「はい 行ってきます」
そう言い 部屋を出て本社前に行くと まだ時間があるのに
時田と田所が待っていた 副社長の車も準備して待機していた
翔は田所を発見したので
「先ほどは失礼致しました これから先輩のお手伝いです」
そう言って過ぎ去ろうとしたが 神山が田所の脇にいる人に
何か言い 挨拶をしているみたいだった
田所にも何かを言っている なんだろうと気になったがまあ先輩にお任せ
の気分でいると 神山はちょとこいと言っているので傍に寄った
「翔 この方をご存知か」
翔はどこかで見た事は歩けど 首を傾げていて
はっとなり
「時田副社長 催事課装飾担当係長 杉田 翔 です」
杉田は持っていた荷物を落としてしまった
躰が動かず どうにもならなかった
「おお 杉田君は君か」
「はい」
杉田は実際に会った事のない偉い人から声を掛けられたのは
入社以来だった
「今日は ご苦労さん 先輩の大事な荷物 落としているぞ」
「はい 分りました」
杉田はこちこちの躰を何とか動かした 荷物を持ったので
「では 翔 いくぞ では先に行きます」
「おお 見失わないようゆっくりな ははは」
「はい 分りました」
杉田と神山はタクシーを拾い 行き先を告げ 後ろから
一台車が付いて来るので ゆっくり走るよう言った
「先輩 なんですか 副社長と」
「美味しいお魚が食べたいんだと」
「それはそうですが そこでなんで先輩なんですか?」
「まあ 行けば分るよ」
杉田は訳が分らなかったが 店長じゃなく副社長と一緒なんて
どうなっているんだ と翔は考えたが分らなかった
「洋子 あの杉田君も面白い子だな」
「ええ 個性が強く 芯がしっかりしています 確か同期では
トップ3に入っていると思います」
「ほう 山ちゃんの二代目か いや倉さんの三代目だな
催事課は良い人材を 育てている 奥村君は確か全店同期で一番だな」
「ええ」
「やはり 上がよくないと いい人材は育たないのかな?」
「そうですね 上が良いと見習いますね 催事課がいい例ではないですか」
「そうすると 奥村君は寂しいだろうな この人事で」
「ええ 多分」
「まあ 仕方ないな 山ちゃんは催事課の器では小さいな」
「ええ 本社企画でももてあますでしょう きっと」
「ほう そんなに切れるか」
「切れ味抜群ではないです しかしピンポイントで決定が早く
その決定した事は殆ど間違っていない でしょうか」
「うん」
「やはり 柔軟な考えの持ち主です これが駄目だったら こうする
その時の決断力の回転の速さですね」
「うん どうだ 洋子 男か」
「はい 催事課はみな サムライですね2代目倉元ですかね」
「うん あす奥村君に本当の所 聞いて見るか 聞いてもどうにもならんか」
「実際は杉田さんより若い方が良いかもしれませんし」
「そうだな 杉田君はいくつだ」
「たしか 35です」
「ちょうど真中のパイプがなくなったんだな 聞いてみよう」
その頃 奥村と倉元が話していた
「しかし 翔が行って邪魔にならないですかね」
「うん 洋子ちゃんも一緒だって」
「しかし あいつ あがって何も話せないじゃないかな
時田さんの事知っているだろうな 挨拶無しなんてしなければいいが」
「おう 大丈夫だろう」
「しかし山ちゃん なんでそんなにカチンと来たんだろう」
「おう 店長がめし無しで待っているのを 洋子ちゃんから聞く
そこで 山ちゃんが気を利かせた 美味しいから鯖の切り身
そしてビールを用意 それで冷たい美味しい魚でクーラーBOX
そこで 又注意 最後は洋子ちゃんが出てきて お終い
結局 山ちゃんの作戦勝だ」
「うん そんな感じですね さっきの倉さんの電話と照らし合わせると」
「そこで奥ちゃん 明日にでもなんか用件作って 今夜を含め
あやまっておいたほうがいいぞ まあ催事課はサムライだからな」
「そうですね 山ちゃんの件言っておきます」
お客さん着きましたよ とどこからか声が聞こえた
「先輩 起きてください 着きましたよ」
神山は後ろを見るとちゃんと付いて来てくれた
翔が先に出て 神山はチケットを渡した
後ろの車も二人が降りて こちらに来た
車は どこかに止まっているみたいだ
時田が
「ここか ニーナ・ニーナのアンテナショップは」
「はいそうです どうぞ中にお入りください」
時田は進められて中に入ると アルタの高橋が
「副社長 ご無沙汰しています こんばんわ」
「おお 高橋君じゃないか 元気かね」
「はい まあ何とか 今夜はなにか?」
「うん 美味しいの食べに来た」
神山がクーラーBOXをさした
「ここの現場は 順調ですよ なにしろ山ちゃんがいるから助かります」
「うん ここでも山ちゃんか」
「えっ」
高橋はなにか悪い事でも言ったかと思って 神山を見たが
首を斜めにして わからないよと 言っているように見えた
「いや 山ちゃんは現代のスーパーマンだ なぁ 山ちゃん」
そう言って後ろを振り向いたので
「ありがとうございます これからは透視の目を付けます」
時田 洋子 神山 3人 訳がわかっているものが笑った
「高橋君 なかなか良く出来ているね 山ちゃんのデザインか」
「違います ベースはニーナ・ニーナさんで味付けなど山ちゃんです」
「うん あそこの照明なんかなかなかいいぞ ですぎずしかし綺麗だな」
「あれは山ちゃんです」
「ほう いいセンスを持っている」
「午前中次長室の立ち上げで基礎とか作ったんですが
全て山ちゃんのアイデアとデザインになりました
28日に引渡しですから楽しみにしてください」
「おお そうか28日だな わかった 覚えておく
そんなに凄いか」
「それもお楽しみです あっ田所さんも内緒ですよ」
「はい 分りました」
「ところで 孝ちゃん うちの若いの初めてだよね」
「ええ」
「神山先輩の部下で 杉田翔と申します 宜しくお願いします」
「私は高橋と申します 何時も神山さんに助けて頂いています」
「まあまあ それでは洋子さん 翔を連れて先に行ってて頂けますか」
「神山さんは」
「すぐ追いつきます」
「僕は先輩と行きます」
「だめだ これは部長命令 何かあった時 男の翔が守るんだ いいな」
「はい 分りました」
「では 頼りがいのある 杉田さん 副社長をしっかり守ってね」
「あっ 洋子さん クーラーBOXといつものって女将に言えば
奥の座敷に行けますよ」
「はい 分りました」
分かれた神山は高橋とルーバーを見た
時田が言っていたように でしゃばらない優しい光線だった
「どうしたの 時田さん」
「知っていたの」
「うん 今は無いけど 昔ゴルフをした仲さ 内藤 西野理事と」
「そうか なるほど お昼のお土産は時田さん 美味しいから
その店連れて行けって それでこうなった」
「なるほど で荷物が多いから 杉田さん同行か」
「これ邪魔にならない場所に置きたいな これはコップなんだよ」
「うん そしたらバックヤードは今 駄目だから そこの角にしましょう
皆気をつけるから 大丈夫だよ さわるなを書いておく」
「ありがとう で今夜は何時まで居ます?」
「今夜は10時か11時で終ります なんで?」
「久保さんとここで待ち合わせさ」
「ご馳走様」
「照明を見てみたいと言っていたし さっきの小物も渡したいんだ」
「了解 彼女が来るまで帰れないわけね それまで時田さんと?」
「うん 翔だけじゃね」
「早く行ったほうが良いよ」
神山と高橋は分かれた 時計を見ると6時過ぎだった
祥子に電話をした
「神山です 今日はありがとうございます」
「いえ こちらこそありがとうございます」
「何時になりそう?」
「やはり青山出るのが 8時頃かな」
「わかった 僕は接待で寿司屋に居ます 現場は10時頃まで
居るので 現場についたら 携帯に電話を下さい
照明が綺麗なのと 昨夜の小物準備してあるので渡します」
「ふぁーうれしいわ 現場で電話します では」
神山は電話を切ると寿司屋に入った
時田達は一番奥に座っていた 大将にクーラーBOXを返し
「あまりに美味しいから 今日来るって それで来ちゃった」
「お聞きしました ありがとうございます 皆さんお待ちですよ」
「はい」
神山は
「大変遅くなり申し訳ございません」
みなにお辞儀をした それを見ていた洋子が
「ねぇ 私の勝でしょ はい 千円頂戴 あなたが言ったんですからね」
「なんだ 僕は賭けの対象物か?」
「そぉ 杉田君が 先輩は柔らかい挨拶ですよって
きちんとしないですよって 言われたの だから私はきちんと
遅くなって申し訳ございませんって言うわよっていっても聞かないの
そしたら 杉田君が よし田所さん賭けましょう
1万円でどうですか だから私が負けたら1万円だすわ
その代わり杉田さんは1千円で良いわって話」
「なんで僕が 変な挨拶すると思った」
「だって 先輩いつも 呑み会の時 変な挨拶ばかりじゃないですか」
「ばかもん 時と場所を考えろ 社長大変申し訳ございません」
神山が頭を下げ謝った 杉田も頭を下げた
「山ちゃん もう許してあげろ 充分 分っただろう なぁ杉田君」
「はい 済みません 馬鹿でした」
頭を上げた神山は
「翔 もう分ったな 頭上げろ」
杉田は恐る恐る 頭をあげた
「なあ 僕が変な挨拶している時は 僕だけでない 奥村課長
倉さん 身内で遊んでいる時じゃないか そこを見極めないと
失敗するんだ わかった」
「はい 以後気をつけます」
神山は1万円をだし 洋子に
「洋子さん 済みませんでした 私がしっかりと教育していませんでした
これは 千円では済みません 同額の一万円を私がお払いします
どうぞ受け取ってください」
「しかし 先輩」
「うるさい 勝負に負けて 掛け金まで負けてもらって
なんとも思わないか 翔」
「わかったわ 頂くわ ふぁ 嬉しい 神山さんからもらっちゃった」
「田所さん 済みません 副社長 申し訳ございません」
また 頭を下げた 翔は今度は泣き出した
「杉田君 君がへまをすると 上の人間 又上の人間 と言うように
責任をとる訳だ 分るかね
その逆に 良い事をすれば 上の人間が誉められ 又上の人間が誉められ
最後は自分が皆から誉められるんだ わかるかね」
「わかります すみませんでした」
「なあ 翔 僕だって一杯失敗はしている だけど二度までは
許される しかし三回失敗すると 今度は許されるんじゃなくて
自分の居場所がなくなるんだ 覚えといたほうが良い
社長のお言葉も胸に刻みなさい いいね」
「よし では楽しくいこう なあ杉田君」
「そおよ 若いんだから さっきみたいに元気だしなさい」
「はい」
「いいよ いつまでも泣いていろ 全部食べるからな後で文句いうな」
「だめです 食べます だって先輩 何時も美味しいの食べてるって
聞きましたよ 僕なんか 社食なのに ずるい」
「わたった 食べなさい ただし社長にお断りするんだぞ」
「はい」
翔がようやく元気になって 副社長頂きますと 言いながら食べては
本当に美味しい 美味しいを言った 神山も頂きますと断って
食べるとやはり美味しかった
「山ちゃん ここのしめ鯖は何時も食べているの?」
「いいえ 今日昼来た時が初めてです 鯖は頂いていると思いますが」
「なんだ 記憶が無くなるほど のんでんのか ここで毎日 ワシより
贅沢しているな」
「少し当りですが 記憶出来ないほど仕事をしているんです」
「わかった そうだな 舌の記憶なんて 余り当てにならんな
五感で覚えるのが一番だな なぁ 杉田君」
「ハイ 私も 五感で覚えたほうが確かだと思います
釣りとかもそうですよね 全神経を釣り竿の先に集中させ
魚をおびき寄せて釣るわけですよね そうだと思います」
「おお その若さでつりをやるのかね?」
「ええ真似事です」
「社長 翔は僕より若いのに 趣味は爺臭いんです
その他に 囲碁だろ ゲートボールだろ そうだ 盆栽です
どうですか 35歳でこの趣味 決して悪い事じゃないですが
35歳の趣味ってなんか違うように思うんですよ」
「ほお 盆栽か いいな 眺めているだけで 気が休まるな
しかし ゲートボールとは」
「はい ゴルフをしたいんですが 高いですし集中力を磨く為です」
「ほお 集中力が身に付くかね 洋子そうか?」
「ええ しかしそればっかりではないと思いますけど
体力の衰えを補う事が主ですから しかし集中しないと出来ませんね」
「ぼけ防止に良いのは マージャンも良いって報道してました
西野理事は昔から言われてましたけどね」
「ほお ぼけ防止にマージャンか なるほど
洋子 ワシもこれから 若いのと一杯機会作って エキスを貰わないと
だめだな 何時もじじばば相手だと 若返るどころか老けて行くな」
「そうですよ 例えば 奥村課長とか 結構ためになります
昨日も勉強しましたし 後はご自身のやる気ですね」
「うん これから機会を作ろう う~ん 今何時だ」
「はい 7時です」
「うん ちょっと秘書に電話して ワシが明日の晩空いてるか聞いてくれ」
「はい」
洋子は秘書課に電話をして副社長の明日の夜を聞いた 頷き
「5時から空いていますが いかが致しましょうか」
「うんそのあと何も入れるなと言ってくれ」
洋子は その後 ご都合があり予定を入れないようとの事です と伝えた
「5時以降都合有りで伝えました」
「うん 奥村君に電話して 6時から都合つけろと言ってくれ」
洋子は催事課に電話をし 奥村課長と話をした 頷いた
「どこにしますか」
「地下 四季 6時」
洋子は 時間と場所を伝えた
「奥村課長ったら かしこまっていましたよ」
「楽しみだな なぁ 山ちゃん」
「どんなお話しになるかお聴きしたいですね 勉強になりますし」
「そうだな おお 杉田君元気ないな えぇ」
「はい 元気はありますが 正直私の生活と違う空間なので戸惑っています」
「そうだな 山ちゃんも昼間元気無かったもんな」
「ハイ有りませんでした では 冷酒にしましょうか
それともこのまま 燗で宜しいでしょうか」
「うん 燗で頼む」
神山は手を挙げ女将を呼んだ 燗と例の細巻きを
おつまみだから8巻きりで2人前頼んだ
時田は酔いが廻ってきたのか赤くなってきた それでも充分話せた
「翔 いいか 今ここでした話は絶対に内緒だ いいね」
「はい 分りました しかし ここの日本酒美味しいですねぇ」
「まぁ 昨日奥村課長に送って頂いたの覚えている?」
「ええ今朝言われました すみません」
「あれだけ呑んで 今日も呑んで 大丈夫なの?」
「洋子さん 催事課のサムライはそうでないとやって行けないんです
昨夜の翔みたいに 多少は迷惑を掛けますが それが明日の
エネルギーになるんです なぁ 翔」
「ええ そのとうりです だから 愚痴がでたりします
普段 そこを乗り越えないと仕事進みませんから ねぇ 先輩」
「うん そうだね 社長 私は昨年4月にこちらに来たんですが
その歓迎会で 嬉しすぎて呑み過ぎ倒れました
大好きだった上野を離れ 銀座で頑張っても空回りし それが
ストレスになっていて しかし腹を割って話をすると私を
心配していてくれて嬉しかったです それからウイスキーとかを
訳分らなくなるまで呑んで 倒れました」
「そうそう あれを思えば 昨夜の僕は可愛いもんでしたよ ねぇ先輩」
「うん そうだな 悪かったな しかし今夜はお助けマン誰も居ないぞ」
「えっ 先輩 それはないでしょ」
「これから仕事だ 付き合えない だから呑んでも良いが
自分の力で 帰りなさい いいね」
「はい 分りました 自分の足で帰ります」
「僕が抜けた後 社長のお供をしてしても良い だけどちゃんとしろよ
ところで タクシー代持っているか?」
「ええ だけどぎりぎりかな」
「わかった」
神山は 1万円渡し
「これは 今まで 助けてもらったお礼だ 少ないけどな とっておけ」
「ふぁ ありがとうございます たすかった これで副社長の
ガードマン出来ます ありがとうございます」
「良かったわね 杉田君 ところで お仕事とは?」
「ええ さっきの荷物 ニーナ・ニーナの飾付けの小物なんです
それをシュミレーションしないと行けないので
今夜のうちにやっておいた方が 良いと思いまして
済みません社長 我侭を言いまして」
「いや その気持ちがないと だめだな うん勉強になった
うん 今夜は勉強させられた 杉田君 一つ正直に答えてくれ
それでこれは秘密だ 漏れたら君は左遷だ いいか
君の上司が欲しいか? それとも部下が欲しいか?
上司とは 山ちゃんのような 担当課長だな どうだ?」
「はっきりは分りませんが 僕は甘えん坊なので 先輩が欲しいです」
「わかった ありがとう 絶対に秘密だ いいね」
「はい 左遷なんて絶対に嫌です 銀座に骨を埋める覚悟です」
「ほお 洋子 さっき言っていた通り サムライだ
まだ小さいが サムライだな」
時田が涙ぐんだ すかさず洋子がハンカチを渡すと いらん と断られた
洋子は 昨日の神山を思い出し 胸を熱くした
翔が 時田の涙を見て
「副社長 ありがとうございます」
と 一言いい 時田にお酌をした そして自分の小さいグラスに注ぎ
一口で呑んだ 今度は時田が 神山と杉田にお酌をした
二人とも ありがとうございますと言って 又呑んだ
そこへ女将が日本酒と細巻きを持ってきた
「ここの美味しい細巻きです」
「ほお 美味しいな ほら見ていないで食べなさい」
洋子も神山も杉田もネギトロをつまんだ
「先輩 ここに今度来ても良いですか?」
「うん いいよ 小谷さんを連れてくるんだろ」
「えっ なんで知っているんですか?」
「何も知らないよ このあいだ なんか未練たらしかったじゃん
だから 多分そうかなって 事さ じゃあ 上手く行っているんだ」
「ええ 携帯の電話番号を聞きました だけど誘って来てくれるかな?」
「それとなく聞いてみようか」
「だめです 悪口言われ 破談になります 絶対に駄目ですからね」
「わかった じゃあ 悪口一杯高橋さんに言っておく」
「わかりまし~た 何も言いませ だから グスン グスン 止めて」
「ははは 杉田君は正直もんで 純朴だな いいじゃないか
当ってくだけろ なぁ山ちゃん」
「えっ ええ まあ ええ」
「先輩 言葉になっていないですよ さては 田所さんに
いかれたんでしょ こんなに綺麗になったもんだから」
神山が何も言えず黙っていると 杉田が
「やっぱり 顔を真っ赤にしているし 僕の事苛めるからですよ」
「翔 違うって 言われた意味を考えていたんだよ 顔が赤いのは
翔だって 真っ赤だったぞ 早とちりするな」
「は~い 分りました なんだ違うのか 先輩嘘は駄目ですよ
いつも先輩が言っているんですからね いいですね」
みかねた洋子が
「ねぇ 小谷さんて アルタのかた?」
「ええ 凄く可愛くて あっ もう だめです
大人の人は話が上手だから すぐに引っ掛かってしまう
もう 上手なんだから」
「そう 私にも言えないの 折角情報を集めてあげようとしたのにな
だって 杉田君とそんなに歳も離れていないでしょ どう」
「えっ、、、」
「好きな食べ物は何かとか どんな音楽が好きだとか、、、
ほら きっかけを作るのにねぇー どうかしら」
「言います お願いします 集めてください
会社はアルタさん 本社受付嬢です 電話番号は」
「電話番号は会社でいいのね」
「はい」
「お名前は?」
「小谷 美佳さん 25歳です 凄く可愛くて
僕の妹と同じくらい可愛いです あっ すみません」
「わかったわ 調べるけど 向こうがあなたに興味無しだったら
先方から電話無いと思うわ そうしたらしつこく追いかけたらだめよ
それが理解できるなら お手伝いするわ 最初だけね」
「はい 理解できます 振られたら仕事に熱中して潔く忘れます
なので お願いします」
「はい わかったわ」
「はい お願いします」
杉田は お辞儀をしてお願いした
一段落して又 みなで呑んでいると神山の携帯がなった
「はい 神山です」
「山ちゃん 着いたよ」
「えっ どうして?」
「バッテリーが切れたそうだ」
「うんわかった 伺います うーん まだ少し時間が掛かります
でもなるべく早く行きますよ ごめんね」
暫くして 神山は皆に挨拶をして出る時 洋子が近寄ってきて
「おじ様と私の親戚関係は誰かに話した?」
「いいや 関係ないからね 周りは」
「うん ありがとう でもちょっと心配していたのよ」
「そうだね 僕にとっては ありがたい存在だ
しかしそれを廻りに言い触らして損をするのは僕だけだよ
信じてくれ それから社長の事頼んだよ まだ居るつもりかな?」
「分らないけど大丈夫よ 明日何か有ったら電話ください」
「うん 電話する 声も聞きたいし」
「ええありがとう がんばってね」
神山は大将にお礼を言って店を出た
時田の車は直ぐ傍に横付けされていた
車の前が都道の方に向いていたので多分現場にはこないだろうと
思ったが なにかいい案がないか考えた
「洋子 清算してくれ ワシらも帰ろう」
洋子が神山と別れ戻ってくると 帰る仕度をしていた
「この杉田君とちょっと呑んで行こう いいね」
「はい」
洋子が清算すると 車に乗った
翔は神山が ゆっくり歩いているので 車を降りて近寄り
「先輩 大丈夫ですか?」
後ろから突然言われ
「うん 大丈夫だ 仕事を考えていた ありがとう どうした?」
「ええ 帰りますが 副社長がどこか連れて行ってくれるそうです」
「わかった 翔は用心棒だからな 気をつけてな」
「はい 分りました」
「うん 頼んだぞ」
「ねぇ なんか良いですね 男の人って」
「そうだな 先輩が肩落として歩く後姿みて駆け寄る後輩は居ないな」
「杉田君 あんなに呑んでて駆け足して大丈夫かしら」
「若いし 平気だろう それよりこれから行くとこは
本当に小さな 呑み屋だ 知られたくない 杉田君にも
含めていって欲しい もっともごちゃごちゃしてるから分らないと思うが」
「はい 分りました」
「そんなに呑めないから 彼が呑みたそうだったら 洋子頼むぞ
「ええ しかし帰るでしょう 神山さんからも言われているし」
「そうだな でも山ちゃんはあれだけ呑んでこれから仕事だって 凄いな」
「ええ 今まで鍛えられたんでしょ 素敵です」
「ははは 戻ってきたぞ 頼むぞ 洋子 あっ親戚の件は?」
「周りに話をして損するのは僕だって言ってました 信じてくれって」
「うん山ちゃんらしいな もっともオレは信じていたけどな」
「違います 私が信じていて ご自分は心配していたんでしょ もう」
「お待たせしました 大丈夫でした 仕事のことを考えていたそうです」
「うんわかった よかったな では運転手 出てくれ」
「はい 分りました」
.