「やったわね あな、、、神山さん」
「やあ 山ちゃん 凄いじゃないか」
部屋の皆が声を掛けてきた
神山は訳が分らないのできょとんとしていると
「おう 山ちゃん 凄いな大スクープを よく発見した」
「そんな その件ですか たまたまですよ」
「おう しかしなそれを直ぐにアルタに知らせるとは大したものだ」
「ええ まあ 自分も大変になるので それでアルタに伝えたんですよ」
奥村が近寄ってきて
「先ほどアルタの内藤社長が来られて大変喜んでおられた」
「来たんですか ここに」
「うん 佐藤部長と一緒に来られた」
「へぇ~ なんでそんなに、、、」
「店長に会われる為に来たんだ」
「へぇ~」
「そうだ みんな居るから ちょっと会議室へ来てくれ 由香里さんも」
催事課全員が会議室に入ると 奥村が
「コレはまだ正式ではないが 決定するのでそのつもりで 極秘です」
神山は今後アルタの出向社員扱いと成る事 待遇は常務
鈴や銀座店にも 席を置く待遇は理事と成る
アルタの仕事内容は御殿場アウトレットの全般デザインを含めた
統括アドバイザーになることを話した
催事課皆はびっくりした 倉元は知っていたので驚かないが
「おう 山ちゃん オレを抜いたな 凄いぞ こんなの初めてだ
店長も驚いてさ 大喜びだったぞ おい 凄いよ」
倉元の発言を受けて奥村が
「鈴や始まって依頼の出来事です この若さで 理事になり
さらに先方の待遇が常務とは聞いた事がありません
山ちゃんは今後御殿場アウトレットを中心に動いて貰います
実は御殿場アウトレットに鈴やも食堂関係で出店予定が
ありましたが 先ほど出店が正式に決まりました
我社の出店は一部には知られていましたが 公には成っていません
しかし 本日から正式に稼動します
統括責任者 神山理事 施工管理アルタです
以上 ご報告いたします
山ちゃん いや神山部長 おめでとうございます」
奥村課長の話が終るとみんなから拍手された
神山自身実感が湧かないが 要は今までよりアルタの仕事をして
業績をあげていく事がねらいだと思っていた
報告終った奥村が
「いや 山ちゃんじゃない神山部長 凄い 店長を動かすなんて」
「そんな 何もしていないですよ 向こうで常務と言われても
結局は今までの仕事プラス アルタの仕事が増える事でしょ」
「まあ そうだが 比重を今までよりアルタに置く事が条件に成っている」
「そんなの 難しいですよ」
「そうだな しかしアルタが考えられない事を山ちゃんじゃない
神山部長が提案していって 進めていく事なんだよ
具体的には24日の配車の件26日の配車の件 今日の午前中の件
全て内藤社長に報告されている
そのように臨機応変 柔軟な思考 迅速な決断 を評価された
勿論デザインは最上級評価だよ
一番は顔の広さだろう 人脈を大切にしているので
そこが最大のポイントじゃないかな」
「へぇ~ そんなもんですかね」
「そこが一番大切さ 山ちゃんじゃない神山部長」
「いいですよ 山ちゃんで 皆さんも山ちゃんで良いからね」
鈴やの理事は店長 店次長 部長職が理事で
部長職は 理事と部長と別れている
今 倉元や神山 その他店内の部長は職級は部長で理事は一人も居ない
「尚 皆に一言 絶対に漏らさないで欲しい この人事はアルタを含め
色々と手続きがあり 4月30日 木曜日朝発令 アルタも午後発令
よって 30日は大変な一日になるが 皆さん協力してください
それから 今の上原の電話番号は必要以上絶対に教えないように
アルタの仕事が絡んできますから 住所もいいですね
それで 山ちゃん この時ばかりはスーツにしないか?」
「おう 奥ちゃん いいじゃないか そのままで
銀座はそれで通してきたんだし 服が辞令貰うんじゃないぞ」
「そうですね 分りました」
「倉さん ありがとうございます」
賑わっている時 部屋の電話がずーっと鳴っていた 直通だった
由香里が急いで部屋を出て受話器を上げると 筒井からだった
「山ちゃん 筒井さんからですが」
「分りました」
電話に出ると
「やあ 山ちゃんおめでとうございます 素晴らしいね
今 内藤社長から聞きましたよ これで思う存分
御殿場アウトレットの仕事が出来ますね いや本当におめでとう」
神山は会議室に戻ると
「筒井さんから 頑張ってくださいとお褒めの言葉を頂きました」
神山は杉田に
「なあ 翔 これで地下でケーキ買ってきて」
神山は杉田に小銭入れを渡し頼んだ 杉田は小銭入れを覗いたが
「先輩 足りませんよ 実は昨日も足りなかったんで自腹切ったんです」
「ごめんごめん そうか」
そう言うと札入れを出し 1万円を渡し
「昨日の分 そっから引いといてちょうだい」
「はい 行ってきます」
そう言い部屋を出ると又 戻ってきた
「奥村課長 店長が来られました」
奥村以下全員立ち上がり 店長を迎えた
「いや 大した用じゃないんだ 今 山ちゃんが部屋に居るので来た」
「おう 翔 店長の分も買ってこいや」
倉元から言われ地下へ買いに行った
「改めて 神山君 おめでとうございます 素晴らしい働きだ
アルタの社長がべたほれで 私はどうする事も出来なかった
鈴やさんで理事扱いしなければ私の会社に引き抜きます
と そこまで言われ 考えた結果なんだ だから理事でも
店次長ではなく 東京本社次長になる 勿論仕事はここも手伝ってもらうが
メインは御殿場アウトレットになってくる
アルタさんのアレックスグループやうちの食堂 ニーナ・ニーナの仕事と
この一年 大変な事になる いち催事課員だと動きが制限されるので
東京本社付けになった その方が自由に動けるしな
しかし はじめてだぞ 東京本社次長は」
奥村は組合の執行役員をしていることもあり
「そうですよね 本社社長はいませんからね 東京本社と言う
名称は普通の会社の本社と違って 各店を統括する人の集まりですからね
だから 東京本社社長は居ないだろ」
「したがって 神山君は30日の人事発令後は私の部下ではなく
同格になる ちょっと変な話だけどな ははは」
奥村が
「そうすると役員になるわけですか?」
「うん まあそう言う事になるなかな」
「えぇ~ そうか 鈴や社長 副社長 専務 常務 その次ですか」
「うん そうだ わしもほんとビックリしている」
「そうか 株主総会で承認が必要なのは常務までだから 次長理事だと
本社サイドで人事が発令できるわけですね」
「うん そうだな」
黙っていた神山が
「そうすると 30日は本社秘書課に伺う事になるのでしょうか?」
「うん そうだね」
由香里がきょとんとして
「神山さん 店長と同じ位偉くなるんだ」
奥村が
「店長は常務だから山ちゃんはその下さ だけど銀座店を統括して
みる事が出来るし 店長にも同等の立場で発言できるのさ」
「おう 山ちゃん 凄いな ワシはびっくりだよ まだ信じられない
銀座だけじゃなく 全国でも初めてだぞ ははは」
奥山が
「店長 アルタは何をそんなに山ちゃんを買ったんですか」
「うん みんな居るがいいのか?」
「ええ 構いません それに勉強になります」
「そうだな 御殿場アウトレットのオープンが早まる事は関係者は
皆知っていたが動けない状態が続いているわけだ
勿論 構築物などはある程度原案は出来ているがね
しかし 本格的に稼動しようにも 道路設備 土地買収など
特に駐車場関連など色々な要素があって 動けなかった
ところが山ちゃんの情報で一気に稼動できるわけだ
コレは単に構築物をデザインするとかではなく 総合的に
権利を取得出来るチャンスでもある訳さ
例えばオープン時のアレックスグループのTVCM権利や現場の
イベント関係の権利など 全てが優位に話を進める事が出来るんだよ
なぜかと言うと オープンまで時間がないから スムースに進まなければ
今度は発注した側が困る訳だ そこでもアルタは優位に立てる
そこで山ちゃんがなぜ必要かに成って来るのだが
今までの仕事の内容や態度 上原の仕事の進め方
絶賛していたのは24日の配車の件 26日の配車の件 今朝の件
そのように臨機応変 柔軟な思考 迅速な決断 を評価されたし
勿論デザインは最高級の評価を頂いた
そこでだ アルタとしてはこの際 神山君を引き抜くと言うわけだ
しかし鈴やにとっても至宝なので手放せない
そこで妥協案が出されお互いの関係を上手に利用するには
鈴や在席が一番で しかもこれから色々と仕事を考えると
部長では如何なものか
そこで 考えついたのが 東京本社次長と言う前代見門の
役職が誕生したわけさ この話は東京本社に副社長がいらっしゃったので
相談して 結論を出した」
店長の話を聞いていたみんなは あっけに取られていた
そこに翔が戻ってきて
「お待たせしました お客様が一杯並んでいて すぐに
買えなかったんです すみません それと先輩 おつりです」
それを聞いた由香里は
「先輩じゃなくて 神山部長でしょ」
杉田は訳がわからずきょとんとしていると 神山はおつりを受け取り
「ははは いいよ先輩で ねぇ店長」
「ははは まあいいじゃないか 由香里姫」
由香里はお辞儀をして コーヒーを入れに行った 店長は
「ここは本当に 安らぐところだ 何時来ても飾った所ないし
サムライが揃っているし 頭の切れる女性はいるし」
「店長 頭が切れるだけではなく美貌も備わっていますよ」
「そうだな 奥ちゃんの言う通りじゃな なぁ倉さん 17日に受賞の
祝賀会を開いたばかりだろう」
「おう そうですね どうしましょうか」
「そこで 26日のニーナ・ニーナオープンの後はどうかな?」
「そうですね 翔 出勤簿持って来てくれ」
神山は黙っていた 翔は出勤簿を倉元に渡すと
「全員出勤ですが あっ 主役が居ません 店長」
「どうした 山ちゃん」
店長から聞かれ
「ええ 実は26日は御殿場のホテルの仕事なんです
例の車の件もあって 自分も手伝いに行くんです
なにしろアルタも横浜を抱え人手が足りないそうです」
「そうか 凄い仕事だな ほんと催事課の器をはみ出るな
わかった 主役が居なければむりだな」
奥村課長が
「店長 祝賀会ですが 本社は呼んだほうが良いですね」
「うん 副社長がご存知なので秘書室長 店では店次長と秘書課かな」
「はい では招待状の原案を作り後でお届けに伺います」
「うん 日付だけ抜いてな ワシのほうから副社長に電話をして
何時あいているか聞いてみようか」
「はい ありがとうございます お任せします
うちのほうで都合が悪いのは 赤坂センターホテル準備の
5月1日 撤収作業がある3日です」
「そうか そうしたら2日には副社長もホテルに行くと言っていたので
2日土曜日にしようか なぁ 倉さん」
「ええ 皆さん 顔揃っていますからね」
「奥ちゃん そのように作ってよ」
「はい 主催はどうしますかね 困っています」
「うん いいじゃないか ここで」
「はい ではそうさせて頂きます」
会議室の中では まだ興奮が冷めなかった その時神山が
「店長 お伺いしたいんですが 御殿場が終ったらどうなるんですか」
「う~ん ワシも考えていたんじゃが、、、う~ん
いっそうの事 役員になるかだな あとは現状移行だな
なにしろ業績がある人間を下げる訳にはいかないしな」
「僕は今のままで仕事したいですけどね」
「まあ そうだな しかし今度は手広くなるからな」
奥村がそろそろお開きにしようと
「山ちゃんと倉さんを除いて 席に戻って仕事だ」
みな奥村の掛け声で 席に戻った 奥村が
「山ちゃん 店長も仰られて居るわけだから
今後は幅広く仕事をし活躍して欲しいんだ
という事はここだけに拘らなくても良い事になるので
店長 彼に専属の秘書を付けては 如何でしょうか」
「う~ん そうだな 本社じゃ秘書いるしワシも秘書がいるしな」
「倉さんどう思いますか」
「おう そうだな いちいち山ちゃんじゃ可哀相だろ
肝心な所は今まで通りにすればいいし アルタの常務だろ 付けよう
しかし お金はどうする」
「ええ 実は東京本社で一人辞められたでしょ」
「おう 辞めさせられたな おう そっから出るか」
「ええ 勿論 催事課ではと言うより 銀座店では出せませんからね」
「ははは 奥ちゃん良く調べているね」
「はい これも組合の仕事ですから そこで東京本社でだす訳です」
「うん そうしよう よし僕は副社長に伝えておく
人事関係は本社から持ってくるんだな」
「ええ 銀座の人材を使いません」
「分った 銀座がお金 人 と関らなければワシはOKじゃ」
「ありがとうございます それで次長室なんですが まさか今のままでは
仕事が出来ないので この会議室の後ろが開いているので
そこで仕事をしてもらえば こちらも助かるんですが 如何でしょうか」
「そうだな 奥ちゃんがそれでいいとなれば OKだ」
「倉さんはどうですか?」
「おう いいね その方がある部分仕事しやすいだろう」
「勿論 会議なんかは この部屋を使ってもいいし
この上の会議室もあるし 山ちゃんも会議室があれば 困らないと思う
店長 よろしいでしょうか?」
「わかった 早速 準備をしてくれ 待遇が悪いとアルタに行かれるぞ
アルタはこの至宝を狙っているからな 奥ちゃん頼んだぞ」
「はい 山ちゃんは鈴やで守ります 手放しません
そう言う事だ 山ちゃん この後ろに山ちゃんの部屋が出来る事
専属の秘書がつく事 最後に待遇を良くするから 離れないでね」
奥村の最後の言葉で店長 倉元 神山 奥村自身笑った
店長が
「奥ちゃん もう良いかね 開放してくれるかね」
「どうもありがとうございます お忙しい所 すみませんでした」
「では 山ちゃん 頑張ってな 頼んだよ」
店長は手を振って部屋を出て行った みなお辞儀をして見送った
部屋に残った3人は今後の仕事の進め方を協議した
神山は今まで通りと言ったが これからは重要催事だけ手伝う
勿論 余裕がある時には手伝ってもらう
「山ちゃん これは肝心な事だけど いままで銀座店の中で行動する場合
店長の判を貰っていたけど これからは本社秘書課で貰う事になる
もっとも書類を出せば殆ど判はもらえる なにしろ次長だからね
秘書課も嫌といえないんだよ
それから人事考課は副社長になる もっとも理事の場合 部長と違って
そんなに厳しくないし大丈夫だよ それから出勤簿はなくなる
ただ 秘書には伝え連絡取れるようにする 勤怠関係は本社人事になる
以上 何か質問はあるかな もちろん倉さんも」
「おう オレはない ただ催事の出勤簿から消えるのが寂しいな」
「ええ しかし次長が催事課では可笑しいでしょ」
「おう そうだな」
「僕も有りませんが しかし、、、」
「うん しかし、、、とは?」
「随分と手回しが良いなと感じていたんですよ」
「うん 前から考えていたのさ 勤務にしてもイレギュラーな時間が多いし
本人と連絡をとっても こちらの仕事が出来ないとか
今後 絶対にそのような時が来ると思い 情報を探しておいたさ
それが今回こんなに早く役に立ったわけさ
山ちゃんと同じだよ 情報を先取りすれば優位に話が出来るし
懸案を纏める事が出来るんだよ」
「ありがとうございます 勉強になりました」
「さあ それでは仕事をしよう」
奥村は部屋を出て席に戻ると店長から電話が来た 何度も頷いていた
「由香里姫 店長と副社長の本社に行ってくる」
「はい 行ってらっしゃい」
神山と倉元が席に戻るとき 市川が
「山ちゃん じゃない部長 凄いじゃないか この若さで理事なんて」
「たまたまだよ 市ちゃんもがんばれよ」
今度は由香里が
「凄いわ やっぱり私が見込んだ通りね 凄いわ」
「先輩 凄いですよ 僕にとっても嬉しいですよ 胸張れますよ」
「うん だけど余計な事はしゃべるなよ 昨日みたいになっても
もう助けられないからな いいね ねぇ倉さん」
神山はウインクをして 倉元に振った
「おう そうだぞ これからは助けてくれる人がいないぞ
オレも忙しいからな 翔のことに付き合えないぞ」
「そんな 誉めたのに そこに行く訳ですね すみません」
「そうよ だって奥村さんだって 返す事出来なかったでしょ
たまたま神山さんが知っていたから笑い話で済んだんじゃない
もっとしっかりしてよ ほんと神山さんの爪の垢でも飲んだら」
「おう 由香里姫 そこまで言わなくても 翔が泣いてるよ 翔 泣けよ」
「グズン グスン ごめんなさい 以後申しませんから許してください」
「分ったわ しっかりしてよ ほんと 頼りないんだから もう」
翔と神山が席に戻ると翔が
「どうしたんですかね やけにキツイですよ」
倉元は
「おう 分らんか 山ちゃんが遠くなるのさ」
「あっ そうか 今までお世話してきたけど 出来ないし」
「おう まぁそんなとこかな」
倉元が2人に中元の打ち合わせをしようといって真中のテーブルに来た
神山と杉田もデザイン資料を持ち寄った
項目ごとチェックしてゆき 殆どOKがでた
倉元が杉田に 良く出来た事で誉めると
「すみません 殆ど先輩が原案を作ってくれたんです」
「おうそうか、、、でもフィニッシュは翔だろ 頑張ったじゃないか」
「倉さん 造花はどうしますか」
「おう そうだな 翔 赤坂センターの見積もりをもってこいや」
「はい 準備できています」
「おう 早いな」
そう言い見積もりを項目ごとつき合わせてみた所 漏れがないので
「翔 もうこれでいいな 追加は出来ないぞ」
「はい けさ先輩から言われ 何回も見ましたが 漏れは有りません」
「翔さ スポーツの什器だけど 流通センター納めだろ
什器屋は なんにも言って来ないのか 後で運搬費下さいは無しだよ」
「はい それも確認をとってあります 大丈夫です」
「おう そうか そうすると単純に10万円浮くな」
「ええ 看板を再利用するので 鈴や装飾がその分減っていますね」
「おう で翔 この概算見積もりはこの数字で課長に行ってるのか?」
「喜んでください ちゃんと看板代を入れて出しています」
「おう たまにはいい事するな そうしたらここで買いたいが枠がな~」
「ええ 僕も倉さんに相談しようと思っていたんです 翔の数字がOKなら
ここで購入できるしと思っていたんです
あの色の造花はほんと難しくて 普通のリーフを混ぜる事出来ないし
単独で使わないと いい色気が出てこないんですよ」
「おう そうだな 今までのが多少でも使いまわし出来ればな、、、
そうしたら オレが課長に話す 今日中だったら納品は大丈夫?」
「ええ大丈夫です 昨日確認をしました ここ1週間って言ってましたが
輸入品なので 早く抑えたほうがいいでしょうね」
「おう わかった 今日中に結論を出すよ」
3人が話し終わった時に 店長と奥村課長が戻ってきた
「おう おかえり どうだった」
「ええ 今副社長と決定した事をご報告します みんな集まって」
そう言われ センターテーブルに集まった
「副社長と本社秘書課並び人事課を交えて話をしてきました
確認事項と決定事項がありますので ダブりますがご了承ねがいます」
奥村課長が丁寧な進行のときは特に大切な内容の話なのでみなメモをとった
「神山部長 人事発令4月30日 朝9時30分
職種 理事 役職 東京本社次長
秘書 田所 洋子 人事発令 4月20日 朝9時30分
職種 部長 役職 東京本社次長 神山 龍巳 専属秘書 以上」
みんなこのことを聞いてざわざわした
特に専属秘書の部分だった
皆が疑問に思っているので 奥村が
「え~ 専属秘書も今回新しく設けました 説明します
田所さんは鈴やの仕事だけではなく アルタの仕事もします
要は次長秘書になると鈴やの中だけの秘書になってしまいます
そこでオールマイティーに管理したほうが鈴ややアルタなど
全てを見てもらう事が出来ます 主にスケジュール管理や
各取引先との連絡です え~ もう直ぐ田所さんが来ますので
拍手で迎えてください
尚 それに伴った決定事項です
次長室は ここの奥に設けます 間仕切り工事が明日から入り
出来上がりは 4月27日月曜日 施工 アルタ 費用アルタ
これには事情がありまして アルタさんの会社では神山次長の席を
設けません したがって次長席は鈴やだけになります
次長室は本社のように秘書室との仕切りを設けません
理由は部屋が狭くなり テーブルが入らない事と次長の作業スペースが
無くなってしまう事由です
尚 それに伴い 催事課の会議室が 現在 180平米有りますが
110平米に縮小します
それから次長室の家具 備品類の準備はアルタが担当します
えっと それから」
奥村はメモをきちんと取っているが今回は長い時間だったのでメモも
一杯になり 探した
「え~ 田所さんについては 明日名刺が出来ますが 引継ぎなどで
あと神山部長のご都合や次長室の関係で 28日から席を移します
田所さんの挨拶は28日から行いますが次長の辞令が30日に
決まっていますので アルタさんニーナ・ニーナさんに限らせて頂きます
以上ですが 何か質問は? それから空き部屋にはいっている
装飾保管品は 早急に隣りにの部屋に移動してください
え~ 長期保管をしていて 使わないのもはこの際破棄するなど
見直しをしてください 後はペントハウスに保管してください」
みな質問はなかったが 神山が
「次長室に作業スペースを設けて頂く事は大変ありがたい話しですが
この部屋にある 私の席はどうなるんですか?」
「全て移動してもらいます」
「へぇ~ 引越しですか」
「ええ お願いします」
「参ったな~」
「こちらに置ける書類はそのままでいいですよ
次長室は現在上原で使用している設備がきます PCからモニターまで」
「おう 山ちゃんいいじゃないか 奥ちゃん冷蔵庫は?」
「はい 準備します でも山ちゃん扉開けたらビールばっかりは勘弁な」
ここでみんな大笑いした
「先輩 そうなんですか」
「うん まあな だってそれしか入れるものがないだろ」
それを聞いていた店長が
「早く いい人見つけろよ」
そう言ったとき又 大爆笑だったが由香里だけは笑えなかった
皆が笑いざわついている時 催事課の扉が開き 田所が入ってきた
「おお ようやく来たな さあこっちへ」
店長に言われ センターテーブルに来て
「本社の 田所洋子です 今 人事でお話しを聞き秘書室で細かい事を
伺ってきました あす辞令を頂きますが こちらには28日から勤務
いたします 分からない事がありますので よろしくお願いします」
お辞儀をして挨拶が終るとみんなが拍手をした 店長が
「こちらが 神山部長だ これから君のご主人様だ さあ握手して」
店長に言われ神山に歩み寄ると 手を差し出してきた
神山も手を出し握手し
「神山です 不束者ですが宜しくお願いしますね」
「いえ こちらこそご迷惑に成らない様頑張りますのでお願いします」
二人はがっちり握手をしていると
「おいおい いつまで手を握っているんだ まったく」
また店長の一言で大爆笑だった
手を離した田所に奥村が
「出来れば今夜 少しの時間でいいのですが空いてませんか
ここで 神山部長の昇進と田所さんの昇進前祝をします」
「ええ ありがとうございます 何時に伺えばよろしいですか?」
「6時過ぎでいいですよ 本社は6時ですから終ったら来て下さい」
「はい 分りました 伺わせて頂きます」
挨拶が終ると由香里のところへ寄って 手を握った
「良かったわね いい所に来て」
「そうね こんなに近いところに来れるなんて久しぶりね」
「抜けるとみんな寂しがるでしょ」
「どうかしら 私の下だけでしょ ふふふ」
「でも 良く本社が手放したわね」
「そうね おばさんのお仕事はお終いね ふふふ」
「まあ そんな事無いでしょ だって今だって人事のエースじゃない
こうみえても ちゃんと知っているんだから」
「ふふふ ありがとう ところでお母様はお元気?」
「ええ 相変わらず元気すぎて困っているわ」
「そうなのね うちの母も元気よ ほんとよく出かけるし 昨日も
泊りがけで 町内会の方とお出かけしているわ」
「へぇー うちの母もよくお泊りをしているわね
もっともその方がこちらも助かるけれどね」
田所洋子は斉藤由香里と同期生で 入社してからずーっと比べられ
才色兼備の二人は銀座の代表といっても過言ではない
以前銀座店に居た時は 総務部人事課だった 経理の由香里か人事の洋子か
以前から言われていて 境遇も似ている
父親を早くに無くし彼女と母親二人で暮らしている
由香里も洋子も家庭環境などお互い知っているので 仲が良かった
.