2012年10月10日水曜日

青葉 4 - 18 Vol. 1



4月18日 土曜日 曇り

上原マンション
神山は携帯電話のアラームがけたたましく鳴り起こされた
昨夜は祥子にモテリコのバンドルをプレゼントし
喜んだ顔を見た後 祝賀会の疲れが出てベッドに入った
ご祝儀も確かめないといけないし 祥子より早く起きた
クローゼットのジャケットやパンツのポケットから封筒を出し
テーブルの上に置き 中味を見た
内藤社長10万円 細川社長 田丸社長 店長が各5万円
取引先が合計約60万円 合計85万円もあった
スーパーデコの朝川典子と品川鮎子のメッセージは神山の応援と
会社の宣伝が書かれていて 特に個人的特別な表現はなかった
問題は山崎愛から貰ったコンドーム 佐々木艶子の無料招待券と
メッセージをどうするか考えた
無料招待券は免許証入れにしまえば良い事だが
コンドームは普段から 持ち歩かないので困り果てた
考えた末にカメラバックにある 小さな隠しポケットにしまった
(しかし 彼女も大胆だな みんなにこんな事をしているんだろうか
少し 様子を見てみよう)
神山は貰ったご祝儀の使い道を考えたが
今のところ不自由はしていないので銀行に銀行に預ける事にした
真奈美から貰ったロレックスは神山も気に入り 皮を慣らすために
普段からはめるよう心がけた
昨日の整理が一通り終ると7時になったので 高橋に電話した
「神山です おはようです」
「高橋です おはようございます 早いですね」
「うん 昨日はありがとうございます」
「いえいえ ところで今朝は、、、」
「うん 8時を少し過ぎるが 現場に行きますよ」
「はい 了解です」
「それで 今日は夕方まで付いていなくて平気かな?」
「ええ 大丈夫ですよ なにか?」
「うん 暫く横浜に帰っていないから 行ってみようかなと」
「はい 了解です それで何時に行かれますか」
「うん 午前中の確認が終ったら行こうかなと思っているんだ」
「そうしたら 横浜の田代が来ますから帰りの車を使ってください」
「そうか そうしたら便乗するか」
「ええ 帰りは電車でお願いします」
「了解 ではあとで」
神山は由香里に電話をした
「神山です 朝早くからごめんね」
「いえ 昨日はお疲れ様でした」
「ありがとう ところで今日のスケジュールだけど」
現場状況 横浜帰宅の件で夕方出社する事を
課長に伝えて欲しいと言った
「了解したわよ それと昨夜はどうでした」
「なにが、、、」
「久保さんと一緒だったでしょ」
「仕事だよ それに筒井さんも一緒だよ 何もないよ 残念ながら」
「なによ 心配して言っているのに 残念ながらって ば~か」
「おいおい 朝から そんなに怒らないで」
「自分が悪いんでしょ」
「はいはい 僕が悪かったです」
「そうしたら 昨夜一杯貰ったご祝儀で 美味しいもの食べよっ」
「はい 了解です」
神山は由香里がまだ言いたそうだったが電話を切った
昨日 祥子と二人だけで帰ったら大変な事になっていただろう
そう思うと内藤社長と筒井の配慮に頭があがらない思いをした
(しかし 女性は嫉妬深いな)
と 思ったがそのように心を仕向けたのは自分だと反省した
FAXを確認してみると 上原の物はなく御殿場グランドイン
サイン工事が順調に進んでいる知らせと
小田原工場の連絡先が書かれた メッセージが届いていた
それを見て アルタの高橋に確認の電話をした 
「神山ですが 孝ちゃん
第二貨物には小田原の連絡先を知らせてある?」
「ええ あの日うなぎ屋から帰った後 教えて頂いた方に
連絡はして有りますが、、、 どうかされましたか?」
「ううん もれていると大変だから」
「大丈夫ですよ」
「うん 了解 では」
神山はまだ時間があるのでお中元や店外催事など
会社の仕事を集中してこなした
一通り出来たので会社にFAXし
冷蔵庫からビールを取り出し呑んだ
久しぶりにテラスに出てみると 気持ちよい風が流れていた
駅に続いている道路に目をやると
今日の事を考えているのかサラリーマンの姿が目立ってきた
(そうか 普通のサラリーマンはこんな早い時間に出勤なんだ
そうだよな 孝ちゃんもこの位の時間には出勤だよな)
神山は恵まれている環境に感謝した
(それにしても ビールを呑んでたばこを吸っていると
仕事を休みたくなちゃうな ああ気持ちいいな~)
自室のテラスでこんなにゆっくりしたのは初めてだった

ビールが空になったので部屋に戻りもう一本出し呑んでいると
携帯電話がなった 神山はもしかしてと思いながら出てみた
「翔です 朝早くからすみません」
「うん どうした?」
「ええ ホテルオートモに来ているんですが」
「そうか 現場監督 ご苦労さん」
「はい しかしバッグのガラスケースが少ないんです」
「しかし 銀座店ブティックの什器手配も上野店だろ」
「ええ 完全に手配ミスでバッグの陳列が出来ない状態です」
神山は暫く考え
「そうしたら残っている什器は何が有る?」
「ええ 棚什器が員数分残っています」
「それでは その棚什器を上手に配置して バッグを陳列する事
棚板は2枚で 下は開けておく 一番下には余った造花を置けば
なんとかならないか」
「そうですね 下は600開ければ問題ないですよね」
「そうだな 造花は余っている?」
「無いので リースのプランターを置きます」
「そうだね 天気もいいから 見た目もOKじゃない」
「ありがとうございます 助かりました」
「そんな 本来は僕の仕事だからな こちらこそ助かっているよ
それで 什器屋の手配ミスか?」
「そうですね 員数はあっていますから」
「わかった 部屋にはこの事をFAXして置く 
朝早くから 大変だ ご苦労様 また何か有ったら携帯まで」
「はい 今日は、、、」
「夕方に部屋に行く」
「了解しました では」
神山はこの出来事を由香里と倉元宛にFAXした時電話が鳴った
出てみると 祥子からだった
「おはよ~ 電話に出るの早いわね」
「うん 仕事するから早めに起きた」
「偉いわ わたし 今起きたばかりだから 30分位したら来て」
「了解です」

神山は上原の天井図面センターテーブルに広げをもう一度眺め
照明など詳細を細かくチェックした
一箇所だけ気になる所が在ったので赤丸を付け図面をバッグに入れ
再びテラスでビールを呑んだ
下を見ると今度は小学生がわいわい言いながら
黄色い帽子があっち向いたり こっち向いたりと朝日に輝く
花のようだった
暫くのんびりしたあと 横浜で何が起きているか分らないので
20万円ほど ジャケットのポケットにしまった
神山は財布を持たない主義で お札はいつもはだかだった
小銭入れを持っているが お札入れは色々入れると太って
厚くなり扱いにくく 入れるものも無いので使っていなかった
カードは何枚も無いので免許証入れに入れておけば問題なかったが
今後 色々と付き合いがあるし お札入れを購入しようか考えた 
時計を見ると8時を少し過ぎたので祥子の部屋に行った
部屋に入るとすでに朝食の準備は出来ていて
「丁度 良かったわ 呼びに行こうと思っていたのよ」
今朝は和食ではなく 簡単な洋食だった
それでも神山はこのように準備してくれる祥子に感謝した
「美味しそうだねベーコンエッグ そうだビールは残っている?」
「ええ 呑もうか だけどあなたは呑んでいたでしょ」
「うん ちょっとだけ 呑もう」
神山はビールを呑みながら 食事をした
「今日は昼に久しぶりに横浜に行って来る」
「会社には、、、」
「うん 夕方かな」
神山と祥子が今日のスケジュールを確認し
お札入れの事を聞いてみると
「ニーナ・ニーナにも有るわよ ただ男性用は種類が少ないのよ
お店に入ったら 見に来てくれる 全部用意しておくわ」
「うん ありがとう」
神山と祥子はお札入れの事を話題にしながら食事を終え
「では 部屋で待っているよ 出かける時声を掛けて」
「は~い もう出かける準備は出来ているから直ぐ出られるわ」
「わかった まっていま~す」
神山も部屋に戻って 
準備をしていると直ぐに部屋のベルが鳴った
「早いね 食器ちゃんと洗ったの?」
「ええ 気が付かなかった 全自動の食器洗い機が有ったの?」
「うん 気が付かなかった」
「安いのがあったから買っちゃたの」
「それで早く出られたんだ」
「そうよ だから食器洗い機に感謝してね」

マンションを出てみるとテラスで見た風景と違い
いつもの静寂な住宅街に戻っていた
祥子が左腕を神山の前に突き出し 昨日のバンドルを見せながら
嬉しそうな顔をして 組んだ腕に力を入れて駅に向かった
現場に近くなると祥子に
「どうする 寄って行く?」
「ううん あなたに任せるわ」
神山は改札口まで祥子を送って行き 祥子から
「それでは行ってきま~す 夕方待っていますね」
そう言うとほほに軽くキスをし階段を上っていった
「やあ 遅くなってごめんなさい」 
「おはようございます 大丈夫ですよ」
「で 早速で申し訳ないけど」
神山は朝チェックした事を図面を出し説明した
「そうですね 山ちゃんが言う通りだけど ずらせるかな」
高橋は配線図面とここの基本図面をだし 照らし合わせた
「うん 何とかいけるでしょう 大丈夫」
神山が提案したのは棚近くにあるスポットだが移動OKがでた
「山ちゃんの言うと通り 僕自身もどうかなと思っていたんだ」
天井工事は穴あけが進んでいたが 
該当する穴開けはまだだったので 墨の出しなおしを指示した
実際ここまで工事が進むと 神山の出る幕はなく
1日中付いていなくても いい状態だが 
なにか起きた時の判断を自分の目で確認できる事が
最善だと思い現場に居る 
後は監督と雑談しながら情報を集める事もある
天井に丸い穴と四角い穴が全て開くと今度は塗装屋が入ってきた
塗装屋が準備をしている所に 横浜の田代がやってきた
田代が入ってくるなり
「おお 順調ですね」
「やあ 田代さん おはようございます」
「よう 早いじゃないですか」
「うん 本社で打ち合わせが一つ入った そうそう 例の御殿場」
「そうか なに御殿場も田代ちゃんが動くの?内野じゃないの?」
「うん 私になりそうなの」
二人の話を聞いた神山は 所長と言っても大変だなと感じた
「田代さん 大変ですね」
「ええ しかしドライブが好きだから 大丈夫」
高橋と田代が横浜に行く時間を調整していると高橋が
「山ちゃん 2時前後になるけどいい?」
「うん 僕は別に何時でも」
「そうしたら 田代さん こちらに寄ってくれる?」
「了解」
若手が荷物を運んでいたがまだ残っているので 皆で手伝った
作業が終った所で田代が神山に
「こちらの若手が 木村 譲二君 こちらが 小塚 保広君 
共に25歳のばりばりです さあ神山さんにご挨拶して」
「木村です 神山さんの事はよく聞いています 
これからも頑張りますのでお願いします」
「僕は 小塚と申します 木村が言ったように神山部長のことは
良くお耳にします がんばりますので宜しくお願いします」
「ありがとうございます 神山です
アルタさんには日ごろお世話になっています」
挨拶が終ると田代が神山に
「どうも済みません 遅くなって」
「いえいえ 仕事優先ですよ 待っています」

田代達が神山にお辞儀をしてバンをだすと
高橋は送られたものを開梱し一つ一つ丁寧にチェックした
天井埋め込み式の照明でホリゾントになっていて直接照明管が
見えない様 工夫をされている物だった
横浜の田代のところで検査はされているだろうが 現場の検査も
怠らないようしっかりと検査をしていた
「大丈夫ですね 神山さん OKですよ」
「うん いい感じだね 楽しみですよ
この照明はニーナ・ニーナでは初めてでしょ 
だから余計期待するよね」
「そうですね 夜は綺麗ですよ やわらかい光線で」
神山は仕事の邪魔にならないよう 現場の隅々を見て歩いたが
それも何回もしているので 外でタバコを吸っていると
「ファー 素敵なお店ね」
「そうね だけどまだ商品が入っていないから分らないけど」
「だけど こんな感じのお店って 無いわよ ここらでは」
これから出勤するのか 落ち着いた感じの女性の声だった
(そうか 商品が入っていないと 正直な感想はないな)
しかし神山は『こんな感じの お店ってここらでは無いわ』に
自信を持った 勿論アルタの設計だが 
神山も手を加えているからだった
天井塗装も順調に進み 器具類も収まって高橋も暇になり
「山ちゃん いい天気だね 今度ゴルフでもいこうよ」
「そうだね 御殿場だと社長に怒られるかな、、、」
「そんな事無いだろ そうだ 御殿場の工事が終ったら行こうか?」
「そうだね 取り付けに行ってそのままゴルフだ そうしよう」
「そうしよう だけど取り付けって 確か26日日曜日の夜だよ
ここのオープンでしょ 26日って」
「うん 26日の11時って聞いた」
「そうすると 関係者一同 夜まで拘束かな」
「う~ん 可能性はあるね しかし早いね 10日で制作なんて」
「うちとしては 単発は早いよ それに椿さんだし、、、」
「そうだね 内野君も張り切っているしね」
「だけど 田代が言っていた会議はその事だけかな?」
「と言うと」
「だって サイン工事だけだったら 電話で済むでしょ
だから 何か別な事で呼ばれたんじゃないかな」
「サインのデザインは決定して 概算見積りも出したんでしょ」
「ええ 内野君が打ち合わせをしていますが、、、」
「ねぇ 日曜日にさ サインを取り付けで 応援ですって言って」
「うん 内野君も出きるし 田代さんも出きるし 4人揃ったのに」
「まあ 次の機会にしましょうか 一応26日は頭入れておいて」
二人が話していると塗装屋が高橋を呼び 指示を聞いていた

神山は今後のスケジュールを確認していた時携帯が鳴った
「はい 神山ですが」
「お疲れ様です 翔です」
「うん ホテルは上手に行った?」
「ええ ありがとうございます 大成功で喜んでいます」
「それは良かった」
「ええ ブティックの部長さんが来られてこれからコレで
行くよって言って頂き 今からお茶して部屋に戻ります」
「喜んでもらって良かったけど オープン棚のほうが高いよな」
「ええ しかし戻入をちょこっとでも頂ければOKでしょ」
「うん だけど部長さんに直接言うなよ こじれるからな」
「はい 濁す言うか 責任者に聞いてください ですね」
「うん そうしよう」
「はい 了解です 由香里姫に電話しますがなにかありますか?」
「今のところ順調 そうだ携帯に電話くれるよう言ってくれ」
「はい 了解です」
神山はホテルの陳列方法ことは心配していなかったが
ブティックの部長が陳列方法を変えてくれというとなると困る
出店しているのは銀座店のブティックだが会場予算は
上野店管轄なので銀座店は口を挟めなかった
携帯がなったので出てみると由香里からだった
「どうかされましたか?」
「うん26日の日曜日だけど ニーナ・ニーナのオープンでしょ 
そこで店長も出席されるわけだよね?」
「ええ 公のスケジュールに入っていますが それが」
「うん 関係者一同 夜まで拘束されるのかなって事」
「う~ん 分らないけど 神山部長は多分無理でしょう
何考えているの 遊ぶ事ばかり考えていて 絶対無理っよ」
「おいおい 何をそんなに怒っているの? 今朝の事?」
「そうよ あの時は母がそばに居たから 許したけど、、、
はい 分りました、、、  今 忙しいから切りますね」
普段は神山の電話が最優先だがよっぽど 嫉妬しているのだろう
神山は貴重な情報を聞けず 困ってしまった
携帯電話が鳴った 杉田からだった
「今 由香里姫に電話して 報告したんですが
先輩の事 伝えたら 自分からすれば済むのにって 
凄くご機嫌斜めでしたが 電話ありましたか?」
「うん そのご機嫌斜めの声を一杯聞いて情報が掴めなかったよ」
「どうしたんですかね? 僕の話しの時は喜んでいたのに、、、」
「まあ あまり気にしないで 部長さんとお茶しなさい」  
「はい ありがとうございます では」

神山はいい部下がいて幸せだと感じた
「山ちゃん もう少しすると 梅崎君が変わりで来ますから
そしたらお昼行きましょう」
「うん そうしよう」
少し元気が無い神山を見て
「どうしたの 元気ないよ」
「う~ん 色々あって、、、」
高橋が中に入って暫くすると駅から梅崎が走ってきて
「こんにちは 神山部長」
きちんとお辞儀をして 中に入っていった
高橋が梅崎に仕事の流れの確認を終ると出てきて
「それでは 行きましょうか どうしますかメニューは」
「そしたらさ あそこの角にある とんかつ でも寿司にしよう」
「いいですよ とんかつでも そうか 寿司にしましょう」
昨夜来たばかりで12時間も経っていないので
女将さんと顔を合わせると なんか自分の家に帰った気になる
今日は土曜日なので家族づれも結構居た
席はいつものように奥座敷に案内され ビールが運ばれた
普段あまりしゃべらない女将さんが
「貴方達 あそこのお店を作っているんでしょ」
「ええ まあ」
「そう いや私は貴方達が働いている所見たこと無いけど
お客さんが そう言っていたものだから 聞いたのよ」
「、、、」
「そうそう それで私の親戚が新宿でお店を出すって言うんで
一応聞くだけ聞いてみる事になったのよ」
「はい すごいですね 新宿に出店なんて」
「それで 一応メモを渡して置きますから後で連絡してください」
「はい 分りました」
高橋は女将さんに名刺を差し出しメモを受け取った
「凄いね 孝ちゃん」
「しかし 概算でほとんど潰れるのが大半ですよ この手は」
「そうだね 素人は相場が分らないからね 
安かろう悪かろうってね」
「そうそう あとメンテも含めてね」
女将も心得たようで海鮮の盛り合わせを持ってきた
神山と高橋は女将を見て笑い 女将も笑った 

二人は御殿場の件が忘れられず話していると 
話題は自然にゴルフに移り26日が開放されるように願った
「孝ちゃんは そうすると大丈夫なんだ」
「ええ そうゆう役は社長ですから
山ちゃんも仕事だし大丈夫でしょ」
「うん そうだよな 仕事だよな、、、う~ん、、、」
「どうしたの そんなに悩んで」
「仕事だけど 翌日はどうしようかと 遅いと理由が、、、」
「いいじゃない はっきり言っちゃえばその方があとあと良いよ」
「そうだね では26日日曜日決定 しちゃおうか?」
「そうですね 僕のほうも大丈夫だし 田代さんだけです
横浜支店は 予定があって無いようなもんですから
特に支店長になると」
「そうだよね 田代さん支店長だもんね」
「ええ、、、」
しかしゴルフをしたい二人は 
あそこのコースはこうでこう攻めると
パーが取れるとかゴルフ談義に花を咲かせながら箸を動かした
今日はお互いビールが良く入るので つまみに巻物を頼んだ
以前高橋に巻物は箸でつまむのではなく 
手で食べると『通』らしいよと助言したら 
この頃は神山のまねをして手で食べるようになった
その巻物を口に持っていく時に高橋の携帯が鳴った
相手とは簡単に話が終った 
「今 田代さんからです
早く終ったのでこちらにはすぐに来るそうです」
「ほんと そしたら 早く出て現場で待っていようよ」
「まだ食事をしていないので ここに来ますから大丈夫ですよ」
「えっ ここに来るの じゃあ ゆっくり出来るね」
「ええ 慌てないで良かったです」
「留守番の梅崎クンは?」
「彼は早めしをしてきています 大丈夫ですよ」
「そうか 遅くなると おなか減るしな 若いし」
高橋は梅崎の上司 田中に電話した
内容は先ほど女将さんの新宿の件だった
メモを読み上げ 女将から聞いた事を伝えた 電話を切ると
「すみませんでした」
「いや 気にしていませんよ」
「うちも 山ちゃんが居てくれたら助かるんですが
人が居ないので」
「大変だよね 増やすって言ったって簡単なことじゃないしね」
「そうなんですよ ある程度できないと話しにならないし
もっと大変なのは 御殿場アウトレットがあるでしょ」
「そうだね あそこは大きいもんね 3,4人必要だよね
或いは 1課ごと必要かもね」
「そう ニーナ・ニーナだけなら僕だけで いや山ちゃんとで
出来るけど アレックスグループはちょっと大変ですよ
それに デザインが気に入ったらしく店舗が少し増えたんですよ」
「へぇ 凄いね ますます繁盛だ」
「ほんと 会社の繁栄は喜ばしいんですが、、正直困っています」
現在ニーナ・ニーナでも御殿場アウトレットの話は
進んでいない様子でアルタも設計が出来ない状況で困っていた
話し込んでいると 女将が田代達を案内してきた

「すみません お待たせしました」
「やあ そんなこと無いですよ 早くなって助かります」
先ほど挨拶居た二人が
「神山部長 失礼します」
と 改まって言っているので 高橋達3人は笑った
田代は運転があるので呑めないが 
小塚はまるっきり呑めなかった
木村はいける口だが 田代が呑まないので我慢した
若者2人は運ばれた定食を
味わうではなく腹につめこむ感じだった
田代が一息ついたところで高橋が会議の事を聞いた
「ええ 人員配置ですよ 高橋さんも知っているとおり
4月24、25、26日は横浜が在るでしょ そしてここの現場の
積み込みと降ろしが別れるでしょ そこなんですよ」
通常 積み込みにしろ降ろしにしろ 運転手が全て取り仕切るが
今回は全然知らない運送会社を使うので
その分人を余計に考えなくてはいけなくなった
小田原工場は良いとしても 
上原の現場ではそうも行かないだろうと 人員配置が出てきた
「そうだよね 田代さんのところで調整しているもんな
だけど今回は調整が利かないんだよね 御殿場は?」
「うん 26日の夜決定 だから余計人が居ないんですよ 困った」
「そうすると 御殿場は誰が行くの?」
「ええ 今は私ですが 横浜が居なくて、、、」
「車は?」
「ええ横浜で手配していますよ OKです」
「そうしたら 内野君を御殿場にして 田代さんが横浜はどう?」
「その案も出たんですが 車が無いんです それに彼一人では
作業出来ないでしょ」
「そうか どうにも動けないか、、、」
それを聞いていた神山は
「御殿場に行く車はバンでいいの?」
「ええ 先日使ったバンですね 大きさは」
「ちょっと待って」
神山は携帯を出してみやま運送へ電話した
「うん そう26日と27日で返しは28日の火曜日
うん 勿論 OK」
神山は高橋に OKサインをだした
「上手く行ったよ バンを26日朝から借りられる」
「えっ~ また~ ほんと」
高橋はてばなしで喜んだ 田代も暗かった表情が明るくなった
「でも 大丈夫ですか? どこですかその運送会社さんは」
「うん うちに入っている運送会社だから 大丈夫だよ
ほらお中元とか 外商がお客様に商品を届ける時に使うバンだよ」
「なるほど さすが山ちゃん また借りが出来たね」





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