2012年12月14日金曜日

鈴蘭 1 - 22 Vol. 2



「私ね 今日は倉庫に行くのだから少し早めに行くわ」
「うんわかったよ」
「昨日 上原のリストアップ作業をして どうしても
倉庫で確認をしなければいけなくてね 困ったわ ほんと」
「どうしたの?」
「覚えている 林さん?」
「ああ 店長で今 御殿場アウトレットの下準備で全国行脚」
「そう 彼女がきちんと数字を報告していない事が判明したの」
「うん?」
「薄々わかってはいたの 倉庫と伝票が合わないの」
「大変だ そんな事一大事だね」
「そんな事もあって 上原の事もあって行くのよ」
「上になると大変だね」
「そう あなたも気をつけてね 何があるかわからないわ」
「ところで 昨日買ったスーツだけど あれって夏はどうなの」
「ええ一応 大丈夫だけど 真夏はどうかしら だけど外回りの
営業ではないでしょ」
「うん 自分がこんな格好なんでわからないんだ」
「ええ あるわよ 夏物 そうしたら返品しないで置いておくね」
「うん あとね 普段次長室で着るのにどうするか考えているんだ
結局 お出かけ用で まあ挨拶用で買ったけど 実際部屋にいる時は
私服と言ってもスーツで無ければいけないかなって」
「そうね 鈴やさんの制服でも良いんじゃないの」
「そうか 後は僕と同じ格好をしてもらう」
「うん それもありね あの方プロポーションいいから
何でも着こなせると思うわ」
「そうか 祥子が言うのだから間違いないね 今日相談する
お出かけ用買いました 2着です あと知りませんでは可哀相だよな」
「そうね 部下だし特に女性だし ちゃんと見てあげないと後が怖いわよ」 
「そんなに脅かさないでくれ こっちも大出費さ 困ったよ
ところで祥子が昨日着ていたスーツはパリ?」
「ええ パリよ なんで」
「一昨日の夜 ワンランク下って言っていたでしょ 幾らなのかな?」
「あれは確か正札で30万円かな あれを仕事着にするの?」
「うん 選択肢があったほうがいいでしょ 上の人間としては」
「そうね あれでも日本製よりずーっとましよ 軽いし 違いは
やはり形かな ほんのちょっとの所だけど 普通はわからないわね
私だって 両方を見比べるてわかるくらいで
だって 昨日 彼女が試着したでしょ 私の着ていたのと
どうだった 勿論種明かしをして有ったからそうゆう目で観たと思うの」
「そうだね そう言われれば 変らなかったよ うん」
「でしょ それでね パリではその下のクラスが売れているの
ビジネススーツで それは18万円かな 違いは 袖の付け根が
少し大きいの だから腕が回しやすいし 動きやすいわ
パリで試着した時 絶対これいけると思ったら これが一番売れている
商品だって言われたもん 私はそのほうがいいな 挨拶はあの2着でしょ
次長室のお仕事着は18万ので だって生地は一緒 腰の
絞りが少しだけ甘くなっているわね でないと動けないから」
「うんわかった 2着残しておいて 2着有れば大丈夫だよね」
「ええ 大丈夫よ パリでも直ぐにはなくならないわ それより
靴を考えたほうがいいでしょ 同じハイヒールでもっと安いのを
今日倉庫から出しておくわ 靴は3足くらい合ったほうがいいと思うわ」
「わかった 種類があると思うけど 大体幾ら?」
「大体5万円くらいね そのくらいよ」
「では お願いします ほんと昨日アルタの高橋さんが言っていたけど
すぐになくなりそうだ」
「仕方ないじゃない お仕事の要は先行投資ですもん 倉庫行ったら
お仕事用のを選んで銀座に入れるわ ブラウスも パリの女性が
お仕事する時着る 一番売れているのを準備するわね」
「しかし あくまで選択肢の一つだよ そこはわかってね」
「大丈夫よ」
神山と祥子は食事の片づけをし 出かける格好をすると祥子が
「さあ出ましょうか 早くしなさい」
「お化粧は?」
「うん 今はこのままよ 倉庫を出るとき ちょこっとお化粧かな 
だって商品についたら大変よ だから倉庫の時はしないの」
そう言い かるくキスをした すっぴんでも綺麗だった
神山は部屋に戻り仕度してあったバッグを持ってでた
二人は エレベーターの箱が来るまで唇を合わせた
「だって貴方が帰って来るの24日でしょ 寂しいわ」
祥子は覚えていた 箱が来て扉が開いても抱き合っていた

二人は現場まで手を繋いで歩いた 今日は祥子が現場に寄らないので
別の道を下った 改札口に来ると
「では 気をつけて行ってきて下さいね」
「うん 祥子もたくさん友子ちゃんと遊んできなさい」
「はーい」
祥子は手を振って電車が来るホームに消えていった
神山は駅で新聞を買い現場に行った
「おはようさん 孝ちゃん」
「おはよう 山ちゃん 昨夜は失礼しました 久しぶりにぐっすり」
「そうでしょ 顔色いいもん」
「ところで 新聞買ってきたけど読んだ」
「読んでいないよ」
二人は新聞を読み漁った 一面ではなく経済面で小さく扱われていた
「あった 山ちゃん ここ」
神山と高橋は20行ほどの記事を読んだ
「山ちゃん 一日違いで 何十億違ってくるんだからね 恐ろしいね」
「うん ほんと 今度は僕が恐ろしくなる番だな」
「うん でもある程度決まればそう大した事はないと思うよ」
「そうあって欲しいものさ ところで朝から申し訳ないけど
昨夜の自由費って何時もらえるの」
「最初は辞令の日でしょ あと月初めだったと思うな どうしたの?」
「いやね 色々と計算すると大変だからさ だってこの間
僕が貰った給料は課長職だぜ そして今月も課長職 5月の給料で
ようやく 理事のお給料です 出て行くのは訳のわからない数字で
計算したら 自由費を頂いても大変なのです だってアルタだって
お給料は5月でしょ だから大変 困っています」
「アルタは多分 4月に出ますよ 後で聞いておきます」
「今月だと嬉しいな だけど30日だからね」
「ええ 土日の場合は前日 そうだ30日は印鑑と 給料の口座と
免許証を持ってきて そうだ田所さんにも伝えてくれる?」
「わかった だけど 28日の9時に挨拶するけど」 
「そうしたら 28日のほうがいいです お願いします」
「了解です」
「ところでなんでそんなに必要なの?」
神山は戦略の事を話した 優位に仕事を進める為にはどうしても必要
高橋も頷き聞いていた
「山ちゃん 凄いねそこまで考えているんだ」
「うん それで彼女 田所さん 綺麗だったでしょ」
「そう 時田さんの彼女かと思ったぐらい どっかの女優さんだね」
「あの変身で 軽く100万円超えた」
「へぇ~100万円 こえた しかし 参ったね」
「もともと地味みたいだったんだ そこで変身したから大変さ
僕のシャツも一緒に変身ですよ」
「うん格好よかったよ」
「売場で係長の説明を聞こうとしたら 課長がのこのこ出てきて
田所さんをにやにや見ていたんだ 彼女 今部長だからね
その課長に 一喝ですよ 僕も見ていて気持ちよかったけど
で 要は作戦が成功したわけです」
「うん わかるわかる そうか 内藤に聞いてみるよ
しかし 30日以降は山ちゃん 自分で聞いてね 僕より上だから」
「わかったけど そんな滲めるなよ」
二人は笑って 顔を見合わせた

9時になったので高橋が内藤に電話した
新聞記事の件と神山の戦略の件を話をした 頷き電話を切った
「山ちゃん 社長新聞見たけど載っていなかったって言うので
経済面の下の方で20行位って言ったら あった ありがとうって
それから特別に自由費を田中に持たせるって もう田中は持って
出たとこだと思います」
「いや ありがとう そうだ忘れる所だった」
神山は次長室の図面を出し見せた
「この赤ペンが 気がついた所で 一応目を通して それと
冷蔵庫を忘れたんだ ごめん この中に入らないかな それで
電子レンジも有ったほうが便利だけどどこに置くか です
本当にごめん すっかり忘れていました」
「昨日の流れで 奥に自分達の分 入り口付近を来客で考えると う~ん
ここの角 着替え室の手前を少しふかすでしょ そうすると
着替え室の入り口が狭くなるね~ そうしたら このPCなどの作業部分を
少し詰める うんこれでいけますよ 元々造り付けは内寸で550
だから 冷蔵庫だと750なので 作業机が200少なくなるだけで
OKですが 電子レンジは必要ですか?」
「う~ん どうかな たまたま気が付いたんだよ」
「電子レンジの場合 防火を考えないといけないんです 特に
オーブンなんて付いていると どうでしょうか?」
「よし そうしたら彼女が9時30分に出勤して来る筈なんで
それまで待ってください 結局 彼女も昨日の備品関係のリストで
上げていなかったから 不要の理由があると思います
それを聞いてからでいい? 僕は有ったら便利かなですよ 
それと オーブンやオーブントースターは不要だと思うの
単純にレンジだけです レンジだけでも大変?」
「レンジだけなら 別に何もしなくてOKですよ」
「わかった では先に進みましょう」
「後は着替え室に照明がついていないの?」
「これは 幸三が書き忘れです 僕が書いておきます」
「うん 普通の試着室より明るくしてね」
「ええ 明るいほうが いいですよね 了解です」
高橋は図面に訂正個所を青インクのサインペンで書き入れていった
赤は神山 青は高橋とわかり易かった
時計をみると9時30分になったので 洋子に電話した
「はい おはようございます 田所です」
「神山です おはよう」
「昨日はありがとうございます 大変美味しかったです」
「うん 早速で申し訳ないけど 次長室の備品リストで 電子レンジが
はいっていなかったんだけど 理由はある?」
「ええ 考えたんですが 何に使うかシュミレーションはしましたが
ほとんど使わないので止めました」
「うんそうか 僕は有れば便利かなと思ってね 今 高橋さんと
置き場所を考えているところです」
「そうなんですよ あれば便利だけど 使う頻度とかどうかなと
思いました」
「わかった あと冷蔵庫を忘れていて 着替え室の脇に置きます」
「あっ そうですね ビール入れが無いと困ります」
「次長室の話はここまで レンジはもう一度ここで検討します
催事の市川君にPCスキルを確認してもらう事になっているんです」
「はい 昨日は出来ませんでしたので 今日にでもと思っています
出来れば 早い時間に人事でお願いしたいんですが」
「午後からは?」
「次長室の打ち合わせでしょ 詳細を」
「うん早い時間にする そしたらこの電話終ったら 行ってもらい
僕が着いたら電話します いいかな?」
「はい お昼からは空けています」
「うん 11時ごろまでに行かないと アルタさんの都合もあるから」
「は~い ではお電話をお待ちしています」
神山は電話を切ると 市川に電話をした
「神山です おはようさん」
「市川です おはようさん 山ちゃん スキルの件とフォーマットでしょ」
「うん スキルは人事で行いたって だからご足労だけど
行ってくれないかな 頼む」
「了解 で時間は」
「今 直ぐ」
「わかった そしたらフォーマットは山ちゃんが来てからでいいね」
「うん」
「いまさっき アルタの田中さんが作業に入った 言付はある?」
「うん 11時頃には行きますと伝えて」
「了解 では」
神山は電話を切ると洋子との話を高橋に伝えた
「そうなんですよ 僕も山ちゃんが電話をしている時 考えたんだ
レンジも食器入れも目線でしょ だから その分 場所が う~ん
そうしたら ここの冷蔵庫の手前 入り口側にレンジ置き場を
設け その下はどうせ日本酒が来るからその置き場にしましょう
一升瓶2段とってその上をレンジで良いでしょう
日本酒の瓶を出しておくと格好悪いですからね」
「うん 食器類はその横でも充分だね しかし奥行きあるから
取り出しにくいね」
「ええ そこが難点ですね そうしたら そうゆう小物は 
引き出しにして 取れるようにしましょう」
「うん 引出しだと 奥まで充分使えるしね そうしたら 
小物類はまとめて 出来れば2列くらいだね」
「いえ 別に3列でも構いませんよ 逆に目線から下は引き出しに
したほうが 使い勝手がいいかも知れないですね」
「うん これも現場で何を入れていくかで決める いい?」
「ええ 結局どちらで進むかだけですから そこだけ抑えてくれれば」
「わかった あと この来客用ハンガーだけどW1200だと 冬物で
大体15着かな しかしいいかここにそんなに入らないんだから」
「そうですね 会議室なら別ですが」
「わかった そうしたらこの図面で幸三君と話を進める そうだ駅で
コピーを取ってくるよ」
「済みません あると助かります」
神山は駅にあるコピー屋で図面をコピーして一部を渡した
「あと現場で出てきた事は全部幸三が責任を持って行います
勿論僕の所に報告はありますが、、、大きい変更はないと思います」
「うん これだけ決めておけば 多少進みが速くなるよね」
「いえ 山ちゃんだから早いの 他の人は3倍4倍掛かるんです
ほんと そう言うとき 困りますよ」
神山は話が終ると外に出てタバコをふかした

駅売店に行って缶コーヒーを人数分かって戻ってきた
「孝ちゃん これ大工さんに もうじきでしょ休憩」
「ありがとうございます そうですね 休憩にしましょう」
高橋が大工に休憩を言って缶コーヒーをみんなに配った
大工達がありがとうございますと言って外に出て
吸殻缶が用意されているのでそこに集まってきた
「孝ちゃん 御殿場のニーナ・ニーナだけど何時から動くの」
「ええ 今 地割りをしていると思いますよ」
「そうか ねぇ26日27日って行くでしょ 現場を一回見ておかない?」
「そうですね そうしましょう 図面を用意して置きます」
「うん 僕はカメラを持っていこうと思っている」
「それいいね 例の縁起が良いカメラ」
「違う違う 縁起のいいのはコンパクトカメラ あっコンパクトでいいか」
「そうですよ 芸術作品じゃないから でも一眼レフ使いたいですよね」
「うん 時々シャッター押しているんだ 良い音するよ」
「こんどはそれが役に立ちますね」
「うん」
神山は御殿場である事を思い出しちょっと失礼と言って 洋子に電話した
「ごめん忙しい所 ゴルフは出来る?」
「ええ しかし下手ですけど」
「わかった 26日と27日は仕事でゴルフだ いいね」
「はい 分りました」
「うん 頼んだよ」
電話を切り 高橋に
「今確認したんだけど 秘書もゴルフ出来るので連れて行く いいよね」
「いいですね 華があると楽しくなりますね」
「うん 行きに 小田原の工場寄るでしょ 少し見学させたいんだ」
「良いじゃないですか それもグッドアイデアですね」
「26日のオープンが11時で13時頃出れば充分かなと思うだけど」
「ええ もう少し遅くても大丈夫でしょ 内野君も飛ばしますから」
「了解 詳細はあとで」
神山は時計を見ると10時30分になっていた
「そうしたら 銀座で田中君と会って 決めていくのでお願いします」
神山はみなに挨拶をして現場を後にした

銀座の事務所に行くと田中が墨だしをしていた
「やあ おはよう」
「おはようございます では早速行きますか」
「ちょっとまってて 部屋に行ってくるから ごめんね」
「はい 待っています」
神山は催事課の部屋に入り田所のPCスキルを市川に聞いた
「ありがとさん で どうだった」
「ええ 僕より早いです」
市川が元気なく答えた 奥村が
「凄いよ 田所さん 市川が完全に負けた」
「ええ?」
「文字入力をしたら 市川より全然早いんだ ブラインドタッチだって」
「はぁ」
「エクセルやワードも完璧 なあ市川」
「はい 僕の出る幕じゃ無かったです 恥をかきました
先日 そう言ってくれれば わざわざ本社人事で恥じかかなかったのに」
「それで さっきから落ち込んでいるんだ」
「おう 良い経験したな がんばれ」
「あっ倉さん おはようございます」
「おう 久しぶりだな 午前中は」
「ええ 次長室で決めないといけない事が有りまして」
「うん 楽しみだな」
「はい」
神山は挨拶を終えると 次長室に戻った
「神山さん これ内藤からです」
田中は内藤から預かった現金を神山に渡した
少し厚過ぎるので中を覗いたら500万円入っていた
直ぐに部屋に置いてあるバッグを持って その中にしまい内藤に電話した
「神山です ありがとうございます こんなに頂いて」
「いや 少なくて済みません 車もと思っていたんですが
西野理事に電話をしたら もう手配済みだったんで すみません
それと 昨日の御殿場の地ビールの話 まとまりました
椿さん喜んでいましたよ 御殿場アウトレットの時は 限定も
造ったりとか 日本酒を考えていたり こちらも助かりました
TVCMも行います それも決定です ありがとうございます」
神山は 今後そう言った部分の仕事も行うようになると考えていた
「幸三ちゃん わるい 図面の変更はこうなりました」
田中が見ている時に洋子に電話をして ここに来るよう伝えた
「完璧ですね 私も角のところはこの方が仕事しやすいです」
「後ね 田所君が来るから それから手直しがあります」
「しかし よく朝の時間でここまで詰めましたね」
「うん 孝ちゃんの力だよ」
「うん でもやっぱり神山さんが早いんですよ」
「まあ 昨日眺めていたからね 着替え室の照明が無いのであれって
そこからさ じっくり見ていると うん ここはこう
うん ここはこうやって とか 結局1時間以上にらめっこさ」
「やっぱ そこまでしないと 分らないですよね」
「うん そうだね ところでこの図面でだと 受け付けカウンターが
前に出ている感じだけど?」
「ええ プロジェクターの収納場所が無いんです 
なので受付カウンターの後ろに置けば 応接セットに余裕が
出来ます 窓に置くと後ろが窮屈になるんで それと 
受け付けカウンターの前は 2000ありますから丁度 良い感じに
おさまります」
そこに洋子が入ってきた
「おはようございます 遅くなってすみません」
「やあ 昨日はすみません 翔は迷惑掛けませんでしたか」
「ええ 早い時間で帰りました」
「どうもありがとう で 早速ですみませんね」
神山は経緯を説明して カウンターの位置を確認した
「ええ 後ろは問題ないですわ 前も充分だと思います」
「それではこの位置で進めます 黒の絨毯が丁度ありました
だけど 後ろに持っていくと 足りなくなりひやひやでした」
「うんよかった あと洋子さん この造り付けだけど
目線より下は 引き出しにするかという事です
結構奥行きがあって 下の棚だとしゃがんでも奥がよく見えない
状態になります そこで 小物を入れる処だけ引き出しで
後は 自由棚にします どうですか?」
「小物を入れる所は 食器とか限られてきます ですから2列くらいを
目線から下は引き出しにして頂くと便利だと思います
それと 引出しは 高さが30cmあると 結構使いやすいかと
目線の近くは15cm位で 下は深いほうがいいですね」
「うん そうだね では幸三ちゃん 15cmを2段その下20cmを1段
下が30cmを2段でどうだろう?」
「ええ いいですよ 天板が1200だから大丈夫ですよ」
「そうしたら 15cm2つ 23cm2つ で残りを1200から計算して
どのくらいの深さになりますか」
「ええ 内寸で280です」
「そうしてください そのほうが使いやすそうです いいですか?」
「うん 田所さんが使いやすいほうがいい」
「はい で上は自由棚ででいいですね」
「うん それと 冷蔵庫は忘れていたのでここにしたんだ」
洋子に図面でしめした 洋子は
「ここにも扉はつくんですよね?」
「ええ 大丈夫です付きます」
「私 さきほどカタログを貰ったんです そうしたら薄型があるので
それを使えばわざわざ 奥行きを出さなくてもいいかなと思いました」 
神山はカタログをみると 300リッターでも内寸550あれば
大丈夫な冷蔵庫が有った そうすると 着替えを掛けておく
クルーゼット同じ出で仕上がる事がわかった
「どうだろう 幸三ちゃん この今出している墨でいけるんじゃない」
「そうですね 冷蔵庫自体も薄いですし 扉側はふかさずに扉で
良い訳ですから そうしましょう カタログをもらっていいですか?」
「ええ どうぞ」
「1800より上は戸袋でいいですか?」
「普通だから それでいいよ」
「棚板は不要でいいですね」
「うん 半分は固定棚を付けておいて」
「では 交互につけましょうか」
「うん そうしてください」
「それと 神山さんの作業台なんですが
図面にも書きましたが ロールスクリーンが一番いいと思いました」
「うん ここは感心しました 軽くて簡単な操作だし 以上です」
「うん ありがとう これで28日を待つばかりだ」
「27日には渡せるんですが 28日朝でいいですね
「うん27日は御殿場アウトレットかな 26日から内野君も行く」
「ええ お聞きしました」
「そうしたら ここの冷蔵庫の列だけ未定で後は進んでください
冷蔵庫の高さ次第だけど その上に電子レンジを置こう
このカタログだと H1350って書いてあるから じか置きすれば
上は充分空くし 使い勝手がよくなると思う」
「そうですね わざわざ棚板で仕切ることないですよ」
「では これでいい 田所さん」
「はい お願いします 期待しているわ 楽しみよ」
「それでは 僕はこれで進めます 高橋にも伝えます 会社に戻ります」
「うん ちょっとコピーをとる」
神山は催事課でコピーをとって田中に渡した
「先ほどのコピーは孝ちゃんにも渡した だから電話で通じるはずだよ」
「ありがとうございます では会社に戻って進めます 床見本ですが
今夜 そうですね 6時頃上原に届きますので 決定してください」
「わかった お願いしますね」
「はい それでは 失礼します」
田中はお辞儀をして出て行った

洋子が
「そろそろ お昼ですよ どこに行きますか」
今日の洋子は辞令を貰った時のようにスーツ姿だった
「うん ちょっと催事課で仕事をする 部屋に来て待っていて下さい」
「は~い お供します」
神山と洋子が部屋に戻ると 市川が
「部長 先ほどは大変失礼しました」
「いいのよ それだけ皆さんが心配して下さっている訳だから」
「ありがとうございます」
神山は席に戻ろうとした時奥村が 会議テーブルに座って 
「山ちゃん 昨夜 副社長と一緒だった」
「ええ 翔も一緒でしたが 何か?」
「あっ 田所さん こんにちわ」
「こんにちわ 昨夜は済みませんでした お忙しい所」
「いえ ところで 今夜は何の用件だか分りますか?」
洋子は首を振って 
「全然 見当が付きませんわ」
そこへ店内から杉田が戻ってきた 奥村が
「翔 昨夜 副社長と一緒だろ」
杉田は 
「あっ 田所部長 いらっしゃいませ 昨日はありがとうございます」
「なあ」
「ええ 荷物を運ぶ所までは それでだけです なにか?」
「そうか」
「では」
杉田は そう言って自分の席に戻った 
「山ちゃんも知らない? どんな事か?」
「ええ 翔を食べさせましたから そこまでは」
「う~ん なんだろう 今夜 6時に呼ばれたんだ
山ちゃん 副社長とやっちゃったんだってな その事だろうと
思っているんだけど 早く謝ったほうが良かったかな う~ん」
「そう やっちゃったんだって と言われても すんだ事だから
しょうがないじゃないですか 許してくれたんだし」
「田所さん 本当に知らないですよね」
「ええ お電話でお伝えした事しか それに忘れました
副社長の秘書では在りませんから」
洋子はそう言って杉田のところへ行き
「良かったわ 120点よ」
「ありがとうございます 守りますよ 左遷嫌だから」
「分ったわ その調子よ いい」
「はい」
「それで 小谷さんの件 いい」
「あっ もう聞いて頂けたんですか ありがとうございます」
「うん 食べ物で好き嫌いはありません お魚は大好きですって 貴方は」
「大好きです」
「良かったわ 音楽は クラッシック音楽が好きと言っていたわ」
「そうか 余り聞かないな 眠ったくなるんですよ 小学校の時から」 
「だったら 眠くならない方法を聞いたら」
「あっ そうですね わかりました」
「あと 大事な事よ 今誰ともお付き合いはしていませんって」
「ありがとうございます ほんと ありがとうございます」
「それで 杉田君の事良く思っているけど
女の私から電話をするのが恥ずかしいって 言っていたわ
だから 電話をしてあげれば ねぇ」
「はい 分りました」
「今時 そんな考えを持っている子は少ないわよ 大切にねぇ」
「はい」







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