2013年4月3日水曜日

薔薇 5 - 30 Vol. 2



神山と内藤社長 洋子も1階の玄関まで見送った
アレックスグループが見えなくなると内藤社長は
「山ちゃん どうなってんの 信じられないよ アレックスジャパンが
アルタの傘下って」
「ええ 企業買収だと色々面倒な事がありますが
このように入っていって実績を作ってから株主総会で承認
そのあとで良いでしょう企業合併は」
「しかし 期待していた以上 いやまったく想像をしていなかった」
内藤社長は受付嬢の小谷に
「課長以上 大至急会議室集合 大至急だ頼む 駆け足で来るように」
「はい 各部署に伝えます 10分位掛かります」
「うん 頼んだよ」
内藤社長はようやく神山がスーツを着ていることに気がついた
「山ちゃん このスーツ 最高ですね どこですか」
「ええ ニーナ・ニーナのスーツです」
「えっ 紳士物は扱っていないでしょ」
「ええ 以前ニーナ・ニーナのファッションショーでモデルが着る為に
作られた特注品です 世界に3着しかなく先日 筒井さんから
プレゼントされた物です」
「う~ん 見れば見るほどいいスーツだ 洋子さんと同じ生地だから
二人で歩いていても違和感がないよ よかったね」
玄関の脇で二人が話していると小谷が内藤に  
「今 会議室に全員が揃ったと連絡が入りました」
「わかった 山ちゃん 田所さん 行きましょう」 
会議室では内藤社長はなにを発表するのかざわざわしていた
内藤社長が入り その後に神山と洋子が入ってきた 内藤社長が
今日の人事命課の件で2人を紹介して
アレックスジャパンの広告全てをアルタが行う事など
契約書のコピーを見せ説明した
終ると拍手が起こったがざわめきも起こった 内藤社長が
「山ちゃんはこの会社でも 私の次に位置してください
特命は追って発令します」
「ありがとうございます しかしそんな」
「好きなようにしてください お願いします」
「はい 分りました ありがとうございます 田所さんも一緒に
特命をお願いします」
「はい 承知していますよ ではちょっと私の部屋まで来て下さい」
神山と洋子は内藤社長の部屋に行くと
「山ちゃん 改めておめでとうございます 初日から大活躍で
嬉しく思っています これは少ないですが今後の資金に当ててください」
「そんな 何時もお世話になっているのに」
「今までは今まで ねっ」
「ありがとうございます」
神山と洋子はお辞儀をして包みを受け取った
「それからこれは株の証券です 名義変更は済んでます
我社の社員ですから株主になってください 気持ちです」
白い封筒を二人に手渡しした
神山と洋子はお辞儀をして頂いた
「さあ これで儀式はお終いです」 
「ありがとうございます では役員の方に挨拶を済ませ次長室に行きます」
内藤社長は頷き 役員室を案内した
佐藤部長を始め役員からも封筒を貰った
役員達への挨拶を終ると内藤社長に2日の件のお礼を言い
貴婦人に乗り込み次長室へ向った

「貴方の言っていた通りになったわね すごいわね
アレックスジャパンの最高責任者だって なにか夢を見ているみたい」
「夢じゃないよ こうやって 入り込めば実績が付くしね」
話していると直ぐに次長室についた
「あ~あ 終った 疲れた」
「ほんと お疲れ様でした」
洋子は神山にキスをした
神山は洋子に
「副社長に電話をしてください 伺うと」
洋子は電話をすると 部屋にいると教えられた
神山と洋子はそのままの格好で副社長に会いに行った
本社秘書室だけでなくフロア全体が騒々しかった
神山がフロアに着くとみんなが神山に近づき
「おめでとうございます すごいですね」
と挨拶をされた 秘書室に行くと
「副社長がお待ちかねよ おめでとうございます」
「ありがとうございます」
神山と洋子が部屋に入ると立ち上がって神山を迎え
「山ちゃん おめでとうございます 初仕事凄いじゃないか
さっき内藤社長から聞いたよ ほんとおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「まあ 座りなさい そうだ ちょっと待って」
時田は部屋のクーロゼットからブランディーを出すと秘書室に
電話をして 氷とつまみを大至急持ってくるよう指示した
「しかし 山ちゃん凄いな アレックスジャパンの最高責任者で
全ての権限を握るって なんか計り知れないな 山ちゃん」
「いえ 私だけではないです 洋子さんをはじめ皆さんの応援で
出来た事です 決して私だけではありません」
神山は洋子に頷いて見せた
「そうは言っても山ちゃんが交渉したんだろう だから素晴らしい
幾ら下準備が出来ていても料理できなければ ただの人だよ
わしは社長の権田さんに連絡を入れてないが喜ぶぞ」
秘書室が氷と魚の珍味やおつまみを用意した
時田がブランディーを皆のグラスに注ぎ
「おめでとう 山ちゃん 乾杯だ」
ささやかな祝賀会が行われた 時田は嬉しくてしょがなかった
池上店長が惚れる意味も分った いい男だった
時田は洋子と一緒に成ってくれればいいと願っていた

神山が
「社長 お願いがあります」 
「うん なんだ」
「ええ 10名ばかり入る部屋を貸して頂けませんか?」
「そうか 必要になったか ちょっと待ってくれ」
秘書室に西野理事を呼んでくれと指示した 
「山ちゃん 10人入らなかったら6人でも良いか」
「ええ アルタのデザイナーを私の直轄で動かすのに離れていると
少し無理が出来ます そこで次長室の上が空いてたと思うんですが」
「そうだな」
「出来れば あのビル内がいいのですが」
「うん」
その時戸がノックされ西野理事が部屋に入ってきた
「社長お呼びで いい香りですね お 山ちゃんおめでとうございます」
「まあ 西野君 座ってくれ 大丈夫だろ」
返事を聞く前に時田は西野のグラスにブランディーを注いだ
「頂きます」
「なあ 西野君 次長室の上の部屋開いているだろ 山ちゃんが
使いたいんだと 何とか成らんか」 
西野は少し考えて
「大丈夫ですよ ご安心下さい それで目的はアルタのデザイナーですか」
「うん 直轄のデザイナーを何名か移動して使うことになる」 
「ええ 大丈夫です 山ちゃん 来週4日の月曜日からで良いかな」
「ええ ありがたいです すみませんお電話をお借りします」
神山は内藤社長に事の経緯を説明し了承してもらった
人選は今日、明日行う事にした 高橋のスケジュールを聞くと
あのチームが御殿場アウトレットに移行する事まで聞いた
神山は内藤社長に礼を言って時田と西野に
「内藤社長からOKを頂きました 人選は今日明日行いますが
ニーナ・ニーナの上原チームが御殿場アウトレットに移行するので
そこらを中心に人選を進めます」
「うん わかった 頼んだよ さあ 呑もう」 
西野が
「どうだい あの車」
「ええ ありがとうございます 先日も東名を走りましたが
絶好調ですね 150を出してもぜんぜんぶれないし 
気持ちよく飛ばせました」
「そうか 150も出すのか そうだよな あの時も一緒に乗っていた
連中 怖くなって 酒が冷めたと言っていたな わしも冷めたが」
大笑いした 
「そうそう あの時は確かターボがよく効いて楽しかったですね
確か180位だったと思いますがね」
「そうだ 今でも思い出すが ベンツと競争したんだよな うん
思い出した それで勝ったんだもんな」
「ええ ベンツの時は針が振り切れていましたね 230は
出ていたでしょうね」
「あの時は本当に怖かった あっという間に目の前にある景色が
後ろだもんな 思ったよ 金輪際山ちゃんの運転する車には乗らないって
命が幾つあっても足りないもんな」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 今は安全運転ですよ」
「いやいや その手には乗らないよ 怖いからな」
みんな大笑いだった
「ところで 西野理事 ホンダや日産 トヨタなど車メーカなんですが
偉い人をご存知ですか」
「う~ん トップは無理だな なにか 御殿場アウトレットか」
「ええ アレックスジャパンブースで車を狙おうとちょっと
考えているんです アレックス氏はF-1を持って来てくれると
言ってくれました」
「なに F-1を 飾って効果は覿面だな フジスピードがあるし
う~ん 少し時間をくれ」
「はい ありがとうございます 期待して良いですか プランに入れますが」
「なんだそこまで考えているか」
「ええ 時間ないですよ」
「うん 入れて良いぞ」
「おお 西野君がおたおたしたのは久しぶりだな 山ちゃん西野君に
任せれば大丈夫だよ ここまで言って出来ませんは絶対にないから」
「はい ありがとうございます 社長 教えて頂きたいのですが
御殿場アウトレットは静岡県の肝いりで行われていますよね
で国土開発課が担当している所までは分るんですが
実際の開発者は何方なんでしょうか と言うのもその方の意見を聞きながら
静岡県を味方につければ仕事がやり易くなると思っています」
「わかった 調べておく しかし県を味方につけるとは考えられないな
なみ外れた考えだけど 出来ない事はないよな
アレックスグループの件もあるし 山ちゃんと夢を話しても
現実にするから凄いな わかった 少し時間をくれ」
「ありがとうございます 非常に助かります 忘れていましたが
2日の件ありがとうございます 
それでアレックス氏も飛び入り参加をして頂けます」
「えっ アレックス氏が 山ちゃんの、、、ほんとかね」
「ええ 先ほど決まりました 私の招待客です」 
「あのアレックスグループのアレックス氏が、、、」
「ええ ねえ洋子さん」
「はい 私も耳を疑いましたが来られます」
「はあ それで内藤社長はご存知だよね」
「ええ そうすると内緒にしたかったんですね では内緒で」
「うん しかしアレックス氏がね 不思議なんだ
なんで アレックスジャパンを山ちゃんに任せるかってところが
幾ら考えてもわからん 内藤社長もそこまで言われなかったし」
神山は次長室でゆっくりしたかったので
「社長 西野理事 ありがとうございます 次がありますので失礼します」
「おお そうかごめんごめん そうだなこんな時間だ 悪かった」
神山と洋子は二人にお辞儀をして次長室に戻った
部屋に入ると神山と洋子は普段の仕事着に着替えた

時計を見てみると16時30分を指していた 
神山はアルタの佐藤泰治部長に電話をして昼間のお礼を言ったあと
内藤社長に伝えた人選を次長室で行うので佐藤泰治部長と
高橋課長に来て貰いたい事を伝えると17時にくる事を約束した
神山は洋子にアルタの2人がくる事を伝え少し横になった
「悪いけど20分位横になる 起こしてね」
「は~い 分りました 私は飲み物とか用意しましょうか」
「うん 適当に地下でお願い その後はどこかに行くかもしれないし」
「は~い 分りました」
そう言って洋子は出かけ神山は横になった

ぐったりしている体を誰かが起こしていると感じ目がさめた
「あなた 時間です 起きてください」
神山は少し横になったので楽になった
「はい コーヒー」
「ありがとう さて準備するか」
次長席に座るとアルタの包みを開けるのを忘れていた  
内藤社長が2000万円 役員が5人で300x1500万円
神山は洋子を呼びアルタからのお祝い金だと言って1500万円を渡し
預かってもらい2000万円は神山が預かった
「洋子 幾らになった」
「ええ 使い切れないわ 3800万円よ」
「えっ 3800万円 それじゃあ ベンツも買えちゃうな」
「ええ ほんと 私 こんなにお金持っていて良いのかしら」
「うん 直ぐに使うようになるよ さあ ちゃんとしまって置いてくれ
僕の所には5600万円だ そうすると 9400万円」
「えっ9400万円 へぇ~」
「まあ 大事に使おう」
「は~い 分りました」 
二人が現金を引き出しにしまうとインターフォンが鳴り
洋子が応対するとアルタの佐藤と高橋だった
自動ドアが開き中に入った二人は内装の奇抜さやデザイン性に
驚き 暫くは声も出なかった 神山が
「さあ どうぞ ようこそお越しくださいました」
高橋が
「山ちゃん 一応目を通していたけど出来上がりは凄いね
奇抜な感じはするけどモダンで落ち着くね」
「ありがとう 狙い通りさ」
佐藤が
「山ちゃん 凄いねいい部屋だ ほんと」 
二人がソファーに座ると洋子が冷蔵庫からビールを出して
みんなに配りグラスに注いだ 神山が
「この部屋は 僕の部屋です ぼく流にします さあ呑んでください」
みんなで頂きますといって呑みながら仕事を進めた
「さて 御殿場アウトレットのプロジェクトチームを作ります
先ほど内藤社長と相談して決めました
まず 私のこの上に部屋が空いています
そこに文京の本社からここに移動して頂きます」
神山はGプロジェクトの概要を説明した
御殿場アウトレットで3つのブースを造る事が決まっている事
3つのブースとはアレックスジャパンブース、ニーナ・ニーナブース、
鈴や食品ブース(仮称)
各ブースリーダーが選抜隊としてここで働いてもらう事
各ブースリーダーの下に2名位つける この人たちは本社勤務
あとグラフィックデザイナー1名をここで勤務してもらう
常勤はこの4名構成になることと非常勤で見積もり関係1名
そこで高橋 内野 田中の3名が選抜隊としてここで勤務し
各ブースリーダーに成ってもらう
決定事項は来年4月4日日曜日にグランドオープン
前日前夜祭 各ブース引渡し3月25日前後
内装工事来年3月1日前後着工 本体建築工事着工10月1日前後
本体建築設計開始8月1日前後
大体のスケジュールを説明していくと 佐藤部長が
「本体工事が始まるとここでの仕事がなくなるのではないでしょうか」
「大丈夫です あります 各ブースではイベントスペースを設け
その大きなイベントは年に2,3回 或いは4,5回と入れ替わります
そのデザインも行っていきます オープンしてからも継続的に
行いますから仕事はあります そのイベントスケジュール計画にも
当然参加してもらいます 企業との打ち合わせから
全部ブースリーダーが行います 以上ですがご質問は」
「上の部屋へ引っ越すのは何時ですか」 
「ええ 5月4日 月曜日です 尚 勤務環境が変わるので
出来るだけ移動できる物は移動してください」
「山ちゃん 大変な仕事だけど楽しそうだね」
「孝ちゃんの言う通り 大変だけど出来ない事ないんです 楽しいですよ
今までの既成概念を破ってデザインをして行く訳ですから
それから 月2回位は一斉休みを設けます 後は週2回の休みを
個人のスケジュールで取ってください 勤務時間が絡みますので
詳細は内藤社長と決めていきます」
神山のGプロジェクト概要を聞いた高橋と佐藤は相談して佐藤が
「では 私は 本社に戻って候補者選びをして明日高橋君に
決定して貰います あとお聞きしたいのですがGプロジェクトの
メンバーになるとその仕事だけで 他の仕事は出来ないと考えて
いいのですか それとも仕事がない時は他の仕事をして良い訳ですか」
「ええ それはお任せしますが ただ暇になることは無いと思いますよ
最初の1ヶ月は休みなしの覚悟が必要です」
「はい 分りました では戻って候補者選びをします 失礼します」

佐藤はお辞儀をして部屋を出て行った
打ち合わせが終ったのは19時を過ぎていた 神山が
「孝ちゃん 時間は」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい あけて来ました」
「洋子さん どこで食べる」
「ええ ゆっくり出来る所って上原しかないですね」 
「そうしたら 上原にしよう」
神山たち3人は部屋を出てタクシーで上原の駅前寿司屋に向った
駅前寿司に着くと女将が何時ものように奥の座敷に案内してくれた
席に着くとビールや簡単なおつまみが運ばれ 高橋が
「では Gプロジェクトの発足記念で乾杯」 
みんなで乾杯すると神山は
「これからは ご馳走される側ではなくてする側になるね」
「大丈夫ですよ ご安心下さい 佐藤が何とかしていますから」
「ありがとう」
「しかし 驚きましたね アレックスジャパンが実質アルタの傘下とは」
「うん 僕自身も驚いている あそこまで上手く行くとはね」
「そうですね 柔道が良かったのかしら」
「うん あまり使いたくなかってけどね 仕方ないね」
3人はアレックスジャパンの事で盛り上がった 神山が
「ねえ 孝ちゃん じつはGプロジェクト選抜隊のメンバーで勉強を
してきてほしいのだよ 5月5日から5月20日まで」
「どこに行くんですか」
「それは各自が決めてほしい 要は既成概念を破る何かを各自が掴んで
その成果を御殿場アウトレットに生かしたいわけさ 勿論お金が
必要になる ぼくが用意したよ」
神山は500万円を出して
「一人100万円使ってください 5人で500万円」
「はあ しかし急に言われてもね」
「ええ そうですが 既成概念を破らないと御殿場アウトレットは
飽きられます 例えば何処かのお寺に入って座禅を組んでも良いし
北海道の美味しい物を食べても良いし 自由です その計画を
明日から行って貰い5日には出発です ゴルフばかりしても良いです
ただ 一人でも何かを掴まなければこの500万円を 
全額返還して貰います」
「へぇ~ 大変だ もう決定ですか」 
「ええ 決定です」 
「ふぁ~ そうすると何人かで組んでも良い訳ですか」
「ええ 自由です 国内何処に行って頂いてもOKです」
「はい 分りました しかし目的が 既成概念を破る旅とは、、、」
「ニーナ・ニーナのブースも現状を打破しないと飽きられるでしょ
御殿場アウトレットは『安い』だけでは回転が少なくなります
現にぼくだって 年に3回行けば良いかなと思っていますよ
その顧客の足をもう一回 もう二回増やせば売上はうなぎのぼりです
集団心理でお客が集まっていればその廻りに顧客がつき
更にその廻りに顧客が着きます この間の上原のようにね」
「分りました がんばってきます それでこのお金は」
「ええ 明日から早速皆さんに渡してください 
先ほども言いましたが 自由です ただ何をしたいかの簡単なレポート
そうですね A4で1枚くらいでOKですが その提出を4日
それから 先ほどの全額返金についてのサイン それだけで良いです
それと 書式なんかないですから自由です」
「はい 分りました しかし大変な事になった」
「うん あまり考え込まないで 実務で僕自身の体験してきた事を
原案の時にどんどんとぶつけて行きます それに耐えられないと
仕事にならない訳です」
「ええ そうですね 次長室のように奇抜だと考えても実際出来上がりは
目を見張る出来になりましたからね」
「ええ あそこはあれで済みました しかし今度は顧客を相手にします」
「そうすると 少しずつ見えてきましたよ」
「お願いしますね 孝ちゃん そして孝ちゃんをGプロジェクトの
責任者になってもらいます」 
「えっ 山ちゃんが居るでしょ」
「ええ 責任者と言ってもまとめ役です リーダーの下が2名で
足りなかったら応援体勢を準備するとか そこはぼくでは出来ません
やはり 孝ちゃんの仕事です それと内藤社長から言われましたが
ぼくの思い通り進めてOKとお墨付きです したがって孝ちゃんは
ぼくの直属の部下になります 孝ちゃんの意見に反対できる人は
僕と内藤社長だけです いいですね」
「そんな すると部長は、、、」
「ええ Gプロジェクトで働いている時は関係ありません
しかし社内の慣例とかは重視をしてくださいね」 
高橋は凄い事になったと感じていた 今までと違ったデザインを
起こす事は並大抵ではなく覚悟を決めた
「山ちゃん そうするとこの計画が駄目に成ると 僕らは首?」
「うん 孝ちゃんだけじゃなく僕ら二人も首さ」 
「ふぁ~ 大変だ」
「そう社運が孝ちゃんに掛かっているよ これを乗り越えられると
内藤社長も考えていらっしゃいますよ 
もっと 進めれば今日のアレックス氏との話しでは資金は全額
先方持ちまで約束を取り付けた うちは能力を提供すると
だから その能力が評価されなければ おしゃかさ」
「そこまで詰まった話をしたの すごいね そうするとやるだけだ」
「そう もうサイコロは転がっていますよ」
2人は話しに夢中になって箸があまり進んでいなかったので洋子が
「早く頂かないと美味しくなくなりますよ」
そう言われ高橋と神山は呑んだり食べたりした 

3人が食べ終る頃にニーナ・ニーナの面々が入ってきた
祥子が神山が居る事に気がつき
「こんばんわ 神山さん」
「やあ こんばんわ」
「昨日はご馳走様でした」
「なにか売れていると聞いてますが」
「ええ 相変わらず 売れていますよ そのうちパリから取り寄せです」
「いいことじゃないですか」
「ありがとうございます がんばりますわ」
「それから 御殿場アウトレットの件ですが 僕が全面的に管理する事に
今日決定しました」
祥子は驚きと安心と複雑な気持ちで 
「よろしくお願いします」
「正式には筒井さんにお伝えします」 
「はい 分りました」
「では」
神山は又 3人で話をしながら食べた
ニーナ・ニーナの面々もみな元気があっておしゃべりを楽しんでいた
神山達は食べ終ると高橋が清算して寿司屋をでた
「孝ちゃん ごちそうさま こちらが払わなければいけないのに」
「いえ 全然 それとこれ昨日のお釣りです」
「うん そうしたら次回に取っておいて」
「はい 了解です 4万ほど残っています では電車で帰ります」
「うん ご苦労様」
3人は上原の駅で別れて時計を見ると21時30分になっていた
神山は亜矢子に電話を入れてみるとつながり
「どうしたの こんなに早い時間 昨夜は待っていたのに」
「ごめんなさい 実は疲れて寝てしまった ごめん ところで
明日は午後で上がりでしょ」
「ええ」
「泊まりは大丈夫ですか?」
「へぇ~ いいの 私は大丈夫よ」
「分りました そうしたら何時に熱海OK」
「やはり 3時ころがいいわ」
「分りました 15時熱海 お願いします」 
「ふぁ~ 逢えるのね 嬉しいわ」
神山は電話を切ると洋子に
「さあ 今日は早く帰って寝るとするか 今日は色々とありがとう
明日だけど本当は休みにしたいけど 10時ころ出てください
それで泊まりだ いいね 2日の準備とかは明日仕度してね」
「は~い 分りました 嬉しいわ 貴方と一緒だったら」
「一応部屋を14時に出る予定で居るからそのつもりで応対してね」
「は~い 分りました 何処ですか行くのは?」
「うん 伊豆だよ」
「わぁ~美味しいお魚を食べられるわ~」
「では 明日」

神山と洋子は駅前で別れ神山は歩いて上原のマンションまで帰った
洋子と亜矢子を早く引き合わせ こちらが動きやすくしたほうが
いいと思って取った行動だった
部屋に戻るとまずシャワーを浴びてさっぱりさせると
神山は冷蔵庫からビールを出して今日一日を振り返った
(しかし 大丈夫なのかな 御殿場がこけると不味いなこれは)
FAXを見ると何枚か来ていてそのなかにアレックスジャパンの
アレックスJrから日本語で送られてきていた要約すると
【今後の指示を仰ぎたい 至急連絡が欲しい】
もう一枚は内藤社長からで
【アレックスジャパンのアレックスJrから電話番号を聞かれたので
FAX番号を知らせました 電話番号は後日教えてあげてください】
神山はアレックスジャパンはやる気を出してきたかと感じたが
あえて指示を出さないで行動を慎むようにと
指示した内容のFAXをアレックスJrに送った
神山は御殿場アウトレット各ブースの大枠な位置付けや簡単な
デザインを考えスケッチを何枚も書いた
アレックスブース、ニーナ・ニーナブース、鈴や食品ブースと
書き上げていくが方向性が決まらなかった
3つのブースに共通性を持たせない方向だと何とか考えられたが
食品とファッションの優遇性をどこのレベルで考えるかで
全然デザインが変ってきた
神山は時間がない事で集中したがそれでも迷路にはまり込んだ

タバコを吹かしていると祥子から電話があった
「こんばんわ 私です」
「うん」
「今帰るとこです」
「うん こちらは仕事です」
「今 どこ?」
「上原の部屋だよ」
「行っていい?」
「うん 構わないよ 待ってます 少しおなかすいたから そこの
コンビニでおつまみ買ってきてくれる」
「は~い 分りました」
神山は時計を見ると23時を過ぎていた 両手を頭の後ろで組んで
一息していると祥子がやってきた
「ほんとよかったの? これでいいのかしら」
「うん ありがとう」
そう言って立ち上がると冷蔵庫からビールを出して祥子に渡し
「今 御殿場アウトレットの方向性や位置付けを考えていたのさ
少し迷路に入り込んでいたから来て貰って助かったよ」
「大変ね こんな時間まで」
「うん まあ ここの勝負でしょ だから24時間関係なく
仕事が出来る訳ですね」
「ねえ 今夜は遅くまで掛かるの」
神山はおつまみを食べながら
「う~ん 辞めるわ 今日は」
「そうしたら 私の部屋で呑みましょ」 
「うん そうだね」
神山はつまみを持って祥子の部屋に移動した
祥子が着替えてソファーにおつまみやビールをセットした
「ねぇ バーボンにする?」
「うん そうしよう」
祥子はバーボンのボトルを棚から取り出してテーブルに置いた
「祥子のお陰で助かっているよ」
「よかったわ 今日の昇進に乾杯」
神山と祥子は久しぶりにグラスを合わせ乾杯した
「ねえ まだ怒っている?」
「う~ん 今日も遅いしね 少しはね」
「うん そうね ごめんなさい」
「僕は今後 分らないよ 今日のようにここで仕事をしたり
次長室で仕事をしたり これからGプロジェクトが出来るから
よけいここに帰ってくる時間は分らなくなる それに会わせたように
祥子が遅ければすれ違いが起きるよね」
「そうね 私が何があっても早い時間にここに帰ってきて貴方を待つわけね」
「う~ん どうだろう 祥子だって縛られるのは嫌だろ」
「、、、」
「だったらこのようにピンポイントで会うしかないと思うよ」
「私 思うの 寂しいの だから今日みたいに外で食べるの」
「う~ん それと僕を待つとは違うと思うよ
本気で寂しかったら 何があっても待つんじゃない」
「そうかもしれないわね でも貴方が居ない時間を一人で待つのは辛いわ」
「それはお互い様じゃないかな お互いに仕事だもんね
立場を逆にしても同じでしょ ただ先日も言ったように
その場でごたごたしないようにするのがベターで 結局僕は
ずーっと待っていた訳でしょ その無駄を省けば時間は作れるでしょ」
「そうね これから気を付けます」
「うん そうして欲しい ぼくも今日はこうやって時間を作れたしね
最悪銀座で仕事をしようと思っているけれど ここで出来るから
帰ってきたわけさ」
「ありがとうございます 私もなるべく帰ってくるようにします」
「うん ところで明日は御殿場に行く 泊まりです 
2日のホテルオートモには間に合うように帰ってきますが」
「まあ 大変」
「うん 色々あるさ 片付けられる時に片付ける 時間がないからね」
「ねぇ 今夜はここに泊まってくれる?」
「うん そのつもりだよ」
「ふぁ~ うれしいわ」
祥子はようやく笑顔になった
神山と祥子は久しぶりに一緒にジャグジーを楽しみ交わった
「ふぁ~ 気持ちいいわ あなたとこうやって居られるの 幸せよ」
神山は少し疲れたので
「さあ 出よう 今日も大変だったので疲れたよ」
「そうね これからもっと忙しくなるでしょうね」
「しかし 体は一つだからね 上手に使ってケアしないとね」
神山と祥子はベッドに横たわり 再び交わった
祥子は交わったあとで
「ねぇ これから私頑張って時間作るからいつも一緒にいて」
「うん 会社の出来事を抱え込まなければ 一人で悩む事も無いしね」
「ええ だから一緒にいてね」
神山と祥子はそのまま抱きあって眠りについた





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