2012年11月24日土曜日

青葉 7 - 21 Vol. 2



大変なことになった ビールやしめ鯖ではなく 記事探しだ
4人で探したが 出ていなかった
「山ちゃん そうすると 本当に凄いよ 今 この時間だと
社長はまだアレックスグループに行っているけど どうなのかな?」
「だって 社長は地主に裏を取ったんでしょ」
「うん 不動産屋ですね 確かな情報です」
4人は また沈黙をしてしまったが しめ鯖やビールは進んだ
「山ちゃん 次長室だけど 床から考えるといいかなって思うだけど」
「うん わかっている 他人の事はよく分るけど いざ自分がと言うと
これが 人間が甘いのか ここが足んないのか 分っているけど分らない」
「そうだよね どうしたいの山ちゃんは」
「うん まず来た人が少し驚く事ね それとカラーコントロール
それから、、、」
「シンプルですよね」
洋子が助け舟を出してくれた
みんな大笑いだった
「すると 造り付けが決まったから う~ん、、、そうだこうしない」
高橋は図面をだし こことここはシルバーメタ ここはオフホワイト
床はピータイルでシルバーメタ 次長席は黒のつや消しを提案した
「そうだね いいね そうしようか 造り付けの目地棒は真鍮の
ゴールドメッキでどう?」
「うん アクセントにゴールドを使おう」
「そうすると ソファーはオフホワイトのコットン生地で目が粗いの
たしかイタリアのメーカーであったはず アンコは柔らかいのが良いね
座ると沈むソファー テーブルはシンプルなガラステーブル でどう?」
「うん 凄くいいよ 幸三早速あたって調べてな」
神山は洋子に
「どうですか?ご感想は?」
「ええ イタリアのシンプルモダンは好きです お仕事が楽しくなります」
「ありがとう そうしたら決定 あとね スクリーンだけど
キャスター足だよね」
「ええ そうです」
「あとは 彼女の椅子だけど どうするか?」
「有りますよ そのラインで 座りやすいしデザインはばっちし」
「OK任せる いいね洋子さん」
「はい お願いします」
「色は黒かコーヒーブラウンかな それとも白かな」
「茶系より黒か白でしょう しかしシルバーを出していますから
黒が素敵ですよ 絶対」
田中 幸三が助けてくれた
「わかった その線でいこう いいね洋子さん」
「はい 了解です」
皆笑った 
「床なんだけど どうする あそこがたがただぞ」
「そんなに酷いんですか」
「ああ 催事課なんて でこぼこだよ」
又皆黙った 洋子は分らないので発言できなかった
神山がまた沈黙を破った
「そうしたらさ コンパネに張って 下地調整する?」
「そうですね 逆に下を剥さないでのりを乗せたほうが浮かないでしょ」
「うん 受付のハイカウンターの前はループ絨毯で黒 でカウンター端に
見切りを付けてそこからPタイルはどう?」
「それいいですね 見切りは150幅でスロープを付ければ問題なし」
「うん コンパネはなるたけ厚ければ格好つくしそうしよう それと
Pタイルは斜め貼り そうだ1200角のコンパネを置くでしょ 目地が
問題だけど 黒のコーキングで逃げる 或いはゴールドの真鍮メッキ」
「そこんとこは間に合います 実際に作って見ます」
幸三がまた助けてくれた 高橋が
「要は1200角のコンパネにシルバーのPタイルを隙間無しで貼る
その床パネルを現場で斜めに貼る 目地をどうするかですね」
「うん そのとおり 100点」
みんなで笑った
「山ちゃん ありがとうございます 仕事がやり易いよ なあ幸三」
「ええ 実は直接神山さんの仕事をしたかったんです
どこでそんなアイデアが出てくるのか 分らなくて 今でも分りません」
幸三がそう言った時 高橋の携帯が鳴った

高橋は神妙な顔つきから笑顔に変わった そして神山に替わった
「内藤です」
「こんにちわ お世話になっています」
「ありがとう うまくいったよ アレックスグループ ははは ほんと
笑い止まらないよ 今日の日経にも他の新聞でも取上げていないんだ
だから アレックスグループの統括マネージャーは慌てていた
本当にありがとう 会社には報告しておきます」
電話を切ると高橋から
「え~ やりました 内藤が勝ちました 神山部長のおかげです
ありがとうございます 内藤があんなに喜んでいるのは初めてです
皆さん改めて かんぱい」
神山は時計を見ると1時になっていた 大将のところに行き
しめ鯖寿司を頼んだ お土産だけどそのままでいいか聞いたら
そのままでいいと答えた それとおつまみに切り身を一緒に
造ってもらう 冷やしたほうがいいかと尋ねると 冷やしたほうが
美味しいと言われた 1時30分に出るのでそれにあわせ
造ってもらう事にした 神山は出来ればクーラーBOXがあれば 
借用したいと言ったら 空いているのが有るので使わせてもらった
冷酒とビールを一緒に入れてもらった
席に戻ると洋子が
「何を話していたんですか」
「うん お土産の準備さ」
「私に仰って下されば 私が手配しましたのに」
「ごめんごめん 以後気をつけます 大変失礼しました」
みんな大笑いだった 洋子は
「神山さんってまめなんですね 知らなかったです」
「そうですね まめかどうかは分りませんが 気がつきますね」
洋子は喜んで聞いていた 高橋が
「では例の巻物にしますか?」
「うん そうしましょう」
高橋が女将にねぎとろ巻きを頼んだ 大将が あいよと言って仕度した
「しかし 会社は変に思うだろうね」
「えっ 」
「だっていつもおんなじ金額でしょ」
「うん そうそうこの間 聞かれたんだ なぜ神山さんと一緒だと
金額が同じなのって だから同じ物しか食べないだからさってね」
「そうだよね だけど孝ちゃんも満足しているもんね してる?」
「ええ 大満足ですよ 田中もそうですが ここに来たいから
先輩 上原のお仕事お手伝いしますって ほんと調子良いですよ
しかし来た時はちゃんとやってくれますし 僕が居なくても
出来なければ 僕も困りますし」
女将が巻物を持ってきてくれた 神山があがりを頼もうとしたので
「大丈夫じゃないですか 内藤も喜んだし もう二本下さい」
女将は笑って戻って ビールを持ってきてくれた 神山が
作ってくださいと 言うと準備は出来ていますと言われた 
「孝ちゃん 床のサンプルは何時出来る?」
「明日夜 ここで良いでしょ でないと見る機会ないですもんね」
「うん そうしよう 明日はよる遅い?」
「ええ 何時も遅いですよ それから山ちゃん 次長室の作業届けですが
催事課に行けば作業表はありますか?」
「うん あるよ」
「今日 伺った時 幸三君が書きに行きますので 印鑑をお願いします」
「わかった ちょっと待ってて」
神山は携帯で催事課に連絡をした 奥村課長が出て
銀座店は大変な事になっているぞと言われ 分りませんと答えた
神山はそんな事ではなく次長室の件を話したかったので
強引に杉田に替わって貰った
「翔 よく聞いてくれ これから1時間位したら アルタの田中君が
君を訪ねていく 次長室の作業届だ だから君のはんこでOKなので
押してくれ わかった」
「はい 了解です しかし先輩なにしたんですか 大騒ぎですよ本社も」
「わからん とにかく アルタの件頼んだぞ 忘れると減俸だからな」
「そんな」
「そんなじゃない ここに田所さんもいてちゃんと聞いている
ねぇ 田所さん 、、、 そうよわすれないでね」
「はい わかりました 失礼いたします」
神山は洋子に
「なんか分りませんが 僕の事で大騒ぎになっているんですって」
「なんでしょうね なにも無いですもんね」
「う~ん 幸三君 杉田君が待っています 尋ねてください
そして話がこじれたら 僕の携帯に電話をしてください」
神山はそう言い番号を教えた 全て綺麗にしたので高橋が
「では 出ましょう ご馳走様でした」
会計をする時 
「お土産は 僕が払います そうさせて」
高橋は 頷いて ここの分を支払った

現場にもどると 田中が
「では 一旦社に戻ってから伺いますのでお願いします」
神山たちと分かれた
「じゃあ 孝ちゃん僕らも戻ります ありがとう」
「お願いします」
二人で 挨拶をし現場を後にした
タクシーを拾うと銀座鈴やと告げた 洋子が
「しかし クーラーBOXで副社長に会いにいく人見たこと無いわ」
洋子は もう笑いが止まらなかった
神山はクーラーBOXの中を確認した
しめ鯖の切り身 がり 冷酒 ビール 氷が入っているので冷たかった
そんな事をしていると銀座に着いた
本社に入ろうとした時 洋子が
「ちょっと まってください 今 確認します」
洋子は秘書室に電話し確認したら 待っていらっしゃいますとの事
それと神山さんのことで 大騒ぎになっているとの事 早く着てと言った
「あなた 何かした? 本社も大変ですって」
「いや なにもしていない」
「そうよね まだ関係ないし」
「えっ」
神山は聞いていたが 耳に入らなかった 
「さあ 行きましょう」
エレベーターに乗ると7階のボタンを押した
元気の無い神山に 
「大丈夫よ なんでもないわよ 心配する事ないわ」
そう言われても心配だった 上原のお酒が飛んだ
7階に着き 事務室に入ると
「ふぁ 神山さんだ」
と誰かが叫んだ そうすると事務員が一斉に拍手した
神山は何がなんだか訳が分らず クーラーBOXをさげ
秘書室に逃げ込んだ 洋子が理由を聞いてみた
「アルタさんから先ほど連絡があって 驚かないで 神山さん 常務よ」
「えっ 常務?」
神山はなんだか分らず 立っていると 洋子が背中を押して
「さあ 入りましょ」
「うん」
「良かったじゃない きっとさっきの件でしょ」
「そうかな」
神山はドアを丁寧にあけると 副社長に一礼し  
「催事課 担当部長 神山 龍巳 です」
挨拶すると お辞儀をした
「おお 君か 有名な神山君は」
「はい 有名税も払っています」
神山は言ってからしまったと思ったが遅かった
「そうだな 有名税は大変だよな ところでなんだ」
「はい 本日お伺いましたのは 30日の命課に対しての御礼を
申し上げたく 伺いました ありがとうございます」
「うん わかった ところでそこに置いた クーラーBOXはなんだ
ここは 釣り道具屋ではないぞ」
「はい 田所秘書に聞いた所 お食事をされないで 
お待ちいただいてると聞きましたので お昼をお持ち致しました」
「うん 分った それでは頂こう」
「はい 分りました」
神山は洋子から包み貰い クーラーBOXを開け 
しめ鯖の切り身 ビール 冷酒を差し出した
それを見ていた副社長は洋子を見てにやっと笑い洋子も笑みを浮かべたが
神山は見ていなかった 切り身の包みが上手に開かず焦っていた
それを見ていた洋子が手伝いようやく開いた
「手間取って 申し訳ございません こちらが美味しいしめ鯖です
どうぞお召し上がりください」
「うん分った がしかし 神山君 少しいい匂いがするな」
「はい 仕事です 今度におわないビールを探します」
神山はもうどうでもなれと思った
訳の分らない アルタの件があったので 普段の調子が出なかった
「そうだな ワシも欲しいな しかし 度胸があるな
お礼の挨拶の時に 酒を呑んでくるとは 初めてだ君は」
「はい 前代未聞ばかり 驚かせすみません」
又お辞儀した  なかなか頭を上げない神山だった
お許しの言葉が出るまで顔を上げてはまずいと思っていた
「おじさま もう許して 先ほども上原の現場で仕事を纏めたわ
だから もういいでしょ おじさま」
神山は耳がどうかしたのか 自分が可笑しくなったのか
顔を上げて見たかったが 頭を下げていた 暫くすると時田 清三郎が
「神山君 いや神山さん どうぞ頭を上げてください お願いします」
神山はこの言葉も本当の副社長の声なのか耳を疑った
まだ頭を下げていると 洋子が後ろから
「神山さん 時田副社長が頭を上げてくださいって」
下を向いたまま
「本当にそう言った?」
「ええ 私もちゃんと聞きました ねぇおじ様」
「おお 神山さん ワシが悪かった 許してくれ だから頭を上げてくれ」
ようやく神山は頭を上げると
「本当にすまん 悪かった 謝るよごめん」 
時田は神山に起立して丁寧に頭をさげた
今度は神山が 
「すみませんでした 私が皆に進め呑みました」
時田が座り話した
「実はな神山さん 昨日貴方の秘書を探していた 知っていますね」
「はい」
「まあ たっていないで座って そこのソファーに」
神山と洋子は勧められたソファーに座った
「その時 人選をした後 『田所』姓がワシの兄の連れ合いの姓だったんだ
そこで ここに呼んでいろいろと聞いてみたら 彼女の父親のお姉さんが
時田に嫁ぎました と言う話で分ったんじゃ ワシがこの鈴やに
入社した時 親戚一同ワシの家に集まってお祝いをしたんだよ
その時 彼女は1歳で 余りにも可愛いので抱っこしたんじゃ
血のつながりは無いが 昨日 親戚は親戚なのでおじ様と
呼びますって事になり 貴方が今日お礼を言いに来るというので
試したわけです 洋子ちゃん 大合格だ 120点か」
「だから 話をしたとおりでしょ 凄いでしょ 私 幸せです」
「おお それはいいが これ 早くいただこう」
時田は 箸でしめ鯖の切り身を一切れ口にした 
「うん 美味い こんなに美味いのはもう暫く食べていないな
いや 神山さん ありがとう 先ほどの言葉は忘れてくれ
貴方が言っていた 仕事だ さあ食べよう」
神山はようやく意味が掴め 洋子に 
「洋子さん コップを3つ用意してください」
洋子もようやく元気になった神山をにこにこしてみて
「はい 直ぐに 用意します」
洋子は秘書室からコップを3つもってきてテーブルに置いた
神山はビールを開け時田に注ぎ 洋子と自分に注いだ
「時田副社長 改めて ありがとうございます
今後も会社繁栄の為頑張りますので 応援をお願いします」
「うん わかりました 神山さん 洋子ちゃんを頼むな」
「はい 昨日も池上店長から言われました 大切にします それと
副社長 神山さんは辞めてください お尻が痒いです
山ちゃんでお願いします」
「わかった 山ちゃんで良いんだね」
「はい 倉元部長 池上店長 皆山ちゃんです アルタの仲間も一緒です」
「うん いいな ワシは幸せもんじゃ 山ちゃんのような人材を持って」
「ありがとうございます 私も良き上司に恵まれ幸せです」
「おお ありがとう しかし洋子 この男素晴らしいの 
初めて会ったのに びくついておらん わしの気持ちを動かした
ワシも頑固な事は知ってるね そのワシを動かすとは
まこと 男のなかの男だ そう思わんか洋子」
「ええ 昨夜も随分と長い時間話してました 催事課で一次会 居酒屋で
二次会 最後に二人きりで1時間ぐらい話をしましたが
聞けば聞くほど 凄い底知れない力の持ち主だと実感しました」
「おお そうだろう 男のワシだってほれるわな しかしいい男だ」
「ありがとうございます ちょっと失礼します」
神山はニーナ・ニーナの祥子に電話した
直ぐに出て あと30分ぐらいでいける事を伝えた
もう一軒電話した催事課だった 杉田がでた
「アルタさんはきた?」
「ええ 今 認印押しました 課長も居ましたので OKです」
電話を切ろうとしたが 洋子がとって
「杉田さん」
「あっ はい 先ほどは大変失礼致しました」
「そう 何時もきちんと話をしていないと だめですよ 99点」
「はい 以後気をつけます すみません 課長と代わります」
洋子が 奥村さんよといって神山に返したので
「はい 神山です」
「奥村です どうした 大変だと言っただろ こっちは」
「はい 今 時田副社長のところで ビールを呑んでいます お仕事中です」
「えっ」
時田が携帯を渡せとジェスチャーで合図したので渡した
「おう 奥村君 今な山ちゃんを借りてるぞ
本社に持って行かれるからって そんな嫉妬するな 山ちゃんの方が
よっぽど男らしいぞ ワシは山ちゃんを応援するぞ」
「はい ありがとうございます すみませんでした 失礼します」
携帯を切ると神山にかえし
「おお 早く食べないと不味くなるぞ」
「はい ありがとうございます そのお気持ちで一杯ですと
言いたいんですが 先ほど食べてきました 全て副社長の分です」
「そうか そちらは何かな」
「しめ鯖寿司です」
「おお分った しかしこれも全部ワシのか多いな」
「はい 秘書の方にもお分け下さい おやつで丁度いいかと思いました」
「そうだな 洋子 秘書誰か呼んでくれ」
「はい」
洋子は一番上の人間を呼んできた
「君 このしめ鯖寿司は 今度次長になられる神山部長からの
差し入れじゃ おやつで皆さんにと言われている 頂きなさい」
「はい ありがとうございます この度は重ね重ねのお慶び
私ども一生懸命応援させて頂きます
本日はありがとうございます 頂きます」
お辞儀をして戻った
洋子が今朝活動金を貰い忘れたので頂いてきますと言って出て行った
二人だけになったとき 時田が
「なあ だれかいないかな 彼女は頭が切れすぎて それで
男がみんな逃げていくんじゃ 困ったよ
山ちゃんはどうだ 洋子は」
「だめですよ 私の器では無理でしょう」
「先ほどから見ているが いい感じだがな」
「はい ありがとうございます その時はご相談させて頂きます」
「うん 山ちゃんでも手におえないか」
「いえ まだ そんな話していないですし これからでしょう」
「うん そうだな それから遅くなったが アルタの担当常務
おめでとう 先方からさっき電話があって 内藤さんが
今回の件で大変ありがとうございますと 言ってきた そこで
常務で迎えたい しかし出向社員の部分もあるしどうかと言ったら
担当常務なら 株主総会関係なく設ける事が出来ると言う事だった
アルタでは 山ちゃんの腕を高く評価している
それと 内藤さんはワシに逐一連絡をくれている 
ワシも山ちゃんの仕事振りは分っているつもりだ 頑張ってくれ」
そう話していると洋子が嬉しそうに戻ってきた
「副社長 活動金ありがとうございます 一杯頂きました」
「その位ないとな アルタさんもあるし アレックスグループもあるし
急にはアップできないからな 今のうちじゃ 前代未聞だな」
3人で笑った 神山が 
「それで いくらなの?」
「理事3級より上 120万円よ」
「よかった これでスーツ買えるね」
時田が
「なんだ そのスーツって」
洋子は昨日話して決めた 神山の戦略の事をきちんと伝えた
「おお 山ちゃん そこまで考えるか 凄い いやほんとだ
それに 自腹を切ってまで なんて 素晴らしい男だ」
「そんなに誉めないで下さい 当たり前ですから
建て替えて あとで戻ってくる訳ですから いい方向に
転ぶと判断しているので そうすれば会社が繁栄し最終的に
自分に帰ってきますから」
「うん 山ちゃんの言う通りじゃ でいくらだスーツは」
「はい ニーナ・ニーナで直で 44万です うちの正札は88万です」
時田は 机の引き出しを開け 100万円の束をだし
「山ちゃん 正規で買ってください 頼んだよ これを使いなさい」
神山は時田から100万円受け取り
「ありがとうございます 使わせて頂きます」
時田は涙を流していた
「我社に 山ちゃんが10人 いや7人居れば業界1位なのにな
早く買いに行きなさい」

洋子と神山は 部屋を出ると秘書課に挨拶したのとすれ違いに
西野理事が副社長室へ消えた
暫くすると 西野理事が
「OKだ 何でもいいから 買ってやる」
「えっ 買うんですか」
「そうだ 今 副社長が仰られた 後は私が何とかする
早く決めなさい」
「ありがとうございます 直ぐにでも決めさせて頂きます
保険等詳細は後日 田所さんが伺います ありがとうございます」
神山と洋子はきょとんとして人事部に行った
誰かが 神山さんよ と言ったので また大拍手が沸いた 
洋子が カードの手続きをするので印鑑と引き落とし口座を渡してと
言ったので 揃えていたものを一式渡した
洋子が書類を見てみると全て整ったので 神山に見せた
「神山部長 これで間違いないでしょうか?」
「う~ん うん なし 120点」
洋子も人事事務の女の子もみな笑った

「では 印鑑を押してください ここと ここです
このカードは紛失時の保証が500万円まで付いています
それと物品汚破損保険が300万円まで付いています
年会費は10万円です」
「しかし凄いね わかった」
「はい こちらが控えですが 私が預かります」
「うん わかった」
「これでカードの件はOKで早くて1週間で秘書室に届きます
今後 会社関係のオフィシャルな郵送物は全て秘書課ではなく
秘書室に届き 配られます」
「うん わかった」
洋子が元気の無い神山を見て
「どうしたの 元気がないわ」
「うん こう短時間で自分の周りが変るので追いつかないんだ
カードの保証金額や活動費や 昨日までの僕の生活と全然違うだろ
だから 分っていても実感が湧かないんだ ごめんね」
「いいのよ それが 本当だと思うわ だけど 時間が出来たから
パリに市価調って言って行かれるんですよ これからは」
「うん わかった」
「元気だして」
そう言い人事部を出る時 カードの申し込み書を渡し
「間違いはないわ ありがとう ではお願いしますね」
今まで部下だった女の子に渡し本社を後にした

「そしたらニーナ・ニーナに行くよ」
「その前に 部屋に寄ってクーラーBOX置いてきたほうが」
「うん でも そうだ警備員のところに置いていく」
洋子と神山は店内に入りニーナ・ニーナに向かった
祥子が出迎え
「お待ちしていました こちらが神山様から伺ったスーツです」
洋子はビックリした 余り詳しくないが素人目でも最高級品と分った
「ブラウスは2点ご用意させて頂いています こちらがバッグで
ハイヒールはこちらででございます」
祥子は神山が依頼した全ての商品を丁寧に説明した 洋子は
「素人の私が見ても素敵です スーツの生地も肌触りがとても柔らかくて
気に入りましたわ」
「それでは ブラウスとスーツをご試着してください」
祥子は試着室を案内して 戻ってくると神山に
「素晴らしく均整のとれた方ですね 多分直さないで済みますよ」
祥子は廻りにみなが居るので気を使って話した 試着を終え出てくると
女優が出てきたと錯覚するくらい綺麗だった 祥子やスタッフも驚いた
「田所さん 素敵ですよ いや 綺麗だ」
「ほんと よくお似合いですよ イメージにピッタリです」
洋子は神山に 
「このスーツ 軽くて柔らかく 着やすいです 買って良いですか?」
「うん もらおう」
「では お直しが必要か確認しますね」
祥子が失礼しますと言って 上着をめくり腰のラインを確認した
「神山様 お直しする所ありません」
「田所さん そう言う事です 凄いですね パリのプロポーションです」
「神山様 今お召しのが50万です もう一着もお試しになられますか」
「うん 頼みます」
祥子は40万円のスーツを渡した 洋子はそれも試着した
「どうですか 神山さん」
「こちらのデザインも捨てがたいな ハイヒールを履くこと出来る?」
「ええ どうぞ」
そう言われ洋子はハイヒールを履き その場でくるりと廻った
「田所さん バッグを掛けてみて」
「はい 分りました」
洋子はバッグを肩に掛け ポーズを作った
ファッション誌から飛び出してきたようだった
「久保さん スーツは2点とも頂きます」
祥子は少しビックリしたが ありがとうございますと言った
「すべて直しがないならこのまま 着ていこう 初仕事です」
「はい 分りました」
洋子はこのままで行動するので バッグの中身を入れ替え 
着ていたスーツからもハンカチーフを着ているのにしまった
洋子は着ていたスーツを渡すと 祥子が預かった 洋子が
「お忙しい処 お手数をお掛けしますが これを本社人事課安井に
届けてください 分るようにしておきます お願いします     
すみません お電話をお借りします」
洋子はそう言って 本社人事課 安井を呼び説明した
「はい 分りました ニーナ・ニーナの件承知致しました」
神山は祥子に
「お会計をお願いしますが 正札で買います」
祥子がきょとんとしているので
「事情がありまして そうなりました」
「はい 分りました 合計で135万円です」
洋子は活動費の120万円と副社長から貰った中から15万円を出した
「領収書はいかがされますか?」
神山が洋子を見ると 首を横に振っているので
「普通のレシートでOKです お願いします」
清算が終ると 神山は何か足らないので考えていた

「田所さん もう一度廻ってくれる」
洋子は笑みを浮かべながら 廻ってポーズを作った
「わかった 胸のポケットチーフだ 久保さん ポケットチーフを
何点かお願いします」
祥子はポケットチーフを用意すると 洋子に
「何色が似合うかな」
そう言って神山は色々な場面をシュミレーションをしていた
20色くらい有るチーフを必要な色からセレクトした
全部で7枚選んだ 白 濃いピンク 淡いピンク 濃いブルー 淡いブルー
淡いイエローグリーン 淡いオレンジ どうだろうと洋子に尋ねると
「あと このイエローも綺麗です」
そう言ったので 胸に合わせると確かに綺麗だった
「うん わかった これを追加して 8枚正札で買います 
この淡いピンクは今 使いますから残ったのは先ほどの
スーツと一緒に届けてください お願いします」
「お会計です 4万円になります」
洋子が4万円を祥子に渡した 
「では お届けの件 お願いします いつ届きますか?」
「はい これから直ぐに伺います ご安心下さい」

神山と洋子はニーナ・ニーナを出ると
「洋子は 化粧品会社はどこ?」
「はい 資生堂ですが なにか?」
「うん このスーツに合う化粧品を買う」
洋子は神山を信じ信頼しているので 理由を聞かなかった
資生堂コーナーに来ると チーフが寄ってきて
「田所さん いらっしゃいませ 凄く素敵よ 
最初どなたか分りませんでした ほんとうっとりするくらい」
「ありがとうございます ここにいらっしゃいます神山部長 30日に
本社次長になられる方に買って頂きました お願いしますね」
チーフは深々とお辞儀をして
「ご昇進おめでとうございます」
「いや それは30日でいいですよ それより彼女は今度の人事で
私の秘書になられました お願いしますね 今後も」
「まあ 田所さんもご昇進 素晴らしわ 改めておめでとうございます」
「そこで相談があります この今着ているスーツに合う
化粧品を探しています」
「このままのお化粧でも充分お似合いですよ」
「それは分っています 私の言葉が足りませんでした すみません
イメージは 挑発的 男を魅了する しかし派手過ぎない
例えると 映画のグラミー賞などで化粧しているイメージです」
「はい 分りやすいご説明でありがとうございます
そうすると 変えなければ行けませんね 今と 分りました
では田所さん メイクしてよろしいですか 一所懸命メイクします」
「はいお願いします」
「どの位時間は掛かりますか?」
「ええ 直ぐですよ そこにお座りになって 見ていてください」
「えっ恥ずかしいわ 私」
「洋子さん お仕事ですよ お願いします」
「はい 分りました」
チーフが洋子にエプロンを掛け まず今の化粧を丁寧に落とした
神山はすっぴんも綺麗だと感じた 下地を塗り始め どんどん
進めていく この位のスピードでこなさなければ 
チーフになれないのかと思った 見ている間に出来上がり
アイラインを入れ最後にルージュをさし やはりプロの仕事は違った

見違えるようになった洋子だった
「はい神山様 仕上がりました 如何でしょうか?」
「ふぁ 凄い 洋子さんが見違えた うんこれにしよう」
洋子は手鏡をみてビックリしている






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