2012年6月12日火曜日

芽吹き 3 - 7 Vol. 1



銀座店催事課

「由香里さん コーヒーください」
「どうしたんですか さきっから」
課長の奥村は神山が出勤してこないのでイライラしていた
5分毎に時計を見ては ため息をしていた
「倉さん 山ちゃんから連絡ありませんか?」
「おう 無いぞ 携帯にかければいいじゃないか」
「携帯が繋がらないんですよ」
「おう まだ10時だぞ なにおそんなに焦っているんだ」
「ええ それは本人が来てから はい 遅いなー」

暫くすると ラフなカジュアルファッションで神山が出勤すると
「山ちゃん 遅いじゃないか もう どうして携帯が
繋がらないんだ 繋がるようにしてくれ」
「課長 おはようございます お言葉ですが
地下は繋がらないんですよ 僕の携帯は まったく朝から」
「おう 山ちゃん おはようさん」
「倉さん おはようございます なんですかいきなり ねぇ」
「おう 課長さんは 山ちゃんを来るのを待っていたよ」
「へぇー それで朝一番から 携帯のいちゃもんですか もう
気分悪いですよね 由香里さん コーヒーください」
「そうよね まったく 酷いわよ」
奥村は少し言い過ぎたと思い
「山ちゃん いや神山部長 大変失礼しました
で ちょっとみんな集まってくれ」
課長が男らしく神山に謝罪したので テーブルに集まると
「実は えー 僕がイライラしたのも 報告をさせて頂くからです」
「おう 分かったよ 山ちゃんが又 なにかしたのか」
奥村は メモをとったノートを読み上げた
「内示がありました 2月に行われた 銀座バレンタインディー
ウインドーコンテストで 見事 神山部長が最優秀賞を
受賞されました 神山部長おめでとうございます」
「えっ 僕が最優秀賞、、、ほんとですか 嫌ですよ
やっぱりあれは 間違いだったなんて」
「山ちゃん 大丈夫だよ ほら9日に銀座会があるだろ
その会議内容が 昨日届いて秘書課が確認したところ
間違いなく うちの山ちゃんだ だからおめでとう」
「おう 山ちゃん 凄いな おめでとう」
「先輩 おめでとうございます 凄いですね」
「神山部長 おめでとうございます よかったわね」
「うん ありがとう」
「やあ おめでとう 同期として嬉しいよ」
「ははは 大ちゃん ありがとう」
みんなが喜んでいるとニーナ・ニーナから電話が入った
「はい 神山です」
「筒井です 最優秀賞 おめでとう よかったね
あそこで我が社の商品を見せてくれたんだよね 嬉しいよ」
「ニーナ・ニーナの商品が良かったからですよ」
「よかった そうそう スケールモデルとか
色々とありがとう 僕も嬉しいよ がんばってね」
「はい ありがとうございます」
「そうそう あと1件 9日木曜日朝10時にNN青山本社ビルに
来てください アルタの佐藤部長にも来ていただきます
奥村課長には 後で連絡します お願いします」
「はい 分かりました 伺います」

神山は電話を切ると奥村課長に
「課長 筒井さんからですが 9日の10時に青山の
NN本社ビルに来てくださいと言われ 佐藤部長も
呼ばれるそうです 課長には後で電話すると言っていました」
「うん 分かった 立ち上がりは大丈夫だよな」
「もう 翔が居ますから 大丈夫ですよ なあ翔」
「はい そうそうFAX頂きました ありがとうございます」
「うん あれを見ながら 説明するよ」
「ええ 良く書かれているので 感心してみていました」
「ははは 見ているだけじゃなくて 覚えてくれよ」
みんなが大笑いしていると奥村が倉元に
「倉さん どうでしょうか このコンテストと部長昇進の
祝賀会は地下で行いませんか 大々的に」
「おう そうだな 俺が昨年貰った時も地下でしたしな
いいんじゃないか 店長も喜ぶよ そうしよう」
「はい わかりました なあ市川君 段取りをしてくれ
忙しいのは分かるが 同期の祝賀会だ それと
翔 市川君のサポートを頼んだぞ それから」
「はい 私でしょ 大丈夫よ 連絡先などは記録してあるから」
「ははは お願いします」
「課長 お願いですが 土日は外してくださいね」
「なんで」
「だって もうずっと休んでいないんですよ
それに夜遅くまで仕事をして 朝早くからFAXで起こされ
土日は休みますからね あっても来ません」
「おう 山ちゃんどうした そうかすっきりしたか」
「ははは すっきりしました もう 朝一番で 課長」
「分かったよ もう苛めるなよ 頼むよ
こっちこそ分かって欲しいよ 伝えたいのに
携帯電話は繋がらないし 何時に来るか って訳さ ごめん」
「まあ 課長 ありがとうございます でも土日はだめですよ」
「うん 分かった 業者さんで土日休みが半分くらいあるでしょ
そうすると 今度の月曜日がいいかな 何もないと思うよ」
奥村は自分の予定表を見てみると 店長や販促部長も
何も予定が入っていないので この日に決定とした
「市川君 早速地下に電話をして いつもの人数だから
大広間だ そこを押さえてくれ 頼んだよ」
「はい 分かりました」
市川は席を立つとホテル禅 日本料理 四季に電話をした
宴会担当と挨拶をして 本題を伝えると快く了承してくれた
「課長 OKです」
「うん ありがとう 翔 後は案内状など 市川君と進めてくれ」
「はい わかりました」
「杉田さん 昨年のが取ってあるわよ 後で持っていくわね」
「さすが ありがとうございます」
「課長 倉さんは」
「うん 2位だ しかしうちでワン・ツーなんて初めてですよね」
「おう 俺が1位の時 確か山ちゃんは僅差で3位だろ
あと 俺以外で 1位は居ないはずだけどな うーん 忘れた」
「僕も秘書課で確認したんですが 倉さん以外に居ないんですよ
そんな訳で 山ちゃん 本当におめでとう 店長も大喜びさ
それで 今日お昼はどう 一緒にいかない たまには」
「すみません お気持ちだけ頂ます お昼に現場で打ち合わせです」
「そうか 残念だな なんか寂しくなるな」
「おいおい 奥ちゃん 別に遠くに居るわけじゃないだろ
山ちゃんは今が一番大切な時期なんだよ 分かってあげろ」
「はい すんません がんばってな」

このコンテストは銀座1丁目から9丁目までの
ショーウインドーを持っている販売店なら業種関係なく参加できるが
ショーウインドーの床面積が5㎡以上あることと規定が有り
あと参加費を支払わなければいけない
コンテスト期間は2週間と決められていて 今年はバレンタインに
あわせて2月1日から14日の間と決められた
毎年参加してくる所は 百貨店や大きい会社が参加してくる
裏通りにある個人経営のブティックなどは 以前は参加していた所も
有ったが 不景気の影響か今は殆ど参加していない
昨年は倉元が久しぶりに一位を受賞したが 連続受賞は無理だった
しかし 倉元はいつも上位 特に3位以内に入っている実力者だ
ウインドーコンテストは参加しているウインドーに『1998 
ウインドーコンテスト参加』と印刷されたステッカーを貼り
行き交う通行人や購買客に参加している事を表示する
気に入ったウインドーを選んでもらう市民参加型のコンテストなので
デコレーション技術だけではなく総合デザインが問われる
投票用紙や回収箱は各交通機関の駅や参加している店舗だけではなく
銀座のいたるところに置かれている
実際の順位決定は市民参加分が100票で0.01ポイント獲得で
参加した店舗ウインドーに各ポイントが割り振りされ仮順位が決まり
コンテスト実行委員会では最初この作業から始まる
実行委員会の投票人数は70名で持ち点1が与えられ
実行委員会理事は5名で3ポイントが持ち点になる
最終的に1位になるには 実行委員会でのポイント85ポイントと
市民参加分ポイントが加算されその時の過半数を
超えなければ一位にはなれない
今回市民参加分が108ポイント(108万人分)と
85ポイントを加算し193ポイントになり過半数97ポイントを
超えなければ1位になれない
順位決定投票は市民参加分で上位8位までが残る
そこから実行委員や理事が投票し過半数が出たら1位だが
過半数に達しない場合は下位2つのウインドーが消える
この時残った6つのウインドーに対して入賞が与えられる
再投票し下位3つのウインドーが消える
最後に3つのウインドーに対し85ポイントがどう動くか
いつも注目されている所だ
今回鈴やのウインドーコンテストには神山だけ参加するか否か
議論が有ったが最終的には倉元の参加も決定した
参加費用も1件に付き20万円なので 
倉元と神山の6位の入賞は果たしたかった
昨日の午前中から事前に提出された規定の書類や写真を審査し 
実行委員会の投票が行われた
市民参加分のポイントでは倉元が1位 神山は5位だった
そこから各委員の投票で倉元が1位 神山は3位になった
再投票で倉元が1位だが過半数97ポイントを獲得出来ず
僅差で2位になった神山と再投票で
神山が97ポイントを獲得して目出度く1位になった

「しかし 何が良かったのかなぁー」
「それは 山ちゃんの腕でしょ」
「おう ニーナ・ニーナの商品が輝いていたぞ それだな
デコレーターは多少感性の違いはあるが みな同じ腕だ
山ちゃんの最終ジャッジと商品構成がばっちりだったんだ」
「倉さんのメインウインドーが良く目立つので
これは商品構成で やるっきゃないと思いましたよ」
「おう 筒井ちゃんも大喜びだっただろ」
「ええ いつもよりトーンが上がっていました」
みんなが大笑いしていると 早速デコレーション会社
スーパーデコの細川社長から電話が入った 由香里がでて
「課長 スーパーデコの細川社長からです」
「ああ ふとかわさんね わかった」
みんなが一斉にしーっと合図した 奥村も頭をかいて
「はい 奥村です」
「細川です おめでとうございます」
「ありがとうございます いつも力になって頂き はい」
「それで今回は 倉さんではなくて 山ちゃんだそうですね」
「ええ 本人もそれなりに頑張った様子です」
「また 祝賀会するんでしょ」
「はい 案内状が出来たら直ぐに FAXします はい」
「ええ 楽しみにしているわ お願いね」
「はい ありがとうございます はい」
奥村は電話を置くと ほっとした様子で席に戻った
「課長 まずいですよ ふとかわって
普段思っているから 出てしまうんですよ 聞こえたかも」
「そうですよ 男性ならまだしも 女性ですよ 失礼な」

スーパーデコ社長 細川恵子は独身で50歳
そのグラマスさは有名で『ふとかわさん』で通っている
肌着のサイズは国産では間に合わないで 外国製を使っていると
言われているくらい 凄いサイズの持ち主だ
以前 祝賀会で逃げる奥村が強引にキスをされてからは
絶対に「細川」と呼ばず『ふとかわ』と呼んでいる

「分かったよ みんな白い目で見るなよ 考えてくれよ
あのボディーでキスをされたんだぞ 人の気持ちも考えないで
そうだ あの「ふとかわ」さんが いいと思うのは手を挙げて」
奥村以外 全員手を挙げて由香里は
「あんなに優しい女性は居ないわよ なによ大きいからって」
「そうか でもな俺は どうしても駄目なんだよ」
「はいはい じゃ今回は隣に座ってもらいましょうね」
「由香里さん なんで いいじゃない 店長の隣で」
「市川さん 聞いた 隣でOKだからね 上座の席次は決定よ」
「はい 分かりました そのようにFAXします
絶対に細川社長喜びますよ 課長の大ファンですからね」
「ふーん 分かった ってことで はい解散」

奥村が課長席に戻ると直通電話が鳴った
ニーナ・ニーナの筒井からの電話で 9日10時会議の
出席依頼と会議概要を伝えられたが
「山ちゃんだけでも よろしいですか 僕の方は店長対応が
あったり 立ち上がりの日ですから」
筒井は事情を考慮して 神山一人の出席を了承した
「山ちゃん 筒井さんから 正式に出席要請があって
僕は出られないので 山ちゃん一人という事で 了承して貰った」
「はい ありがとうございます では木曜日は向こうに
直接行きますので こちらはお願いします」
「うん 分かった」
「さあ 翔 仕事だしごと 昨夜のFAXを持ってきて」
神山は杉田翔に センターテーブルで仕事のポイントを説明し
分からないところは 徹底的に分かりやすく例を話しながら
理解 納得してもらうよう勤めた
「ざっとこんなもんだけどさ 大体把握できただろ」
「ええ 僕の知らないポイントばかりです ありがとうございます」
「うん 一回失敗すると覚えるだろ 渉外の時には特に
気をつけなければ その場で悪いイメージを持たれてしまう
だから こうやって事前に勉強すればいいんだ」
「そうですね 後は場数を踏まないと、、、」
「うん 場数を踏むにも知らないのと知っているのでは
雲泥の差があるからね 勉強をして損は無いよ」
「はい 分かりました」
「おう 翔 いいバイブルを手にしたな 頑張れよ」
「はい ありがとうございます」

神山は席に戻り 一息ついて時計を見ると12時になっていた
「わぉ もう12時だよ 参ったなぁー」
独り言をいい 書類に目を通すと 隣の翔に
「翔 これから僕の机に来たものは どんどん処理してくれ
ただし 什器などは絡みがあるから確認してからな
でないと リース代が増えてしまうからさ 使い回しが
出来るようなら 使い回しをすること お願いするね」
「はい それでも分からなかったら 電話をします」
「うん うるさい売場リストはあげただろ そこから申請が
きたら 僕に一言連絡をくれ 頼んだよ」
「はい このABランクですね」
「うん ABランクは売場というより その人物だ 融通が利かない
煮ても焼いてもどうにもならない人物だ いいね」
「おう 山ちゃん xxx君は入っているか」
「ええ AAランクに入っています」
「うん 彼は店長にも楯突くから 要注意人物だな」
「なっ 分かっただろ しかし一回失敗すると覚えるけどな
そうすると こんなリストは要らなくなるよ ははは」
「またぁー 失敗しないようにのバイブルでしょ もう」
「そうそう 機転が利けば 簡単さ 勉強だよ」
「じゃ 上原に行きます あとは頼んだよ」
「おう 山ちゃん 夜は来るんだろ」
「ええ 来ますよ 大丈夫ですよ」
「うん じゃ 頑張ってな」
神山は催事課の部屋を出るとタクシーで上原の現場に向かった

「やあ 考ちゃん 少し早かったかな」
「そんな事無いよ それで久保さんも来るんでしょ」
「うん 連絡が無いから 来るはずですよ 大丈夫」
「そうしたら 駅前寿司で見ることにしようか?」
「うん いいよ」
高橋と神山が現場で話をしていると祥子が駅から歩いてきた
神山を見るとニコニコしながら手を振った
「お疲れ様 早く来られたみたいですね」
「ええ お仕事が早く終わって 良かったわ」
高橋は二人を駅前寿司に案内すると 田中幸三が先に来ていて
席を確保していた
「やあ 幸三ちゃん ありがとう」
「いえいえ ここの方がゆっくりと見てもらえると思いまして」
神山は見やすいモデルの傍に座ってもらい 自分は祥子の
隣に座り 高橋と向かい合う格好になった
「それでは オープン」
田中幸三はスケールモデルを覆っていた布を取ると 現場を
忠実に再現されたモデルが現れた
「わぁー 凄く大きい へぇーこうなるんですか」
「考ちゃん 良く出来ているじゃない 凄いね」
「うん 山ちゃんの仕事だから ばっちしさ」
祥子は上から眺めたり 角度を変えてみたりした
田中幸三がバックヤードから 人形を5個出して 店内に飾ると
「わぁー こうなるんだぁー へぇー この人形も
スケールダウンですか?」
「ええ そうですよ どうですか?」
「ええ これだと図面で分からない事が 良く見えてきますね」
祥子は入り口のところに目を当てて 店内を見ていると
感心し 一人頷き見入っていた
「考ちゃん これって1/20でしょ ただ天井の所はあの赤い線」
「そうです 壁は天井ラインで切らないで 赤線で表示です」
「いかがですか?久保さん どこか不明なところはありかすか」
神山が聞くが 多分見たばかりなので 何も見えてこないだろうと
思い 什器なども動く事を伝えると 自分なりに移動させた
「わぁー こうするとわかりやすいけれど パズルのようね」
「ははは パズルか そうですね」
神山は時間をかけなければ 納得する配置が決まらないと思った
「久保さん このモデルは現場に置きましょうか それとも
僕の事務所にでも置きましょうか?」
「現場でいいですよ 現場に置いてください」

「さあ それではお昼の時間にしましょう」
高橋は女将におつまみとビールを運んでくれるよう頼んだ
おつまみは事前に準備されていたので 直ぐに運ばれたが
祥子はおつまみが来ても モデルに興味があり時々見ていた
田中はビールをみんなのグラスに注ぐと高橋が
「それではモデルの完成で 乾杯」
みんなが乾杯をして 祥子もようやくみんなと話すようになった
「神山さん ウインドーコンテスト最優秀賞を受賞されたんでしょ
おめでとうございます 凄いですね」
「もう話が伝わっているんだ そうなんですよ」
「そうそう 山ちゃん おめでとうございます 凄いね」
「まあ たまたまですよ でも良かった
筒井さんも 大変喜んでくれたし」
「そうね 筒井も自分の事のように 喜んでいたわ」
「飾って頂いたドレスシャツは 全部売れてしまったわ
大変な反響だったですよ」
「そうなんですか へぇー あれって高いのに良く出ましたね」
「デザインや品質を考慮すれば安いって 分かってくれる女性が
少しだけ 財布の紐を緩めてくれたのね」
「そうか よかった 陳列して売れなかったら大変だからね」
4人はコンテスト受賞の話で盛り上がりながら食事を終えた

神山は先に店を出て祥子に
「これから 銀座に行くけれど 会社に戻る?」
「ええ 会社へ行きます」
「じゃ 送っていくよ」
「えっ ほんと」
二人が話していると 高橋と田中が店から出てきたので
「考ちゃん ご馳走様」
「ごちそうさまでした」
「いえいえ どういたしまして そうしたらコレを現場において
僕らは 会社に戻ります」
「うん お願いします 又 連絡しますね」
「はい じゃ」
高橋と田中はスケールモデルを持ち現場に歩いていった
神山は少し歩いて タクシーを拾い銀座にむかった
「凄いわね あのモデル」
「うん 良く作ってくれました ははは」
「ねえ 知っている 9日の事」
「うん うちは僕だけだよ 課長から筒井さんに話していたよ」
「なんなのかしら 分からないわ」
「うん 何だろうね アルタの佐藤部長も招待されているんだ」
「へぇー なにかしら?」
「今回は全然 読めないや って言っても自分の事分からなかったし」
「ねえ 今夜は何時頃になるの」
「うーん 8時には動けるよ もう少し早いかな」
「そうしたら イタリア料理でもいい?」
「うんいいよ」
「そうね8時に3丁目の交差点はどう お店は直ぐ近くなんだ
私 早く終わるから お店で待っています」
「了解 交差点に着いたら電話するよ」
「うん分かった 私ね 明日なんだけど お休みを貰ったの」
「へぇー 凄いね 土日じゃなくて 大丈夫なんだ」
「うん ほら先日名古屋に帰ったでしょ その荷物がくるの」
「それで休みを貰えたんだ いいね」
「うん それから ソファーとか家電製品を買わないといけないし
だから 時間が空いているようだったら 渋谷に一緒に行かない」
「うん 明日は多分急ぎは無いはずだから 大丈夫だよ」
「じゃ お願いね」
タクシーが青山3丁目の交差点で止まると
「すみません 一人降ります お願いします」
そういうと扉が開き 祥子が反対側の歩道を指をさし教えてくれた
「じゃ今夜」
「はーい 待っています」
祥子は手を振って見送ってくれた





次回は6月17日掲載です
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