開催してから30分が過ぎただろうか 市川が
「皆様 大変お待たせしました 最後のお客様が御付きになりました
お客様がご着席後 神山部長からのご挨拶を頂きます
もう暫く お待ちください」
会場は静寂し 誰が来るのだとひそひそ話が始まった
暫くして筒井社長を先頭にニーナ・ニーナの面々が現れた
神山は驚きを隠せず 池上社長に尋ねた
「うん ニーナ・ニーナの仕事をしている事を
ここに来ている取引先の人達に認知してもらいたいし
山ちゃんの仕事振りを 披露するつもりだよ」
「えっ そんな 聞いていないですよ そんなぁ、、、」
「大丈夫ですよ 私が殆ど代弁しますから」
右脇に座っているアルタの内藤が助太刀をしてくれた
筒井達は立ったままで神山に挨拶しようとしたので
慌てて神山も立ち上がると
「そのままでいいですよ」
「いえ そんな事はないですよ」
「おう そうだそうだ 起立したほうが絵になるぞ~」
倉元の言葉で社員はもとより取引先全員が起立した
「今回の受賞は鈴やだけではなく 銀座に新風を吹き込み
刺激活性剤となられた功績は 大変意義があるところです
私どもニーナ・ニーナにもお力を貸して頂き
大変喜んでいる次第です
上原の、、、、、、、、、、、、、、、、、、、です
以上 簡単ですが 今後も鈴や そしてニーナ・ニーナを
今まで以上に可愛がってくださる事を
お願いし祝辞に変えさせて頂きます」
「ありがとうございました
次にニーナ・ニーナからお祝いの花が贈呈されます」
案内されると筒井の後ろにいた久保が
大きなバラの花束を持って来て
「神山部長 受賞おめでとうございます
そして ニーナ・ニーナのお力になって頂き
ありがとうございます
このバラはニーナ・ニーナの気持ちです
本当におめでとうございます」
久保が神山に花束を手渡すと 会場から一斉に大きな拍手が沸いた
「えー それでは神山部長に 受賞の感想を伺いたいと思います
神山部長 準備のほうは、、、」
(なんだよ 聞いていないぞ 突然に)
「はい OK」
「では 神山部長 お願いします」
「えー 今回の受賞で ご多忙の中 皆様にこのような盛大な
祝賀会を開催して頂き驚いています 御礼を申し上げます
受賞の感想を一言で言い表せば 嬉しいの一言ですが
しかしこのコンテストは、、、、、、、、、、、、、、、です
今後も 私自身も頑張りますので 鈴やを そして
ニーナ・ニーナを宜しくお願いします」
神山の挨拶が終わり お辞儀をすると銀座中に聞こえるような
大きな拍手が鳴り止まなかった
祝辞は続いた
神山の左側 池上店長 右側内藤社長 最後に細川社長
細川社長の祝辞が終った処で 本格的に料理が運ばれてきた
この時 市川が立ち上がって
「えー お取引の皆様にお願いがございます 出来るだけ
男女仲良く交互に座って頂けると 親睦が深まると思いますので
我こそは と 思われる方 私はとアピールされたい方
どうぞこの機会に席替えをお願いしま~す
そして お食事の後は 簡単な嬉しいゲームがございます」
市川の号令で
慣れている取引先面々は自由に席を替わっていった
神山は会場を見てみると
男性のほうが多く女性は3割程度だった
みなの席替えが終った時に
造花屋の社長がデコレーターを連れ現れた
市川が早速
「皆様 すみませんでした 最後の最後お取引様がお越しです」
「市川さん すみません 遅くなりまして」
「うん しょがないよ 上座のご挨拶と奥村さんに挨拶してね
席は人数分用意してあるからさ 大丈夫だよ」
「本当に わがまま言いましてすみません」
最後に現れた造花屋『七変化』の社長 田丸昭二は先日の
全店プロモーションで使用した会社だった
池上社長の席に行き
「先日は 本当にご迷惑をお掛けしました
申し訳ございませんでした
以後気をつけますので 宜しくお願いします」
田丸はがっしりした体格だがお辞儀をすると小さく見えた
「うん 頼むよ」
店長への挨拶が終ると販促部長や奥村課長 倉元と進み
「神山部長 今回の受賞 おめでとうございます
先日の件も色々とご配慮頂きありがとうございます」
「うん ありがとう これから間違わないよう頼むね」
「はい 分りました ありがとうございます」
社長の挨拶が終ると社員のデコレーター飯星茜が
真っ赤なバラを差し出し
「神山部長 受賞おめでとうございます
これからもご期待に添うよう頑張りますので ご指導お願いします」
飯星は祝辞を終るとバラを手渡し 真剣な眼差しで神山を見据えた
神山も何時も打ち合わせに来る飯星を知っているが
今日は綺麗だと感じ
「うん これからも鈴やの為にがんばってね ありがとう」
社長が奥村をちらっと見て 封筒を差し出し奥村にサインを送った
奥村は承知のサインで頷き返した
「神山部長 これはお祝いです 納めてください」
差し出された封筒を受け取る前に奥村を見ると頷いているので
「はい ありがとうございます」
丁寧にお辞儀をして受け取った その後 細川が
「ねえ 茜ちゃん どう 私の所に来ない?
私 何時も貴方の仕事振り見ているけど どう?」
細川社長から何時も誘われているのだろう 茜は
「はい ありがとうございます しかし田丸も優しいし、、、」
「そう 残念ね~」
「細川社長 そんな苛めないでくださいよ
今 飯星君に出て行かれては うちはつぶれてしまいます」
お互い造花屋とファッションデコレーションと業種こそ違うが
中味は共通している所が多いので 業界では移籍がよくある
特にデコレーター集団『スーパーデコ』は銀座の美味しい所に
全て入っているので 人手不足になっていて新しいデコレーターを
何時も採用している事情があった
七変化のメンバーも挨拶を済ませると
空いている席にばらばらに座った
会場内はみなの笑い声が混じる声で 宴たけなわになった
由香里を探すが先ほどから見当たらないので 倉元に聞いてみると
「おう 多分会計で部屋の外で計算しているのだろう」
この催事課が行うこのような祝賀会 親睦会では一人あたりの
参加費用が決まっていて その他に『気持ち』を参加費に上乗せし
みな親睦会 祝賀会に参加している
「すみません ちょっと中座します ビールばかりで」
隣に座っている池上店長に断り席を立った
「そうだな ワシも中座しよう」
二人は群がっている取引先に断り席を立った
部屋を出たところで由香里と合い 仲居と料理の清算をしていたが
「どうしたの お二人で なにか有ったの?」
「いやいや たまたま一緒さ なっ 山ちゃん」
「はい 漏らさないでね」
由香里は神山を心配していた
「しかし 山ちゃん 凄いな ご祝儀」
「いえいえ 皆さんのお力ですから 後で催事課に行きますよ」
「そうか しかし催事課はちゃんと貰っているので納めておけば」
「そうなんですか?」
「うん 昔からの慣例ですよ 大丈夫だよ」
「はい でも一応奥村課長には報告しておきます」
「うん そうだな」
「親睦会のノリは体験しているんですが 祝賀会は凄いですね」
「うん しかしこんなに集まったのは初めてじゃないかな」
「そうなんですか?」
「うん いつもここで行われるけど
奥座敷まで利用したのは初めてだよ」
「へぇー そうなんですか」
「みな 山ちゃんに期待しているんだよ 頑張ってな
そうだ これはワシからのお祝い金じゃ」
「えっ そんな」
「いいんだよ 気持ちじゃ 少ないけどな ははは」
「それでは ありがとうございます 頂きます」
話をしていると 化粧室についた
ここは各部屋に仕切られていて 個室になっている
早速小用を済ませ手を洗うと 頂いた封筒を覗いてみた
最初はアルタの内藤10万円 スーパーデコの細川5万円
七変化の田丸5万円 店長5万円
(えっ~ 凄い 25万も、、、しかし、、、)
少し貰いすぎだと感じながらも悪い気はしなかった
神山はスーパーデコの
山崎愛からの封筒が気になったので開けてみた
びっくりした コンドームが入っていて メッセージには
【時間を作ります 素敵な夜を楽しみましょう
受賞 本当に本当に おめでとうございますわたし嬉しいです】
神山はこれは他人に見られると絶対にまずいと思い
パンツの後ろポケットにしまい
同じくスーパーデコの佐々木艶子から貰った封筒も開けた
【受賞 おめでとうございます 空いた時間で楽しいひと時を
あなたと過ごしたいですわ お返事をお待ちしています】
同封されていたのは 北海道の無料旅行券だった
(わぁー これも絶対にまずいな もう、、、)
神山は同じくパンツの後ろポケットにしまった
スーパーデコのあと2名も同じ内容だとまずいと思い
パンツの後ろポケットにしまった
余り長居をしていると 変に思われるので出てみると
取引先の面々も化粧室に入っていった
部屋に入る時 丁度清算を終え部屋に入る由香里をつかまえ
「ねえ ご祝儀を一杯貰ったけど 全部課長に報告しようか」
「大丈夫よ 課長はそんな事気にしないから 納めておきなさい」
「ほんと 報告なしで?」
「ええ 今までも倉さん そんことした事ないわ
ただ『取引先からご祝儀を頂きました』の報告でいいわよ」
「うん そうする 今夜分かれる時にでも」
「そうね しかしほんと凄いわ 奥座敷まで一杯になるのって
私 初めての経験よ それに初参加の取引さんも結構きているし」
「そうなんだ さっき店長も驚かれていたよ」
「さあ 部屋に入って 皆さんのお相手しなさい」
由香里がお尻を押したのでつまずきそうになると
「凄い お尻のポケットまで 一杯」
「違うよ これは、、、ちょっと、、、手紙さ、、、」
うそは言いたくなかったが しかし怪しい手紙は手紙だった
由香里はきつい眼差しで
「貴方は私のものよ わかっているでしょ」
神山はここで言い争いをしたくないので
「分っているよ さあ 部屋に入ろう 由香里先に入って」
「ええ」
今度は神山が由香里のお尻を優しくなでた
「ば~か 何するの 後ろで見られるわよ」
神山に振り向き少し口を尖らせ小声で言った
今日の由香里は淡い黄緑のワンピース姿だった
白いベルトがアクセントになっていてとても爽やかな感じがした
普段見かける事のない姿だったので見とれながら入ると
すれ違いに祥子が部屋から出ようとしていた
神山は言葉を発しないで居ると お辞儀をしながら
「今夜 お部屋で待っています 何時でも構いません」
と 小声で伝え化粧室に向かった
席に戻ると 取引さの人達が溢れていたが
今度は自分から 席に座っている取引先にお酌をして廻った
「なあ 倉さん 山ちゃん 出来ているな」
「ええ ちゃんと弁えていますね 出来てますね」
「倉さんも確かそうしていたね」
「店長も良く覚えていらっしゃいますね」
「ははは それは銀座の顔 倉さんの事だもんな」
「いやぁ 恐れ入ります」
池上と倉元はもっと話そうとしたが取引先に裂かれた
神山が順番にお酌をしていると スーパーデコの山崎愛の席に来た
「ね~え ぶちょ~お さっきの手紙読んでくれた ぶちょ~う」
普段 酒に強い山崎だが
今日はこの雰囲気で酔ってしまったのだろう
「うん まだだ 自宅でゆっくり見るよ」
そう言ってこれ以上突っ込まれたくないので
隣りにお酌をして離れた
それを見ていた倉元と奥村は
「倉さん」
「おう」
「由香里姫のライバル 増えましたね」
「おう そうだな しかし愛ちゃんだが
山ちゃんが昨年銀座に着ただろ」
「ええ」
「その前から 知っていたそうだ」
「上野時代からですか?」
「おう 何でも 愛ちゃん自身は上野担当ではないが
人が少なくて 応援で手伝いに行った時に困っていると
優しく適切なアドバイスで 仕事が早く済んだ事を言っていた」
「ほぉ~ そうするとほんと 由香里姫のライバルですね」
そんな話をしていると
ニーナ・ニーナの祥子が化粧室から戻ってきた
「しかし 奥ちゃん 大本命は彼女だろう」
「そうですね 上手く行けば筒井さんも喜びますしね」
「おう その通り」
そんな話をしている処へ神山がお酌をしにきた
「倉さん 課長 ありがとうございます 盛大にして頂きまして」
「おう がんばれよ」
「そうだよ 来年もがんばれよ」
「はい 来年はニーナ・ニーナやアルタが有るみたいで、、、」
「おう そうだったな まあ来年はオレに任せろ」
「はい そうします」
「おう しかし よくやった 嬉しいぞ なぁ奥ちゃん」
「ええ 私も鼻が高いですよ」
「ありがとうございます
ところで 実は店長を始め 皆様からご祝儀を頂きました」
「おう 良かったな 貯金しておけ なぁ奥ちゃん」
「ええ 将来の為に貯金しておきなさい」
神山は二人に対し 額が畳に付く位お辞儀をし
「これからも 頑張りますのでお願いします」
と 言うと 脇から内藤や店長 細川 筒井なども次々に
「こちらこそ 頼んだよ 山ちゃん」
激励の言葉を掛けられ 胸が熱くなった
宴たけなわそろそろお酒が廻ってきたのか 顔を真っ赤にし
男性も女性もアルコールのせいで熱くなったのか上着を脱いでいた
神山は大事なお金が入っているので我慢をして
ジャケットは着用したままだった
会場の顔色を見てタイミングよく市川が
「それでは 恒例の『お尻合いゲーム』を行います
真中のテーブルは片付けますので
お土産の方は仲居さんに申し出て下さい
くれぐれも ご自分の分だけでお願いしまーす」
(市川のスピーチは大した物だと何時も感心させられる
今回もこのようにざわざわしているのに タイミングがいい)
「尚 準備の為 少しお時間を頂きます
商品はこちらにございますので お好きなのを選んで下さい」
市川の案内が終ると 仲井達が一斉にテーブルを片付け始め
中には お土産にするからと申し出ている様子もうかがえた
この後は〆を行うだけなので
化粧室を利用する人が部屋から出て行った
ルールは簡単
くじ引きで決まった二人が背中合わせになり お尻を突き出し
相手の足を動かせば勝だが
女性にはハンデが有り2歩動いてもOKと
とんでもないハンデがあった しかし女性同士の場合はハンデなし
昨年の親睦会ではスーパーデコの細川社長が優勝している
勝ち抜き戦だが 女性のハンデは有効だ
「それでは テーブルも片付きましたので
対戦相手の抽選会を行います」
神山はこの時ばかりは 催事課の一員として動いた
杉田も大きな模造紙に対戦相手を書き入れていった
女性同士が当らぬよう抽選箱をわけ
神山は女性用の抽選箱を持って
皆の所を廻り 細川女史のところに来た
「どうしようかしら私 参加 やめようかしら」
「えっ どうしてですか」
「だって これ以上勝っちゃうとお嫁に行けないでしょ」
「大丈夫ですよ 尻に敷かれる良い旦那さんが見つかりますよ」
そんなやり取りを聞いていた廻りは 笑い出してしまった
全ての抽選が終ると
「今回は 不参加者なしです 皆さん凄い元を取るため必死です」
これでまた会場は沸いた
「では 第一組目から行きます」
市川が対戦両名を呼び出し 二人を立たせ試合開始
進行も順調に進み池上店長とスーパーデコの山崎愛の戦いになった
店長がんばれの声援より愛ちゃんの声援のほうが多かったが
結果は 店長が粘り腰で勝ってしまった
「ふぁ~ 店長 かちゃったよ」
みな愛ちゃんを応援していたものだからブーイングが出た
しかし 珍しく酒に酔った状態では 戦えなかった
次は神山の出番だった 対戦相手は細川社長だった
今度の声援は 主役の神山と 女性の細川と言う事で半々だった
「こら 大輔 仕組んだな もう」
「そんな事ないよ なあ 翔」
「ええ 先輩の事 そんな事する訳ないでしょ」
二人は顔を見合わせ 笑って答えた
(まいった 仕組まれた)
「さあ ご両人 お立会いお願いします」
神山は大事なお金が入っているジャケットを着たまま
細川と背中合わせをした
「さあ ご両人準備はよろしいですか?」
神山は少し腰を落とし 細川の攻撃に備えていたが
合図の笛がした途端 細川の腰が神山のそれより下から突き出し
あっけなく動いてしまい 負けてしまった
丁度 正面には祥子が居て
円座の人を飛び越え抱きついてしまった
祥子もびっくりし
「大丈夫ですか?」
としか 言いようがなかった
円座で座っている人達は演技でない神山を見て 細川を恐れた
「は~い 細川さんのかち~ え~ 神山部長は土俵から出て
女性に抱きついたので ここで罰ゲームです」
(おいおい それはないだろ わざとじゃないんだから)
市川を睨み付けながらも仕方なく 罰ゲームを受けた
「では 罰ゲーム いきま~す」
神山はもう何でも来いとあきらめ 真中にたった
「はい 右手を挙げて 左足挙げて 右手を下げて、、、、、、、」
(そうか その手か だったら両足上げた時に派手に転べばいいや)
その通り 右足挙げて 左足挙げてが来たので 派手に転んだ
会場はやんややんやの喝采と拍手で賑わった
「神山部長 ありがとうございます
どうぞルールですから恨まないでね」
この言葉で又会場は沸いた
神山は仕事を解かれたので円座の後ろで立っていると
3人の取引先が寄ってきてお辞儀をした
「遅くなりましたが 私、、、、」
始めてみる顔だが 何時も使っている各会社の常務だった
各常務は懐から封筒を取り出し 祝辞のあと手渡しをしていった
神山も 各会社は良く知っているので 的確な言葉で誉め受け取った
ゲームが進み 祥子の出番がやってきた 対する相手は田丸だった
スタートの笛が吹かれたその後は 田丸が簡単に負けてしまった
あのがっしりした田丸が負けと番狂わせがでたので会場は賑わった
次は由香里の出番だった
由香里はハンデを上手に利用し勝ち上がった
最後にスーパーデコの佐々木艶子が出てきた
この時 神山は円座の直ぐ後ろで見ていた
佐々木艶子は ハンデを利用しないで男性と互角に戦ったが
目の前に 神山が居る事を発見すると
「ふぁ~ あっ」
と言いながら 動いてしまい 神山に抱きついてしまった
「は~い 佐々木さんの負けですが 女性に抱きつかれた
神山部長 済みませんが またまた罰ゲームです」
神山は佐々木を組み解き また真中に立った
「罰ゲームは先ほどといっしょで~す お願いしま~す」
先ほどと同じ様に 両足を挙げる事になったら
派手に転ぼうと思ったが
今度はなかなか 転ばしてくれない
だんだんと頭も廻らなくなり 疲れてきた時に関係なく床に転んだ
その転び方が良かったのか否か 大喝采を浴びた
それからは 円座の直ぐ後ろではなくもう少し後ろで見る事にした
そうしていると 良く顔を合わせている取引先が寄ってきて
祝辞を述べた後に お祝い金を渡していったのは10社だった
神山はありがたいが貰いすぎではないかと少し怖くなった
ゲームも2回戦に入り白熱してきた
細川社長や池上店長など順調に勝ち進んだ
次に祥子と由香里が対戦した
このゲームばかりは 会場の雑談が少なくなり静まりかえった
二人とも美貌と知性を兼ね備えた女性同士という事が
会場の皆も分っているのだろう
スタートしたが お互いタイミングを見ているのか
なかなかお尻を 突き出そうとしないのをみて 市川が
「さあ ご両人 ご遠慮なく美しいお尻を 突き出してくださ~い」
この言葉の後由香里がお尻を出した瞬間に祥子が下から突き上げた
この一撃で祥子の勝利となった
由香里がニコッと笑みを浮かべると祥子も笑みで返した
会場はこの時になって拍手で沸いた
2回戦も終わり3回戦では祥子と筒井の対戦になった
今回 祥子はハンデを使う事が出来るが 筒井に負けた
4回戦では細川社長など勝ちあがったが
池上店長は浜野に負けてしまった
5回戦準決勝だが ここで奥村と細川が戦う事になった
もう一つは催事課の杉田とニーナ・ニーナの浜野の戦いになった
まず奥村の戦いはやはりハンデの有る細川が勝利した
杉田のほうは上手に腰を使い浜野に勝った
「それでは決勝戦です 赤コーナー体重150ポンド 細川社長
青コーナー体重75ポンド 杉田翔君 さあ両名 お願いします
皆様 拍手でお迎えください」
細川はアナウンスされると拍手の中円座の真中に登場したが
杉田の姿がまだ現れないので ざわざわしてきた
「杉田さん 負けと分って出て来れないのかしら、、、」
などと 周りからもそんな言葉が出て来たときに
杉田はいつ用意したのか
キンキラのガウンを羽織り部屋に入って来たが
しかし少しどころではなく太った格好で登場した
「みなさ~ん 杉田選手の体重を間違っていました 訂正します
青コーナー杉田翔君250ポンド 杉田選手 どうぞこちらへ」
市川に勧められ杉田が真中に来ると
「では ガウンを脱いで 最後の戦いで~す」
杉田はガウンを脱ぐと
その格好は相撲取りのぬいぐるみを着ていた
杉田の格好を見た会場はやんややんやの大喝采で
片付け準備で待機している 仲居さんたちも 大笑いをした
勝負は簡単についた
ぬいぐるみで身動き取れない杉田があっけなく負けた
しかし会場は勝負より盛り上げた杉田に拍手をしていた
神山は商品の授与があるのでまた市川や杉田そして由香里と
一緒に並びお手伝いをする事になった
1位から4位まで参加賞とは別に商品が用意されていた
順番に授与を済ませると
「では次にナイスプレイヤーですが 4名居ます」
その中に 由香里と祥子が含まれていて 神山が手渡した
「え~ 今作ったんですが、、、」
「おいおい 商品が余ったら オレにくれ」
「そうよ わたしもがんばったのよ」
などとやじが飛んできたが 市川が一呼吸おいて
「ベストドレッサー賞 杉田 翔選手 どうぞ~」
市川は隣りに居る杉田に目配せし
神山のところで商品を受け取った
「皆さん 盛り上って下さいまして ありがとうございます」
皆に向かい商品を高く上げ 最後はお辞儀をした
「さて 最後の賞です
今回 罰ゲームを2回も受けた 神山部長で~す」
会場は神山の仕草を思い出したのか 大笑いに包まれた
全てのショーが終って 奥村が挨拶をして〆を行った
『日本料理 四季』が有るホテル禅の出口では 催事課の面々が
取引先に対しお礼の挨拶をし見送ったが ロビーでは
アルタの内藤と筒井が話し ニーナ・ニーナの祥子も残っていた
殆ど見送ったので 奥村と神山が2人に近寄り
「今夜は本当にお忙しい所ご出席頂きまして ありがとうございます
祝賀会も無事終る事が出来ました」
神山と奥村は深々と御礼をした
「いやいや そんなに言われると困りますよ ねぇ筒井さん」
「そうですよ これからも山ちゃんには頑張ってもらわないと」
「ありがとうございます ところでまだ9時半なので、、、」
「そうですね 筒井さんも大丈夫でしょ」
「ええ 私の方は、、、」
筒井は残っている女性軍に聞いてみたが 祥子以外は帰ると言った
.