2012年7月27日金曜日

若葉 3 - 10 Vol. 2




「そうしましたら お部屋に運ばせますがよろしいでしょうか」
「ご迷惑でなかったら お願いします」
「では 橘君 神山様をお部屋まで案内してくれ」
椿は少し年上と見える副支配人に指示すると
「神山様 それでしたら1時半頃にこの場所で打ち合わせを
お願いしていいでしょうか」
「ええ 構いませんよ では1時半にここで」
「お願いします」
「それと撮影するのに三脚を使いますが
どなたかホテルの方が付いて頂けますか」
「勿論 大丈夫です」
「一応 昼と夜の記録を撮影します」
「ありがとうございます」
神山は席を立ち橘の先導で部屋に案内された
「凄い 超高級ですね」
「ありがとうございます ごゆくりおくつろぎ下さいませ」
「ありがとう」
「暫くしましたら 昼食をお持ちいたします」
橘はお辞儀をして部屋を出て行った

このゴテンバ グランド インは
山側にくの字に突き出す形なっている15階建てと
海側くの字につきだす格好の低層階建物が7階建てで
この二つの建物が丘陵を利用し建てられている
ふたつの建物は上から見ると正方形を少しつぶした菱形にみえる
手前の7階建てが1階から7階になっていて
山側が地上3階から15階になっている建物だった
海側の2階がフロントでグランドフロアになっている
海側1階はショッピングモールやカフェが楽しめ
ビューティーサロンもあり利用客が多い
海側3階と山側4階が同じフロアで繋がっていて
山側にもショッピングモールはある
山側3階には和、洋、中 料理店も備わっていた
山側の2階には地下から湧き出る温泉浴場があったり
カラオケや遊戯施設が設けられていた
スイートと呼ばれる部屋は各建物の上2フロアが当てられ
山側最上階にはスカイラウンジが設けられて夜景を楽しめた
「凄いわ ねぇあなた」
神山達が案内された部屋は海側の7階最上階の角部屋だったが
景色は御殿場全体が見渡せるすばらしい部屋を案内された
さほど遠くない所にアウトレットの更地が見えた
「由香里 来てごらん ほらあそこが先ほど行った現場だ」
「素晴らしいわ そうすると あそこは東名高速」
「そうだね」
「箱庭の世界を見ているみたい」
神山が冷蔵庫からビールを出しコップに注ぎ由香里に手渡すと
「ねぇ 幸せよ あなた」
由香里は少し上向き加減で唇を差し出し神山にキスをした
神山は離れるとタバコを吸いながら ソファーに座った
よく見ると 窓と反対側にバスルームが総ガラスで仕切られていて
バスルームからも夜空を眺められるようになっていた
「ここに来た人は 本当に幸せだろうな」
「そうね」
「そうだ 高橋さんに報告するよ」
神山は携帯電話でアルタの高橋に連絡をとった
「はい 高橋ですが」
「やあ 孝ちゃん ありがとう 今ホテルだよ」
「どういたしまして」
「椿 総支配人とあって これから打ち合わせだ」
「ごめんね 埋め合わせするよ」
「それで 昼間の感じと 夜も撮影しておくよ」
「えっ ほんと 助かる さすが山ちゃん ありがとう」
「ただ 椿さんがまだどこにサインを設けるか
思案しているので大変だよ」
「そうか どこにするか決まっていないのか」
「そうだ だから僕の感覚で 撮影する」
「うん お願いします しかし大変だな」
「いつもの事よ 大丈夫」
「では 椿さんに合わせてください お願いします」
「うん 内藤社長にもよろしく」
「はい 伝えておきます では」
窓際で電話をしていたがソファーに戻ると由香里が
「そうすると 今夜も撮影するのね」
「うん ごめん 埋め合わせはするから」
「ううん いいの お仕事ですもの」
由香里は そうは言ったものの ここでの夜景を
神山と楽しめない事に残念がっていた
ドアがノックされたので部屋のモニターで見てみると
先ほどの女性従業員がコックを連れて部屋の前にいた
ドアを開けると女性従業員が
「神山様 大変お待たせいたしました
只今から昼食の準備をさせて頂きます 暫くお待ちください」
そう言うとダイニングテーブルに神山たちを案内し
コックに料理を並べるよう指示した
並べられたものはいずれも魚と地元の野菜類だったが
食をそそる料理ばかりだった
「申し遅れましたが 私はこちらの建物の
グランドマネージャーを務めます桜川 亜矢子と申します」
「どうもありがとう」
由香里も気品ある上品な女性に軽く会釈をした
神山は桜川の胸についているネームプレートを見て
「桜川さんは グランドマネージャー 凄いですね」
「はい」
「そうすると この建物の総責任者ですか」
「ええ 一応そうなっております」
「では 宜しくお願いします」
「はい かしこまりました」
挨拶が終るとコックが料理の説明をしたが神山は
桜川の容姿に見とれて説明が頭の中に入らなかった
(素晴らしい 由香里と祥子を足して割ったようだ)
由香里が気が付きこちらにきついまなざしを向けてきた
一通り説明が終った所で
「なにかご用向きがございましたら 
内線の7200までお願いします」
「はい わかりました」
神山が鼻の下を伸ばした顔で言うと 由香里が
「済みませんが 御殿場駅に現像済みフイルムを
取りに行って頂けますか」
「はい かしこまりました 預かり書のような物はございますか」
由香里は席を立ち 店で貰った半券を渡した
「では 18時過ぎに受け取りに行ってきます」  
「料金は今渡しておきますのでお願いします」
神山はジャケットからお金を取り出し桜川に渡した
桜川はどうぞごゆっくりお召し上がりくださいと言って
部屋を出て行った
「なによ あのだらしない顔は きらい」
「なにを怒っているんだよ」
「だって でれでれしていたでしょ」
「そんな事は無いよ 普通だよ 由香里の思い過ごしだよ」
「ば~か 分っているんだから」
「そんなに怒らないで さあ 乾杯しよう」
由香里はこの場で余り怒っても得策でないと考え
「では 乾杯ね」
「しかし 昨日から魚ばかりだね」
「そうね でもお肉を頂くより健康にはいいでしょ」
「何を怒っているんだよ」
「怒ってなんていませんよ」
神山はわざと空になったコップを突き出し
「おねがいします」
由香里はくすっと笑ったが きつい口調で
「二度とだらしない顔しないでね 分った」 
「分った」
突き出されたコップにビールを注ぎ自分もコップに注ぎ呑んだ
「ねぇ このビールを買って 家で呑みたいから」
「うん分った 僕も買うよ 美味しいもん」
並べられた料理にはお寿司も入っていた
「だけど ここでお寿司が味わえるなんて思っても見なかった」
由香里が
「ここのはここの美味しさがありますよ 築地とは違うわ」
「そうだね ご飯とかも違ってきているからね」
「でも あきない味だし おいしいわ また太るわ」
「そんな事 ないでしょ」
由香里と神山はそんな話をしていると1時を過ぎた
桜川がデザートを冷蔵庫にしまったのを思い出し
「はい あなた デザートですよ」
「わぁ 生クリームのデザートですか」
「おいしそうよ いやね」
由香里は目の前のデザートを美味しそうに食べた
海側のガラスを開けている為 心地よい風がふたりをなでた
由香里がお茶を用意しているときに後ろから抱き寄せ
Tシャツの上からバストを触った
由香里は
「そんな場合じゃないでしょ」
きりりとした目付きで神山をみた
仕方なくソファーに座り タバコを吹かした
優しい風に神山の髪がなびく姿に由香里は心を吸い寄せられた
「はい お茶 素敵よ今のあなた」
「ありがとう」
「ほんとよ」
由香里は神山の脇に行きキスをするが
神山はそのままタバコを放さなかった
「なに怒っているの これから仕事でしょ」
由香里はジーンズのベストを羽織って撮影の準備を始め
重たいジッツオの三脚は神山が持つ事になり部屋を出た
グランドフロアのエントランスに着きソファーに座っていると
椿総支配人と桜川グランドマネージャーがこちらに向かってきた
「どうでした 昼食はお口に合いましたでしょうか」
「ええ ごちそうさまです 美味しく頂けました」
「それは良かったです さて撮影ですが一応桜川君に
指示はしておきましたが 神山様のほうでご提案があれば 
お願いします」
「はい 分りました」
由香里が撮影を始める前にホテルの案内図を欲しいと申し出た
「はい では只今ご用意いたします」
桜川は胸の小さなマイクに向かって指示を出していた
よく見てみると片方の耳に黒いコードが這っていて
そのコードは腰につながっていた
カウンターから案内図が届けられると
由香里はカメラにフイルムを入れ三脚に取り付けスタンバイした
「では お願いします 桜川君頼むよ」
椿総支配人はそう言うとカウンターに戻り控え室に消えた
「では まずこちらからお願いします」
桜川はサインを設置したい希望個所を案内していった
由香里はその場所を案内図に書き込み撮影個所も書き込んでいき
3,4箇所の候補を撮影し終わるともう2時になっていた
「こちらの希望個所はこれでお終いです あと神山様の
ご提案場所があれば お願いいたします」
神山はどうしても気になる場所が2個所があったのでお願いした
由香里も気が付いたらしく
「そうね あそこは目立つし 夜の案内もいいわね」
「そうだろ では行こうか」
神山は由香里と桜川を連れて撮影を開始した
「あと 斉藤さん カウンターからエントランスの写真と
その逆 そして車付けの写真も大丈夫?」
「ええ フイルムは大丈夫よ」
「そうしたら その場所もお願いしようかな」
「はい 分りました」
由香里は三脚とカメラは神山に持たせているので
ホテルでの撮影は肉体的に楽だったが
全ての撮影を終ると緊張していたのか心地よい疲れが襲ってきた
桜川とエントランスに戻ると椿総支配人が待っていた
「どうもありがとうございます どうぞお掛けください」
由香里と神山はソファーに腰掛け疲れを癒した
早速 桜川が地ビールを用意し今回は桜川もソファーに座った
桜川が椿に追加個所の件を話すと
「それは いい考えです 思いつきませんでした」
「いや そんな事は無いですよ」
「そうしましたら アルタさんのデザインが楽しみですね」
「そうですね」
「それと神山様 恥ずかしいのですが今回の謝礼でございます」
「そんな ねえ斉藤さん」
「そうですよ 受け取るわけには」
「しかし 今回は私どもの仕事ですし 少ないですが」
「はい 分りました 頂きます」
「良かった では桜川君 お二人とお部屋まで行ってくれ」
「はい 分りました」
神山と由香里は出されたビールを呑み椿に会釈し部屋に戻った
桜川が
「夜の撮影は何時からされますか」
「うん 実は室内は何時でもいいのですが
外景が映る所は薄暮も狙いたいと思っているのですよ」
「そうですね よく他のホテルの写真でも見かけますよね」
「今の時期だと夕焼けは4時30分頃からですよね」
「ええ だいたいその頃だと思います」 
「そうしたら 斉藤さん4時30分にスタンバイ出来ますか」
「ええ 大丈夫ですよ」
「では4時過ぎに先ほどの場所でお願いできますか」
「はい かしこまりました お待ちしています」
神山は桜川が丁寧にお辞儀をしたとき
ブラウスから覗くバストに目がいった
由香里は部屋の扉を開ける準備をしていたので気が付かなかった
部屋に入り神山が白い封筒を由香里に渡すと
「凄いわね また貰えるなんて」
「由香里の努力ですよ」
「そんな事は無いわ あなたの高名でしょ」
白封筒を開けると20万円が入っていた
「えぇ 信じられないわ 私頂けないわ」
「そんな事無いよ 貰っておけば」
「そうしたら 2人で半分づつしましょ ねっ」
「うん いいよ」
「ちょっと待って まだ何か入っている」
由香里が調べてみると ここの宿泊無料券が入っていた
今回貰ったチケットはスイートとスタンダードの中間に位置する
プレミアムだがそれも最高のプラチナプレミアムだった
10枚つづりのチケットが手に入ったが
「こんなに頂いても あなたと一緒じゃないとつまらないわ」
「そうしたら お母さんを連れてこいよ」
「だけど こんな山奥まで来るかしら」
「いいじゃないか たまには親孝行するのも」
由香里は封筒にまだ何か入っているので見てみた
名刺大のプラチナメンバーズカードが入っていた
このカードはプラチナプレミアム宿泊無料券と違い
基本的にスイート宿泊でアウトシーズンなら何泊でもOKだった
ショッピングモールや飲食店での10%OFFの特典もついていた
「すごいわ このカードは皆の憧れよ 凄い」
「そうしたら そのカードも君が持っていればいいよ」
「いえ あなたが持っていれば 素敵よ その方が」
「まあ どちらにしても大変なものを頂いたわけだ」
「そうよ あなた凄いわ」
「そうしたら 少し昼寝をしようよ 夜も大変だから」
「そうね 私は三脚を担がなくてらくですけどね」
神山は先に裸になり バスルームに行きシャワーで躰を流した
由香里もバスルームに行きたいが
「ねぇ あなた 絶対にこちらを見ないでね」
「うん 分ったよ 見ません」
「私が脱いでいるところを見たら お預けですからね」
神山は浴槽に湯を張り躰を静めた 
浴槽はスイートルームらしく大人二人が入っても充分な大きさだった
手足を伸ばし湯に浸かっていると由香里がシャワーを浴びだした
神山はわざと見ないで自分の体をもてあそんでいると
由香里が浴槽に入るなり神山の足を肩に掛け座った
神山の躰が V字型になり不安定になると
由香里の手が腰を持ち上げ おちんちんを水面から出し
まだ元気の無いおちんちんを咥え込むとゆっくりと上下に動かした
由香里が暫く動かしていると段々と逞しい形になってきた
神山の手も由香里の秘所を探り当て愛撫を開始した
由香里も充分感じぬめりのある体液を溢れ出し
神山も充分な硬さになったので我慢できずに
「由香里 欲しいよ」
由香里をバスからだし縁に立たせるとそのまま交わった
由香里の両手は神山の首にしかっりと巻きつかれ
神山は腰と背中を抱きかかえながらの体制だった
由香里はもっと深く欲しくなり自分から躰をほどき
縁に手をついてお尻を突き出す格好で肉棒を向い入れた
由香里の膣も感じてきたのかどんどん締め付けがきつくなり
神山はあえなく発射してしまった
由香里がお尻を動かしているので暫く
そのまま抜かずに突いていると昇天した 
「由香里 うれしいわ こんなに一杯」
「僕もだよ 由香里」
「でも 早く出て 遅いお昼寝をしましょ」
「そうだね」
「私 さっき気がついたんですが ベッド」
「そうだね スイートだったら ダブルだよね」
「そう ツインになっているでしょ」
「多分 ホテルで気を使ったんだよ」
由香里がバスタオルで体を拭き終わると神山の体を吹き始め 
正面を向くと跪き神山の肉棒をちょろとなめ
「ごくろうさん」
と言って手をつなぎベッドに入った
サイドテーブルにある時計を見てみると3時になっていた
目覚ましを1時間後にセットして目をつぶり眠りに入った

ゴテンバ グランド イン が忙しくなる時間だった
宿泊客がショッピングモールを利用したり
エントランスではビジネス商談が行われていたり
観光客が寛いでいたりと人でごった返していた
神山はそんな中で撮影をするのはどうかと考えたが
人が少ない屋外の風景からから撮影をすれば
迷惑にならないだろうと考えていた
由香里は人の流れを見ていて7時を過ぎれば少し落ち着くと見ていた

「お待たせいたしました」
桜川が丁寧にお辞儀をしソファーに腰掛けた
「今日の夕日は大変綺麗な夕日になるそうです」
「ありがとうございます」
「では早速 撮影場所に行きましょう」
薄暮の撮影は時間が限られる為
事前に準備しスタンバイしていないと
狙ったとおりの写真は撮れない
桜川を先に由香里と並んで撮影現場に向かったが
彼女のお尻は外人のようにぷりっと上を向いて形良かった
そのお尻が歩くたびに左右にゆれるのでたまったものではない
由香里に気が付かれない様 時々天井に目をやったりしごまかした
撮影場所についたときは夕日はまだ残っていて
カメラなどの準備に余裕が出来た
「日中の場所より少しずらします」
「どうして」
「建物と薄暮のバランスを考えるとここの方がいいと思います」
神山はセットされたカメラのファインダーを覗き込んだ
なるほど由香里の言うとおりこの場所がいい事を確認した
由香里は慎重にアングルを決めると 撮影を始めた
段々と空の色が綺麗な薄暮色になるとシャッターをひんぱんに押した
日が沈み込み完全に夜の景色になったが由香里は
最後の一枚を慎重に撮影した
ホテル内に戻ると先ほどと違い静かになっているところで
日中撮影した場所に行きスローシャッターで撮影した
由香里は神山に
「あそこの光が綺麗でしょ 撮影しておきますか?」
「凄いね 僕も考えていたんだよ お願いします」
由香里は神山と意見が一致した事で喜んでいた
全ての撮影が終ると 19時を廻っていた
桜川も緊張していたのか 安堵の表情をみせた
「皆様 お疲れ様でした ありがとうございます」
神山が皆に挨拶をした
桜川がエントランスのソファーで休むように勧め
小さなマイクで終了を伝えた
三人がソファーで休んでいると椿総支配人が紙袋を持って現れた
「どうも急な撮影をして頂きましてありがとうございます」
「とんでもないですよ ねえ斉藤さん」
「ええ こちらこそありがとうございます」
「私どもスタッフがカメラ屋に行きフイルムを預かってきました」
「ありがとうございます」
神山は受け取ると由香里に渡した
由香里は早速フイルムを取り出し見てみた
神山も覗き込んだがこれだけ撮影をしておけば
色々と使い勝手がよく問題ないだろうと思った
椿が夕食のことで聞いてきた
「神山様 ホテル内の飲食店にされますか
それともお部屋でされますか」
神山は横を向いて由香里を見てみると
「お部屋ではなくて ホテルの中で探したいわ」
「かしこまりました どうぞごゆっくりしてください」
「はい ありがとうございます」
「では 桜川君 後をお願いしましたよ」
「はい 承知しました」
「では 失礼させて頂きます」
椿は神山達に挨拶をするとエレベーターに向かっていった
「神山様 お食事などご利用の会計伝票に
お部屋番号の所には【S-7200】とご記入ください」
「了解です 後で清算ですか?」
「いえ 全てサービスをさせて頂きます」
「えっ どうもありがとうございます」
「とんでもございません ごゆっくりお召し上がりください」
「あと伺いたい事があるのですが」
「どんな事でしょうか」
「先ほど頂いた カードですが今日から使えますか?」
「はい 勿論でございます
お買い物のご清算のときにカードを提出してください」
「分りました ありがとうございます」
桜川は失礼しますと深々とお辞儀をしカウンターに戻った
神山は桜川がお辞儀をしたときにブラウスから
覗いた白い乳房を脳裏に焼き付けた

由香里と二人で部屋に戻ると疲れが押し寄せてきた
「由香里 何を食べようか?」
「ここに料理店の案内があるわ 探しますね」
神山も由香里の脇に座り覗き込んだ
「ねぇ お魚ずくしだったから お肉にしましょうか」
「そうだね ステーキと焼肉どちらにする?」
「私 ステーキが食べたいわ あなたは?」
「僕もそうする 御殿場牛って聞いた事無いけど、、、」 
「以前本で紹介された時は 
とろけるように美味しいって書いて有りました」
「よし そうしよう 決定」
神山は由香里のバストを優しく触った
「何しているの おなかぺこぺこ さあ いきましょう」
部屋を出てエレベーターで3階に着くと直ぐに分った
二人は予約をいれていなかったが 席が空いていたので案内された
窓際の席からは日本庭園が見えるようになっていた
ウエイトレスがメニューを持ってきたので 
由香里と眺めているとき携帯電話がなった
「アルタの高橋ですが いま良いですか」
「はい どうぞ」
「先ほど 椿総支配人からお褒めの電話がありました」
「へぇ よかったね」
「うん 山ちゃんの株が又上がったよ」
「それは ありがとう しかしカメラマンがしっかりしているから」
「まあ それはそれとして 社長も金一封だって」
「いいよ 一杯貰っているから」
「いま どうしているの」
「これから 夕食ですよ」
「あっ ごめんなさい では 明日」
携帯で連絡を取っている間に由香里はビールを注文したらしく
「では お仕事ご苦労様です」
「はい あなたのお役に立てて嬉しいわ」
「乾杯」
由香里は最上級から一つしたのステーキを頼んだ事
ワインもワンランクしたの赤を頼んだ事を告げた
「そんな 遠慮する事無いじゃないか」
「だって がつがつするの嫌いです」
「そうだね」
由香里と話している時に後ろからウエイトレスが
「神山様ですか」
「はい 神山ですが」
と答え きょとんとしていると
「どうぞ こちらのカウンター席にお移りくださいませ」
「えっ いいの カウンターに移っても」
「はい こちらでお食事をお願いします」
「よかったね 斉藤さん」
「ええ 嬉しいわ 温かいものが頂けるのって」
由香里と神山は案内されたカウンターに座った
テーブル席より床が一段高くなっているので
調理している所が良く見えた
鉄板には野菜類が並べられて いつでも焼けるようになっていた
オリーブオイルをたらしヘラで伸ばすと野菜を一気にかき混ぜ炒めた
2本のヘラは無駄な動きが無く
火が通った野菜を直ぐに神山たちのお皿に盛られた
熱い野菜を口にしている時にウエイトレスが赤ワインを持ってきた
「今夜のワインはこちらの赤ワインです」
由香里がラベルの違いに気が付くと
「はい 総支配人からのプレゼントです」
ウエイトレスがワイングラスに少量そそぎ味見をそくした
少しほろ苦く酸味がありしかし飲みやすかった
「ありがとうございます これを頂きます
それから チェイサーもお願いします 氷入りで」
「はい かしこまりました」
由香里が目を丸くして
「どうしたの 私たちの場所が分ったのかしら」
「うん まあ余り詮索しないで 食べようよ」
「そうね」
「しかし 今回由香里と一緒でお金もちになったよ」
「そうね わたしもお小遣いが出来たわ」
「何に使うの?」
「うん レンズでも買おうかな」
「洋服は?」
「うん いらないわ」
「だけど 女性は何着有っても良いでしょ」
「そうだけど 通勤で着る物はもう一杯だし いらないわ」
話をしながら野菜を食べていると 魚介類を鉄板で焼き始め
ときどき高いところから塩を落とし
2本のヘラで裏返し二人の皿に盛付けた
ホタテの貝柱はバターで焼き同じように盛付けられた
口の中に入れるとジューシーで甘かった
車えびも焼き加減がよくおいしく食べられた
由香里の謙虚さにひかれ昨年はクリスマスまで付き合っていたが
今回市川の件が誤解であった事でますますひかれるようになり
由香里が居なければこんなに大金を手に出来なかったと思った

「何考えているの」
「ううん 由香里の事を疑って悪い事をしたと思ってさ」
「そうね しかし誤解されるような事をした私もいけないわね」
「そうか、、、だけどさ 信じていなかったからな由香里の事」
「そうよね 何も無ければ疑われてもしょうがないわよね」
「結局はお互いの信頼感だろうと思うけど」
「そうね 難しいわね 女と男 って」
難しい話をして赤ワインが無くなったのを気が付かなかったが
「どうぞ 神山様 同じワインをご用意させて頂きました」 
「ありがとうございます」 
由香里と神山は取り皿に盛られている魚介類を口に運んだ
二人はワインを口にしながら魚介類を平らげると
コック長はステーキを焼き始めた
霜降りを焼いているコック長から
「焼き具合はどうされますか」
「ミディアムでお願いします」
「神山様も ミディアムでよろしいでしょうか」
「ええ お願いします」
コック長は塩を高いところから振りかけたりしながら調理を終え
二人の皿に盛り付けして渡した
口に入れたときからとろけるように美味しかった
由香里も本で紹介されているとおりの味なので満足した
美味しい食べ物はすぐに無くなり最後のガーリックライスになった
これもガーリックが効いているが苦味が無く美味しく頂けたが
赤ワインは半分くらい残ってしまいこれ以上は呑めなかった
ウエイトレスが由香里の脇に来て
「どうぞデザートです」
フルーツとアイスクリームのデザートを用意してくれた
ゆっくりと食べ味わったので客の半分以上は入れ替わっていた
デザートを食べ終わると伝票にサインをして後にした
同じフロアにはショッピングモールが設けられていたので
「ウインドーショピングでもどうですか」
「いいわね 見ましょ」
銀座では余り見かけないブランドが入っていて由香里は嬉しかった
週刊誌などで紹介されたものが陳列されていると
「写真より実物のほうが全然良いわね」
実物を見て 触って頷いていた
ひと回りするとさすがに疲れたのか
「お部屋に戻りましょ」
由香里の疲れは緊張もあったのだろう少し元気が無かった

部屋に戻ると神山に
「ねぇ シャワーを浴びましょ 一緒に」 
由香里は早速着ているものを脱ぐが
下着だけつけてバスルームに入った
神山もすぐに脱ぎバスルームに入ると
「ねぇ 今は何もしないで ねぇお願いだから」
「どうしたの?」
「だって 出た後フイルムを検査しないといけないでしょ」
「そうだね 分ったよ」
由香里の体をボディーシャンプーで優しくなでていると
少し喘いできたので 乳首を優しく触ったりつねったりした
神山の下半身も元気になり 由香里のお尻に押し付けた
「ねえ だめって言ったでしょ~」
普段の由香里でない声で話し掛けてきた 
構わずに秘所をまさぐると躰を動かし始めそのうちに腰を振ってきた
神山は更にクリトリスを責めると躰を前かがみにしながら
「だめって言ったのに あっ だめっ」
相当感じているのだろう ぬめりのある体液が溢れ出てきた
「ねえ~ 本当にだめ~ 欲しくなるでしょ」
「正直なほうがいいよ」
そう聞いたとたんに由香里の手が神山の肉棒を掴み動かし始めた
神山はすぐに硬く逞しくなり そのまま由香里の中に入った
由香里は縁に手をついて腰を前後に激しく振った
「どうしたの由香里 そんなに早くては直ぐにいってしまうよ」
「いいわよ あなた 早くちょうだい」
喘ぎながら由香里は昇天したが直ぐに又 腰を振ってきた
神山も由香里の動きに負けない力強さでピストン運動をした
根本まで入ると由香里はときどき頭をそらせて喘いでいた
「ねえ 今日は凄く感じるの もっと奥までいれて」
神山は根元の更に根本まで突き入れると
由香里は躰全体で絞り出すような声をだし昇天してしまった
神山も由香里に合わせ発射した
「ねぇ 来ているわ あ・な・た・が、、、」
体を入れ替え神山が下になりそのまま余韻を楽しんだ






次回は8月1日掲載です
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2012年7月22日日曜日

若葉 3 - 10 Vol. 1



「由香里 そろそろ寝ようか」
由香里と神山はテレビで天気予報を放映していたので見ていたが
明日も晴れと予報が出たので安心した
「良かったわ 晴れで」
「だけど 御殿場では分らないから 余り安心は出来ないな」
「そうね あなたビールを呑みますか」
「そうだね では頂きますか」
由香里はテーブルにコップを用意しビールを注ぎ
「今日は ありがとうございます」
由香里は神山にお辞儀をしながら言った
「どうしたの 由香里姫」
「だって いいの、、、 私 洗濯するから見ないで」
「洗濯って 着替えは持ってきているでしょ」
「ば~か あなたが使えないようにしたのでしょ」
「なにを?」
「下着ですよ」
「あっ ごめん 僕が洗濯するよ」
「ば~か 何考えてんのよ 変態」
「そんな お詫びの気持ちを素直に表現しただけだよ」
「分ったわ 変態さん じゃましないでね すぐに終るから」
由香里は新幹線の中で一回履き替え 
旅館に来てもすぐに履き替えたので
予備が少なくなってきたので仕方なく洗濯をした
久しぶりの愛している人との旅行ともうすぐ生理からか
体調が不安定になっている事もあり下着を汚してしまった
由香里が部屋の中にある洗面台から戻ってきた
下着をバスタオルで挟みぱんぱんと両手で押し タオル掛けに干した
「ごめんなさい お待たせしました」
テーブルに戻ってくると ビールを呑んだ
「由香里の大事な処を覆っている物があんなに小さいのか」
神山はタオル掛けにちょこんと干されているショーツを見ていった
「そうよ 可愛いでしょ」
「うん 由香里が穿いた下着だと余計に可愛いな」
「何言っているの」
「今は 何色穿いているの?」
「ば~か 後で調べてください」
「あっ 忘れ物がある ちょと待っていて」
神山はアルタから渡された茶封筒を鞄からだしテーブルに置き
何も知らない事にして由香里を驚かせ喜んで貰おうと思った
由香里はきょとんとした顔で茶封筒をみた
「これはね アルタが撮影手当てでくれたものだ」
「撮影手当て?」
「そう 先日も話したが 御殿場の写真をアルタに提供するだろ」
「ええ 現場の写真は私 興味ないからフイルムごと渡すわ」
「アルタはその写真で色々と商用に活用するわけだ」
「そうすると私のフイルムを買ってくれる訳ですね」
「そう 購入分だけではなく 撮影代金も含まれていよ」
「いくら入っているの?」
「いや 僕はまだ数えていない しかし由香里のものだよ」
「えっ そんな 困ってしまうわ」
「だけど ここの分は引かせてくれ」
「ええ 構わないわよ」
由香里は茶封筒から一万円札を取り出し数えた
「凄いわよ 50万円入っているわよ」
「えっ そんなに入っているの 驚きだね」
「だけど 私は頂けないわ」
「だって 由香里が撮影したフイルムをアルタが買うのだよ」
「だけど プロの写真家じゃないし そんな期待されても困るわ
それに あなたと一緒だからでしょ このお金」
「そんな複雑に考えんなよ」
由香里は目の前の大金に対し困惑していた
「そうしたら 10万円は受け取りなさい」
神山は由香里が受け取りそうな額を提示した
由香里は10万円なら受け取ると言い素直に受け取った
残金を封筒に戻し御殿場の宿泊チケットを出した
由香里はチケットを手にとって見ると又 驚いた
「どうしたの ここのホテルでスイートって 凄いわ」
アルタが用意したホテルは
『GOTEMBA GRAND IN』だった
この『ゴテンバ グランド イン』は
客室こそ300室余りと少ないが
普通のゲストルームでも100㎡を超える広さが売り物のホテルだ
ゲストルームは4階がグランドホールになっていて
15階建てのホテルはくの字に建てられ壮大な白亜の姿は
御殿場の新しい名所になっていた
「凄すぎるわ ここに宿泊できるなんて」
このホテルは予約制で電話やインターネットでも受付しているが
なかなか予約が取れないことが人気に輪を掛け
お正月前後の宿泊は2年先まで予約で埋まっているほどだった
普段でもゴルフ場などスポーツ施設が近い事や
春夏秋冬の自然が満喫できる為 いつも満室状態だった
ここのオーナーは椿 秀介といい
アルタの内藤 一哉と慶応大学時代の同級生で
テニス部でも一緒に行動していた親しい仲だった
その様な個人的な繋がりの関係もありアルタはホテルの
内装工事を行い法人株主になっていた
神山はアルタの佐藤部長から聞いた話を伝えた
「それにしても 凄いわ」
「まあ 明日を楽しみにしましょう」
由香里は席を立ち神山に抱きついて来た
「由香里 向こうにいこう」
二人は抱き合ったまま布団に倒れこんだ
神山は旅館に来てから何回か発射していたが 大きくしていた
由香里が上になり元気になった肉棒を探り当て
「あらっ パンツはどうしたの」
「うん もう寝るだけだから 穿いていないよ」
「ふ~ん」
そう言いながら 肉棒を触りながらキスを繰り返した
神山も手を由香里の大事な処へ持っていくと
由香里もショーツを穿いていなかったので
「由香里も穿いていないよ」
「そうよ 嬉しいでしょ」
「うん すぐに触れるし」
由香里は上半身を起こし体勢をかえ神山の肉棒を咥えこんだ
神山の目の前には浴衣の乱れた所から由香里の秘所が覗いていた
由香里は膝を立て神山の口に秘所を押し当てた
「ねぇ いっぱいなめて」
頷く替わりに舌で可愛らしく覗かせているクリトリスを愛撫した
由香里は時々肉棒の上下運動をやめ苦しそうにあえいだ
口を離したときは指を使い上下運動をされると
神山も我慢出来なかった
「由香里 ほら下になって」
神山は由香里を優しく反転させ下にした
由香里は神山の顔を見ながら両手を上げ向かい入れる格好をした
神山は由香里に対し最初はゆっくり次第に早くしていった
由香里は何度めかの快楽を迎えるとぐったりとなった
神山も数回の発射をしていたので由香里に併せ横になった

11日 土曜日 快晴
波の音と差し込む朝日で目を覚ました
隣に寝ているはずの由香里がいないので 
浴衣を羽織 居間の座椅子に座りタバコを吸った
多分 化粧室に入っているのだろうと思っていたが
なかなか出てこないので見に行ったが居なかった
用を足し出ると物音が聞こえたのか
「おはようございます」
由香里の声が外の露天風呂から聞こえた
「おはよう 早いね 今 行くから」
「はい 待っています」
露天風呂には由香里が朝日を浴び気持ちよさそうに浸かっていた
羽織っている浴衣を脱ぎ由香里の目の前に行き
「あらためて おはよう」
「すわって あなた」
神山は言われる通り 縁に座ると
由香里が肉棒を湯で洗い流した
「はい いいわよ」
神山は由香里の隣に腰掛け湯に浸かった
「天気がいいと 気持ちがいいね それに一緒だと」
「ほんと あなたと一緒だと会社の事忘れるわ」
そんな話をしていると 部屋から
「おはようございます」
由香里が答えた 
「おはようございます 今 お湯を使わせて頂いています」
「ありがとうございます 熱かったら お水を足してください」
「はい 大丈夫ですよ」
「只今 朝食のご用意をさせて頂きます」
「はい 分りました」
「暫くお待ちくださいませ」
若女将はそう言って部屋を出たかと思うとすぐに朝食の準備をした
「早いね 朝食」
「なにを仰るの もう7時を過ぎていますよ」
「僕にとっては早いよ だけど来るタイミングがいいね」
「私が連絡をしたの」
「そうか ありがとう」
「だって 気持ちよさそうに寝ているから 起こせなかったわ」
「うん 昨夜は頑張りすぎたかな」
「そうね 私も凄く満足したわ あ・な・た」
神山は由香里の乳房を愛撫しようと触ったが ぴしゃりと叩かれた
「痛いな どうして」
「聞こえたら恥ずかしいでしょ」
由香里はわざと口を尖らせ ふんと言って横を向いてしまった
「神山様 朝食の準備が整いましたので
お食事の時にはベルを鳴らしてください」
「はい分りました どうもありがとうございます」
「それでは失礼します ごゆっくり浸って下さい」
若女将は襖を閉め出て行った

神山は由香里の乳首を優しく愛撫した
由香里は目を閉じこちらを向き 唇を突き出してきたので
神山は唇を合わせ抱き寄せた
由香里の両手は神山の首にまかれ体勢を変え
神山の上に乗る格好になった
両手で神山の顔をはさみキスを繰り返した
神山は片手で抱き寄せもう片方は大事な処を触っていた
由香里も片手を縁におきもう片方は肉棒を探し当て触った 
由香里はすぐに
「ねぇ もうだめ お願い止めて」
神山は手を止めると立ち上がり 縁に腰掛けた
由香里は目の前に聳え立った逞しい肉棒を咥えこんだ
神山は昨日あれだけ発射しているのにまだまだ元気だった
由香里の奉仕が続くと神山も我慢できなくなり
縁に両手をつかせ 後ろから交わった
由香里はなるべく声を出さないようにしているが
嬉しそうな喘ぎ声が漏れてしまう 
今までと違う喘ぎ声が神山を早くさせた
「ねぇ もうだめ 腰が動かないわ」
「がんばったもんね」
「いじわる」
由香里はようやく腰を引きその場で湯に浸かる格好になった
神山の肉棒がまだ衰えないのを見て
由香里の口が咥えこんだ
「だめだよ くすぐったいよ だめだ」
由香里は肉棒の周りを綺麗に嘗め尽くすと
「おいしい 最高の朝食よ」
「分ったから 離しておくれ」
由香里はようやく神山から離れると
「さあ お食事を頂きましょうか」

先に湯から上がるとバスタオルで躰を隠し部屋に戻った
神山も体を拭き終えると浴衣を羽織って部屋に入った
由香里は布団の傍に置いた浴衣を羽織 テーブルについた
昨夜の地元料理も豪勢だったが 朝食も豪勢だった
地元の魚から旬の野菜が並べられていた
「わぁ どうしよう 太っちゃうわ」
「凄いね 食べきれないよ」
「ビール呑むでしょ」
由香里は冷蔵庫からビールを出しながら呼び鈴を鳴らした
若女将が暫くして襖を開け入ってきた
「如何でしたか 朝のお風呂は」
「ええ 朝日を浴びながら入るのは贅沢ですね」
「夜空の星天井を見ながら入るのもよかったわ」
「それは良かったです 気に入ってくださいまして」
若女将は昨夜の小さな七輪に火を入れ
墨に火が廻るまで内輪で風を送った
火が立ち上ると下の口を少し閉じ火力を調整した
若女将は
「温かいものは お客様の前で作るのが美味しいですものね」
そう言いながら 魚を焼きはじめた
由香里が
「あの 後は私がしますから お忙しいでしょうから」
「ええ ありがとうございます お魚だけは焼いていきますね」
「すみません」
「お魚は焼き方が難しいので、、 私も失敗していますのよ」
若女将は焼き魚のほかに焼いて食べるものを
由香里に説明していた
焼きあがると 取り皿に盛付け部屋を出て行った
若女将から教えられたとおり食材に火を通していった
二人は今日の予定や御殿場の話しなどをしているうちに
朝食を食べ終えた
「そうそう 忘れる所だったわ」
由香里は自分のバッグから茶封筒を取り出し神山に手渡した
「なに」
「今回の出張前借金よ」
「なに それ」 
「部長になると出張経費が事前にもらえるのよ」
「へえ そうすると交通費とか宿泊代とかも貰えるの」
「そうよ それと部長になると出張手当てがすごいの」
「そんなに凄いんだ」
「だって 課長で7千円でしょ 部長は3万円よ」
「すごいや」
「それから宿泊代も無制限だから
といっても一泊5万円までOKかな」
「それも凄いね」
「だから 宿泊を3万円程度のホテルにしておいたわ」
「領収書はどうするの」
「結果報告書に記入するだけだからいらないわよ」
「へえ 課長と部長だと大違いだ」
「そうよ それに交通費だって タクシーが認められているもの」
「それも記入するだけでいいの」
「そうよ」
「しかし 悪用するのも出てくるんじゃないか」
「そうね あなたが銀座に来る前にやめた塩谷部長がそれで解雇よ」
「へえ そうすると 僕なんかやばいじゃん 今夜のホテル」
「ううん 大丈夫よ地域名しか書いていないから 
それに3万円だもの」
「大丈夫かな」
「私が 報告書を書くのよ 大丈夫に決まっているでしょ」
「わかった ところでいくら入っているの」
「交通費と宿泊代ともろもろで14万円入っているわよ」
「えっ そんなに貰っていいの」
「ええ だから部長さんはいいでしょ」
「そうだね ありがとう」
神山は由香里を抱き寄せキスをした
「さあ 仕度をして写真を撮りに行きましょうね」
「そんな」
「何言っているの アルタのお仕事も兼ねているのでしょ」
「それはそうだけど」
「はい では仕度をしましょう あなた」
由香里は神山の手を取って立ち上がらせた
もう一度由香里を抱き寄せようとしたが くるりとかわされた
神山も着替えを始め出発する準備が整うと
由香里も薄化粧を済ませ仕度ができたと言った
部屋を見渡し 神山はタオル掛けに由香里のショーツを見つけた
「由香里 これ忘れ物」
「わぁ 恥ずかしい 何やっているの早くちょうだい」
わざと由香里の目の前でぶらぶらさせたが直ぐに返した
「嫌だわ 若女将に見られたわね」
由香里は顔を真っ赤にし俯いてしまった
(なんで 忘れたの おばかさん)
「さあ では出かけましょうか そろそろ9時だし」
神山は電話で出発する事を告げ 熱海までのタクシーも頼んだ
玄関脇にある受付で会計を済ませると タクシーがすぐにきた
若女将が 
「またのお越しをお待ち申し上げています」
丁寧にお辞儀をすると 仲居達もお辞儀をし送ってくれた

タクシーの窓を開けると海の香りがして気持ちよかった
「今日は これから三島まで新幹線でしょ」
「うん その後は沼津まで行って御殿場線で御殿場だよ」
「随分と大変な所ね 御殿場って」
「だけど アウトレットは東名高速の御殿場インターから
すぐと言っていたよ」
「そうなの」
「それに オープンしたら御殿場駅と会場は無料の
シャトルバスが1時間に何回も出るそうだよ」
「そうよね でないと集客が大変よね」
そんな話をしている間に熱海駅に着いた
神山はみどりの窓口に行き新幹線の乗車券を購入した
こだまが直ぐにあるというのでグリーン車にした
「由香里 こだまが直ぐに来る 急ごう」
「はい 分りました」
改札を入ると小走りで新幹線の改札に向かい
階段を上りきった時に入線してきた
丁度グリーン車のドアに近いところだったので
今度はゆっくりと乗車する事が出来た
普通席は昨日同様7割がた埋まっていたが
グリーン車は空いていた
席に落ち着いて座って暫くすると三島に着いた
ここで東海道線に乗り換え沼津駅で更に御殿場線に乗り換えた
熱海駅を出てから約1時間で着いた
もっとも連絡が悪いともっと時間がかかりそうで
やはり不便さは隠せなかった
「さあ 御殿場駅ですよ ここから写真を撮りましょうか」
「はい わかりました」
神山は由香里に指示すると駅売店で使い捨てカメラを購入した
「僕も参加するよ」
「わぁ 驚いた あなたも写真撮るの」
「うん なんだか由香里だけだと可哀相だから」
「嬉しいわ そのカメラも良く撮れるのよ 馬鹿に出来ないわよ」
「へぇー このおもちゃが へぇー」
二人は御殿場駅周辺を撮影し終えると 客待ちのタクシーに乗車し
アウトレットの現場に向かった
運転手が
「お帰りは どうされますか?」
「えっ なんですか」 
「ええ まだ何も無い所で バスも無いんですよ」
「凄い所に来ちゃったな」
「そうしたら タクシーも呼ばないと来ないよね」
「ええ 工事関係者の方はそうされています」
「分った では帰りに呼ばせて頂きますよ」
「では この番号に電話をしてください」
「はい それで呼んでからどの位で来て頂けるのかな」
「そうですね 車があれば2分くらいで来ますよ」
「早いですね」
「営業所を傍に作ったもんですから 早いです」
アウトレット現場までは15分くらいで着いた
会場は申し訳なさそうな小さな柵で仕切られていたが
所々に本格的な背の高い工事柵が設けられている
これから重作業機が入ってくるのか小さな柵から
本格的な作業柵に取り替え作業が行われていた
正面の工事関係者出入り口にガードマンが配置されていて
入場者のチェックをしているので
神山はアルタの会社名を名乗って入場した
全体を見渡していると由香里が
「ここから写真撮影していきますね」
「うん お願いします」
由香里と話をしていると携帯がなった
「アルタの高橋です おはようございます」
「神山です おはようさん どうしました」
「急で申し訳ないのですが 現場の仕事が増えました」
「えっ 良かったじゃない」
「そこでお願いがあるのですが いいですか」
「うん 何?」
「実はサイン関係の仕事が急に入ったので
撮影場所を増やして欲しいのですが」
「うん いいよ」
「今 どちらですか」
「アウトレットの現場ですが」
「あの~ 御殿場の駅周辺のスナップ写真と
ホテル グランド インの内外を追加して欲しいのですが」
「ああ 御殿場駅周辺は撮影したよ」
「さあすが~山ちゃん ではホテルには椿オーナーが
いらっしゃいますので聞いて頂けますか」
「ええ 分りましたよ」
「チェックインはいつでもOKだと言う事です」
「分りました ありがとさん」
「では 写真撮影 お願いしますね
それから 追加分は又 後日お渡しします」
「いいよ そんな 彼女も充分満足している」
「では いい写真をお願いしますね」
神山は高橋からの電話内容を伝えると困った顔になった
「外で撮影している分には余り関係ないけど
室内のときは三脚が必要になってくるの」
「ああ ぶれないように?」
「そうなの だけど今日は持参していないから困ったわ」
神山は由香里から言われた事を携帯で高橋に伝えた
「そうしたら ちょっと待っていてください PCで調べます」
高橋はインターネットでカメラ屋を探した
「ありました 御殿場駅の直ぐ傍に大きいカメラ屋がありました」
「おお 良かった」
「そうしたら山ちゃん 悪いけど領収書で買ってきて」
「うん分った」
「丈夫なのを選んでね」
「うん 彼女に任せるよ」
「その三脚 彼女にプレゼントする」
「分った ここの撮影が終ったら御殿場で買い物するよ」
「では お願いします」
高橋が言って来た事を由香里に伝えるとほっとした顔になったが
「だけど三脚ばかりそんなに必要ないわ」
「まあ いいじゃないか」
「まずはここの撮影を済ませましょうね」
「そうしよう」
由香里は暫く撮影するとフイルムを取り替えた
場所を移動しては周りの風景を撮影し
フイルムを取り替えて撮影作業を繰り返した
神山も自分なりの感覚で撮影に熱中していると 由香里の姿が
見えなくなり探すと はるか離れた所から由香里が手を振った
神山も小走りで由香里の居る場所まで行った
由香里は随分と撮影を行ったと言い
「もう 殆どからの場所から撮影したわ」
「凄いね 早いや ほんと」
「だって このような記録写真は基本を決めると簡単よ」
「由香里 凄いね こんど教えてくださいね」
「いいわよ あなた」
由香里は神山に軽くキスをした

神山も撮影を終えたので携帯でタクシーを呼んだ
「はい分りました 直ぐに伺います」
神山たちは正面ゲートから一番離れた所に居たので
ゲートに着いたときはタクシーが待っていた
「御殿場駅のカメラ屋に行ってください」
「はい 駅前の大きいカメラ屋でいいですね」 
神山は頷き由香里を見てみると疲れたのか頭をもたれてきた
時計を見てみると11時30分になっていた
1時間余り集中し 大変だったのだろうと優しく肩を抱き寄せた
神山も少し目をつぶっていると運転手が着いた事を知らせた
「ありがとう」
清算すると目の前には3階建てのカメラ屋があった
今朝 来た時は気が付かなかったが駅前にあった
由香里は先に店内に入り三脚コーナーを探した
三脚にも色々と種類があって
コンパクトカメラ用 35ミリフイルムカメラ用あと
中判カメラ用と揃えてあった
由香里は自分の持っている三脚がしっかりした中判用があるので
同じような三脚を購入するのは渋っていた
しかしある程度の頑丈さがないと三脚の役目を果たさないし迷ったが
由香里は『ジッツオ』の三脚を選び決めた
随分と大きいがこれならしっかりしていそうだと思った
神山は清算するときに
「領収書はアルタでお願いします」
と言い 三脚を受け取った
買い物が済むと 現像コーナーに立ち寄った 
由香里は係りの人と話を終えると神山に
「ここの現像は ポジフイルムでも4時間で現像が出来るんだって」
「うん 早いな そうしたら
由香里のポジフイルムを出しておけばいいよ」
「そうよね 失敗していたら明日があるものね」
「そうすると夜 受け取りに来なければいけないね」
「そうね お仕事だからしょうがないわよ」
由香里は今日撮影したポジフイルムと
神山の使い捨てカメラの現像をお願いした
閉店時間は20時までで 夕方持込の人は明朝渡しになると言われた
二人は今日の仕事を半分終えたので一安心し表に出た
「さてと お昼ご飯をどこで食べましょうか」
「そうね それよりホテルでゆっくりしましょうよ」
「そうだね 社長も待っていることだし」
「そうよ」

由香里がカメラの入ったリュックをさげ駅に歩き始めた
神山も由香里の後を追って駅に向かった
タクシーが並んで乗車待ちをしていたので乗り込み
「ゴテンバ グランド イン までお願いします」
「はい 分りました」
タクシーは先ほどの現場とは反対の富士山に向かった
距離的には同じようだったが早く着いた
タクシーを降りると目の前には白亜の建物が迫ってきて
入り口に待機していたボーイが丁寧にお辞儀しながら
「お疲れ様でした カウンターまでお供させて頂きます」
そう言うとしゃれた手押し車を用意し手際よく積んだ
中に入ると驚いた事に中庭があってさんさんと太陽がさしていた
吹き抜けの脇にエレベーターがあり 4階まで上った
グランドフロアに着くと正面にカウンターがあり
神山達が進むと皆お辞儀をして向かいいれた
神山はアルタから貰った宿泊券を示すと従業員が
「少々 お待ちくださいませ 椿を呼んでまいります」
カウンターボーイはすぐさま電話し
「神山様 ご一行がお見えになられました」
指示を受け頷き受話器を置くと
「神山様 どうぞこちらへお願いします すぐに椿が伺います」
そう言うと窓際の景観がすばらしいエントランスに案内された
直ぐに女性従業員がお茶と和菓子を用意した
神山と由香里は 窓から見える景色に今日の疲れを癒していた
「神山様 遅くなりました こちらが椿でございます」
神山と由香里はソファーから立ち上がり 軽く会釈をした
二人は儀式の名刺交換をした
「神山様の事は 内藤社長から伺っています」
「いえ そんな大した事はしていないですよ」
「いえいえ 部長ご昇進おめでとうございます」
「いや 早いですね」
「ええ 彼とは今でもお付き合いをさせて頂いていますから」
「そうなんですか」
「まあ お座りください お飲物は何になされますか」
「そうしたら 斉藤さんどうしますか」
「私は このままで」
「そうしたら 咽が渇いてしまったので ビールを頂けますか」
「はい かしこまりました」
椿は後ろに控えている副支配人にビールを指示した
「申し送れましたが 彼が副支配人の橘と言います」
「神山様 いらっしゃいませ 副支配人の橘です」
橘は由香里と神山に向かって深くお辞儀をした
「この度は 内藤社長のお仕事で大変ですね」
「いえいえ 私は何もしていませんよ」
「ご謙遜を 伺っていますよ 上原の件も」
「いや 参りましたね 情報が筒抜けですね」
先ほどの女性従業員がグラスビールをテーブルに置いた
神山は椿に礼をした後 ビールを口にした
「美味しいですね どこのビールですか」
「さすが 神山様ですね こちらは当社のオリジナルです」
「やっぱり ホップが利いていて咽越しがいい 美味しいですよ」
「お褒めに預かりましてありがとうございます 斉藤さんもどうぞ」
由香里は神山が美味しそうに呑んだのを見て
「頂きます」
由香里も半分くらい呑み
「凄いわ 美味しい ありがとうございます」
「お二人に誉められて 光栄です」
「いえ 本当に美味しいですよ」
「神山様 アルタの会社から追加のお仕事が有ったと思われますが」
「良くご存知ですね」
「ええ あの仕事は私どもがお願いした話なんですよ」
「御殿場駅もですか」
「ええ それで彼の会社にお願いしました
サイン関係の仕事でもトップクラスですからね」
「そうですね 安心できますしね」
「では ホテル内のサインはどこを考えられていますか」
「いま 考えている所で お恥ずかしい限りです」
「では 色々な角度から撮影しておきます」
「そうですね お願いします お昼は済ませましたか?」
「ええ まだです」






次回は7月27日掲載です
.

2012年7月17日火曜日

若葉 2 - 9 Vol. 3



「ええ それではいい写真が撮れますように 乾杯」
「そうだね 乾杯」
二人が成功祈願の乾杯をした時 こだまはゆっくりと動き出した
改めて由香里を眺めてみると
今夜の由香里はジーンズの共生地で出来た
パンツとベストそしてジャッケットというファッションだった
ベストの下は白い長袖のTシャツを着ていた
少し着こなしているのか からだにぴったりとして
形のいいバストがベストを盛り上げていた
神山はジャッケットを脱いでいるそのバストにちょんと触ったら
由香里は母親が子供の悪さをしかる目で神山を見た
「何しているの そんな事したら お預けよ」
「だって バストが悪いんだよ」
「何を言っているのですか」
「僕に 触って下さいって さっきから伝わってくるよ」
ここが と又触ると ぴしゃっと手を打たれた
「そんな事ばかりしていると ここを切り取りますよ」
由香里は神山のズボンの上から大事な処をぽんと叩かれた
これで二人の女から切り取られる事を告げられた
一昨日は祥子に言われ 今由香里に言われ
女はどうしてここを切り取る事に執着するのだろうと
しかし昔は切り取られて亡くなった人もいたので
冗談は程ほどにしなと 大変な事になると感じた
「もうしないから 機嫌を直しておくれ」
「いや 嫌い す・け・べ」
「だって 魅力的なものは本能が優先だよ」
「うそばっかり 皆に言っているのでしょ」
「そんな事は無いよ そんな事したら由香里の耳に入るだろ」
由香里はそう言われて 神山の浮いた話が入ってこない事を思った
「そうね」
由香里は自分から色々と情報を流すいわゆる『放送局』ではなく
情報が色々な所から入ってくる『アンテナ』だった
「だからさ 口より手が先に動いてしまうのさ」
「わかったわ だけど皆が見ている所ではやめて」
「見ていないよ 皆前を向いているじゃないか」
「分らないもん 後ろを向く人だっているでしょ」
「分るわけ無いよ 誰も気にしていないよ」
「そんな事無いわ いやよ」
由香里はビールを窓際に置きながら外の景色を眺めた
神山は由香里の機嫌を取り戻そうと手を握った時に後ろから
「ご乗車の皆様 乗車券を拝見させて頂きます」
車掌の声が聞こえてきた
由香里が手をすっと引きそ知らぬ顔で外を見ていた
神山が車掌に乗車券を見せ検札を終えると
「分ったから 機嫌を直してね」
「ほ~ら 誰かに見られるでしょ 分った」
「ごめんね」
「まあ 分ったら許してあげる」
由香里は先ほどの顔とは違い笑顔で神山のほほにキスをした
突然の変貌に戸惑う神山に
「キスは挨拶でしょ あなたのはHよ」
「わかったよ いじめるな」
「だって 分っていないでしょ 女心を」
「なんで 一応分っているつもりだよ」
「うそばっかり だったらHしないでしょ」
「触って下さいって言っているバストがいけないのだ」
「またそんな言い訳をして」
しかし 由香里は形のいいバストを誉められ許す気にした
「だけど 今度Hする時は二人だけの時にしてね」
「分りました ごめんね」
「では ご褒美になでなでしてあげる」
由香里はさきほど叩いた大事な処を軟らかく触った
「だめだよ 元気になってしまうよ」
「いいじゃない 元気なほうが 私元気が好きよ」
「ごめん 勘弁してくれよ 本当に」
由香里は神山が言うのも聞かず更に動きを早くしていると
神山の下半身に変化が生じてきた
こだまは小田原駅を出発した時 車内には二人だけになった
神山は熱海まで車掌が来ない事を知っていたので由香里を反撃した 
由香里のバストをTシャツの上から愛撫を始めると
「また 何しているの いや」
由香里の『いや』は先ほどと違い感じている『いや』だった
下半身を触っている手の動きが 尋常でない事が物語っていた
神山の手もバストを柔らかく 時々きつく愛撫をしていると
「ねぇ お願いだから止めて かんにんして」
「どうしたの そうしたらHを止めようか?」
「いじわる だけど止めて お願いだから」
「本当に止めていいの?」
由香里は顔をピンク色に染めて神山に言った
「うん 止めて」
神山が手を止めると由香里は席を立った
「どうした まだ早いよ 席を立つのは」
「ちょっと おトイレに行ってきます」
「うん だけど もうすぐ熱海だよ」
「だけど、、、」
「我慢できない?」
「えぇ すぐに戻ります」
「分った 荷物は僕が持ってドアに居るよ」
「えぇ お願い あなたがいけないのよ」
由香里の声は最後が小さい声になって聞き取れなかった
「では 急いでね」
神山も席を立ち棚から荷物を降ろしドアに向かった
由香里がトイレから出て来た時に熱海に到着した
「大丈夫?」
「何言っているの あなたが悪戯したからいけないのでしょ」
「えっ」
「なにとぼけているの いやっ」
「分らない事で怒らないでよ」
「本当に し・ら・な・い」

二人は熱海の改札口を出て乗車待ちしているタクシーに乗った
「網代の清碧旅館までお願いします」
運転手はにこやかな顔で頷いた
「ねえ 大丈夫?」
「何が?」
「だって こっち」
由香里は運転手に分らないように親指と人差し指で和を作った
「大丈夫 安心してください」
由香里はそれを聞いて神山の胸に寄りかかってきた
そんないじらしい仕草を可愛らしく思い
ジーパンのももを優しく触ったら由香里は頭を起こして
「だめ もうやめて お願いだから」
運転手に聞こえないよう耳元で囁いて来た
神山も小声で
「どうしたの?」
由香里は音がしないようにジッパーを開き神山の手を
ショーツの中にある秘所に導き触らせた
そこは温かく湿った所でぬめりがある液体で溢れていた
「分った あなたが悪いのよ」
由香里はそう言うと神山の手をひっぱり出し
「だから お願いだから止めて でないとお預けよ」
「分った」
二人の会話はエンジンの音でかき消されていた
「そうしたら 新幹線でもそうだったの」
由香里は少しうつむき
「えぇ だから止めて 歩けなくなるから」
「だけど どうしたの」
「ばか 分らないの」
「だから聞いているんだろ」
「あ・と・で」 
そんな話をしていると網代の清碧旅館についた
予め電話で予約をしていたので若女将が出迎えた

「いらっしゃいませ 神山様 ありがとうございます」 
「こんばんわ お願いします」
「今夜は離れをご用意させて頂きました」
「ありがとう」
「お食事は お風呂の後でよろしいでしょうか」
「ええ お願いします」
若女将は離れを案内し下がるときに
「準備が整うまで ここに御用意させて頂きました
地元の物を味わってくださいませ」
若女将は丁寧にお辞儀をして襖を閉めた
由香里は神山に抱きつくとキスをしてきた
そんな由香里と戯れたかったが
「由香里 はやく風呂に入ろうよ」
「えぇ そうしましょ」
離れの風呂は露天風呂で部屋から少し離れた所にあった
着替えの浴衣やバスタオルを持って露天風呂に入った
「そうだ ビールを呑もうか?」
「そうね お願いしてもいい?」
「OK 持って行くよ 先に入って」
「ええ」
神山は缶ビールと盆に乗っている刺身を持って風呂場に行った時は
由香里はすでに着ている物を脱ぎ湯船に浸かっていた
神山は盆と缶ビールを湯船の縁に置き自分も裸になった
「ようし 久しぶりの休息だ ゆっくりしようね由香里」
「そうね ゆっくりしましょ」
神山の下半身は元気いっぱいの状態だった
由香里はそれを見て くすっと笑いながら
「なに考えているの ゆっくりとするのでしょ」
「まあ 気持ちと下半身は別物でして なんと言っていいやら」
「早く着て お元気さん」
由香里は両手を広げ神山を向かい入れようとした
神山もすぐに湯船に入り由香里をしっかりと抱きしめた
「私 幸せよ あなたにこんなに愛してもらえるなんて」
由香里は交わりも大切だと思っているが心の絆を大切にしていた
「ありがとう」
熱いキスを繰り返していると部屋の中が慌しくなってきた
部屋と露天風呂との間には竹の衝立があり
部屋からは露天風呂が見えないようになってはいたが
由香里はすぐにからだを解し神山に背を向けて夜空を見た
神山は小声で
「由香里 大丈夫だよ 見えないから こっちにおいで」
「綺麗ですね 東京では見る事が出来ないわ」
わざと部屋に聞こえるような声で語りかけてきた
「そうだね ここでしか見られないと思うよ」
「幸せだわ あなた」
由香里はそう言うと神山にキスをした
「なに 何するの?」
神山は由香里の行動に戸惑い小声で聞いた
「だって 素敵な夜空の下では自然でしょ」
由香里は声のトーンを変える事なく答えた
そんな話をしていると襖の閉まる音が聞こえた
「びっくりしたよ どうしたの?」
「だって 自然でしょ その方が」
神山は言われて気が付いた
(女性はそこに至るまでの工程を大切にしているのだ)
(まだまだ 修行が足りないな) 

暫く夜空の星を眺めていると
「神山様 お食事のご用意が整いました」
部屋から若女将の声が聞こえた 
「はい ありがとうございます 今戻ります」 
「どうぞ ごゆっくりしてください お上がりになられましたら
テーブルの呼び鈴を押してご連絡をお願いいたします」
「はい わかりました ありがとう」
「では 失礼いたします」
若女将は誰も座っていない
テーブルに向かってお辞儀をして出て行った
「さあ どうする 由香里」
神山は 由香里の正面に立ち元気君を見せると
「ば~か なにやっているの 早く頂きましょ」
「なんだよ 元気にしておいて」
「分ったわ 食事の前にこちらを頂くわね」
由香里は元気になった肉棒を咥えしゃぶり始め
最初はゆっくり そして両手を添え動かし始めた
しかし神山がほどよい硬さになる前に止め
「美味しかったわ 味わうのはお食事のあとね」
「もう どうするの こんなにかちんかちんだぞ」
「いいの そのままがんばってね」
そんな話をしながら浴衣に着替え部屋に戻ってみると

テーブルには趣向を凝らした料理が所狭しと並べられていた
「凄いわ あなた こんなに 美味しそうなお料理ばかり」
「喜んでもらって嬉しいよ」
テーブルには伊勢海老やくろだいの船盛や鮮魚のオンパレードだった
席につき神山が呼び鈴を押すと暫く経って若女将が襖を開けた
「本日は この様なところにご宿泊頂きましてありがとうございます」
「こちらこそ 宜しくお願いしますね」
「はい それではこちらに火を入れさせて頂きます」
「お願いします」
若女将が小さな七輪に火を入れ
「このかつおは ここではめったに捕れない早鰹です」
一口大の鰹を火であぶり取り皿に置いていった
「どうぞ お召し上がりくださいませ 温かくても美味しいですよ」
「初めて 温かい あぶりを頂くの」
「普通は 冷ましますけど あぶりたても美味しいですよ」
由香里はすぐにたれに付け口に運んだ
「おいしい~ 本当に美味しい」
「よかったです お褒め頂きまして」
神山も若女将の勧めるあぶりを口に運んだ
「若女将 美味しいです ありがとう」
「気に入って頂いて 恐縮です」
二人は若女将があぶってくれた鰹を無言で口に運んだ
お酒を呑む事を忘れていた神山は
「若女将 日本酒をください」
「はい かしこまりました」
鰹のあぶりを済ませると 日本酒を用意する為部屋を出た

神山は冷蔵庫からビールを出しコップに注ぎ
「では 改めて 乾杯」
「はい 乾杯」
由香里も神山も鮮魚を味わっていた
ビールを呑み終えた頃 若女将が日本酒を持ってきた
一緒に漬けタレも用意し
「このタレはあぶりが冷めてから使って下さい
又一味違った美味しさですよ」
「気を使ってくれてありがとう」
「では ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
「うん」
「お下げの御用は こちらの呼び鈴でお願いします」
「はい 分りました」
若女将は先ほどと同じように深くお辞儀をし襖を閉めた
由香里も神山も並んでいる料理を味わいながら口に運び
「こんなに美味しいのは初めてよ」
「よかったよ 僕と居るからだろ」
「そうね だけど新鮮で美味しいわ」
「男も新鮮なほうが美味しいのかな」
「ば~か 何言っているの 食事中に」
「だから聞いたんじゃないか」
「しらない だったら女性は?」
「うん それなりにいいよ」
「ほら そうやって誤魔化す」
「違うってば そんな」
「男も女も 関係有りません 何考えているの」 
「ごめん そんなに怒るなよ」
「いくら部長さんでも許せないわ」
「分った ごめん だから機嫌を直しておくれ」
「いやっ」
「どうしたらいい」
「私の前に来て 謝りなさい」
神山はこんなに強く自分をはっきりと主張する
由香里の姿を見た事が無く 恐ろしくなり
彼女の 膝に近いところで頭を下げた
「ごめんなさい もう二度と言いません」
「本当に 分ってくれた」
神山はまだ頭を上げずに答えた
「はい 恋愛の差別をしません ごめんなさい」
由香里は神山の髪の毛をゆっくりと触り始め
「私に対して 失礼よ あなたしか思っていないのに」
由香里は少し涙声になっていたが 頭を上げずに聞いていた
「さっきの様な事言われたら わたしどうすればいいの
あなたをこんなに 愛しているのに、、、」

神山は自分の頭で由香里の膝頭を割って前に進み
はだけた浴衣の中に頭を滑り込ませたが
由香里は 神山の頭を上げ自分の正面に向けた
神山は今まで見た事が無い由香里の顔を見た
たとえ様が無いくらい美しく愛らしい顔をしていた
無言でごめんとうなずきキスをすると
由香里はすぐに反応し背をそらした
由香里の機嫌を取り直し 神山は席に戻りビールで
「由香里 やり直しの乾杯だ」
「もう なによ その気にさせておいて ば~か」
「よかった 元気になって」
「何言っているの 自分が変な事言うから いけないのでしょ」
「では 乾杯しようよ ねっ」
「は~い おばかさんに乾杯」
仲直りをして 鮮魚を堪能し美味しい日本酒もあれこれ味見した
由香里も神山もアルコールは強かったが
今晩は二人きりと言う特別な空気が酔いを早めた
先に由香里が
「私 そんなに呑んでいないのに 少し廻ったかしら」
「うん 普段より顔が赤いよ」
「やだっ あなたも 今夜どうしたの? 赤いわよ」
「うん 顔がぽかぽかしている おかしいよ」
「私も ぽかぽかしているわ」
「そうしたら 片付けてもらおうか」
「そうね」
神山は呼び鈴で仲居を呼んだが 若女将が襖を開けた
「おじゃまします」
「こちらの片づけをお願いします」
「はい かしこまりました デザートをお持ちしました」
「ありがとうございます」
「食べ終わりましたら お呼びください すぐに伺います」
「どうもありがとう」

若女将は二人が食べた夕食の食器類を片付けながら答え
大きな箱盆にのせ部屋を出て行った
デザートは大きなガラスの器に盛られていて豪勢だった
普段は余り食べない神山も空間が違うのかよく食べた
由香里も東京では食べられない味わいに満喫していた
「あ~ よく食べた お腹一杯だよ」
「ええ 私も 美味しかったわ」
神山が呼び鈴で仲居を呼んだ
すぐに若女将が襖を開け
「如何でしたか お口に合いましたでしょうか」
「ええ ご馳走様でした」
「こちらを片付けましたら 床をご用意させて頂きますが」
「うん お願いします」
「よろしければ 下の露天浴場もご堪能下さいませ」
「混浴ですか?」
「いいえ 家族風呂ですよ 
今の時間は空いていますがどうされますか」
神山は由香里の顔を見てみると頷いたので
「では 伺いますので お願いします」
「はい 分りました その間にご用意させて頂きます」

二人は若女将が去ると 指示された家族風呂に向かった
石畳の階段を進むと竹で出来た門があり中から湯気が立っていた
広さは内風呂より広かったが造りは殆ど一緒だったが
湯船の底が浅い所と深い所と段差があった
浅い所は子供が倒れても沈まないくらい浅く
深いところは家庭用の深さと一緒位だった
由香里と神山は浴衣を脱ぎシャワーで躰を流すと
どちらかとも無くキスをし抱き合った
「さあ 由香里 本当に二人っきりだよ」
「うれしいわ あなた」
由香里は更に強く 神山に抱きついた
神山も由香里を抱きながら下半身を由香里に押し付けると
「ねぇ そのままよ」
由香里はその場で跪くと神山の肉棒を咥えこんだ
「由香里 だめだよ 欲しくなる」
「ほんと だったら もっと元気になって あなた」
そう言うと口を上下するだけではなく 両手も使い始めた
神山はたまらなくなり 
「由香里 ほらここに座ってごらん」
神山は浅い湯船の縁に由香里を座らせると
自分は湯に浸かり由香里の大事な処を口で愛撫した
由香里の足は神山の頭を挟むようだったが
そのうちに開き天を向く様になった
躰も上半身は反って頭は完全に後ろ向きになっていた
「ねぇ やめて お願い」
「いいでしょ 感じているのだから」
「だめ あなたが欲しいの ねぇ 早く入れて」
「何を入れるの?」
神山は口で愛撫しながら人差し指を小さな入り口に入れた
もう入り口のまわりはぬめりがあり体液で溢れていたので
すんなりと抵抗無く挿入する事が出来た
由香里は自分から腰を前後にゆっくりと動かし始め
「お願いだから あなたのが欲しい」
「なにが欲しいの ちゃんと言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
由香里は小さな声で言った 
「聞こえないよ もっと大きな声で言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
そう言うと 由香里は反らしていた躰をもどし
今度は背中を丸めるようにして
「お願い おちんちんを頂戴」
言うが早いか手が早いか 神山の肉棒を掴んだ
由香里は縁に向かい四つんばいになり神山の肉棒を後ろから誘った
神山も我慢できずに由香里の中に入った
由香里は我慢に我慢を重ねたが
「ねえ もうだめ いきそうです」
「僕もだめだ」
二人は一緒に昇天し 浅い湯船に倒れこんだ
岸壁に打ち寄せる波の音と海の香りがする風に酔っていた
下半身しか湯に浸かっていなくてもからだは温かかった
両手を神山に絡め夜空を見ながら
「私 夢を見ているのかしら 幸せよ」
「現実だよ」
「だったら さめないで欲しいわ この夢が」
「さめないよ」
「ほんと? 一人にしないでね」
「うん わかった」
神山は由香里を手放したくないので言ってしまった
「しかし ここ一年ではなくもっと大変なんだ」
「なあに それ」
「ニーナ・ニーナが三重にも出店する予定がある」
「ほんと」
「うん 昨日の会議で発表された」
「そうしたら 大変ね」
「うん どこまで出来るか分らないけど」

由香里は神山の腕を掴むと硬く自分の前で組んだ
暫くそのままの格好で湯に浸かっていると石畳の階段に
下駄の音が響いてきたので あわてて浴衣を羽織 帰る準備をした
施錠してある竹の扉が叩かれ
「すみません 交代をお願いできますか」
「ええ もう少しで出ますから待ってください」
由香里も神山も仕度は出来ていたが
平常心を取り戻すのに時間がかかった
「お待たせしました」
神山は由香里を背にし交代で入ってくる客に言った
「ありがとうございます」
まだ20代の青年は背が高く体格もがっちりしていて
横にいる女性はまだあどけなさが残っていた
部屋に戻ると床が用意されていたが 由香里が
「ねぇ 内風呂でビールを呑まないですか」
「うん そうしようか」
由香里は冷蔵庫からビールとコップを用意し露天風呂に運んだ
お互い浴衣脱ぎ湯船に浸かった
由香里は用意したビールをコップにそそぎ
「では あなたの仕事を祈って乾杯です」
「うん ありがとう」
ビールを飲干した後 神山は市川の動向を聞いた
今日昼過ぎに 喫茶レイで市川と話していただけに気になった
由香里は市川の心の動きをかいつまんで説明した
「大輔もこれで懲りただろうな でなければだめだ」
「だったら あ・な・た・は どうなの?」
「なにが」
「だって 市川さんより素敵よ だけど女心を分っている?」
「また 女心か まいったな」
「そうよ 本当の意味でいったら 市川さんのほうが、、、」
由香里はそこまで言って 言葉を止めた
「なんだよ そんな女心 女心って 多少分っているつもりだよ」
由香里は神山を怒らせてしまった事に反省していた

しかし由香里は自分に対し真剣に愛してくれていると
そう思うと もっと私『女』の事を分って欲しいと思った
今までも外見の美しさとかプロポーションの良さとか
本質で無い部分で誉められ 彼女自身それが本質を
認められていると勘違いしたときもあった
しかし 結局はからだの関係だけを求められたり
物に対する価値観が違ったりし 幻滅した事が多かった
食に対しても 誘われるままデートをした時でも
普段言っている事と全然違う物が好きだったり
言い寄ってくる男性は信用していなかった

昨年 神山が銀座の催事課に来た時は
多分この人もカッコだけの人物だろうと値踏みをしていたが
仕事内容や浮いた話が無い事から信頼感が生まれた
歓送迎会のとき酔いつぶれ介抱したときも
本当はその夜 何も無かった
ただ 神山が本当に『男』か否かを見てみたかった
今でも覚えている事は 
起きた時に動ぜず堂々とした態度が好きだった
由香里はどうにも動かない神山をはだかにして
ベッドに寝かせ 自分も裸になって布団をかぶった
すっかり寝ている神山に明朝どのような行動をとるか
期待と不安がいりまじり寝付けなかったことを
今でも鮮明に記憶していた
走馬灯のように色々な場面を思い出していると
「ごめんな そんなに怒るなよ」
神山は由香里の両ほほを優しく挟みキスをした
由香里は涙目で
「ううん ごめんね 私が悪かったわ 許してごめんなさい」
あれだけ非難しておいてこの言葉の意味はなんだろうと考えた
「あなたが大好きよ 離さないで」
神山は由香里をこちらに向かせ自分に乗せた状態にした
顔と顔がすぐ近くにあった
「由香里が変なこと言うから 元気なくなったぞ」
神山は元気の無い下半身を由香里の秘所に当て動かした
由香里は涙をこらえ作り笑いをして
「いやよ 元気が無いの きらい」
涙声で神山に訴えた
「どうしたんだ おかしいぞ」
「おかしくしたのは あなたよ」
「ごめん 笑ってごらん」
由香里はもう涙が溢れていたが 一生懸命に笑った
神山も尋常でない由香里を見たが力いっぱい抱きしめた
由香里は 神山の肩に顔をうずめ
「ねぇ 本当に私のこと愛している?」
神山は 詰められた心に動揺が走ったが
「うん 愛している」
半分は本当で 半分はうそをついてしまった
「ほんと?」
「うん」
「由香里のどこが好き」
女性の大半はこの様な場面になると出てくる言葉である
この一言が出て来た事によって 男性は彼女に対する
主導権を放棄させられ 彼女の我侭を助長させる火種になる
神山も今まで何人かの女性達から聞いてきた言葉を 
由香里の口から出るとは思っていなかったので戸惑った
「まず ここ」
神山は由香里の秘所に触れ手で合図を送った 
「それだけ?」
「そして ここ」
今度は指先で両方の乳首を優しくつねった
「それからどこ?」
最後に右の手のひらを由香里の心臓にあてた
「うん あなた 愛している」
神山は情熱的なそれも燃えると激しい由香里をみた
由香里は好きだった人に愛していると言われ心が燃えた
「ねぇ あなた さっきはごめんなさい 許して」
「うん いいよ」
「あなた 立って」
「どうするの」
由香里は神山を湯船の縁に座らせた
足を開かせると由香里の顔が神山の肉棒に近づいた
「ごめんなさい 大きくなって」
由香里は神山の肉棒を咥え 両手も加わり逞しい姿にすると
立ち上がり肉棒の上に座り込む格好になった
顔と顔がすぐ傍にあるので長いキスを交わしたり仰け反ったり
由香里の動きが尋常ではなかった
膝を曲げて上下に動いたり 足を伸ばして前後に動いたり
なにかに取り付かれたように躰が動いていた
神山はこみ上げてくる快感を我慢できずに発射した
由香里は神山の体液が自分の中に来た事を感じると昇天した
二人は抱き合ったまま余韻を楽しんでいた






次回は7月22日掲載です
.

2012年7月12日木曜日

若葉 2 - 9 Vol. 2



「どうしたんだ なんかよそよそしいよ」
「だって 部長になったら存在が遠いもん」
「そんな事無いよ 今までと一緒だよ」
「そうだといいけど 心配で」
「そんなに心配か?」
「ええ だってこれから行動範囲が広がるでしょ」
「それはそうだけど 銀座が中心だよ」
「あなたの仕事が成功すればするほど
私からどんどん離れていく気がしているの」
「思い過ごしだよ さあ気分を治して食べようよ」
「そうね 折角のお刺身がまずくなってしまいますからね」
「そうそう 今度ゆっくり来よう」
丁度ビールを呑み終わった頃に新しいビールと
活き造りの盛り合わせとえびのてんぷらが届いた
脇には丼にシャリが盛られ 丼でも食べられるようになっていた
新鮮な具はシャリに乗せても美味しく
たれをヌルると一層箸がすすんだ
神山は箸を置きビールを呑もうとした時に由香里を見たが
今まで見た事が無い上品さで口に運ぶ仕草を見とれた
着物姿を注文しこの場所で会食をしたいと想像していたら
「ねえ あなた なにを見ているの さっきから」
「いや 着物姿の由香里を想像していてさ それで」
「いやだわ 恥ずかしいですよ」
由香里はほほを薄桜色に染め恥ずかしそうに俯いた
少しの沈黙の後に襖が開き
「食後のデザートです」
店員はメロンなどのフルーツ盛り合わせを座卓に並べお辞儀をした
襖を閉める前に竹の短冊を神山の脇に置いて出て行った
この時 神山が『あとで』と言えばその日の清算ではなく
次回来店した時に支払う事ができたが
今日は会計を済ませる事にしていたので竹の短冊を受けとった
デザートを食べ終え腕時計を覗くと2時30分を少し廻っていた
座敷を出た通路の真中にある会計で竹の短冊を渡し清算をすると
2時30分を少し廻っていた
催事課の事務所に着いたのは3時にはまだ余裕があったが
神山の到着を心配していた杉田が
「こんにちわ 心配していました」
「いや ごめんごめん 美味しい寿司を食べていたから」
「そんな 僕が一人で会議に出るのかと心配していました」
「大丈夫だよ 翔が一人でも」
「おう 翔 一人で行ってこいや」
「そんな 倉さんまで 苛めないで下さいよ」
「しかし 山ちゃん 頑張っているな」
「まあ 大変ですけど 倉さんにご迷惑をおかけして」
「おう だけど翔は少しは大人になったぞ」
「そうですか よかった」
「また 二人で苛めないで下さいよ」
「そうよ この頃随分と男になってきたわよ」
「斉藤さんまで でもいいや 由香里姫に誉められて」
「そうがんばんなさい 神山さんのように」
由香里は多少のお酒では顔には出ないが今日は神山に
誉められた事が合ったせいかほんのりとほほに出ていた
「おう 由香里姫に誉められたら 頑張らないといかんぞ」
「翔 そろそろ行こう」

神山は会議の時間が迫ってきたので杉田を連れ出した
会議室に入ると催事担当の課長や係長が半数近く出席をしていた
神山たちの席はコの字型になっている議長の横に座る事になっていて
杉田は議長の横に神山を座らそうとしたが
神山は議長の横に杉田を座らせた
あくまでも催事の中心人物を杉田になってもらいたかった
3時になり全員が揃うと販促課長の説明が始まり
売場担当の確認作業が一通り終った
催事課の会場装飾 什器搬入などの説明が終ると
売場から質問が寄せられたが杉田は補足説明をしながら
なんなくこなしたが 商品陳列が当日間に合わない売場から
「現場でハンガーの掛け替えや商品の置き換えは時間的に難しい」
これには杉田も少し考え 神山を見てみたが
自分で考えて答えを出しなさいと 目で合図をした
少し戸惑っている杉田を見て 販促課長も
「催事課さん どうしますか」
杉田はいよいよ余裕を無くし考えあぐんだ時 神山が
「うちとしては この会場に什器の事前搬入は出来ませんが
こうしたら如何でしょうか
店外催事の1週間前に流通センターに什器を運ばせます
そこにメーカーから来た商品を検査検品しながら掛けていけば
殆ど問題は無いと思いますが 如何ですか」
「そうですね しかし1週間の間保管はどうしますか?」
「それは 空き部屋に保管しておけば問題ないでしょう」
「そうですね センターさん お願いできますか」
「ええ 一つくらいは開いていますから大丈夫ですよ」
販促課長が
「では 同じように当日陳列時間が無い売場はないですね」
各担当が大丈夫と言うのを見て
「では催事課さん スポーツ用品売場のハンガー什器は
流通センター納品でお願いします」
杉田が 神山を見て 
「はい 分りました」
販促課長が
「今回催事担当は 神山部長でしたが
今後 横にいる杉田係長が担当します
従いまして これからは杉田係長まで ご連絡ください
それと お手元に配りました会場図面の訂正は無いでしょうか」
会場図面の中には什器備品の配置やレジスターの位置
コーナー看板など準備するもの殆どが網羅されていた
各売場担当者が図面を見て質問がないようなので 杉田が
「什器など変更は1週間とさせて頂きます」
そう言ったあと神山を見ると頷いてくれた
「では これで店外催事の会議を終了します」
杉田が
「先輩 ありがとうございます 助かりました」
「何言っているんだ 当たり前だよ」
それを聞いていた販促課長も
「いや 神山部長にはいつも助けられて ありがとうございます」
「さあ 翔 部屋に戻って来週の打ち合わせをするか」
「はい お願いします」
会議室の棟と催事課の入っているビルとは多少離れているため
外を歩かなければいけなかった
「翔 良かったぞ 今日の説明 大したもんだ」
「先輩が傍に居てくれたから 安心していました」
「おだててもだめだ 今度は一人で行きなさい」
「ありがとうございます がんばります」
「そうしたら そこのレイでも寄って行くか」
「大丈夫ですか」
「大丈夫さ 何かあったらこの携帯が鳴るから」
「では ご馳走様です」
杉田と神山は喫茶レイで今 終った会議の今後を打ち合わせした
催事課のメンバーは会議室の帰りには殆どこのレイを利用していた
だから緊急の用事のときでも店内放送で呼び出しをするより
レイに電話をしたほうが探し出せた

「ねえ 別れる事を課長から聞いたけど 本当なの?」
「はい ご心配を掛けました 別れます」
「しかし分らないわね あんなに一緒になると言っていたでしょ」
「ええ しかし家内に分ってからは、、、」
「当たり前でしょ 奥さんの事 可哀相だと思わないの?」
「はぃ」
「なんで別れる気になったの?」
「家内の親が出てきて たっぷりと絞られたんですよ」
「それだけ?」
「あと、、、別れるとなったら慰謝料を請求すると言われたんです」
「それだけなの?」
「あと 子供が成人するまでの養育費などもろもろです」
「だって 市川さんはそこは 覚悟をしていたわけでしょ」
「えぇ しかし父親から言われ反省をしてしまいました」
「へぇーそんな簡単な愛情だったんだ」
「違います と言ってもどうにもならないですよね」
「当たり前じゃない 浮気して子供作ったら大変でしょ」
「だけど 愛しているんです」
「あなたの愛は 純粋じゃないのよ」
「なんでですか」
「当たり前じゃない 奥さんが居るのに」
「だけど、、、さやかを愛しています」
「その覚悟があったら さやかさんを選べばいいでしょ」
「しかし 僕にはそんな大金を払えることが出来ないし」
「だったら 最初から付き合わなければいいでしょ」
「えぇ、、、」
「それで さやかさんはどうするの」
「えぇ まだ産むと言っていますが 彼女のお兄さんと二人で
出産を止まるよう話をして説得しています」 
「そうね お兄さんから言われれば少しは考えるかもね」
「今夜も行って説得する事になっているんです」
「えっ まだ逢っているの?」
「いえ 今夜が最後です 皆に誓いましたから」
「その方がいいわ 早く楽にさせてあげないとだめよ」
「今夜はお兄さんと一緒で 説得をしてお別れです」
「その方がいいわね しかしお兄さんよく許してくれたね」
「はぃ 最終的にはお金で別れます」
「どうするの そのお金?」
「恥ずかしいのですが
奥さんのお父さんが出してくれる事になりました」
「でも 一段落だけど さやかさんが可哀相ね」
「ご心配掛けました すみません」
「だけど これから奥様を大切にしないとバチが当るわよ」
斉藤由香里は市川と小松さやかの事を事細かく聞いていた時に
マスターが
「市川さん 課長から電話で 
すぐに戻ってきて下さいと言っていました」
「はい 分りました」
「では出ましょうか」
由香里と市川が出ようとすると
入り口付近に 杉田と神山が座っていた
4人はその時にお互いが何の為にここに居るのか分った
「やあ由香里姫 大輔 大変だったな」
「うん だけど解決したよ 詳しい話は 後で又」
「うん 分った大切にしろよ かあちゃん」
「わかった じゃあ先に失礼するよ」
「私も 部屋に戻ります」
「うん 僕らももう少ししたら戻る」
「はい 分りました」
斉藤由香里と市川は神山らを残しレイを出た
「どうしたんですか 先輩」
「例の市川の件だけど決着がついたと言う事さ」
「そうなんですか」
「そうだ だから口にチャックだ 分ったか」
「はい 分りました」
「そうしたら この店外催事は大丈夫だな」
「ええ ここまで教えて頂いたのですから 大丈夫です」
「うん 安心するよ では出ようか」
「そうですね 残りも打ち合わせをしないといけないし」
「そうだな」
神山は席を立ちカウンターで会計する時に時計を見たら
ちょうど5時30分をさしていた

扉を開けるとまだ薄く日が差していて
これからご出勤のクラブの女性達が目立ってきた
この時間のご出勤はまだまだ下っ端の女の子達で
売れている綺麗どころはまだまだ先の時間にご出勤だった
神山が女の子達を見ていると携帯がなった
杉田に
「先に戻っていてくれ 電話が終ったら戻る」
「はい わかりました」
「はい神山ですが」
「私 久保です 今大丈夫ですか」
「うん 大丈夫です」
「今夜の新幹線ですが 7時がとれました」
「よかったね 早い時間で」
「神山さんは お仕事ですか?」
「うん 打ち合わせが在るのでいかれない ごめんなさい」
「いいの では気をつけてくださいね」
「うん そちらこそ」
携帯電話を切ってすぐに由香里の携帯に電話した
「はい 斉藤です」
「神山ですが」
「はい どうされましたか」
「一緒に出るとまずいだろ だから東京駅でどうですか」
「はい わかりました ではご連絡をお待ちしています」
「了解」
神山は部屋に戻ると何事も無かったように自分の席についた
隣に座っている杉田と来週の打ち合わせをしていると
「では お先に失礼します 神山さん明日お願いします」
由香里が挨拶をしに神山に近づき言った
「あっ もうこんな時間か では明日お願いしますね」
「はい 東京駅でお待ちしています」 
「うん 頼みますよ」
神山は杉田との打ち合わせを早めに切り上げる事にした
「一応 これで大丈夫だ また月曜日にでも連絡をくれ 今夜は
これから別件で打ち合わせが入っているから これで打ち切り」
「はい 大丈夫ですよ 明日いい写真をお願いしますね」
「しかし カメラマンは由香里姫だからな」
「安心ですよ 神山さんが付いているから」
「じゃあ 頼んだぞ 倉さん御殿場に行ってきます」
「おう 頼んだぞ」
「はい」
神山は倉元と奥村課長 そして市川に挨拶をして出て行った
ビルを出てすぐ傍にあるコインロッカーで
昼間預けた小さな旅行鞄を出していると
「早かったのね あなた」
後ろから由香里が声を掛けてきた
「まあね 大体は分っている事が多いから 翔でも大丈夫」
時計を見てみると6時10分を少し過ぎた時間だった
「10分丁度にタイムカードを押したの」
「どうりで そうしたら そこから車で行こう」
「はい」
神山は傍に駐車しているタクシーに乗り込み
「東京駅の新幹線口にお願いします」
運転手はバックミラーでこちらを確認しながら返事をした
「今夜はどこに泊まるの?」
「熱海の先にある 網代だよ」
「御殿場と随分とはなれているでしょ」
「そんな事は無いさ まあ心配しないで ついて来なさい」
「は~い わ・か・り・ま・し・た」
「しかし 由香里を誤解していた ごめん」
「な~あに 突然」
「いや あとで」
神山は由香里が市川と男女の関係になっていると思って
少し距離をおいて付き合っていた事を反省していた
今回の出張はその穴埋めをする考えもあり
一日でも早く謝りたく計画した
たまたまアルタでも写真が必要という事が神山に拍車を掛けた

タクシーは東京駅の八重洲口に着き新幹線みどりの窓口に向かった
「一番早い熱海で大人2名 グリーン車でお願いします」
「18時37分のこだまが有りますが いいですか」
「ええ お願いします」
神山はお金を払うと すぐに新幹線発車ホームに向かった
急いでいる神山に由香里は
「何を急いでいるの?」
「だって もうホームに入っているのだろう」
「だけど まだ充分に間に合うわよ」
「ゆっくりできるじゃないか 乗ってしまえば」
「それもそうね しかしグリーン車は驚いたわ」
「いいの あとで」
「ビールでも呑みましょうか?」
「うん 僕が買ってくるよ」
「いいの? そんなに」
「だけど 呑みすぎると後が美味しくなくなるから ほどほどだよ」
「えぇ 分りました」
神山は売店でビールと適当に乾き物を買って由香里と車内に入った
自由席と指定席は七割がた埋まっていたがグリーン車には
他に10名程度の乗客しか居なかった
神山たちは進行方向後ろから2列目の席で
周りには誰も乗車してくる気配が無かった
手荷物を棚に載せ由香里を窓がわに座らせた
神山は由香里のジーンズファッションを見ていると
由香里が神山の目を見つめながら
「何見ているの あなた」
「だって 見た事が無いファッションだから 驚いている」
「そうね 初めてでしょ いつもと違うでしょ」
「うん ジーンズも似合うよ」
「ほんと 嬉しいわ 誉められると」
「いつもスーツ姿だったから 逆に新鮮だよ」
「私 今日は普段着よ」
「へぇ しかし似合っているよ ほんと」
「そんなに誉められても何も出ませんよ」
「まあ そんなに苛めるな ビールを呑もう」






次回は7月17日掲載です
.

2012年7月7日土曜日

若葉 2 - 9 Vol. 1



上原駅前寿司19時
「お待たせしました ごめんなさい遅くなって」
「そんな事ないよ」
神山は時計を見て
「まだ 7時を少し廻ったところだよ」
「しかし 待ったでしょ」
「僕も 今さっき着いたばかりで ビールだけだよ」
「何か注文はされていますか」
「うん もう直ぐ鮮魚のおつまみと照り焼きが来るよ」
「私もビールを頂きますねっ」
祥子にビールが届き二人で乾杯をし呑み始め
休みの事を会社と話した事を伝えた
「全て自由 但し今だけは」
「今だけって?」
「結局 長期の現場監督だから人事には自己申告になるんだって」
「なんか 大変」
神山は今日仕入れてきたばかりの情報を祥子に教えた
「そうしたら 休みでも働いて 働く日でも休めるの?」
「まあ簡単に言ったら そうなるね」
「だけど縛り付けられない仕事もいいわね」
「まあね しかし 現場は良く出来て当たり前だから 大変だよ」

女将がビールとおつまみを運んできてくれた
「ねえ 昨日現場で言っていた床材の事だけど聞いていい?」
祥子は内装仕様のサンプルは全然見てはいなかったが
今までと違う色が出てくる事を懸念していた
神山はここでは話をしても分らないから現場で説明すると言った
机上ではどんなデザインでも良く見えてしまうが
実際の現場だと微妙に色、形など見る角度や感性で違ってくる
時にはデザイナーが思いもよらない効果が出たりして
デザインが一人歩きする時もある
「そうすると 明朝の現場で教えてくれるのね」
「うん きちんと説明するから心配するな」
「は~い 分りました 安心だものね」
二人は照り焼きが美味しいので 女将に追加注文した
祥子が
「実はね 今夜遅くなったのは 明日の金曜日に
名古屋の実家に帰ることになったの」
「うん その方が良いよ まだ先は長いし」
「寂しくないの?」
「それは寂しいけど 僕は出張になった」
「いつ?」
「土曜日に 御殿場の現場だ」
「だけど まだ何もないところでしょ」
「そう 何も無い所から記録写真を撮るのさ」
「大変ね」
「アルタでも写真を欲しがっていたし ちょうど良かったのさ」
「日帰りなの?」
「いや 休みを兼ねているから泊りがけですよ」
「ひとり?」
「うん なんで」
「あやしいな?」
「仕事だよ し・ご・と ニーナ・ニーナの仕事」
「はいはい 分りました」
神山は御殿場の図面をまだ見ていないが 今夜モールの概要図と
出店予定位置が書かれた図面がFAXされる事を告げた
まだ更地なのではっきりとした場所は分らないものの
周りの情景とかを撮影し その写真を利用して
パソコンで合成写真を製作し プレゼンする事を言った
「そうしたらプレゼンの写真はアルタの写真ではなく
あなたの写真が使われる訳なんだ 凄いわね」
「まあ そうだけど、、、」
「私も御殿場行きたいな」
「もう少し 形が出来てから行こうよ」
「そうね 私ひとりだとさっぱり分らないもの」
アルタでは他の内装工事を専門にする会社より一足早く
コンピューターグラフィックスを導入し他社より抜きん出ていた
プレゼンにCGを導入する事によって 目線での訴求力が違って
例えば床を赤にするか黒くするかユーザーが迷った場合でも
モニターに映し出されている色を瞬時に換える事が出来
仕事を早める上では大変重宝された
「ねぇ そうしたら 7月頃は行けるかしら」
「多分大丈夫だよ 皆お中元で大変なときに行きましょう」
「そうね うれしいわ」
二人はまだ何も出来ていない御殿場の話で盛り上がり
鮮魚のにぎりや巻物を美味しく食べ 幸せな気分だった
祥子は何時ものように腕を硬く絡ませ歩いていた

「もう 御殿場の図面が来ているかしら」
「分らないな」
「来ていると良いわね 楽しみだわ」
二人は御殿場の図面を気にしながらエレベーターから降りた
「そうしたら 仕事の連絡を確認するから自分の部屋にもどる」
「ええ 分ったわ 早く済ませてね」
「はい 了解しました」
神山は祥子と別れ自分の部屋に入り
FAXを見てみると御殿場の図面が届いていた
ダイニングテーブルに広げてみると
思ったとおり確定していない部分が多かった
神山は土日の御殿場出張を早める為に由香里に電話した
「神山ですが、、、」
「はい 由香里です」
「こんばんわ 今 大丈夫?」
「ええ こんばんわ」
「由香里どの 明日の夜から出られるか?」
「えっ どうしたの?」
「別に理由は無いけど」
「ええ 私は大丈夫だけど あなたは?」
「大丈夫だ 明日で一段落さ」
「そうしたら どうすれば良いですか」
「何時に東京駅に来られる?」
「遅くても7時には行くことができます」
「分った 明日又連絡します」
「宿泊先はどうされますか」
「うん 明日こちらから予約を入れる」
「はい分りました 楽しみにしています」
「うん フィルムの購入を忘れずに」
「ええ 分っています あなたのお仕事ですものね」
「そんな いじめるな」
「では おやすみなさい」
「うん おやすみ」

神山は電話を切ると部屋着に着替え
FAXで送られてきた図面を持って祥子の部屋に行った
「わぁ大きな図面」
祥子は今まで見た事の無い大きさの図面に驚いた
「まあ 普通の人は余り見た事が無いと思うよ」
祥子のダイニングテーブルも大きかったが図面を広げると
紙がはみ出してしまった
「だけど もうここまで決まっているの?」
「そうだね もう場所は決まっている様子だね」
祥子は図面を隅から隅まで見たが よく分からなかった
しかし神山は詳細を事細かに説明するのは
分らない事を余計に分らなくすると思い説明を控えた
どのような場面にでも当てはまるが話をする相手が
内容の下地が無いときに いくら分かるように説明しても
本質が伝わらない事が多く 間違って伝わった時には
大変な事態を招く事になる
神山はこの様な事態のとき伝える側 伝えられる側で
失敗している時が有ったので慎重だった
「だったら いつ行きましょうか?」
「やはり 祥子が言っていたように夏にでもどうかな?」
「いいわね 嬉しいわ」
祥子は今一度図面を見た後
「ねぇ なにか呑む?」
「うん ナポレンンが有るから呑もうか」
「わぁ 久しぶりよ」
「分った 僕の部屋から持ってくるから待っていて」

神山はナポレオンを取りに部屋に戻った
本来は自身及びアルタ関係者と呑む物だったが今夜の話は
仕事が中心だったので自分でも許す気分になった
部屋を出ようとした時に電話が鳴った
「はい 神山ですが」
「私 由香里です」
「うん どうした?」
「先ほど市川さんから電話があって 別れたって」
「へぇ ほんとかよ?」
「ええ 色々と考えた結果だって」
「良かったじゃないか」
「だけど 彼女産むみたいなの」
「分らないな、、、」
由香里と話をしていると玄関を叩く音がしたので
「由香里ごめん まだ電話が来るので明日にしてくれ」
「ごめんなさい では明日連絡を待っていますね」
神山は電話を切ると玄関を開けた
「どうしたの 心配だから来ちゃった」
「ごめんごめん 仕事の電話が入っていたから手配していた」
「もう済んだ? だったら早く私の部屋に行きましょう」
「ごめんね」
ナポレオンを持って祥子の部屋に戻った
祥子はブランデーグラスを用意して ナポレオンを注いだ
「ねえ 私やっぱり名古屋に帰るのよそうかな」
「どうして あんなに楽しみにしていたのに」
「だって あなたと離れるの辛いもの」
「何言っているのだ こちらも出張で居ないのだよ」
(なにか気が付いたのかな?)
「だけど 寂しいものは寂しいわよ」
「分るけど 自分だって友子ちゃんが待っているだろ」
「ええ そうね」
「明日は9時に現場だから早く寝ようか」
「そうね 何時もより少し早く仕度しないといけないし」
「名古屋での2泊3日を満喫してきてください」
「そんな」
「だって 2週間ぶりだろ 友子ちゃんとゆっくり逢うのも」
神山は祥子と一緒の時間を寂しいと思いながらも
由香里との御殿場の視察旅行も楽しみにしていた
「呑みすぎると明日に響くから そろそろシャワーにしようか」
「そうね 私 用意してくるわね」
「うん ここを片付けておく」
祥子はバスルームに入り バスタブに湯を張った
神山も広げられている図面に疑問点をメモをし片付けながら
この調子で進めば早い時期に完成すると思っていた
アルタの引渡し時期設定はもともと神山のような
人材が仲介しない予定表だったのでニーナ・ニーナとの
打ち合わせがこのように順調に進めば引渡しが早まる事になる
通常引き渡し時期を設定するときには
相手のスケジュールなどを考慮するものだが今回は神山が
途中から参加した為 アルタにとっては嬉しい誤算になった
この事については祥子自身は感じていないが
ニーナ・ニーナの筒井は準備が早まる事について喜んでいた
神山自身も気が付いていたがこれほど
両者のパイプ役が上手に進められている事に誇りを感じていた
どのような業務についていても自分の職を間違わずに
行っていれば ほとんど混乱無く業務を遂行する事ができる
「仕度が出来ましたよ はいろ」
「うん はいろ」
二人はバスルームに入り 戯れた
今夜の祥子は今まで以上に積極的で
何かに呪われたように 快楽を満喫していた

4月10日 金曜日 快晴
神山は朝日の眩しさで目を覚ました
昨夜はバスルームで戯れた後 ベッドでも祥子が
何時にも無く求めてきたので 躰が鉛のように重たかった
けだるい躰を半身お越し キッチンにいる祥子に
「おはよう 何時もながら早いね」
「おはよう あなた」
「今朝は どうしたの 早いよね」
神山はベッドサイドの時計を見ながら言った
「だって 名古屋の仕度もしなければいけないでしょ」
「そうか」
「分ったら 協力をしてくださいね」
神山は全裸のまま祥子に近づき 抱き寄せ軽くキスをし
服の上から豊かなバストを愛撫し始めたが
「何やっているの 早くシャワーを浴びてきなさい」
「だって こんなに元気だぞ」
「ば~か 空元気でしょ 時間が無いのよ 早くして」
「分ったよ シャワーに行ってきます」
普段より早い時間から動いている祥子に敬服した
神山は熱いシャワーを浴び躰をシャキとさせ
バスルームを出るといつもの純和風朝食が待っていた
「いつもながら 感心するよ」
「ありがとう 誉めていただくと嬉しいわ」
「ビールをいただこうか?」
祥子はビールを注ぎながら
「そうね 日曜の夜まで逢えないもんね」
「そんな たった2日だよ」
「分っていても 辛いものよ」
「日曜日は何時ごろ帰宅する予定なの」
「まだ分らないわ 向こうで夕飯を食べてくると思うの」
「そうすると最終になるね」
「ええ また時間がはっきりしたら電話します」
「うんお願い 僕のほうが早く帰宅すると思うよ」
「今夜は一人で寂しいでしょ」
「そんな事は無いよ アルタと呑み会かも」
「呑みすぎないでね お願いします」
「ありがとう そんなに心配するなよ」
「ところで 今夜は何時の新幹線?」
「まだ取れていないの 会社で取ってもらうわ」
「僕が見送りに行けたらいいのだが ごめんね」
「いいわよ お仕事ですから」
普段と違い会話が盛り上がらない朝食だった
食べ終わった後片付けを神山が行い 祥子は仕度に専念した
「祥子 片付けが終ったから 一回戻るよ」
「は~い この部屋に忘れ物しないで下さいね」
「そうだね 出かける前に点検するよ」
「それと 慌てなくていいからね 9時丁度でOKだから」
「ありがとうございます もうすぐよ」
神山は図面を持って部屋に戻った
仕事用の電話に留守電は何も入っていなかったが
杉田翔から昨夜遅い時間のFAXが何枚かきていた
【杉田です 5月の店外催事の件ですが、、、、、
、、、従いまして売場との打ち合わせが 明日15時になりました
出切れば神山さんにご出席を お願いしたいのですが
お時間の都合は 如何でしょうか】
神山はバーゲン催事なので任せても良いかなと思ったが
【神山です おはようさん 連絡をどうもありがとう
今日の全体会議には出席をさせて頂くよ
販売促進にも伝えておいてください】
FAXで返事を出した
現場打ち合わせが終れば一旦部屋に戻る事ができるので
カジュアルな仕度をして 祥子の部屋に行った
「早いのね もう少しだから待っていてね」
「うん 慌てなくていいよ 忘れ物ないようにね」
「あなたはそんな格好でいいの?」
「うん 現場打ち合わせが終ったら戻ってくるから」
「一緒に行かれないの?」
「祥子の後 詳細を詰めなければいけないから 無理だよ」
「そうね、、、 さあ仕度は終ったわ」
祥子は手押し式のキャリーとショルダーバッグを持って
「仕度出来ました あなたの忘れ物ない?」
「うん 点検するよ」
祥子が出た後 この部屋の戻ることが出来ないので
この3日間必要なものを探したが 特に必要なものは無かった
「大丈夫だよ 何も無いよ」
「では 少し早いけど現場に行きましょうか あなた」
「そうしようか」
祥子は両腕を神山の首に巻き軽くキスをし
「御殿場 気をつけてくださいね」
「わかった ありがとう 友子ちゃに甘えてきなさい」
二人は4月の爽やかな風を受けながら上原の駅に向かった

「おはようございます 今サンプルを運んでいます」
高橋はサンプルが間に合った事を神山と祥子に話した
アルタの社員はサンプルを迅速に並べ終え
「神山さん おはようございます どうぞ見てください」
「幸ちゃんおはよう 朝早くからありがとう」
「とんでもないですよ これでいいですか」 
幸三は壁のサンプルを指して聞いた
大体サンプルをこんなに大きく作る事は無かったが
この様に外光を取り入れる所では 出来上がりに近い状態で
判断するほうが間違いが無かった
蛍光灯の下で見る色と自然光で見る色は違ってくる
神山は何度もこの色の違いを経験しているので
祥子に分ってもらう為に大きなサンプルを用意した
「大きなサンプルで助かります ありがとうございます」
祥子は壁に置いてあるサンプルを見ながら高橋に言った
今まで見た事が無い大きさのサンプルだったが
自然光が入ってくるこのブティックでは助かった
「そうしたら幸ちゃん 床材のサンプルを置いてください」
「はい そうしたら日が入ってくるこの場所でいいですか」
「うん そうだね そこにお願いします」
床材を置くと壁に立て掛けてあるサンプルの色が変化した
「やはり 百貨店の中と違うのね」
「そうでしょ 外からの光を受けるので違ってきますよ」
祥子は神山に勧められて壁紙の選定にはいった
神山のアドバイスもあり仕様の決定は早く進んだ
床材に付いても従来百貨店仕様のものと
新たに神山が選んだサンプルを選ぶ事になった
祥子が選んだのは従来仕様より一段明るめの色だった
勿論 そこには神山のアドバイスがあった
「今までのだと 光が入って来ない時間帯になると
少し濃すぎて コントラストが強くなってしまう」
「そうね このサンプルでよく分るわ」
「そうしたら 床材はこれでいいね」
「ええそうします 全体が明るくて素敵です」
「従来の百貨店より少し明るくなったと思うよ」
仕様材料が決定した事でアルタの高橋が
「山ちゃん ありがとう 完成が早まるよ」
「よかったね その分丁寧にね」
「任せておいて 後で修正日程をFAXします」
「そうしたら ニーナ・ニーナの筒井さんにもお願いします」
「了解ですよ 筒井さんとは明日お会いしますからその時にでも」
「筒井さんも大変だな 工事ばっかりで」
「違いますよ 久しぶりのゴルフですよ」
「そうか 筒井さんもゴルフをするんだよな」
「そう ほんと久しぶりだそうですよ」
神山と高橋は今後の段取りを決めて祥子に話した
「私のほうは早く完成すればありがたいですわ」
「そうだね 判断が早いから仕事がしやすいよ」
祥子は嬉しそうに神山に小声で
「あなた ありがとう」
祥子は時計を見てもうすぐ10時になるので
「では 私は一足先に失礼します ありがとうございます」
「とんでもないです 朝早くからありがとうございます」
「では 失礼します それと神山さん ちょっと」 
「えっ?」
「日曜日の連絡はちゃんと下さいね」
祥子はそう言い残すと皆にお辞儀をして改札口に向かった
神山も一緒について行き改札口で祥子が
「ほんと 気をつけてくださいね」
「うん わかった ありがとう」

神山は祥子を見送り現場に戻るとサンプルを片付けていた
「悪いけど そのまま置いといてくれないか」
「うん いいけど どうして?」
「例えば 関係者が来た時に話をしやすいから」
「全然構わないよ もう材料は決まったしOKですよ」
高橋は神山に少し厚手の茶封筒を手渡した
「ありがとう」
神山は茶封筒の中を覗いたが5万円どころではなかった
「どうしたの こんなにいっぱい?」
「佐藤部長が社長に話をしたらその金額になった」
「しかし まいったなー」
「まあ お金は有り過ぎて困る事無いでしょ」
「それはそうだけど」
「実際にその写真を使わせてもらうし 安いでしょ」
「そうしたら カメラマンにお手当てをあげるよ」
「その代わり 写真はいっぱい撮って来てね」
「うん 天気も良さそうだし」
「では 気をつけて行って来てください」
「うん 何かあったら携帯に連絡をください」
「そんな野暮はしませんよ ごゆっくり英気を養ってください」
そんな話をしながらシャッターを降ろし別れた
神山は部屋に戻ると 早速銀座の事務所に電話を入れた
「おはようございます 鈴や催事課です」
「おはよう 由香里どの」
「おはようございます あなた」
「なんだ 市川君はどうした」
「今 課長と出て行ったわ 例の話しでしょ」
「よかったな 後はお金か」
「そうね ところで今日はこちらに来られるのでしょ」
「うん 3時に会議だから昼過ぎに行く」
「お昼はどうされますか」
「そうしたら 銀座築地の寿司屋いせ丸に1時でどう?」 
「うれしいわ だけどどうしたの?」
「別になんでもないよ」
「わかりました 1時に待っています」
「込んでいる時間帯だから予約を入れて奥を頼みます」
「分りました 座敷の予約を入れておきます」
「では お願いします」
神山は電話を切るとアルタの佐藤部長へ電話した
「鈴やの神山ですが」
「よう おはよう どうされました」
「佐藤さん たくさん資金を頂きましてありがとうございます」
「いや山ちゃんの仕事だから それに写真の提供も一緒だから」
「ありがとうございます」
「いい写真をいっぱい撮って来て下さいね」
「はい 分りました」
神山はお礼の電話を切って茶封筒の中を改め驚いた
現金50万円と手紙が同封されていて
【御殿場の撮影お願いします このお金は 写真の版権料も
含まれています 少し安いですがお願いします 内藤】
現金の多さにもびっくりだが御殿場にあるホテルの
スイートルーム宿泊券まで入っていた
昨日貰った無料宿泊券よりも更にワンランク上のホテルだった
神山はどうしたものか考えたが 今夜からの旅仕度を始めた
仕度を終え仕事に掛かろうとした時 携帯がなった
「もしもし 祥子です」
「神山です どうかした」
「ううん 今 筒井に今朝の事話したの」
「うん どうなった」
「凄く誉められたわ ありがとう」
「よかったね 本当に」
「神山さんがいるからよ ありがとうございます」
「どうしまして」
「では 気をつけて行って来て下さいね」
「はい 祥子も気をつけて」
「は~い では」
祥子の嬉しそうな声を聞き終え仕事に集中した
今日の会議で必要な書類を揃えると杉田にFAXし
杉田の携帯に電話をした
「神山ですが」 
「はい 杉田です」
「今 今日使う資料をFAXした 後で目を通しておいてください」
「ありがとうございます」
「では 頼んだよ」
神山は電話を切ると 今夜の宿に予約を入れ
他の仕事に集中し何とか出かけられるようになった
小さ目の旅行鞄と仕事の封筒をもって部屋を
出たときは12時30分を廻っていた

これから地下鉄を利用すると間に合わないので車を使う事にした
金曜日の昼間とあって道路は空いていて
13時前に築地のいせ丸に着いた
扉を開けると 思っていた通り歌舞伎座帰りの女性客で
賑わっていたが店員が神山を見つけると奥の座敷に案内した
「ごめん 遅くなった」
「私も今来た所です」
「今夜から出かけることになってごめんね」
「いいえ 嬉しいわ」
そんな会話をしていると襖が開き座卓にビールとお通しが運ばれた
「今日はどうされますか」
「うん 余りゆっくり出来ないから 適当にお願いします」
神山は店員に食事を中心に作ってもらう事を指示した
「では お酒は控えめでいいですか?」
「うん そうだね その代わりビールを2本お願いします」
そう言うと店員はお辞儀をし襖を閉め出て行った 
「どうしたの 今日は すこし豪勢ですね」
「まあ その話は後で ねっ 明日の成功を祈って乾杯」
神山はアルタからの件は後で報告すればいと思って
「由香里と二人きりで来るのは初めてだよな」
「ええ ありがとうございます」






次回は7月12日掲載です
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2012年7月2日月曜日

若葉 1 - 8 Vol. 2



「その前に 自己紹介をしよう 
これから色々な場面で合う事になるからな」
「まず久保君から」
「はい 私は久保祥子です 上原出店のマネージャーをしています」
次に林 浜野とニーナ・ニーナの自己紹介が終った
筒井が 
「まあ皆さんよくご存知だと思いますが 神山さんお願いします」
「はい 私は銀座鈴や催事課の神山と申します
この度 重大なプロジェクトの一員にお招き下さいまして
ありがたく思っています」
神山が終るとアルタの佐藤部長から自己紹介がされ
上原の工事計画の日程などの詳細説明があった
神山は日程を聞いて余裕を感じたが黙っていた
筒井が神山に対して
「神山さん 何かございますか」
随分と改まって言われたので 笑いを堪えながら答えた
「現在 上原店の工事は着々と進行しています
目標の5月半ばにはオープンできるよう 頑張っていますが
勿論 最終的には久保さんに確認をさせてもらいます」
祥子の方を観ながら言ったが彼女はくすっと笑い手で口を隠していた
「神山さん 私のほうにも連絡を下さいね」
筒井が笑いながら催促をしたのでその場の硬い空気はほぐれた
「はい勿論 筒井社長にもご連絡をさせて頂きます ご心配なく」
筒井が催促することなくニーナ・ニーナの林や浜野から質問が出た
上原出店についての質疑応答がなされ大よそのところで皆納得をした
「それでは上原出店についてはこれにて終了
午後から御殿場出店についての会議です これから昼食にしますが
場所をご用意してありますので案内いたします」
筒井は6階の女性スタッフに目配せをして1階で待つよう指示した
エレベーターには全員が乗れない為3回に分かれておりた

浜野やニーナ・ニーナの女性社員が先を歩き 中華料理屋に入った
2階にある中型回転テーブルを2台使う大人数だった
ちょうど6名6名に分かれた
アルタの佐藤と神山 筒井とニーナ・ニーナの女性3名
もう一つのテーブルにはニーナ・ニーナの女性軍が6名となった
「さあ 好きな物を頼んでくれ」
筒井は女性軍のテーブルに向かって注文を促した
「社長 ビールはどうでしょうか?」
年長の林が女性郡を代表して筒井に聞いてきた
「うん 食前酒程度ならOKだ 頼んでいいぞ」
女性軍から呑める事に対してではなく意見が通った事に対して
歓声が上がった
「もう一つ お願いがあるのですが」
「うん なんだ」
「あの~ 神山さんがこちらに来て下さると
食事がいっそう美味しくなると思うのですが 如何でしょうか」
筒井は指名された神山に目で聞いたが OKのサインを出したので
「よし それでは渋谷君はこちらのテーブルに来るように」
筒井は林をわざと残し彼女の動向を探る事にした
神山と渋谷のトレードが終った
各テーブルにビールが置かれたのを見届けて筒井が
「まずはご苦労さん まだ御殿場が残っているが
上原はなんとしても成功させる 乾杯」
みな隣同士でグラスを合わせていた
神山は祥子と同じテーブルについたものの
隣は浜野と林で祥子は正面にいた
「先日はご馳走様でした」
浜野が言った
「いえ こちらこそ 慌しかったですね
そのうち時間を作ってゆっくりご馳走しますよ」
今度は林が
「先日は お忙しいところ
お時間を割いて頂きましてありがとうございました」
「しかし急でしたね」
神山は今回の件をはじめて聞いたように振舞っていた
浜野が神山の忙しさを感じ
「だけど神山さんなら 何でも出来るから大丈夫ですよね」
神山はなんと答えて良いものか考えながら祥子を見てみると
きつい顔で睨み返された
(そんなに だらだらしないで 浜野なんかにでれでれしないでよ)
神山はわざと浜野の話から逃れようとしたが
「私 上原のマネージャーを勤める事が決定しました
今後ともご指導宜しくお願いしますね」
「はあ 凄いですね こちらこそお手やわらかく」
(何とも 二人だけだったら もっと喜んだ表現が出来たのに、、、)
「神山さん 私は来週から地方へいって来ます」
「えっ どうして」
「地方の情報収集をしながら 準備室に必要な物を集めます」
「そんなに早く、、、」
(おかしいな 筒井さん 
林さんは銀座で後継者を育成って言っていたのに)
神山は筒井がなぜ作戦変更をしたのか分らなかったが
よその人事なので 余り気にしなかった
「そうなんです しかし筒井からの命令は絶対なので従います」
「今まで ありがとうございました」
「待ってよ そんな又 お会いする事も出来るのだし
御殿場の後は決まっていませんから 分りませんわ」
「そうですよね ニーナ・ニーナのために頑張りましょう」
「はい 頑張りましょう」
林を観察していた神山は会社の為とはいえ少し同情をした
注文した料理を皆で分け合いながら
会話が進むほどお皿の上は無くなって行った
最後の杏仁デザートを食べ終わったところで筒井が
「では 食後の会議には 林君と久保君は出席の事」
「はい」
「はい」
両名は起立をして聞いた
神山は祥子と最後まで口を利くことは無かったが
目でお互いの気持ちを通じ合わせていたので気にならなかった
列をなして本社ビルに向かう途中で浜野が
「神山さん これから色々とご指導を宜しくお願いしますね」
「ええっ こちらこそ」
神山は浜野の横顔を伺うようにしながら
すばらしいプロポーションの持ち主だとを確認した
「神山さん 私のほうも色々とご指導くださいね」
どきっとした 直ぐ後ろに祥子がいて話を聞いていたのだ
「はい 分りました」
祥子はくすっと笑い 二人を追い越し前に歩く筒井の側にいった
(なんだよ 脅かすなよ)
(でれでれしないでね 格好悪いわよ)                         

筒井とアルタの佐藤は7階の副社長室に入った
先ほど筒井に呼ばれた林と久保は先に6階の会議室に向かい
神山は会議室の予備室で筒井と佐藤を待つ事になった
筒井と佐藤は神山の経費確認をしたり 出店予算の確認をした
二人は会議室予備室で神山と一緒になり 会議室に入っていった
筒井は御殿場アウトレット出店の概要を説明した
施工業者はアルタ 設計、デザイン関係の監修を神山と発表した
更に祥子が関東地区統括マネジャーになることも発表した
祥子は自分が関東地区統括マネジャーになることは
予想をしていなかったし 聞いたとき不安と期待がこみ上げてきた
肩書きは筒井と肩を並べる副社長ではないが職制表で横に並び
あくまでも筒井が社長直轄だが関東地域では肩を並べるようになった
「さて 林君 3日後から御殿場の事務所と住居を
事務の津田靖男君と探してくれ」
「えっ 3日後からですか」
「うん 3日後からだ」
「そんな 銀座の事も何も引継ぎしていないし」
「うん 時間が無いのだ」
「すでに 津田君がめぼしいところを抑えてあるので
状況を把握し吟味して選んで欲しい いいね」
「はい 分りました」
「すまんが 明日午前中は銀座で引継ぎをしてくれたまえ
そして 久保君」
「はい」
「君は明日 銀座で林君から業務を引き継いで欲しい いいね」
「はい 分りましたけれど、、、」
きょとんとしている祥子に
「実際に上原の店舗が動き始めるのは2週間ぐらい掛かる
それまで 銀座できっちりと体制を固める事
それから 神山さん アルタの高橋さんと上原をお願いしますね」
「はい 分りました」
「それから 神山さん御殿場の件もお願いしましたよ」
「はい ニーナ・ニーナのご期待に添えるよう頑張ります」
(とは言ったものの そんなに奇抜な事は出来ないし、、、)
「さあ 御殿場の会議はこれにて終了するが 質問は?」
筒井は時計を見ながら皆に聞いたが誰からも質問はなかった
「では 解散 ご苦労様でした」
神山と佐藤が筒井と話しながら会議室を出ると 一足早く出た
林と祥子やニーナ・ニーナの美女軍団が 整列して待っていた
神山はエレベーターに乗るとき祥子に向かって 頷くと祥子も頷いた
NNビルを出た佐藤と神山は一緒に上原の現場にいった

現場に着くと高橋が佐藤を見て
「部長 どうされたんですか」
「ははは たまには見に来ないとな だいぶ進んだな」
「ええ 天井が解体されれば 後は墨だけですから」
「うん いや今日はね ニーナ・ニーナさんで会議があって
神山部長が御殿場の監修と正式に決まったよ」
「えっ それは良かったですね 動きやすくなるし 山ちゃんおめでとう」
「って 言われても 自身の力じゃないからね 程ほどに」
「まあまあ ご謙遜」
「どうだね高橋君 オープンは」
「ええ 明朝久保さんが確認をしてくれて 正式にGOがかかれば
早いですよ 小田原の工場も空いているそうです」
「そうか 来週の初めくらいだと 5月に入るか?」
「うーん 難しいですね 横浜が8箇所でしょ 大きいのばっかりですし」
「そうだな うーん 急かしてあとから言われるのも嫌だしな」
「でも山ちゃん 結構 理解して進んでいるよね」
「うん なので 大枠で決定すれば 細かいところは微調整できるからね」
「うん そうだね 明日にも聞いてみようかな」
「それで 筒井さんを交えて 最終判断をして貰えばいいと思うよ」
「うん そうする そうそう サンプルが来ていますよ」
神山は壁面サンプルを立てかけ 床材サンプルを手前に置くと
「ねえ 考ちゃん ここの電気はどこ」
高橋は壁面の照明スイッチを入れると神山が
「やっぱりな 多少写りこむね」
「うん これだけの色だから 仕方ないかなって思っているんだけど」
「まあ 什器が来るし あまり気にならないけれどね」
「兎に角 明日ですね」
「うん そうしよう」
二人の話を聞いて佐藤が
「山ちゃん 少し時間空いているかな」
「ええ 今日はもう銀座には戻りませんよ なにか」
「高橋君 ここを閉めて 寿司屋で軽く呑もう」
「はい 分かりました」
高橋は店舗の中を片付けると 神山と一緒に駅前寿司屋に行った

「さあ 来て貰ったのは 特別な話じゃないんだ」
佐藤はビールが来るのを待っていた
女将がすぐにビールと枝豆を持ってくると
「なあ 高橋君 神山部長をどう思う」
「えっ 突然どうしたんですか って言われても スーパーマンですよ」
「そうだろ ところで山ちゃん どうだね うちにこないか」
神山はハットしたが ヘッドハンティングとわかり
「お気持ちだけ頂きます 僕の力を買被りされているんですよ
僕なんて 大した事無いですよ 本当に」
神山は正直 鈴やの社風や職場環境が好きで特に銀座は楽しかった
お金をいくら積まれても 再就職するつもりは無かったが
「それに お給料だって 充分すぎるくらい頂いています」
「うーん 無理か」
その話を聞いた高橋が
「山ちゃん どうだろう ここで結論出さないでさ 考えて ねっ」
神山は高橋をみて頷いた
佐藤が茶封筒をだし神山に手渡すと
「山ちゃん これは内藤から預かってきたんです どうぞ」
神山が中を見ると現金と手紙が入っていた
【山ちゃん お疲れ様 この頃の仕事振りは部下から聞いています
そこで このお金を使って少し休んで英気を養ってきてください 
これから現場が本格的に動き出すと休む事が出来ないと思います
それと宿泊券も入れておきました どうぞ使ってください 内藤】
「わぁ 現金と宿泊券ですよ いいのかなぁー」
「山ちゃん なんて書いてあるの」
神山は内藤のメモを高橋に渡した
「さすが 社長ですね 山ちゃん今度の土日は休みだから
ゆっくりと羽を伸ばして英気を養ってきたら」
「そうしようかな もう4月に入ってゆっくりと休んでいないんだ」
「休んだ方がいいよ」
佐藤が神山にビールを注ぎながら
「私の話と 社長の件は一切関係ありませんから ご心配なく」
「はい わかりました」
3人はビールだけにして おつまみを少々頂きお店を出た

「じゃ 明日は9時ごろでいいのかな?」
「ええ 現場でお待ちしています」
神山は佐藤や高橋と別れると 自分の部屋に戻った
まずシャワーで体をすっきりさせると
内藤から貰った封筒を開けてみた
現金が10万円と無料宿泊券が3枚入っていた
神山は無料宿泊券をインターネットで調べると
結構大きなホテルで 設備や部屋の中もワンランク上の感じがした
冷蔵庫から缶ビールを取り出し呑みながら休みの事を考えていた
「はい神山ですが」
「斉藤です お疲れ様です」
「うん どうでした休みの件」
「その件ですが 今課長に聞いたの」
「そしたら」
「原則は1週間に2回休む事が出来ますって 
しかし現状休めないと思うが 1回は休んで欲しいって」
「そうか 参ったな」
「だけど言っていたわ」
「なんて」
「一区切りついたら 長期で休めって」
「そんな、、、」
「まあ仕方ないでしょ 新部長」
神山と由香里の経緯を知ってか否か 周りで笑いが起こっていた
「なに 今の笑い声 聞いているの」
「まあ そんな所ね」
「参ったよな」
「ちょっと待っていてね 課長に替わるわね」
「奥村ですが 青山の会議 お疲れ様 今 筒井さんから
連絡が入って 大変喜んでいたよ そうそう
休みの件は 山ちゃん 仕方ないよ がんばってください」
「あっ はい分りました しかし出勤についてはどうしますか」 
「本来ならば 部長席にある出勤簿に出勤印を押印するのだが
現場仕事という事で 自己申告になる
そこで 週に2回休んだ事に申告をしてくれればいいですよ」
「そうすると実際の休みは どこかに消えてしまうのですか」
「まあ その時はこちらで調整するよ
一区切りついたら 一杯休んで良いからさ
しかし 最低週に1回は休んでくれよ」
「はい 分りました 一杯休めるよう昼夜励みます」
「おいおい ちゃんと寝てくれよ」
今回もみなが聞いていたのか笑いが起こった
「しかし 山ちゃん 少しでも仕事をしたら
一日は一日だからね 後は何をしても構わないよ
もうタイムカードが無いから そこは時間を上手に使ってよ
どこに行ったって 構わないよ それにその時掛かった
経費は会社から出るようになっているから心配しなくて良いよ」
「はい わかりました ところで課長
今度の土日に御殿場を見て来たいのですが いいですか?」
「うん 銀座が何も無ければ」
「ええ 翔にきちんと伝えておきます」
「こちらは別に何もないからいいよ 上原の現場は?」
「アルタは休みです ニーナ・ニーナも休みだと思います」
「うん 支障がなければいいよ」
「そしたら 斉藤さんも良いですか」
「いいけど 出張扱いにはならないな」
「では公休と有給だったら大丈夫ですよね」
「うん 大丈夫だ でもどうして斉藤さんなんだね」
「だって セミプロカメラマンでしょ 現場撮影と記録です」
「うん分った 気をつけてな 今 替わる」
「斉藤ですが なに今の話」
「課長に頼んで 御殿場出張だ 君は連休で来るのさ」
「えっ そんな話 聞いていませんよ」
「そうだよ 今決まった事だから」
「分りましたけど 何をするの 私」
「うん御殿場の現場はもう更地になっているので
君のカメラで記録写真をお願いしたいのさ」
「わかりました 出張届を出しておきます」
「うん 新幹線と宿の手配を頼む」
神山は新幹線の行き先と大体の時刻
宿泊先は後ほど連絡することで電話を切った
すぐにアルタの高橋に電話した
「神山ですが 高橋さんは居ますか」
「はい 高橋ですが 山ちゃん どうしたの」
「うん お願いがあってさ」
「なんでしょ」 
「実は今度の土日に御殿場に行ってくる」
「えっ はい」
「そこで 記録写真を撮影するんだけど もう一人行きます」
「わかりました 2人分用意すればいいの」
「いや 僕は内藤さんから頂いたから 1人分用意出来ますか」
「そしたら 明日持ってゆきます 片手で足りる?」
「充分だよ ありがとう」
「しかし急だね どうしたの」
「ほら 頂いた宿泊券を見ていたら行きたくなった」
「えっ ほんと 凄いじゃないですか」
「会社に休みの件なんかを聞いていたら生き抜き出来なくてさ」
「なるほど 休めないもんね」
「うん それで御殿場を思いついたのさ」
「だけど 山ちゃん 現場の写真は僕らも欲しくて
来週かその次の週に行こうかと 話が出ていたんですよ」
「じゃあ 撮影をしてくるよ 一杯」
「助かります おねがいします」
「では 明朝9時に」
「了解です」
アルタの電話を切ったその時に又 電話が鳴った
「斉藤です」
「はい どうでした」
「今 全て了承して頂きました」
「うん ありがとう」 
「秘書課長の所でお認めを頂くときに出張届と前借金届けを
店長が覗き込み しかし神山君は迅速ですばらしい
部長にして良かったって言われました」
「えっ 店長に見られたか 参ったな」
「しかし あなた 私そんなにお金ないわよ」
「大丈夫だ アルタに出してもらう」
「そんな 何か嫌だわ」
「まあ聞きなさい アルタも御殿場の写真が欲しいのだ
だからこちらが先行して撮影するので問題はない
それに 今までの事を見ていても 隠して動けないから
この様に堂々と行動をしたほうが得策だよ」
「はい 分りました」
「だから撮影にはフィルムを余分に頼む」
「はい それから 新幹線は自分で購入出来るように前借で
お金を預かってきました」
「うん 明日時間などを連絡する」
「はい 連絡忘れないでね 待っています」
「うん 出来たら午前中にします」
「はい それでは 頑張ってください」
神山は土日の由香里との旅行が楽しみだが 仕事も大事なので
ニーナ・ニーナの祥子に電話をした
「はい 久保です」
「神山です 今日はありがとうございました」
「どういたしまして よろしくお願いしますね」
「それで 今夜だけれど 何処かで食べようよ」
「そうしたら7時に駅前寿司でお願いできるかしら」
「はい では7時に待っています」

駅前寿司は先ほど行ったばかりだが 安くて美味しくて近いので
都合が良く 19時まで仕事に集中出来ると思った
電話連絡から開放された神山は杉田の仕事に集中した
懸案事項があったり 杉田が打ち合わせをしてから発生した
事項もあり一つ一つを解決していくうちに時間を忘れていた
全てが解決し杉田のところにFAXを送ったのは6時を過ぎていた
もう少し早く解決できると思ったが 
物産催事は予算が絡んでいたので遅くなってしまった
もう一度FAXした書類を調べながら缶ビールを呑んでいると
電話がかかってきた
「もしもし 神山ですが」
「はい 杉田です 今頂きました ありがとうございます」
「今 FAXした内容で 詰めてくれ」
「しかしどこからこんな良い考えが 生まれるのですか敬服します」
「そんな事より 頼んだぞ 俺はへとへとだよ」
「そんな 頑張ってくださいよ」
「うん 分った では」
神山は催事課の仕事を終わると 上原の仕事に取り掛かり
祥子が疑問に思うところや 分かり易く説明できるよう図面をみた






次回は7月7日掲載です
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