2012年12月29日土曜日

鈴蘭 2 - 23 Vol. 2



呑んだりしていた 店内が暗くてよく分らなかったが 慣れると
外人客も結構来ていた 飛び交う言葉は英語だった
「ここはね ストレスが溜まったりすると来るんですよ
ほら英語でお話ししているでしょ だから分りやすいの 会社で
もやもやした時なんて 日本語じゃなくて英語で整理したほうが
頭の中で整理しやすいのよね そうゆう時に来るわ」
「そうなんだよ 日本語って結構難しいんだ 言った事と違う意味で
伝わるし それを弁護するとややこしくなるし」
「でしょ そういう時は英語に限るわ」
神山と洋子が話していると 何を呑むか聞いてきたので
洋子はトマトベースのカクテルを頼み神山はマテニィーを頼んだ
外人が洋子に何かを言っていたが 首を振ると去っていった
同じ様に別の外人が来てあからさまに誘っているので
神山が この女性は私の妻だよ ごめんねと言ったら お辞儀をして
去っていった 洋子のファッションはそれほど洋子自身を出して
みなを魅了しているのかと改めて感心した 洋子が
「さすがね 私の奥さんは最高よ 彼女って言うと更に突っ込んで
俺のほうがいいだろ 楽しませてやるって来る訳 しかし
奥さんだと 手を出さないわ どこで覚えたの」
「日本だって同じじゃないかな ただ必死に出てきた言葉だよ」
「ふぁ~嬉しい 守ってくれているんだ 嬉しいわ 幸せよ」
洋子は神山にキスをした 神山も答えた 周りから指笛が鳴ったので
離れたが さっきの外人が神山に幸せの乾杯だと言ってグラスを合わせた
マスターが気を利かせたのか曲が変りロックが流れた
店の真中は踊れるように空いていたので外人達だけではなく日本人も
一緒になって踊った
洋子は神山の手を取って輪の中に入って踊った 洋子は
上手にリズムを取ってツイストを踊っていると さっきの外人が 
君の奥さんは上手だ お尻が魅力的だと誉めたので 僕もそれで
結婚したが 今はそのお尻の下にいるんだ 大変な毎日だと答えた
外人は 俺もそうだ いいお尻だったから結婚したら君と同じさと言って
笑いあった 外人は洋子のお尻に自分のお尻をぶつけ わざと
跳ね返され驚いた仕草をした 今度は神山も同じ様な仕草をして大袈裟に
跳ね返されると周りに受けた 楽しく2曲くらい踊ると 洋子は
「あ~ 楽しい ほんとうに楽しいわ 貴方がいるから」
洋子は神山にキスをした 神山は
「さっきの外人 洋子のお尻が魅力的だって言っていたよ」
「ほんと」
「だからね 僕もそれで結婚したけど 今は尻に敷かれてるよって
そうしたら オレもそうだ尻にしかれているってさ」
「だから お尻をぶつけて来たのね なにしてんのって思ったけど」
「このお店楽しいね 時間を作ってこよう」
「ええ 今度はもやもやのストレス発散じゃなくて
あなたとエンジョイする為に ねぇ」
洋子はまたキスをしてきた 少ししてまた流れる曲が変った
今度はバラードだった 真中でゆっくり踊り始めるカップルが居た
今回も洋子が手を取り神山を連れ出し 洋子は踊り始めると
両手を神山の首に巻きつけてきた 神山もしっかりとリードしていると
足運びのリズムが合ってきて 周りのカップルは神山と洋子を
よけて踊ってくれた なんとか無難に踊っていると 洋子がキスをして
そのまま踊り 神山も必死にりーどして踊り終わった 
曲が終ると周りから指笛が鳴り止まなかった
「普段出来ない事出来るから 楽しいわ あなたが一緒でなかったら
こんなに楽しい時間はないわ」
神山と洋子はカクテルの御代わりを頼んだ
「久しぶりだな こんな開放的になるなんて」
「やっぱりいいわね 毎日は病気だけどたまにここで開放感にしたると」
「ここは紳士的だからいいよ 多分けんかは無いでしょ」
「ええいつきても紳士的よ いつだったか日本人が私を口説きに来たの
そのときは 英語でやり返したら 向こうも英語を使ってきたの
それで 英語のなまりで話したら分らなくなって退散したんだけど
帰るとき その人がどこの国の方ですかって聞いて来た訳
だから私は ここに住んでいるのよって答えたのね その人
本当の外人だと思ったって 失礼しましたって帰っていったわ」
「洋子はそんなに上手なんだ」
「上手じゃなくて 話せるほうが正しいかな」
「そしたら同じだ 僕も単語を並べているだけだ 洋子と違うけどね」
店内の曲がジャズからロックに変った 今度は踊りに行かなかった
二人で呑んでいるとさっきの外人が彼女を連れてやってきた
すごく均整が取れていてモデルのようだった 外人が
お尻が魅力的な私の妻が君と踊りたいと言っているんだ 踊ってくれ 
と 頼まれ神山は洋子に断って踊った 
均整が取れているせいか見ていても惚れ惚れした 踊りはけっして
上手ではないけどリズムに乗っていた 神山も必死で躰を動かし
メリハリをつけて踊った 1曲終るとのどが渇いたのでカウンターに
戻ると洋子がキスをした 相手の女性も軽くほほにしてきた
神山は外人のカップルにビールは呑むかと尋ねるとOKと答えたので
4人でビールを呑んだ 
みんな楽しく話をしている時に 外人が
「私は 御殿場で大きい仕事ををする為に来たが情報を集める事が
出来なくて日本の会社に負けてしまったんだ 日本の情報伝達は
素晴らしい物がある」
これを聞いた神山と洋子は聞き流し 記憶した 洋子が
「私達は早く御殿場アウトレットが出来る事を楽しみにしている二人だ」
と 外人夫妻に伝えると 
「大丈夫だよ その会社は優秀な人材がいると聞いた
任せておけば 損をさせる事はしないとはっきりと言った 私たちは
日本だけでなく世界にマーケットを持っている 今回のように
負けたのは初めてだ しかしアルタはいい会社だ いい人材を
確保したと言って自慢していた 熱意に負けた 任せるつもりだ」
洋子が外人に
「アルタはよく聞く会社で大きいし経営も安心できる 大丈夫だ」
そう伝えると
「私も分っている 早くエキスパートにあって話をしたいんだよ」
神山はアルタに任せておけば大丈夫ですよ 
いい報告がすぐに届きますよ 日本には何時まで居るのか聞いてみると
明日アメリカに帰る 次に来るのは何時になるか分らないと言った
しかしエキスパートが決まったら直ぐに来るよ
その時ここで会えたらいいね と言って婦人と店を出て行った
神山と洋子は顔を見合わせ 大変な人と会ったねといい
「あの人アレックスグループのアレックスではないかしら
何年か前に再婚して奥さんはモデルさんだったと思うわ」
「そうすると 次回会った時話がスムースに行くね」
「ええ 今の感じだと 悪い印象はもって居ないし スムースに
行くわよ絶対に 貴方が彼女と踊っている時 
彼は君のご主人は紳士的な踊り方をすると言って
大変誉めていたわ アレックスグループだったら 良いわね」
神山と洋子は暫くアレックスグループの話をしていたが さきほど
踊ったせいか 洋子が疲れたと言ったので店を出た
表参道に出るとまだ人通りは多かった 洋子が持たれかかって
「ねぇ貴方の住居兼事務所を調べたいな~」
「なんで」
「だって 秘書として当たり前でしょ だめなの?」

神山はその言葉に負け 上原のマンションに帰った
洋子はそのマンションの大きさや広々とした庭に驚き
部屋に入ると 本当に事務所のようでびっくりした
「ここで寝起きしているの?」
「ああそうだよ だから滅多に無いけどFAXが夜中に飛び込んで来ると
あの音でビックリする事もあるよ」
神山はそう言ってビールを用意しテーブルに座った 
洋子はカーテンを開けガラス戸を開けた
「ふぁ~ 気持ち良い まだ寒いけど気持ちいいわ」
神山は洋子の後ろに行って両手を巻いた 洋子が振り返り
「ねぇ 信じる?私 初めてなの」
神山は答えに困っていると 
「やっぱりな~ 信じてもらえないよな~」
「違うよ 黙っていたのは 洋子を傷つけない言い方があるか
言葉を探していたんだ 勘違いしないでくれ
それに僕は 例えバージンで無くとも軽蔑はしない」
洋子はほんとと聞いて 唇を合わせてきた
「ほんとうさ 過去は過去 そんな事に拘っていたら 身が持たないよ」
「そしたら優しくしてくれる?」
「勿論さ」
そう言ってキスをした
「さあ 分ったから ここに座ってゆっくりしようよ 落ち着かないかな」
「ええ ビールを頂くわ」
洋子は一口飲んだ時に 美味しいと言って咽を鳴らして呑んだ
「このビールがゴテンバ グランド インの地ビールさ そして
これを御殿場アウトレットで販売権をアルタが獲得して 膨大な
利益を生むんだ そのアイデアを出したのが僕です」
「凄いわ もうそんな事しているの すごい」
洋子は立ち上り神山に後ろから抱きつきキスをした
「そんな事もあって 実は今朝内藤さんから500万貰った」
「ふぁ~ ほんと 信じられないわ」
洋子が言うので 神山はその札束を見せた
「ふぁ~ ほんと 凄いわね あなた」
「別に凄くないよ いつもどうしてとかなんでって思う時あるでしょ
それを大切にとっておき商材が転がっているのを見つけたら実行
まあ そんな感じですよ 今回も以前地ビールを呑んでいて
美味しいし 何とか成らないかなってね思っていたんだ
だから こちらが発信するタイミングと受け取る側のタイミングが
上手に一致しないといいアイデアでもボツになるよね」
「そうね 貴方の言う通りね だけど今回は一致したわ」
「えっ」
「分らないの 私が発信しているの 鈍感ね」
「あっ そっちの話しね ごめん」
神山は400万をしまったが アルタの自由費の話をしようか迷った

「ねぇ あなた先にシャワーを浴びたいんだけど 教えて」
「うん こっちに来て」
浴室を案内した トイレが一緒になっているので
「ふぁ~ 一緒だ~ すごい」
洋子は始めて見るのか驚いてばかりだった
神山は簡単に説明すると 一緒に入る事を希望したが
「いいわよ だけど変な事しないでね」
神山は初めてだから優しくしてとか 変な事しないでねとか
でも 洋子の育ちの良さを感じた 
「わかったよ 変な事はしません そうしたら着替えの仕度をしようっても
男物しかないからな 我慢してね」
「当たり前でしょ ここに女物があったらそれこそ可笑しいでしょ」
神山はその通り そう言い仕度をした 浴槽に湯を張って
「どちらが先に入る?」
「う~ん あなたが先に入っていて 私後から行きます」
「では お先に失礼するよ」
神山は開いているガラス戸とカーテンを閉め 先に入った
簡単にシャワーで流すと 浴槽につかった ジャグジーを使って
躰を横にすると洋子が服を脱いで丁寧にたたんでいるいる姿が見えた
下着姿になると タオルを準備してブラジャーを外し 
胸にタオルを巻くとショーツを脱いだ その格好で浴室に入ってきた
「わぁ ジャグジーだ 嬉しいな ねっ あっち向いてて」
「うん 星を見ているよ」
洋子はタオルをとくとシャワーを出して 首から下に洗っていった
「さあ 入るわ」
洋子はそう言って 無邪気な女の子のようにはしゃいだ
神山はそんな無邪気に成っている洋子の横顔をこちらに
向かせ唇を合わせた 洋子は自分から手を首に回してきた
神山は乳首を触ると洋子がぴくと反応したので少しずつ 柔らかく
もみ始めると 洋子が
「ねぇ わたし凄く気持ちいいの どうしたらいいのわたし」
神山は答えず 今度は唇で乳首を吸って見ると 喘ぎだした
「ねぇ 本当に 可笑しいの気持ちいいわ ねぇ」
神山はもう一つの乳首を手で柔らかくもみ始めた 洋子は更に悶え
「ねぇ 教えて わたしなにをしたらいいの」
神山は洋子の手を自分のおちんちんに導いた 洋子は触った時一瞬
はっとしたが 握りはじめ 
「このあとどうするの?教えて」
神山は手を上下した 洋子は自分で出来るようになると
おちんちんが元気になり 大きくなった肉棒に驚いた
「わぁ 大きくなった 凄い」
「洋子が一所懸命に奉仕をしてくれると もっと硬くなるぞ」
洋子は頷き上下運動を一生懸命にしたら固くなってきたので喜んだ 
神山は手を下にずらし秘所を触った ぬめり気のある体液が溢れていた
洋子は我慢できなくなったのか
「だめ 熱いわ少し出るわね」
神山は浴槽の縁に腰掛けさせ 足を少し開かせた
「だめよ 汚い所に」
神山は言われても顔を近づけ 舌の先でクリトリスを触った
洋子は全身をぴくんぴくんとさせ 充分に感じ上半身を後ろに反らせた
「ねぇ なんか分らないけど 可笑しいわ 凄く気持ちいいけど
ねぇ なんか出るみたいで 可笑しい 気持ちいいわ どういしましょ」
神山は秘所からどんどんとと出てくる体液を廻りに塗りクリトリスを
吸ったり 柔らかくかんだりした
「だめ~ だめ~ ああっ 可笑しい ああっ」
神山はクリトリスの攻撃を早くしたり強くしたりした
「ああっ あっ ああっ なんか へん 気持ちよすぎる~」
神山は秘所に指を少し入れ 動かした
その瞬間に洋子が 躰をがくがく震わせ昇天してしまった
「ああ ねぇ 凄く気持ちよかったわ ほんとよ」
「よかった じゃあこんどは洋子が僕を喜ばしておくれ」
神山は立ち上がると肉棒を洋子の顔の前に突き出した
「ふぁ~ 大きいわ すごい」
神山は洋子の口でさっき手でしたようしたり吸ったり
おしゃぶりをすると気持ちよくなることを伝えた 
洋子は言われるままに口をあけ しゃぶるように神山の肉棒を咥えた
手の動きと同じ様に顔を前後に動かし時々しゃぶったりした
そうしている内に咥え方も上手になり 神山は我慢できなくなった
洋子に離すよう言うと 首を振って離さなかった 手も使い始め
神山は出ちゃうといい口の中に発射してしまった
洋子はそれを何も言わず飲み込んだ
「ねぇ気持ちよかった 上手に出来た?」
「うん だから出ちゃったよ」
洋子は神山と唇を合わせた 
神山は洋子の躰を洗ってあげた 洋子も神山の躰を洗い おちんちんに
触ると なぜ小さくなるのか聞いてきた
「だって大きいとGパン穿けないじゃん 一回お仕事終ると小さくなるの」
洋子は分ったと言っておちんちんを丁寧に洗っていると
「ふぁ~ 又大きく成りかけている へぇ~面白い」
神山のおちんちんは遊ばれた 神山は洋子の乳首を触り摘んだ
「ああ だめよあなた 感じるわ」
神山は強く時々弱く掴み 転がした
「ああ さっきより感じるの だめよ ねえ 洗えないわ」
洋子は両手で挟むようにしたり工夫をこらし 洗うようになった
大きくなった肉棒を上下に動かしたりし
「ねぇ だめ 大きくなったわ だめ ああ 硬くなってきたああ」
神山はクリトリスを触ると大きく硬くなっていた 乳首と同じ様に
メリハリをつけ攻撃した 秘所からはぬめりのある体液が溢れていた
洋子は我慢できず 両足を投げ出し仰向けになった
神山はゆっくりとヴァギナに挿入した
「あっ うっ」
洋子は痛かったのだろう 眉間にしわを寄せ口をしっかり閉じていたが
神山が少しずつ動くと 段々と口が開いてきた
「あっ 気持ちいいわ さっきと違う おちんちんが動いている」
洋子は神山の顔をじっと見つめ 膣の中がどうなっているか報告した
神山は少しずつ早くしていくと 洋子の反応も激しくなった
「ねぇ さっきと違うの だけど感じているわ」
洋子はそう言って自分でクリトリスを愛撫した
「ああっ あっ だめ あっ なんか きている あっ」
洋子は手を激しく動かし始めた 神山も早めた 
膣が 締まってくると
「あっ きたっ あっ」
洋子は腰をガクンと動かし 躰から力が抜けた
神山は最後の一突きで昇天をした
躰を離すと洋子の秘所から鮮血が流れていた
神山は洋子がビックリしないようシャワーで流し自分も洗った
「ねぇ 私 おんなになったの?」
「うん れっきとした女になった」
「あんまり痛くなかったわ でもまだおちんちんが入っている感じ」
神山は抱き起こし キスをし
「ありがとう うれしいよ」
洋子も
「こちらこそ 遅咲きをありがとうございます」
二人は見つめあいキスをした 湯船に入ると洋子が小さいおちんちんを
「この子は あなたより単純だけど 強くて逞しいわ 嬉しいわ
ねぇ 一つ聞いていい?」
「うん なに」
「女の人って 男みたいにマスターベーションするのかしら?」
「普通するだろ 分らないよ」
「私 マスターベーションしよおっと だって気持ちいいもん」
「僕が居るのに?」
「居ない時に決まっているでしょ いる時はおちんちんがいいわ」
また笑った 暫く湯船に浸かっていると 熱くなったので出た
洋子の出血は殆ど止まったが完全には止まっていなかった

部屋に行くとガラス戸を開け 新しい空気を入れた
新しくビールを出し呑んでいると 洋子が
「ねぇ 怒らないで 由香里と関係あるでしょ」
神山は黙っていると
「やっぱりな~ この間の歓迎会のとき 尋常でなかったもん
でもいいの これからは私の専用だから」
神山はここで何かを言うと恐ろしかったので聞いていた
「ねぇどうしたの 怒った ごめんなさい でも私の思いも分って
まだ知り合ったばかりだし この事で結婚しようって言わないわ
ただ あんまり他の女と遊んで欲しくないの 分ってねぇ」
神山は何も言わず黙って考えていた 
「貴方は素敵よ それに若い子と違って実力もあるし 周りの女が
離さないわ だって好きになった人が全然魅力無かったら
つまらないでしょ だから私といる時は他の女の事は忘れて お願いだから
それから 私の前では私の大事な人になって お願いねぇ」
神山はようやく口を開いた
「わかった」
神山はビールを呑んで テラスに立った
(あ~あ なんで女はいつも同じ事ばかり言うんだ)
洋子が
「ねぇ怒った ごめんなさい」 
洋子はそう言ってテラスの神山に抱きついた
「そうよね 私の我侭だったわ ごめんなさいもう言わないから」
洋子は更にきつく神山を抱きしめた 神山は振り向いて洋子に
「確かに僕は他に女が居るしみんな大好きさ しかし日常は別にして
付き合っている時はその人の事しか考えないし 逆に自分が
そんな事されたら嫌な気分になる事は絶対にしない」
「分ったわ ありがとう 私に貴方を縛る事なんて出来るはずないのに
ごめんなさい だけど貴方の事しか考えられないの わかって」
「裏切らないようにする」
「嬉しいわ」
洋子は口を突き出し唇を合わせた 神山も答え深くキスをした
「さあ 気を取り直してくれ ワインがあるので呑もう」
洋子は頷き一緒に部屋に戻った 神山は冷蔵庫にしまってあるワインを
テーブルに用意して グラスに注いだ
「だけど これからは私が独占するわ貴方を もっと魅力的になって」
洋子はワインを呑みながら言った
「今だって魅力的だよ それ以上どうするんだ」
「それは秘密 なんとなくわかったの だから秘密よ」
「わかった 楽しみにして待っているよ ところで明日は早いけど
ごめんね お母さんに電話しないで大丈夫?」
「ええ 母はまだ旅行中よ だから大丈夫 何か緊急の時は携帯にあるから
何時に出るの?」
「うん 東京駅を8時だから7時30分ぐらいかな」
「そうしたら 15分くらい早くして私 見送りするわ いい?」
「うんいいよ」

神山はアルタの給与を話した
「僕は担当常務で月給200万鈴やで言う活動費これはアルタでは
自由費と呼ばれ給与と同額 したがって200万です 洋子は担当部長で
役職は担当常務 専属秘書 給与は100万円 それで自由費は原則
秘書が受け取る事になっていると言っていた」
「わぁ凄い 100万円も頂けるなんて」 
「うん ただし僕の秘書だから会社経費が出ない そこで自由費を
使うわけだが 持ち出しがあると言っていた しかし実際に
僕の仕事内容から持ち出しは無いと思っていいよ 無くなったら
内藤さんに話すし なんとかなる そこで先ほど見せたお金だが
100万円は今日の買い物で使った 洋子は時田さんから頂いた200万円
が残っていると思う この600万円で今月過ごさなければいけない
あと予定しているのは ニーナ・ニーナの仕事着や靴で7,80万円
これが出て行くことを頭に入れておいて欲しい」
「は~い 分りました」
神山は先ほどしまった400万円の札束を持ち出してきて300万円を
洋子に渡した
「この100万円を全てではないがこの休みで使う残りを管理して欲しい
28日になれば次長室が出来るのでそこに保管するが
それまでは 預かっていて欲しい」
「はい 分りました 会社の机に入れておくわ 大丈夫だから」
「うん 頼んだよ」
そろそろ24時になろうとしていた その時FAXがなり始め
「こんな時間にも来るの 大変」
神山はプリントアウトされた用紙を見ると 次長室の訂正図面だった
洋子に見せると 
「訂正されているの 分らないわ」
「そうだよね 幸三君がPCでメールを送っている 見てみよう」
神山は60インチのモニターをONにしPCを立ち上げ メールを開いた
添付ファイルを開くと 次長室のパースや図面が入っていて
パースを大きくしてみた
「わあ 大きいから 分りやすいわね ここの隅に座っているのは私?
奥に小さく書いてあるのがあなた?」
「うん そうだね こんな感じで出来ますよってこと」
「しかし 上手ね 貴方も書ける?」
「一応はね しかし専門じゃないからここまで書くとしたら 
彼の何十倍も時間がかかるよ しかし綺麗だな塗った後が無いなんだろう」
「なにそれ?」
「うん 普通絵の具でも色鉛筆でも筆跡が残るでしょ
よく見てごらん 筆跡が無いんだよ」







.

2012年12月24日月曜日

鈴蘭 2 - 23 Vol. 1



4月21日 火曜日 夜 上原
「孝ちゃん こんばんわ」
「山ちゃん いらっしゃいませ 田所さん こんばんわ
今夜は又 違ったイメージで こちらはこちらで 素敵ですよ」
「ありがとうございます」
「山ちゃん 出来ているよ 床 それと幸三と連絡をとって 進めます」
「ありがとう」
神山は床を見て 思ったとおりのイメージに出来上がっていた
「どう 孝ちゃん 素敵だよ」
「うん なかなか無いですよ この一枚のPタイルが16枚で1枚に
形成され それが並んでいる うん 見かけないな」
「未来的な雰囲気でお仕事楽しくなるわ しかしこのタイル綺麗だわ
きらきら光っているみたい」
「ええ 普通のシルバーだともっとグレーっぽくって あんまり
意味がないようなので こちらにしました」
「うん それで 目地の色だけど ステンのヘアラインはどうかな
「うん ここに黒とゴールドが有るけど 言われると思って
ほら ちゃんと造ってきましたよ」
高橋は床にパネル8枚並べ 目地を変えてみた
「うん でもやっぱり黒かな 締まるね ゴールドは床にはきついですね」
「そう僕も実際の大きさを見てみると少しキツイ感じがしていたんです」
「そうしたら黒のつや無しで行きましょう」
「了解」
「私も黒のほうが 落ち着くと思っていました」
「うん 落ち着くね ところで孝ちゃん クローゼットなんだが」
「ええ」
「施錠出来るように変更して それから施錠は彼女の受け付けカウンターの
下にある引出し それと僕のデスク下の引き出し の3件」
「了解 引出しは1段でいい?」
「そうね 僕のは4段有るうち 中2段 洋子さんは」
「そうですね 同じ作りだったら 私も 中2段にしてください」
「はい 了解です」
「そうしたら 後は問題ないね」 
「ええ 冷蔵庫も確認しました 缶ビール 70本位入りそうです」
3人はそんなにあってもと言って笑った
「ですから レンジは冷蔵庫の上にじか置き出来ますよ 扉は一枚です」
「うん 良かった コンセントは奥じゃなくて手前ね」
「はい 了解です」
「洋子さん 何かありますか? もう最後ですよ追加や変更」
「ええ 私が把握できる個所は大丈夫です」
「孝ちゃん そういう事です」
「はい」
「孝ちゃんね 次長室入り口に 電話を置きたいんだ
ほら二人ででる事が多いと思うんだ そこで扉が施錠してあると
隣りの催事課に行くと思うんだ 迷惑になるから 不在時に
来客が有った時は内線で秘書課に繋がるように設定し 普段は
ドアホンの役目をしてくれれば有り難いと思っているんだけど」
「大丈夫ですよ 考えています 扉の 脇をホリゾントで作ります
案内プレートも考えていますよ 不在時だけでなくて 来客者は入り口の
電話を使って 部屋の中と連絡をとるか秘書課と連絡とる事になります」
「そうしたらお願いがあるんだけど リモコンで操作できるドアに出来る
わざわざノブを回すタイプでなくて その方が便利だし」
「ええ それも進めていますよ 電話にしても田所さんが居なくて
山ちゃんが仕事をしている時 出たくない場合は秘書課に
繋がらないように設定し 留守電に入れるようメッセージが流れます
そのメッセージは外から携帯電話で聞けるように設定できます」
「そうすると時間に追われた時なんかいいね」
「ええ 電話機は次長席と受付の2箇所でいいですよね」
「うん そうすると電話機は直通があるから4台になるんだ」
「いえ 2台ですみますよ そして子機をつければコードレスで
利用できますから便利です」
「わかった ありがとう こちらが考えている事は 全部出来るんだ
アルタに部屋はあるの? 2人の?」
「いいえ 地べたの空きが無くて造れないんです そこで今回お詫びの
意味を含め 色々と装置を点けさせて頂いているんです」
「そうなんだ そうすると アルタと言うか孝ちゃんと打ち合わせを
する時は 孝ちゃんが鈴やに来るんだ」
「そうですね しかし パソコンを使ってモニターを見ながら
出来るようになります 実際にこうやって膝を突き合わせての会議は
1週間に1回あるか無いかだと思いますよ」
「そう モニターで出来るんだ」
「ええ その設定をしたら 今度は上原でも出来るようになります」
「へぇ~ 凄いね」
「しかし 僕の居所が無くなる訳だ」
「そうですね 横浜しか無いですね」
「うん 困った」
洋子と高橋は顔を見て笑った
「孝ちゃん 今夜は忙しい?」 
「うん ちょっとね 今夜は遅くなります」
「うん ではこちらの現場もいいかな?」
「大丈夫ですよ」

神山は洋子と現場を離れ 時計を見ると19時になっていた
「さあ 仕事は終わり 次は食事だ どこに行きたい?」
「私はどこでも付いて行きますよ」
「わかった そうしたらイタリアンでもいい?」
「ええ 大好きです」
神山は『イタリアンレストラン スパ』へ電話をして特別に予約を入れた
タクシーで青山に向かう時に
「ねえ 洋子と翔なんだけどなんか僕に隠していない?」
「えっ 何にも無いわよ」
「うん 昼から可笑しいと感じているんだ まあ何も無ければいいや」
(凄いわ見抜いている しかし翔君にも責任あるし まだ黙っていよう)
神山は聞いてもそれ以上でて来ないだろうと思って 諦めた 
二人は次長室の使い勝手など話していると 店に着いた
店内に入ると カウンターにマスターが居て 予約した神山だと伝えた
マスターは
「先月 内藤様のパーティーに招かれた方ですよね」
「ええ 良く覚えていらっしゃいますね」
「はい 覚えるのが商売です ではご案内します」
マスターは奥に仕切りがあるテーブルに案内した
「最初はビールをお願いします その間に決めます」
「はいかしこまりました」
神山と洋子はメニューを見て食べる物を決めていった
ビールは直ぐに運ばれてきて メニューを注文した
「では 乾杯」
「はい 乾杯」
洋子は嬉しくてたまらなかった スーツでなく神山と同じ格好で
一緒に居られる事が幸せだった
「洋子 今着ている格好だけど 普段お休みの時もそんな格好するの?」
「ええ 普段家にいる時はホント色々よ」
「女性は着る物が安いって言うけど それは普段着で仕事着は高いよね
男性の場合 よっぽどでなければ そこらへんの吊るしで間に合うけど
女性はそうはいかないもんね」
「そうよ だから最初あなたを見た時 いいなぁと思いましたよ
だけど 服が仕事をするんじゃないって言った時 なるほど
この人しっかりしていると感心しました」
「やっぱり そうか そうすると戦略作戦が当った訳だ」
「そうね だから嬉しいんです 上司がしっかりしているから」
「そうか よかったよ だけどここまでかもしれないよ」
「そんな事無いわ 大丈夫よ 結構観察してますが確信しています」
「うん 僕もしっかり洋子を観察しているよ ますますセクシーだし」
「それって躰の事でしょ」
「まずは外側から剥していかないとなかまで到達しないんだ
だから なんでも良いから観察をしているのさ」
「まあ でもそうね 突然内からなんか分らないし う~ん」
「ところで 休みは何時取るの?」
「ええ 貴方より早く辞令貰ったけど 仕事が中途半端なので それに
あなたのスケジュールも分らないので 全然入れていないわ」
「そうか それはそうだ 僕が悪いんじゃなくて人事が悪いんだ
そうしたら 明日22日 23日は休んで下さい 24日は午後から
いや 夕方に上原の現場に来てください お願いします
24日はこの格好でOK 現場を手伝って貰うかもしれないので 
だから 23日は休んで24日に引継ぎにあてればどう?」
「ええ ありがとうございます 私は引継ぎが余りないので と言うより
席に居れば何かしら仕事は有るんですよ 居なければ何とかなるんです
情報の共有化で仕事が楽になりましたが 私としては部下に頼られない分
少し寂しい思いがありますね だから昨日の翔君を見ていると
貴方が羨ましかったわ 翔君寂しがっていたわよ」
「そうか まあ仕方ないね」
「ところで 明日から24日までどうされるんですか」
「うん 明日はアルタの小田原工場見学 その後は 温泉さ
そして24日は小田原工場に立ち寄るかどうか分らない
夕方に上原の現場です」
「ふぁ~ そんなにお仕事して大丈夫?」
「まあ 辞令貰ったら ゆっくりと骨休みするさ」
洋子は本社人事課に電話をした まだ係長が残業していて
「どうしたの 洋子」
「ええ 23日の木曜日ですが休みにしてください 23日に秘書課に
伝えておいて頂くと助かるわ」
「分ったわ しかし洋子の立場だとわざわざ連絡しなくてもいいのに」
「でもなんとなく気持ち悪いでしょ 分っている時はちゃんと
連絡しておいた方がなんとなく気が休まるし」
「そうね わかったわ ところでいまどこ 少しにぎやかだけど」
「ええ 神山さんと青山のレストランよ 美味しいわよ」
「あら ごちそうさま では」
洋子は電話を切ると
「先輩がまだ残業していたわ それで23日のお休み言ったら
わざわざ言わなくていいわよって それから神山さんと一緒って言ったら
ごちそうさまって 言われちゃった」
「事実だからね ねたまれたかな」
神山はビールはもういいのでワインを頼んだ
「どのワインが喜ばれていますか」
マスターが 
「出ているのは このワインとこのワインです ステーキの時呑まれるのは
後からご紹介したワインですね」
「そうしたら 今のお勧めワインとステーキを下さい そうだそうしたら
お勧めのステーキはどれですか」
「はい 一番上のステーキですが 良く出るのはその下のステーキです」 
「わかりました では各一つづつお願いします」
「はい かしこまりました」
マスターが厨房へ行くと 洋子が
「そんなに食べて大丈夫」
「いや 半分ずつさ 2枚なんて食べられないよ 洋子もだから食べて
感想を聞かせてよ」
「は~い わかったわ これから運動をしないといけないわね
美味しい食べ物ばっかりですもん」
「うん 僕は運動しているけど 洋子は今までと環境が違ってくるから
からだが慣れるまでしんどいよ 3ヶ月位辛抱だね」
「そうね がんばるわ」
二人が話していると先ほどのマスターがやってきて
「今 内藤ご夫妻が来られました そこにいらっしゃいますが」
「ありがとうございます」
そう言って 立ち上り洋子も付いてきた
「社長 ありがとうございます 色々と気を使って頂き嬉しいです
本当に助かります でこちらが私の秘書で田所洋子さんです」
「初めまして 田所洋子です この度はアルタさんの部長に
して頂き 感謝しております」
田所はお辞儀をして挨拶を終えると名刺を渡した 
「ありがとうございます こちらが私の家内です」
「家内の真奈美です よろしくお願いします」
「山ちゃん ほんとうに申し訳ないな」
「えっ」
「れいの常務室だよ 本来我社で用意するのが当たり前なんだが
どのように配置換えしても スペースが無くて お恥ずかしい限りだ」
「いえ 逆に色々なとこに部屋があると分らなくなりますから
大丈夫ですよ 気にしないで下さい」
「うん ありがとう そうすると部屋入り口の壁にはアルタを入れる?」
「う~ん 入れても別に問題ないでしょ 鈴や本社次長室
アルタ担当常務室 神山 龍巳で まあ肩書きの世界ですが
実力がないとどうにもなりませんし いいんじゃないですか 前代未聞」
「そうですね そうしましょう あと地ビールの件 ありがとうございます
椿さんにお話をしたら喜んでいまして すぐに決まりました
助かりますよ 椿さんのとこもビール工場を大きくしているんです
この話があって 追加する事も言っていました」
「よかったですね」
一応二人の話が終ったので内藤はマスターを呼んで
「神山さんから予約が入ったら 必ずキープして欲しい
近いうちに 我社の常務になられるお方だ お願いします」
「はい 畏まりました 先ほどもお話ししましたが 先日奥様が
ご招待された方だと思い出しまして キープいたしました」
「ではお願いしますね 田所さんは美しい方ですね 神山さんに
ピッタリです 時田さんも仰られいましたよ 才色兼備だって 
いまのこの格好も板についているし センスも抜群にいいですね」
「ありがとうございます これは神山さんに選んで頂いたんです」
「あっ そうですか 山ちゃん凄いね ぴったしだうん」
「この仕事着は今朝ので購入したんですよ ありがとうございます」
「気にしないで下さい 足りなかったらいつでも言って下さい
30日の辞令交付後は私に直接話をしてくださいね」
「ええ そうします」
「よかったわ ここで会えて は~いこれプレゼントよ 本当は
30日の辞令交付の後と思ったの それで今日時間が空いたから
ウインドーショッピングしていたら目に付いたのよ 入社記念かしら」
「そうだね 入社記念だ 少し早いけど受け取ってください」
「何時もありがとうございます 頂きます」
「一つは田所さんよ」
「ではお邪魔しました ゆっくりしていって下さい」
神山はお辞儀をして挨拶を済ませ内籐を2階に見送った後 席に戻った 
「何かしら プレゼントこの間頂いたばかりでしょ」
「うん このロレックスがそうさ これ普段お店で扱っていない
直売店用で 日本にも余り無いんだって 希少品ですね」
「そうよね わたしも見た事無いもん 開けてみようよ 早く」
神山はなんだろうと思って開けると見覚えのある包装紙が出てきた
「ロレックスだ」
更に包装紙を開けると ロレックスの箱が出てきた
「ふぁ~ ロレックスって 欲しいとは思っていたんだけど、、、」
洋子も神山も一緒に箱を開けた
数字の書体は一緒だが洋子の文字盤にはダイヤモンドが施され
腕にはめてみるとぴったりと合っていた 今の格好でも光っていた
神山のはゴールドとシルバーのベルトでタキメーターがついていた
神山もはめてみたが 決まっていた
「ふぁ~ 素敵よ 帰りにご挨拶すればいいかしら」
「うん 今行って来よう」
神山は洋子と2階に内藤夫妻を探しあがった 直ぐに見つかり
「ありがとうございます いつもお気に掛けて頂きまして幸せです」
「ありがとうございます こんな素晴らしいの頂きまして 大切に
使わせて頂きます」
「ええ 頑張ってね お願いよ」
二人はは挨拶を済ませると自分達の席に戻った
「嬉しいわ」
「うん 素敵だよ 大切に使わないとね」
「ええ 貴方のも格好いいわ コンビが素晴らしいわ 確かこの時計
日本で余り無いはずよ だから取り寄せたのよきっと」
「そうだね 僕も知っているよ オークションなんかでまがい物が
高い金額で取引されていて 一時問題になったもんね 凄いや」
神山はタキメーターをしまい 今のままにしたが
洋子は貰った時計を腕に付けた
二人が時計で喜んでいると ステーキとワインが運ばれてきた
マスターがワインをグラスに注ぐと
「ステーキはこちらがお勧めで こちらが良く注文を頂くほうです」
神山と洋子は取り皿に半分ずつにしてわけた
「さあ では頂きましょう 乾杯」
「さてどちらから頂こうかしら 迷うわね」
「僕は お勧めから頂くよ」
「そうしたら私も」
二人はじっくりと味わいながら食べた ワインを呑み別のステーキを食べた
「お勧めは確かに美味しいね わかった人気があるほうがとろけるんだ」
「そうね そう言われると うん確かに違うわ」
「どう パレルと比べて」
「うん どちらもどちらかしら しかしこちらの人気があるステーキの方が
私は美味しいと思うわ あなたは?」
「うん ぼくもこちらの人気あるステーキが美味しいと思うよ
とろける感じと 歯ごたえ 勿論ジューシーさが必須だけどね」
「そうね あなたが言う通りだと思うわ」
ステーキ談義をしているところへマスターが笑みを浮かべこちらに来た
「どうでした お味は?」
「ええ なんとなくですが 人気が有る方はとろけますね 
それしか分りませんが」
「そうですね しかしお肉はこのお勧めの方が高いんですよ」
そう言って マスターは生の牛肉切り身を二人に差し出して
「どちらが美味しいか 味わってください」
神山と洋子は小さく切られた牛肉を食べた 神山は
「こちらの方が味があって美味しいですね これが人気のお肉ですか?」
「いえ こちらがお勧めです でこちらが人気のお肉です」
神山と洋子はなんで違うのか分らなかった
「お肉は保存状態で違ってきます 次に切ってから焼くまでの時間
そしてご存知のように焼き上げる時間 勿論お肉がいいものですが
お勧めと人気のお肉は倍くらい仕入れが違います」
「そんなに違うんですか 生で頂いたお勧めお肉はどうして
人気のお肉に負けるんでしょうか」
「ええ この人気のお肉は食べて頂いたように 生ですと 特に
冷蔵庫から出したてだと硬いんです そこで放置をして置く事によって
お肉の中が柔らかくなるんです お勧めはそこまで放置しないでも
美味しさが出てくるんです 企業秘密ですがね」
「そうだったんですね なにか少し分りました」
神山は今日パレルでステーキを食べた事を話した
「多分ですが 切ってからの放置時間が少なかったんでしょうね
私も以前頂きましたが 神山様と同じ感触でしたよ 放置時間と
焼き上げる時間が微妙に関係してきますね」
「ありがとうございます 少し勉強させて頂きました」
マスターはお辞儀をして空いた皿を持って厨房に戻っていった
「そうか そうだったんだ そうすると幾ら美味しいお肉でも
その放置時間を間違えると不味くなっちゃんだ」
「良い勉強したわ 機会があったら家で試してみるわ」
「そうだね それがいい」
二人の仕事が少しずつ動いていった
殆ど食べ終ると 洋子も
「おなか一杯です ありがとうございます ほんと
こんなに毎食美味しいもの食べたら 太ります 困るわ」
「大丈夫ですよ すぐに慣れますよ おなかが」
「そんな ほんとですか?」
「うしです」
神山と洋子は顔を見合わせ笑った 神山はロレックスを覗くと
まだ20時30分になっていなかった 洋子に
「ねえ 少し散歩しようか」
「ええ そうするとおなかにいいですね」
神山と洋子は2階に上がり内藤夫妻に御礼を言ってカウンターに行った
マスターが笑顔で迎え
「ありがとうございます またお待ちしています」
そう言って メモを神山に渡した 
「企業秘密ですが 公にしている部分を書いてあります」
「ありがとうございます 頂きます」
神山が清算をしその店を出た

今夜も晴れていて 夜空には星が輝いていた
青山の夜はまだまだこれからで 会社帰りの女の子達が楽しそうに話し
男女のグループでは上司が女の子を引き連れて歩いていた
カップルも肩を寄せあってウインドーの光に照らされ歩いていた
洋子は神山の手を遠慮がちに握り
「いいでしょ」
と言って 今度はちゃんと握ってきた
洋子は楽しいのと嬉しいのがいっぺんに来て神山の肩に頭を寄せた
突然神山の携帯がなり出てみると祥子だった 
「これから 名古屋に帰ります」
「うん分りました 上原は順調ですよ」
「では 明日気をつけて行ってきてください また帰ったら電話します」
「は~い 了解」
神山が電話を切ると誰なのお仕事ですか 洋子が言うので 
「うん ニーナ・ニーナの方ですよ 今日これから実家に帰るって
上原を心配して電話をしてきた」
「大変ね ニーナ・ニーナさんも この後御殿場アウトレットですもの」
「そうだね 僕も大変だ 美味しい食べ物を一杯食べないといけないし」
「そうね 私 インターネットで探すわ」
「お願いします まあどちらにしても30日過ぎに本格的に稼動するので
それまでは 資料集めでいいと思うよ 実際鈴や食堂が
どんなコンセプトを打ち出してくるか判らないからね
基本的にこの短時間に覚えておけば 話が出来るでしょう 知らないより」
洋子も神山の言っている事がその通りと思い頷き手をしっかり握った
そろそろ表参道にさしかかった時に洋子が
「ねぇ ここは美味しいうなぎ屋さんがあるの」
「うん おおたでしょ 時々利用しているよ 美味しいもん
アルタの高橋さんも鰻はここって言っていたよ」
「な~んだ つまんないの知らないかと思っていたのに」
洋子は握っている手を前後に振りだだをこねている子供のようだった
「わたし 絶対にここは知らないと思っていたの だって 駅前の
お寿司屋さんばっかりでしょ 残念でした 洋子です」
よほど嬉しいのか 残念がっている様子は全然なかった
表参道に来るとファッションが変った カジュアルなファッションが
多いがおしゃれに決めている しかし神山と洋子は群抜いて
おしゃれをした仲間に入っていた
Gパンは同じでもジャケットがベーシックなので目立ち 履いてる靴が
そこらの若者と違い皮なので格好良かった
洋子の格好も靴が行き交う女性と違い品がありおしゃれに見える
まだ4月というのにTシャツ姿の若者達は謳歌をを楽しんでいた
洋子がこの近くにカクテルを呑ませるお店が在るから行きたいといい 
「何でも揃っているのかな」
「うん 私は年に数回しか来ないけど 結構種類はあるみたい」
「行ってみよう」

神山と洋子はその店に向かった 角を曲がった店は直ぐに判った
入ってみるとジャズが鳴っていて みな楽しそうに踊ったり






.

2012年12月19日水曜日

鈴蘭 1 - 22 Vol. 3



洋子の話がが終ると神山は
「翔 100点じゃないか いいぞちゃんと出来たな」
「田所さんに120点貰いました 先輩より貰いました~」
杉田がニコニコしているので
「翔 小谷さん何がすきだって」
「ええ お魚ですって あっ だめです 言いません 知りません」
神山と洋子は翔の姿を見て笑った
そこへ倉元が店内から戻ってきた 洋子を見て
「おう いらっしゃい 昨夜はどうでした」
「ええ 大変綺麗な店舗でしたね」
「それだけ」
「ええ その後 しめ鯖を頂きましたが まだお仕事が有るって
直ぐに引き上げましたよ」
「そうか」
「おう 翔 どうなんだ?」
「僕は荷物運びですから 副社長とはそこまでですが何か?」
「おう 山ちゃん どう?」
「だって 翔と一緒だし分りませんよ」
「そうだよな、、、」
「洋子さん 暫く待っていて下さい 秋の仕事を翔に伝えるだけですから」
「はい 分りました」
「翔 秋の店外催事だ これが昨年の資料な 多分対前年で来る
そこで ファザードのデザインを考えた あくまで参考だよ
ここは 各ブティックのマネキンのしたに観葉植物を置いている
ここで大きな声では言えないが 予算調整をする 出っ張れば
他の場所 例えば受付の植木とか 止めてブティックだけにするとか
什器は殆ど同じものを使っているので変動は少ないはず 
まあ 今から用意しておけば間に合うよ わかった」
「はい 分りました ありがとうございます」
「うん 頼んだよ もう 翔が主役だからな」
「でも寂しいです」
洋子が間髪入れずに
「その分 小谷さんに気持ちを持っていけばいいでしょ ねぇ」
洋子は翔に首を横に振りながら言った 翔も気が付いて
「は~い がんばります 先輩 ありがとうございます」
そう言って神山から貰った資料を 点検し始めた
神山は直ぐに何かあると感じたが ここでは聞いても
答えは出てこないだろうと思った 
「おい 翔 お肉は好きか?ハンバーガーじゃないぞ ステーキだ」
「は~い 大好きです」
「よし これから昼だけど出られるか?」
「はい お供します」
「わかった 課長 翔を昼に連れて行きます ステーキを食べるんで
ワインも呑ませます 私の仕事のお供です お借りします」
「わかった 今夜残業だからほどほどにな翔」
「はい 分りました」
杉田は神山に連れて行ってもらうので嬉しかった
「倉さん すみません 今日は 戻ってきません 残業は翔に任せます」
「おう こんどオレも誘ってな」
「ええ 魚を食べる時 そして日本酒が美味いところですね」
「おう 新潟か富山 あっちだな なんだ何の仕事だ?」
「御殿場アウトレットに鈴やが食堂出店するので 下準備です」
「おう そうか そうだな 変なもんだされると 銀座だけじゃなく
鈴やの評判が悪くなるもんな わかった 翔 今日は味を
しっかり覚えるんだぞ わかったな」
「はい 分りました」
「では 大変お待たせしました 出かけましょう」
神山は部屋を出て 洋子に 
「ステーキが美味しいところ知っている?」
「う~ん 人事に自称食通が居るから聞いて見るわね」
洋子は人事に電話をし詳しく聞いていた 
「神山さん その子は実際に食べてはいないけどって断ってから
日比谷のパレルホテルの最上階は一番じゃないって
帝国屋ホテルも美味しいけれど 人気があるのはパレルだって」
「わかった この格好で入れるかな?」
「聞いてみるわ」
洋子は今度パレルホテルに電話をして 確認した
「大丈夫よ よかったわ 帝国屋は確かスーツでネクタイよ」
「うん そこらへんも 人気を左右しているんだろうな」
「そうね 女性もスーツを着なければいけないし」
「翔 タクシーを捕まえて頂戴」
「こんなに天気がいいから 歩いていきましょうよ」
「分った だったら 歩いて来い タクシーで行くから」
「はい 呼びます すみません」
神山は洋子と顔を見合わせ笑った 
タクシーに乗り込むと
「先輩 そうすると帝国屋にも行くんですか 何時かは?」
「うん そうなるかな 分らないけど」
「そうしたら 味見しますから呼んでください お願いします」
「こんどは どっかの受付嬢がいいかな ねぇ洋子さん」
「それも良いかもね」
「なんで そこで小谷さんが出てくる訳ですか?」
「小谷さんなんて言ってないぞ さては何か約束したな 洋子さん?」
洋子は
「いえ なにも ほんと 隠していません」
「ほら 隠していませんは 隠していますだよ ぼろが出た 
翔 はっきり言え でないと左遷だ」
翔は困って 洋子を見た
「洋子さん 副社長の左遷と 先輩の左遷って どっちが強いんですか?」
「ほら 翔 言っちゃった 知らないぞ」
洋子が 
「翔君 仕方ないわね 私が白状するわ 実は昨夜行った所は
副社長の2号さんが経営している所なの だから絶対に皆に
知られたくないって 隠しているの だからこの話が
周りに知れ渡ると大変な事になるの だから黙っていて お願いします」
「なんだ そんな事か 黙っているよ 翔も忘れろいいか」
「はい 分りました」
「結局さ その場で得意がっていても 最後に損をするのは自分だぜ
わかる 翔 だから忘れれば 怪しい言葉は出てこないよ 忘れなさい
さっき課長から尋ねられた時は 上手かったじゃないか 
僕もひっやっとしたけどな 知らない事は知らない」

タクシーはパレルホテルの車付けに付き3人がおりた
最上階まで行くと荷物預かりがありそこで預けた
ウエイターが窓際に空き席があるので案内した
神山はメニューを見て 最上級のステーキとビールを頼んだ
ランチメニューではないので サラダと簡単なおつまみも頼んだ
翔はワインが無い事に気がつき
「先輩 ワインが無いですよ」
「うん 分っているさ ビールを呑んでからだ 慌てるな それより
美味しいお肉を五感で味わってな あとで感想文を貰う いいね」
「はい」
一番最初にビールとおつまみが出てきた 神山は小さい紙にメモをとった
「では 美味しいお肉に乾杯」
みんなで乾杯した 神山は呑み始めた時間を記入した
普通に食べ 普通におしゃべりした 翔がビール追加を聞いたのでOKと
答えると翔がウエイトレスを呼びビールの追加を注文した 
神山はまた時間を記入した 暫くしてビールが届いた 今度は神山と洋子の
分を注文した それもメモった 神山は洋子に
「今は6,70%の入りでしょ 後でいいけど ここの席数と出来れば
従業員 ウエイターやウエイトレス 厨房の人数を把握して欲しい」
「はい 分りました」
洋子は言われた事を手帳にメモした 暫くして神山と洋子の
ビールが運ばれてきた 神山はメモった
杉田は自分だけ早くビールを呑んではいけないと思ったのか
余り呑まなくなり おしゃべりも減った
「翔 呑んでいいんだぞ 好きに呑めよ それもデーターになるし
但し書きが必要だがね」
「なんですか その但し書きって」
「うん 小谷さんに思いを寄せている呑み助って」 
「うぇ~ そんな事さっきから書いているんですか 参ったな~」
そう言って翔はビールを注文した 神山は時間をメモった
「翔 今度 築地へ行くか」
「ええ 先輩と」
杉田は余り嬉しそうでなかった 
「いや 催事課全員と 私たち2名と小谷さんだ どうだね?」
「嬉しいですけど なんかお役に立てるんですかね」
「わからない 翔 御殿場アウトレットに鈴やが出るだろ
その時の準備なんだ 全ては だから全然役に立たない
資料も有っても仕方ないだろう 僕は辛いけどな 仕事だから」
「いいですよ それで感想文ですね」
「うん そうだ 全員に書いてもらう ほんの些細な事までな
それと この話は一応倉さんには概要を話しただけだ
翔は 忘れてくれ いいね」
「そうよ 翔君 事前に伝わると 小谷さん来ないわよ 分った」
「はい 分りました 今度こそ忘れます 今夜小谷さんの夢をみて」
翔のビールが運ばれ 神山はワインメニューを頼んだ
洋子にメモを頼んだ
ウエイターがワインメニューを持ってきて説明をした
「そうしたら その一番人気のあるワインと 一番人気の無い
ワイン それから中間のワインをお願いします」
ウエイテーは畏まりましたと言って戻っていったが 首を傾げていた
暫くすると ウエイターが上司を連れこちらに来て 
「いらっしゃいませ お客様ご注文ありがとうございます
只今ウエイターから聞いたのですが 私どもでは 人気の無い
ワインは置いてございません 大変失礼ですが 何かの取材でしたら
お断りさせて頂きたいんですが」
神山はカチンと来たが チャンスと思い 名刺を出した
「申し訳ございません 色々と勉強をさせて頂いているんです」
「鈴やさんにはいつもお世話になっています 
ご無礼をお詫びください」
洋子も名刺を出すと 今度はもっと驚き 神山に対し深々とお辞儀をした
上司は 名刺を差し出した 
【日比谷パレルホテル 担当支配人 二ノ宮三朗】
「私は この30日が辞令でして 秘書が先に出来てしまい
まあ 仕事優先で 連れています ここが美味しいお肉をご提供
されていると評判でしたので立ち寄らせて頂きました」
「そうだったんですか そうしましたら手前どものソムリエが居ますので
呼んでまいります おい君 ソムリエを呼んで来てくれないか」
ウエイターは厨房に戻りソムリエを連れてきた
お互い名刺交換をし 
名刺には【日比谷パレルホテル ソムリエ 矢野 純一】
神山は二ノ宮三朗に伝えた事をはなし
ソムリエ矢野 純一も
「そうですね 難しいですね やはり ライトがお好きな方
ミディアム ヘヴィーがお好きな方 色々ですね」
「分りました 人気があるのは ライトですか?」
「ええ 今はライトボディーが人気があります」
「そうしましたら ライトで 一番呑まれているワイン それと
余り呑まれないワインをお願いします」
「はい 畏まりました たまに御社の時田さんもいらっしゃいますよ
美味しいワインあるかって」
「そうですか 白ですか」
「はい 良くご存知で」
「ええ 次長になるにはその位知っておかないとねぇ」
ソムリエは 神山を見直し深々とお辞儀をして厨房に戻った 二ノ宮が
「ステーキはご用意して宜しいでしょうか」
「うん お願いします」
二ノ宮も深々とお辞儀をして戻っていった 神山は時間をメモった
「先輩 格好いいですね すきっとしました」
「なあ この事は自慢話ではないんだ 忘れろ 小谷さんの夢見て」
「はい 忘れます しかし偉くなると皆秘密なんだな ねぇ田所さん」
「そうよ それが自分を守るの 杉田君は秘密を守ると見込まれたのよ」
「はい 分りました」
そんな話をしていると ソムリエがワインを2本持ってきた
「神山様を試すつもりは毛頭ございません ただ分って頂きたく
お持ちしました どちらが人気あるか分ります」
神山はかちんと来たが 頷き
「わかりました」
ソムリエ矢野 純一はワイングラスに少しづつ注ぎ神山に渡した
神山は 少し明るいほうのワイングラスを傾け色を見た
まだ若かった 口に含むとフルーティーで転がしてもごわ付かなかった
もう一つは グラスを傾けると先ほどより濃く何年か経っていた
味は まろやかで香りも豊富で素晴らしく良く 転がしても
邪魔にならない 美味しさだった 
洋子と杉田は心配そうに見守ったが 神山が
「後に呑んだほうがお肉に合うと思います」
「さすがですね 感心しました」
「最初のはライトですがまだ若いですね しかし転がした時
ボジョレーのあの若さではないですね」
「はい 実は この2本は1番人気と3番人気なんです」
「美味しいのは 後から頂いたワイン?」
「そうです 2番人気はこのワインと同じミディアムなので省きました」
「そうか ライトも美味しいけれど ミディアムも美味しいですね」
ソムリエ矢野 純一はみんなのグラスにも注いで廻った
二人は神山と同じ事をして口に含んだ 翔は目を瞑っている
「どうもありがとうございます 勉強になりました」
「こちらこそ申し訳ございませんでした」
「そうしたら これは冷やして呑むとどうなんですか」
「ええ 美味しいですよ」
「ありがとう それでは ステーキを頂きます お願いします」
「では 2本とも置いておきましょうか」
「うん お肉を頂くと又違うでしょうから お願いします」
「畏まりました」
「追加なんですが ガーリックライスを3つお願いします 1つは多めで」
「はい 早速ご用意させて頂きます」
矢野 純一はお辞儀をして厨房に戻っていった
「先輩 尊敬します 今までも尊敬していましたが ランクアップです」
「そうよ ソムリエに勝ったもん すごいわ」
「いや 僕はどちらが一番とは言っていないよ」
「あっ そうだ 向こうが勝手に言って来たんだ」
「そうよね しかしこれが一番ですって言わせたのはあなたです」
そんな話をしていると 洋子の携帯がなった
「ワシじゃ」
「はい 田所です」
「おお あんまり矢野君を苛めないでくれよ」
「えっ」
「今 矢野君から電話があってな 凄いですね神山さんはって
僕が負けましたって舌を巻いていたぞ 
それで 早速仕事か えらいな がんばれよ 矢野君に宜しくな」
「はい 分りました」
電話を切ると洋子は時田のことを伝えた
「よっぽど悔しかったのと 実在するか調べたんでしょ」
「そうね 名刺なんて 分らないから きっと」
「先輩 凄いや また副社長喜ぶでしょ」
「まあな それより実績を上げないとな なぁ 翔」
「はい 分りました」
洋子はワインをグラスに注いだ グラスが6個並んでいるので
周りのテーブルから じろじろと見られた
ステーキとガーリックライスが運ばれてきた 神山は時間をメモった
洋子と翔はナイフとフォークを巧みに使って口に運んだ
神山は二人の表情を観察し終わってから食べた
ガーリックライスも美味しく食べ 3人とも全て食べ終わった
「先輩 ご馳走様でした」
翔が言い終わった時に 担当支配人 二ノ宮 三朗がデザートを持ってきた
「神山様 こちらはソムリエのお詫びも含め 用意させて頂きました
どうぞ 召し上がってください」
神山はカチンと来た
「ご好意はありがたく頂きます しかし私は頼んでない物は
食べるわけには行きません 分りますか」
二ノ宮は
「申し訳ございません 大変失礼致しました」
神山はさがるにさがれないだろう二ノ宮に
「この分も伝票に入れてください お願いします」
二ノ宮はお辞儀をして戻り 伝票を持ってきた
「うん わかった」
二ノ宮が去ると神山は
「さあ 帰るぞ 翔」
「えっ だって これ いいんですか」
「ばかだな 頼んでいないだろ 向こうが引き下がれないだろ
伝票をここに置かないと わかるか」
「そうか お金を払っていれば 文句言われないですよね」
「そうだ 少しはお利巧さんになったな」
「あなたの教育がいいんでしょ」
「洋子さん デザートの美味しい所は」
「はい そうくると思って 調べておいたわ」
「さすがだね」
3人はデザートをそのままにし会計に向かい洋子が清算した
洋子は神山にやはり美味しいのは ぺこちゃんだと言った

神山はタクシーでぺこちゃんにいきデザートを食べた
洋子は美味しいといいながら 笑みを浮かべながら口にし
「翔君 どうしたの 食べないの 神山さんも」
「うん 食べるけど 自分から食べる気にならないな 
例えば 女の子に あ~ん して なんていわれれば なぁ 翔」
「そうですね やっぱ あんまり好きではないですね」
「そう 二人ともそんな事言っていると 女の子に嫌われるわよ
私 神山を嫌いになるかな 食べられないんだったら」
「翔 食べよう 何が何でも」
3人はあまり言葉を交わす事無く 食べ終わった 洋子が
「お二人とも ここの味を覚えておいて 他では食べられないわよ」
「はい 五感で食べました ありがとうございます」
「翔君 いいお返事でね 120点よ」
「ありがとうございます」
3人は店に戻ろうとしたが 神山は戻らなくていい事を思い出し
時計を見ると2時になっていたので
「翔 僕達は他に行く 今日は協力してくれてありがとう
残業だろ そろそろ帰ったほうがいい ホテルで食べた物の事は
言ってもいいが 会話は忘れなさい いいね」
「はい 美味しいステーキだけです ご馳走様でした」
「うん 夜は上原に居るつもりだ 何かあったら電話してくれ
そうだ 食品にはこの事は絶対秘密だ お肉も自分から言わない」
「はい 分りました」
杉田はお店まで歩いて帰った 部屋に入ると
「おう お帰りだ 翔 どうだった」
「はい 美味しかったです ほんと美味しいです」
「良かったな」
「はい またお供しますと言っておきました」
「そうか 二人は?」
「別な所にいくと言って分かれました」
「おう そうか山ちゃん動き始めたな」
翔は今夜の手配を確認したりして追われた

「ねぇ さっきのステーキ美味しかったけど どうだった」
「どうって」
「うん なんか分らないけど う~ん 味は美味しい う~ん」
「ねぇ どこかと比べている?」
「うん まあね」
「そうしたら そこに行って ステーキだけ頂かない?」
「えっ だって静岡の三島だよ」
「行きましょうよ だってそんな山奥じゃないでしょ」
「うん しかし そうだ 今度26,27で御殿場に行くでしょ
その時たべられるよ」
「だって方向が違うじゃない」
「うん 三島のお店とゴテンバ グランド インの大将は兄弟で
同じお肉を使っていて 共に美味しいんだ そうしよう」
「はい 分りました 翔君がどんな感想を書くか楽しみね」
「洋子はどうだった」
「私は 上等に思えたわ だけどあなたが言うように言われれば
?マークね 私も正直味わっていたけど これが最上級?って感じよ」
「やっぱり なにが違うか出てこないんだ もやもやしているよ」
「でも あと1週間で食べられるんだから でもこの感触忘れないわ
あっ そうだ感触がなんか違っていたわ」
「あっ そうか 歯ざわりか かみごこちと言うか そこかな?」
「そうね そうかもしれない」
洋子は直ぐに手帳にメモった 

「ねぇ 売場に行って洋子の仕事着をかうよ」
「えっ これはだめ?」
「そんな事は無い 仕事着だから ねぇ」
洋子は少し不服だったが 付いてきた
婦人服のカジュアルファッションに行った
洋子は何を買うのか検討がつかなかった
神山はGパンを扱っている売場に行き 自分と同じメーカーで婦人用を
探してもらった
試着をしてみると ヒップもピッタリで綺麗だった
しゃがんだり たったりして動いたが らくに動けた
「なんでGパンなの?」
「うん 現場がある時は Gパンが一番さ 似合っているよ」
「私持っているからいいのに」
「それは私服 これは仕事着です だから僕に任せて」
神山はニーナ・ニーナでランク下の商品の事など伝えた
それとこれと交互に着れば当面間に合うと考えた
「そこまで考えていただいて嬉しいわ お言葉に甘えて買います」
「うん 同じモデルで色違いを買えば すこしずつ違うでしょ」
「そうね そのほうが楽しいわ そしたら3本でもいいですか?」
「うん その位 有ってもいいね それと至急裾上げお願いします」
店員が返事をし裾丈を測った 20分かかると言われた OKをした
合札を貰い洋子が清算しようとしたので  
「仕事着は僕が出すからいいよ」
洋子は黙って頷いた 
神山は Gパンに合うジャケットを探した 洋子も良く売場にくるので
売場の女の子が一緒に探してくれた 結局神山と同じような
麻混のジャケットになった
色違いを2着買って 清算は神山が行った
「さて シューズだね」
「ええ シューズはあなたと同じ感じでヒールが付いているのと
付いていないのが欲しいわ」
「うん 分るよ」
売場係長を交え メーカー派遣の手伝い店員も探し ようやく見つかった
やはり高いとそれだけ皮や作りが違いよくなっていた
3足有ったので3足とも買った 神山はGパンが出来ている時間だから
戻ろうと言ってGパンを受け取りに行った
「洋子 ここで着替えたら 今着ているブラウスでも充分似合うよ」
洋子はそう言われ着替えた 試着室からでた洋子をみて驚いた
「全然 違うイメージになった 活動的で知的で セクシーで うん」
「ブラウスはこのままでいい?」
「うん ブラウスは ニーナ・ニーナで買うし また気に入ったのが
有れば買えばいいよ しかし似合っているよ」
「ありがとうございます」
洋子は今着ていたスーツを自宅に届けてもらい 残った物を本社人事に
届けるよう頼んだ  バッグが合わないので ショルダーバッグを
さがした 昨日買ったような形で皮の柔らかいバッグをえらんだ
中味を入れ替え 使っていたのを人事に届けてもらった
「どうだい きごこちは?」
「ええ 最高よ 会社にきている雰囲気ではないわ」 
「そうか やはりGパンってそこに魅力があんのかな」
「ねぇ あなたのバッグだけど 皮にしない?」
「えっ なんで?気に入っているのに」
「うん でも皮のほうが 戦略的にいいんじゃない」
「わかった どこのがいいのかな? だいたいブランド物つけないし」
「ロレックスが光っているわよ」
「だって貰い物って言ったでしょ そうしたら ビトロにするか」
「ええ超一流品ね 行きましょうか」
神山と洋子は特選品売場に行った 普段なかなか手に入らないだろう
商品を 今は 手にする事が出来た
探していると 丁度いい大きさで ハンドでもショルダーでも使える
バッグがあった さすがに高かったが神山は清算した 
これから使うので今のは自宅へ送ってもらう事にした
「ほら やっぱり違うわ 素敵よ」
「ありがとう」
そう言って肩から掛けたり 手で持ったりした
ビトロを見ていると ゴルフなど行く場合 フェアレディーに乗る時
ボストンバッグが必要となる 洋子に話 同じような形で大きさの
違うのを2つ買った 小さいサイズを洋子が使い大きいのは神山が使う
「そうしたら どおせだから 携帯ハンガーもここで買おう」
「そうね 揃っている方がいいわね」
洋子が使うのを探した 婦人用でロングドレスが入るのが有ったが
スーツは紳士用しかなかった 売場に聞いてもスーツは男女の区別が
ないというので購入した これは人事課に届けてもらった
「さあ これで 一応終ったね あとは洋子の ビジネススーツ
これだけだ あっ それとシューズだ」
「なんか 私ばっかり すみません」
「謝る事無いさ 仕事だよ 仕事」
「はい 分りました」
「うん よろしい」
「ねぇ さっき見えたんだけど バッグの中にシャツがあったでしょ」
「うん 忘れた クリーニング出そうとしたんだ」
「そうしたら 地階にあるクリーニングに出せば大丈夫よ 
それに従業員だと安くなるしポイントを貯めると
クリーニング券が貰えるわ それに丁寧よ」
神山はクリーニング屋に寄りシャツを出した

ロレックスを見るともう5時30分になっていた
部屋に電話を入れると奥村がでて 西野理事に電話するように言われた
神山は西野理事に電話をすると
「神山です お世話になっています 遅くなって済みません」
「やあ 山ちゃん 実は車だけど 28日の昼頃来る それで
どこで引渡しをするか教えてくれと言う事なんだが どうだ28日は」
「はい少々お待ちください スケジュールを確認します
あっ こちらからすぐお電話します 一回切ります」
「うん 待っている」 
神山は洋子に28日の昼に車が来る事を告げ スケジュールを
確認したいと伝えた 洋子は手帳を確認すると9時にアルタ挨拶 です
と 教えてくれた 
「あれ ニーナ・ニーナは」
「まだ連絡をいれてませんが、、、」
「わかった 西野さんの後に電話する」
そう言って 西野理事に電話をした
「遅くなって申し訳ございません 12時にあいています」
「うん 分った パーキングでいいか?」
「はい 12時にパーキングでお待ちしています ありがとうございます」
「うん それと ホテル禅の地下駐車だが 当日から使えるようにした」
「何から何まで ありがとうございます」
「うん では」
神山はニーナ・ニーナの筒井に電話をした
「神山ですが お忙しいところ申し訳ございません」
「やあ 山ちゃん やったね 常務じゃないか 凄いよ」
「ありがとうございます 実は ニーナ・ニーナさんにご挨拶に
お伺いしようと思っているんです それで28日はお昼過ぎは
如何でしょうか?」 
「うん え~と うん大丈夫だ」
「それでは 2時過ぎに伺います お願いします」
「わかった 出来るだけ集めておくよ」
「そんな大袈裟にしないで下さいよ 人事命課は30日ですが
今度は外回りが出てくると 筒井さんとこ行くのに遅くなると
嫌われてしまいますから 早めに行きます」
「いいよ 待っているよ」
「では失礼します」
「洋子さん 28日12時鈴やパーキング納車
14時 ニーナ・ニーナ挨拶 30分みて 13時30分に出よう
それまで練習しよう」
「はい 分りました 早いですね 納車」
「うん 理事に会っていないから詳細は後日ですね スケジュール
確認しなかったら ニーナ・ニーナを忘れていた 助かったよ」
「済みません わたし気が付きませんでした」
洋子が俯いてしまったので 
「最初から上手く行ったら こっちが怖いよ 結果OKねっ 元気出して」
神山が励ましたので 洋子は少し涙ぐんでいたが 
「はい 分りました 気をつけます」
「うん 頼んだよ それからニーナ・ニーナさんの挨拶だけど
どうするかな うん ダブルがあるでしょ それがいいか アルタも?」
「ええ しかし辞令の時が格好いいですね」
「うん そうしたら この格好で行こう スーツ姿は幾らでも後で
見る事出来るし アルタもニーナ・ニーナもGパンで決定
洋子の仕事着はアルタから帰ってきたら次長室に持ってくればいいよ」
「ええ しかし後輩が運んでくれます 大丈夫です それからいいですか?」
「うん なに?」
「クローゼットですが 施錠できるようお願い出来ますか?」
「そうだね わかった そうしたら これから行くから頼もうよ ねっ」
「はい 分りました」
「僕は 引き出しにも付けようと思っている お金があるし」
「そうですね」
「鈴やの活動費もアルタの自由費も君に管理を任す いいね」
「えっ なんでですか」
「勿論全額ではないよ 少しは持つが必要ない そのための洋子だよ」
「嬉しいですが いいんですか 私に持たせると全部なくなりますよ」
「そしたら給料があるじゃないか 大丈夫だ洋子は使わないよ」
洋子は信じてもらって嬉しかった 抱きつきたくなった 
「ありがとうございます 信じていただいて」
「当たり前だろ まだ少ししか話をしていないが分るよ
さあ上原に行こう タクシーで行こう」






.

2012年12月14日金曜日

鈴蘭 1 - 22 Vol. 2



「私ね 今日は倉庫に行くのだから少し早めに行くわ」
「うんわかったよ」
「昨日 上原のリストアップ作業をして どうしても
倉庫で確認をしなければいけなくてね 困ったわ ほんと」
「どうしたの?」
「覚えている 林さん?」
「ああ 店長で今 御殿場アウトレットの下準備で全国行脚」
「そう 彼女がきちんと数字を報告していない事が判明したの」
「うん?」
「薄々わかってはいたの 倉庫と伝票が合わないの」
「大変だ そんな事一大事だね」
「そんな事もあって 上原の事もあって行くのよ」
「上になると大変だね」
「そう あなたも気をつけてね 何があるかわからないわ」
「ところで 昨日買ったスーツだけど あれって夏はどうなの」
「ええ一応 大丈夫だけど 真夏はどうかしら だけど外回りの
営業ではないでしょ」
「うん 自分がこんな格好なんでわからないんだ」
「ええ あるわよ 夏物 そうしたら返品しないで置いておくね」
「うん あとね 普段次長室で着るのにどうするか考えているんだ
結局 お出かけ用で まあ挨拶用で買ったけど 実際部屋にいる時は
私服と言ってもスーツで無ければいけないかなって」
「そうね 鈴やさんの制服でも良いんじゃないの」
「そうか 後は僕と同じ格好をしてもらう」
「うん それもありね あの方プロポーションいいから
何でも着こなせると思うわ」
「そうか 祥子が言うのだから間違いないね 今日相談する
お出かけ用買いました 2着です あと知りませんでは可哀相だよな」
「そうね 部下だし特に女性だし ちゃんと見てあげないと後が怖いわよ」 
「そんなに脅かさないでくれ こっちも大出費さ 困ったよ
ところで祥子が昨日着ていたスーツはパリ?」
「ええ パリよ なんで」
「一昨日の夜 ワンランク下って言っていたでしょ 幾らなのかな?」
「あれは確か正札で30万円かな あれを仕事着にするの?」
「うん 選択肢があったほうがいいでしょ 上の人間としては」
「そうね あれでも日本製よりずーっとましよ 軽いし 違いは
やはり形かな ほんのちょっとの所だけど 普通はわからないわね
私だって 両方を見比べるてわかるくらいで
だって 昨日 彼女が試着したでしょ 私の着ていたのと
どうだった 勿論種明かしをして有ったからそうゆう目で観たと思うの」
「そうだね そう言われれば 変らなかったよ うん」
「でしょ それでね パリではその下のクラスが売れているの
ビジネススーツで それは18万円かな 違いは 袖の付け根が
少し大きいの だから腕が回しやすいし 動きやすいわ
パリで試着した時 絶対これいけると思ったら これが一番売れている
商品だって言われたもん 私はそのほうがいいな 挨拶はあの2着でしょ
次長室のお仕事着は18万ので だって生地は一緒 腰の
絞りが少しだけ甘くなっているわね でないと動けないから」
「うんわかった 2着残しておいて 2着有れば大丈夫だよね」
「ええ 大丈夫よ パリでも直ぐにはなくならないわ それより
靴を考えたほうがいいでしょ 同じハイヒールでもっと安いのを
今日倉庫から出しておくわ 靴は3足くらい合ったほうがいいと思うわ」
「わかった 種類があると思うけど 大体幾ら?」
「大体5万円くらいね そのくらいよ」
「では お願いします ほんと昨日アルタの高橋さんが言っていたけど
すぐになくなりそうだ」
「仕方ないじゃない お仕事の要は先行投資ですもん 倉庫行ったら
お仕事用のを選んで銀座に入れるわ ブラウスも パリの女性が
お仕事する時着る 一番売れているのを準備するわね」
「しかし あくまで選択肢の一つだよ そこはわかってね」
「大丈夫よ」
神山と祥子は食事の片づけをし 出かける格好をすると祥子が
「さあ出ましょうか 早くしなさい」
「お化粧は?」
「うん 今はこのままよ 倉庫を出るとき ちょこっとお化粧かな 
だって商品についたら大変よ だから倉庫の時はしないの」
そう言い かるくキスをした すっぴんでも綺麗だった
神山は部屋に戻り仕度してあったバッグを持ってでた
二人は エレベーターの箱が来るまで唇を合わせた
「だって貴方が帰って来るの24日でしょ 寂しいわ」
祥子は覚えていた 箱が来て扉が開いても抱き合っていた

二人は現場まで手を繋いで歩いた 今日は祥子が現場に寄らないので
別の道を下った 改札口に来ると
「では 気をつけて行ってきて下さいね」
「うん 祥子もたくさん友子ちゃんと遊んできなさい」
「はーい」
祥子は手を振って電車が来るホームに消えていった
神山は駅で新聞を買い現場に行った
「おはようさん 孝ちゃん」
「おはよう 山ちゃん 昨夜は失礼しました 久しぶりにぐっすり」
「そうでしょ 顔色いいもん」
「ところで 新聞買ってきたけど読んだ」
「読んでいないよ」
二人は新聞を読み漁った 一面ではなく経済面で小さく扱われていた
「あった 山ちゃん ここ」
神山と高橋は20行ほどの記事を読んだ
「山ちゃん 一日違いで 何十億違ってくるんだからね 恐ろしいね」
「うん ほんと 今度は僕が恐ろしくなる番だな」
「うん でもある程度決まればそう大した事はないと思うよ」
「そうあって欲しいものさ ところで朝から申し訳ないけど
昨夜の自由費って何時もらえるの」
「最初は辞令の日でしょ あと月初めだったと思うな どうしたの?」
「いやね 色々と計算すると大変だからさ だってこの間
僕が貰った給料は課長職だぜ そして今月も課長職 5月の給料で
ようやく 理事のお給料です 出て行くのは訳のわからない数字で
計算したら 自由費を頂いても大変なのです だってアルタだって
お給料は5月でしょ だから大変 困っています」
「アルタは多分 4月に出ますよ 後で聞いておきます」
「今月だと嬉しいな だけど30日だからね」
「ええ 土日の場合は前日 そうだ30日は印鑑と 給料の口座と
免許証を持ってきて そうだ田所さんにも伝えてくれる?」
「わかった だけど 28日の9時に挨拶するけど」 
「そうしたら 28日のほうがいいです お願いします」
「了解です」
「ところでなんでそんなに必要なの?」
神山は戦略の事を話した 優位に仕事を進める為にはどうしても必要
高橋も頷き聞いていた
「山ちゃん 凄いねそこまで考えているんだ」
「うん それで彼女 田所さん 綺麗だったでしょ」
「そう 時田さんの彼女かと思ったぐらい どっかの女優さんだね」
「あの変身で 軽く100万円超えた」
「へぇ~100万円 こえた しかし 参ったね」
「もともと地味みたいだったんだ そこで変身したから大変さ
僕のシャツも一緒に変身ですよ」
「うん格好よかったよ」
「売場で係長の説明を聞こうとしたら 課長がのこのこ出てきて
田所さんをにやにや見ていたんだ 彼女 今部長だからね
その課長に 一喝ですよ 僕も見ていて気持ちよかったけど
で 要は作戦が成功したわけです」
「うん わかるわかる そうか 内藤に聞いてみるよ
しかし 30日以降は山ちゃん 自分で聞いてね 僕より上だから」
「わかったけど そんな滲めるなよ」
二人は笑って 顔を見合わせた

9時になったので高橋が内藤に電話した
新聞記事の件と神山の戦略の件を話をした 頷き電話を切った
「山ちゃん 社長新聞見たけど載っていなかったって言うので
経済面の下の方で20行位って言ったら あった ありがとうって
それから特別に自由費を田中に持たせるって もう田中は持って
出たとこだと思います」
「いや ありがとう そうだ忘れる所だった」
神山は次長室の図面を出し見せた
「この赤ペンが 気がついた所で 一応目を通して それと
冷蔵庫を忘れたんだ ごめん この中に入らないかな それで
電子レンジも有ったほうが便利だけどどこに置くか です
本当にごめん すっかり忘れていました」
「昨日の流れで 奥に自分達の分 入り口付近を来客で考えると う~ん
ここの角 着替え室の手前を少しふかすでしょ そうすると
着替え室の入り口が狭くなるね~ そうしたら このPCなどの作業部分を
少し詰める うんこれでいけますよ 元々造り付けは内寸で550
だから 冷蔵庫だと750なので 作業机が200少なくなるだけで
OKですが 電子レンジは必要ですか?」
「う~ん どうかな たまたま気が付いたんだよ」
「電子レンジの場合 防火を考えないといけないんです 特に
オーブンなんて付いていると どうでしょうか?」
「よし そうしたら彼女が9時30分に出勤して来る筈なんで
それまで待ってください 結局 彼女も昨日の備品関係のリストで
上げていなかったから 不要の理由があると思います
それを聞いてからでいい? 僕は有ったら便利かなですよ 
それと オーブンやオーブントースターは不要だと思うの
単純にレンジだけです レンジだけでも大変?」
「レンジだけなら 別に何もしなくてOKですよ」
「わかった では先に進みましょう」
「後は着替え室に照明がついていないの?」
「これは 幸三が書き忘れです 僕が書いておきます」
「うん 普通の試着室より明るくしてね」
「ええ 明るいほうが いいですよね 了解です」
高橋は図面に訂正個所を青インクのサインペンで書き入れていった
赤は神山 青は高橋とわかり易かった
時計をみると9時30分になったので 洋子に電話した
「はい おはようございます 田所です」
「神山です おはよう」
「昨日はありがとうございます 大変美味しかったです」
「うん 早速で申し訳ないけど 次長室の備品リストで 電子レンジが
はいっていなかったんだけど 理由はある?」
「ええ 考えたんですが 何に使うかシュミレーションはしましたが
ほとんど使わないので止めました」
「うんそうか 僕は有れば便利かなと思ってね 今 高橋さんと
置き場所を考えているところです」
「そうなんですよ あれば便利だけど 使う頻度とかどうかなと
思いました」
「わかった あと冷蔵庫を忘れていて 着替え室の脇に置きます」
「あっ そうですね ビール入れが無いと困ります」
「次長室の話はここまで レンジはもう一度ここで検討します
催事の市川君にPCスキルを確認してもらう事になっているんです」
「はい 昨日は出来ませんでしたので 今日にでもと思っています
出来れば 早い時間に人事でお願いしたいんですが」
「午後からは?」
「次長室の打ち合わせでしょ 詳細を」
「うん早い時間にする そしたらこの電話終ったら 行ってもらい
僕が着いたら電話します いいかな?」
「はい お昼からは空けています」
「うん 11時ごろまでに行かないと アルタさんの都合もあるから」
「は~い ではお電話をお待ちしています」
神山は電話を切ると 市川に電話をした
「神山です おはようさん」
「市川です おはようさん 山ちゃん スキルの件とフォーマットでしょ」
「うん スキルは人事で行いたって だからご足労だけど
行ってくれないかな 頼む」
「了解 で時間は」
「今 直ぐ」
「わかった そしたらフォーマットは山ちゃんが来てからでいいね」
「うん」
「いまさっき アルタの田中さんが作業に入った 言付はある?」
「うん 11時頃には行きますと伝えて」
「了解 では」
神山は電話を切ると洋子との話を高橋に伝えた
「そうなんですよ 僕も山ちゃんが電話をしている時 考えたんだ
レンジも食器入れも目線でしょ だから その分 場所が う~ん
そうしたら ここの冷蔵庫の手前 入り口側にレンジ置き場を
設け その下はどうせ日本酒が来るからその置き場にしましょう
一升瓶2段とってその上をレンジで良いでしょう
日本酒の瓶を出しておくと格好悪いですからね」
「うん 食器類はその横でも充分だね しかし奥行きあるから
取り出しにくいね」
「ええ そこが難点ですね そうしたら そうゆう小物は 
引き出しにして 取れるようにしましょう」
「うん 引出しだと 奥まで充分使えるしね そうしたら 
小物類はまとめて 出来れば2列くらいだね」
「いえ 別に3列でも構いませんよ 逆に目線から下は引き出しに
したほうが 使い勝手がいいかも知れないですね」
「うん これも現場で何を入れていくかで決める いい?」
「ええ 結局どちらで進むかだけですから そこだけ抑えてくれれば」
「わかった あと この来客用ハンガーだけどW1200だと 冬物で
大体15着かな しかしいいかここにそんなに入らないんだから」
「そうですね 会議室なら別ですが」
「わかった そうしたらこの図面で幸三君と話を進める そうだ駅で
コピーを取ってくるよ」
「済みません あると助かります」
神山は駅にあるコピー屋で図面をコピーして一部を渡した
「あと現場で出てきた事は全部幸三が責任を持って行います
勿論僕の所に報告はありますが、、、大きい変更はないと思います」
「うん これだけ決めておけば 多少進みが速くなるよね」
「いえ 山ちゃんだから早いの 他の人は3倍4倍掛かるんです
ほんと そう言うとき 困りますよ」
神山は話が終ると外に出てタバコをふかした

駅売店に行って缶コーヒーを人数分かって戻ってきた
「孝ちゃん これ大工さんに もうじきでしょ休憩」
「ありがとうございます そうですね 休憩にしましょう」
高橋が大工に休憩を言って缶コーヒーをみんなに配った
大工達がありがとうございますと言って外に出て
吸殻缶が用意されているのでそこに集まってきた
「孝ちゃん 御殿場のニーナ・ニーナだけど何時から動くの」
「ええ 今 地割りをしていると思いますよ」
「そうか ねぇ26日27日って行くでしょ 現場を一回見ておかない?」
「そうですね そうしましょう 図面を用意して置きます」
「うん 僕はカメラを持っていこうと思っている」
「それいいね 例の縁起が良いカメラ」
「違う違う 縁起のいいのはコンパクトカメラ あっコンパクトでいいか」
「そうですよ 芸術作品じゃないから でも一眼レフ使いたいですよね」
「うん 時々シャッター押しているんだ 良い音するよ」
「こんどはそれが役に立ちますね」
「うん」
神山は御殿場である事を思い出しちょっと失礼と言って 洋子に電話した
「ごめん忙しい所 ゴルフは出来る?」
「ええ しかし下手ですけど」
「わかった 26日と27日は仕事でゴルフだ いいね」
「はい 分りました」
「うん 頼んだよ」
電話を切り 高橋に
「今確認したんだけど 秘書もゴルフ出来るので連れて行く いいよね」
「いいですね 華があると楽しくなりますね」
「うん 行きに 小田原の工場寄るでしょ 少し見学させたいんだ」
「良いじゃないですか それもグッドアイデアですね」
「26日のオープンが11時で13時頃出れば充分かなと思うだけど」
「ええ もう少し遅くても大丈夫でしょ 内野君も飛ばしますから」
「了解 詳細はあとで」
神山は時計を見ると10時30分になっていた
「そうしたら 銀座で田中君と会って 決めていくのでお願いします」
神山はみなに挨拶をして現場を後にした

銀座の事務所に行くと田中が墨だしをしていた
「やあ おはよう」
「おはようございます では早速行きますか」
「ちょっとまってて 部屋に行ってくるから ごめんね」
「はい 待っています」
神山は催事課の部屋に入り田所のPCスキルを市川に聞いた
「ありがとさん で どうだった」
「ええ 僕より早いです」
市川が元気なく答えた 奥村が
「凄いよ 田所さん 市川が完全に負けた」
「ええ?」
「文字入力をしたら 市川より全然早いんだ ブラインドタッチだって」
「はぁ」
「エクセルやワードも完璧 なあ市川」
「はい 僕の出る幕じゃ無かったです 恥をかきました
先日 そう言ってくれれば わざわざ本社人事で恥じかかなかったのに」
「それで さっきから落ち込んでいるんだ」
「おう 良い経験したな がんばれ」
「あっ倉さん おはようございます」
「おう 久しぶりだな 午前中は」
「ええ 次長室で決めないといけない事が有りまして」
「うん 楽しみだな」
「はい」
神山は挨拶を終えると 次長室に戻った
「神山さん これ内藤からです」
田中は内藤から預かった現金を神山に渡した
少し厚過ぎるので中を覗いたら500万円入っていた
直ぐに部屋に置いてあるバッグを持って その中にしまい内藤に電話した
「神山です ありがとうございます こんなに頂いて」
「いや 少なくて済みません 車もと思っていたんですが
西野理事に電話をしたら もう手配済みだったんで すみません
それと 昨日の御殿場の地ビールの話 まとまりました
椿さん喜んでいましたよ 御殿場アウトレットの時は 限定も
造ったりとか 日本酒を考えていたり こちらも助かりました
TVCMも行います それも決定です ありがとうございます」
神山は 今後そう言った部分の仕事も行うようになると考えていた
「幸三ちゃん わるい 図面の変更はこうなりました」
田中が見ている時に洋子に電話をして ここに来るよう伝えた
「完璧ですね 私も角のところはこの方が仕事しやすいです」
「後ね 田所君が来るから それから手直しがあります」
「しかし よく朝の時間でここまで詰めましたね」
「うん 孝ちゃんの力だよ」
「うん でもやっぱり神山さんが早いんですよ」
「まあ 昨日眺めていたからね 着替え室の照明が無いのであれって
そこからさ じっくり見ていると うん ここはこう
うん ここはこうやって とか 結局1時間以上にらめっこさ」
「やっぱ そこまでしないと 分らないですよね」
「うん そうだね ところでこの図面でだと 受け付けカウンターが
前に出ている感じだけど?」
「ええ プロジェクターの収納場所が無いんです 
なので受付カウンターの後ろに置けば 応接セットに余裕が
出来ます 窓に置くと後ろが窮屈になるんで それと 
受け付けカウンターの前は 2000ありますから丁度 良い感じに
おさまります」
そこに洋子が入ってきた
「おはようございます 遅くなってすみません」
「やあ 昨日はすみません 翔は迷惑掛けませんでしたか」
「ええ 早い時間で帰りました」
「どうもありがとう で 早速ですみませんね」
神山は経緯を説明して カウンターの位置を確認した
「ええ 後ろは問題ないですわ 前も充分だと思います」
「それではこの位置で進めます 黒の絨毯が丁度ありました
だけど 後ろに持っていくと 足りなくなりひやひやでした」
「うんよかった あと洋子さん この造り付けだけど
目線より下は 引き出しにするかという事です
結構奥行きがあって 下の棚だとしゃがんでも奥がよく見えない
状態になります そこで 小物を入れる処だけ引き出しで
後は 自由棚にします どうですか?」
「小物を入れる所は 食器とか限られてきます ですから2列くらいを
目線から下は引き出しにして頂くと便利だと思います
それと 引出しは 高さが30cmあると 結構使いやすいかと
目線の近くは15cm位で 下は深いほうがいいですね」
「うん そうだね では幸三ちゃん 15cmを2段その下20cmを1段
下が30cmを2段でどうだろう?」
「ええ いいですよ 天板が1200だから大丈夫ですよ」
「そうしたら 15cm2つ 23cm2つ で残りを1200から計算して
どのくらいの深さになりますか」
「ええ 内寸で280です」
「そうしてください そのほうが使いやすそうです いいですか?」
「うん 田所さんが使いやすいほうがいい」
「はい で上は自由棚ででいいですね」
「うん それと 冷蔵庫は忘れていたのでここにしたんだ」
洋子に図面でしめした 洋子は
「ここにも扉はつくんですよね?」
「ええ 大丈夫です付きます」
「私 さきほどカタログを貰ったんです そうしたら薄型があるので
それを使えばわざわざ 奥行きを出さなくてもいいかなと思いました」 
神山はカタログをみると 300リッターでも内寸550あれば
大丈夫な冷蔵庫が有った そうすると 着替えを掛けておく
クルーゼット同じ出で仕上がる事がわかった
「どうだろう 幸三ちゃん この今出している墨でいけるんじゃない」
「そうですね 冷蔵庫自体も薄いですし 扉側はふかさずに扉で
良い訳ですから そうしましょう カタログをもらっていいですか?」
「ええ どうぞ」
「1800より上は戸袋でいいですか?」
「普通だから それでいいよ」
「棚板は不要でいいですね」
「うん 半分は固定棚を付けておいて」
「では 交互につけましょうか」
「うん そうしてください」
「それと 神山さんの作業台なんですが
図面にも書きましたが ロールスクリーンが一番いいと思いました」
「うん ここは感心しました 軽くて簡単な操作だし 以上です」
「うん ありがとう これで28日を待つばかりだ」
「27日には渡せるんですが 28日朝でいいですね
「うん27日は御殿場アウトレットかな 26日から内野君も行く」
「ええ お聞きしました」
「そうしたら ここの冷蔵庫の列だけ未定で後は進んでください
冷蔵庫の高さ次第だけど その上に電子レンジを置こう
このカタログだと H1350って書いてあるから じか置きすれば
上は充分空くし 使い勝手がよくなると思う」
「そうですね わざわざ棚板で仕切ることないですよ」
「では これでいい 田所さん」
「はい お願いします 期待しているわ 楽しみよ」
「それでは 僕はこれで進めます 高橋にも伝えます 会社に戻ります」
「うん ちょっとコピーをとる」
神山は催事課でコピーをとって田中に渡した
「先ほどのコピーは孝ちゃんにも渡した だから電話で通じるはずだよ」
「ありがとうございます では会社に戻って進めます 床見本ですが
今夜 そうですね 6時頃上原に届きますので 決定してください」
「わかった お願いしますね」
「はい それでは 失礼します」
田中はお辞儀をして出て行った

洋子が
「そろそろ お昼ですよ どこに行きますか」
今日の洋子は辞令を貰った時のようにスーツ姿だった
「うん ちょっと催事課で仕事をする 部屋に来て待っていて下さい」
「は~い お供します」
神山と洋子が部屋に戻ると 市川が
「部長 先ほどは大変失礼しました」
「いいのよ それだけ皆さんが心配して下さっている訳だから」
「ありがとうございます」
神山は席に戻ろうとした時奥村が 会議テーブルに座って 
「山ちゃん 昨夜 副社長と一緒だった」
「ええ 翔も一緒でしたが 何か?」
「あっ 田所さん こんにちわ」
「こんにちわ 昨夜は済みませんでした お忙しい所」
「いえ ところで 今夜は何の用件だか分りますか?」
洋子は首を振って 
「全然 見当が付きませんわ」
そこへ店内から杉田が戻ってきた 奥村が
「翔 昨夜 副社長と一緒だろ」
杉田は 
「あっ 田所部長 いらっしゃいませ 昨日はありがとうございます」
「なあ」
「ええ 荷物を運ぶ所までは それでだけです なにか?」
「そうか」
「では」
杉田は そう言って自分の席に戻った 
「山ちゃんも知らない? どんな事か?」
「ええ 翔を食べさせましたから そこまでは」
「う~ん なんだろう 今夜 6時に呼ばれたんだ
山ちゃん 副社長とやっちゃったんだってな その事だろうと
思っているんだけど 早く謝ったほうが良かったかな う~ん」
「そう やっちゃったんだって と言われても すんだ事だから
しょうがないじゃないですか 許してくれたんだし」
「田所さん 本当に知らないですよね」
「ええ お電話でお伝えした事しか それに忘れました
副社長の秘書では在りませんから」
洋子はそう言って杉田のところへ行き
「良かったわ 120点よ」
「ありがとうございます 守りますよ 左遷嫌だから」
「分ったわ その調子よ いい」
「はい」
「それで 小谷さんの件 いい」
「あっ もう聞いて頂けたんですか ありがとうございます」
「うん 食べ物で好き嫌いはありません お魚は大好きですって 貴方は」
「大好きです」
「良かったわ 音楽は クラッシック音楽が好きと言っていたわ」
「そうか 余り聞かないな 眠ったくなるんですよ 小学校の時から」 
「だったら 眠くならない方法を聞いたら」
「あっ そうですね わかりました」
「あと 大事な事よ 今誰ともお付き合いはしていませんって」
「ありがとうございます ほんと ありがとうございます」
「それで 杉田君の事良く思っているけど
女の私から電話をするのが恥ずかしいって 言っていたわ
だから 電話をしてあげれば ねぇ」
「はい 分りました」
「今時 そんな考えを持っている子は少ないわよ 大切にねぇ」
「はい」







.

2012年12月9日日曜日

鈴蘭 1 - 22 Vol. 1



4月20日 月曜日 夜 
「やあ 遅くなって ごめんごめん」
「大丈夫よ 高橋さんと色々とお話をしていたから」
「やあ ようやくお出まし」
「うん すんなり出られなくて」
「何方と一緒だったの」
「うん うちの副社長だよ」
「副社長がなんで 神山さんと?」
神山はお昼 副社長室で起きた出来事を説明した
「あ~ 私も食べたいな 大好きよ~」
「わかった 電話で聞いてみる」
神山は駅前寿司屋に電話をしてまだ残っているか聞いた
大将はまだ大丈夫と言った すぐ行くので残して欲しいと伝えた 
「大丈夫だよ まだ残っているって」
「わぁ嬉しい」
「ねぇ孝ちゃん 今日の終わりって何時頃になる?」
「うん この調子だと あと1時間か2時間でしょう」
「そしたらさ 待っているよ」
「でもいいの?」
「鯖寿司が待っているよ」
「分った 鯖寿司を食べに行く」
神山は祥子に会社で購入した珊瑚の砂などを見せ棚板に実際に飾ってみた
周りに祥子のバッグや自分のバッグを置いて感じを掴んでもらった
「ふぁ 素敵 綺麗でこの砂が珊瑚だから奥深い色を出しているわ」
高橋も近寄ってみて綺麗だと言った
「そうすると 7月に入るとこれ使える?」
「うん 7月8月は白い貝殻を置いて 9月、10月は流木を考えた
余り季節感は出さないけど何処かで 例えば色とか形とかで
つながるように関連付けとけば 見る人も違和感無く観られるよ
肝心なのは これが主役じゃないから そこが難しい」
「そうですね 先ほど副社長があのルーバーをみて
でしゃばっていなく優しい光を出している いいな と言われてましたよ」
「副社長のお墨付き 凄いわ」
「まあ そんなとこです さあ片付けましょう」
「は~い でもこのグラス高かったでしょ」
「うん 一個5000円だったよ」
「え~ そんな出ないわ」
「そこで 領収書は5000円で これだけでいいよ」
神山は鈴やの領収書を渡した
「後は?この珊瑚とか」
「僕からのプレゼントさ 開店お祝いさ」
「いいの ほんとうに?」
「いいさ」
「久保さん もう直ぐ理事ですよ 大丈夫ですよ 今だって
着ているもの違うでしょ 靴も」
「あっ そうだ なんか違うなって思っていたの 格好良くなったわ
前より 素敵 そうしたらお言葉に甘えます」
「うん いつ分ってもらえるかと思っていたんだが 残念でした」
「山ちゃん いいじゃない それだけ着ている物じゃなく中味で
判断してくれている訳だから」
「うん 言う通りだ では孝ちゃん お先に」
神山と祥子は片付けを終え店を出て寿司屋に入った

女将が奥を案内し何も言わず戻った
「ねぇ 次長になるとどうなの?」
「どうなのって?」
「うん 毎日こうやって逢えなくなる?」
「うん 分らないな ほんと しかし分っているのは
今後 構想範囲が広くなる事は確かだ それに毎日上原とはどうかな?」
「そうよね 御殿場アウトレットが中心になってくるもんな 寂しいな」
「そんなこと言ったて 僕だって今のままで仕事を続けられれば
安定しているし 仕事しやすいよ しかしみんなにある程度認められ
乗り越えなければ 負けだと思うんだ」
「そうよね その通りだわ だけどあなた たった3週間ちょとで
凄く環境が変って 私心配しているの だって逢ってから1週間で
部長でしょ 来月は理事 それも副社長直轄でしょ 
なんか 私 だんだんと寂しくなるの 特に今日秘書の方と来られた時
私の手元から離れていくような不安が湧いてきたわ」
「それは表面を見ていれば そう映るよ しかし 今回これから
やって行かなければいけない事は 昨日も話したように
彼女を前面に出し 商談相手に威力をぶつけて行かないと 負けなんだ」
「そうね 昨夜のこと 今日もちょっと考えていたの
当たり前よね女性にとっては 知らない間に媚びを作って商談したり
女を武器にしているのよね」
女将が 鮮魚の盛り合わせとしめ鯖 ビールを運んできた
頼んだ事が無い あぶり焼きや照り焼きも来た しかし量が多かったので
「こんな食べられないよ」
「はい アルタの高橋様が後少しで来られますと電話がありまして
それで毎回同じものだと如何な物かと思いまして作りました」
「そうですよね 普段頂かないもん」
神山と祥子はあぶり焼きや照り焼きを食べた 普段余り食べないので
美味しかった 祥子も照り焼きを食べ喜んでいた
「どう 美味しい?」
「ええ ここの新鮮だから凄く美味しいわ」
「このしめ鯖を食べたら 驚くよ」
「頂きます」
祥子は切り身を摘んで口に運び食べてみると
「ふぁ~ なにこれ食べた事ないわ 油も美味しいし 幸せよ」
「ははは みな美味しい物を食べると幸せになるんだ」
「だってあなただって同じでしょ」
「だから 幸せだよ」
そう言っていると女将がキスや野菜の天ぷらを運んできた
おまけにゲソのから揚げも付いて来た
「ふぁー美味しそう 観ているだけでおなかが一杯よ」
丁度高橋が店に入ってきた 女将や大将に挨拶をして
「済みません遅くなって」
「えっ 早くなってでしょ ねぇ久保さん」
「お疲れ様です 美味しいですよ」
女将がビールとお野菜の天ぷらを持ってきた 神山が
「和風居酒屋兼寿司屋みたいになっちゃったね」
女将はニコニコして戻って ビールを運んできた
「では 今夜は副社長に誉められたで乾杯」
「孝ちゃん そうやって領収書に書くんだ」
「うん でないと理由がつかないじゃん」
「そうだね」
「ところで どうでした 時田さんは」
「うん 涙流して喜んでいた 食べながら美味しいって言いながら」
「そうだよな 実は以前ゴルフの帰りに寿司屋に寄ったんですよ
そこでしめ鯖があったので 大好きだと言われたので注文したんです
しかし一口食べて もう箸を進めなくなったんです 不味かったんですね」
「そんなことが有ったんだ」
「私だってこんなに美味しい しめ鯖ははじめてよ」
「そうでしょ だから魚好きにとってはお宝を頂いているみたいですね」
「そうだよね 僕自身あまりしめ鯖しめ鯖と騒がないほうなんですよ
たまたま大将に聞いたら逸品があるよって言われたから食べてみたんです」
「普段言わないですよね よっぽど好きでないと」
神山ら3人はおしゃべりしながら天ぷらや魚を食べていった


「どうだね 杉田君ここは 居心地がいいだろう?」
「はい やっぱり偉くなって こう言う処に来たいです」
「まあ 頑張れば評価はあとから付いてくる 山ちゃんも言っていただろ」
「はい 頑張ります」
時田と洋子 杉田はこじんまりした小料理屋に来ていた
お客は一日5組までしか居れず営業している
十二畳ほど部屋は月見窓があり外には桜の古木が覗いた
ほのかな月明かりが照らし静かな夜だった
ここは時田の隠れ家で知っている人間は運転手だけだった
この離れは部屋の外に化粧室がありお会計もその離れの玄関で
行われ そこから車に乗れるようになっている
殆どと言っていいほど他の客と鉢合わせしないようお店でも
気を配っている 
注文聞きは最初の飲み物のことだけで後は会席のように
お客の食べる早さに会わせ出てくる
先ほどお銚子が運ばれた時 お酒が早く無くなるので 時田が
「若いのが居るから 多めに持ってきてくれ」
と頼んだくらいで女将は滅多に部屋に来ない
無くなったら持ってくるまで待っていなければいけなかった
杉田も始めての事なので緊張をし お酒が入っているのか分らなかったが
確実に躰に廻っていて 自身が気が付いていなかった
「副社長のように偉くなると 何時もこう言う処来れますか」
「うん 来れる」
「頑張ります すみません トイレに行って来ます」
「うん 部屋を出て右側だ」
「はい 分りました」

杉田が出て行くと時田が
「いい 芯が強い子だ しかし自分でも言っているように
少し 甘えん坊だな どうかな洋子 上を付けるんではなく
下を付けては」
「ええ 私もそう思います 神山さんも上野の時は一番下でした
成績はそれなりですが 銀座に来て 部下を持って急に
ほんと急に成長しました 杉田君も部下を付ければ あのいい性格を
もっと前面に出す事ができると思います くすぶっています」
「そうだな あの子は燻っているな 大爆発をさせよう」
「そうですね ある程度成長するまで 奥山さんはあそこに
居るのが条件ですね」
「そうだな うん 30日に間に合うか 誰か居ないか」
「ええ 一人美術の若い男の子が居ます
例の山城さんが亡くなって募集をかけたとき応募してきた人なんですが
池上さんが 上野から神山さんを移動させてので 
配属を美術にさせられて 本人は最初は辞めると言っていましたが
今年に入って 腕を上げてきていると聞きます」
「わかった 携帯で 秘書室長に電話をしてくれ」
「はい しかし携帯番号は存じ上げませんが、、、」
「おお そうだった 洋子はワシの秘書ではなかった ごめんごめん」
時田は手帳を出し 番号を読み上げ洋子に掛けてもらい
「おお ワシじゃ 遅くに悪いが」
「はい こんばんわ 中村です」
「おお 銀座の美術で若い男の子で屋敷って居るんだ」
「はい」
「その子を銀座店の催事課に移す」
「はい 分りました」
「それでだ 池上君にはこれから話す 人事関係は任せた
山ちゃんと同じ30日だ わかったっな」
「はい 30日 9時30分 銀座店人事 命課で宜しいですね」
「うん」
「職級は」
「確か入社2年だから 主任は早い そのままでいい」
「はい 分りました 早速明日手配します」
「うん 頼んだぞ 極秘じゃ 美術の部長にはワシから伝える」
「はい 分りました」
電話を切ると 先ほどのように 洋子に番号を伝えて
「ワシじゃが」
「こんばんわ 副社長 どうされました」
「うん 実は催事課に若いのを入れる」
「えっ?」
「うん 催事課も山ちゃんが出て大変だろう」
「ええ」
「そこでだ 例の山城君が亡くなった時募集をした屋敷君が居るな」
「はい 美術です」
「その子を催事課に入れようと言う事さ」
「大変ありがとうございます 私もどうしたらいいか困っていました
屋敷君も昨年は落ち込んでいたんですが 今は腕を上げてきています
しかし 美術が出しますかね?」
「大丈夫だ ワシが部長に話しする 明日 君も同席してくれ いいね」
「はい 明日は出かけませんので店に居ます」
「わかった なるだけ早く連絡する」
「はい ありがとうございます」 
電話を切って暫くすると 杉田が戻ってきた
「遅かったじゃない 大丈夫?」
「はい 大丈夫です それよりここの敷地は広いですね」 
「うん?」
「ええおトイレが無いんですよ 右側に それでそのまま進んだら
外に出たんです きっとその先に有るんだろうと思って
探したんですが 副社長済みません 間に合わないので
林の中で 用をたしました もっと余裕をもって探せば
こんな事に ならなかったんですが 済みません」
「おお そうだった ごめんごめん ワシが悪かった この部屋は
出て左側 そこにある ごめんワシが悪かった」
「そうだったんですか でも広いです ここの敷地は
この部屋に帰ってくるのも不安でした」
「うん」
「ねぇ杉田君 交換条件しない?」
「なんですか?」
「実はね ここのお店 副社長の2号さんがいらっしゃるの 
勿論 奥様はご存知よ だからこの事を誰かに話してもらっては困るの
貴方の口が堅いことは良く知っているわ だから知っているのは
ここに居る3人だけなの わかる?」
「はい」
「そこで 黙っていてくれたら 貴方に凄いプレゼントがあるの どう?」
「あの~ 小谷さん以外にですか?」
「そうよ どう 喋らない自信ある?」
「ええ できます」
「よし ワシはしっかり聞いたぞ 副社長からの命令だ
ここに3人で来た事 2号のこと 全部忘れてくれ いいな」
「はい 分りました 命令ですね 絶対に喋りません」
「おお 頼もしいな」
「偉くなると2号さんも持てるんですか?」
「おおそうじゃ だから早く偉くなって 2号でも3号でも持ちなさい
もし 誰かがここの事や2号の話が出たときは君は左遷だ いいか」
「はい 分りました」
「よし それでは綺麗に片付け帰るか」
「副社長 今夜はここではないんですか」
「ははは ワシも 君のようにもてて困っている 分るな」
「はい」
そう言って 呑む物は呑んで 片付け始めた
時田たち3人は玄関を出て 車に乗った 杉田はどこを走っているのか
分らなかったが 人に話すなという事なので覚えなかった
人通りが多くなり千駄ヶ谷の駅に着いた
杉田と洋子はここで降りて 洋子は車に乗って杉田は駅の改札に向かった  


神山達3人は野菜やキスの天ぷらも普段余り食べていないので箸が動いた
「山ちゃん アルタの常務でしょ おめでとうございます 遅れました」
「えっ常務?」
「ええ久保さんも驚かれたでしょう 山ちゃん常務ですよ」
「ねぇどうなっているの?」
「うん 今日昼にある出来事があってさ それでです」
「但し書きがあるんです 意匠担当常務です これには訳がありまして
常務以上は株主総会で決められます しかし山ちゃんのこの担当が付くと
社長が独断で決める事が出来るんです だから名簿には載りますが
そう言う部分で正式でないわけです しかしお給料は
常務のお給料が出ますよ 月に確か200万円だったと思います
勿論 税込み金額です その他に自由に使えるお金が自由費がありまして
毎月お給料と同額 200万円出ます これは本当に自由に使えまして
レシートもいらない性格のお金です ただ常務以上になると 
会社経費で何かを買う事が出来ないんです 例えば僕らが  
PCを購入する場合 会社経費で購入なんですが 山ちゃんは
その自由費で購入しないといけないんです あとタクシーチケットも
山ちゃんが用意しなければいけなくなります だから結構 
自腹切る人も多いですよ」
「へぇ~ そんなに有っても」
「ええ だってゴルフに行けば10万はするでしょ4人で そのあと
車代としてタクシーチケットを使ったら そんなもんじゃ済まないでしょ」
「そうだね その自由費は誰が貰うの?」
「ええ 本社給与で 秘書の方が受け取る原則になっています
だから山ちゃんの秘書の方が受け取ります
秘書ですがアルタからは付きません その代わり鈴やさんの
秘書の方がうちの秘書も兼ねると言う事です」
「うんその話は聞いた」
「担当部長で役職は担当常務 神山 龍巳 専属秘書 です
お給料は 確か100万円だったと思います」
「彼女 喜ぶだろうな なんせ 化粧品も全部買え変えたし
結構お金掛かるもんな」
「そうよ お金掛かるわ だってこれからお付き合いする人たちって
ある程度のところで会食されるわけだから 幾らあっても足りないわよ」
「ええ 久保さんが言われる通りですが 今回こちらでのポジションは
余り相手を意識しない所なんです はっきり言いますと
接待は殆ど無いと思われます ただなんだこの人間はと 言われないよう
色々な所へ行って頂き 見聞を広め それで仕事を納めていく
例えば ワインでもピンキリがありますが ある程度 上級のワインなど
口に含んで 会話が成り立つ そう言う部分があると思います
実際の仕事は仕事でありますが 先方と上手く話し優位に纏めていく
事も重要な仕事です 鈴やさんで食堂を出されますよね」
「早いね 情報が」
「ええ 多分私が担当になります で そのデザインコンセプトなど
先方と話していく間に その食べ歩きですかね 情報が必要に
なってきて 生かされる訳なんです ですから自由費があるようで 
無いと思いますよ 仲間と一緒に試食をしたり 全部出す訳ですから
直ぐに飛んじゃうじゃないかなと思っています」
「そうだね こうやっていつも同じものを同じ人と食べるわけには
いかないし 大変だね」
「そうですね だけど内藤が助けてくれますよ 大丈夫ですよ」
「一つ思っている事があるんだ」 
「何ですか」
「うん 絶対内緒だよ 実はゴテンバ グランド インの地ビールが
あるでしょ その地ビールを御殿場アウトレットで展開するわけさ
そのとき アルタが入って宣伝とかをするわけ 権利を取るわけ
そうすると 他のお店では相当のロイヤリティーを払うわけです
どう いけるでしょ」
「うん 素晴らしい 内藤に話すね いいでしょ」
そう言い高橋は内藤に電話した 色々と話 頷き終わった
「内藤社長 大喜びだよ そうすれば 椿さんのところへ5%
行っても うちはぜんぜん儲かる話しだって 手土産が
一杯過ぎて大変じゃない」
「うん 地ビールだけではなく 地酒も考えたんだけど
そこまで手が廻るか分らないからね 目の前にあるところからと思ってさ」
「神山さん 素晴らしいわ 伊達に御殿場に行っていないのね」
「うん というよりやはり美味しい物を食べたら記憶に残るでしょ
それを又 食べたいから そこに行く訳だから活性化に繋がるよね」
「そうですね でもこのしめ鯖は これでお終い そこですよね」
「うん そうしたら横浜の崎陽軒のように 真空パックが出来る物とか
しかし 真空パックは味が落ちるしね~ 難しいね」
高橋が 
「どうも済みません 硬い話しになちゃって」
「でもたまにはいいでしょ」
「私も勉強なりました」
3人それぞれ勉強したみたいだった 
「山ちゃん 久保さん 久しぶりに早く帰ります」
神山達は大将に挨拶をして 寿司屋で別れた

神山は祥子に
「今日はこのまま帰ろう」
「そうね 私 明日会社終ったらそのまま名古屋に帰るから
あんまり遅くまで遊べなかったの だから良かったわ」
「そうだよな 多少の仕度もあるだろうし」
「ええ」
そう言ってまだ肌寒い夜道を歩いた
朝も静かだが夜は更に静かだった
部屋に戻ると祥子が 抱きついて来た
「ねぇ そのシャツも戦略の一環?」
「まあそうだね どうして?」
「いえ 凄くお似合いよ Tシャツも素敵だけど
このシャツ着ると少し偉くなったみたい」
「ありがとう うれしいよ」
「そうしたら ちょっと着替えてくるよ」
「は~い 待ってます」
神山は部屋に戻ると着替えをして FAXを見ると田中から
【神山部長 こんばんわ 今日はありがとうございました
大変助かりました 明日午前中に次長室で詳細について
打ち合わせをさせて頂ければ幸いです
尚 今日決定した図面も送らせて頂きました
詳細はPCのメールに添付しました
コピーで出して頂ければ わかると思います アルタ 田中】
神山は後で見る事にして祥子の部屋に入った
祥子は着替えを済ませルームウエア姿で神山を待っていた
神山は祥子を抱き寄せると
「ごめんなさい まだ だめなの ほんとごめんんさい」
「うん 仕方ないよ 休み無しで働いているから体調が崩れたんだろ」
「ほんとごめんなさい」
「わかったよ」
「ねぇ 久しぶりに バーボンでも呑もうか」
「おお そうだバーボンがあったね 呑もう」
「さっき高橋さんも言っていたけど 毎日こうやって過ごせないのね」
「ハハハ しかし一時でしょ それに1ヶ月も会えない訳でないし
考えすぎだよ 祥子だってこれから忙しくなるし 御殿場の
話が進めば ここに居る時間すくないだろ」
「そうね 御殿場アウトレットは何時から動くの?」
「うん アルタで30日に辞令が交付される それから打ち合わせが
始まって そうだな 祥子達は実際に動くのは来年だと思うけどね」
「そうなんだ」
「うん 敷地の話も聞いていないし まだぜんぜん分らないよ 僕は」
祥子がバーボンを作ってくれたので乾杯した
「美味しいわ だけど不安があるの」
「なに」
「うん 美味しいの色々なところで食べると 
私の食べて貰えなくなるような気がしてるの」 
「そんな事は無いでしょ 普通に食べるよ」
「ほんと 食べてくれる?」
「ああ 大丈夫だよ 心配しなくていいよ それはさ どこどこのが
美味しいと言ったて 祥子と違うわけでしょ やはり祥子は祥子でしょ」
「ありがとう 信じていい?」
「うん 勿論だよ」
バーボンに合うのはチーズと言って チーズを用意した
「さっきの 飾り物の珊瑚だけどきれいね どこで買って来たの?」
「うちの屋上にある園芸だよ」
「今度 7月に入ったら 使ってみようかなって思ったの」
「そうだね 綺麗だよ 道路側の棚に飾るとか」
「そうなの あちら側を意識しようと考えたの さっき」
「うん いいじゃん あそこに少し余分に買ってあるから
余ったら 持っていって試してみればいいよ」
「うん そうしてみる 助かったわ」
「そうだ 一箇所だけ 銀座とまっるっきり一緒に出来ないかな
道路側の棚板一枚 いや二枚を銀座とまるっきり一緒に飾り陳列する訳
どう言うことかと言うと イメージを一緒にしておくと親近感が沸く
上原で見て 銀座で見るでしょ そうすると どっかで見たなって
思うでしょ 店舗だって同じ理由だよ あそこで見て あっここにもある
私の町にもあるって だからイメージの統一は大切なんだ」 
「そうよね わかったわ どこがいいか考えてみる」
神山と祥子は楽しく呑んだがそろそろ24時になるので
「そろそろ 帰るよ 12時近いし 明日の仕度もあるでしょ」
「ええ ほんとごめんなさい 朝は起こすわ」
「うん じゃあ おやすみ」
二人は軽くキスをした 神山は部屋に戻って 明日の資料を確認した
アルタの田中からのメールを開いた
今日 打ち合わせした事が書かれていた
よく見てみると 記入もれのところがあったので チェックした 
チェックしていくと書き込みをしたくなったので PCの図面を
プリンターで出力した やはり大きいと分りやすいし見やすかった
図面に書き込みやチェックをしていたら25時になった
今日一日 地球がひっくり返ったようで頭の中がごちゃごちゃだった 
神山は明日使う資料を鞄に詰め ベッドにもぐった

4月21日 火曜日 快晴
神山は6時30分に目覚まし時計で起きた
先日横浜から持ってきて全然使っていなかった
目を覚ました神山は様子が可笑しいと思ったが 上原にスイッチが入った
祥子が起こしに来るのに時間が有ったので
昨日チェックした次長室の図面をもう一度確認し 落ち度が無いので
シャワーを浴びると 熱い湯が躰にしみた
何か忘れていると考えたが 分らないので冷蔵庫からビールを出した
気が付きビールを入れておく冷蔵庫を忘れていた 神山は 冷蔵庫を
造り付けの棚の中に入れてしまおうと考えた 
そのことも図面に書き入れた
すべて見終わると7時過ぎになっていた

今日のスケジュールを確認すると
昨日 田所洋子のPCスキルを市川に頼んだが時間が
無いので出来なかった これを是非行ってもらう
後は市川のスケジュール管理がどこまで出来ているか確認
神山は大体こんなもんだろうと思った
一通り仕度が出来たが シャツの洗濯をどうするか
Tシャツを着ながら思った どうせ今は出かける機会が少ないから
このままで すこし活動費や自由費が入ったら買い足して
揃えていけばいいと思った とりあえずシャツをバッグに入れた
部屋のドアホンが鳴ったので出てみると祥子だった
「おはよ 早いわね」
「うん 気が張っているのかな」
「朝ご飯出来ていますよ」
「そっちも早いじゃん」
「ええ 仕度が有ったから早く起きたの そしたら余り無かったわ」
「うん直ぐ行く待ってて」
神山は祥子の部屋に入ると 昨日のように和食を用意してくれていた
「おお 和食だ 嬉しいね朝からこんな豪勢で」
「何をそんなに誉めているの?だめよ なにも出ませんからね ふふふ」
神山は冷蔵庫からビールをだしテラスに向かい呑んだ
「やっぱり朝は太陽が見えないと 朝らしくないね」
「そうね 特に今朝のように快晴だと気分が違うわね」
「うん 僕は起きても 太陽が見えないから つまらないしね」
「さあ 頂きましょう こっちに来て」
祥子は神山を呼びほほに軽くキスをした
「私もビール呑もおっと」
祥子は休み無しで働き娘の友子ちゃんと会える喜びで一杯だった
実家に僅か一日しか居られないがそれでも嬉しいのだろう





.

2012年12月4日火曜日

青葉 7 - 21 Vol. 4



「はい 行ってきます」
そう言い 部屋を出て本社前に行くと まだ時間があるのに
時田と田所が待っていた 副社長の車も準備して待機していた
翔は田所を発見したので
「先ほどは失礼致しました これから先輩のお手伝いです」
そう言って過ぎ去ろうとしたが 神山が田所の脇にいる人に
何か言い 挨拶をしているみたいだった
田所にも何かを言っている なんだろうと気になったがまあ先輩にお任せ
の気分でいると 神山はちょとこいと言っているので傍に寄った
「翔 この方をご存知か」
翔はどこかで見た事は歩けど 首を傾げていて
はっとなり
「時田副社長 催事課装飾担当係長 杉田 翔 です」
杉田は持っていた荷物を落としてしまった
躰が動かず どうにもならなかった
「おお 杉田君は君か」
「はい」
杉田は実際に会った事のない偉い人から声を掛けられたのは
入社以来だった 
「今日は ご苦労さん 先輩の大事な荷物 落としているぞ」
「はい 分りました」
杉田はこちこちの躰を何とか動かした 荷物を持ったので
「では 翔 いくぞ では先に行きます」
「おお 見失わないようゆっくりな ははは」
「はい 分りました」
杉田と神山はタクシーを拾い 行き先を告げ 後ろから
一台車が付いて来るので ゆっくり走るよう言った
「先輩 なんですか 副社長と」
「美味しいお魚が食べたいんだと」
「それはそうですが そこでなんで先輩なんですか?」
「まあ 行けば分るよ」
杉田は訳が分らなかったが 店長じゃなく副社長と一緒なんて
どうなっているんだ と翔は考えたが分らなかった

「洋子 あの杉田君も面白い子だな」
「ええ 個性が強く 芯がしっかりしています 確か同期では
トップ3に入っていると思います」
「ほう 山ちゃんの二代目か いや倉さんの三代目だな
催事課は良い人材を 育てている 奥村君は確か全店同期で一番だな」
「ええ」
「やはり 上がよくないと いい人材は育たないのかな?」
「そうですね 上が良いと見習いますね 催事課がいい例ではないですか」
「そうすると 奥村君は寂しいだろうな この人事で」
「ええ 多分」
「まあ 仕方ないな 山ちゃんは催事課の器では小さいな」
「ええ 本社企画でももてあますでしょう きっと」
「ほう そんなに切れるか」 
「切れ味抜群ではないです しかしピンポイントで決定が早く
その決定した事は殆ど間違っていない でしょうか」
「うん」
「やはり 柔軟な考えの持ち主です これが駄目だったら こうする
その時の決断力の回転の速さですね」
「うん どうだ 洋子 男か」
「はい 催事課はみな サムライですね2代目倉元ですかね」
「うん あす奥村君に本当の所 聞いて見るか 聞いてもどうにもならんか」
「実際は杉田さんより若い方が良いかもしれませんし」
「そうだな 杉田君はいくつだ」
「たしか 35です」
「ちょうど真中のパイプがなくなったんだな 聞いてみよう」

その頃 奥村と倉元が話していた
「しかし 翔が行って邪魔にならないですかね」
「うん 洋子ちゃんも一緒だって」
「しかし あいつ あがって何も話せないじゃないかな
時田さんの事知っているだろうな 挨拶無しなんてしなければいいが」
「おう 大丈夫だろう」
「しかし山ちゃん なんでそんなにカチンと来たんだろう」
「おう 店長がめし無しで待っているのを 洋子ちゃんから聞く
そこで 山ちゃんが気を利かせた 美味しいから鯖の切り身 
そしてビールを用意 それで冷たい美味しい魚でクーラーBOX
そこで 又注意 最後は洋子ちゃんが出てきて お終い
結局 山ちゃんの作戦勝だ」
「うん そんな感じですね さっきの倉さんの電話と照らし合わせると」
「そこで奥ちゃん 明日にでもなんか用件作って 今夜を含め
あやまっておいたほうがいいぞ まあ催事課はサムライだからな」
「そうですね 山ちゃんの件言っておきます」

お客さん着きましたよ とどこからか声が聞こえた
「先輩 起きてください 着きましたよ」
神山は後ろを見るとちゃんと付いて来てくれた
翔が先に出て 神山はチケットを渡した
後ろの車も二人が降りて こちらに来た
車は どこかに止まっているみたいだ
時田が
「ここか ニーナ・ニーナのアンテナショップは」
「はいそうです どうぞ中にお入りください」
時田は進められて中に入ると アルタの高橋が
「副社長 ご無沙汰しています こんばんわ」
「おお 高橋君じゃないか 元気かね」
「はい まあ何とか 今夜はなにか?」
「うん 美味しいの食べに来た」
神山がクーラーBOXをさした
「ここの現場は 順調ですよ なにしろ山ちゃんがいるから助かります」
「うん ここでも山ちゃんか」
「えっ」
高橋はなにか悪い事でも言ったかと思って 神山を見たが
首を斜めにして わからないよと 言っているように見えた
「いや 山ちゃんは現代のスーパーマンだ なぁ 山ちゃん」
そう言って後ろを振り向いたので 
「ありがとうございます これからは透視の目を付けます」
時田 洋子 神山 3人 訳がわかっているものが笑った 
「高橋君 なかなか良く出来ているね 山ちゃんのデザインか」
「違います ベースはニーナ・ニーナさんで味付けなど山ちゃんです」
「うん あそこの照明なんかなかなかいいぞ ですぎずしかし綺麗だな」
「あれは山ちゃんです」
「ほう いいセンスを持っている」
「午前中次長室の立ち上げで基礎とか作ったんですが
全て山ちゃんのアイデアとデザインになりました 
28日に引渡しですから楽しみにしてください」
「おお そうか28日だな わかった 覚えておく
そんなに凄いか」
「それもお楽しみです あっ田所さんも内緒ですよ」
「はい 分りました」
「ところで 孝ちゃん うちの若いの初めてだよね」
「ええ」
「神山先輩の部下で 杉田翔と申します 宜しくお願いします」
「私は高橋と申します 何時も神山さんに助けて頂いています」
「まあまあ それでは洋子さん 翔を連れて先に行ってて頂けますか」
「神山さんは」
「すぐ追いつきます」
「僕は先輩と行きます」 
「だめだ これは部長命令 何かあった時 男の翔が守るんだ いいな」
「はい 分りました」
「では 頼りがいのある 杉田さん 副社長をしっかり守ってね」
「あっ 洋子さん クーラーBOXといつものって女将に言えば
奥の座敷に行けますよ」
「はい 分りました」

分かれた神山は高橋とルーバーを見た
時田が言っていたように でしゃばらない優しい光線だった
「どうしたの 時田さん」
「知っていたの」
「うん 今は無いけど 昔ゴルフをした仲さ 内藤 西野理事と」
「そうか なるほど お昼のお土産は時田さん 美味しいから
その店連れて行けって それでこうなった」
「なるほど で荷物が多いから 杉田さん同行か」
「これ邪魔にならない場所に置きたいな これはコップなんだよ」
「うん そしたらバックヤードは今 駄目だから そこの角にしましょう
皆気をつけるから 大丈夫だよ さわるなを書いておく」
「ありがとう で今夜は何時まで居ます?」
「今夜は10時か11時で終ります なんで?」
「久保さんとここで待ち合わせさ」
「ご馳走様」
「照明を見てみたいと言っていたし さっきの小物も渡したいんだ」
「了解 彼女が来るまで帰れないわけね それまで時田さんと?」
「うん 翔だけじゃね」
「早く行ったほうが良いよ」
神山と高橋は分かれた 時計を見ると6時過ぎだった
祥子に電話をした 
「神山です 今日はありがとうございます」
「いえ こちらこそありがとうございます」
「何時になりそう?」
「やはり青山出るのが 8時頃かな」
「わかった 僕は接待で寿司屋に居ます 現場は10時頃まで 
居るので 現場についたら 携帯に電話を下さい
照明が綺麗なのと 昨夜の小物準備してあるので渡します」
「ふぁーうれしいわ 現場で電話します では」

神山は電話を切ると寿司屋に入った
時田達は一番奥に座っていた 大将にクーラーBOXを返し
「あまりに美味しいから 今日来るって それで来ちゃった」
「お聞きしました ありがとうございます 皆さんお待ちですよ」
「はい」
神山は
「大変遅くなり申し訳ございません」
みなにお辞儀をした  それを見ていた洋子が
「ねぇ 私の勝でしょ はい 千円頂戴 あなたが言ったんですからね」
「なんだ 僕は賭けの対象物か?」
「そぉ 杉田君が 先輩は柔らかい挨拶ですよって
きちんとしないですよって 言われたの だから私はきちんと
遅くなって申し訳ございませんって言うわよっていっても聞かないの
そしたら 杉田君が よし田所さん賭けましょう
1万円でどうですか だから私が負けたら1万円だすわ
その代わり杉田さんは1千円で良いわって話」
「なんで僕が 変な挨拶すると思った」
「だって 先輩いつも 呑み会の時 変な挨拶ばかりじゃないですか」
「ばかもん 時と場所を考えろ 社長大変申し訳ございません」
神山が頭を下げ謝った 杉田も頭を下げた  

「山ちゃん もう許してあげろ 充分 分っただろう なぁ杉田君」
「はい 済みません 馬鹿でした」
頭を上げた神山は
「翔 もう分ったな 頭上げろ」
杉田は恐る恐る 頭をあげた
「なあ 僕が変な挨拶している時は 僕だけでない 奥村課長
倉さん 身内で遊んでいる時じゃないか そこを見極めないと
失敗するんだ わかった」
「はい 以後気をつけます」
神山は1万円をだし 洋子に 
「洋子さん 済みませんでした 私がしっかりと教育していませんでした
これは 千円では済みません 同額の一万円を私がお払いします
どうぞ受け取ってください」
「しかし 先輩」
「うるさい 勝負に負けて 掛け金まで負けてもらって
なんとも思わないか 翔」
「わかったわ 頂くわ ふぁ 嬉しい 神山さんからもらっちゃった」
「田所さん 済みません 副社長 申し訳ございません」
また 頭を下げた 翔は今度は泣き出した
「杉田君 君がへまをすると 上の人間 又上の人間 と言うように
責任をとる訳だ 分るかね 
その逆に 良い事をすれば 上の人間が誉められ 又上の人間が誉められ
最後は自分が皆から誉められるんだ わかるかね」
「わかります すみませんでした」
「なあ 翔 僕だって一杯失敗はしている だけど二度までは
許される しかし三回失敗すると 今度は許されるんじゃなくて
自分の居場所がなくなるんだ 覚えといたほうが良い
社長のお言葉も胸に刻みなさい いいね」 
「よし では楽しくいこう なあ杉田君」
「そおよ 若いんだから さっきみたいに元気だしなさい」
「はい」
「いいよ いつまでも泣いていろ 全部食べるからな後で文句いうな」
「だめです 食べます だって先輩 何時も美味しいの食べてるって
聞きましたよ 僕なんか 社食なのに ずるい」
「わたった 食べなさい ただし社長にお断りするんだぞ」
「はい」
翔がようやく元気になって 副社長頂きますと 言いながら食べては
本当に美味しい 美味しいを言った 神山も頂きますと断って
食べるとやはり美味しかった

「山ちゃん ここのしめ鯖は何時も食べているの?」
「いいえ 今日昼来た時が初めてです 鯖は頂いていると思いますが」
「なんだ 記憶が無くなるほど のんでんのか ここで毎日 ワシより
贅沢しているな」
「少し当りですが 記憶出来ないほど仕事をしているんです」
「わかった そうだな 舌の記憶なんて 余り当てにならんな
五感で覚えるのが一番だな なぁ 杉田君」
「ハイ 私も 五感で覚えたほうが確かだと思います
釣りとかもそうですよね 全神経を釣り竿の先に集中させ
魚をおびき寄せて釣るわけですよね そうだと思います」
「おお その若さでつりをやるのかね?」
「ええ真似事です」
「社長 翔は僕より若いのに 趣味は爺臭いんです 
その他に 囲碁だろ ゲートボールだろ そうだ 盆栽です
どうですか 35歳でこの趣味 決して悪い事じゃないですが
35歳の趣味ってなんか違うように思うんですよ」
「ほお 盆栽か いいな 眺めているだけで 気が休まるな
しかし ゲートボールとは」
「はい ゴルフをしたいんですが 高いですし集中力を磨く為です」
「ほお 集中力が身に付くかね 洋子そうか?」
「ええ しかしそればっかりではないと思いますけど
体力の衰えを補う事が主ですから しかし集中しないと出来ませんね」
「ぼけ防止に良いのは マージャンも良いって報道してました
西野理事は昔から言われてましたけどね」
「ほお ぼけ防止にマージャンか なるほど
洋子 ワシもこれから 若いのと一杯機会作って エキスを貰わないと
だめだな 何時もじじばば相手だと 若返るどころか老けて行くな」
「そうですよ 例えば 奥村課長とか 結構ためになります
昨日も勉強しましたし 後はご自身のやる気ですね」
「うん これから機会を作ろう う~ん 今何時だ」
「はい 7時です」
「うん ちょっと秘書に電話して ワシが明日の晩空いてるか聞いてくれ」
「はい」

洋子は秘書課に電話をして副社長の明日の夜を聞いた 頷き
「5時から空いていますが いかが致しましょうか」
「うんそのあと何も入れるなと言ってくれ」
洋子は その後 ご都合があり予定を入れないようとの事です と伝えた
「5時以降都合有りで伝えました」
「うん 奥村君に電話して 6時から都合つけろと言ってくれ」
洋子は催事課に電話をし 奥村課長と話をした 頷いた
「どこにしますか」
「地下 四季 6時」
洋子は 時間と場所を伝えた 
「奥村課長ったら かしこまっていましたよ」
「楽しみだな なぁ 山ちゃん」
「どんなお話しになるかお聴きしたいですね 勉強になりますし」
「そうだな おお 杉田君元気ないな えぇ」
「はい 元気はありますが 正直私の生活と違う空間なので戸惑っています」
「そうだな 山ちゃんも昼間元気無かったもんな」
「ハイ有りませんでした では 冷酒にしましょうか
それともこのまま 燗で宜しいでしょうか」
「うん 燗で頼む」
神山は手を挙げ女将を呼んだ 燗と例の細巻きを 
おつまみだから8巻きりで2人前頼んだ 

時田は酔いが廻ってきたのか赤くなってきた それでも充分話せた
「翔 いいか 今ここでした話は絶対に内緒だ いいね」
「はい 分りました しかし ここの日本酒美味しいですねぇ」
「まぁ 昨日奥村課長に送って頂いたの覚えている?」
「ええ今朝言われました すみません」
「あれだけ呑んで 今日も呑んで 大丈夫なの?」
「洋子さん 催事課のサムライはそうでないとやって行けないんです
昨夜の翔みたいに 多少は迷惑を掛けますが それが明日の
エネルギーになるんです なぁ 翔」
「ええ そのとうりです だから 愚痴がでたりします
普段 そこを乗り越えないと仕事進みませんから ねぇ 先輩」
「うん そうだね 社長 私は昨年4月にこちらに来たんですが
その歓迎会で 嬉しすぎて呑み過ぎ倒れました
大好きだった上野を離れ 銀座で頑張っても空回りし それが
ストレスになっていて しかし腹を割って話をすると私を
心配していてくれて嬉しかったです それからウイスキーとかを
訳分らなくなるまで呑んで 倒れました」
「そうそう あれを思えば 昨夜の僕は可愛いもんでしたよ ねぇ先輩」
「うん そうだな 悪かったな しかし今夜はお助けマン誰も居ないぞ」
「えっ 先輩 それはないでしょ」
「これから仕事だ 付き合えない だから呑んでも良いが
自分の力で 帰りなさい いいね」
「はい 分りました 自分の足で帰ります」
「僕が抜けた後 社長のお供をしてしても良い だけどちゃんとしろよ
ところで タクシー代持っているか?」
「ええ だけどぎりぎりかな」
「わかった」
神山は 1万円渡し 
「これは 今まで 助けてもらったお礼だ 少ないけどな とっておけ」
「ふぁ ありがとうございます たすかった これで副社長の
ガードマン出来ます ありがとうございます」
「良かったわね 杉田君 ところで お仕事とは?」
「ええ さっきの荷物 ニーナ・ニーナの飾付けの小物なんです 
それをシュミレーションしないと行けないので 
今夜のうちにやっておいた方が 良いと思いまして
済みません社長 我侭を言いまして」
「いや その気持ちがないと だめだな うん勉強になった
うん 今夜は勉強させられた 杉田君 一つ正直に答えてくれ
それでこれは秘密だ 漏れたら君は左遷だ いいか
君の上司が欲しいか? それとも部下が欲しいか?
上司とは 山ちゃんのような 担当課長だな どうだ?」
「はっきりは分りませんが 僕は甘えん坊なので 先輩が欲しいです」
「わかった ありがとう 絶対に秘密だ いいね」
「はい 左遷なんて絶対に嫌です 銀座に骨を埋める覚悟です」
「ほお 洋子 さっき言っていた通り サムライだ
まだ小さいが サムライだな」
時田が涙ぐんだ すかさず洋子がハンカチを渡すと いらん と断られた
洋子は 昨日の神山を思い出し 胸を熱くした
翔が 時田の涙を見て
「副社長 ありがとうございます」
と 一言いい 時田にお酌をした そして自分の小さいグラスに注ぎ
一口で呑んだ 今度は時田が 神山と杉田にお酌をした
二人とも ありがとうございますと言って 又呑んだ
そこへ女将が日本酒と細巻きを持ってきた
「ここの美味しい細巻きです」
「ほお 美味しいな ほら見ていないで食べなさい」
洋子も神山も杉田もネギトロをつまんだ

「先輩 ここに今度来ても良いですか?」
「うん いいよ 小谷さんを連れてくるんだろ」
「えっ なんで知っているんですか?」
「何も知らないよ このあいだ なんか未練たらしかったじゃん
だから 多分そうかなって 事さ じゃあ 上手く行っているんだ」
「ええ 携帯の電話番号を聞きました だけど誘って来てくれるかな?」
「それとなく聞いてみようか」
「だめです 悪口言われ 破談になります 絶対に駄目ですからね」
「わかった じゃあ 悪口一杯高橋さんに言っておく」
「わかりまし~た 何も言いませ だから グスン グスン 止めて」
「ははは 杉田君は正直もんで 純朴だな いいじゃないか
当ってくだけろ なぁ山ちゃん」
「えっ ええ まあ ええ」
「先輩 言葉になっていないですよ さては 田所さんに
いかれたんでしょ こんなに綺麗になったもんだから」
神山が何も言えず黙っていると 杉田が
「やっぱり 顔を真っ赤にしているし 僕の事苛めるからですよ」
「翔 違うって 言われた意味を考えていたんだよ 顔が赤いのは
翔だって 真っ赤だったぞ 早とちりするな」
「は~い 分りました なんだ違うのか 先輩嘘は駄目ですよ
いつも先輩が言っているんですからね いいですね」
みかねた洋子が
「ねぇ 小谷さんて アルタのかた?」
「ええ 凄く可愛くて あっ もう だめです
大人の人は話が上手だから すぐに引っ掛かってしまう
もう 上手なんだから」
「そう 私にも言えないの 折角情報を集めてあげようとしたのにな
だって 杉田君とそんなに歳も離れていないでしょ どう」
「えっ、、、」
「好きな食べ物は何かとか どんな音楽が好きだとか、、、
ほら きっかけを作るのにねぇー どうかしら」
「言います お願いします 集めてください
会社はアルタさん 本社受付嬢です 電話番号は」
「電話番号は会社でいいのね」
「はい」
「お名前は?」
「小谷 美佳さん 25歳です 凄く可愛くて
僕の妹と同じくらい可愛いです あっ すみません」
「わかったわ 調べるけど 向こうがあなたに興味無しだったら
先方から電話無いと思うわ そうしたらしつこく追いかけたらだめよ
それが理解できるなら お手伝いするわ 最初だけね」
「はい 理解できます 振られたら仕事に熱中して潔く忘れます
なので お願いします」
「はい わかったわ」
「はい お願いします」
杉田は お辞儀をしてお願いした
一段落して又 みなで呑んでいると神山の携帯がなった

「はい 神山です」
「山ちゃん 着いたよ」
「えっ どうして?」
「バッテリーが切れたそうだ」
「うんわかった 伺います うーん まだ少し時間が掛かります
でもなるべく早く行きますよ ごめんね」
暫くして 神山は皆に挨拶をして出る時 洋子が近寄ってきて
「おじ様と私の親戚関係は誰かに話した?」
「いいや 関係ないからね 周りは」
「うん ありがとう でもちょっと心配していたのよ」
「そうだね 僕にとっては ありがたい存在だ
しかしそれを廻りに言い触らして損をするのは僕だけだよ
信じてくれ  それから社長の事頼んだよ  まだ居るつもりかな?」
「分らないけど大丈夫よ 明日何か有ったら電話ください」
「うん 電話する 声も聞きたいし」
「ええありがとう がんばってね」
神山は大将にお礼を言って店を出た
時田の車は直ぐ傍に横付けされていた 
車の前が都道の方に向いていたので多分現場にはこないだろうと
思ったが なにかいい案がないか考えた
「洋子 清算してくれ ワシらも帰ろう」
洋子が神山と別れ戻ってくると 帰る仕度をしていた
「この杉田君とちょっと呑んで行こう いいね」
「はい」
洋子が清算すると 車に乗った
翔は神山が ゆっくり歩いているので 車を降りて近寄り
「先輩 大丈夫ですか?」
後ろから突然言われ 
「うん 大丈夫だ 仕事を考えていた ありがとう どうした?」
「ええ 帰りますが 副社長がどこか連れて行ってくれるそうです」
「わかった 翔は用心棒だからな 気をつけてな」
「はい 分りました」
「うん 頼んだぞ」

「ねぇ なんか良いですね 男の人って」
「そうだな 先輩が肩落として歩く後姿みて駆け寄る後輩は居ないな」
「杉田君 あんなに呑んでて駆け足して大丈夫かしら」 
「若いし 平気だろう それよりこれから行くとこは
本当に小さな 呑み屋だ 知られたくない 杉田君にも
含めていって欲しい もっともごちゃごちゃしてるから分らないと思うが」
「はい 分りました」
「そんなに呑めないから 彼が呑みたそうだったら 洋子頼むぞ
「ええ しかし帰るでしょう 神山さんからも言われているし」
「そうだな でも山ちゃんはあれだけ呑んでこれから仕事だって 凄いな」
「ええ 今まで鍛えられたんでしょ 素敵です」
「ははは 戻ってきたぞ 頼むぞ 洋子 あっ親戚の件は?」
「周りに話をして損するのは僕だって言ってました 信じてくれって」
「うん山ちゃんらしいな もっともオレは信じていたけどな」
「違います 私が信じていて ご自分は心配していたんでしょ もう」
「お待たせしました 大丈夫でした 仕事のことを考えていたそうです」
「うんわかった よかったな では運転手 出てくれ」
「はい 分りました」






.