「ええ それではいい写真が撮れますように 乾杯」
「そうだね 乾杯」
二人が成功祈願の乾杯をした時 こだまはゆっくりと動き出した
改めて由香里を眺めてみると
今夜の由香里はジーンズの共生地で出来た
パンツとベストそしてジャッケットというファッションだった
ベストの下は白い長袖のTシャツを着ていた
少し着こなしているのか からだにぴったりとして
形のいいバストがベストを盛り上げていた
神山はジャッケットを脱いでいるそのバストにちょんと触ったら
由香里は母親が子供の悪さをしかる目で神山を見た
「何しているの そんな事したら お預けよ」
「だって バストが悪いんだよ」
「何を言っているのですか」
「僕に 触って下さいって さっきから伝わってくるよ」
ここが と又触ると ぴしゃっと手を打たれた
「そんな事ばかりしていると ここを切り取りますよ」
由香里は神山のズボンの上から大事な処をぽんと叩かれた
これで二人の女から切り取られる事を告げられた
一昨日は祥子に言われ 今由香里に言われ
女はどうしてここを切り取る事に執着するのだろうと
しかし昔は切り取られて亡くなった人もいたので
冗談は程ほどにしなと 大変な事になると感じた
「もうしないから 機嫌を直しておくれ」
「いや 嫌い す・け・べ」
「だって 魅力的なものは本能が優先だよ」
「うそばっかり 皆に言っているのでしょ」
「そんな事は無いよ そんな事したら由香里の耳に入るだろ」
由香里はそう言われて 神山の浮いた話が入ってこない事を思った
「そうね」
由香里は自分から色々と情報を流すいわゆる『放送局』ではなく
情報が色々な所から入ってくる『アンテナ』だった
「だからさ 口より手が先に動いてしまうのさ」
「わかったわ だけど皆が見ている所ではやめて」
「見ていないよ 皆前を向いているじゃないか」
「分らないもん 後ろを向く人だっているでしょ」
「分るわけ無いよ 誰も気にしていないよ」
「そんな事無いわ いやよ」
由香里はビールを窓際に置きながら外の景色を眺めた
神山は由香里の機嫌を取り戻そうと手を握った時に後ろから
「ご乗車の皆様 乗車券を拝見させて頂きます」
車掌の声が聞こえてきた
由香里が手をすっと引きそ知らぬ顔で外を見ていた
神山が車掌に乗車券を見せ検札を終えると
「分ったから 機嫌を直してね」
「ほ~ら 誰かに見られるでしょ 分った」
「ごめんね」
「まあ 分ったら許してあげる」
由香里は先ほどの顔とは違い笑顔で神山のほほにキスをした
突然の変貌に戸惑う神山に
「キスは挨拶でしょ あなたのはHよ」
「わかったよ いじめるな」
「だって 分っていないでしょ 女心を」
「なんで 一応分っているつもりだよ」
「うそばっかり だったらHしないでしょ」
「触って下さいって言っているバストがいけないのだ」
「またそんな言い訳をして」
しかし 由香里は形のいいバストを誉められ許す気にした
「だけど 今度Hする時は二人だけの時にしてね」
「分りました ごめんね」
「では ご褒美になでなでしてあげる」
由香里はさきほど叩いた大事な処を軟らかく触った
「だめだよ 元気になってしまうよ」
「いいじゃない 元気なほうが 私元気が好きよ」
「ごめん 勘弁してくれよ 本当に」
由香里は神山が言うのも聞かず更に動きを早くしていると
神山の下半身に変化が生じてきた
こだまは小田原駅を出発した時 車内には二人だけになった
神山は熱海まで車掌が来ない事を知っていたので由香里を反撃した
由香里のバストをTシャツの上から愛撫を始めると
「また 何しているの いや」
由香里の『いや』は先ほどと違い感じている『いや』だった
下半身を触っている手の動きが 尋常でない事が物語っていた
神山の手もバストを柔らかく 時々きつく愛撫をしていると
「ねぇ お願いだから止めて かんにんして」
「どうしたの そうしたらHを止めようか?」
「いじわる だけど止めて お願いだから」
「本当に止めていいの?」
由香里は顔をピンク色に染めて神山に言った
「うん 止めて」
神山が手を止めると由香里は席を立った
「どうした まだ早いよ 席を立つのは」
「ちょっと おトイレに行ってきます」
「うん だけど もうすぐ熱海だよ」
「だけど、、、」
「我慢できない?」
「えぇ すぐに戻ります」
「分った 荷物は僕が持ってドアに居るよ」
「えぇ お願い あなたがいけないのよ」
由香里の声は最後が小さい声になって聞き取れなかった
「では 急いでね」
神山も席を立ち棚から荷物を降ろしドアに向かった
由香里がトイレから出て来た時に熱海に到着した
「大丈夫?」
「何言っているの あなたが悪戯したからいけないのでしょ」
「えっ」
「なにとぼけているの いやっ」
「分らない事で怒らないでよ」
「本当に し・ら・な・い」
二人は熱海の改札口を出て乗車待ちしているタクシーに乗った
「網代の清碧旅館までお願いします」
運転手はにこやかな顔で頷いた
「ねえ 大丈夫?」
「何が?」
「だって こっち」
由香里は運転手に分らないように親指と人差し指で和を作った
「大丈夫 安心してください」
由香里はそれを聞いて神山の胸に寄りかかってきた
そんないじらしい仕草を可愛らしく思い
ジーパンのももを優しく触ったら由香里は頭を起こして
「だめ もうやめて お願いだから」
運転手に聞こえないよう耳元で囁いて来た
神山も小声で
「どうしたの?」
由香里は音がしないようにジッパーを開き神山の手を
ショーツの中にある秘所に導き触らせた
そこは温かく湿った所でぬめりがある液体で溢れていた
「分った あなたが悪いのよ」
由香里はそう言うと神山の手をひっぱり出し
「だから お願いだから止めて でないとお預けよ」
「分った」
二人の会話はエンジンの音でかき消されていた
「そうしたら 新幹線でもそうだったの」
由香里は少しうつむき
「えぇ だから止めて 歩けなくなるから」
「だけど どうしたの」
「ばか 分らないの」
「だから聞いているんだろ」
「あ・と・で」
そんな話をしていると網代の清碧旅館についた
予め電話で予約をしていたので若女将が出迎えた
「いらっしゃいませ 神山様 ありがとうございます」
「こんばんわ お願いします」
「今夜は離れをご用意させて頂きました」
「ありがとう」
「お食事は お風呂の後でよろしいでしょうか」
「ええ お願いします」
若女将は離れを案内し下がるときに
「準備が整うまで ここに御用意させて頂きました
地元の物を味わってくださいませ」
若女将は丁寧にお辞儀をして襖を閉めた
由香里は神山に抱きつくとキスをしてきた
そんな由香里と戯れたかったが
「由香里 はやく風呂に入ろうよ」
「えぇ そうしましょ」
離れの風呂は露天風呂で部屋から少し離れた所にあった
着替えの浴衣やバスタオルを持って露天風呂に入った
「そうだ ビールを呑もうか?」
「そうね お願いしてもいい?」
「OK 持って行くよ 先に入って」
「ええ」
神山は缶ビールと盆に乗っている刺身を持って風呂場に行った時は
由香里はすでに着ている物を脱ぎ湯船に浸かっていた
神山は盆と缶ビールを湯船の縁に置き自分も裸になった
「ようし 久しぶりの休息だ ゆっくりしようね由香里」
「そうね ゆっくりしましょ」
神山の下半身は元気いっぱいの状態だった
由香里はそれを見て くすっと笑いながら
「なに考えているの ゆっくりとするのでしょ」
「まあ 気持ちと下半身は別物でして なんと言っていいやら」
「早く着て お元気さん」
由香里は両手を広げ神山を向かい入れようとした
神山もすぐに湯船に入り由香里をしっかりと抱きしめた
「私 幸せよ あなたにこんなに愛してもらえるなんて」
由香里は交わりも大切だと思っているが心の絆を大切にしていた
「ありがとう」
熱いキスを繰り返していると部屋の中が慌しくなってきた
部屋と露天風呂との間には竹の衝立があり
部屋からは露天風呂が見えないようになってはいたが
由香里はすぐにからだを解し神山に背を向けて夜空を見た
神山は小声で
「由香里 大丈夫だよ 見えないから こっちにおいで」
「綺麗ですね 東京では見る事が出来ないわ」
わざと部屋に聞こえるような声で語りかけてきた
「そうだね ここでしか見られないと思うよ」
「幸せだわ あなた」
由香里はそう言うと神山にキスをした
「なに 何するの?」
神山は由香里の行動に戸惑い小声で聞いた
「だって 素敵な夜空の下では自然でしょ」
由香里は声のトーンを変える事なく答えた
そんな話をしていると襖の閉まる音が聞こえた
「びっくりしたよ どうしたの?」
「だって 自然でしょ その方が」
神山は言われて気が付いた
(女性はそこに至るまでの工程を大切にしているのだ)
(まだまだ 修行が足りないな)
暫く夜空の星を眺めていると
「神山様 お食事のご用意が整いました」
部屋から若女将の声が聞こえた
「はい ありがとうございます 今戻ります」
「どうぞ ごゆっくりしてください お上がりになられましたら
テーブルの呼び鈴を押してご連絡をお願いいたします」
「はい わかりました ありがとう」
「では 失礼いたします」
若女将は誰も座っていない
テーブルに向かってお辞儀をして出て行った
「さあ どうする 由香里」
神山は 由香里の正面に立ち元気君を見せると
「ば~か なにやっているの 早く頂きましょ」
「なんだよ 元気にしておいて」
「分ったわ 食事の前にこちらを頂くわね」
由香里は元気になった肉棒を咥えしゃぶり始め
最初はゆっくり そして両手を添え動かし始めた
しかし神山がほどよい硬さになる前に止め
「美味しかったわ 味わうのはお食事のあとね」
「もう どうするの こんなにかちんかちんだぞ」
「いいの そのままがんばってね」
そんな話をしながら浴衣に着替え部屋に戻ってみると
テーブルには趣向を凝らした料理が所狭しと並べられていた
「凄いわ あなた こんなに 美味しそうなお料理ばかり」
「喜んでもらって嬉しいよ」
テーブルには伊勢海老やくろだいの船盛や鮮魚のオンパレードだった
席につき神山が呼び鈴を押すと暫く経って若女将が襖を開けた
「本日は この様なところにご宿泊頂きましてありがとうございます」
「こちらこそ 宜しくお願いしますね」
「はい それではこちらに火を入れさせて頂きます」
「お願いします」
若女将が小さな七輪に火を入れ
「このかつおは ここではめったに捕れない早鰹です」
一口大の鰹を火であぶり取り皿に置いていった
「どうぞ お召し上がりくださいませ 温かくても美味しいですよ」
「初めて 温かい あぶりを頂くの」
「普通は 冷ましますけど あぶりたても美味しいですよ」
由香里はすぐにたれに付け口に運んだ
「おいしい~ 本当に美味しい」
「よかったです お褒め頂きまして」
神山も若女将の勧めるあぶりを口に運んだ
「若女将 美味しいです ありがとう」
「気に入って頂いて 恐縮です」
二人は若女将があぶってくれた鰹を無言で口に運んだ
お酒を呑む事を忘れていた神山は
「若女将 日本酒をください」
「はい かしこまりました」
鰹のあぶりを済ませると 日本酒を用意する為部屋を出た
神山は冷蔵庫からビールを出しコップに注ぎ
「では 改めて 乾杯」
「はい 乾杯」
由香里も神山も鮮魚を味わっていた
ビールを呑み終えた頃 若女将が日本酒を持ってきた
一緒に漬けタレも用意し
「このタレはあぶりが冷めてから使って下さい
又一味違った美味しさですよ」
「気を使ってくれてありがとう」
「では ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
「うん」
「お下げの御用は こちらの呼び鈴でお願いします」
「はい 分りました」
若女将は先ほどと同じように深くお辞儀をし襖を閉めた
由香里も神山も並んでいる料理を味わいながら口に運び
「こんなに美味しいのは初めてよ」
「よかったよ 僕と居るからだろ」
「そうね だけど新鮮で美味しいわ」
「男も新鮮なほうが美味しいのかな」
「ば~か 何言っているの 食事中に」
「だから聞いたんじゃないか」
「しらない だったら女性は?」
「うん それなりにいいよ」
「ほら そうやって誤魔化す」
「違うってば そんな」
「男も女も 関係有りません 何考えているの」
「ごめん そんなに怒るなよ」
「いくら部長さんでも許せないわ」
「分った ごめん だから機嫌を直しておくれ」
「いやっ」
「どうしたらいい」
「私の前に来て 謝りなさい」
神山はこんなに強く自分をはっきりと主張する
由香里の姿を見た事が無く 恐ろしくなり
彼女の 膝に近いところで頭を下げた
「ごめんなさい もう二度と言いません」
「本当に 分ってくれた」
神山はまだ頭を上げずに答えた
「はい 恋愛の差別をしません ごめんなさい」
由香里は神山の髪の毛をゆっくりと触り始め
「私に対して 失礼よ あなたしか思っていないのに」
由香里は少し涙声になっていたが 頭を上げずに聞いていた
「さっきの様な事言われたら わたしどうすればいいの
あなたをこんなに 愛しているのに、、、」
神山は自分の頭で由香里の膝頭を割って前に進み
はだけた浴衣の中に頭を滑り込ませたが
由香里は 神山の頭を上げ自分の正面に向けた
神山は今まで見た事が無い由香里の顔を見た
たとえ様が無いくらい美しく愛らしい顔をしていた
無言でごめんとうなずきキスをすると
由香里はすぐに反応し背をそらした
由香里の機嫌を取り直し 神山は席に戻りビールで
「由香里 やり直しの乾杯だ」
「もう なによ その気にさせておいて ば~か」
「よかった 元気になって」
「何言っているの 自分が変な事言うから いけないのでしょ」
「では 乾杯しようよ ねっ」
「は~い おばかさんに乾杯」
仲直りをして 鮮魚を堪能し美味しい日本酒もあれこれ味見した
由香里も神山もアルコールは強かったが
今晩は二人きりと言う特別な空気が酔いを早めた
先に由香里が
「私 そんなに呑んでいないのに 少し廻ったかしら」
「うん 普段より顔が赤いよ」
「やだっ あなたも 今夜どうしたの? 赤いわよ」
「うん 顔がぽかぽかしている おかしいよ」
「私も ぽかぽかしているわ」
「そうしたら 片付けてもらおうか」
「そうね」
神山は呼び鈴で仲居を呼んだが 若女将が襖を開けた
「おじゃまします」
「こちらの片づけをお願いします」
「はい かしこまりました デザートをお持ちしました」
「ありがとうございます」
「食べ終わりましたら お呼びください すぐに伺います」
「どうもありがとう」
若女将は二人が食べた夕食の食器類を片付けながら答え
大きな箱盆にのせ部屋を出て行った
デザートは大きなガラスの器に盛られていて豪勢だった
普段は余り食べない神山も空間が違うのかよく食べた
由香里も東京では食べられない味わいに満喫していた
「あ~ よく食べた お腹一杯だよ」
「ええ 私も 美味しかったわ」
神山が呼び鈴で仲居を呼んだ
すぐに若女将が襖を開け
「如何でしたか お口に合いましたでしょうか」
「ええ ご馳走様でした」
「こちらを片付けましたら 床をご用意させて頂きますが」
「うん お願いします」
「よろしければ 下の露天浴場もご堪能下さいませ」
「混浴ですか?」
「いいえ 家族風呂ですよ
今の時間は空いていますがどうされますか」
神山は由香里の顔を見てみると頷いたので
「では 伺いますので お願いします」
「はい 分りました その間にご用意させて頂きます」
二人は若女将が去ると 指示された家族風呂に向かった
石畳の階段を進むと竹で出来た門があり中から湯気が立っていた
広さは内風呂より広かったが造りは殆ど一緒だったが
湯船の底が浅い所と深い所と段差があった
浅い所は子供が倒れても沈まないくらい浅く
深いところは家庭用の深さと一緒位だった
由香里と神山は浴衣を脱ぎシャワーで躰を流すと
どちらかとも無くキスをし抱き合った
「さあ 由香里 本当に二人っきりだよ」
「うれしいわ あなた」
由香里は更に強く 神山に抱きついた
神山も由香里を抱きながら下半身を由香里に押し付けると
「ねぇ そのままよ」
由香里はその場で跪くと神山の肉棒を咥えこんだ
「由香里 だめだよ 欲しくなる」
「ほんと だったら もっと元気になって あなた」
そう言うと口を上下するだけではなく 両手も使い始めた
神山はたまらなくなり
「由香里 ほらここに座ってごらん」
神山は浅い湯船の縁に由香里を座らせると
自分は湯に浸かり由香里の大事な処を口で愛撫した
由香里の足は神山の頭を挟むようだったが
そのうちに開き天を向く様になった
躰も上半身は反って頭は完全に後ろ向きになっていた
「ねぇ やめて お願い」
「いいでしょ 感じているのだから」
「だめ あなたが欲しいの ねぇ 早く入れて」
「何を入れるの?」
神山は口で愛撫しながら人差し指を小さな入り口に入れた
もう入り口のまわりはぬめりがあり体液で溢れていたので
すんなりと抵抗無く挿入する事が出来た
由香里は自分から腰を前後にゆっくりと動かし始め
「お願いだから あなたのが欲しい」
「なにが欲しいの ちゃんと言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
由香里は小さな声で言った
「聞こえないよ もっと大きな声で言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
そう言うと 由香里は反らしていた躰をもどし
今度は背中を丸めるようにして
「お願い おちんちんを頂戴」
言うが早いか手が早いか 神山の肉棒を掴んだ
由香里は縁に向かい四つんばいになり神山の肉棒を後ろから誘った
神山も我慢できずに由香里の中に入った
由香里は我慢に我慢を重ねたが
「ねえ もうだめ いきそうです」
「僕もだめだ」
二人は一緒に昇天し 浅い湯船に倒れこんだ
岸壁に打ち寄せる波の音と海の香りがする風に酔っていた
下半身しか湯に浸かっていなくてもからだは温かかった
両手を神山に絡め夜空を見ながら
「私 夢を見ているのかしら 幸せよ」
「現実だよ」
「だったら さめないで欲しいわ この夢が」
「さめないよ」
「ほんと? 一人にしないでね」
「うん わかった」
神山は由香里を手放したくないので言ってしまった
「しかし ここ一年ではなくもっと大変なんだ」
「なあに それ」
「ニーナ・ニーナが三重にも出店する予定がある」
「ほんと」
「うん 昨日の会議で発表された」
「そうしたら 大変ね」
「うん どこまで出来るか分らないけど」
由香里は神山の腕を掴むと硬く自分の前で組んだ
暫くそのままの格好で湯に浸かっていると石畳の階段に
下駄の音が響いてきたので あわてて浴衣を羽織 帰る準備をした
施錠してある竹の扉が叩かれ
「すみません 交代をお願いできますか」
「ええ もう少しで出ますから待ってください」
由香里も神山も仕度は出来ていたが
平常心を取り戻すのに時間がかかった
「お待たせしました」
神山は由香里を背にし交代で入ってくる客に言った
「ありがとうございます」
まだ20代の青年は背が高く体格もがっちりしていて
横にいる女性はまだあどけなさが残っていた
部屋に戻ると床が用意されていたが 由香里が
「ねぇ 内風呂でビールを呑まないですか」
「うん そうしようか」
由香里は冷蔵庫からビールとコップを用意し露天風呂に運んだ
お互い浴衣脱ぎ湯船に浸かった
由香里は用意したビールをコップにそそぎ
「では あなたの仕事を祈って乾杯です」
「うん ありがとう」
ビールを飲干した後 神山は市川の動向を聞いた
今日昼過ぎに 喫茶レイで市川と話していただけに気になった
由香里は市川の心の動きをかいつまんで説明した
「大輔もこれで懲りただろうな でなければだめだ」
「だったら あ・な・た・は どうなの?」
「なにが」
「だって 市川さんより素敵よ だけど女心を分っている?」
「また 女心か まいったな」
「そうよ 本当の意味でいったら 市川さんのほうが、、、」
由香里はそこまで言って 言葉を止めた
「なんだよ そんな女心 女心って 多少分っているつもりだよ」
由香里は神山を怒らせてしまった事に反省していた
しかし由香里は自分に対し真剣に愛してくれていると
そう思うと もっと私『女』の事を分って欲しいと思った
今までも外見の美しさとかプロポーションの良さとか
本質で無い部分で誉められ 彼女自身それが本質を
認められていると勘違いしたときもあった
しかし 結局はからだの関係だけを求められたり
物に対する価値観が違ったりし 幻滅した事が多かった
食に対しても 誘われるままデートをした時でも
普段言っている事と全然違う物が好きだったり
言い寄ってくる男性は信用していなかった
昨年 神山が銀座の催事課に来た時は
多分この人もカッコだけの人物だろうと値踏みをしていたが
仕事内容や浮いた話が無い事から信頼感が生まれた
歓送迎会のとき酔いつぶれ介抱したときも
本当はその夜 何も無かった
ただ 神山が本当に『男』か否かを見てみたかった
今でも覚えている事は
起きた時に動ぜず堂々とした態度が好きだった
由香里はどうにも動かない神山をはだかにして
ベッドに寝かせ 自分も裸になって布団をかぶった
すっかり寝ている神山に明朝どのような行動をとるか
期待と不安がいりまじり寝付けなかったことを
今でも鮮明に記憶していた
走馬灯のように色々な場面を思い出していると
「ごめんな そんなに怒るなよ」
神山は由香里の両ほほを優しく挟みキスをした
由香里は涙目で
「ううん ごめんね 私が悪かったわ 許してごめんなさい」
あれだけ非難しておいてこの言葉の意味はなんだろうと考えた
「あなたが大好きよ 離さないで」
神山は由香里をこちらに向かせ自分に乗せた状態にした
顔と顔がすぐ近くにあった
「由香里が変なこと言うから 元気なくなったぞ」
神山は元気の無い下半身を由香里の秘所に当て動かした
由香里は涙をこらえ作り笑いをして
「いやよ 元気が無いの きらい」
涙声で神山に訴えた
「どうしたんだ おかしいぞ」
「おかしくしたのは あなたよ」
「ごめん 笑ってごらん」
由香里はもう涙が溢れていたが 一生懸命に笑った
神山も尋常でない由香里を見たが力いっぱい抱きしめた
由香里は 神山の肩に顔をうずめ
「ねぇ 本当に私のこと愛している?」
神山は 詰められた心に動揺が走ったが
「うん 愛している」
半分は本当で 半分はうそをついてしまった
「ほんと?」
「うん」
「由香里のどこが好き」
女性の大半はこの様な場面になると出てくる言葉である
この一言が出て来た事によって 男性は彼女に対する
主導権を放棄させられ 彼女の我侭を助長させる火種になる
神山も今まで何人かの女性達から聞いてきた言葉を
由香里の口から出るとは思っていなかったので戸惑った
「まず ここ」
神山は由香里の秘所に触れ手で合図を送った
「それだけ?」
「そして ここ」
今度は指先で両方の乳首を優しくつねった
「それからどこ?」
最後に右の手のひらを由香里の心臓にあてた
「うん あなた 愛している」
神山は情熱的なそれも燃えると激しい由香里をみた
由香里は好きだった人に愛していると言われ心が燃えた
「ねぇ あなた さっきはごめんなさい 許して」
「うん いいよ」
「あなた 立って」
「どうするの」
由香里は神山を湯船の縁に座らせた
足を開かせると由香里の顔が神山の肉棒に近づいた
「ごめんなさい 大きくなって」
由香里は神山の肉棒を咥え 両手も加わり逞しい姿にすると
立ち上がり肉棒の上に座り込む格好になった
顔と顔がすぐ傍にあるので長いキスを交わしたり仰け反ったり
由香里の動きが尋常ではなかった
膝を曲げて上下に動いたり 足を伸ばして前後に動いたり
なにかに取り付かれたように躰が動いていた
神山はこみ上げてくる快感を我慢できずに発射した
由香里は神山の体液が自分の中に来た事を感じると昇天した
二人は抱き合ったまま余韻を楽しんでいた
次回は7月22日掲載です
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