2012年10月25日木曜日

青葉 5 - 19 Vol. 1



「ねえそうしたら時間だし そろそろ食事に行こうよ」
「そうね行きましょ」
「今度はカード持ってきてね」
「は~い ねぇこのままで大丈夫?」
「なにが?」
「だってお化粧もしていないし VIPのお連れ様に相応しい?」
「全然平気だよ 僕はすっぴんの方が好きだなどちらかと言えば」
「またお上手ね よし貴方がOKならばこのまま出ましょ」
亜矢子は腕を組んで エレベーターにホールにいった
エレベーターが来て扉が開くと 何組か出たので乗り込み
3階のボタンを押したが 上の8階に行ってしまった
神山と亜矢子は顔を見合わせ笑ってしまった
行き先階のボタンを押しなおすと 扉が閉まりゆっくりと下降した
途中止まらないで3階に着いた
探す事なくレストランがすぐわかり入ると
カウンターで受付嬢がニコニコして出迎えた
「お名前様とお部屋番号をお願いします」
神山はカードキーを見せて神山と名乗った
「神山様ですね はい ただいまお席までご案内いたします」
受付嬢はカウンターから出て奥の窓際の席に案内し
亜矢子の椅子を引き着席を促し神山にも同じ事をした
「お飲みもは何になされますか?」
「うんビールを下さい」
「はいかしこまりました 少々お待ちくださいませ」
そう言うと 厨房に伝え戻ってくると
「只今準備をさせて頂いていますので 少々お待ちくださいませ」
そう言うとお辞儀をして カウンターに戻っていった
亜矢子と外の夜景を見ていると
若いウエイトレスがビールを持ってきて
「お待たせしました こちらが今夜のお品書きです」
そう言って先付けを置くと 二人のグラスにビールを注いで
「あとのお料理は直ぐに お持ちいたしますのでお待ちください」
お辞儀をして厨房カウンターに戻り 各テーブルを見渡していた
亜矢子がビールグラスを持ち 神山もグラスを持った
「では VIP様お疲れ様でした 乾杯」
「うん乾杯でもVIPは やめてよねぇ お願いします」
「だめ だって電車の中でなんと言ったか 覚えていますか?」
「えっ」
「赤パンを何回も言ったでしょ お返ししたからすっきりした」
亜矢子は よっぽど楽しいのか楽しくしようと振舞っているのか
普段になく明るく そして輝いていた
亜矢子の顔を見ていると
「ねぇやっぱり可笑しいお化粧してこようかしら」
「誤解だよ綺麗で輝いていて 見とれていたのさ」
「ほんと大丈夫?」
「うん ほんとうだよ 綺麗だよ」
亜矢子はようやく納得したのか ビールを美味しそうに呑むと
神山も同じ様にグラスを空けビールを注いだ
ビール瓶が空いたので 手を挙げると先ほどの
ウエイトレスがやってきて
「はい どうされましたか?」
「うん ビールをもう一本お願いします」
「はい かしこまりました 少々お待ちくださいませ」
ウエイトレスは厨房脇に在る冷蔵ケースから
ビールを取り出し持ってきた
「お待たせいたしました」
「うん ありがとう」
彼女が立ち去ると 入れ変りに前菜が運ばれてきた
先ほどの女の子の先輩か 前菜の説明をされたが
神山は分らずに頷いていたが 説明が終わり帰った後亜矢子に
「分った今の説明?」
「ええ わかったわ」
「全然分らなかったよ ちんぷんかんぷんさ」
「まあいやだ 彼女かわいそうよ 分らなかったら
聞いてあげないと」
「そうなんだ でもちょっと恥ずかしいじゃん」
「私はあなたが頷いているので 判らない事は後であなたに
聞いてみようと 口を挟まなかったのに もう」
亜矢子はそう言いながらも
「美味しそうね いただきましょ」
「うん いただきます」
「いただきます」

亜矢子は 口にすると素晴らしいお味よ凄く美味しいと
何回も言いながら箸を動かした
ゆっくりと食べているつもりだったが器が空いてしまい
次が来るまで間があいた
お品書きを見てみると
一、先付け 二、前菜 三、吸い物 四、刺身 五、煮物 六、焼き物
七、揚げ物 八、酢物 九、ご飯 十、留椀 十一、香物 十二、果物
と書いてあり バランスよく出されると思った
「そうよねこうやってみると バランスいいわよね」
二人で眺めていると吸い物が出てきた 説明があり今回は分った
「わかったよ今回は」
「誰だって湯葉くらい分るわよ ふふふ」
直ぐに刺身が出てきた 今度は別々に盛られ丸い器と2種類が来た
ウエイトレスが丸い器が 特別料理だと言い説明され
ビールが空いたのでワイン注文した
ウエイトレスは分りましたと言いさがった
「なるほどコレが特別料理か、、、美味しそうだね」
「ええここの板前さん結構腕いいと思いますよ
食材が綺麗に切られているし 盛付けも綺麗だし」
「そうか叔母さんは鮮魚店だものね 分るかやっぱり」
「ええ 今はそんな事聞かないけど 昔教えられたわ」
「あとは新鮮かどうかだね」
「ええ だけどホテルだから 滅多な物は出せないでしょ」
亜矢子はそう言い まず自分の所にある切り身から口に入れた
「美味しいわ叔母の所と同じ さすが良い魚を使っているわ
食べてみて美味しいから」
神山も自分の器から箸を進め
「うん うまいほんと美味しいよ」
「ねぇ この中トロを頂いてみて 私分るわ絶対あなた 
うまいって言うわ」
神山は亜矢子が自信をもって言うので中トロを口にした
「ほんとだ うまい」
「でしょ 私ここの板さんすきよ 包丁さばき上手よ」
「なんで分るの?」
「うん ほら魚ってすぐに油が廻る魚と 少し時間がかかるのと
あるの 例えば鯛は切って直ぐに頂いても 美味しいけど少し
時間が経つと 油が廻る前だけどその時が充分に美味しいわ
だから鯛から頂いたの」
「そうか おなじ鯛でもそうすると 美味しさが違うのか」
神山はそう言って 今度は鯛を食べた
確かに亜矢子の言う通り美味しかった
「そうすると 鮮魚じゃないと美味しさが 分らないわけだ」
「そう だからおじさんも鮮魚には 拘っているわ」
話していると ワインが用意され
神山は氷入りのチェイサーを頼んだ
下駄の器はすぐに食べてしまった
「そうすると 活き造りはみなでつつくから時間が経っても
良いように 刺身にしてすぐに盛付けをするんだ」
「ええ あと切る魚の順番ね それも影響すると言っていたわ」
「さすがよく知っているね 勉強になるよ僕なんかそこまで考えて
食べていないから こんどそうゆう食べ方をしてみるよ」
ワインに口をつけながら聞いていた亜矢子は
「そうよ貴方はお魚が好きだから 食べ歩きをしてみたらいいわよ」
「そうだねそうしよう」

神山は上原の寿司屋のことを話した
いつも新鮮で毎日食べても飽きない
「今 現場の直ぐ近くに寿司屋が在ってね 2日に一回或いは
3日続けて食べているけど 美味しくてそれに安いんだ」
「羨ましいわね 美味しいお店が直ぐ近くなんて」
「何言っているんだよ 自分だって叔母さんの所あるじゃない」
「うん でも親戚のところは そうちょくちょくねぇ」
「そうだね 高校生くらいまでなら毎日通っても 今わね」
そう言っていると 活き造りも美味しく食べ 残り少なくなった時
次の焼き物が運ばれてきた 焼き魚に牛肉の朴葉焼きだった
「こちらはさげて よろしいでしょうか?」
「うん~ いやまだ残っているから悪いけど このまま残して」
亜矢子はくすっと笑いながら
「わたし 貴方のように正直に言っている人 大好きよ」
「ありがとうしかし 笑っていたじゃん」
「ごめんごめん」
「この朴葉焼きが特別料理だって よく出てくるね特別料理」
「そうね プラスのところで特別なんじゃない」
神山は刺身が残ったのを食べたり ワインを呑んだりした
朴葉の味噌がぐつぐつといってくるといい香りがした
亜矢子も朴葉をめくり香りを楽しんだ
「美味しそうね 香りも凄くいわ」
神山はワインボトルを見てみると空になっていた
ウエイトレスを呼びメニューを見てみると分らないので
「ねぇ亜矢子はどれにする どれが美味しい?」
「そうね 今のが美味しいけど高いわよいい」
「うん大丈夫 でいくら?」
「15000円」
神山は同じワインを頼んだ
「あなた だけどここのホテル良心的よ
普通このワインいくらだと思う?」
「さあ見当がつかないよ」
「うちでも2万円で出しているわ 安いほうよ
普通2万5千円を割らないと思うの こんど調べて」
「へぇ そんなに違うんだワインって
でも亜矢子が言うように良心的だね よかったよ」
「そうね絶対ここのホテル人気あるわよ 私もファンになったもん」
「おいおい料理が美味しくてワインが安くて まあ僕もファンだ」
二人は顔を見合わせ笑った

今まで気が付かなかったが 廻りの客はスタンダードなのか
魚の盛り合わせも無ければ朴葉焼きも テーブルに並んでいない
そのことを亜矢子に言うと
「そうね 仕方ないわよね私たちが恵まれているのよ
そう考えたほうが色々と 価値が分るんじゃないの」
神山は 朴葉焼きを食べたり焼き魚を食べたり 忙しかった
しっかりと味わい プロの亜矢子が居るので楽しく食べたれた
照り焼きがあったが
「こうゆうの食べると熱いご飯が 欲しくなっちゃうね」
「ええ私もよく食べたわ 熱いご飯と一緒に」
「照り焼きって なぜこんなに美味しいんだろ 
つまみでOKだし ご飯でもOKだし ねえ」
「そうね醤油などに漬けることが 出来て味が出るからじゃない」
「そうか そのままじゃなくて漬けるから 保存が利くんだ」
「そう余りお勧めは出来ませんけどね 大抵2日か3日でしょ」
「西京漬けも同じだね 真空パックは1週間とか大丈夫だけど」
「新鮮さは無くなって来るでしょ だからおだしで勝負じゃない」
揚げ物が来て説明されると 神山は頷いた
次に酢の物がテーブルに来た
やはり出したいが テーブルが一杯で片付けたいけど言えないし
そんなところだろうと 亜矢子に聞いてみると
「そうね 片付けだけで来るホテルではないと思うわ
お客様のことを考えてい るホテルだと思うわ 
教育もしっかりしているし ねぇ厨房カウンターで女の子達
私語が一つも無いでしょ 私ねぇ注意していたのよ笑い声は
たまに有るけど許容範囲内でしょ
辛い職場の事考えたら 私語が無しは素晴らしいわ」
「そう言われればそうだね 私語がないね」
楽しく話をして食べていると 自然と入っていく
揚げ物を食べると 今度はご飯などセットで出てきた
亜矢子も残さずに食べ白いご飯も全部食べ終わると
「ふぁ よく食べた」
「私も久しぶりよ 普段食べられる量じゃないもん」

二人が食べ終わったのを見ると 果物が出てきた
このフルーツが また亜矢子の気を引いた
小さ過ぎず 綺麗に形を作り芸術品だった
この手は喫茶店でも見ないし コンビニなどでも買った事が無い
しかし綺麗に可愛らしく作られた フルーツ達を食べたくなった
亜矢子は笑みを浮かべながら フォークを口に運んでいた
神山も一口食べたがさらりとした 甘さで充分いけた
二人とも時間を掛けて 味を堪能した
「おなかいっぱいよ わたし」
「うん僕も一杯だ ご馳走様でしたしかしワインが
半分位残っちゃった」
「そうしたらここでキープしてくれないかしら 聞いてみるわね」
亜矢子はウエイトレスを呼んでワインの ボトルキープを聞いてみた
「ええ出来ない事は無いですが お味が変わる事を了承して頂ければ」
「そうどうされますかあなた?」
「そうしたら部屋に持っていこう 直ぐに呑んじゃうよ」
「そうねごめんなさい忙しい所 部屋に持っていきますね」
ウエイトレスは 笑みを浮かべお辞儀をした
「さあ お部屋にかえりましょ あなた」
「うんそうしよう」
二人が立ち上がると
ウエイトレス達は皆深々とお辞儀をし見送った
「ありがとうございました」

「ごちそうさま あなた」
「いえいえ久しぶりですよ あんなに食べたのは」
神山と亜矢子は ソファーに沈んで寛いでいた
帰って来る時レストランの時計が21時20分を指していたので
2時間強 ゆっくり食べていた事になる
亜矢子は 先ほどのホテル案内を見ていたが 何かを見つけたのか
「あなた大きいお風呂に行きましょうよ 屋天風呂ですって」
「うん 僕もさっき気にしていたんだ行こう」
「では45分くらいかな?」
「そうね髪を流したいから では10時15分くらいね」
「うんでも待っていなくていいよ
多分りっぱな待合は無いと思うし」
「そうね 椅子があったら少し待っているわね 5分くらい」
「うんそうしよう 風呂場には大抵時計があるからね お願いします」
神山がTシャツを脱ぎ ベッドに置くと亜矢子が丁寧にたたんだ
浴衣に丹前を羽織って 部屋を出ると腕を組ん歩いた
エレベーター前に着き ボタンを押すとすぐ箱が来て乗ると
亜矢子が唇を突き出してきたので 神山は軽く合わせた
箱が2階に着くと 目の前が露天風呂の出入り口になっていて
ガラス戸を開け入った
男湯と女湯の紺地に白抜きの暖簾が掛かっていた
入り口間に椅子が無いので出た時 居なかったら部屋に戻る事にした
「じゃあね」
「うん」
亜矢子はニコニコと手を振り暖簾をくぐり消えた

神山は入ると直ぐに 貴重品預かりのロッカーが有ったので
部屋のカードキーとロレックスを預け 暗証番号を入力した
脱衣籠に脱ぎ捨て 風呂場に入った
入浴客は少なくゆっくりする事が出来ると感じた
自慢の屋天風呂に行ってみた
部屋のテラスで見たように 海を眼下に見ることが出来る
真っ黒な海に 月の光が反射していて 安らいだ気分にしてくれる
国道134号線を走る車のヘッドライトが
ミニュチュアを見ているようだった
ここだけ世界が止まったように 静寂な空間だった
心地よいさざ波の音 海風が防風林にささやく音 聞こえてくる音は
それだけだったが 静かな音楽を聞いているようだった
先ほど入浴していた人が出たのか 男湯全部が静かになった
打たせ湯の音ジャグジーの泡の音 こちらも水の音楽を奏でている
外の暗さに慣れてくると 小波が月の光を動かして
水平線の向こうは 少し明るく感じた
夜空には 星が零れんばかり輝いていた
東京で見るのと違い こちらの方が比較にならないほど星が多く
輝きも比較にならなかった
こんな素敵な空間を独り占めしていると 思うと幸せだった
(そうだ祥子は新幹線かな一応連絡してみよう)
神山は夜空を見ていたら 祥子を思い出してしまった
急いで髪の毛を洗い 簡単に体を洗うと脱衣所の時計は10時だった
部屋に戻ると テラスにでて携帯電話で祥子に電話した
携帯電話は直ぐにつながり祥子が
「わたしよ こんばんわ どうですか温泉は」
「うん 気持ち良いよ 久しぶりの温泉だし疲れが取れるよ」
「それはよかったわ」
「ところで 今どこですか」
「ええ東京駅ですよ 丁度新幹線の改札を出たところよ」
「ああ それで直ぐ繋がったんだ」
「ええ切符をバッグに戻した瞬間ですもの びっくりしたわ」
「わるかったびっくりさせて それで小田原工場だけど」
「うん どうでした」
「順調です 仕上がりも思っていた以上で 大丈夫です
特に棚什器は見るとびっくりするくらい綺麗に仕上がっているよ」
「それはよかったわ ありがとうございます」
「一応筒井さんにも 報告しておきました」
「どうもありがとう 明日連絡があるわね きっと」
「うん そうだと思うよ」
「私は明日から大変だわ 勿論あなたも大変だけど」
「うん 先日も言ったけど 陳列してオープンに間に合わせる
それが一番大切だよ 細かい所は夜、夜でも補修は出来るからね」
「ええありがとうございます 心強いわあなたが居て」
「うん では24日現場で」
「は~い待っています 休養してくださいね」

携帯電話を切ると10時10分だった
神山はさてどうしたものか考え 冷蔵庫を開けるとビールが無いので
階段を使って6階の 自販機まで買いに行った
部屋に戻ってみると 亜矢子が戻っていたのでびっくりした
「早いね亜矢子」
「ええお風呂ひとりぼっちなの 夜空を見ていたら寂しくなって
少し早めに出てきちゃった ふふふ」
「僕も綺麗な星空をみたよ ただ見ていて連絡する所を思い出した
それで早めに出て連絡をとったよ」
「大変ねこんな遅い時間に でもあなたのお仕事 時間関係ないわね」
「うん 工事している時は24時間お仕事ですね
しかし亜矢子だって同じじゃないか ホテルは24時間生きているし
夜勤は大変だって 前報道していたよ」
「ええ そう言われればね」
「さあ今 冷たいビールを買ってきたから 呑もうよ」
「ええ 頂きます待っていてね」
亜矢子は 髪の毛がまだ乾いていないので タオルをちょこんと巻き
「さあ頂きます」
「ねぇ今日遅れた 理由って出来れば聞きたいな」
「そうね 話してなかったもんね」
亜矢子によると病院の支払いの為 当った宝くじを換金しようと
三島の銀行に行ったが 取り扱いできず静岡の銀行まで
行く事になり それで遅くなってしまった
「ごめんなさい 事前に調べておけば こんな事にならなかったのに」
「いいよ 僕も熱海の街並みを見ながら ぼんやり出来たし」
神山は病名を聞くと 辛くなるだろうと思ってあえて聞かなかった
亜矢子は 下を向いてしまい 暗い表情になったが自分から
「母は 肺がんなのだから心配なの」
そう言うと 泣き崩れた
神山は 亜矢子を抱き寄せ
「だけど医者は大丈夫って言ってくれたんだろ」
「しかし 心配よ」
「だけど大きい病院だから 手当ては万全だし
任せておけばいいよ 亜矢子がくよくよするとお母さんも辛いよ」
「そうね、、、」
亜矢子は 少し気を取り直したのか元気になった
「よし露天風呂を聞いてみる」
神山はフロントに確認すると 直ぐに利用できると言った
「ねぇ直ぐ利用できるって 行こうよ」
「ええ貴方と 一緒なら寂しくないわ 行きましょう」
二人はビールを持って 部屋を出た
屋上の露天風呂は2回目だが 夜はファンタジックに演出されていた
埋め込みにあるライトアップ 浴槽のライトアップなど
二人を夢の世界に導くのに 時間はかからなかった
神山はビールをちょっこと 口につけ亜矢子に
「ちょうど美味しくなっているよ」
亜矢子は 差し出されたビールを呑んだ
「ふぁ 冷たいでも美味しいわ 正解ね」
神山は食事から戻ると ワインを空いたビールの缶に注ぎ
冷凍庫で冷やした
亜矢子が何をしているの まずくならないのと聞いてきたが
大丈夫 美味しいよと言って冷凍庫に入れた それを持って来ていた
「こう 冷たいとジュースみたいで呑めるわ」
すこしシャーベットになっているので 呑みやすかった
亜矢子は その缶を離さずちろりちろりと味わっていると
「亜矢子そんなに呑むと後で効くよ」
「は~いあなた」
ワインは日本酒と同じアルコール度数14度なので ぐいぐい呑むと
冷酒と同じで後から効いてくる
神山はワインの缶を受け取るり 少し含み唇を亜矢子の唇に合わせた
亜矢子は 美味しそうに神山から送られる ワインを呑んだ
「あなたから貰うワインは味が 美味しいわ」
亜矢子は唇を合わせた

ライトアップの演出 自然な夜空の演出とワインで酔ったみたいだ
亜矢子は神山の上に乗り向き合う格好になった
湯の中で元気の無い坊やをみて亜矢子は触ってきた
神山は何も出来ないでいると 唇を合わせたまま手を上下に
動かし始めた 硬さが充分になると 肉棒にまたぐ格好になり
自分の秘所を当て 前後に動き始めた
「あぁー いいわぁー すてきよぉー あぁー」
息苦しいのか唇を離すと息遣いが荒く上体を反らせたので
片手で背中を支えながら乳首を柔らかく噛み転がした
亜矢子はすっと腰をあげ手で肉棒を掴み秘所の中へ導いた
ぬめりとしていて スムースに挿入出来たが上下運動は
水の抵抗があり 普段のスピードで動かす事が出来なかった
亜矢子は立ち上がり 神山に湯船の縁に座るよう言って自分は
湯船の中と同じ格好で導いた
「いいわぁー あなたー あぁー あぁー」
水の抵抗が無いので 亜矢子の好きなスピードで運動する事が出来た
段々と膣が窮屈になってきたので 神山はそのまま後ろへ寝た
亜矢子は完全に上に乗ることが出来 上下だけではなく左右に
動かしたりして
「ねぇ気持ちいい?」
「うん もうすぐだよ我慢できない」
「だめよ そしたらこれは」
今度は クリトリスを押し付ける格好で前後に動いた
「うん効くよ」
神山は揺れている乳房を 鷲づかみし乳首をいじると亜矢子は
「だめ い、く、わ い、く」
先ほどまで 無言だった荒い息遣いだった亜矢子が
腰の動きを上下運動に戻し スピードを速めてきた
膣がますます窮屈になり
「だめ いくわあなた い、く あ、あ き、て ああ、、、」
亜矢子は がくんと首を折 そのまま神山の上に乗ってきた
神山はまだ昇天していなかったので そのまましたから突き上げると
「だめねぇ休ませてお願い」
神山は亜矢子の申し出を無視して 下から突き上げると
「あぁ またいきそう」
下からの攻撃で亜矢子は第二波の快楽が押し寄せていた
神山はスピードを上げると 亜矢子は
「だめ いく いくわあなた」
膣をきゅんを窄めてくると 神山も我慢が出来ず果ててしまった
「あぁ きたぁー あっ、、、」
亜矢子は果てると 完全に力をなくし 神山の上に被さった
少し落ち着いたのか亜矢子は 薄目を開け
神山に抱きつき耳元で
「おちんちん 本当に元気ね嬉しいわ 大好き」
キスをしたが
「どっちが? 僕? おちんちん?」
「ば~か 両方に決まっているでしょ もう」
向き合っていると 時間を忘れるくらい幸せだった
亜矢子は このまま時間が止まって神山を 独占したかった
夜空から星が零れ ファンタジックな世界に酔い浸っていた
暫くすると神山が
「そろそろ時間だと思うよ さっと入って出ようか」

脱衣室で小さくなったおちんちんを
「ほんと 普段は可愛らしいのに大きくなると 凶器だわあぁ怖いわ」
そう言いながら 手で持ち上げ軽くキスをした
亜矢子は 下着を着けていなので 神山が裾を割って手を入れると
「だめよもう 出ないと早く仕度をして」
神山は下着をはかないで 浴衣を着て丹前を羽織った
時間はぎりぎりセーフだったが 果たして次の入浴客がいるか
扉を開けてみると誰もいなかった
ただ隣 の女湯でがさがさ音がしたので 
顔を見合わせ静かに戸をしめた 階段を降りて自分のフロアに来ると
「ねぇ あなた このままフロントに行くの」
「うん そのつもりだよ」
亜矢子は おちんちんを叩いて
「ねぇ ここ出っ張っているわよ それでもいいのすこしHよ」
「そうかな」
「そうよ」
神山は 誰もいない事を確認してパンツを穿いた
「うんでも出っ張っているわ でもはいたもんね」
亜矢子は 笑みを浮かべ安心した様子だった
神山は そのままエレベーターを待ち 亜矢子は部屋に戻った
神山はかぎを返し エレベーターのほうに行くと ほんの僅かだが
歌声が聞こえた 先ほどは気が付かなかったが気になるので
フロントで聞くと カラオケBOXがあり25時まで営業していると
教えて貰い フロントから部屋に電話し亜矢子に聞いた
「ええ いいわよ」
フロントに何階にあるか聞いてみると2階との事
「そしたら 2階に行っているよ」
「ええ 直ぐに行くわ」

2階は先ほどの屋天風呂と同じフロアだった
ここに そんな施設があるとは思わなかった
指定された カラオケBOXを通り過ぎると 扉が開いている部屋が
いくつか有ったので覗いてみた
マージャンや卓球 一番端はタタミ敷きの大広間があった
ここは屋天風呂を 日帰りで利用した人の休憩室になっていて
売店も用意されていた
カラオケBOXは 5部屋あるが使われているのは2部屋だけだった
夏休みや週末などは 結構順番待ちで大変だろうと思った
「ごめんなさい」
亜矢子はお化粧をしてきたのか輝いていた
「あまり時間は無いけど 亜矢子の歌を聞かせてよ」
「そんなに上手ではないわ 私 でも楽しいわ」
ちょこんとキスをした
神山はキスの感触で分った リップを塗っているので綺麗になったと
亜矢子は先ほどのワインを持って来ていたが 美味しいと言って
独り占めしていた
最初は景気付けに神山から歌った ジュリーの勝手にしやがれだった
亜矢子も途中から 雰囲気に乗って立ち上がり 手拍子をとっていた
歌い終わり座ると
「すごい かっこよかったわ すてきよ」
亜矢子は またキスをしてきた
「ありがとう 古い歌でこのくらいしか 自信なかったんだ」
「ううん 歌詞に気持ちがこもっていたわ 素敵よ」
亜矢子が 選んだのはユーミンの歌だった 2曲連続で歌った
神山は手拍子をとっていたが つい先日祥子が歌った曲だったので
ちょっとばかり複雑な思いをした
「ごめんなさいね 最初から静かな曲を歌って」
「ううん 綺麗な声に聞きほれていた 上手だよ高い声も無理なく
伸びていたしさ 低い声も綺麗だったし ほんと」
亜矢子は 素直に喜びワインをちょこっと口にした
神山はビールの自販機が この部屋の外にあったので買い求めた
「さあ次はあなたよ」
「古い曲ばかりで悪いから 英語の歌でも良いかな下手だよ」
神山はリストから 英語の曲を2曲選び歌った
そこでも亜矢子は笑みを浮かべながら 真剣に神山を見ていた
歌い終わり ビールを呑むと亜矢子に 次は何を歌うか聞くと
「そうね ドリカムにしようかしら」
そういって リストが開かれているところから選曲し
「ねぇ 3曲でもいい?」
「うんOK その間探せるし」
亜矢子は リモコンのスイッチを押すとメロディーが流れ
字幕がでると 殆ど見ないで歌っていった
神山は選曲しようと思ったが 亜矢子の姿に見とれてしまった
二人は交互に歌っていると 楽しく時間を忘れた
神山が歌い終わると スクリーンに25時終了の案内が出てきて
「わぁ 折角盛り上がったのに あなたフロントに言ってきて」
「なんて?」
「うん 朝まで歌わせろって」
「それは幾らなんでも 無理でしょ」
「では帰りましょ なぁーんだ もう つまらないなぁー」
亜矢子は立ち上がる時 神山の大事な所をポンと叩き立ち上がったが
ちょっとよろけた
「大丈夫? 相当呑んだもんな」
「大丈夫よ では帰りましょう」
亜矢子の顔が赤く染まり色っぽさが増した
気持ちいいのか 自分の歌った曲を鼻歌で歌っていた

「あなた ほんと上手よ大好き」 
部屋に戻ると そう言い寝てしまった
唇を合わせても反応が無く 乳房を触っても反応が無かった
神山は秘所を触って 起こしても機嫌を損ねるだけだとして止めた
テラスに出てタバコを吹かしビールを呑んだ
ビールが美味しく直ぐに1本を開けてしまった
カラダを動かしたので 汗が気になり亜矢子を起こさないよう
静かにシャワーで 汗を流し再びテラスに出た
夜空に輝く星を見ていて 上原はどうしているか気になり電話した
「神山ですがこんばんわ」
「こんばんわ 高橋ですどうされました?」
「うん今 夜空を見ているんだけど気になって現場はどうですか?」
「大丈夫ですよ もうすぐ上がりますよ それより山ちゃんは」
「うん大丈夫ですよ 小田原の件は筒井さんと会社に連絡しました
喜んでいたよ 筒井さん」
「分りました あと何かありますか?」






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