4月21日 火曜日 夜 上原
「孝ちゃん こんばんわ」
「山ちゃん いらっしゃいませ 田所さん こんばんわ
今夜は又 違ったイメージで こちらはこちらで 素敵ですよ」
「ありがとうございます」
「山ちゃん 出来ているよ 床 それと幸三と連絡をとって 進めます」
「ありがとう」
神山は床を見て 思ったとおりのイメージに出来上がっていた
「どう 孝ちゃん 素敵だよ」
「うん なかなか無いですよ この一枚のPタイルが16枚で1枚に
形成され それが並んでいる うん 見かけないな」
「未来的な雰囲気でお仕事楽しくなるわ しかしこのタイル綺麗だわ
きらきら光っているみたい」
「ええ 普通のシルバーだともっとグレーっぽくって あんまり
意味がないようなので こちらにしました」
「うん それで 目地の色だけど ステンのヘアラインはどうかな
「うん ここに黒とゴールドが有るけど 言われると思って
ほら ちゃんと造ってきましたよ」
高橋は床にパネル8枚並べ 目地を変えてみた
「うん でもやっぱり黒かな 締まるね ゴールドは床にはきついですね」
「そう僕も実際の大きさを見てみると少しキツイ感じがしていたんです」
「そうしたら黒のつや無しで行きましょう」
「了解」
「私も黒のほうが 落ち着くと思っていました」
「うん 落ち着くね ところで孝ちゃん クローゼットなんだが」
「ええ」
「施錠出来るように変更して それから施錠は彼女の受け付けカウンターの
下にある引出し それと僕のデスク下の引き出し の3件」
「了解 引出しは1段でいい?」
「そうね 僕のは4段有るうち 中2段 洋子さんは」
「そうですね 同じ作りだったら 私も 中2段にしてください」
「はい 了解です」
「そうしたら 後は問題ないね」
「ええ 冷蔵庫も確認しました 缶ビール 70本位入りそうです」
3人はそんなにあってもと言って笑った
「ですから レンジは冷蔵庫の上にじか置き出来ますよ 扉は一枚です」
「うん 良かった コンセントは奥じゃなくて手前ね」
「はい 了解です」
「洋子さん 何かありますか? もう最後ですよ追加や変更」
「ええ 私が把握できる個所は大丈夫です」
「孝ちゃん そういう事です」
「はい」
「孝ちゃんね 次長室入り口に 電話を置きたいんだ
ほら二人ででる事が多いと思うんだ そこで扉が施錠してあると
隣りの催事課に行くと思うんだ 迷惑になるから 不在時に
来客が有った時は内線で秘書課に繋がるように設定し 普段は
ドアホンの役目をしてくれれば有り難いと思っているんだけど」
「大丈夫ですよ 考えています 扉の 脇をホリゾントで作ります
案内プレートも考えていますよ 不在時だけでなくて 来客者は入り口の
電話を使って 部屋の中と連絡をとるか秘書課と連絡とる事になります」
「そうしたらお願いがあるんだけど リモコンで操作できるドアに出来る
わざわざノブを回すタイプでなくて その方が便利だし」
「ええ それも進めていますよ 電話にしても田所さんが居なくて
山ちゃんが仕事をしている時 出たくない場合は秘書課に
繋がらないように設定し 留守電に入れるようメッセージが流れます
そのメッセージは外から携帯電話で聞けるように設定できます」
「そうすると時間に追われた時なんかいいね」
「ええ 電話機は次長席と受付の2箇所でいいですよね」
「うん そうすると電話機は直通があるから4台になるんだ」
「いえ 2台ですみますよ そして子機をつければコードレスで
利用できますから便利です」
「わかった ありがとう こちらが考えている事は 全部出来るんだ
アルタに部屋はあるの? 2人の?」
「いいえ 地べたの空きが無くて造れないんです そこで今回お詫びの
意味を含め 色々と装置を点けさせて頂いているんです」
「そうなんだ そうすると アルタと言うか孝ちゃんと打ち合わせを
する時は 孝ちゃんが鈴やに来るんだ」
「そうですね しかし パソコンを使ってモニターを見ながら
出来るようになります 実際にこうやって膝を突き合わせての会議は
1週間に1回あるか無いかだと思いますよ」
「そう モニターで出来るんだ」
「ええ その設定をしたら 今度は上原でも出来るようになります」
「へぇ~ 凄いね」
「しかし 僕の居所が無くなる訳だ」
「そうですね 横浜しか無いですね」
「うん 困った」
洋子と高橋は顔を見て笑った
「孝ちゃん 今夜は忙しい?」
「うん ちょっとね 今夜は遅くなります」
「うん ではこちらの現場もいいかな?」
「大丈夫ですよ」
神山は洋子と現場を離れ 時計を見ると19時になっていた
「さあ 仕事は終わり 次は食事だ どこに行きたい?」
「私はどこでも付いて行きますよ」
「わかった そうしたらイタリアンでもいい?」
「ええ 大好きです」
神山は『イタリアンレストラン スパ』へ電話をして特別に予約を入れた
タクシーで青山に向かう時に
「ねえ 洋子と翔なんだけどなんか僕に隠していない?」
「えっ 何にも無いわよ」
「うん 昼から可笑しいと感じているんだ まあ何も無ければいいや」
(凄いわ見抜いている しかし翔君にも責任あるし まだ黙っていよう)
神山は聞いてもそれ以上でて来ないだろうと思って 諦めた
二人は次長室の使い勝手など話していると 店に着いた
店内に入ると カウンターにマスターが居て 予約した神山だと伝えた
マスターは
「先月 内藤様のパーティーに招かれた方ですよね」
「ええ 良く覚えていらっしゃいますね」
「はい 覚えるのが商売です ではご案内します」
マスターは奥に仕切りがあるテーブルに案内した
「最初はビールをお願いします その間に決めます」
「はいかしこまりました」
神山と洋子はメニューを見て食べる物を決めていった
ビールは直ぐに運ばれてきて メニューを注文した
「では 乾杯」
「はい 乾杯」
洋子は嬉しくてたまらなかった スーツでなく神山と同じ格好で
一緒に居られる事が幸せだった
「洋子 今着ている格好だけど 普段お休みの時もそんな格好するの?」
「ええ 普段家にいる時はホント色々よ」
「女性は着る物が安いって言うけど それは普段着で仕事着は高いよね
男性の場合 よっぽどでなければ そこらへんの吊るしで間に合うけど
女性はそうはいかないもんね」
「そうよ だから最初あなたを見た時 いいなぁと思いましたよ
だけど 服が仕事をするんじゃないって言った時 なるほど
この人しっかりしていると感心しました」
「やっぱり そうか そうすると戦略作戦が当った訳だ」
「そうね だから嬉しいんです 上司がしっかりしているから」
「そうか よかったよ だけどここまでかもしれないよ」
「そんな事無いわ 大丈夫よ 結構観察してますが確信しています」
「うん 僕もしっかり洋子を観察しているよ ますますセクシーだし」
「それって躰の事でしょ」
「まずは外側から剥していかないとなかまで到達しないんだ
だから なんでも良いから観察をしているのさ」
「まあ でもそうね 突然内からなんか分らないし う~ん」
「ところで 休みは何時取るの?」
「ええ 貴方より早く辞令貰ったけど 仕事が中途半端なので それに
あなたのスケジュールも分らないので 全然入れていないわ」
「そうか それはそうだ 僕が悪いんじゃなくて人事が悪いんだ
そうしたら 明日22日 23日は休んで下さい 24日は午後から
いや 夕方に上原の現場に来てください お願いします
24日はこの格好でOK 現場を手伝って貰うかもしれないので
だから 23日は休んで24日に引継ぎにあてればどう?」
「ええ ありがとうございます 私は引継ぎが余りないので と言うより
席に居れば何かしら仕事は有るんですよ 居なければ何とかなるんです
情報の共有化で仕事が楽になりましたが 私としては部下に頼られない分
少し寂しい思いがありますね だから昨日の翔君を見ていると
貴方が羨ましかったわ 翔君寂しがっていたわよ」
「そうか まあ仕方ないね」
「ところで 明日から24日までどうされるんですか」
「うん 明日はアルタの小田原工場見学 その後は 温泉さ
そして24日は小田原工場に立ち寄るかどうか分らない
夕方に上原の現場です」
「ふぁ~ そんなにお仕事して大丈夫?」
「まあ 辞令貰ったら ゆっくりと骨休みするさ」
洋子は本社人事課に電話をした まだ係長が残業していて
「どうしたの 洋子」
「ええ 23日の木曜日ですが休みにしてください 23日に秘書課に
伝えておいて頂くと助かるわ」
「分ったわ しかし洋子の立場だとわざわざ連絡しなくてもいいのに」
「でもなんとなく気持ち悪いでしょ 分っている時はちゃんと
連絡しておいた方がなんとなく気が休まるし」
「そうね わかったわ ところでいまどこ 少しにぎやかだけど」
「ええ 神山さんと青山のレストランよ 美味しいわよ」
「あら ごちそうさま では」
洋子は電話を切ると
「先輩がまだ残業していたわ それで23日のお休み言ったら
わざわざ言わなくていいわよって それから神山さんと一緒って言ったら
ごちそうさまって 言われちゃった」
「事実だからね ねたまれたかな」
神山はビールはもういいのでワインを頼んだ
「どのワインが喜ばれていますか」
マスターが
「出ているのは このワインとこのワインです ステーキの時呑まれるのは
後からご紹介したワインですね」
「そうしたら 今のお勧めワインとステーキを下さい そうだそうしたら
お勧めのステーキはどれですか」
「はい 一番上のステーキですが 良く出るのはその下のステーキです」
「わかりました では各一つづつお願いします」
「はい かしこまりました」
マスターが厨房へ行くと 洋子が
「そんなに食べて大丈夫」
「いや 半分ずつさ 2枚なんて食べられないよ 洋子もだから食べて
感想を聞かせてよ」
「は~い わかったわ これから運動をしないといけないわね
美味しい食べ物ばっかりですもん」
「うん 僕は運動しているけど 洋子は今までと環境が違ってくるから
からだが慣れるまでしんどいよ 3ヶ月位辛抱だね」
「そうね がんばるわ」
二人が話していると先ほどのマスターがやってきて
「今 内藤ご夫妻が来られました そこにいらっしゃいますが」
「ありがとうございます」
そう言って 立ち上り洋子も付いてきた
「社長 ありがとうございます 色々と気を使って頂き嬉しいです
本当に助かります でこちらが私の秘書で田所洋子さんです」
「初めまして 田所洋子です この度はアルタさんの部長に
して頂き 感謝しております」
田所はお辞儀をして挨拶を終えると名刺を渡した
「ありがとうございます こちらが私の家内です」
「家内の真奈美です よろしくお願いします」
「山ちゃん ほんとうに申し訳ないな」
「えっ」
「れいの常務室だよ 本来我社で用意するのが当たり前なんだが
どのように配置換えしても スペースが無くて お恥ずかしい限りだ」
「いえ 逆に色々なとこに部屋があると分らなくなりますから
大丈夫ですよ 気にしないで下さい」
「うん ありがとう そうすると部屋入り口の壁にはアルタを入れる?」
「う~ん 入れても別に問題ないでしょ 鈴や本社次長室
アルタ担当常務室 神山 龍巳で まあ肩書きの世界ですが
実力がないとどうにもなりませんし いいんじゃないですか 前代未聞」
「そうですね そうしましょう あと地ビールの件 ありがとうございます
椿さんにお話をしたら喜んでいまして すぐに決まりました
助かりますよ 椿さんのとこもビール工場を大きくしているんです
この話があって 追加する事も言っていました」
「よかったですね」
一応二人の話が終ったので内藤はマスターを呼んで
「神山さんから予約が入ったら 必ずキープして欲しい
近いうちに 我社の常務になられるお方だ お願いします」
「はい 畏まりました 先ほどもお話ししましたが 先日奥様が
ご招待された方だと思い出しまして キープいたしました」
「ではお願いしますね 田所さんは美しい方ですね 神山さんに
ピッタリです 時田さんも仰られいましたよ 才色兼備だって
いまのこの格好も板についているし センスも抜群にいいですね」
「ありがとうございます これは神山さんに選んで頂いたんです」
「あっ そうですか 山ちゃん凄いね ぴったしだうん」
「この仕事着は今朝ので購入したんですよ ありがとうございます」
「気にしないで下さい 足りなかったらいつでも言って下さい
30日の辞令交付後は私に直接話をしてくださいね」
「ええ そうします」
「よかったわ ここで会えて は~いこれプレゼントよ 本当は
30日の辞令交付の後と思ったの それで今日時間が空いたから
ウインドーショッピングしていたら目に付いたのよ 入社記念かしら」
「そうだね 入社記念だ 少し早いけど受け取ってください」
「何時もありがとうございます 頂きます」
「一つは田所さんよ」
「ではお邪魔しました ゆっくりしていって下さい」
神山はお辞儀をして挨拶を済ませ内籐を2階に見送った後 席に戻った
「何かしら プレゼントこの間頂いたばかりでしょ」
「うん このロレックスがそうさ これ普段お店で扱っていない
直売店用で 日本にも余り無いんだって 希少品ですね」
「そうよね わたしも見た事無いもん 開けてみようよ 早く」
神山はなんだろうと思って開けると見覚えのある包装紙が出てきた
「ロレックスだ」
更に包装紙を開けると ロレックスの箱が出てきた
「ふぁ~ ロレックスって 欲しいとは思っていたんだけど、、、」
洋子も神山も一緒に箱を開けた
数字の書体は一緒だが洋子の文字盤にはダイヤモンドが施され
腕にはめてみるとぴったりと合っていた 今の格好でも光っていた
神山のはゴールドとシルバーのベルトでタキメーターがついていた
神山もはめてみたが 決まっていた
「ふぁ~ 素敵よ 帰りにご挨拶すればいいかしら」
「うん 今行って来よう」
神山は洋子と2階に内藤夫妻を探しあがった 直ぐに見つかり
「ありがとうございます いつもお気に掛けて頂きまして幸せです」
「ありがとうございます こんな素晴らしいの頂きまして 大切に
使わせて頂きます」
「ええ 頑張ってね お願いよ」
二人はは挨拶を済ませると自分達の席に戻った
「嬉しいわ」
「うん 素敵だよ 大切に使わないとね」
「ええ 貴方のも格好いいわ コンビが素晴らしいわ 確かこの時計
日本で余り無いはずよ だから取り寄せたのよきっと」
「そうだね 僕も知っているよ オークションなんかでまがい物が
高い金額で取引されていて 一時問題になったもんね 凄いや」
神山はタキメーターをしまい 今のままにしたが
洋子は貰った時計を腕に付けた
二人が時計で喜んでいると ステーキとワインが運ばれてきた
マスターがワインをグラスに注ぐと
「ステーキはこちらがお勧めで こちらが良く注文を頂くほうです」
神山と洋子は取り皿に半分ずつにしてわけた
「さあ では頂きましょう 乾杯」
「さてどちらから頂こうかしら 迷うわね」
「僕は お勧めから頂くよ」
「そうしたら私も」
二人はじっくりと味わいながら食べた ワインを呑み別のステーキを食べた
「お勧めは確かに美味しいね わかった人気があるほうがとろけるんだ」
「そうね そう言われると うん確かに違うわ」
「どう パレルと比べて」
「うん どちらもどちらかしら しかしこちらの人気があるステーキの方が
私は美味しいと思うわ あなたは?」
「うん ぼくもこちらの人気あるステーキが美味しいと思うよ
とろける感じと 歯ごたえ 勿論ジューシーさが必須だけどね」
「そうね あなたが言う通りだと思うわ」
ステーキ談義をしているところへマスターが笑みを浮かべこちらに来た
「どうでした お味は?」
「ええ なんとなくですが 人気が有る方はとろけますね
それしか分りませんが」
「そうですね しかしお肉はこのお勧めの方が高いんですよ」
そう言って マスターは生の牛肉切り身を二人に差し出して
「どちらが美味しいか 味わってください」
神山と洋子は小さく切られた牛肉を食べた 神山は
「こちらの方が味があって美味しいですね これが人気のお肉ですか?」
「いえ こちらがお勧めです でこちらが人気のお肉です」
神山と洋子はなんで違うのか分らなかった
「お肉は保存状態で違ってきます 次に切ってから焼くまでの時間
そしてご存知のように焼き上げる時間 勿論お肉がいいものですが
お勧めと人気のお肉は倍くらい仕入れが違います」
「そんなに違うんですか 生で頂いたお勧めお肉はどうして
人気のお肉に負けるんでしょうか」
「ええ この人気のお肉は食べて頂いたように 生ですと 特に
冷蔵庫から出したてだと硬いんです そこで放置をして置く事によって
お肉の中が柔らかくなるんです お勧めはそこまで放置しないでも
美味しさが出てくるんです 企業秘密ですがね」
「そうだったんですね なにか少し分りました」
神山は今日パレルでステーキを食べた事を話した
「多分ですが 切ってからの放置時間が少なかったんでしょうね
私も以前頂きましたが 神山様と同じ感触でしたよ 放置時間と
焼き上げる時間が微妙に関係してきますね」
「ありがとうございます 少し勉強させて頂きました」
マスターはお辞儀をして空いた皿を持って厨房に戻っていった
「そうか そうだったんだ そうすると幾ら美味しいお肉でも
その放置時間を間違えると不味くなっちゃんだ」
「良い勉強したわ 機会があったら家で試してみるわ」
「そうだね それがいい」
二人の仕事が少しずつ動いていった
殆ど食べ終ると 洋子も
「おなか一杯です ありがとうございます ほんと
こんなに毎食美味しいもの食べたら 太ります 困るわ」
「大丈夫ですよ すぐに慣れますよ おなかが」
「そんな ほんとですか?」
「うしです」
神山と洋子は顔を見合わせ笑った 神山はロレックスを覗くと
まだ20時30分になっていなかった 洋子に
「ねえ 少し散歩しようか」
「ええ そうするとおなかにいいですね」
神山と洋子は2階に上がり内藤夫妻に御礼を言ってカウンターに行った
マスターが笑顔で迎え
「ありがとうございます またお待ちしています」
そう言って メモを神山に渡した
「企業秘密ですが 公にしている部分を書いてあります」
「ありがとうございます 頂きます」
神山が清算をしその店を出た
今夜も晴れていて 夜空には星が輝いていた
青山の夜はまだまだこれからで 会社帰りの女の子達が楽しそうに話し
男女のグループでは上司が女の子を引き連れて歩いていた
カップルも肩を寄せあってウインドーの光に照らされ歩いていた
洋子は神山の手を遠慮がちに握り
「いいでしょ」
と言って 今度はちゃんと握ってきた
洋子は楽しいのと嬉しいのがいっぺんに来て神山の肩に頭を寄せた
突然神山の携帯がなり出てみると祥子だった
「これから 名古屋に帰ります」
「うん分りました 上原は順調ですよ」
「では 明日気をつけて行ってきてください また帰ったら電話します」
「は~い 了解」
神山が電話を切ると誰なのお仕事ですか 洋子が言うので
「うん ニーナ・ニーナの方ですよ 今日これから実家に帰るって
上原を心配して電話をしてきた」
「大変ね ニーナ・ニーナさんも この後御殿場アウトレットですもの」
「そうだね 僕も大変だ 美味しい食べ物を一杯食べないといけないし」
「そうね 私 インターネットで探すわ」
「お願いします まあどちらにしても30日過ぎに本格的に稼動するので
それまでは 資料集めでいいと思うよ 実際鈴や食堂が
どんなコンセプトを打ち出してくるか判らないからね
基本的にこの短時間に覚えておけば 話が出来るでしょう 知らないより」
洋子も神山の言っている事がその通りと思い頷き手をしっかり握った
そろそろ表参道にさしかかった時に洋子が
「ねぇ ここは美味しいうなぎ屋さんがあるの」
「うん おおたでしょ 時々利用しているよ 美味しいもん
アルタの高橋さんも鰻はここって言っていたよ」
「な~んだ つまんないの知らないかと思っていたのに」
洋子は握っている手を前後に振りだだをこねている子供のようだった
「わたし 絶対にここは知らないと思っていたの だって 駅前の
お寿司屋さんばっかりでしょ 残念でした 洋子です」
よほど嬉しいのか 残念がっている様子は全然なかった
表参道に来るとファッションが変った カジュアルなファッションが
多いがおしゃれに決めている しかし神山と洋子は群抜いて
おしゃれをした仲間に入っていた
Gパンは同じでもジャケットがベーシックなので目立ち 履いてる靴が
そこらの若者と違い皮なので格好良かった
洋子の格好も靴が行き交う女性と違い品がありおしゃれに見える
まだ4月というのにTシャツ姿の若者達は謳歌をを楽しんでいた
洋子がこの近くにカクテルを呑ませるお店が在るから行きたいといい
「何でも揃っているのかな」
「うん 私は年に数回しか来ないけど 結構種類はあるみたい」
「行ってみよう」
神山と洋子はその店に向かった 角を曲がった店は直ぐに判った
入ってみるとジャズが鳴っていて みな楽しそうに踊ったり
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