2012年6月7日木曜日

芽吹き 2 - 6 Vol. 3



「おう 頼むぞ」
あいにくと奥村課長が居ないので由香里に
「由香里さん 上原現場にはいってそのまま帰ります
っていっても事務所で翔のお仕事をしますがね ははは」
「はい 頑張ってね 林さんの件は大丈夫?」
「うーん だって僕がどうこうできない話でしょ 大丈夫ですよ」
神山は催事課の部屋を出ると 表通りでタクシーで上原に向かった
考えてみると 今日はタクシーに乗るのが これで4回目だった
(よかった 祝儀を貰っていなければ こんなに乗れないよな
近距離だと佐藤さんから貰った タクシー券も使いづらいし)

上原の現場に着くと高橋が待っていて手を挙げた
「やあ山ちゃん ごめんね 忙しいのに」
「なに言っているんですか お互い様ですよ それで」
高橋と神山は問題の柱に行くと神山が
「なるほど 確かに下がっているね そうするとタイルのままだと
コンクリの補修も出てくるものね コンパネにしようよ
床レベル出してさ 柱にアンコすれば問題ないでしょ」
「うん そうするよ うちのデザイナーもその方がベターだって
喜んでいたよ それに経費が減るし」
「うん では ハツリなしで決定 で モデルはどう」
「うん 製作部と誠二らが手伝っているから 明日にでも出来るよ」
「早いね さすがアルタだね」
「山ちゃんが来たんだから のんびりしていたら怒られますよ」
「ははは」
神山は笑うと 外との境にあるのガラスにいくと 手のひらを
ガラスのほうにだして 外光の明るさを調べた
「どう 山ちゃん 軽くいく?」
「あそこ?」
「うん」
神山は時計を見ると17時になっていた 
1,2時間くらい呑んでも大丈夫とみて
「行きましょう」
高橋は店舗の鍵を閉めシャッターを下ろした

二人は駅前寿司に入ると 奥の座敷に案内され女将に
「鮮魚のおつまみと生ビール2つ」
「はい 何回もありがとうございます」
「ははは そうだね これからも一杯来るからね」
高橋と神山は顔を見合わせて 笑った
「ねえ 考ちゃん フローリングだと色は決まっている?」
「全然 一応候補は出してあるんだけれど」
「そうしたらさ 300角のサンプルを持ってきて貰えるかな」
「そうだね うん準備して現場に持ってきますよ」
「うん あそこね 照明も難しいよ だから早め早めに
手をうって進めないと オープンが6月になるよ」
「そうだよね さっきもさ 雨が降っているのに明るいでしょ
だから 考えていたんだ」
「うん この時間になると 結構暗くなっているけれどね
店内店舗と違って ちょっと工夫が必要だね」
「うん よかった山ちゃんが一緒で ははは」
「そんな なにも出ないですよ」
二人はお昼にここで食べたばかりなのに 箸が良く動いた
ゆっくり呑んでいると18時になり この時間になると
会社帰りのビジネスマンが多くなってきた
神山は高橋に
「今夜は ちょっと用事があるから もう直ぐ出てもいいかな」
「ごめんごめん そうしたら 事務所で待っているのに
お土産を作ってもらうから ちょっとだけ大丈夫?」
「うん 全然 そのくらいは大丈夫さ ほら店外催事とか
若いのが一人だからさ こちらで進めないとね」
「そうだね まだお中元じゃないでしょ」
「うん あれは5月に入ったら直ぐに始まるでしょ」
「そうか 5月はダブルで大変なんだ」
「うん でもデザインさえ出来れば あとは現場だから
考えようによっては 気が楽だよ」
二人が話していると 女将が
「お客さん お土産できました こちらに置いておきます」
「はーい ありがとう」
「じゃあ 考ちゃん 出ましょうか ご馳走様」
「いいえ 助かりますよ 仕事が速くなるよ ほんと」
神山は先に表に出ると 雨はすっかりあがり気持ちが良かった
高橋が会計を済ませ出てくると
「じゃあ また連絡をください」 
「うん モデルが早く欲しいな」
「ええ 頑張ります それでは」
「じゃ」
高橋は駅構内に消えてゆき 神山はマンションに歩いていった

神山はマンションに帰ると シャワーを浴びて体をすっきりさせ
30分ほど寝る事にした
タイマーを19時に合わせ ベッドに横になった
目覚ましのけたたましい音で目が覚めると 部屋着に着替え
缶ビールを呑みながら 催事課の仕事を精力的にこなした
20時少し前に 携帯電話がなり出てみると
「祥子です ごめんなさい 遅くなって」
「うん 大丈夫だよ」
「今 会社を出ました」
「わかった 注文するのはピザだけでいいのかな?」
「任せるわ お願いします」
電話を切るとピザ屋に電話をして 住所を告げると30分かかると
いわれ 承諾して持ってきて貰うことにした

「こんばんわ」
「やあ お帰りなさい まだピザが来ていないんだ」
「はーい 来たら教えて 取りにくるわ 私の部屋でいいでしょ」
「うん じゃ準備しておいて」
祥子は部屋に帰ってくると 大急ぎで着替え神山の部屋で話した
「しかし ほんと事務所ね」
「ああ 大きなテーブルにパソコンに大きなFAX 事務所だよ」
「そうしたら お願いね 教えて」
祥子は神山に軽くキスをして 自分の部屋に戻っていった
神山は仕事に集中したので 催事課の仕事が結構進んだ
ピザが配達されると 祥子の部屋に運び 予め用意された
お皿に盛り付けを済ませると 冷蔵庫から缶ビールを取り出し
二人のグラスに注ぎ
「お待たせしました かんぱーい」
「うん 乾杯」
祥子はフォークとナイフでピザを切り分けると
神山の取り皿に乗せた
「はい どうぞ」
「ありがとう」
さらに祥子はサラダも取り皿に盛り付けると
「はい サラダも食べてね」
「うん ありがとう さあ 食べようよ」
祥子は自分の分を取ると一口食べて
「あー 美味しい お腹ぺこぺこよ」
「お昼から何も食べなかったの」
「ええ ほらバックヤードの容量を計算したりで おやつも
食べる時間が無かったの でも大体計算できたわ」
「凄いね で 図面に書いてある通りで 大丈夫なのかな」
「ええ 大丈夫だった でも 結果論でしょ
私 計算して 良かったと思う」
「良かった そうすると基本的なところは OKだね
どうしてかというと あの場所で5cmとか10cm動かすのは
什器の寸法まで影響して来るんだよ」
「へぇー それで大体の奥行きを決めて 後は微調整なの」
「そうなんだ 最初から5cm単位のレイアウトをしていると
二度手間 三度手間になってしまい なかなか前に進まないんだ」
「うんうん 分かるわ」
「そうか ちょっと失礼 アルタがモデルを作っているから
今のうちに教えてあげれば 固定できるでしょ
連絡してくるよ ちょっと待っていてね」
神山は自分の部屋に戻るとアルタの高橋に電話をした
「考ちゃん ごめんね 大丈夫かな」
「ええ 大丈夫ですよ」
「今ね ニーナ・ニーナの久保さんから連絡があって
バックヤードの奥行きだけど 図面どおりでOKだって」
「ほんと よかった 助かったよ これで固定できます」
「それでさ どうだろう あと5cm売場側にふかせるかな」
「ええ 一応10cmは見ていますよ」
「うん 彼女 バックヤードの容積を計算したんだって
大したもんだよ そこから割り出して OKだって」
「へぇー 凄いですね」
「じゃあ お願いします」
「明日持って行く事ができます」
「喜ぶぞ お願いね」
神山は電話を切ると 祥子の部屋に入るなり
「よかったね 明日モデルが出来るって 喜んでいたよ」
「わぁー ほんと 嬉しいわ ありがと」
「うん やっぱり壁を固定しないとふらふらするでしょ
それが大変なんですよ なので最初に決めて貰うと助かる」
「そうか 固定していないと どうするの」
「うん 例えば 上にテグスを張ってそこにぶる下げるとか
どちらにしても 格好は悪いし 参考にならないんだよ」
「うんうん 分かる じゃ私 スピードアップに貢献したのね」
「そうだよ ありがとう」

「じゃ赤ワインを呑みましょうか ちょっと待ってね」
祥子はそういうと棚から ワイングラスを取り出し
「はい お願い」
今度は冷蔵庫の野菜室から赤ワインを取り出した
「ねえ コルク抜くのやってぇー」
神山はコルク栓抜きを上手にねじ込むと ゆっくりと引き上げ
ポンと音を出し 綺麗にコルクが抜けた
神山はワイングラスにワインを注ぎいれると 祥子に渡し
「じゃ 改めて乾杯」
「ありがと これからも教えてね 嬉しいな」
暫く食べたり呑んだりした後に神山が
「ねえ 今日ね林さんが 僕を訪ねてきたんだよ 驚きさ」
「えっ 貴方のところへ」
「うん だから何も知らぬ存ぜぬで通したよ ドキドキしたよ」
「うーん そうですか ごめんなさい」
「いや 別に気にしていないよ はっきり言ってよそ様の
人事に僕がどうのこうの言える立場ではないからね」
「そうよね でも今日も 夕方に林さんから電話があって
辞めたいという内容だったの 困ったわね」
「僕は筒井さんを信じているよ 大丈夫だよ 任せておけば」
「ほんと 大丈夫かしら」
「信用してあげないと 筒井さん可哀想だよ」
「そうね わかったわ ごめんなさい」
祥子はいつもの明るい笑顔に戻り フォークをすすめ
「ねえ 明日のお昼はどうされるんですか」
「うん たぶん現場だと思うよ お昼一緒にしようか」
「ええ 私も書類を届けるところがあって 上原に来るんですよ 
そうしたら1時でいいかしら?」
「うん じゃ1時に現場で集合だね 居なかったら駅前寿司」
「わはっ また駅前寿司 大丈夫?」
「いいじゃん あそこの鮮魚は格別美味しいよ 安いし」
「はーい なにかあったら携帯電話ねっ」
「うん お願いします」

楽しいひと時を過ごし ダイニングテーブルで寛いでいると神山が
「ねえ 祥子さん 僕は仕事があるので 向こうの部屋に戻るよ」
「えっー 戻っちゃうのー 寂しいな」
「うん でもやらなければいけないことが沢山あって」
「分かったわ 明日の夜は絶対に お泊りしてね」
「うん 一応銀座の作業を確認して戻ってくるよ」
「わぁー お願いよ だったら邪魔しないから貴方の部屋に居ていい?」
「うん 来てもいいけれど なにもないし つまらないよ
また明日にでも部屋の中は 見せるよ だから我慢して」
「うん じゃ おやすみなさい」
「明日 朝ごはんを一緒に食べたいな」
「うん いいよ 起こしてあげるね」
「よっかたぁー 助かるよ 美味しいし 祥子の顔は見ていられるし」
「じゃあ いってもいい?」
「ははは 祥子の顔を見ていたら 仕事にならないじゃないか」
「ふふふ そうね ごめんなさい」
神山と祥子は抱き合って キスをすると祥子が
「はい そこまで ねっ お仕事でしょ」
「うん じゃ ゆっくり寝てね 明日もハードだよ」
「はーい おやすみなさい」
神山は祥子の部屋を出ると 自分の部屋で貯まっている仕事をし
翔がこれから担当するであろう 仕事の整理を始めた
資料が無い為 思い出しながらポイントをパソコンで入力して
プリントアウトした 出来ればメールで送りたかったが 
簡単なイラストや注釈を 記入するところが無くなり 
プリントアウトした用紙に記入をし FAX送信する事にした
神山は時計を見ると25時を回っていたが構わずFAXをした
冷蔵庫から缶ビールを取り出し グラスに注ぎ呑んだ
テラスに出てみると 涼しい風が気持ちよく タバコをふかし
遠くの山を眺めていた


4月7日 火曜日 晴天

「あなた 起きてください」
神山は何事かと思い起きると 玄関で祥子がドアフォンを使って
お越しに来てくれていた
「やあ おはよう」
「もう 携帯に電話しても出ないし 仕方ないから来たわ」
「ごめんごめん 遅くまで起きていたから ついつい」
「良かったわ 起きてくれて さあ そのまま来て
私の部屋で シャワーを浴びたらいいわ」
「うん そうするよ そうだ祥子さんのところにビールはある?」
「うん 大丈夫よ」
「ちょっとまって カードを忘れると大変だ」
神山は部屋のカードキーを持って祥子の部屋に移った
キッチンからは 焼き魚の匂いが香ばしかった
「わぁ いい匂いだ お腹が空いてきたよ」
「ほんと 嬉しいわ じゃ早くシャワーを浴びてきて
着替えはバスルームに置いてあります」
「うん」
神山は熱いシャワーの湯で体を引き締めると 髪の毛や
体を丁寧に洗い流した
バスタオルで体を良く拭いて 棚にはバスローブが準備され
それを羽織 部屋の戻ると祥子が
「さっぱりしたでしょ さあ腰掛けて」
朝のキスを交わすと 着席をうながした
祥子は冷蔵庫からビールを取り出し 二人のグラスに注ぎ
「じゃ 今日一日頑張りましょう」
「うん ありがとう がんばりましょう 頂きます」
神山は早速干物を口にしたが 丁度いい焼き加減で美味しかった
「祥子さん 美味しいよ 嬉しくなるな」
「ねえ その祥子さんは止めて 祥子でいいわよ」
「うん 分かった」
神山はビールを呑みほすと祥子はもう1本出して
「大丈夫でしょ」
「うん 頂きます」                           
祥子はビールを二人のグラスに注ぎ呑んだ
「あー美味しいわね 朝からビールって」                      
「はは 強いんだね」
「ううん その日の気分よ 今日は天気もいいし 気分も最高」
「なるほど それでビールを呑んでも大丈夫なんだね」
「ふふふ 食前酒ってところですね」
神山は目玉焼きを食べたが 黄卵が甘くて味が濃厚だった
「祥子さん この目玉焼き 美味しいね」
「ほんと 嬉しいわ これは名古屋コーチンの玉子なのよ
褒めてもらって嬉しいわ よかった」
「そうすると 新幹線で持ってきたの?これを」
「ええそうよ パッキンして持ってきたの」
「はぁー 貴重な玉子なんだ 味わって頂きます」
神山は祥子が作ったという煮物も頂いたが美味しかった
朝ごはんが終わると タバコが吸いたくなり 祥子に
「ねえ 祥子さん タバコを1本恵んでください」
祥子はニコニコして 棚からスモールシガーを取り出し
神山に手渡すと
「では ちょっと外で吸って来ます」
「いいわよ ここでも」
「でも いいよ」

神山は東向きのテラスに出ると 朝日を浴びて気持ちよかった
新宿方面を見ていると 自分はのんびりとこうやって
ある部分束縛されない仕事をさせて貰い ありがたいと思った
今 この時間はサラリーマンにしては 会社へ行く戦いが
始まっている時間だ 今日一日の作戦を練ったり ミスの
穴埋めをどうするか考えたり 満員電車のなかから始まっている
「どうしたの 呼んでいるのに」
「ごめんごめん ちょっと考え事をしていたのさ」
「気持ちいいわね ここで吸うのも」
見てみると祥子もスモールシガーをふかしていた
「さあ 支度をしようよ 祥子さん」
「ねえ 祥子さん じゃなくて 祥子だって言っているでしょ」
「ははは そうだね ごめんごめん 祥子 支度をしようよ」
祥子はニコニコしながらシガーを灰皿に捨てると部屋に入って
神山に抱きつくと 熱いキスを交わした
「はい ここまでよ」
「なんで ほらこんなに大きくなった」
神山はガウンの真ん中が盛り上がっているのを見せると
「だめよ 忙しないとゆっくりと楽しめないでしょ もう」
神山はガウンの合わせを開くと 肉棒がぴょんと出てきた 
「どうしてパンツ穿かないの?」
「えっ 無かったよ」
「また そんな」
祥子は慌ててバスルームに行くと パンツは乱れ箱に落ちていて
「ごめんなさい 下の箱に落ちていました」
祥子はそう言うと パンツを穿かせ肉棒へはちょことキスをし
「あとは自分であげてね」
「もう でも今夜に楽しみを取っておくよ」
祥子は笑顔で答えると 食器類をさげて支度を始めた
女性の着替えるところを じっくりと観察したかったが やめて
食器類を洗って 籠に入れ水切りをした
「ありがとうございます 助かるわ 貴方の支度は」
「あっ そうだ 直ぐにするから待っていて 忘れていたよ」
神山はガウンを脱いで パンツ一枚で自分の部屋に戻った
慌てて催事課に行かなくても良かったが 祥子の誘いなので
せめて駅までも一緒にいこうと支度をした

神山はドアフォンのところで
「支度できたよ」
「はーい」
そういうとドアが開き 神山はびっくりした
「あー 驚いた 心臓に悪いよ ははは」
二人は手をつないでエレベーターを待っていると祥子が
突然キスをしてきて
「まず お昼でしょ それから夜でしょ 絶対だからね」
「うん 大丈夫だよ」
話していると箱が上がってきて 1Fに降りた
エントランスルームは 朝日が燦々と差込気持ちよかった
外に出ると祥子は神山の腕を両手で絡め 豊満なバストを
押し付ける格好で歩いた
神山はこのまま祥子と一緒に生活してもいいかなと思ったが
果たして 子供が居る事だし 下手に告白しないでおこうと思った
代々木上原の駅に着くと 神山は
「僕は また事務所に戻るよ」
「えっ 戻るの」
「うん 連絡待ちが一件ある ごめんね」
「もう」
そういうと人目を憚らずにキスをした
「ねえ みんな見ているよ」
「いいじゃない 見たい人には見せておけば」
そういうと又 キスをしてきた 今度は少し長かった
「さあ 行ってらっしゃい」
「はーい じゃ1時に」
「うん」
祥子は改札口へ向かう人ごみの中に消えていった

神山は構内のATMを利用して150万円を入金した
通帳を見ると残高は殆どゼロに近い状態から150万という
桁違いの数字が打刻され 自身驚いた
神山は離婚した時の約束で 子供たちが成人するまで
仕送りをする約束を交わした 思うように仕送りが出来ず
給料日の前日に残っている金額を送金してきた
だから神山の通帳は一向に増えず 毎月ゼロ円に近い数字だった
しかしこのお金は 今後の事もあるので 貯金に回し
5月に出る 賞与を全額振り込めばいいと思った

部屋に戻るとアルタの高橋からFAXが届いていて
スケールモデルは今日12時に現場に持っていくと書かれていた
神山は高橋に電話をすると
「おはようさん」
「やあ山ちゃん おやようさん」
「FAX見たよ ちょっと駅まで行っていたんだ
それで 1時にニーナ・ニーナの久保さんが現場に来るんだよ」
「じゃ 丁度よかったね」
「何時までかかったの?」
「うん 製作部は3時頃って言っていた」
「ありがとう そうしたら どうしようか」
「山ちゃんはどうなの?」
「うん 午前中 催事課に顔だして お昼は上原で 夕方から
夜は銀座で まあこんな感じ」
「そうしたら 1時に現場で待っていますよ」
「うん それで駅前寿司を1時で予約を入れておこうか」
「あっ それはこっちでやります 大丈夫ですよ」
「うん 分かりました お願いします」
「そうそう 先ほど解体屋から電話があって 早急に天井を
解体するって 連絡がありました」
「よかっったね」
「うん 連絡をしなかったら 1ヶ月は無理ですよって言われた」
「えっ まさか でも横浜が忙しいから よかったね」
「日にちが決まったら連絡します」
「お願いします じゃ1時に現場」
神山は電話を切ると テーブルに大きな図面を広げ
落ち度が無いか 何回も確認した






次回は6月12日掲載です
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