「田所さん お化粧によって 素晴らしくいきいきしたわ
今までは どちらかと言うとお仕事柄 地味目だったの だから
思い切って 変えたんです このスーツに凄くお似合いよ
このお姿でしたら グラミー賞に行ってもひけをとりません
若返ったわ 今までのお化粧より」
「神山さん どうですか? 若返りました?」
「もう そう言うレベルではないでしょ 美しすぎます
そうしたら 今使った化粧品をください」
チーフは 今までのは全て使えない事を伝えた
「はい 分りました お願いします」
チーフが計算して 18万円と言ったので洋子が手渡した
神山が
「チーフ大変申し訳ありませんが その商品を本社人事課安井さんまで
届けてください お願いします」
「はい かしこまりました 直ぐにお持ちいたします 安井さまですね」
神山は頷き 洋子と資生堂を後にした
店員達は洋子を振り返って見るようになった
洋子も悪い気分ではないようで しっかり背筋をのばし歩いた
「洋子 皆見ているぞ 凄いな」
「そうしたら 貴方のシャツを買いましょう」
「えっ このままでいいよ」
「ええ ですが私の言うことも聞いてください お願いします」
「わかった」
神山と洋子は2階の紳士服売場に行った
シャツコーナーに行き 洋子が
「このスタンドカラーだと素敵だと思います」
そう言っていると 店員が近づいてきて
「あっ 神山部長 いらっしゃいませ 今日は何かお探しですか?」
「うん この方がこのシャツが良いって進めるものだから」
「そうですか」
店員は係長だった 洋子の顔をみてビックリした
「人事のいや失礼しました あっ 神山部長の あっ 次長の
田所部長ではないですか 大変失礼致しました」
「分らなかった 私?」
「ええ どこのご婦人か分りませんでした 今までと全然違いますので
大変失礼しました しかしお似合いです」
「良かったわ これぜん~ぶ神山部長に買って頂いたの
貴方もしっかりしなさい それで神山部長にこれを勧めているの
どうかしら 私のお勧めは?」
洋子は係長に話をしていると 課長が寄ってきた
「神山部長 いらっしゃいませ」
お辞儀をすると 色々と聞いてきたので洋子が
「あなたは 他の仕事をしなさい お客さんは他に一杯いるでしょ
私はこの係長と話をしているの」
課長は なんだこの女と思い 顔をみてビックリした
「申し訳ございません 田所部長」
「なに あなたも私を分らなかった?」
「はい 神山部長が素敵なご婦人をお連れになっていたものとばかりで」
「はい 分りましたよ しかし残念ね 素敵なご婦人でなくて」
「いえ はぁ 申し訳ございません」
「ねぇ 似合うでしょこのシャツ 今の格好に」
「はい 全然いいです」
「なんだ 全然いいとは 服で仕事をしているんじゃないぞ
頭で仕事をするんだ 僕は」
怒った神山を洋子が宥めた
「課長 そう言う進め方がありますか もっと勉強しなさい分りましたか」
「はい 大変申し訳ございません」
課長は居場所が無くなり 元気なく去っていった
洋子は係長に あなたならどう勧めるか と言われ
「はい では言わせて頂きます
今 着ていらっしゃいます Tシャツはシンプルで尚且つ活動的で
大変 着易いと思います しかしおしゃれと 言う部分では
少し物足りません そこでこのスタンドカラーのシャツを
お召し下されば おしゃれ度がぐんとアップ間違いないです
以上 ですが どうでしょうか?」
「良いわよ 99点 どう神山さん そう言う事です」
「ありがとう 課長よりましだ なんだ課長は だからホテル催事でも
何時も売上がギリギリで言い訳ばかりしているんだ 困ったもんだ」
「そうしたら これ頂くわ 着替えも含めて 5枚ちょうだい」
「カードは」
「いえ現金よ お幾ら?」
「5枚で 10万円です」
洋子はお金を渡し
「ここで着替えたほうが良いと思います」
洋子に言われ 試着室で着替え Tシャツを店員に渡した
「悪いけど これ催事課に届けてください お願いします」
「はい 直ぐに届けます」
紳士服売場を後にすると 洋子が
「素敵よ あなた」
「うん ありがとう」
洋子が靴を買いましょうと言い紳士靴売場に行った
カジュアルシューズを探していると
「あっ 神山部長 いらっしゃいませ 先日はハンドバッグの件で
大変お世話になりました ところで今日はどのような感じの
靴をお探しですか」
「うん この格好で歩ける シンプルなデザインで
出来れば 皮で軽いのがいいな お願い」
「はいかしこまりました 少々お待ちくださいませ」
係長は言われたイメージに近い靴を3足持ってきた
いろいろ説明をし
「やはり 最初に説明した靴が一番履きやすいかと思われます
自身も 使っていますが 全然疲れません 軽いのが良いですね」
そう言って3足を神山に渡し 軽くてデザインも良いので
「これ履いても良いですか?」
「はい こちらでどうぞ」
鏡がおいてある所で履くとGパンにぴったりした
「うん これにする」
「はい ありがとうございます カードは」
そこで洋子が
「あなたは 接客が上達したわ」
「あっ 田所部長 ありがとうございます しかしびっくりです
田所部長とは全然気が付きませんでした 申し訳ございません」
「いいのよ それで 接客の基本を守っているわ
それで そちらの靴はどうなの」
「ええ お決めになってくださった 靴より少し重たいですが
逆に頑丈です 雨などの時はこちらの靴がいいと思います
こちらは 牛革で お持ちのはシープです」
「デザイン的にもいいし 2足下さい 神山さん シープを
お履きになられたらどうでしょうか
今のファッションに合っていると思うわ」
「うん そうしよう そうしたら この靴とその牛革は
お手数掛けて申し訳ないが 催事課に届けてください」
「はい かしこまりました」
「2足でおいくら?」
「7万円になります カードは」
「いえ 現金よ」
洋子は7万円を係長に手渡し 靴売場を後にした
「ねぇ あなた あと46万円です」
「うん なんとかなるさ」
「でも そうだこのまま おじ様の所行かない ねぇ」
「うん きちんと報告しよう 喜んでもらえるな」
洋子は携帯電話で 秘書室に連絡をとるといると言われた
「おじ様いらっしゃいます 行きましょう」
二人は背筋を伸ばして歩いていると 周りの係長や課長達が神山には
気が付くが 洋子とは気が付かず 深々と挨拶をしてきた
「なあ 洋子 僕は分るが君は分らないらしいな この様子だと
そうすると 明日当りまた僕の噂で持ちきりになるね 困ったな」
「良いじゃない だってまだ関係してないから」
洋子はしまったと思ったが 顔を真っ赤にしてしまった
少し俯いたのが横目で見えたので 横顔を見てみると綺麗だった
神山はあえて何も言わないでいると 小さい声で
「良いでしょ もう一蓮托生よ だから 何を言われても大丈夫よ」
神山はまた黙って聞いていた
(この人 私をどう思っているのかしら こんなに言っているのに)
(まずいよな~ そんなに誘われても 困った どうしよう)
神山は何も告白できないまま 本社のエレベーターへ向かい乗った
突然洋子が神山に
「大好きです 愛しています」
そう言ってほほにキスをした そして手でマークを丁寧に落とした
神山はきょとんとし エレベーターの扉が開いても降りなかった
洋子が後ろから押して 明るい声で
「おじ様 驚くわよ きっと」
にこにこしながら 事務室に入った
事務室で最初洋子と分る人間がいなかった
秘書室に行くと
「まあ 洋子 どうしたの 凄く綺麗よ 今までより若く見えるわ
神山部長 素晴らしいですね 変身させて
あっ 神山部長も変身されたんですね 素敵です」
「うん ありがとう いらっしゃいますか?」
「ええ お待ちですよ」
二人は副社長室に入った 時田が
「おお 凄い綺麗だ どっかの女優さんかと間違えたぞ 山ちゃんも
格好いい 決まったな」
洋子が
「おじ様のおかげです 綺麗に変身しました」
「おお そうか ちょっと廻ってくれ」
洋子は言われた通り廻って ポーズを作った
「ははは どうだ山ちゃん 戦略イメージ通りになったかね」
「はい ありがとうございます 大成功です
売場を何箇所か寄ってきましたが 洋子さんと気が付く人間は皆無です
成功しました ありがとうございます」
「うん よかったよかった それとな山ちゃん さっき西野君が
車の件で来たので 買ってあげるよう伝えた」
「はい ありがとうございます 何から何まで」
洋子は時田に近寄り
「そこでおじ様お願いがあります 軍資金が無くなりました」
「なに 全部使ったか?」
「はい あと 40万です 今回だけご支援願います」
「うん わかった 200で足りるか」
「はい ありがとうございます」
時田は引出しから 200万円をだし洋子に渡した
「山ちゃん頼んだぞ それとさっき頂いた 鯖寿司だが連れて行ってくれ
だめだ あんなに美味しいと もう1回食べたい 頼む」
「はい しかし大将も言ってましたが 逸品は難しいそうです」
「ならば 今夜だ どうだ仕事は空いているだろ」
「そんな おじさま だめよ今 上原の現場 大変ですよ」
「山ちゃんがいないと出来ないか?」
「分りました ちょっとお待ちください」
神山は駅前寿司に電話をすると女将が出たので 大将に替わって貰った
「あっ 大将 先ほどはクーラーBOX ありがとうございます
そこで しめ鯖ですがまだ残っていますか」
「ええ 夜の分残しています」
「分りました そうしたら 美味しいの1尾買いますので お願いします
今夜 BOXをお返しに伺います」
「えっ 1尾も買われるんですか」
「ええ お願いしますね」
「はい 美味しいのを とって置きます」
電話を切ると 時田が
「やはり 並じゃないな なあ洋子 そう思わんか」
「ええ しっかり計算できています 例え余ってもお寿司にできるし
そうすれば明日も頂けるし 美味しく食べている時
無くならない様 確保する 大変参考になります」
「うん 凄いなワシより切れる すごいの一言だ スーパーマンだ」
「ところがおじ様 スーパーマンは 先が見えるでしょ」
「うん」
「神山さんは 私が見えないんですって わたし悲しくて」
「なんじゃ 山ちゃん 見えんのか こんな美女を」
「また洋子さん 昨夜も話したでしょ もおう
実は洋子さんとも話したんですが まだ会話が足らないので
それで 色々と見えないところがありますって事です もう」
「うん それもそうだ まあ仲良くやれ
山ちゃん 何時にするかな」
「副社長のご都合は?」
「うん 今日は何も無い」
「洋子さんも一緒で良いですね」
「うん勿論だ」
神山はロレックスを覗くと16時30分を指していた
催事課で やらなければいけない事は無いがもう一度ロレックスで確認し
「では 6時に伺います 宜しいでしょうか」
「うん わかった 6時に下で洋子と待っている 頼んだぞ」
「はい 分りました」
「山ちゃん ロレックス似合うな」
「はい 先日ウインドーコンテストで1位をとったご褒美です」
「もしかして 女か?」
「はい アルタの社長夫人からです」
「おお 内藤さんの奥さんか 以前ゴルフを2,3回したが上手だ
それに 明るくて 楽しい人だ いい人に見込まれたな うん
スーパーマンはいい女が寄ってくるもんじゃ 洋子気をつけなさい」
「は~い 早く中を見て頂いて 知って欲しいですわ」
「うん じゃあ 6時に」
二人は挨拶をして 部屋を出た
部屋の人間はようやく洋子と分り みなビックリしていた
洋子は少し笑みを浮かべ挨拶に来る同僚に挨拶していた
エレベーターに向かっていると 下の階にある本社経理部の係長が
箱から出てきた 洋子とすれ違っても分らず 人事に行き伝票を渡し
帰るかと思ったが そこで話し込んだ 女の子は仕事が出来なく
困っていたが なかなか帰らなかった 手のつけられない男だった
洋子はその係長の傍により
「何をしているの?」
「おっ 係長のお出ましか 綺麗になって 何も悪い事していませんよ」
「仕事の邪魔をしないで下さい」
「邪魔はしていませんよ 話しているだけですよ」
「それが邪魔をしている事でしょ」
「そんな 偉そうに」
「ええ 私は本日付で 部長です」
「うそいえ 聞いていないぞ 第一こんな時期に命課があるわけない」
見かねて 神山が
「私は神山です 現在部長です 田所さんは 本日部長になり
私も30日にここの次長になります この鈴やで働きたかったら
態度を改め 言葉を慎みなさい わかったか」
きょとんとしていたが 神山の噂は本社中に知れ渡っていると見え
「あなたが あの神山部長さんですか 大変失礼を致しました
以後気を付けますので お許しください お願いします」
「まあ この場は逃れても 後日同じ様な噂を聞いたら 左遷です
今の鈴やには あなたを働かせる余裕は無いはずです わかったか」
係長は深々とお辞儀をして出て行った
人事の女の子が寄ってきて お辞儀をした
「神山部長 ありがとうございます 助かります」
「よかった 又 何か有ったら 洋子さんに連絡しなさい わかったね」
深々とお辞儀をして 席に戻ると 人事課の女の子が全員立ち上がり
「ありがとうございます」
そう言い お辞儀をした
エレベーターに乗ると洋子が
「あの人は悪い人じゃないの 頭も良いし だけどああ言う態度をとるのね
上には媚びうって 部下や女性には見下すわね だけど効きましたよ
あなたは 何をしても凄いのね 頼もしいわ」
箱が1階に付いたとき 洋子が
「ねぇ 日産ギャラリーに行きましょうか?」
「うん パンフだけでも貰うか」
神山は言ってしまった
「こんな素敵な人だったら ずっと手を握りたいもんだ」
今度は洋子が耳を疑った こちらを観たのでウインクをした
「そう言う気持ちだよ」
洋子は嬉しかった そんな思いで歩いていると日産ギャラリーについた
入った瞬間に神山の背中に電流が流れた そこに飾られていたのは
新車のフェアレディーZだった 曲線が綺麗でまさに『貴婦人』だった
洋子に
「これにする どうだい」
「私もこれにする」
「二人で乗るんだし ツーシートでいいと思う 運転しやすいし」
「ええ 馬力もあるし これなら充分だわ 戦略的にも」
洋子はそう言って神山の手を遠慮深くちょこんと握り
「ねえ 早速 西野さんにこのパンフを持って行きましょう」
善は急げでパンフを5冊貰って 本社に戻った
途中洋子と 3000ccで良いことや 色はオフホワイトでいい事などを
決めたとき お互い共通点あることを確認した
本社の西野理事に会いに行くと
「おう 洋子ちゃん 綺麗になった いい上司が出来て良かったな
ところで 車か 決まったか」
「はい この車です」
そう言い パンフレットをだして説明した
西野理事は説明がきちんとしていれば全然怖くなかった 話が出来た
「わかった 手配する それで 会社の車だけど駐車場はどこにする
外商などと同じ パーキングで良いか?」
「はい それも考えましたが 24時間使える所が良いです」
「うん そうだな 近場で24時間で屋根付きか?何処か無いかな」
「理事 ホテル禅の地下駐車はどうでしょうか あそこは24時間
営業していますし 警備員がしっかり見張っています」
「わかった そうすると 目の前だし便利だな 決めた
会社で借りる 保険も会社にする 楽しみにしていなさい」
「ありがとうございます メンテは」
「日産に見てもらう 故障の時は代替車も契約しておく」
「何から何までありがとうございます」
「うん 分ったが 何があった 山ちゃん 今も副社長が来て
車はどうなった と言っていたぞ 私はまだ本人達から
何も聞いておりません と答えたら 早く欲しいだろうから
来たら直ぐに手続きをしなさい と大変な剣幕で怒られた なぁ」
「さあ 分りません アルタの一件じゃないですか?」
「そうだな それから遅れたが アルタの担当常務だってな 凄いな」
「そこが分らないんですよ 僕は」
「おお そうか さっき内藤さんに聞いてみたんだが 山ちゃんの
おかげで 何十億も入ってくると言っていた それだな
しかし なんでそうなるんだ」
神山は昨日の朝からの出来事を話した
「そうだな 私も気にして新聞に目を通しているが記事になかった
だから 内藤さんが何を言っているのか分らなかったんだ
そうか 例のアレックスグループか」
「はい」
「完全に権利をアルタに持っていかれた CM制作 イベント計画など
全てだ 勿論 商標は別だぞ あくまでも御殿場の話じゃ それでか
わかった 頑張れよ 私も応援する 何かあったら来なさい」
「はい ありがとうございます」
洋子も一緒にお辞儀をした
西野理事席を離れると 洋子に
「催事課に付き合って欲しい」
「はい 分りました」
「昨夜の結果を皆に見てもらう いいね」
洋子は何も言わず頷いた
少し歩き 催事課に入るとみんな揃っていた
洋子が入ると 皆 驚きの声をあげた
由香里が
「どこの女優さんが来たのか 一瞬分らなかったわ 綺麗よ」
「うん ありがとうございます」
「おう 洋子ちゃんじゃない 部長 ほんとだよ どっかで見たけど
どこの女優さんかなって 昔のカーちゃんを見ているようだった」
また大笑いである
「田所さん 美しくて綺麗です 昨夜の作戦当りますね」
「いえ当りました」
「えっ」
「ええ 神山さんも違うでしょ」
「うん 格好いいです 決まっていますよ」
「実は 売場で私と分らないでニヤニヤしていましたよ ねぇ」
「ええ 紳士服課長はわざわざ怒られに近寄って着ました」
「そうか 大成功か」
「ええ 資金も約200万掛かりました」
「えっ 200万円」
「今は 130万円です 二人の変身代」
「えっ 130万円 ふぁ とても偉くなろうと思わない
今のままで良いや 秘書や自分で変身して 130万円 由香里姫?」
「私は 奥ちゃんに早く理事になってもらい 秘書にしてもらって
130万円どころではなく1千万円位掛けたいわ」
「へぇ~ 1千万円 もう止めて 頭が痛い」
みな大笑いだった
杉田も市川も 見とれているだけだった 神山が
「昨日のお借りした分 お返しいたします お騒がせしました
お陰様でこのように二人とも大変身しました ありがとうございます」
神山は 倉元に20万円 奥村に5万円返した
洋子を見てみると手帳になにやら記入し 奥村に
「ここにサインをお願いします」
「分った おっ英語で書かれているね うん 分った」
倉元にも同様にサインを求め 倉元もサインをした
「おう もう立派な秘書だな たいしたもんだ 上司もいいし幸せだろ」
「はい 鈴やだけでなく どこ探してもいませんわ
こんなに素晴らしい人にお会いできて お仕事が楽しくなります」
「あ~あ 先輩いいな~ もう自信なくしました 男として」
「大丈夫よ 99点だから」
また大笑いだ 神山が洋子に
「今日は色々と協力をしてくれありがとう 大変な一日だったが
これが 僕らの仕事だ いいね」
「はい 分りました」
「うん 僕はここで仕事します 洋子さんは人事に戻って頂き
引継ぎを漏れの無いよう行ってください」
「は~い では皆さん失礼します」
神山は洋子と部屋を出た 洋子が神山に30万を返した
「サインは?」
「あなたの場合は無いでしょ」
「そうか それで 明日は?」
「ええ 今日と同じです 何か?」
「次長室の件で細かい所を決める時 洋子がいた方がいいと思って」
「はい お電話ください 携帯でも内線でも構いません」
「では 6時に本社に行きます」
「はい おじ様と待っています」
「うん では」
神山は洋子と別れると部屋に戻り席に座った 由香里が
「ねぇ 本当に綺麗になったわ 彼女 どうしたの?」
「昨夜の戦略のコマを進めただけですよ
例えば昨夜の話はスーツだけだったでしょ 僕は顔も変身させないと
駄目だと思って 資生堂でメイクをしてもらったですん
あと考えているのは ヘアースタイルだけど こればっかりは
今日 出来ないので 後日です」
「なるほどね 随分と変ったから 誰だか分らなかったわ」
奥村が
「山ちゃん 凄く格好いいよ 超一流デザイナーにぴったしだよ」
「ありがとうございます 何も出ないですよ」
「ところで アルタの話はなんなの?
みんな分らないんだ 教えてよ」
神山は西野理事から聞いた話を皆に伝えた
「ただし これは極秘情報です 漏れると私が首になります
ですから絶対に守ってください 例え店長でも お願いします」
奥村が 皆に
「神山部長が言った事守ってくれ そうしないと山ちゃんだけではなく
おれまで首になる 西野理事はここまでは許してもこの部屋の外は
絶対に許してくれない 頼んだぞ」
全員が 分りましたといった
「しかし アルタは凄いね 結局山ちゃんの情報か う~ん 恐ろしいな」
「おう 俺みたいなちんぷんかんぷんは分らないな
しかし 情報って そんなに価値があるって事分ったよ
そうすると ほうれんそう などと言っていられないな
これからは ほうれんそうの二乗 いや四乗だな」
みんな納得したので 仕事をした
神山は一区切りついたので 店内に行った
屋上にある園芸用品だった 白い砂を見ていたら 綺麗な砂があったので
聞いて見ると珊瑚が潰れて砂状になっていると言った
大きさも一定でなく 結構使えそうなので 一袋開け使用量を見てみた
神山が考えていたより少ないので もう一袋開けた 一箇所で
2袋利用 7箇所だと14袋になる 金額は一袋400円だった
20袋買ったが少し重たいので一袋だけ手持ちにして後は
理由を話し催事課に5時45分まで届くようお願いした
「神山さん カードは」
「いや現金だ」
神山は8000円渡し お願いしますと言って おもちゃ売場にいった
ビー球を探していると 係長が寄ってきて
「神山部長 何をお探しですか?」
「うん 綺麗な色したビー球を探している」
そう言われ 売場係長は案内して
「こちらにございます」
神山はネットに入ったビー球や袋に入ったビー球を真剣にみて
種類を決めた これも20袋買った 結構重たかったので
先ほど同様 一袋だけ持って あとは催事課に届けてもらった
あと足りない分はグラスだがどのレベルを買うか決めていなかった
確かに昨夜は一個500円でいいかと思ったが どうしたものか
考えながら売場に行くと 課長がいたので説明し尋ねた
「そうですね いくら飾り物でもどうでしょうか
神山部長は光の事を言われてましたよね」
「うん」
「そうすると やはり安くても1000円位なりますね
余りと言うか ガラス自体が厚みがあると 綺麗では有りません」
「うん そうだね」
「あっ ちょっと待ってください 倉庫にいいのがあります」
課長は売場倉庫に行って 探し出してきた
「どうです 綺麗でしょ 透明感も有るし」
神山は売場で見ていた物とは違うと感じ
「ちょっとかしてください」
そう言ってそのグラスを照明のほうに照らした
綺麗な光線が反対側のガラスから出ていた
「これにします お幾らですか?」
「これは 1500円です 今まで5000円で出していたんですが
数が無くなりまして 出せないんです あと10個です」
「わかりました 10個全部頂きます そうすると15000円ですね
現金で買います 5000円のニーナ・ニーナ宛て領収書と
1万円のレシートでお願いします」
ここでも一つだけ手持ちにして 残りは催事課に5時45分まで届くよう
依頼した 課長は直ぐに届けますと言ってくれた
部屋に戻ると頼んだものが届いていた
さて自分一人で持てるか試したが あと手が一本あれば何とか持てた
困っていると 杉田が
「先輩 じゃない部長 どうされたんですか?」
「いいよ 先輩で」
翔に訳を話すと それは大変ですねと言って一緒に考えてくれた
「翔 今夜 一緒に運んでくれるか」
「ええ 今夜は大丈夫です」
「課長 今夜 翔を借ります 飾り物が多く 一人で運べないんです」
「うん 翔 仕事は大丈夫か」
「はい 先輩のお仕事でしたら 例え火の中水の中 大丈夫です」
「おう 翔 ご馳走になってこい 今日はきちんとしていけよ」
「はい 何時ものように清潔爽やかに行きます」
「おう あたふたするなよ」
「はい」
「倉さん 知っているんですか 時田さん」
「さっき電話があってなオレがでたんだ オレもびっくりさ
あんな偉い人から それで話を聞くと 今夜の件早く行こうって
催促だったんだ オレは今 店内ですって言っても なかなか聞いて
くれないで 困ったが 向こうが分った 5時45分に待っているから
席に戻ったら伝えてくれと頼まれたんだ しかし副社長
何回も山ちゃん 山ちゃんって言っていたぞ 凄いな
良く味方につけたな ほんとびっくりだよ
電話取ったら 山ちゃんかだろう 違いますがと言ったら 山ちゃんの
電話だろ だれだ だ なんだこいつはと思って 掛けてきた方が
自分の名前名乗るのが当たり前だろってやっちゃた そうしたら
時田だがときた そこでこちらは まあ自分が悪くないけどな
済みません と言ったら笑っていたよ 催事課はいいなって
訳が 分らないままに 言付かったわけさ なにがあった」
「ええ 今日は上原の現場でまあお昼はビールが入りますよね
洋子さんも一緒で次長室の図面を確認しながら仕事を進めたんです
そのあと時田さんの所にいってお礼を申し上げようと そうしたら
いい匂いだ と言われカチンと来たんです そこでやっちゃたんです
ただ お昼のお店で美味しいしめ鯖が有ったので それを手土産で
持っていったんですが クーラーBOXをみて また怒られた
まあ こんな経緯です」
神山は時田と田所が親戚は伏せた
「なんだ やちゃったんだ あの人は普段怖いけどな いい人だよ
催事課のことも良くご存知だ まあ 山ちゃんの熱意に負けたんだな」
そんな話をしていると
「おう 少し早めがいいぞ」
「ありがとうございます 翔 行くぞ 翔はその一番重たいの持ってくれ」
「はい ほんと重たいです」
「では倉さん ありがとうございます 行ってきます」
「おう 翔を頼むな」
「洋子さんが 一緒です」
「だったら なお安心だな」
「課長 行ってきます 翔は今夜直帰でお願いします」
「わかった 邪魔すんなよ 翔」
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