいな)
神山はそんな事を考えながら FAXや留守電をチェックし
冷蔵庫から缶ビールを出して呑み始めた
テラスで風に涼みながら呑んでいると気持ちが良かった
横浜と違い 小高い丘の上にあるので 天気がよければ
遠くに富士山が見えるかもしれないと思った
(見晴らしがいいと こんなにも気分が良くなるんだ)
チェアーに座り景色を見ていると ドアフォンがなった
神山は時計を見て17時を確認し 扉脇にあるモニターを見ると
筒井の顔が大きく映し出されていた
「はーい 今開けます」
1階のガラスドアを開け暫くすると ドアフォンが鳴ったので
扉を開けた
「やあ 山ちゃん 事務所開設 おめでとう」
筒井と佐藤が日本酒を差し出し 挨拶した
「ありがとうございます 早速 頂いています」
神山は缶ビールを見せ みんなで大笑いをした

「どうだい 山ちゃん なにか足りないものは出てきた?」
「ええ 仕事机がないので どうしようか考えていたんですよ」
「ああ もう直ぐ届くよ 格好いいのが」
「そうですか 良かった 実はPCや電話台のところでは
ちょっとメモを取ったりするには充分ですが ちょっと狭いかな
って そう考えていたんです」
「うん ごめんね 間に合わなかったんだ ははは
そうそう これね 事務所開設お祝いで 足りないものがあったら
これで買ってください」
佐藤は封筒を出すと 神山に手渡した
「実は内藤さんからも頂いているんですよ なので、、、」
「ははは あれは社長のポケットマネーです これは会社のお金
それに お金なんて いくらあっても不自由はないでしょ」
神山は佐藤に言われ 封筒を自分のバックにしまった
「山ちゃん 私からも お祝い金だよ もっとも佐藤さんより
全然少ないけれど 使ってください」
神山は筒井の封筒も丁寧にお辞儀をしてもらい バックに仕舞った

冷蔵庫からおつまみや缶ビールを出し キッチンの作り付け棚から
紙コップや紙皿を取り出し 大きなテーブルにセットした
佐藤が折りたたみの椅子を 用意すると筒井はおつまみを紙皿に
出して 一応準備が出来ると 椅子に座りビールを紙コップに注ぎ
「それでは 事務所開設 おめでとう かんぱーい」
みなで紙コップを上にあげて乾杯した
このテーブルは2.4m x 0.9mと非常に大きな作業テーブルで
乾杯するのには適していなかった  
表面は上質の化粧版で仕上げら 小口処理も細かいところまで
きちんと仕上げられていた
「なんか 落ち着かないですね これからここで寝泊りするって」
「まあ 我慢してください 最初だけだと思いますよ
そうそう 呑んで忘れる前に これを渡して起きますよ」
佐藤は立ち上がり小さな白い封筒を 神山に手渡すと
「タクシー券が入っています どんどん使ってください」
「すんません ありがとうございます」
「ほら 急遽横浜に行くとか 色々と大変でしょ 気にしないで
使ってくださいね」
神山はタクシー券もバッグに仕舞い 上原の話を進めた

「そうすると 上原の現場は月曜日から動くんですね」
「うん 昨日賃貸借契約をしたから 月曜日から現場に入れるよ
もっとも 現場実測で2,3回入っているけれどね ははは」
神山は高橋から送られてきた図面や 昼に渡された図面を見せた
その図面を覗き込んでいたニーナ・ニーナの筒井が
「山ちゃん この図面はあくまでたたき台なんだよ
それで これから山ちゃんの仕事なんだ まったく新しい
デザインにしても構わないし ここから派生しても構わない」
「ええ アルタの考ちゃんもそのように言ってくれました
ただ オープンはいつですか 時間が無いと思いますよ」
「一応5月の半ばか6月初旬を考えているんだ」
神山は昨日電話で確認した事を 佐藤が居る前で再び確認した
3人が上原の話をしていると ドアフォンがなり見ると
作業服の男が二人立っていた
「はい 神山ですが」
「アルタさんから依頼された 机をお持ちしました」
「はーい 今開けますね」
神山は自動扉を開けると 玄関も開け放して作業員を待った
「夏はこうしたいけれど 風が抜けないですね」
「そうだな この造りだと 隣の部屋も開けないといけないしね
それに 扉がこんなにずれていると 風が迷子になるよ」
3人は大笑いした
暫くすると作業員が 机を持ってきて
「お邪魔します 神山様ですか」
「はい 待っていました 大きいですね」
「ええ 重たいんですよ 普通一人なんですが これは2人でないと」
そういって部屋に入れると 神山の指示したところに置かれた
「あと これが椅子です」
椅子もなかなかしゃれていて リクライニングでき クッションも
最高によかった
「では失礼します あっそうだった ここにサインをお願いします」
神山は配達伝票にサインをすると 配達員は部屋から出て行った

早速椅子に座り デスクのところで 手を置くとちょうど良かった
机に手を置いた時 肘が90度から100度くらいがいいと
人間工学的に言われている
「佐藤さん 最高にいいですね 使いやすそうだし」
「ありがとう 褒めてもらって嬉しいですよ」
「でも椅子は別として この机って オリジナルでしょ」
「さすが山ちゃんだね そうこれは横浜に納める分なんだがね」
「もう 大丈夫なんですか ははは」
「向こうは まだ時間があるし ちょうど出来上がったところでね
それで ここに搬入させて貰ったんですよ」
「うーん ほんとちょうどいい高さですよ この広さなら
ノートパソコンが一台置けますね」
「そうしたら 準備しようか?」
「お願いできますか こちらの大きいほうと使い分けますよ」
「分かりました 早速手配します 少し待ってくださいね」
「ええ 急ぎませんよ お願いします」
神山はセンターテーブルに戻り話をしているとドアフォンがなった
モニターを覗いてみると 酒屋だった
自動ドアを開け 玄関も開け放して待っていると
「神山様 こちらビールをお届けしました」
「はい ありがとう」
神山はその量に驚いた 瓶ビールが3ケースと缶ビールが3ケース
早速瓶ビールは冷蔵庫にいれたが 自分で笑ってしまった
「どうしたの 山ちゃん」
「ははは これじゃあ 折角の冷蔵庫がビールケースです ははは」
筒井と佐藤も大笑いした
「でも 現場の人間が ちょくちょく来たら直ぐになくなるよ」
「そうですね まあ1週間持てばいいかな」
「そうだ ビール券を渡しておくよ まだ残っているから」
佐藤は ここに来る前 酒屋によって配達を依頼したという
その時つかったビール券の残りがあるからと神山に渡した
「足りなくなったら また持ってきますよ 言ってくださいね」
「はい ありがとうございます」

神山たち3人が楽しく話していると又 ドアフォンがなった
「今日は多いな 誰だろ?」
佐藤と筒井は時計を見 顔を見合わせ 微笑んだ
「はーい どちらさま、、、あっ課長」
神山は筒井と佐藤に奥村課長が来たことを伝えると
「ごめんね 驚かせて ははは」
自動ドアと玄関を開けていると 暫くして奥村と倉元 由香里が来た
「おう 山ちゃん 事務所開設おめでとう ははは いいところだな」
「山ちゃん 驚かせて ごめんな」
「もう 驚きですよ さっき言ってくれればいいじゃないですか」
「まあまあ じゃあ失礼するよ」
神山は倉元が大きな荷物を持っているので聞いてみると
「ゴミ箱 食器洗いの洗剤 コップやお皿 日用品の高級品だ」
「えっ そんな ありがとうございます」
由香里は早速キッチンでコップを洗いテーブルに置いてくれた
佐藤と筒井はそのコップを手にすると
「日本製ではないですね 重たいですよ」
それを受けて奥村が
「ええ フランスの有名なコップです 最高級のクリスタルです」
「わぁー 持つ手が震えてきましたよ ははは」
由香里は冷蔵庫を開けると よく冷えた瓶ビールをだして
新しいグラスにビールを注いだ
「それでは 山ちゃん 事務所開設 おめでとう かんぱーい」
神山はみんなの気持ちが嬉しかった
「山ちゃん これ おつまみよ ほら貴方が好きなチーズよ」
「おお 出そうよ」
そういって 一箱開けてテーブルに出した

神山は先ほど筒井から向かいに祥子が住んでいる事は
社内でも何人も知らない事なので 出来ればオフレコにして欲しい
と言われ 向かい側の部屋が話題になっても 祥子のことを
話す事は無かった

「ねえ由香里姫 翔と大輔はどうしたの」
「うん お留守番よ 翔君は 猛勉強しているわよ
さっきもね この買い物行く時に 手伝って貰いたいから頼んだの
そうしたら『今は手が話せません』って それで倉さんに頼んで
翔君をひっぱりだした訳」
「ははは そんな事いうようになったんだ あいつ」
「おう 本人頑張っているぞ」
「そうですね 明日にでもご褒美をあげよう 頼もしいですね」
神山が翔のことを話していると ドアフォンがまた鳴った
「どうしたのかな 今日は多いな」
独り言を言いながらモニターを覗くと
「神山さま 駅前寿司屋です 出前をお届けしました」
神山は自動ドアを開けて 玄関も開けておいた
暫くすると
「こんばんわ 出前です ありがとうございます
空きましたらいつでもいいですから電話をください 器を回収します」
「はい ありがとう」
3人前の盛り合わせと 鮮魚のおつまみが4皿 
てんぷら盛り合わせが人数分と結構なご馳走がきた
「課長 ありがとうございます」
「山ちゃん これは佐藤部長のところだ」
神山は改めて佐藤にお礼を言った
「どういたしまして ほら安くて旨いだろ それで注文したんだ」
「ええ 昼に入ったんですが 新鮮で安くて はまりますね」
「ははは そうですね」
神山はモニターが非常に見やすいので佐藤に聞くと
「ええ 既存品と交換しました モニターも倍位大きくしました
ほらセキュリティーの問題があり 山ちゃん自身でなくとも
他の入居者に ご迷惑をおかけしたくないでしょ それですよ」
「そうですよね 今 変なのが多いから、、、」
「山ちゃん それを管理人に話し 早速全部屋交換をするそうですよ」
「わぁー 凄いですね」
神山は佐藤と話が終わると
「ちょっと失礼」
そういって 業務用の電話で催事課の杉田に電話をした
「はい 翔です」
「やあ 頑張っているみたいだね」
「まあ やるっきゃ無いでしょ 昇進遅れるし」
「そうだな 留守番 ありがとう」
「どういたしまして 由香里さんに買い物を手伝わされました
そうそう あのグラス 1客1万円するんですよ
割らないように 丁寧に扱ってくださいね」
「そんなに 高いものなのか 分かった 割っちゃたらごめんな」
「そうですね 形あるもの壊れますからね」
「それから この電話番号が ここの事務所の電話番号だ
一応 控えておいてください お願いします」
「先輩 駄目ですよ これって交換通しているでしょ もう」
「あっ そうかごめんごめん じゃあメモって」
神山は杉田に事務所の電話番号を伝えると電話を切った

お寿司が無くなりおつまみも無くなってきたので 時計を見ると
20時を回っていた
テーブルの上は お皿の上が殆どきれいになってきた時 佐藤が
「山ちゃん そろそろ失礼するよ 楽しかった がんばろうね」
「ありがとうございます お願いします」
それを聞いていた筒井も席から立ち上がり神山に
「私も失礼するよ 随分と楽しませてもらったよ ありがとう
そうそう 肝心なものを忘れていた」
筒井はカードを出すと神山に手渡し
「これはここのカードキーで 予備なんだ ウラに管理人さんの
連絡先が入っているけれど 紛失しないようにね」
「はい 困ったな こんなにカードが増えると わかりました」
「じゃあ 頼んだよ」
この時 倉元も立ち上がり
「おう 俺も失礼するよ ご馳走様 がんばろうな」
「倉さん ありがとうございます」
「そうですね 私も失礼します 山ちゃん 頑張って
明日9時の事は忘れないでな 頼んだよ」
「はい でも心配だな 目覚ましが無いんですよ」
「大丈夫よ ちゃんと買ってきてあるわ」
「由香里姫 ありがとうございます」
「ねえ 課長 私 ここを片付けてから帰ります」
「うん 悪いな そうしてあげて」
神山は4人を1階のエントランスまで見送り 部屋にもどった

「あーあ 疲れたよ」
「お疲れ様 でも広くて気持ちがいいお部屋ね」
由香里は冷蔵庫から新しいビールを出して神山に注ぐと
自分も呑みながら テラスに出て夜風に当たった 
二人でビールを呑み干すと由香里が
「さあ 片づけをしまーす 手伝ってね」
「はーい 了解」
由香里はニコニコして神山に伝えると キッチンに入り食器を洗った
ちょうどその時に神山の携帯電話がなり
「山ちゃん 携帯電話が鳴っているわよ ほら」
水道を止めると確かに自分の携帯電話だった
神山はタオルで手を拭いて携帯を手にすると テラスに出た
「祥子です こんばんわ 今 大丈夫ですか」
「うん ありがとう」
「夕方実家に戻り 先ほどご飯を済ませました それで子供は
TVに釘づけになったから 電話をしたの」
「仕事はうまくいったの?」
「ええ スムーズに運んでOKですよ 横浜から荷物は運べた?」
「うん 順調 明日驚くよ 完全な事務所だよ」
「へぇー そうなんだ」
「それから 筒井さんに言われたけれど 祥子さんがここに
居る事は誰にも話さないから 安心してね」
「そうそう 会社でもごく一部の人間だけなのよ
連絡は携帯電話で済ませるでしょ だからわざわざ教える事無いって」
「なので 僕も知らぬ存ぜぬで通すよ」
「お願いしますね あっ 子供が来たわ それでは又 明日ね」
「うん 会社には何時なの?」
「一応 12時頃と伝えてあります 失礼します」
祥子は子供が直ぐ傍に居るのだろう 最後は丁寧な口調だった
携帯電話を机に置くとキッチンに入った
「誰からだったの」
「うん アルタの現場の人だよ」
「後は 食器の水を切って拭くだけです」
「ありがとう そうそうこのグラス 1万もするんだって」
「翔君ね そうよ 上代はね でもバーゲンで3千円だったわ」
「それでも3千円か 落とせないな」
「ねえ お酒ってなにがあるの?」
「日本酒を呑む?」
「ええ そうしようかな」
神山は先ほど開けた日本酒をグラスに注ぎ由香里に渡した
「ようやく 落ち着いたわね 山ちゃん」
「ははは まあ慣れるまでは 落ち着かないよ」
二人で乾杯をして日本酒を呑んだ

「ねぇ 神山さん ようやく二人っきりになれたわ」
「しかし 由香里さんまずいですよ そんな」
神山は昨年4月に上野店から移動をしてきた時に
銀座店の催事課で歓送迎会が行われた
出席者は催事課だけではなく池上店長はじめ取引先も含めると
壮大な人数になった
池上店長の肝いりということで 取引先は我先に挨拶を求め
神山もそれに答え盃が進んだ
歓送迎会を無事に終えたが 二次会に出る勇気はなかった
少し足がふらつき始めていたところ由香里が
「私 何処かホテル探して介抱してきます」
「うん そうしてくれ 少し辛そうだし 頼むよ」
奥村が神山に大丈夫かと聞くが空返事しか返ってこなかった
神山自身はこの事を余り覚えてなく 久しぶりの不覚だった
翌日 目覚ましと時計が鳴っていたので目を覚ましてみると
隣に由香里が背中を向けて寝ていた
驚いた神山はここがどこだか分らず昨日の事を思い出したが
頭の中には由香里の姿は出てこなかった
暫く目をつぶっていると由香里がこちらに向きを変え
「どうしたの 神山さん おはよう」
「おはよう 斉藤さん」
「さいとうさんではなく ゆかりでしょ」
「うん 由香里さん」
「何を考えているの」
「いや 何で由香里さんとここにいるのだろうと思って」
「やだ 覚えていないの?」
「うん」
由香里は奥村と別れた後 高くもなく安くもないホテルを探し
神山をベッドまで運び寝かしたが
うわ言のように水が欲しいだの 頭が痛いだの言われ
結局 自宅に帰りそびた事を伝えた
神山は丁寧にお詫びとお礼を言った
神山は自分が裸でいる事が不思議でどうしたのか分らなかった
「昨夜 神山さんは私を求めてきたの」
「えっ 僕が 由香里さんを?」
「そう 頭痛が治まると 私の躰を触ってきて求めてきたの」
「えっ」
「いやだ 覚えていないの だけど久しぶりに気持ち良かったわ」
「そんな そんなに話していないのに」
「そうね しかし 女と男になると言葉なんか必要ないわ」
「しかし、、、」
神山はホテルの寝巻きを羽織トイレに入った
ユニットバスに湯を張り少し考えていたが由香里が
「ねえ 私もおトイレを使わせて」
「いいよ ちょっと待って 出るから」
神山は焦って出ようとしたがバスタオルが見つからず焦っていた時に
「もうだめ 神山さん見ないで あっちを向いていて」
狭い所で二人がもつれ合うようにしていた時 由香里は
便座に腰掛ける前にもらし始め
両足を硬く閉ざしている付け根から透明の液体が流れてきた
液体を流している間 由香里は直立した状態で両手は顔を覆い
生理現象が全て終ったとき由香里の秘所をシャワーで流してあげた
石鹸で丁寧に洗ってあげるとようやく足を広げ
自分から秘所をさらけ出しもっとも大切な処も洗わせた
顔を覆っていた両手は神山の肉棒を探り当て丁寧にシャワーで流し
今度はひざまずき 大きくなった肉棒を咥えたりしゃぶったりした
硬くなったのを確認した由香里はその場で交わりを求めてきたので
由香里をバスの壁に向けお尻を突き出させる格好で背後から交わり
最初のうちは神山が動いていたが 暫くすると
気持ちよくなって来たのか由香里もリズミカルに動き始めた
「うわぁー いっぱい ねえもう勘弁して」
神山は今度は正面を向かせ片足を持ち上げ交わったがすぐに
「あぁー きもちいいー もうすぐ ああぁー」
この体位だとクリトリスに当たるのか由香里は頂点に達した
由香里が頂点に達した後 神山もほどなく頂点に達した
シャワーが頭から流れている中で唇を重ね合わせた

「それだったら 私を避けることないでしょ
今年に入ってから 神山さん私を避けているもん 絶対に」
「そんな事ないよ 避けてなんていないよ」
「だったら ここで私を抱いて ねっ
ねえ お願い神山さん だ・い・て」 
由香里の片手は神山の肉棒をズボンの上から探り触っていた
(どうして、、君は昨年のクリスマスイヴを覚えているのか)
神山の思考とは別の動きをする下半身で
感じないように呪文を掛けても由香里の魔術には負けてしまった
「ほら こんなに元気になったじゃない」
由香里は勝ち誇ったように ズボンの上からぽんと叩き
ブラウスのボタンをはずし脱ぐと 神山に抱きついて来た
神山もどうなってもいいと半分妬けになり由香里を抱きしめ
造り付けのベッドを準備すると二人は久しぶりの感触を確かめた
神山が上になり重なったり 由香里が背を伸ばし上になったり
由香里は何回か頂点に達した後 暫くは動かなかった

神山がビールを呑みにキッチンに立つと 
「いいわね こんな所で生活をしてみたいわ」
「そんな事ないさ 事務所も兼ねているんだよ」
「でもいいわ 東京の隠れた一等地ですもん ビール私にも頂戴」
「うん」
新しい缶ビールをベッドに横たわっている由香里に差し出した
「ありがとう」
(あの時 君は僕ではなく 市川を選んでホテルに行っただろ
たまたま あのホテルに用があって見かけたんだ
まあ 今回の件は 市川は違うと言っているけれど、、、)
「どういたしまして」
お互いに羽織る物が無いので バスタオルを身につけた格好だった
「ちょっとシャワーを浴びてくる」
由香里にそう言うと バスルームに向かった
祥子の部屋で体験しているマジックミラーは今夜は使わなかった
バスルームを明るくして 思いっきり汗を流していると
由香里もバスルームに入ってきた
「ねえ 覚えている?」
「何を?」
「ほら初めての時 私間に合わなくて おもらしをしてしまった事」
「うん よく覚えているよ」
「その時 本当に恥ずかしかったの」
「そうだったね 躰が固まっていたもの」
「だけど 神山さんて凄く優しくしてくれたから 嬉しかったわ」
「特別に優しくしていた訳ではないよ 男だって恥ずかしいよ」
「ううん やさしかったよ」
由香里はその時を思い出したのか 神山の肉棒を洗い出した
下半身は勝手にそして立派な形に変身を遂げ 
由香里を喜ばせる体勢になった
由香里は自分から背を向けてお尻を突き出す格好になり
肉棒を向かい入れる準備をした
神山は少し悪戯をしてやろうと考えて 
座り込むと大事な秘所を指や唇で愛撫し始めると
「どうしたの だめ そんな事しては だめです」
由香里は突然の変わった攻撃を受け 心の準備が出来ていない所で
快楽を受け入れてしまい 膝をがくがくさせて頂点に達してしまった
「だめ もうだめ ねえ やめて お願い」
由香里は頂点に達した後も攻撃が続くので 躰をよじって逃げた
「なんで なんで入って来てくれなかったの
私 もうだめ なんか変な風に感じちゃったわ」
神山が由香里の秘所を触ると 滑りとした液体が溢れ出ていたので
躰を抱き寄せながら愛撫を始めると
「ねえ お願い入ってきて お願いします」
由香里はどうにもコントロール出来ない下半身をせめてながらも
満足していないものを神山に求めた
神山は再び硬直させると由香里の中にゆっくりと入り左右に動くと
由香里は待たされじらされた分 それだけで頂点に達してしまった
優しくそして少し強く締め付けられた肉棒は動かなかった
暫くすると肉棒への締め付けが更に強くなり 
突き出した由香里のお尻が前後に動き始めた
それに合わせ神山も動き始めると由香里の動きが激しくなり
上下左右だけではなく円運動が加わり 神山は我慢できず頂点に達し
由香里も神山に合わせるように頂点に達し その場にへたり込んだ

「さあ これで綺麗になったわね」
「うん 手伝ってくれてありがとう」
「そんなー 水臭い事言わないでくださいよ」
「いやいや 本当にありがとう」
「どういたしまして 又 来ていい?」
「う~ん 少し無理だよ」
「なんで?」
「だって 仕事を優先しなければいけないからな」
「由香里 寂しいもん」
「そんな我侭を言うなよ
由香里が居ると 目移りして仕事が出来ないじゃないか」
「やっぱり由香里の事 嫌いなんだ 避けてばっかり」
「違うよ 今晩は良いけど 僕の部屋から一人で女性が出て来たら
事情を知らない人間は どのように思うかでしょ
だから 僕が銀座に行った時に又合おうよ」
神山はなんとかここに来て貰いたくないのでバリアーを張ったが
「しょうがないわね しかし神山さんが浮気をしたら、、、
ここを切り取りますからね」
神山のズボンの上から大事な処をぽんぽんと触りながら言った
(だったら なぜ去年 僕を避けたんだ
僕だって 由香里さんともっと色々と体験したかったのに)
「分ったよ そんな事無いよ」
(でも 他の女性と本気になったら どうする?)
「本当よ 浮気しないでね 由香里寂しいもん」
「うん 分ったよ」
「それでは お邪魔しました これからどうするの?」
「うん パソコンや通信関係を確認したら寝ますよ 明日のために」
「ふ~ん では 帰りますね」
「うん 気を付けて」
神山がそう言っている時にプリンターが鳴り出し起動し始めた
「アルタから又 何か送ってきた」
「じゃあ 送って貰えないわね」
「うん ごめんね」
「ううん いいの お仕事優先 頑張ってね」
由香里は先ほどとは違う 明るい顔で神山にキスを求めてきた
「今夜は 本当に助かったよ 色々とありがとう」
そう言いながら 軽く唇にキスをした
「ここからなら 電車を利用するよりタクシーの方が早いだろう」
「ええ そうするわ」
「では 気を付けてね 明日は遅刻しないように銀座に行く」
「はい 神山さん気をつけてね 大切な日だから遅刻はなしよ」
神山は頷くと玄関を開け由香里を大通りの車が拾える所まできて
タクシーを拾うと由香里を乗せた
「山ちゃん ありがとう ばいばい」
「うん ありがとう 気をつけてね じゃ」
二人の挨拶が終わるとタクシーは新宿方面へ発車した






次回は5月28日掲載です
.

2012年5月18日金曜日

出会い 4 - 4 Vol. 3



妖艶な上目使いで神山の目を見て言ってきた
神山は吸い込まれそうになったので ちょっとだけ目をそらした
祥子はそれを見ていた
「やっぱり 神山さんは私なんかよりいい人が居るんだ」
「いや そんな事は無いよ 今は空家ですよ」
「うそばっかり でもいいや 今夜はわたしのものだもん」
また咥え込もうとされたが
「今度は 僕の番だよ さあここに座って」
バスタブの横がちょうど一人が座れるようになっていた
祥子をそこに座らせ足を広げさせた
神山は祥子のクリトリスを優しくそして時には強く愛撫した
「ねえ もうだめ 私すぐにのぼせてしまうの だから勘弁して」
「ねぇ~ バスタブにつかりましょ お願いだからやめて」
神山は愛撫する事を止め 祥子と一緒に湯につかった 
ジャグジーの泡が心地いいなかで二人は戯れた


4月5日 日曜日 曇り

目覚ましが勢いよく鳴り始めて目をさました
横に祥子が居ないのでどうしたのか
頭をはっきりさせるとがっかりした
昨夜遅く自分の家に戻った事をすっかり忘れていた

バスから上がると ビールを呑みながら祥子が
「ねえ 神山さん 持ってくる荷物ってどの位あるの?」
「うーん 多分夏物は持って来ないといけないだろうな」
「ふーん そうなんだ」
「なんで?」
「うん 私 明日実家に寄ってくるって言ったでしょ」
「うん」
「それはね 夏物を整理して こちらに運ぶ準備をしてくるの」
「そうか 突然だったものね」
「そうなの だから貴方の気持ちもよく判るわ
ねえ これから横浜に帰って支度をしたほうがいいんじゃない」
「うーん、、、」
「だって 上原の現場が始まれば 横浜に帰れないでしょ」
「それはそうだけれど」
神山は祥子と一緒に寝たいのと 横浜の支度と考えていた
それを見た祥子は
「だってこれから 嫌でも毎日顔を合わせる訳でしょ
だったら 今夜帰って 忘れ物が無いようにしたほうがいいわ」
神山は祥子の言うとおりと思い
「そうだね これから毎日会えるんだからね うん分かった」
神山は祥子にキスをして 帰り支度を済ませると
代々木上原のマンションからタクシーで横浜の自宅に帰ってきた

神山はまずシャワーを浴び 躰をシャッキとさせたあと
上原に持っていくものを 洋服など選択し紙袋に入れていった
10時が過ぎたころ横浜のアルタへ電話連絡をしたが
先方も事情を知らされていて話はスムーズに進んだ
「では 12時ころにそちらに向かいます」
「ええ お願いします」
詳細な住所を伝えると又 準備をしたが
どうしてもダンボールが必要になったので近くの八百屋へ向かった
時々いく八百屋のおばちゃんが理由を聞くと寂しそうに言った
「寂しいね 暫く合えなくなると」
「そんな 遠いところに行く訳ではないですし
すぐに 戻ってきますから」
神山はこのおばちゃんにレシピを教わり
上手に出来たものは試食をしてもらっていた
満足できるものは出来なかったが
いつも『美味しく出来ているよ』と言われ『嫁さん 要らないね』
などとも言われていた
ダンボール箱に靴などを丁寧に入れていると
約束の12時になってしまった
テレビのコンセントを抜いたりガスの元栓を
閉じたりしていると玄関のチャイムが鳴った
「アルタです こんにちわ」
「こんにちわ神山です どうもすみません」
「昨日 東京の高橋から電話がありお待ちしていました」
「それはどうもありがとう」
アルタの社員は名刺を差し出した
【アルタ横浜支店 支店長 田代純一】と印刷されていた
「今日はバンを用意してきましたが大丈夫ですか?」
「うん ダンボールが4個とこの紙袋だけだ」
「では 運びましょう」
「ありがとう」
神山と田代が荷物をバンの中に入れ出発できる準備が出来た
最後に電話機の転送を確認しバンに乗った
「では お願いします 行き先は上原ですが」
「はい高橋から聞いていますからご安心下さい
でも現場で分らなくなりましたら教えてください」
「うん 分った」
バンの中には神山の荷物のほかに家電製品の
ダンボールが幾つか積まれていた
「大変ですね この様なものもまで運んでいるんですか」
「いいえ これは神山さんの所にお届けですよ」
田代は運転しながらこちらをちらっと向き 笑っていた
「しかし神山さん 大変ですね」
「まあ しょうがないでしょ」
「私は東京に居たときに 神山さんを拝見しているのですよ」
「えっ どこで?」
「勿論 上野店の現場ですがね」
「そうなんですか 声を掛けてくれれば良かったのに」
「いえ そんな雰囲気ではなかったですよ」
田代は8年前 上野店の婦人服フロア改装工事の時に
現場監督として2週間ほど入店し作業をしていた
店の営業時間内外関係なくして神山が点検に来ていた事を話した
ある時オープン棚の支柱位置がずれて固定され壁との隙間が出来て
困っていた時に たまたま神山が現場を訪れた
『何を考えているのですか 早く作業を進めてください』
『ええ すみません ここに隙間が空いてしまうので困っています』
その時に神山は少し考え
『ここの壁を少しふかす事は可能ですか』
『はい でもどうしたら良いか』
『PBをこの棚の幅に合わせ後ろの壁から支えれば
見た目もおかしくないし 大丈夫ですよ』
神山は簡単なスケッチを図面に書き込み
『さあ 頑張ってくださいね 明日は商品の納品がありますからね』
『でも 大丈夫ですか』
『大丈夫です 責任は僕が取りますから』
「神山さんはそう言われて すぐにその場を出て行かれたんですよ」
「そんな事有りましたかね」
「ええ 結局その後 色々検討した結果 神山案になったんですよ」
「そうだったんですか」
「あの時 お礼もそこそこに現場が終った時に
お会いしたいと考えていたんですよ」
「それはそれは ありがとうございます」
「僕はあの時から神山さんと一緒に仕事をしたいと思っていますよ」
「そんな でもありがとうございます」
神山と田代は昔話をしながら上原のマンションに着いた
この荷物を二人で上げるとなると大変だと思っていたが
田代は大きな台車をバンの上に取り付けていたのをはずした
台車といっても2.5x5(尺)のコンパネにキャスターと
紐を付けただけの簡単なものだが 一回で全てを運べる事が出来た
唯一 エレベーターの出し入れだけが傷をつけないよう大変だった
普段なら養生をするのだが 今回は少ないので手当てをしなかった
神山が部屋を空けると荷物を玄関口に運び出し
「神山さん 家電製品を配置しましょう」
「うん しかし凄いな このテレビは」
「えっ テレビではないですよ モニターですよ」
「あっ モニターね でかいね」
「ええ プレゼンの時に良く使いますがね」
神山はこの部屋がアルタの事務所になって行く事に気が重かった
「では チューナーを取り付ければテレビが見られるね」
「ええ 高橋に仰ってくだされば用意しますよ」
田代は60インチのモニターとパソコンを接続し終えると
パソコンを起動させた
モニターにパソコンの画面が映し出されると
「神山さん OKですよ」
「うん ありがとう」
「なにかあったら 内野か田中に言ってください」
「うん分った」
「彼らは この様な技術に特出していますから」
「へえー 誠ちゃんと幸三君が?」
「ええ 技術屋顔負けですよ 彼らの腕は」
田代はモニターの設置が終ると残りのダンボールを開き
5合炊き出来る炊飯器と業務用電子レンジがキッチンに置かれた
「凄いね 5合炊きの炊飯器とは 一人暮らしなのに」
「ええ 今はこの大きさが主流なので これにしました」
「そうだね 少しを炊くより一杯炊いたほうが美味しいもんね」
「そうですね」
田代は最新式の家電製品を一通りダンボールから出し終えると
空になったダンボールを一まとめにし
「では 僕は横浜に帰ります」
「うん ありがとう」
「そのうちに御殿場に行きましょう」
「えっ 御殿場?」
「ええ 御殿場の仕事は 東京と横浜が合同で行うのです」
「そうなんだ」
「勿論 チーフは佐藤部長ですが 高橋と私が分担して行います」
「大変なプロジェクトだね」
「ええ しかし慣れていますから大丈夫ですよ」
田代は神山と一緒に仕事が出来る事に喜びを隠せなかった
「それでは 失礼します」
「うん ありがとう」
神山はマンションの駐車場で田代を見送った

部屋に戻った神山はアルタの佐藤部長へお礼の電話を入れた
もって来たダンボールの開梱作業を終えると1時を廻っていた
造り付けのワードローブにジャケットを掛けたり
下駄箱に靴を並べたりと明日からの生活に備えた
全てが終わり一段楽したので 改めて部屋の中を見渡した
備品類や洗濯機 冷蔵庫など新品の家電製品も直ぐに使える
状態になっていた
取り扱い説明書も 透明ファイルに分かりやすく整理され
テーブルの上に置かれていた

冷蔵庫も大きな400Lタイプで こんなに大きな冷蔵庫に
なにを入れるのか 少し考え扉を開けると缶ビールが入っていた
一番手前の缶ビールにメモが張ってあり読んでみた
【山ちゃん びっくりしたでしょ 一杯呑んでください
それからベッドの脇にある 棚には当分呑めるお酒が
収納してありますので そちらも呑んでください アルタ佐藤】
神山は ベッドの横にあるホリゾントの扉を開くと 
当分どころの騒ぎじゃないくらい お酒が入っていた
日本酒から焼酎 ブランデーやウイスキーまであらゆるお酒が
揃えられていた 驚いたのは神山が好きな銘柄ばかり揃えられ
これを考えると 相当期待されているのが分かった

神山は冷蔵庫から良く冷えている缶ビールを出しテラスに出た
(そうか 祥子さんの部屋が東向きだから こちらは西か)
テラスには ガーデンチェアとテーブルが用意されて
これも新品みたいで 足元には転倒防止の重石が置かれていた
神山はテラスのフェンスに立ち部屋を見ると 祥子のところと
テラスの奥行きが狭い事に気が付いた
この部屋はその分 部屋の奥行きが広くなっていた
神山がテラスで寛いでいると 大きなFAKが動き出しロール紙が
印字され 床まで出てきた
部屋に戻り確認すると 上原の平面図ですでに寸法まで記入されていた
早速アルタの高橋に電話をすると
「やあ 山ちゃん お久しぶり これからお願いしますね」
「考ちゃん こちらこそ 凄いね もう出来上がりじゃないか」
「いえいえ それはたたき台ですよ まだまだこれからです
それと この電話じゃなくて もう一つ電話があるでしょ」
「うん もう一台あるよ」
「そう それが業務連絡用の電話です なので業務の時や
鈴やさんにもそちらの 電話番号を教えて置いてください」
「なにかあるの?」
「ええ 電話機には通話内容の録音が出来るようになっていますが
業務用は留守番電話や 通話録音の容量が桁違いに大容量なんです」
「そうか わかった 次回からそうするよ
ほんと なにから何まで ありがとう」
「山ちゃんが手伝ってくれるとなれば たやすい事ですよ
そうそう 今日の予定はどうなっていますか?」
「これから上原でお昼を食べてから 銀座に出ようと思っているよ」
「山ちゃん渡したいものがあるので 駅前寿司で待って貰えますか」
「うん 分かったよ」
神山は電話を切ると カジュアルなファッションに纏め
バスルームのところに備え付けられている 姿見で確認をした
(そうか 秘密が分かると 遊ぶ事も出来るな)
ひとりでニヤニヤしながら 格好を確認をすると部屋をでた

「山ちゃん 遅くなりました」
「やあ 考ちゃん それからみんなもお久しぶり」
駅前寿司で神山はアルタの高橋孝一 内野誠二 田中幸三と
久しぶりに顔をあわせた
高橋孝一は神山に
「まずは これ社長からです メモが入っているそうです」
神山は頷いて封筒を受け取ると お札が入っている様子だった
中を開けると 50万位入っていて 手紙があった
【山ちゃん 今回力を貸して頂き ありがとうございます
このお金は 上原で足りない物に使ってください 内藤】
「おいおい 考ちゃん いいのかなぁー こんなに沢山頂いて」
「大丈夫ですよ 社長が直々に僕によこした物ですから」
「ありがとう 助かるな」
「それから これは上原の詳細図面 部屋に戻ってから見てね」
「了解 さあ食べようよ」

このお寿司屋は初めて入ったが 新鮮な魚介類で美味しかった
女将がビールと おつまみで鮮魚の盛り合わせを持って来た
日曜日だというのに 家族連れが多く店内は繁盛し
子供たちが親におねだりする声や 美味しいと食べている声など
賑やかな感じだが 客全体が上品な感じだと思った
「考ちゃん 美味しいね ここのお店」
「そうでしょ 先日現場実測の時 立ち寄ったんですよ
こんなに美味しかったら 高いだろうと思ったら安くてびっくり」
「へぇー そんなに安いんだ だから混んでいるのかな」
4人で食べて呑んで一息つくと 店を出た
「美味しかった 考ちゃんごちそうさま」
「いえいえ あれだけ食べても 普通の寿司屋より安いですよ
これからここにちょくちょく来れるから 楽しみです」
「うん 新鮮だと箸も良く進むものね じゃ僕はこれで」
「山ちゃん 車で行こうよ」
「いいの? だって銀座経由だと遠くなるじゃん」
高橋孝一は内野と田中に電車で帰るよう指示すると
タクシーを拾い 銀座まで同乗すると
「山ちゃん ごめんね あのさ渡すものがあるんだ」
そういうと高橋は鞄から封筒を出して 神山に手渡した
「なに?」
「ほら 先ほどは部下が居た手前 大きいのが出せなかったんだ
こちらにも50万入っています」
「そうか うん でもいいのかな? 100万なんて」
「うん 社長が考えてくれているから大丈夫だよ 仕舞っておいて」
「うん 内藤さんによろしく伝えてね」
高橋は明るい顔で
「了解」
話しているとタクシーは銀座に着いた
「じゃ 考ちゃん どうもありがとう」
高橋が手を振って答えるとタクシーは発進した

銀座店催事課の部屋に入ると 日曜なのに全員出勤していた
「あれっ 山ちゃん 休みだろ」
「やあ 課長 こんにちわ 休みですが 
特殊なデザイン用品なんかを向こうに運ぼうと思って来ました」
「そうだな これから向こうで書かなければいけないからな」
神山は課長に挨拶を済ませると 市川が居るので
「やあ 大輔どうした ちょっと時間をくれよ」
「うん 今にする?」
「うん そうしようか」
神山は一旦自分の席にいくと倉元に挨拶をして座った
横に居る杉田に
「何かあった?」
「あっ 先輩 お休みじゃなかったんですか」
「翔が心配で 出てきたんだよ」
「えっー 僕のためにですか ありがとうございます」
「って言うのは 冗談で 向こうで使う物を選びに来た」
「なぁーんだ そうですよね もう 驚かさないでくださいね」
「売り場から何かあった?」
「いえ 何も無いですよ 大丈夫ですよ 僕がいるから」
そのやり取りを聞いていた倉元が
「おう 翔 頼もしい言葉だな 任せたぞ」
「わぁ 聞かれていたんだ 参った お願いします部長」
3人は大笑いして 神山は市川の席に行くと催事課をでた

神山と市川は事務館の向かい側にある 喫茶レイに入った
「なあ 大輔 詳しく話せよ どうしたんだ」
「うん 実はな 付き合っている女の子に赤ちゃんが出来たんだ」
「えっ 出来ちゃったかー、、、」
「うん それで向こうは産みたいと言っているんだよ
だから俺 かあちゃんと別れようと思っているんだ」
「なに 別れる 奥さんと、、、」
「うん」
「相手は幾つなんだよ」
「今年25歳かな」
「なんだよ 17歳も年下じゃないか へぇー もてるな大輔」
このとき少しだけ市川の顔が明るくなった
「ところで 課長にはなんと答えたんだよ」
「うん 実はそこまで話していないんだ」
「まさか 出来た事も伏せているのか?」
「うん」
神山は市川の俯いている顔を殴りたい衝動にかられた
「大輔 奥ちゃんにきちんと話せよ
あの人 大変なんだぞ 奥さんから電話がかかってきて
大輔を庇って なあ 正直に話してみろよ
あの人の事だ いい案があるはずだよ なあ」
市川は 俯いたまま神山を見ることが出来なかった
「だってさ このままじゃ 大輔 クビになるぞ」
「うん だからここも止めちゃおうかとも考えたりした」
「そんな 今の奥さんや子供はどうするんだよ 考えたのか」
「うん」
「相手はどこの人なんだ」
「うん 横浜に住んでいる」
「職業は」
「会社員だ」
「大輔 だったら別れるのにお金で解決出来るだろう」
「うーん」
「おい 同期として最後に言っておく
出来た事を課長に話て 会社を辞めるならその後にしろ」
神山はそういうと 席を立ち喫茶レイをでた

部屋に戻ると 奥村が              
「山ちゃん 筒井さんから電話だ このメモへ電話して」
「はい えっ今日は日曜日なのにどうしたんだろう」
神山は席に戻ると 筒井の携帯電話に電話をした
「はい 筒井です」
「銀座の神山です どうされたんですか?」
「いや大した用件じゃないけれど 今夜上原のマンションに
アルタの佐藤部長とお邪魔したくて 電話をしたんだ」
「えっ 佐藤さんもですか、、、またどうされたんですか」
「ほら 事務所が開設された訳だろ だからお祝いさ」
「あーあ びっくりすよ ありがとうございます
そうすると 何時頃に来られますか?」
「5時頃だけど 大丈夫かな」
「ええ でも食事の用意が出来ないんですよ」
「ははは いいよ そんなに気にしなくて ではお願いしますね」
電話を切ると 倉元に
「倉さん 今夜アルタの佐藤部長と筒井さんが 来るんですって」
「おう いいじゃないか よかったな」
「でも なにも御持て成しが出来ないんですよ」
「いいじゃないか 酒とつまみがあれば」
「そうか つまみはコンビニで買おう まあ突然ですよね ほんと」
「ははは そんな事もあるさ」

16時過ぎまで催事課で仕事をした神山は
「じゃあ 翔僕はこれで帰るけれど なにかあったら携帯な」
「はい お疲れ様でした」
「倉さん お先に失礼します」
「おう 明日は遅刻するなよ 大事な日だからな」
「はい ありがとうございます」
神山は課長に挨拶しようとしたが 居なかったので
「由香里さん お先です 課長に伝えておいてね」
「はーい お疲れ様でした 明日が楽しみね」
「まあ 嬉しいけれどね、、、 それでは」
神山は日比谷通りに出るとタクシーを拾って上原に向かった
車の中で市川のことをどうしたら良いか考えていたが
いい案が浮かばずに 寝てしまった






次回は5月23日掲載です
.

2012年5月13日日曜日

出会い 4 - 4 Vol. 2



って事は 知らなかったのは自分だけと気が付き
先日からの動きは 誰でもない自分だったのだと がっかりした

部屋を出て席に戻る時 神山は翔を捕まえて
「翔 この事を知ったのは いつだよ」
「ええ 昨日ですよ ほんと僕もびっくりですよ」
「なあ あんなに心配したのが 自分だもんなー」
「よかったですね 部長でしょ いいなぁー」
「ははは 戻ってくれば課長だよ」
「いいじゃないですか それでも」
「ははは そうだな」
すれ違いに市川が奥村の待つ会議室に呼ばれ入っていった

神山は早速 アルタの佐藤部長に電話をした
「銀座の神山ですが 佐藤部長をお願いします」
「佐藤です おめでとうございます」
「ははは 参ったなぁー おはようございます
今 課長から聞きました こちらこそお願いします」
「いやぁー 山ちゃんが来てくれたら安心だよ 助かったよ
本当にお礼を申し上げます ありがとう」
「いやいや そんな ところで引越しとか 荷物を運ぶとか
そんな話が出ていると言うのですが」
「うん 備品類を横浜から運ぶんだよ それでね折角だから
山ちゃんの荷物も 一緒に運びましょうって段取りです」
「はぁー 凄いですね 本人が知らない間に そこまで進んで」
「まあ山ちゃんの事だから 断るわけは無いし それで進めたのさ」
「そうしたら いつですか」
「明日のお昼ごろは如何ですか?」
「もう 如何ですかじゃなくて もう決まっているんでしょ もう」
「ははは その通り なのでお電話をしてお昼に横浜が伺いますよ」
「はい そうするととりあえずの物しか 運べないですね」
「今回はそうですが これからは横浜を使ってください」
「はい では明日お電話を待っています」

神山はアルタとの連絡を終えると ニーナ・ニーナの筒井に電話をした
「参りましたよ 知らないところ話が進んでいました」
「ははは これでようやく おめでとうと言えるね         
先ほどは その事だと思って 先走りしてしまったよ」
「そうだったんですか いや僕のほうは別件なんですよ
その件は後でお話しますが 上原のどこですか?」
「うん しゃれた小さなマンションだよ それでお昼に会うとき
地図とカードキーを渡すよ」
「はい ありがとうございます」
「現場にも近いし 銀座にも近いし 非常に便利なところだよ」
「ええ 銀座の現場にすぐに入れると聞きました」
「ははは まあ 最初は仕方ないさ 上原の場合多少図面は
進んでいるんだよ でもそこからが山ちゃんの力が欲しいんだ」
「はい 喜んで参加させて頂きますよ で オープンはいつですか」
「うん 5月の半ばか6月の初めですね お願いしますね」
「はい ではお昼に」

12時30分を過ぎた時 倉元が奥村と由香里を連れて食事に行った
筒井との待ち合わせのホテルは
ここから歩いて5分のところに在るのでゆっくりと外出した
そのホテルの2階は軽食から本格的な食事も出来るところだった
周りを見渡せばビジネスマン等の打ち合わせや
濃厚な化粧をした婦人達が多かった
近くに銀座歌舞伎座があるせいか 
ここは何時もお化粧の匂いが漂っているところだった
13時少し前に筒井がエスカレーターで上がって来るのが見えた
周りを見渡し探している様子なので手を上げて答えた
「やあ 暫く 部長 おめでとう」
「いえいえ まだです それよりすみません お忙しいところ」
「そんなに 忙しくないよ ひまで困っているよ」
「ところで どうする 昼飯」
「う~ん 実はまだなんですよ」
「そうか 何食べようか 今日はご馳走するよ」
「えっ 本当ですか ご馳走様です」
「そうしたら えびかつカレーランチにしてもいいですか」
「うん それ2人前頼もう それと生ビール2つ」
神山は言われた通りにウエイターに伝えると
すぐに生ビールとおつまみのチーズがきた
神山はカレーセットを少し後に延ばす事を伝えた
「そうそう 呑む前にこれを渡しておくよ はいこれ」
筒井は神山に上原の入居先地図とカードキーを渡した
神山は地図を見ると 祥子のマンションと分かったが
ここはまだ知らない事にして 話を聞こうと思った
「随分と高級住宅街じゃないですか ここら辺って」
「うん 上原の店舗の事を第一に考えると ここが一番なんだ
それから そのうちに分かるから 話しておくけれど
ほらチーフの久保祥子君も ここに住んでいるんだよ」
「あの久保さんがですか そうすると連絡も密に出来ますね」
「うん そうなんだよ」
神山は嬉しかったが 喜びを隠して聞いた
「筒井さん 家賃はどうなっているんですか?」
「そうか まだ聞いていなんだね 上原はニーナ・ニーナ持ち
横浜の家賃はアルタさんが 負担してくれる事に決定しているよ」
神山はこれで少し纏まった貯金が出来ると喜んだ
「それでこのカードキーの暗証番号だけれど 
社員カードと一緒の6桁にしてあるよ」 
「はい ありがとうございます」
神山はこれで祥子と密に連絡が取れるだけじゃなく
行き来し美味しい料理も食べられると 喜んだ

「筒井さん 昨夜久保さんと一緒になりまして相談を受けました」
「そうか 昨夜は上野公園でお花見だったんだよ」
「僕が帰ろうとした時にばったりとお会いして 
スタッフと呑みに行ったんですが 皆が帰った後 
随分と上原のスタッフの件で悩んでいるみたいでした」
「そうか~ 君はどう思う 林君と浜野君を観て」
「僕自身は 浜野さんの方が明るくて品格があり 
あの場所にはハマリ役だと思いますが、、、」
「う~ん 実際のところ僕自身も困っているのだよ
実は 林君があの店には私が向いている 
上原に行かせてもらえないのなら会社を辞めると言い出したんだ」
「随分と 筒井さんを困らせますね」
「そこで 久保君には悪いけど 
林君をあそこに行かせると伝えてあるのだが 困ったものだ」
神山はなぜ林が上原に固守しているのか聞いてみた
「思い当たるのは 売上に対してのインセンティブに在るみたいだ
銀座店は売上の何パーセントかを地場代として引かれるわけだが
上原は地代が固定なので売上がよければいいほど
それだけ余計にインセンティブが入ってくる仕組みさ」
「恐ろしいですね女は そこまでして自分がなりたいか ですよね」
「困ったものだ 本当にいい手がないか困っていたところなんだよ」
筒井は先ほどから困った困ったを連発していたが 
何か妙案があるらしく 真に困った様子でもなかった

「実は神山君 内緒だけどな 絶対内緒だぞ」
「ええ なんですか」
「御殿場のアウトレットが出来ることを知っているかね」
「ええ 新聞などのメディアで騒がれていますよね」
「うん 後1年後位で立ち上がる所なんだけどね 
そこの準備で林君に行ってもらう事を考えているのだよ」
「そうすると 銀座店はどうなるんですか」
「今回 神山君が銀座に来ているように 
銀座は様変わりしようとしているんだ
そこで 本社にいる人間を 上原で少し鍛えてから
銀座の店長にしようと考えているのだ」
筒井は自分の考えを神山に話した
林が銀座にいる時に新人1名を育てる
その時 同時進行で上原でも浜野が新人を育てる
しかし上原で育てる新人は銀座店の店長で任せられるように
育て上げなければいけなかった
「えっ いっぺんに2名も銀座店に来るのですか 新しい子が」
「うん 実際問題販売実績がないと 任せることが出来ないだろな」
「いいお考えだと思いますが 本社事務がお手すきにならないですか」
「うん 僕が困っているのはそこなんだよ」
「久保君のようなスーパーウーマンがもう一人いてくれれば 
本当に助かるのだが どうしたものか困っているんだ、、、」
筒井は手薄になる本社スタッフをどのように 切り回したらよいか
考えあぐんでいた

生ビールを2杯ずつ飲干した後 
二人は無口でえびかつカレーセットを口に運んだ
食後のコーヒーが出てきた時
「神山君 これからどうする 部屋にかえるの?」
「いいえ 筒井さんの事だからアルコールと決まっていますから
黒板に 青山打ち合わせ:直帰 って書いてきました」
「うん さすがだね ところで倉さんはどうしている?」
「ええ 先ほども倉さんに助け舟を出してもらったんですよ」
「では借りが出来たわけだ」
「ええ 倉さんが 宜しくって言ったましたよ」
筒井と神山はこれからどこに行くか決めかねていた
まだ14時30分を過ぎたばかりで 中途半端な時間ではあった
ホテルの外に出ると気持ちよかった
お化粧の匂いに慣れていたせいか 
外の空気が美味しかった 筒井も同感だった
日はまだ高いが 少し西に傾いてきていた
ここは銀座でも中央通りと昭和通の中間に位置していた
ビール瓶をバンに積んでこれから配達なのだろうか昼の部が終り
今度は夜の準備をするために皆せわしなく動いていた
オフィスビルには社員食堂を自前で持っている所はめったにない
百貨店のように厨房施設があり調理人がいて
従業員が多いところなどに限られてくる
そのためお昼時はどこの飲食店でも満員御礼のところが多い
行列の出来るお店には制服姿やワイシャツ姿などのサラリーマンや 
観光目的の外国人などの姿をよく見かける                      
二人が向かっている所はそんな慌しい世界を抜け出したところだった
築地にある寿司屋いせ丸は朝早くから夜遅い時間まで開いていて
筒井も倉元に教えてもらったと言っていた
普通仕込などの関係でお昼休みの時間を設けているが
このお店は暖簾がしまわれていても一見でないかぎり入れてくれた

神山は部屋の倉元に電話をした
「今日はありがとうございます 今筒井さんと一緒です」
「おう 筒井君は元気か?」
「ええ 電話変わりましょうか?」
「うん 頼む」
「はい 筒井さん 倉元さんです」
筒井は神山から携帯電話を受け取り倉元と挨拶をかわしていた
暫く話し込んだ後 通話が切断された状態で神山に戻された
「倉さんからだけど 今ちょっと前に店長が部屋に来て 
神山君を探していたそうだ」
「えっ なんだろう?」                                  
「今朝の御礼を言いに来たそうだ」
「ああ あの件ですね そんなに誉められる事していないですよ」
「店長にとっては 君を銀座に移動させた事が当たって
嬉しいのではないかな 分かる気がするよ
それから 俺も青山に行きたいなって言って来たので 
これから 築地のいせ丸に行くところですと言っておいた」
「はあ 倉さんにばればれですね 読まれていますね」
倉元の話しをしながら築地に着いた
寿司屋に入ると歌舞伎座帰りの女性客が賑わっていて
筒井たちは奥の座敷に招かれた
この時間に入ると 黙っていても瓶ビールとつまみが出てきた
二人はお互いのグラスにビールを注いだ
「それでは 改めて乾杯 部長昇進おめでとう」
「はい ありがとうございます 乾杯」
「しかしこの店に来ると落ち着くね」
「そうですね 特にこの奥の座敷に来たときは 
都会のど真ん中銀座では無いみたいですね 静かでいいです」

銀座の雑多から逃れるにはいい隠れ場だった
壁には丸窓があり格子の障子を開くと竹林が見渡せた
築地にこのような施しをして持成している店は殆ど無いだろう
二人が瓶ビールを空けると見計らったように 新しいビールが来た
このような持成しを受けられる座敷は全部で 八部屋ほどあるが
竹林を眺められる部屋はこの部屋を入れて三部屋しかない
だから今日はいいタイミングで来たみたいだった
「筒井さん 上原の交渉はどうなりましたか」
「なんだ 知っていたのか」
「ええ 久保さんからお聞きしましたよ 
それに上原出店計画も筒井さんの肝いりだと」
「うん 結局はショバ代を少し上乗せする事で合意したよ」
「おめでとうございます」
「青山を出る前に 久保君から電話があり 
賃貸料を3%上乗せすればOKです どうしますかとの連絡が入り
GOサインを出した」
「良かったですね 計画が進んで」
「後は 人事異動のタイミングなんだがね 問題は」
「と言うと 林さんですか?」
「うん 林君に辞められると困るので 
早急に人事異動をしなければいけないのだが、、、」
筒井はまた困った顔になった

「ほら林君は知っている通り 少し男癖が悪いところがあるだろ」
「はい 噂にはよく耳にします」
「既婚者だからと言って 旦那を御殿場まで連れては行かないと
思うのだよ それに旦那はこちらでの仕事だからね」
林恵美の旦那 林隆は東京を中心とした什器リース会社の社員で
百貨店やスーパーなど催事替えの時に什器類の入れ替えをしている
少人数の会社なので運転手から全てを任されていた
当然だが恵美との会話は少なくなる
「今 探しているのは 林君の面倒を見れる男を捜しているのだよ」
「えっ そんな~」
「だって よく考えたまえ 林君を一人にしたらどうなると思う
それこそ 御殿場計画はお釈迦になってしまうではないか」
「それはそうですけど しかし、、」
「企業を発展させるには ある程度犠牲が必要になって来るのだよ」
筒井は配下にある駒の情報を正確に把握していた
久保祥子のマンションに付いてもきちんと計算ずくであった    
新店舗となればいくら浜野由貴が頑張ってもなかなか売上は伸びない
そこで久保を近くのマンションに住まわせれば 
浜野の面倒を見ながら一人前に育て上げると確信していた
近くに居れば朝の準備や夜のミーティングなども
スムーズに行われるだろうと考えていた
神山は筒井の考え方には全面的には賛成できないが
企業として生き残るためには仕方の無い部分もあると考えていた
会社を成長させるには色々なファクターが有るが
筒井の先を読む目にはいつも敬服した

神山は化粧室に行くときに時計を見たら17時を指していた
座敷に戻る時 祥子の連絡をどのようにしようか考えていた
多分 賃貸借などの契約が取れ喜んでいる顔が浮かぶが
この状況だと電話出来なかった
襖を開けたら新しいおつまみが来ていて づけも置かれていた
席に座り筒井にこのづけを聞こうかと思ったときに襖が開いた
倉元が入ってきた
「おう やっているな」
神山がきょとんとしていると
「山ちゃん 匂いで分るのさ」
筒井と倉元は昼間の電話でここで会う事を約束していたのだ
倉元が入ってきたので神山は自分の座布団を下座に移し 
新しい座布団を上座に用意した

「今日は 店長の機嫌がいいから出てきた」
「よかったね 神山君」
筒井が満面の笑顔で言ってくれた
「お祝いだ」
神山は倉元にビールを注いだ
倉元と筒井は神山を誉めていたが自身はお尻がかゆかった
神山はこの二人の呑んべいと付き合うとここを出るタイミングが
無くなってしまうので
「倉元さん 実はもう一件打ち合わせが入っているので
ここで失礼させて頂きます」
「おう ご苦労さん」
「筒井さん 今日はご馳走様でした 色々と勉強しました」
「いやー 元気で頑張ってくれよ 銀座も頼んだぞ」
「はい 出来る限りがんばります」
神山は二人に礼をし座敷を後にした

外は赤く 夕焼けが銀座のビルを赤くしていた
神山は祥子に連絡を取った
「久保さん 神山です 遅くなってすみません」
「おつかれさまです 今 どちらに居るの?」
「銀座です 今まで筒井さんと打ち合わせをしていました」
「どうもすみません 私の為に大変でしたね 
こんな時間までごめんなさい」
「いえそんな事ないですよ どこで待ち合わせしますか」
「神山さんがご存知のところでいいですよ」
「そうしたら 表参道の有名なうなぎ屋おおたではどうですか?」
「ええ いいですよ 私も1時間くらいで出られますので
先にお店に入っていてください」
「はい 吉報をお知らせしますよ」
「わあ 嬉しい 待っていてくださいね」
神山は以前ニーナ・ニーナの新作発表会の時 
祥子に教えて貰った店に行く事にした
地下鉄まで歩くのが億劫なのと乗り継ぎが嫌だったので 
タクシーで向かう事にした
東銀座の歌舞伎座に来るとタクシーが客を待って列をなしていた
銀座から赤坂を抜けて表参道についた時6時を少し前だった
繁盛しているのだろう 店のたたずまい脇にある緋毛氈の長いすに
数人が座り順番を待っていた
神山は予約を入れておいたので2階にある畳の個室に案内された
まだ祥子は来ていなかった
神山は生ビールと蒲焼のおつまみをたのんだ
2階建てのこの店は1階がテーブル席と少人数の個室で
2階は畳の大部屋と個室になっている
並んで順番待ちをし通される所は1階のテーブル席で
そこが満員になると2階の畳の大部屋に通される
畳の個室は運良くないとほとんど利用できない場所であった

生ビールと枝豆が出て来たときに祥子が現れた
「こんばんわ お待たせしました」
今朝 会っているのに暫くぶりで逢ったように錯覚を覚えていた
今夜の祥子はいつに無く輝いて見えたからだ
店舗の契約が取れた事の喜びからきているのか 明るい表情だった
「私 ここの生ゆばさしを食べたいな おいしいよ お勧めです」
「そしたら 追加しよう」
部屋の隅に置いてある電話で追加注文をした
程なく祥子の生ビールとつまみが来た
「契約が取れて おめでとう」
「ありがとうございます」
「では 乾杯」
二人はビールを呑みながら 今日の出来事を話し合っていた
祥子は筒井が林のことなどを そこまで考え抜いて采配を
している事をはじめて知った
「その話しからすると 筒井さんとしてはどうしても私が
上原に住まなければ成らなかったのね」
「そう だからホテルの件もタイミングがよかったのかもしれない」
「う~ん そうね」
祥子はそれ以上の詮索は止めた     
生ビールを飲干した時に ひつまぶしが運ばれてきた
二人はうなぎの美味しさを順番に堪能した
神山は銀座で食べた事があった
最後は椀にだし汁を注ぎ食べるのが美味しかった
「わあ 美味しかったわ 神山さんと一緒だととても美味しいわ」
「ありがとうございます 僕も祥子さんと一緒だと楽しいよ」
二人は電話で会計を頼み襖を開けようとした時 
どちらからともなく熱いキスを交わした
1階のレジで会計を済ませ表に出た
今夜は土曜日なのでうなぎ屋おおたの外では長椅子に座って
順番を待っている人が大勢いる

「祥子さん 明日の予定はどうなっているんですか」
時計は20時なのでまだ充分 最終電車に間に合うと思っていた
「明日は休みなんですが 朝一番で お仕事と私事で名古屋に
出張で6日の月曜日の午前中に帰ってきま~す」
「そうか う~ん 僕は明日は休みなんだけど どうしようかな」
神山は祥子にニーナ・ニーナ出向で祥子のマンションに住む事や
出向部長になることを伝え 明日は横浜から荷物を上原に
運ぶ事などを話すと祥子は自分のように喜び
「凄いわね おめでとうございます 私 凄く嬉しいわ」
「うん これから 分からない事があったら 直ぐ傍だから
なんでも聞きに来ていいよ もっとも分かる範囲だけどね」
本当は祥子を欲しいから今夜も泊まると言いたかったが 
着替えが無いので躊躇していた
「神山さん すぐそこのお店で 明日の着替えとかを買えば
今夜は一緒に居られるでしょ それに買いおきしてもいいし」
「うん そうだけど」
「だったら 膳は急げ 行きましょ」
祥子は神山の手を取ってその店を案内した
アメリカンステージという店に入るとアイビーを中心とした
ファッションがところ狭しと店内に飾られていた
二人は神山に合う服やカジュアルシューズなど選んでいった
下着を選ぶときになって祥子が赤のビキニブリーフを選んだ
「えっ なんで赤なの」
「赤は 元気が出る色として言われていの ふふっ げ・ん・き君」
神山は祥子の勧めで赤いビキニを選んだ
会社にはスーツで出勤した事はほとんど覚えが無い
特に銀座店ではファッションが決まっていればGパンでもOKだ
綿麻のジャケットで今の祥子と同じものが吊るしてあった 
それを眺めていると
「私の上下もここで買ったばかりなの 
安いのに縫製は意外としっかりしているわ」
「そうか だったらこれも買おうかな」
日曜日は久しぶりにノーネクタイで出勤してみるかと思い
ジャケットに合うシャツを選別していると祥子が選んでくれた
白を基調にしブルーとイエロー オレンジカラーの幅を変えた 
日本では余り見かけないストライプのシャツだった
神山が普段買わない柄だったので顔をしかめていると
姿見に連れて行かれ合わせをした
祥子がせっかく選んでくれたのでそのシャツも買う事にした
アメリカンステージを出るときは大きな袋が2つもなった
今夜 祥子のマンション泊まりの拒否理由はこれで解消した
袋が大きいのですぐに来たタクシーに乗った

二人と大きな紙袋を乗せたタクシーはすぐに
上原の祥子のマンションに着いた
祥子はカードをスキャンすると大きなガラスがゆっくりと開いた
箱が下がって来るのを待つ間に神山は祥子を引き寄せ唇を重ねた
エレベーターの扉はステンレスヘアライン仕上げになっていた
扉の前の床には天井からスポットライトが照らしていた
琥珀色の空間に抱き合った二人を包み込む光であった
ガラスの外からは丸見えだが抱き合ったシルエットは
映画のワンシーンに見えただろう美しかった
エレベーターで6階にある祥子の部屋に手をつなぎ入った
部屋に入るなり二人はベッドにもつれ倒れこんだ
二人はお互いの服を剥ぎ取りあい抱き合い交わった

久保祥子 このとき36歳で9歳の娘が居るが 
名古屋の実家で祥子の両親に育てられていた
ニーナ・ニーナジャパンに就職したのは30歳のときだった
勤務先ブティックは名古屋鈴やだった
天性の頑張り気質と美しさ 
兼ね備えた上品さですぐに上層部に知れ渡った
すぐにでも東京本社に来てもらいたがったが 
娘が小学校に上がってからと断っていた
しかし実際に東京の本社勤務になったのは昨年からだった
娘の学業を両親に任せきりには出来ない部分があった
片親が居ない為のいじめなど娘自身から悩みをいろいろと
聞かされると離れる事が出来なかった
昨年までは週の半分を東京 残りが名古屋のブティックと
ハードな時期を送った
去年7月に遂に東京勤務を認めざるを得なくなった
東京勤務に集中して欲しい為 上層部が青山に呼んだ
条件としてゼネラルマネージャーの地位を用意した
祥子自身も青山勤務には興味があり 
もともと販売以外でも実力を発揮したかった
そのころには娘も母親が居ない事に慣れて 
ばーちゃんじーちゃんと上手に生活するようになって来た
マンション引越しについても 慌しい時期より娘の春休みに
お願いをして先月の末近くにここに来た
「だから 神山さんが 最初のお客さんなのよ」
「ご光栄です ありがとう」
「ねぇ~ シャワーを浴びましょうか?」
「うん そうしようか」
「では 支度してきますね ちょっと待っていてね」

祥子はどこに用意していたのか
バスタオルを躰に巻いてバスルームに消えていった
「いいわよ~ どうぞ入って来て下さい」
今夜は一緒に入る事を拒まなかった
神山は全裸でバスルームに向かった
バスルームの照明は少し暗かったがそれでも祥子の顔はよく見えた
「はい こっちに来て」
「うん」
「きれいきれいしましょうね」
「祥子さんもきれいきれいしなければね」
二人はお互いの体をシャボンとたわむれた
シャワーで流すと祥子はひざまずいて神山の肉棒をくわえた
先ほど果てたばかりだったが すぐに元気になった
「これからも このおちんちんと合えるのかしら」





.

2012年5月8日火曜日

出会い 4 - 4 Vol. 1



4月4日 土曜日 快晴
神山は明るい日差しで目が覚めたが 
一瞬ここがどこだか判断できなかった
ベッドの大きさや布団の違い 壁の大きなガラスなど気が付き
昨夜は祥子のマンションに泊まった事を思い出した
祥子は隣にはいなかった
キッチンのほうからお湯が沸いる音がした
しばらくしてコーヒーの香りが漂ってきた
祥子がマグカップを持って神山がいるベッドにやってきた
目を覚ましている神山を見て笑顔で
「ごめんなさい 目を覚ました?」
「いや 明るいので目が覚めてしまったから 今何時ですか」
「まだ7時です 神山さんもコーヒー飲まれますか?」
「うん 頂きます」
祥子は又 キッチンに行った
今朝の祥子は淡いピンクのシルクサテンのガウンを羽織っていた
神山のマグカップを持ってベッドに戻ってきた
「ハイ どうぞお召し上がれ」
そういうと ガウンのポケットから昨日のウイングスを出した
「コーヒーに合うかしら よろしかったら吸ってくださいね」
祥子はカフェ・クレームを取り出し ライターで火をつけた
ぴんと伸ばした人差し指と親指ではさんでふかしていた
「ああ 美味しいわ コーヒーとカフェ・クレームの組み合わせって」
「普段から 朝起きるとふかしているの?」
「ううん お休みの日とか 今朝のように気分がいい時だけですよ」
「羨ましい生活をしていますね」
「そうでもないですよ この様に自由に成れたのも先週からです」
「えっ どう言うことですか?」
「昨夜お話をしたホテルなんですが 結構厳しいのよ 朝食は何時
クリーニングは何曜日など決りごとが多くて 
学生の合宿生活みたいだったの」
「う~ん だけど逆に考えるとその方が便利じゃないですか」
「ええ 私も最初はそう思ったの」
「だけどね 急な出張の時なんかは お洋服をクリーニングに
出していなかったりとかで 慌てた事があったし そうそう
遅い出勤の時には モーニングサービスも頂けないとか、、、」 
「それは 少し大変ですね」
「それだけではなくて もっと嫌な事があったの」
「なんですか 嫌な事って」
「今のように お休みの時にシガーをふかしていたの
それで お昼を食べるのに渋谷まで足を伸ばして 
美味しいラーメンを頂いたの 夕方 部屋に戻ってみると 
メモが置かれていたんです 凄いショックでした」
「誰のメモ」
「部屋を掃除してくれている おばちゃんなんだけど」
【男の人を連れ込んではいけません ふしだらです
ここでのお母さんは私ですから 今後気をつけなさい】
「このようにメモに書かれていたの 
多分このシガーの残り香りで判断したんだと思いますけどね」

祥子は今までの経緯を事細かに神山に報告していた
神山のほうは以前から知っている祥子がそんな悩みを
持っているとは全然気が付かなかった
勿論 その様な話をする機会も無かったし
今まで そんなに逢った記憶も無いから当然といえば当然だった
「だけど 筒井さんに全てを話したんです ホテルは嫌だって
そうしたら 親身になってこのマンションを探してくだっさたの」
「へー 筒井さん やるじゃないですか」
「奥様同伴で 探されてこのマンションに来られた時 奥様が一言
贅沢だわと 言われここの契約は一時保留になったの
だけど後になって 色々考慮するとここが一番私の希望している
イメージに近かったの 勿論 ホテルに居るより少し割高になるけど 
交通費とか色々考えて頂いてここになったそうですよ
あと 筒井さんの思惑の中にはきっと 
上原出店があるので近いので ホテルよりここの方が便利でしょ」
「あっ そうか~ それはそうだよね 
現場で緊急の時は久保さんが直ぐに助けに行けるものね」
「ええ 歩いて5分ですから 本当に大変な時は
直ぐにサポート出来ますよね ここに居ればの話ですけどね
それから本社が終わって帰り際にお手伝いも出来るし」
「なるほど 筒井さん先を読んでここに住まわせたんだね」
「え~ 確かにお家賃は高いかもしれませんけど 
付加価値があるからここになったと思いますよ きっと」
祥子の顔はまた昨日のように暗い影を作っていた
「ごめんなさい 朝からつまらない話をしてしまいました」
「久保さんがそんなに苦労をしているとは知らなかった」
「ええ 近くに色々と相談できる人が居ないので寂しいの」
「筒井さんが居るじゃないですか」
「でも あの人は上司だし 副社長でしょ 
何でもかんでも相談は出来ないわ だって私はチーフでしょ
部下の事を管理できませんなんて 言ったらクビですよ」
「そんなものですかね~ 僕なんて話をしやすいタイプですよ」
「ええ でも嫌なんです」
祥子は上原の店舗になぜ浜野を移動させないのか
不思議でたまらず 筒井を少し怨んでいた
下を向いた祥子の顔から涙が零れ落ちていた
「うん 少し分かったような気がする 浜野さんの件でしょ」
「うん」
祥子は神山の胸の中に泣いて来た
神山はどうしたものかと考えあぐんでいた
「神山さんだけよ こんなに色々と話をしたの」
「うん これからも困った事だけじゃなくて 一杯話してよ」
「だ・か・ら ほらこっちを向いてごらん」
祥子は泣き顔を神山に見せた 目はしっかり神山の目を見ていた
「久保さん がんばって 僕も今日筒井さんと連絡を取ってみるよ」
「ええ どうもありがとうございます」
気を取り直した祥子は少し残っているコーヒーを口に入れた
ごくんと飲むと
「神山さん まだ早いでしょ もう少し横になっていますか?」
「う~ん しばらく横になっていますよ」
「そしたら私も横になろ~ だって神山さんと一緒だと楽しいもん」
「そんな事無いかもしれないよ 仮面を被っているだけかもね、、」
「それでもいいの 私の前では絶対に優しいから」

祥子は横たわっている神山の厚い胸板に頭を乗せてきた
神山はリンスの香りで胸が一杯になった 髪の毛を優しくなで 
「何でも 言ってください 僕でよかったら相談相手になりますよ」
祥子はその言葉を待っていたかのように 神山にかるくキスをした
そして照れるしぐさでまた胸に頭をあずけた
神山は優しくやそしてわらかく髪の毛を梳かすようにして愛撫をした
もう片方の手は背中から腰にかけてなでていた
手が腰の辺りに届くと 祥子はぴっくとおしりを動かした
祥子の手がガウンの上から神山の肉棒を探していた
探し当てたその手は強く握ったり 優しくなでたりして
肉棒を大きくしようとしていた
神山の手も祥子の腰にある性感帯を探り当てていた
ゆっくりと円運動をしていると祥子が可愛らしい声で喘いできた
神山は祥子を仰向けに寝かせながらガウンをはいだ
自身もかぶさる時にガウンを脱ぎ捨てていた
「わっ 嬉しい 朝から神山さんに だいてもらえるなんて」
祥子の目は獲物を離さない妖艶な目つきになっていた
上から覗き込んでいたが 吸い込まれ方から逃げる為に唇を塞いだ
乳房の愛撫とクリトリスの愛撫をしていると
「今朝は それ以上だめ ねっ お願い」
祥子は耐え切れなくなったのか 神山に切に話し出した
言われている事を悟り手を休めたが 
自分のペニスがMAXになっていなかった
少し躊躇したが 彼女のトランクスを下げ自分も脱いだ
ペニスを彼女のクリトリスにこすり付けていると元気になった
「神山さん はやくぅ~ もう大丈夫だから い・れ・て~」
神山は自分の肉棒をゆっくりゆっくりとヴァギナに挿入した
暖かかった いや熱かった
(うわっ~ はいってきた~ やさしい あなた)
ゆっくりとピストンするが 祥子はもうのけぞっている
顔がピンクに染まってきて額には青筋が出てきた
朝日に照らされた祥子の顔は
子供の可愛らしさと大人の艶が混じった複雑な表情だった
ゆっくりからだんだんとスピードアップしていくと
祥子は神山の動きに合わせるようになった
神山は祥子が腰を動かしてくれる分 自分が楽になったが
余裕が出来た分だけ快楽の頂点も足早に近づいてきた
スピードを緩めようとした時
「もうだめ ごめんなさい い・き・ま・すっ」
祥子はその瞬間 腰を上下左右と激しくゆれ動かした
それに併せ神山も快楽の頂点に達した
(神山さんのおちんちん 見た目いじょうに大きかったわ )
神山は祥子と同じように横たわり 乳首を愛撫し始めた
彼女の乳首は硬くなってきた
「ねっ もうだめ これ以上続けると会社に行けなくなってしまうわ
お願いだから もうやめて ねっ」

神山はサイドテーブルの時計を見るともう直ぐ8時だった
「そうだね 久保さんを遅刻させたら大変だものね」
「私 シャワーを浴びてきます いいでしょ」
「うん どうぞお先に」
祥子はガウンで前のほうを押さえて小走りでバスルームに消えた
今日のマジックミラーは何も写さなかった 
バスルームとベッドルームの明るさが一緒だと
マジックミラーの『ガラス』にならなかった
バスルームに向かいドアを回すが開かなかった
「ねえ 一緒に流そうよ だから開けて ドアを」
「だめです 一人で流してください 
私もう直ぐ終わりますから待っていてください お願いします」
「だって 手が届かないところもあるだろう だからさ」
「いえ 届きます 絶対にだめです」
昨夜 今朝とあんなに大胆だったのに 何故と思っていた
「お待たせしました さあどうぞ」 

神山は入れ替わりにバスルームに入った
床を見てみると乱れ箱の中には昨日と今朝のガウンが入っていたが
下穿きのトランクスは下のほうに隠されているみたいだった
神山のガウンもその上に置きバスに行って熱いシャワーを浴びた
少し熱めのお湯がカラダに刺激を与えてくれて気持ちがよかった
出る時躊躇した 着る物が無いのでバスタオルを腰に巻いて出た
「替えの肌着はベッドに置いてありますよ
スタンダードなTシャツと ふ・つ・うのパンツですけど」
「えっ そんな いいですよ 昨日の着た物で」
ベッドの上には良く知っているブランドの下着が
新品のビニール袋に入ったまま置かれていた
「実は父が来た時の為に買って置いたんですよ 
だからスタンダードでしょ ごめんなさい」
Lサイズでちょっと窮屈だったが ガマンして好意に甘えた
すっかり用意してカウンターに行くと 
厚手のトーストとハムエッグが用意されていた
彼女の格好は薄手のコットンで出来たスエット上下を着ていた
「さあ 頂きましょ ねっ か・み・や・まさん」
「はい 頂きます しかし久保さんて作るの早いですよね 凄い」
「そんな事無いわよ 普段作っている簡単なものは手順を
知っているから自然と早く出来ちゃうのね」
神山は厚手のトーストにバターを塗りその上に半熟の卵を乗せた
「いやぁー まいりました 久保さんはマジシャンだ 
早いだけじゃなくて ものすごく美味しいですよ」
神山は右手の人差し指と親指を丸くして彼女にサインを出した
「パンは焼くだけ ハムエッグも焼くだけ でしょ」
「いやいや どこかで習っていたのでしょ 
銀座の行きつけの喫茶店よりぜんぜん美味しい
こんな風に毎日 久保さんの料理を食べられたらいいな~」
「そんな事無いですよ すぐに飽きてしまいますよ きっと」
記念すべき朝食をゆっくり食べることは出来なかった
祥子は少し時間を気にし始めたので 神山は黙って口に運んだ
食べ終わると祥子は食器類を流しに運びすぐに着替えを始めた
神山は朝日の中で着替える祥子を見つめていたが
「なに見ているの だめっ こっちを見たら す・け・べ~」
これ以上何を言われるのか分からなかったので
仕方なくキッチンの流しに入り先ほどの食器を洗った
(綺麗なものは見たいし 普段と違う内面も見てみたいよな)
食器洗いは直ぐに終わった
「ごめんなさい 後で洗うからそのままでよかったのに~
でも ありがとうございます 嬉しいわ 優しいのね」
彼女はもう着替えが済んで化粧を始めたが ルージュを描いただけで
「はい 準備OKよ 神山さんはどうですか」
「ええ 僕も仕度は出来ていますから いいですよ」
シャツの袖を下ろしながらいった
「では いざ出陣!」
今朝の祥子は開き直りなのかそれとも朝の交わりのせいなのか 
兎に角 明るく元気が良かった 
エレベーターを待つ間に
「久保さん お化粧はしなくていいの?」
36歳 久保のお肌を気にしただけではなくこれから
外に出るのにこれでいいのかと思って 思い切り聞いてみた
「ええ 私は普段からお化粧品を使えないんですよ 
アレルギー性なのかしら 肌に合わないと
すぐに荒れてしまうので付けない事にしているの」
「へー 凄い肌の持ち主なんですね 
だって お化粧している人より全然綺麗で輝いているよ」
祥子は少し恥ずかしながら顔を赤らめた
お化粧をしない事の恥ずかしさと 
肌の特異性を褒められた事に対してだった
神山はその赤くなり恥ずかしがっている顔を見逃さなかった
(お化粧をしないで大丈夫なんて よく言った ごめんなさい)
祥子は神山の顔をじーっと見つめ
「本当に綺麗? 輝いている? そう思っていますか?」
何かを訴えるような凛とした目つきで迫ってきた
神山は 言葉に詰まったが 自身思った本心なので言い切った
「本当に輝いていますよ 貴方のような女性を見たことが無い」
祥子は目を赤くなりながらも神山の目を見据えていた
(こんなに美しくて 凛としたところがあり なんという女性だ)
神山はなんとしても自分の女にしたかった
待っていたエレベーターが来た
箱の中でも祥子は神山の目を見つめていた
もしかしたら今朝でお別れかもしれない女に愛をこめてキスをした
グランドフロアに着いたときに
「ねえ 私のこと しょうこ って呼んで下さいね
だって まだ一杯お逢いしたいし 
今夜も色々と作戦会議しなければだめでしょ だから」
祥子は神山の腕に自分の腕を絡ませ出口に向った
二人だけのフロアではハイヒールの音がリズミカルに響いていた 

代々木上原の高級住宅街は朝9時だというのに
静寂で行き交う人もまばらだった
石壁で囲まれた門には黒塗りの車が横付けされ
主人を待つ運転手は無表情でバックミラーを覗いていた
この時間の出勤なので大会社の役員だろうと思われるが
それにしても立派な外車だった
4月の優しい風を受けながら二人は小高い丘を下っていた
腕を組んで離さない祥子は豊かなバストを
神山に押し付けて楽しそうに歩いていた
今日の祥子は濃紺で薄手の上下を着ていた       
季節に合う色を選んでいるせいか 一見平凡に見えるが
シンプルなデザインとアクセサリーで輝いているため 
周りの男も振り返っていた
「では 神山さん 有難うございました」
「私は少し早いので そこでコーヒーを飲みながら作戦を練ります」
「はい 久保さんがんばってくださいね」
「しょうこ ですよ もう ふふふ」
すこし甘えた口調で言いながらクスクス笑ってた
「はい 祥子さん」
「そうしたら会社に着いたら早速 筒井さんにアポをとって見ます
夕方になるかも知れませんが 必ず連絡を入れます」
「はい 吉報をお待ちしていますね」
「今夜の会合場所はその時に決めましょうか」
「そうしてください 私もここの交渉が終わったら
会社に行きますけど 夕方のほうが 落ち着いてお話できますよね」
神山と祥子は今夜また逢える事を約束したためか元気だった
「では」
「はい いってらしゃい」
改札口に行く神山の背に祥子は控えめながら手を振っていた


神山が事務所に入ると
「神山さん おはようございます 
売場から電話が2件と伝言が来ています」
経理を担当している斉藤由香里が近づきながら伝えてくれた
席に座るとなるほど 電話連絡の内容と伝言メモが置いてあった
コーヒーを持ってきてくれた斉藤由香里が
「神山さん 夕べ帰っていないでしょ」
「えっ 分る?」
「分るわよ だって徹夜の時は着替えのシャツに着替えているでしょ
今朝の神山さんは 中途半端だもの」
よく観察してもらうことは別に構わないが 
余計な詮索までは遠慮して欲しかった
「そしたらさ 売場でもサイズ分っているから 
いつものシャツを2枚くらい買ってきて」
「は~い そしたらお昼ご馳走ね ありがとう」
由香里はお昼ご飯の約束事か神山の秘密を知り得た事の
喜びか嬉しそうな顔をしながら神山の社員カードを
片手で振りかざし出て行った
入れ替わりに倉元達也が出勤してきた
「おう おはよう」
「おはようございます」
「なんだ 山ちゃんもこの時間に出勤か」
「ええ 今来たばかりで あっ コーヒー入れますね」
「おう ありがとさん 由香里さんどうしたの 
なんか偉く楽しそうに楽しそうに出て行ったぞ」
「ええ なんか着ているものが中途半端だと言って
買って来てくれると言うものですから」
「うん そうか しかし10時の会議に間に合うのかな」
「はい コーヒー」
「おう ありがと」
倉元達也はここ催事課デザイナーのボスであった 
倉元は今年の春に専門部長に昇格をしたが
人間味に厚く店の中だけではなく下の者からも上の者からも
関係なく支持され デザイン一筋で生きている堅物である
神山が上野店から移動してきた時
色々と親身に相談に乗ってくれたのが倉元だった
神山は銀座店に来た事を不服としていて
自分は上野店で最後まで勤め骨をうずめるつもりで頑張ってきた
いくら銀座が「世界の銀座」であろうと 
自分のデザインを認められようと人事異動は気に食わなかった
就任当時元気のない神山を倉元は銀座のはずれにある居酒屋に誘った
倉元は黙って神山の愚痴を聞いていたが
「その勢いを 銀座にぶつけて見ろよ もっと良くなるぞ銀座店は」
二人は朝まで呑み明かした

神山はデスクに置いてある電話連絡と伝言メモを見た
売場からの電話連絡は2件とも
「ありがとうございます 今朝店長から誉められました」
売場係長と部長からのものだった
伝言メモには「よくやってくれた ご苦労さん」店長からだった
2階の紳士服と3階の婦人服の一角に初夏のステージを展開した
デコレーションだけではなく売り場全体のイメージが
気に入ってもらえたようだった
すぐに倉元に報告した                                    
「山ちゃん良かったな 店長機嫌いいぞ」
倉元は素直に喜んでくれた
店長池上と倉元は同期入社でプライベートでは親交が厚かった
池上店長も神山と同じ時に銀座店に移動してきた
神山はなぜ「お目付け役みたいに俺の後を着いて来るのだ」と感じた
池上自身も名古屋本社からの人事異動には逆らえず戸惑っていた
倉元の話では銀座の購買層が以前と違って年齢層が
幅広くなりそれに対応する為 優れた人材を銀座店に
集中させたと言っていた
神山も池上もこの本社人事の思惑の中で動かされた駒だった

神山はニーナ・ニーナの筒井に電話した
「銀座鈴やの神山です 筒井さんはいらっしゃいますか」
「はいニーナ・ニーナジャパンです 筒井ですね 少々お待ちください」
「やあ 久しぶり 元気ですか 
相変わらず銀座でも良くやっているそうですね
そうそう おめでとう いやーよかったね」
「えっ なにがですか おめでとうって?」
筒井はもう出向部長の件は知っていると思い 挨拶をしたが
今の言葉だとまだ知らされていないと思い ごまかした
「いや 店長によく褒められているだろ それでさ ははは」
「ありがとうございます でもそんな 何も出ないですよ」
二人は挨拶を交わした後 13時に銀座のホテルで合う約束をした
神山は倉元に筒井と昼過ぎから会うことを告げると
「おう わかった 一杯呑んでこい」
斉藤由香里がシャツの袋を持って売り場から帰ってきた
「はい これ」
シャツと社員カードを神山に渡した
「おう 由香里さんおはよう」
「倉元さん おはようございます 今日は早いですね」
「年よりは早く起きて 今日のように天気がいいと動きたくなるのさ
それより 由香里さん 今日の昼飯だけど」
神山と由香里を見ながら
「築地のすし屋に行かないか どうしてもすし食いたくなってさ」
「わあ 嬉しい 私お供します」
「あの 僕はちょっと難しいみたいです」
「おう そうか」 
倉元は神山が外出しやすいように演出してくれた
(倉さん ありがとさんです)
そんな話しをしている時に催事課長の奥村が部屋に戻ってきた

「倉さん 店長すごく喜んでいましたよ
例の2階と3階の飾り付けについて べたほめですよ
やあ 山ちゃんも来ていたのか 店長喜んでいたぜ 
さすが神山君だ イメージどおりだって」
「おはようございます そんなに喜んでもらうと後が怖いですね」
「だけど 良かったじゃないか そうそう奥ちゃん 
今日の昼だけど空いていたら築地の寿司どうかね 久しぶりに」
「そうですね 今日は会議が無いし ちょっと羽を伸ばしますか」

暫くすると10時になり奥村課長がみんなをテーブルに集めた
「すんません 忙しいところ しかし市川君がまだ来ていないな」
由香里が
「課長 先に進めましょうよ 事後でも構わないでしょ」
奥村は暫く考えて
「うん そうしましょう 実はこの度」
この時 催事課の部屋に市川が申し訳なさそうに入ってきた
「おお 市川君 少し遅いぞ まあ話は後だ こっちに来てくれ
これで全員集まったね では最初から」

奥村はニーナ・ニーナジャパンの上原出店に伴う神山課長の
出向人事を正式に発表した
「山ちゃん 4月6日の9時15分に銀座店秘書課で人事発令が
行われるので 遅刻しないように いいね」
「っていうと 上原が終わったら また普通の課長ですか?」
「ははは それは分からないよ 本社が決める事だから」
由香里がニコニコしながら
「よかったわね 部長さん」
「しかし 課長部長だろ あんまり嬉しくないよ」
人事の話がひと段落すると 奥村はデザイナー3人を呼び
「あちらの会議室まで お願いします」
4人は会議室に入ると奥村が
「山ちゃん 実は上原の出店だけではなく 御殿場も見て欲しい」
「えっ だってまだ来秋か次の春でしょ それだって分からないし」
「うん でもその方がいいんだよ 御殿場は最初から
プロジェクトに入ってもらいたいんだ」
「そうすると 銀座はどうするんですか?」
「うん そのために山ちゃんの 新しい事務所兼住居を借りた」
「えっ 事務所兼住居、、、横浜はどうするんですか」
「うん そこだが行ったり来たりになるな 悪いけれど」
「えっー そんな、、、でも決まった事で 進んでいるんですよね」
「うん 進んでいる」
神山は突然の出来事にパニックになったが 気を落ち着かせ
「新しい処はどこですか?」
「上原の現場近くだよ 歩いても5分のところだ」
神山は内心喜んだ
(よし これで祥子さんと毎日逢えるぞー)
「それでそこへ行くのはいつからですか?」
「うん 直ぐにでも行って貰いたいんだ しかし山ちゃん
悪いけれど 中元の飾りつけは 何とか手を貸して欲しいんだ」
「勿論大丈夫ですよ そんな手を貸すなんて ここの人間ですよ」
「うん あんがとさん ところで翔」
「はい」
「どうだ 少しは勉強したか?」
「ええ でも先輩がいないと体が足りません」
「おいおい いまからそんな弱音を吐いてどうする」
「おう 翔 弱音は後で吐けよ 今は頑張るしかないだろ
評価は別として実際に出来たじゃないか
一昨年の事はそれとして これから失敗しないようにすればいい」
「はい」
杉田は神山が来る前のお歳暮とお正月飾りを任されたが
肝心なところで デザイン力不足が指摘さて 苦い思いをした
「なあ翔 分からない事があったら何でも聞けよ いいな」
「はい 先輩 分かりました」
「それで 対外的にも御殿場の話はオフレコです いいですね」
全員が頷くと奥村は
「さあ これで円満に解決したね 山ちゃん 後でニーナ・ニーナの
筒井さんと連絡を取って 入居先のことを確認 それと
アルタの佐藤部長と連絡を取って 荷物の運搬などを確認な」
「はい 分かりました」
神山はこれで先ほど筒井が『おめでとう』と言った訳が分かった





次回は5月13日掲載です
.

2012年5月3日木曜日

出会い 3 - 3 Vol. 2



「嬉しいですわ 麺の固さは人それぞれ好みが違いますので正直
どちらにするか迷いながら作りました」
「すっかり 久保さんのファンになりました」
「その様におしゃってくださると 作りがいがありますね」
二人は他愛の無い話しをしながら小腹を満腹にさせた

祥子が後片付けする間 出されたブランディーを口にしながら
夜景を楽しんでいた
ガラスに近づき自分が住んでいる横浜が見えるか確認していた時
「ベランダに出るともっと周りが見渡せますよ」
祥子が後ろから声を掛けてきた
自分もブランディーを楽しんでいた
「このベランダ結構広いですね」
「ええ 下見の時 この広さが疲れを癒してくれると思いました」
ベランダには可愛らしいガーデンチェアーセットが置かれていた
「神山さん ベランダに出てみますか」
「そうしたいですがその前に仕事を終わらせてしまいましょう」
「は~い そうしましょう」
神山はテーブルに戻る祥子の後姿をみて目じりを下げてしまった
祥子のオシリは適度な大きさだがツンと上を向いている男心を
そそるもので ビジネススーツでは秘密の部分だった
(こんなにいいおしりをしているんなら 
普段からもっと一杯見せてもらいたいなぁー)
「神山さん は・や・く~ こちらに来てください」
祥子はアルコールのせいか 少し甘えた言葉に成っていた
それとも自分が提案したレイアウトを神山に褒められた事で
甘えているのか考えながら 神山は祥子の隣に座った
座る時に図面を見るより先に手が届くところにある
豊満で形の良い胸に目が行ってしまった
二人きりの密室で見事なプロポーションと豊かな胸そして
形の良いオシリを見せられたらたまったもんではない
神山は勝手な想像をしてしまい そんな自分に恥じていた

「神山さ~ん このエントランスにある陳列台どう思われますか~」
「僕もさっき拝見した時思っていたのですがもう少し幅を広げると
小物を陳列できるスペースが出来るのではないかと見ていました」
「やっぱり 私も何か足りないな~ と思っていたんですけど~ 
答えはそこにあったのですね ありがとうございま~す
早速 明日現場で施工の方と打ち合わせをします」
「ええ 全体を幅広くするのではなく このストック部分と
一番下の棚の幅を広げてください ストック部分は30cm手前に
出して 棚板は15cmも出せば効果は違ってきますよ」
「素適なアイディアをありがとうございま~す」
「だ・け・ど なんか階段みたいですね」
「ええ この様な陳列方法は見せながら売る方法です
上にある商品群が下の商品を邪魔しなくていいでしょ」
この上原での商品展開は服飾中心だが 小物アクセサリーを
ポイントで使いイメージアップをする販売戦略だった
神山が提案したのは普通の棚什器にデコレーションが
出来るスペースを確保したものだった
「この什器は既製品ですか? それとも特注品?」
「全部新規に制作して頂く什器です」
「そうしたら フロント部分のこの直線ですが 
この様に少し丸みを出したほうが柔らかくなりますよ」
メモ用紙に簡単なデッサンをしていると暖かい吐息を感じ見ると
直ぐそばに祥子の顔があった

祥子は神山の描く什器の形をしっかりと理解していた
鉛筆を置き
「これで 大丈夫 これだけ優れたレイアウトならば売れますよ」
「ほんと~ 凄く助かります ありがとうございます
でもね 実は神山さん もう一つ困り事があるの~」
「えっ だってこんなに良いレイアウトをしていて 
まだ悩み事とは何ですか?」
「ええ ここの店長に先ほどの浜野を抜擢しようとしているの
でも なかなかマネージャーの林さんが
いいお返事をくれないで困っているのです」
「僕は何とも言えないけど 筒井さんに頼んだらどうですか」
「ええ 筒井さんにも何回かお話はしているのですが 
なかなか良い返事が返ってこないので困っています」
「うーん僕も林マネージャーより 
浜野さんの方がこの店舗にはぴったりだと思いますよ」
「ええ 林マネージャーより明るくて 
何しろ品格を持ち合わせているので推薦しているのですが」
祥子の顔が明らかに曇ってきたので
「そうしたら僕が筒井さんと話してあげましょうか」
「えっ そうして頂くと本当に助かります」
「でも ご迷惑ではないですか 筒井は出向の身ですし、、、」
「大丈夫ですよ 任せなさい」
神山は筒井との出会いや仕事を教えて貰った事を簡単に説明した
「それでしたら お任せしますね おねがいしま~す」
祥子の顔はぱっと明るくなった
神山はそんな祥子を見て愛おしく思えた

時計を見たら26時を過ぎていた
一仕事終わった安心感からか明るい声で
「神山さ~ん お風呂に先にお入り下さい」
「はい ありがとうございます お先に失礼します」
入り口左側に在るユニットバスに案内された
ドアを開けるとトイレットとバスが一緒になっていた
神山はそこでも驚かされた
正面のガラスからは夜景が綺麗に見渡せるのだ
バスも大きくて一人で入るのには大きすぎた
ジャグジー付きでガラス張りのバスなど入ったことが無かった
「着替えはここの棚において置きますね」
「はい 分かりました では早速失礼します」
ドアを閉め祥子が出て行った
神山は全部脱ぎ捨て バスに浸かった 気持ちよかった
バスの縁にメモリが刻んだダイアルが有った
ちょっと回してみたらバスの照明が暗くなった
壁にあったガラスが色を変え寝室を映し出していた

寝室からは幅の広い姿見だなと思って見ていたが
マジックミラーに成っていたのだ
ダイアルを一杯に回すと浴室内が真っ暗になり
フロアから天井までガラスと化したマジックミラーは寝室の
祥子が動いている様子が良く見えた
もう一つのダイアルを回すとトイレの照明が落ちた
これで完全にこの部屋は真っ暗になった
外からの光しか入ってこなかった
横にあるボタンを押すとジャグジーが作動し下から横からと 
カラダを浮かす勢いで泡が出てきた
コントローラーでジャグジーの勢いを調整できた
そんなバスタイムを楽しみながらマジックミラーを眺めると
ベッドメイクをしている祥子を見ていた
カラダが前かがみになった時 
豊かなふくらみがTシャツの間から見えたような気がした
ベッドメイクが終わると大きい姿見の前に来た
神山の直ぐ目の前である 乱れた髪を直していた
ここからは低くてよく見えないが 
あの大きいベッドで二人で寝るのだろうか?
また 神山は不謹慎な事を考えてしまった
あらぬ事を考えていた時 祥子の姿が消えていた
バスのドアがノックされ少し開かれた

「あら 真っ暗 神山さん 何している~の」
「あっ そのぉ 今 色々あるコントローラーを触っていたら 
電気が消えて真っ暗になってしまいました」
「やだぁ~ そのガラスから私のことを観察していたのですか」
「あっ いいえ あの そんな 夜景を見ていました」
神山は訳の分からない事を言っていた
バスに浸かっていると夜景ではなく 夜空しか見えないのだ
「余りにも静かだから 寝てしまったのかと思いまして 
覗きにきたのよ よかったわ お風呂で寝ないでくださいね」
「すみません もう直ぐ出ます」
「いえいえ ごめんなさい 夜景をたっぷり満喫して下さいね」
祥子は意味深な事を言ってドアを閉め去っていった
神山はどきっとした 
自分が思い描いていた事を悟られてしまったと恥じていた
神山は部屋を明るくしてボディーシャンプーでカラダを洗った
いきり起った下半身に冷水を浴びせ鎮めようとしているが
なかなか治まらなかった
数分の間冷水を掛けていると段々と小さく普段の状態になった
着替えが置いてある棚に目をやると 
ターゴイズブルーのガウンとパンツがあった
触ってみるとシルクサテンの共生地で作られたものだった
顔に近づけると洗剤の良い香りがしていた
しかし洗濯済みという事は 以前に誰かが使った物なのかな?
などと不謹慎な事を考えてしまった
ドアを開ける前にバスの床を水で流した
バスマットで足の水気を拭いてでると先ほどとは
違ったスリッパが用意されていた
麻で作ってあるスリッパで履き心地は気持ちよかった

「お先に失礼しました なかなか入れるバスではないですね」
「そうですね 私もこのバスだけは凄く気に入っています」
「どうぞこちらに来て ビールでも如何ですか」
「はい 湯上りのビールは最高に美味しいですからね 頂きます」
「ゆっくり呑んでいてくださいね 私もバスに浸かってきます」
「ハイ お言葉に甘えてビールを頂きます」
「こちらの窓からは新宿の夜景が楽しめますよ」
神山は思った 窓ではなくガラスの壁だと
吐き出し口のガラス扉と壁に当たるガラスが
下から天井まである造りになっていた
緞帳とレースのカーテンはコントローラーで開閉が出来た
椅子を立ち上がり緞帳を閉めて部屋の照明を落としてみた
やはり思っていた通り大きな姿見からバスの中が見えていた
ガラスの向こうには形の良い豊かなバストを
露わにした祥子が写されていた
入念に体を洗ってバスタブに浸かった
神山の下半身がまた元気になってきた
タブに横たわっていると豊満なバストが浮いていた
乳首がツンと上を向いていた
神山はどうにも治まらない逸物を鎮める為に覗きは止めた
折角のチャンスなのにこのままでは治まりきれなくなるからだ
部屋の照明を明るくして 緞帳とレースのカーテンを開けた
今まで気が付かなかったが キングサイズベッドの脇に
エクストラベッドが用意されていた
先ほどバスタブから見えた祥子のベッドメイクはこのベッドを
準備していた時だった

壁がホリゾントになっているので多分造り付けのベッドだろうと
思った 病院などで見かけるベッドなどと違いこちらのベッドも
クイーンサイズはあると思えた
部屋自体が広いので大きなサイズのベッドを置いても     
全然気にならないサイズだった
ビジネスホテルで『Wサイズベッドで気持ちよく寝られます』と
宣伝文句を良く見かけるが 実際に宿泊してみると案内された
部屋はある程度の大きさだが ベッドの横にある調度品や
化粧台などなど配置されていて窮屈な思いをした事がある
しかし 祥子のこの部屋は贅沢すぎるほど広かった

ビールを飲み終わるとタバコを吸いたくなったが灰皿が無かった
灰皿の変わりになるような物を探しているとキッチンの脇に
ビールの空き缶が有ったのでそれを持ってベランダに出た
外は少し肌寒かったが何しろタバコを吸いたかったので我慢した
シルクサテンのガウンが体温を保持していてくれていた
手すりに持たれタバコを満喫していると後ろから祥子の声がした
「神山さん 寒くないですか
お部屋の中で タバコを吸って頂いてもよろしいですのよ」
神山は声のするほうへ振り返り
「ありがとうございます でもそんなに寒くないですよ
このシルクのガウン 結構暖かいですよ」
祥子はテーブルの脇に立ちビールを呑みながらこちらを見ていた
ヘアータオルを巻きつけ 先ほどとは違う艶っぽさが漂っていて
祥子も神山と同色のシルクサテンガウンを纏っていた
胸のふくよかな部分は照明の演出か はっきりと膨らんでいた
先ほどの白いTシャツの時は 若さ一杯ではじけそうな
イメージだったが 今のガウンからは大人の女性らしさが伺えた

吸殻を空き缶の中に入れて部屋に戻ると
「ごめんなさいね 神山さん 灰皿が無くて困ったでしょ
仰言って下されば 用意しましたのよ」
「いえいえ そんな」
神山は気持ち良くバスタブに浸かっている祥子を思い出してした
そして目の前の祥子のバストと
バスタブから覗く乳首をオーバーラップさせてしまった
神山は下半身の元気を隠す為 椅子に座ると
祥子はビールを冷蔵庫からもう一本出し椅子に座った
「はい これ灰皿です 使ってくださいね」
灰皿はバスタブのように楕円の格好をしたもので  
底にはエッフェルタワーが描かれていた
「可愛らしいですね」
「ええ パリのホテルに宿泊した時 毎日見ていると 
余りにもお気に入りになったので 
帰国する時ホテルの方から記念に頂いてきました」
「へー メイドイン・パリ ですか」
「いいえ 使っているホテルはパリですが 
製作はマイセンとおっしゃっていましたよ」
「なんと あのマイセンが 特注品を製作するとは驚きですね」
「ええ しかし東ドイツ時代のマイセンと 
今は少し変わって来ているみたいですよ」
「具体的には?」
「例えば 東の時は伝統を守る為に必死でしたが 
今は世界にもっとマイセンの良さを知ってもらう為に 
世界各国でマイセン展示会を開いているそうです」
そう言われれば鈴やや他の百貨店でもだいたい3年周期の感じで
この頃マイセン展示会を行なっている
なるほど 販売政策の一環だったのか と思った

神山自身もマイセン展示即売会の会場装飾を担当した事があるが
そこまで気が付かなかった
「私はタバコでなくて ドライのスモールシガーを時々嗜みますよ」
「いや 凄い趣味ですね シガーとは」
「ええ あの香りが一日の疲れを癒してくれますから、、」
「どんな銘柄を 楽しんでいるのですか?」
「その日の気分にもよりますが カフェ・クレームが多いです
大きさはタバコと同じ位ですが 少し細身のところが可愛くて、」
「シガーって 結構きついでしょ」
「う~ん 私の場合 煙を飲み込まないでふかしているだけですから
そんなに感じませんよ お部屋の中にシガーの香りが
漂っているとすやすやと眠りにつけますよ」
「へー そのような癒しがあるんですね 
それでしたら どうぞ僕なんかに遠慮しないで楽しんでくださいよ」
「よろしいですか? 女がタバコなんて嫌われますよね」
「そんなことは無いですよ ご自分の時間が楽しくなれば 
問題ないでしょ それに 気分を癒す為に香りを楽しむのなら 
是非 僕にも楽しませてくださいよ」
「お勧め上手ですこと た・か・く・ら・さ・ん」     
祥子はキッチンの造り棚からいくつかスモールシガーを持ってきた
カフェ・クレーム(ブルー)、パンサー(デザート)、
ウイングス(ダーク バニラ)3銘柄をテーブルの上に置いた

「神山さんはシガーを吸われた事がありますか?」
「自分から すすんで吸った事は無いですね」
「そ・う・し・た・ら このウイングスが 良いかもしれませんよ」
「バニラの甘い香りの虜になると思います」
「では お勧めの逸品を頂きましょう」
祥子は今度はブランディーを持ってきた
ブランディーグラスに琥珀色の液体が注がれた
「では 乾杯!」祥子は湯上りのせいか ほほが薄っすらと
綺麗なピンク色に染まっていた
二人でブランディーを味わいながら ウイングスを楽しんだ
広い空間が甘いバニラの香りでおおわれた
とりとめのない話がひと段落すると 
神山は少し眠ったくなったのか空あくびをした
「神山さん ごめんなさいね こんな遅くまでお付き合い頂いて」
「そんなことは無いですよ いつも遅いほうですから」
「でも神山さんは明日早いのでしょ そろそろ 寝ましょうか」
「そんなに早く出社しなくても大丈夫ですけど そろそろ寝ますか」
「私は あちら側のベッドで寝ますから 
神山さんはこちらのベッドでお休み下さい」
「えっ 良いのですか 僕はむこうのベッドで構いませんよ」
「私は普段寝ていますから どうぞこちらのベッドでお休み下さい」
「では お言葉に甘えますよ 
でも嫌ですよ 寝てからやっぱりこっちが良かったは」
「ええ ある得るかもしれませんね」
祥子は可愛い小悪魔の顔で言った
神山は立ち上がると甘いバニラの香りによった 祥子を見ながら
「では お先に失礼しますね おやすみなさい」
「ええ おやすみなさい ところで明日は何時にお目覚めですか」
「久保さんに合わせますよ」
10時の打ち合わせまでに出社すれば大丈夫だった
「私は10時にショッピングモールに向います 大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
「では8時ごろのお目覚めで平気ですね」
「はい ありがとうございます」

祥子はバスルーム入り口にある照明コントローラーで
部屋の照度を落とした
真っ暗ではなくほんの少しだけ照度があった
緞帳とレースのカーテンも閉められ
ベッドの脇にあるサイドスタンドに明かりがついた
こちらの明るさも申し訳程度の照度だった
祥子は全ての操作を終えるとバスルームに入っていった
今度はこの大きな姿見からは祥子を覗く事は出来なかった
バススペースのライトは真っ暗で 化粧台のほうに明るさがあった
それに加え覗くのには角度が邪魔していた
神山はカラダを化粧台を見える位置までよじらせると
ヘアースタイルを整えているヌードの祥子がはっきりと見えた
神山の下半身は又元気になった
横になっているこのベッドに祥子の香りがあったり 
甘いバニラの香りで神山の神経はパニック状態になった
髪を整え終えた後は便器に座った 
ここまでははっきりとガラスに映し出されていたが突然消えた
しかしバスルームから出てこない どうしたのだろうと思い
良く目を凝らしてみると シャワーを浴びているようだった
それも下半身の大切なところを入念に洗っている様子だが
少し時間が掛かりすぎていた
日常ない光景を目にした神山の元気は爆発寸前だった
何分経ったのだろう 1分か? いやそれとも5分だったのか
定かでないがショーは終焉した
祥子がバスルームから出てきた時 神山は目をつぶっていた
祥子が近づいてくる様子が スリッパの足音で分かった
足音が神山の頭のところで止まった
目を開けたかったがガマンして早く眠ろうと思っていると
おでこにキスをされた
「神山さん おやすみなさい 今夜は相談に乗って頂きまして 
あ・り・が・と・う うふっ 神山さんの寝顔って
可愛らしいのね おやすみなさい」
今度はホホにキスをして自分のベッドに入っていった

神山は元気になった下半身をどうしたものかと考えたが
兎にも角にも寝ることに専念しようと思い体を少し横向きにした
しかしどうしても気になり 顔だけを向け少し目を開けてみると
祥子は上向きで目をつぶっていた
神山も目をつぶり寝ようとしたがトイレに行きたくなった
人の家で特に祥子のベッドでおねしょは笑えない
トイレに入りようをたした後 シャワーでペニスをよく洗った
トイレットから出てベッドに戻る時 祥子を覗いた 
そこには今まで見たことが無い可愛らしい祥子の顔があり
自分の気持ちを抑える事が出来ずに 彼女の唇に軽くキスをした
祥子の目が開かれた 
神山は少し躊躇したが今度はしっかりと唇を合わせた
「やっと来てくれたのね 待っていたのよ あっ~うれしい」
「えっ」
祥子は両腕で神山を抱かかえ唇を離そうとしなかった
神山は何かを話そうかと思ったが 
唇が塞がれているので言葉にならなかった
このイレギュラーな展開に神山は心の平常心を保てなっかた
神山も祥子の唇を離さないようにしっかりと合わせ
唇と唇の中ではお互いの舌が行ったり来たりしていた
祥子の唇が少し離れあえいでいた
「神山さん 向こうのベッドでいい?」
「うん もともと久保さんのベッドだから」
「うん では い・ど・う しましょ」
祥子の背中に手を回して起こしてあげた
手を繋いでベッドに倒れこむと二人はむさぼりあった
神山は念願だった豊かな胸を優しくガウンの上から触りだした
祥子は答えるように顔をのけぞらし 自分から乳房をさらけ出した
神山の唇は乳首に吸いつき 舌先で硬くなった乳首を優しく転がした
右手の指先は親指と中指で反対側の乳首を愛撫をすると
祥子は耐え切れずに体を反らし喘いでいた
左手で彼女のうなじから首筋をゆっくり触れていた
右手は乳首を離れガウンの紐を解こうとしていた
はらりと解けたガウンの中には白い祥子の身体があった
神山もガウンを脱ごうとすると 祥子の手が紐を解き
体を浮かせガウンを脱いだ
シルクのトランクスは肉棒が上を向いていた
祥子は今度は両手でトランクスをさげると                
脱ぐ時ゴムにひっかかり肉棒がぴょんとはじけた
神山は全裸になると祥子のガウンを脱がせた

「神山さ~ん 素適 素晴しい体格をしているのね」
「そんな事無いですよ 久保さんこそ素晴しいカラダです」
「ありがと 優しくしてね ひさしぶりだから」
「最高級に 優しくしますよ」
神山は右手を頭の下から回して右の乳首を愛撫し
左手は彼女の大切なところをガウンの上から優しくる触っていた     
彼女はクリトリスの辺りが感じるのか喘ぎがいっそう増してきた
時々唇でみみたぶや首筋などを愛撫した
唇と舌先は忙しかった
彼女の唇に行ったり 乳首 うなじ 首筋 など大忙しだった
完全に祥子は出来上がってきた証拠にトランクスが湿ってきた
ようやくトランクスを脱がすタイミングが訪れた
両手でトランクスを下げようとすると祥子は腰を浮かした
トランクスを下げながら神山も一緒に下に下がった
祥子の足を広げさせると抵抗なく開き 
そこはもう充分すぎるほど愛液が潤っていた
光線の具合で綺麗なしずくに見えた

「だめ そんなに見つめないで 恥ずかしいから お願い許して」
祥子は訴えてきたが カラダは逆にもっと足を広げていた
あふれ出てくる愛液を優しくなめ上げた時 クリトリスに触れた
「あっ~ だ~め~ あっ~」
(本当に久しぶりだわ なんて気持ちいいの 神山さん上手よ)
祥子は腰を動かすと自分の感じるところに神山の舌先を当てていた
神山は舌先に力をいれクリトリスを愛撫しながら時々やさしく噛んだ
祥子はクリトリスを優しく噛まれたり吸われたりしているうちに
ガマンできなくなっていた
「神山さん 指でおねがい やさしくしてね~」
祥子は神山に指で愛撫してもらう事を注文をした
手のひらと指で愛撫を始めると祥子は体を今まで以上に反らした
最初はゆっくり時々早くそして力を入れたりを繰り返した
気持ちが最高潮に成ってきたのか 祥子の喘ぎが変わってきた
「あ~ だめ あ~ いくっ~  あっ  あっ 」
(あっ~っ 久しぶりだわ~ すごい だめ~ いく~ きたっ~)

祥子はクリトリスの愛撫で昇天した
(あ~ すごくよかったわ そのまま動かないで お願いよぉ~)
神山はそれでも愛撫をやめなかった
今度は桃の割れているところを集中攻撃していた
きれいなラビアの中にちいさな入り口が見えてきた
入り口が先ほどから愛液を噴出していて 今は伸縮運動をしている
「神山さん勘弁して すこしやすませて 頭がおかしくなちゃう
こんどは 神山さんのをおしゃぶりさせて ねっ お願い」
神山はうなずき 仰向けになった 肉棒が上を向いていた
祥子はけだるそうな躰を起こし 神山の肉棒にしゃぶりついた
(おちんちんをしゃぶるのも 久しぶりだわ 本当に大きいわ 
わたし大きいの大好きよ 私のからだ壊れないかしら)
そんな事を考えながら神山の肉棒を咥えたり
ハーモニカのように唇を横に動かしたりしていた
咥えられて上下運動をしてもらっている時に発射しそうになった
彼女は普通に上下運動をするのではなく 吸引を取り入れていた
(上手すぎる なぜこんな技が出来るのだろう)
神山は一瞬よからぬ考えが頭をよぎったが悟られないようにした
「だめだよ 凄く気持ちよくて発射しちゃうよ」
「いいわよ 私のお口の中でも」
そういうと直ぐに先ほどのフェラチオを再開した
今度は片方の手で肉棒の根元をきつく握り上下運動をさせ
バキュームフェラチオを始めた     
そのうちに握っている手のひらが上下運動から回転運動に変わった
(もうだめだ 上手すぎる)
祥子は一生懸命に神山の肉棒を愛撫した
上下 回転そしてバキュームとトリプルサービスを受けた肉棒は果てた
祥子は美味しそうに飲み込んだ
彼女の目が神山の目を捕らえていた 
それはちょうど獲物を取り押さえた時の野獣の目だった 
果てた後のペニスの割れ目に舌先でちょろちょろしてきた
「だめ だめ くすぐったいよ 勘弁してください お願い」
「ねっ 女性もくすぐったいの だから もっといじめちゃぉ~」
「だめ 本当にくすぐったい やめてください お願いします」
神山はカラダをよじって逃げようとするが逃げられなかった
「ごめんなさい 言う事聞くから 許してください お願いします」
祥子は亀頭全体をもう一度舐め回し 唇をはなした        
「どう まんぞくした~」
「うん 初めてだよ あんな体験」
神山は祥子にあのテクニックの事を詳細に聞こうとしたがやめた
その代わりに右手は祥子の大事なところに移ろうとしたが
祥子はするりとかわしベッドから立ち上がった
そしてキッチンに向かい缶ビールを持ってきた
「はい ビール 私 今夜大変な重労働をしたから疲れちゃった」
「ビールを呑んで 寝ましょうか 勿論 一緒にねっ いいでしょ」
「うん そうしようか だけど夜中に襲いかかるかもしれないよ」
「大丈夫 神山さんだったら いつでも襲われたいわ」
神山は左手の人差し指で祥子の額をかるくつついた
「ビール 美味しいね~」

祥子も神山もビールが美味しかった
まだ交わっていない二人だが 運命的なものをお互いに感じていた
神山は缶ビールを飲み干すと 軽くキスを交わして横になった
ガウンを羽織っていなかったが全然寒くは無かった
神山は祥子のぬくもりが程よい暖かさで気持ちが良かった
祥子も久しぶりに血液が全身を駆け巡ったようで躰が温かだった
暫くすると先に祥子の吐息が聞こえてきた
神山は祥子とこれかの事を考えたが直ぐに寝入ってしまった





次回は5月8日掲載です
.