2013年5月28日火曜日

薔薇 8 - 33 Vol. 4



早速コック長の多田が
「神山様のご提案は素晴らしく私も老若男女に喜んで頂けると
これは料理人として最高の勲章です」
これに対して若い調理師の東条は
「私は この案は案として やはり先程説明が有ったターゲット層の
30代女性を満足させる事が先決だと思います」
二人の料理人は意見が違っていても神山案は分って貰えた様だった
神山が
「黒江さん 牛肉代は幾ら掛かりましたか」
暫くして
「50人分のブロックで30万円掛かりました」
神山は自分の引出しから30万円を抜いて黒江に
「はい では30万円です お確かめ下さい」
黒江は30万円有る事を確認すると
「では 済みませんが ここにサインをお願いします」
神山は洋子が用意した領収書にサインを記入して
「これで 宜しいでしょうか」
神山は領収書を受け取って時計を見ると14時30分になっていたので
「さあ では厨房でステーキを焼いてください お願いします」
二人は事前に知らされていたのか 頷いた

5人が従業員食堂にいくと殆ど社員の姿はいなかった
厨房に入ると若い調理師の東条の着替えが始まり準備が出来た
神山が
「私もステーキを焼きます」
そう言うと鈴や食品の皆は驚いたが調理師の東条は
「神山様 幾らなんでも無茶でしょう 僕のほうが美味しいのが
分っているのに何故ですか」
「うん それはあとで話す」
神山はエプロンを借り調理器具も一式借りた
美味しい牛肉が運ばれて来たが神山は捌けないので調理師の東条に任せた
神山は小さく切って洋子と二人で食べると
「これは 人気のお肉だね」
「ええ そうね そうすると若いワインかしら」
「う~ん この肉味がどこまで出るかだな そうだ
がんがん呑む訳ではないから 口直しとするとミディアムで良いかもね」
「そうね」
洋子は調理のおばさんにも手伝ってもらいグラスをテーブルに並べた
黒江が
「神山様 ワインまで用意されたんですか」
「ええ そうですよ」
「私どもは何も用意してきませんでした なあ東条」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい ワインが無くても」
そろそろ3時になり神山に呼ばれた面々が従業員食堂に入ってきた
時田副社長 池上店長 秘書が6人 人事課が3人 催事課が6人
販促部長 人事部長 合計19名がテーブルに座った
神山が簡単な挨拶をして 東条の紹介と御殿場アウトレットで
東都食品のベテラン勢に勝たなければ傘下にした意味が無い事や
神山がこれまで覚えてきたノウハウが活かせるかどうかなど説明した
理由を知っている時田だけだニコニコしていた
「え~ 今から15分後に皆様のテーブルにステーキとワインが
出されます しかしワインは私 神山が用意した物ですが
どうぞ 東条さんの時にも呑んで頂いて結構です それでは
出来上がるまで暫くお待ちください」
神山はそう言うと厨房に戻り
先に牛肉を出しトレーに乗せ塩コショウを済ませそのまま放置した
一方の東条は牛肉を冷蔵庫に閉まったままニンニクのミジン切りをして
少し手を休めていた
神山はニンニクをミジン切りではなく短冊切りをし鉄板の
温度調節をしていた 洋子が何処から仕入れてきたのか
「はい オリーブオイルよ 頑張ってね」
神山は 牛肉を触るとまだひんやりしていたので焼かなかった
東条は鉄板の温度も考えずに焼こうとしたが出来上がりの時間が余るので
時間調整をしていたが鉄板にオイルを落として見ると直ぐに伸びるので
牛肉を冷蔵庫から出して塩コショウをして一旦トレーにおいて
ニンニクを少し炒めたあとに牛肉を焼き始めた
試食をする面々はニンニクの香りがしてきたので
「何ともいえないいい香りだね なあ池上君」
「社長 これは結局どちらが美味しかったと判断をするんでしょうか」
「まあそう焦らないで 山ちゃんに任せなさい」
池上店長を初めなぜ神山がステーキを焼く意味が分らなかった
神山は牛肉を触ると人肌になってきたので オリーブオイルをたらし
よく伸ばしてニンニクの香りをオイルに移すと牛肉を焼き始めた
勿論神山は勝負に勝てるとは思っていなかったが
何とか美味しく調理された牛肉をみなに食べて欲しかった
鉄板の方が色が変ってきているがもう少し待ちブラックペッパーを
少し振りかけて待った
東条は先に焼き始めたのにまだ返さなかった
神山は色を見て25枚のステーキを手早く返して反対側の焼きに入った
東条も25枚のステーキを返して反対側の焼きに入った
神山は 表面に集中してしていると肉汁が出てきたので
素早く鉄板の上で一口大の大きさに切ってお皿に持った
切り口を見ると真中がピンクに残っているミディアムに仕上がった
東条も牛肉を切ったがさすがはプロで素早かった
両名のステーキが叔母さんや洋子や人事課の女の子で運ばれた
左側に東条 右側に神山のステーキが並べられて神山が
「お待たせしました 東条さんと私のステーキです
どうぞ味わってください お願いします」
そう言われ参加した面々のフォークとナイフが動き出した
神山や東条もワインを呑みながら食べていた
洋子が小さい声で
「貴方のほうが全然美味しいわよ 良かったわね」
東条本人も神山の方が美味しく感じられ困惑した表情だった
お手伝いのおばさんたちも神山を誉めた
鈴や食品の黒江や多田もワインを呑みながら食べたが
神山のステーキに軍配を上げていた

皆が食べ終わった頃合を見て神山が
「如何でしたでしょうか ご満足いただけたと思います
さて これだけでは料理勝負の漫画になってしまいます
私の意見を最初に言う前にまず 東条さんから 調理の心構えとか
色々とお聞きしたいと思います」
「えっ 何を出すか?」
「ええ 皆さんに食べて頂いたステーキですよ」
「ええ 何時もの通り焼いただけですが」
「お肉がどのような状態でもですか 何時も通りの焼き方ですか」
「ええ そう言われて来ましたから」
「先程 ご自分で食べ比べた時に困惑した表情でしたね どうしてですか」
「ええ 神山様のほうが美味しいからです」
「分りました ありがとうございます さて私から皆様に質問をします
今日の牛肉は仕入れが大変高価だと思う方は挙手をお願いします」
そうすると神山と洋子以外は全員手を挙げた
神山はニコニコしながらはっきりと
「この牛肉は二流の牛肉です そして調理人も二流です
時田社長 この場で申し上げます
牛肉の良し悪しが分らなく仕入れ 調理するとは東都食品を完全な
傘下に出来ません 勉強不足です
そこで提案ですが 東条君に武者修行をして頂く
黒江さんには当分牛肉の味を分って頂くまでやはり武者修行をして頂く
如何でしょうか」
「う~ん 山ちゃんそこまでやらないと勝てないか」
「ええ 私に負けたんでしょ 当たり前だと思いますよ
東都食品を引っ張る人間が何も知らないでは困ります
いいですか このお肉はせいぜい仕入れで10万円がいいところです」
神山は黒江の領収書を時田に渡し
「それを30万円で仕入れたとすれば 東都食品に笑われるだけでなく
足元を救われ御殿場アウトレットから早期撤退となるでしょう」
「うん わかった 処分については考えるが 東条君の
武者修行先はどうなんだ」
「はい 2箇所ほど有ります」
「うん わかった では黒江君 君はもう一度牛肉を一から勉強だ いいね」
「はい 畏まりました」
「それと 出来れば 多田コック長にも東条さんと
一緒にお願いしたいんですが」
「しかし この食堂があるだろう なあ多田君 どうだね」
「ええ 私は次長室で伺った神山様の夢を現実にしたいと思います」
「うん わかった では武者修行の件は山ちゃんに任す 頼んだよ」
「ありがとうございます 社長 それではみなさまありがとうございます
ご自分のお皿やナイフはカウンターまで運んでくださいお願いします」
そばで聞いていた洋子が涙ぐんで
「よかったわ これで又 一歩進んだね」
「うん 良かった ありがとう」
神山と洋子が話している所へ時田が
「山ちゃん 凄いな 上手かったぞ ありがとう どうした洋子」
時田は涙ぐんでいる洋子に聞いた
「だって 神山の仕事がまた一歩前進したんですもの 嬉しくて」
「おお そうだな しかし上手に調理したな」
「ええ 生肉を食べて分ったんですよ 上等の肉じゃないって」
「そうか 分るか」
「ええ おじ様も今度 神山とご一緒されると良いわ 楽しいですよ
それにコックさんとお友達になれるし いいわよ一杯勉強出来るから」
「そうだな しめ鯖も上手かったし うん時間を作るよ
その時は頼んだよ お願いします」
「こちらこそお願いします ところで御殿場アウトレットの
鈴や食品のブース予算ですが どの位見て下さいますか」
「う~ん まだハッキリしないがな」
「私は 技術は東都食品で予算は鈴や食品だと考えているんです
最低でも2億は掛かります」
「そんなに掛かるか?」
「ええ まだはっきりとデザインが出来ていませんが
デザイン次第では4億になる可能性が高いです」
「おいおい そんなに出せないだろう 鈴や食品だと」
「ええ 多分無理だと思います そこで鈴やも一緒にするのです
出来ればアルタやアレックスジャパンの出資も考えていますよ僕は
先日もアレックス氏にアレックスブランドのビーフジャキーを
御殿場アウトレット限定で出そうと話をしているんです」
「そうか そんなに大きいか わかった何とか出どこを考える」
「ええ お願いします また 洋子さんのうれし涙を見られますよ」
「ははは そうだな わかった 山ちゃん今日はまた勉強したよ」
「はい ありがとうございます」
「うん では 洋子頑張れよ」

時田が神山の肩をポンと叩いて別れていった
神山と洋子の所に鈴や食品の3人が来て
「どうも先程は失礼いたしました 済みませんこれ お返しします」
神山は先程黒江に渡した30万円を出されると
「ははは 良いですよ これからの支度金にしてください」
「しかし お見事でした 実は上級の牛肉が見つからなかったんです
そこで多田と相談して手持ちの牛肉を持ってきました 済みませんでした」
「ははは もう済んだ事だし ここだけの話しにしましょう」
「私もそこまで酷い肉だと思っていませんでした 多田からも
そう報告を受けていた物ですから」
「まあ 生肉を食べれば分るでしょう ねえ多田さん」
「お恥ずかしい話 そんな良い肉を食べた事が少ないのです」 
「そうしたら ちょっと待ってくださいね」
神山は日比谷パレルホテルの担当支配人 二ノ宮と電話をした
「ええ それで一番高い生と焼いたのを食べさせて頂きたいのです」
神山は頷いて
「今日 これから来れば準備をしてくれると言っていますが」
「ええ 伺います」
神山は二ノ宮に3人が行くことを伝え電話を切った
「日比谷パレルホテルの最上階レストラン担当支配人 二ノ宮さんを
尋ねてください 私の名前を仰って下されば分ります」
「神山様 何から何までありがとうございます」
「ただ 同業者と言わない方が良いでしょう ステーキファンと
言っておきましたから いいですね」
3人は深々とお辞儀をして社員食堂から出て行った

「まあ 酷い話しね調理士が上級のお肉を知らないなんて」
「うん しかし従業員食堂ではそれでいいのかも知れないね」
「う~ん そうかしら でも一流を知っているのと知らないでは
全然違うと思うな 私 一流しか知らないもん 貴方以外は全て 
二流だと思っているわ」
「おいおい ありがとうございます なにも出ないよ」
洋子は嬉しく神山のほほに軽くキスをすると手伝いで残っていた
本社人事課の安井奈々子が見ていて
「ふぁ~ 先輩見ちゃいましたよ いいな~ ねえみんな
先輩って 神山次長とキスしているの」
「えっほんと いやだ うそよ」
「ほんとだってば いま ねえ 先輩」 
洋子は少し赤くなった顔で
「だって ご褒美よ大切な人にご褒美は良いでしょ」
「あ~あ 先輩に先を越されたわ ショックよ」
神山は女の子を並べて
「よし 今日は良く働いてくれたから僕からご褒美を上げる
みんな目を瞑っているんだよ」
神山はみんなの額に軽くキスをして洋子と出て行った
目を開けた3人は夢を見ているようで嬉しかった
「純情な乙女達だね」
「ええ 目をしっかりと瞑っていたわね」
「ねえ 手伝ってもらったおばさんは5人だよね」
「ええ」
「そうしたら お菓子を買ってお礼をしておこうよ」
「ええ そうしましょ」
神山と洋子は地下のお菓子売場でお茶菓子を買っておばさん達が居る
事務所へ行きお礼を言いお菓子を渡した

次長室に戻ると神山はぐったりとしていて
「どうしたの そんなに疲れたの」
「うん やはり緊張していたんだよ 今になって出てきた
あ~ くたびれた」
神山は次長席に座ると生あくびを繰り返したので
従業員食堂で残ったワインを呑んでみると睡魔が襲ってきた 
30分位寝たのか起きるとすっきりとしていた
洋子は神山が起きたのを気付くと冷蔵庫からコーヒーを出して
「はい どうぞ」
「ありがとう いや~よく寝た すっきりしたよ」
「貴方が寝ている時に鈴や食品の多田さんから電話があって
ありがとうございますって 本物を頂きましたって」
「そうか 良かったね うん」
「あと おじ様が今夜美味しいとこに連れて行ってくれって」
「そうか しかし 今日は早く帰りたいんだが、、、」
神山は直接時田に電話をした
「本当に済みません 本日は先約を外せません 明日以降で如何でしょうか」
「そうか わかった また明日連絡するよ」
「はい 分りました お待ちしています」
洋子が
「良かったわね だけど先約って?」
「だってそうしないと早く帰って寝られないです」
「ふふふ なんだ 又 私に秘密で何かこそこそするのかと思ったわ」
「おいおい たまには早く帰って寝るよ
以前のように完全休暇を取っていないもんなこの頃」
「そうね お休みは女性を相手にしたりゴルフだったりね
ほんと大変でしょ 分るでしょ私が大変って」
「うん わかったよ さあもうこんな時間だ」 
神山は時計を見ると17時を指していた
次長席で色々と纏めるのに集中していると直ぐに18時になり
「洋子 今日は帰っていいよ 君もたまには早く帰って
母親孝行をしてあげなさい」
「ほんと 帰っていいの?」
「うん 僕は もう少しここで纏めをして帰るよ 
それと 明日は何も無いから完全休養にしてください」
「えっ ほんと」
「うん 昨日も中途半端だし まあ何も無いからさ もしかすると
僕も休むかもしれない」
「また駄目よ 亜矢子さんに会いに行くなら私も一緒よ」
「おいおい 勘違いするなよ」
「でもいいわ 亜矢子さんなら許してあげるわ」
「あのね 違うの ほんと だから苛めないで 一人で寝ているから」
正直 神山は芯から疲れていて一日中寝ていたかった
「はいはい わかった 私は駄目よ 私もあそこも完全休養ですからね」
「うん」

洋子はビジネススーツをわざと神山のところで着替えたが
反応が無いので神山の疲れを確認した
「では お先に失礼しますね」
「うん では 何かあったら連絡するよ」
「は~い 分りました」
洋子は神山に手を振って部屋を出て行った時にFAXが入ってきた
アルタの人事課からだった
【今月から給与の支払日が変更になりました
神山意匠担当常務 と 田所部長の給与支払日は毎月10日
指定口座に振り込み 自由費は10日 原則秘書(田所秘書)に
現金手渡しとなります 尚 10日が土日の場合は前営業日に
振込み 現金渡しになります 
尚 ご不明な点はお電話でお願いします
本社人事課 武田恭子】
神山は洋子にも知らせておこうと電話をした
「はい 洋子です」
「ごめん 今 アルタからFAXが入って 給与支払い日の変更が来た
それで 10日に洋子の口座振り込まれることと自由費は10日に
アルタへ受け取りという事です ただ今月は10日が日曜日だから
8日の金曜日になる」
「は~い 分りました 8日のスケジュールに入れておきますね」
「うん では」
神山は洋子の電話を切ると青山3丁目『イタリアンレストラン スパ』に
電話をしてマスターと話をした
「そうしますと 私どもからのお給料は一切無し 牛肉仕入れ代として
100万円を出して頂けると言う事ですね」
「ええ ここは一つお願いします」
「ええ いですよ 神山様の事ですから それで7月末までの
修行で宜しいですか」
「うん?」
「ええ 7月一杯までなら逆にうちが助かります 若い子の夏休みも
充分取れますし」
「いいんですか お願いします それと休みですが週2日でお願いします」
「ええ 分りました それで何時来られますか」
「ええ 今日 7時30分位にお邪魔します その時に本人を紹介させて
頂きます 私はそちらで頂きますが」
「えっ そうすると 神山様は何名でお食事されますか」
「ええ 2名で女性が多分先にそちらに伺うと思いますのでお願いします」
「はい 畏まりました お待ちしております」
神山は電話を切ると鈴や食品の黒江に電話をして多田と東条の
武者修行先が決定した事 期間は7月一杯 休みは週2日
牛肉の仕入れ代100万円は神山が立て替えることなど説明して
「本日 両名を19時に次長室ビル出入り口に来るよう指示してください
それと 簡単な履歴書持参です いいですねお願いします」 
黒江は早速手配をすると電話を切った

神山は祥子に電話をして
「こんばんわ 神山ですが」
「はい 祥子です」
「うん 今夜はイタリアンレストラン スパにしよう
今 予約を入れた 何時に終りますか?」
「ええ 7時には終るわ そうしたら先に行っていましょうか」 
「うん マスターに僕の名前を言えば席に案内してくれる」
「ええ 分りました では楽しみにしています」
神山は時計を見ると19時前になったので部屋を見回し
ビルの出入り口に行くと多田と東条が待っていた
「神山様 ありがとうございます 早速ご手配をして下さいまして」
「いえいえ 当然ですよ さあ行きましょうか」
「あの これは黒江が神山様にと」
神山は茶封筒を受け取ったが中を見ないでタクシーを拾い
運転手に行き先を伝えた
前に座った神山は先程の茶封筒を開けてみると手紙と現金が入っていた
黒江からのお礼の手紙で現金は400万円入っていたが
100万円は先方の仕入れで300万円は謝礼と書いてあった
神山は100万円を貰って300万円を肉の仕入れに当てようと考えた
青山3丁目のイタリアンレストラン スパには約束より早く着いて
マスターに挨拶をした マスターが神山に
「今度 名刺が変りましたので」
そう言われて名刺を見ると マスターから総支配人に変っている
「なにか?」
「ええ 共同出資をしていたんですが業績が良くなって
今度 そのような立場になりました」
名刺には イタリアンレストラン スパ 総支配人 石原順次と
印刷されていた
神山は多田と東条の履歴書を渡し石原が目を通すと
「はい 分りました 神山様 7月一杯働いて頂ければ
いい腕を更に磨いてお返しできます」
「ありがとうございます それと牛肉の仕入れ代金ですが
これを当ててください お願いします」
石原は300万円をみてビックリして
「神山様 頂きすぎですよ こんなに」
「ええ 提案が有るんです 最初から超上級の調理は無理だと
思います そこで段階をへてその超上級も調理できるように
なって貰いたいのです その時の代金です」
「分りました そうですね 今ここで使っているお肉より
良いお肉はまだまだ有りますからね はい 分りました」

石原は多田と東条にここで待つように言って
「神山様 お連れの方が2階でお待ちでございます」
「うん ありがとう」
神山は石原と別れて2階に行くと祥子が手を振って待っていた
「やあ お待たせ 待たせたね」
「ううん 今しがた来た所ですよ」
神山はテーブルに何も無いのでウエイトレスを呼んで
ビールと単品のおつまみを頼んだ
「久しぶりね ここで食事するの」
「そうだね 僕も忙しくなったから」
「でも 今夜はちゃんと約束を守ってくれたわ 嬉しい」
テーブルにビールとおつまみが運ばれて神山と祥子は乾杯した
二人がゆっくりと食事をするのは久しぶりなので色々な話題が出た
筒井の件では
「先週 あんな事があったから 今は殆ど会社が終ったらまっすぐに家です」
「そうか やはり奥さんがあれだけ心配していたからね」
「ええ これ以上心配させられないって」
「そうすると 御殿場アウトレットは無理だね」
「ええ 東京と御殿場をいったり来たりするのは難しいわね
あんな事が無くても 大変じゃないかしら」
「そうすると 林さんがチーフで店長はいいけど
現場を見る人は祥子しかいないね」
「ええ でも内装工事だから 向こうでホテルを借りれば大丈夫よ」
「まあ そうだね 集中的に一ヶ月だからね
来年の3月1日前後を予定しているよ
先日筒井さんと話したけれど 予算が無いんだって
それで 上原と同じ様に箱は出来ていて 内装工事だけになる
可能性が非常に高くなったね」
「そうなの そうすると やはり一ヶ月ね」
「うん そうだね 僕の方は10月に入ったらちょくちょくと
行く事になるね 3月は殆ど御殿場でしょう」
神山はマスターを呼んでお勧めのステーキとそれに合うワインを注文すると
「丁度 今日は良いお肉が入っていますから良かったですよ」
「僕はミディアムで仕上げて頂いて ニンニクを少し多めにお願いします」
「私も同じでお願いします」
「はい 畏まりました」
石原はお辞儀をして階段を降りていった
神山は御殿場アウトレットのニーナ・ニーナをどうするか悩んでいた
その事を祥子に話すと
「しかし 予算がないとどうにもならないわね 結局上原と
同じ様な内装になる訳?」
「うん 一応6月までには御殿場アウトレットのプロジェクトから
何らかの書類が来るけど 箱が出来ている以上ねえ 難しいな」
「貴方でも難しい事あるのね」
「うん 例えば箱を2つ貰えたら話は別だけど それでも
自由なデザインは限られてくるからね 困っている
アレックスジャパンはフリーゾーンって言ってね 
箱から設計をする訳 そうすると例えばだけど 天井は高くて
ドームにしたりと自由度が高まるのさ そうなるとデザインも
色々と出てきて楽しいブースが出来るわけさ」
「そうね 聞いているだけで楽しくなるわ しかしそんなに
予算が無いのかな パリも好調だし日本も好調よ どうしてかしら」
「うん 昨夜の話しではパリ本社は箱まで考えていないだろうと
言っていたよ」
「そうなんだ しょうがないかも知れないわね」
祥子は本社パリが動かなければ予算が出ない事は充分知っていたが
御殿場アウトレットの知名度が低い事にショックを隠せなかった
神山は祥子が元気を無くしてので
「ほら また祥子の悪い癖が出たぞ ここは割り切って考えたほうが
良いし 背伸びをすると無理が出てくるよ」
祥子は頷いては見たが何とかならないか考えていた
「御殿場アウトレットはゾーンエリアでも箱を造ることは出来るんだよ
ただし 色々と条件が厳しくなると思うがそれでも最低1億は掛かって
現状予算だと無理になってくる
そこでやはり箱の中をどうするかで勝負が決まってくると思うよ」
「そうなの アレックスジャパンはどの位掛けるの?」
「ハッキリしていないけど最低でも3億は掛かると思うよ
まだ何も出来ていないけど 敷地を換算するとその位の
箱ものを建てていかないと無駄になるね
逆にニーナ・ニーナがそんなに大きな建物を造っても
商品量が少なくて 逆効果になってしまうよ
そうすると費用対効果からしても無駄と判断され
計画自体がなくなる可能性が大きいね」
神山と祥子は運ばれてきたワインとステーキを食べながら
話しに夢中になっているとマスターの石原が
「そろそろガーリックライスに致しましょうか それともさっぱり系の
パスタにされますか」
「祥子はどうする」
「ええ そうしたら私はカルボナーラにするわ いい?」
「そうしたら 僕はアサリと紫蘇のボンゴレビアンコでお願いします」
石原がお辞儀をして神山に
「先程の多田さんと東条さんですが凄くやる気があって助かりました
ありがとうございます 助かりますよ」
「お願いしますね」
石原は再びお辞儀をして階段を降りて行った 
「なあに 多田さん東条さんって」
神山は鈴や食品の御殿場アウトレット出店に関して東都食品を
絡める計画を分りやすく説明して今日のステーキ対決まで話した
「へぇ~すごい 調理士に勝ったんですね 凄いわね」
「うん それで鈴や食品の社員が武者修行をする訳です」
「それも思いきった決定ね 貴方が下したの」
「うん」
「それも凄いわね 貴方って 今は誰でも動かせるの?」
「そんなことは無いさ 理にかなった事をしているだけだよ」
神山と祥子はウエイトレスが運んでくれたカルボナーラを食べ
そのあとに出されたフルーツも食べた
神山は清算をして石原に二人の事を頼んで店を出た

二人は手を繋いで歩いていたが祥子が
「早く二人っきりになりたいわ」
神山はタクシーで上原のマンションへ向った
タクシーの中で祥子は頭を神山の胸に預けていた
マンションに着いて祥子の部屋に入ると祥子が抱き付いてきて
自分からベッドに横になった
神山も一緒に横になって戯れお互い裸になって交わった
「あっ あっ うっ うっ~ さみしかったわ」
「僕もさ 全然だし」
神山が上になって祥子は足を上げて腰を動かしていた
祥子の膣が締まって来たので神山が発射してしまうと祥子も昇天した
二人がくたびれるまで2回も交わり神山は
「ねえ 明日は早いの?」
「ええ 普通よ」
「そうしたら どうしようかな 明日は休みなんだ ゆっくりと
朝寝坊したいけど どうしようかな」
「う~ん 起こさないようにするわ 食事はいらないでしょ」
「うん そうしたら 私 駅で食べるから ゆっくり寝てて」
「分りました そうしたら 部屋に帰ってすぐ来るよ」
「ええ 待っているわ」
神山は自分の部屋に戻りFAXや留守電を聞いたが緊急性が
無かったので部屋着を着て祥子の部屋に入った
「ねえ 一緒にお風呂に入って」
二人は浴室で交わりベッドに戻ると直ぐに寝てしまった





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2013年5月23日木曜日

薔薇 8 - 33 Vol. 3



神山と杉田は少し歩いた所にある中華料理店に入ると丁度サラリーマンの
お昼と重なって店内は込んでいた
二人は2階に上がって席を見つけてビールと餃子 野菜炒めを注文した
「屋敷君は出ていないのか」
「ええ 出る筈だったんですが 何か体調を壊して出ていません」
「そうか 翔も大変だな」
「しかし テツの分は僕が見ていたところですから大丈夫ですよ」
「うん 頑張ってな 頼んだよ」
話していると瓶ビールが2本と餃子 野菜炒めが運ばれてきた
このお店はけっして安くは無いが美味しくてボリュームが有るので
若い者には人気がある 
杉田も美味しい事を知っているので箸が良く動いた 神山に
「先輩 食べないんですか」
ゆっくりと食べている神山は
「まあ そんなに焦って食べ無くてもいいと思ってさ
ところで 美佳さんと昨日はどうしたんだ」
「ええ 昨夜はちゃんと帰りましたよ また次の機会です
実は今夜も会うんですよ」
「そうか 良かったな いい人見つかって」
「しかし 問題が有りましてね 彼女が一人なんで 僕が養子で
向こうに入るようでないと難しいのです」
「翔は 妹が確かいたよな そうすると翔が出てしまうと 妹さんも
養子縁組になる訳だ」
「ええ そこで悩んでいます しかし あんなにいい女性は
鈴やにいないし 迷っています」 
「向こうに入る事には抵抗は無いだろう」
「ええ 多少は有りますよ でもどうするのか分らないんです」
「難しいな 1,2年だけ別居して二人が落ち着いてから
ご両親と一緒って事も考えられるけどね」
「ええ しかし お金がもったいないし どうせなら最初から
一緒でもいいと思っていますよ」
「うん まあ時間はたっぷり有るんだ よく相談したほうがいいね」
神山と杉田は注文したラーメンが来たので話を中断して食べた
杉田はおなかが一杯になったと言って
「先輩 ご馳走様です いつもありがとうございます」
先に言われてしまったが神山は
「うん 午後からも頼んだよ 倉さんは分らないから
翔がしっかりと店内とウインドーを見てあげなさい」
「はい 分りました ありがとうございます」
二人は1階のウインドーに帰ってくるとデコレーター達はすでに
仕事を始めていた 神山はデコレーター達に手を振って次長室に戻った
神山は御殿場アウトレットのニーナ・ニーナや鈴や食品の
ブースデザインをラフスケッチで何枚も書きあげていった
一応大人と子供の融合性だったが おじいちゃんやおばあちゃんも
孫と楽しめるようなそんな事を考えていた
神山は時計を見るとまだ16時なので冷蔵庫からコーヒーを出して
飲みながらタバコを吹かした
TVをつけて見ると日本各地の温泉めぐりという番組が放映されていた
山に囲まれた秘境にある温泉だったり温泉宿の露天風呂だったり
神山も行ってみたいと思うところが一杯登場してきた
いいなと思った温泉を整理すると何かが見えてきた
神山はスケッチブックに考えついた事をどんどんとスケッチしていった
次長席に戻りスケッチを整理していると18時前になった

神山は帰り仕度をしてタクシーで赤坂のアメリカナ大使館へ向った
ジョン ブラームスは部屋で待っていて神山が来ると玄関に現れた
二人は握手をして近くのタクシーで上原に向った
上原の駅前寿司に入ると女将が
「奥でお待ち兼ねですよ」 
と 案内してくれた
洋子が先に来ていて神山を見るとニコニコと笑顔で迎えた
ジョン ブラームスが 
「洋子さん こんばんわ」
「ジョン ブラームスさん こんばんわ」
2人が座ると女将がビールと鮮魚の盛り合わせを持ってきた
神山が先日のお礼をジョン ブラームスに言いプレゼント渡した
「おお 素晴らしい 綺麗な漆だね」
ジョン ブラームスはきにいってくれたようだった 洋子がメモをだして
「ここに書いてください 滑らかでもっと気に入りますよ」
彼は言われた通りメモ紙に色々と書いたが滑らかな書き味に
「うん 素晴らしい ありがとうございます」
神山と洋子は彼が喜んでもらった事にほっと安心した

ジョンが
「本国に強制送還するボーンはいままでも何回か恐喝をしていて
こちらでもマークはしていたが 上手く逃げていた
今回 神山さんのお手柄で強制送還出来る事になった
こちらこそ ありがとうございます」
神山はアレックスジャパンにとっても彼は不要な人物だと言うと
「しかし 神山はアレックスジャパンの副社長なのか?」
「いや 違うよ 最高責任者だよ アレックス氏に確認すれば分ります」
「おお 社長より権限がある訳か 素晴らしい」
ジョン ブラームスは改めて神山と握手をした
「なにか大変な事が起きたら この電話番号に電話を下さい
出来る限りの事はします 例えば車の事故とか公にしたくない時などにね」
彼はウインクをしながら神山に自分の携帯番号を教えた
3人は美味しい鮮魚を味わって彼も機嫌が良かった
神山は日本酒も勧めジョン ブラームスも美味しい酒だと言って喜んだ
「アレックス夫人の大ファンだ 現役のモデルでは最高に綺麗だし
頭も良かった ほんと残念だ見られなくなって」
「まあ 時々来日するからその時に会えばいいじゃないか」
「う~ん でもモデルではない 私はモデルが見たいのだよ」
「そうか 夫人では違うという事か 難しいね」
洋子が
「そうよね モデルの彼女が好きで夫人の彼女は普通の女性になる訳でしょ」
「う~ん そうですね」
3人はアレックス夫人の話で盛り上がって20時になっていた
神山はそろそろ巻物が欲しくなり女将に注文をした
運ばれたネギとろ巻きを食べたジョン ブラームスは
「これは美味しい 赤坂の寿司屋では無いよ こんなに美味しいのは」
神山と洋子はこの寿司屋を選んで良かったと頷いていた
ジョン ブラームスはお酒のせいか顔が赤くなり神山に指摘されると
「神山さん 美味しかった ありがとうございます 
今夜はこれ以上呑めない 楽しかった 又 会いたいですね」
「ええ 是非お会いしましょう 今夜はありがとうございます」
神山と洋子は玄関を出てタクシーをつかまえ彼を乗せた
席に着いて残った物を食べると
「さあ 我々もそろそろ帰ろうか」
「ええ では清算をしてきますね」
「お願いします」
洋子が清算をすると
「本当に安いわね 潰れるんじゃないかと心配するわ」
「幾らだったの」
「ええ 1万5千円ですって」
「うん 安いよなほんと さて それではお疲れ様でした それは?」
「ええ 母のお土産よ いつも私ばかりだから巻いてもらったの」
「いいね これから僕もそうしよう 夜食にちょっとってね では」
「ええ お疲れ様でした」

洋子は神山にお辞儀をして別れタクシーで自宅に戻った
神山は歩いてニーナ・ニーナを覗くとすでに閉店していた
夜になるとさすがに人通りが少なくなって 静かな町になっていた
部屋に戻るとFAXも来ていなかったのでシャワーを浴び
冷蔵庫からビールを出しテーブルで呑んでいた
神山はアレックスジャパンのブースと鈴や食品のブースは
なんとかたたき台を作ったがニーナ・ニーナのラフスケッチはまだ
ぜんぜん手をつけていなかった
エリアゾーンで展開すると決まった箱の中でしか展開できず
かといってフリーゾーンだとそれだけの商品量が無いし困っていた
エリアゾーンで箱物を造るだけの価値があるか考えた
選択肢として 予算に余裕があればフリーゾーンの箱ものの建設
予算が無ければ既存の箱もので内装勝負と二案を考えた
まだ21時だったので筒井に電話をした
「神山ですが 夜分申し訳ございません」
「いや 山ちゃんどうされましたか」 
「ええ 先日御殿場アウトレットの件で静岡県庁の国土開発へ出向いて
御殿場アウトレットの基本的なコンセプトを聞いてきました」
神山は筒井に分りやすくその日の内容を伝えた上で
「ニーナ・ニーナのブースの規模をどうするかで悩んでいます」
「うん 結局 本社のパリがOKを出さない限り予算内で仕事を
進めていかなくては駄目になります いまの山ちゃんの話だと
箱を造る気持ちはよく分りますが そこまで考えていないでしょう
これから予算を貰う事は可能としても50%アップがせいぜいでしょう
ですから 既存の箱に入るしかないと思いますよ」
「予算は 幾らくらい有るのですか」
「ええ 3千万円位ですね」
「そうですか そうすると箱は無理ですね」 
「うん 難しいね」
神山は箱を造る事を諦め 既存の箱の中での展開を考えた
「筒井さん 既存の箱が何処まで出来ているかは6月になると分ります
そこで その予算内で出来る事やいろいろとシュミレーションします」
「うん お願いします」 
電話を切ってニーナ・ニーナのデザインが一番難しいと考えた
神山はテーブルで色々とデザインを出していったが
これと思ったものは出てこなかった
どれも既存のニーナ・ニーナのイメージが強かった

いいアイディアが出ないでタバコを吹かしていると携帯がなった
「はい 神山ですが」
「わたし 亜矢子です こんばんわ いま大丈夫ですか?」
「ええ 一人ですよ 遅くにどうしたの?」
「ええ 当ったわ みごとにダブルで1等賞よ」
「えっ また1等賞? ほんと」
「ええ 今日の夕刊を何回も見直したわ 大丈夫よ」
「それで幾らなの」
「ええ 私の方が2億5千万円 1等が1億5千万円で前後賞が
5千万円が2本で1億 合計2億5千万円よ 貴方も同じよ」
「へぇ~ どうしようね 凄すぎて分らないよ」
「ええ 私も怖くなったわ もう買わないわ」
「うん 僕も怖いよ」
「それで 2億5千万円はまだ1週間先になるけど振り込むわね
それと昨日振り込んで置いたわ 見た」
「ごめんなさい まだ見ていないよ」
「こんど換金できる次のお休みだから 5月14日の木曜日に
振り込むわね 良いでしょ」
「うん しかし僕が全額とはいかないから洋子さんにも
振り込んでくれる? これから調べて連絡するよ」
「ええ そうね余り気にしないと思うけど お金だからその方が
いいわね 携帯に電話をしてください」
神山は電話を切ると洋子に電話をすると
「ふぁ~ 凄い でもいいのかしら 頂いて」
「うん 亜矢子さんも2億5千万円をきちんと受け取ったし
洋子は1億で良いかな?」
「多いわよ でも頂くわ では口座番号を言いますね」
神山は口座番号と振り込み額を確認して電話を切ると
亜矢子に直ぐ電話をして承知しましたと言い電話を切った
神山は時計を覗くと23時なので祥子に電話をしたが通じなかった
多分新幹線の中だろうと思い留守電にこれから寝るメッセージを入れた

5月7日 木曜日 晴れ
何処で鳴っている携帯の音で目が覚めた
「はい 神山ですが」
「私です 祥子よ おはようございます」
「やあ おはよう どこ」
「ええ お部屋よ 朝ご飯の仕度できたわよ こない」
「うん ありがとう シャワーを浴びていくよ」
神山はシャワーを浴びて部屋着で祥子の部屋に行くと
「ごめんなさい 何時も 電話を貰っておいて」
「うん まあ仕方ないさ」
神山と祥子は軽いキスをした
「本当に何時もごめんなさいね 朝食も出来なくて」
「いやいいよ 仕事だから仕方ないさ それより御殿場アウトレットの件で
段々と分ってきた事があるよ」
神山は先日の静岡県庁の話や昨夜の筒井との会話を説明した
「そうすると ニーナ・ニーナは既存の建物の一ブースの中で展開する訳?」
「そうだね だから上原のアンテナショップと同じさ」
「そうなると デザイン的には現状維持が濃厚ですね」
「うん いま考えている所さ 大変だね こちらも参ったよ」
二人は朝食を食べながら上原のアンテナショップの話をした
「うん 祥子の言う事は分るが営業時間を引き延ばしてどれだけの
データーが集まるか疑問だね それに勤務時間の問題が大変だろう」
「ええ 残業をしていると中を覗くお客がいるのね だから
今は20時で閉店しているけど22時にするとかどうかなって」
「うん 本当に興味があれば営業時間内に来るよ
だって休みが無い訳では無いしね」
「そうね」
「そうさ 昨夜だって閉店後暫く見ていたが誰も覗かなかったし
と言うより 人が歩いていなかったよ」
「そうか そうすると計画は止めたほうが良いわね」
「うん 後はどこかに隠れていて覗いていくお客の人数を
チェックするしかないけど 費用対効果で考えると
22時閉店はマイナスだと思うよ」
二人はおしゃべりをしながら食べると8時になっていた
「ご馳走様でした 今日は銀座?」
「ええ 本社によってから銀座へ行きます 貴方は」 
「うん もう少しして銀座に行く」
「そうしたら 私 早めに出ますね」
「うん 分った」
神山は食器をさげるのを手伝って自分の部屋に戻った
部屋に戻るとまだ時間が有ったのでベッドに横になった
暫くするとドアフォンが鳴ったのでモニターを見ると祥子だったので
ドアを開けると
「では 行って来ますね 今夜また電話をください 出ますから」
そう言い軽くキスをした
エレベーターまで見送ると祥子が
「今夜 お願いね」
「なにが?」
祥子はニコニコして神山のおちんちんを触って
「ここです」
そう言うと顔を真っ赤にしてエレベーターに乗った

部屋に戻ると再びベッドに横たわり寝てしまった
神山は再び電話の音で目が覚めた
「洋子です どうされましたか」
「うん ごめん うたた寝をしてしまった」
神山は時計を見ると10時になっていた
「これから次長室に向います 何かあった?」
「緊急では有りませんが 内藤社長から小谷美佳さんの昇進の件は
了承したとFAXが入っているだけです」
「ありがとう これから出るよ」
神山は仕度をしてタクシーを拾い次長室に向った
まだ5月なのに夏を思い出させるような強い陽射しが眩しかった
渋谷でも青山でもみんな夏の格好をしていた
次長室に入ると神山は洋子に
「いやあ ごめんなさい ビール呑んでいて寝てしまった」 
「ええ 何時も連絡が有るのにないから心配しました」
「ありがとう」
神山は洋子がスーツを着ているので
「今日 何か有った?」
「ふふふ たまにはこの制服も着てあげないと可哀相でしょ だから」
「そうか いいね 朝から元気が出てくるよ」
洋子はニコニコしながら次長席に来て振り向いてお尻を向けた
神山は何も穿いていないお尻を見せられ
「おいおい 何をしているの もう ほんと あ~あ」
「ふふふ 脅かしただけよ さあお仕事 お仕事」
そう言い ポケットからショーツを出して神山の目の前で穿いた
ここまで大胆に行動を起こされると神山の調子も狂ってしまった
神山は気を取り直し鈴や食品の黒江亮二常務に電話をした
「黒江ですが」
「次長の神山です」
「神山様 この度はご昇進おめでとうございます 済みませんでした
オートモでお話が出来なくて」
「いえいえ こちらこそ遅くなって済みません」
「時田社長からも神山様に任せなさいと言われているものですから
こちらからご連絡を控えていました」
鈴や食品の社長は鈴やの副社長 時田清三郎が勤めている
鈴やが100%出資という事で人事の交流も行われている
「ところで 黒江さんに伺いたいのですが 味のわかるコック長を
どなたかご存知無いですかね」
「そうですね 例の東都食品に関係しますね」
「ええ 御殿場アウトレットで鈴や食品の傘下で
動いてもらうつもりなんですが いかんせん戦力不足で
作戦負けをしてしまいますからね こちらも揃えたいんです」
「えっ 東都食品をうちの傘下に ですか それは初耳です
ありがとうございます しかし どうでしょう
腕の立つコック長が多いですからね 調べてお電話をします」
「はい お願いします それと牛肉を焼かせたら一番と言われる人も
お願いしますね」
「はい 分りました 直ぐに調べます」
神山は鈴や食品に示す御殿場アウトレットのスケッチを何枚か用意して
デジカメで写真をとってPCに移し画像処理をした
洋子が気になって神山を見ても後ろ向きで作業をしているので
「ねえ 何しているの」
「仕事 もう少し待っていてね 出来上がったら見せるよ」
そう言い 画像処理に集中した
神山が洋子の脇のある60インチモニターのスイッチをオンにして
PCの場面を映し出すと綺麗に色がつけられたスケッチが映し出された
「ふぁ~綺麗 素敵ですね これは鈴や食品のブースですか」
「うん そのつもりだが まだたたき台でデザインは未定さ」
見ていると神山のデスクにある電話が鳴って
「はい 神山ですが」
「どうも済みません 遅くなりまして 分りましたが どうしましょうか」
「ええ そうしたら 2時になればコック長は空きますかね」
「ええ 大丈夫です あと牛肉を上手に調理する人間もわかりました」
「そうしたら 2時に一緒に次長室まで来て下さい 
それと その方の腕を見たいので3時からどこか厨房を
貸して頂く事と 牛肉を20人分位 美味しいブロックを用意してください」
「えっ 20人もですか、、、」
「それでしたら 私がお金を出します まあ10万も出せば充分でしょ」
「ええ 非常にありがたいお言葉なのですが
ブロックは大体 50人分位の大きさなんです」
「良いですよ お金の事を言われるんでしたら 一番高い牛肉の
ブロックを大至急仕入れてください お金はこちらにこられた時に
お支払いします いいですね」
「はい 分りました それでは手配をします」
神山は副社長の時田にこの事を報告すると黒江の対応を凄く怒ったが
「社長 それで3時からその腕の立つコックを検証します
それで場所が決定しましたら秘書室までご連絡いたします」
「うん わかった そうすると 美味しいステーキが食べられる訳だな」
「ええ 多分 ですからお昼は軽めにお願いします」
「うん わかった しかし黒江も山ちゃんにそんなこと言ったか
我社を思って動いてくれているのにな 酷いなまったく
だから業績が上がらないんだ まったくな すまんすまん」
「では お願いします 秘書の方も2,3人OKですよ
お肉の量からいくと充分余裕ですから それから
池上店長も検証に立ち会って頂こうと思っていますが
私から 直接お電話しても宜しいでしょうか」 
「ああ ワシから言っておく 3時だな 場所を教えてくれ」
「はい 了解しました」
「それと山ちゃん、、、」
「はい」
「どうだ その後」
「えっ 何がですか?」
「洋子とうまく行っているかって事 この頃二人ともこの部屋に来ないから
寂しいんじゃ」
「ええ 上手く行き過ぎていますよ 大丈夫ですよ ご安心下さい」
「そうか わかった では連絡を待っているぞ」
神山は電話を切ると直ぐに催事課の奥村課長に同様の内容を伝えると
「わかった なるべく全員で行くよ ありがとう」
神山は洋子に主旨を話して本社人事課で参加してくれる女子社員の
参加を募るよう指示をした
「何人ですか」
「うん 業務に支障が出ない程度でいいよ」
神山は人数が多すぎると焼き立てを食べられなくなるので20人位を
想定した
一応午後の牛肉試食会の件が終ってタバコを吸っていると黒江から
「神山様 先程は大変失礼致しました 只今社長からおしかりを
受けました 申し訳ございませんでした そこで私どもで
牛肉の負担をさせて頂きます」
「そうですか 良いですよ 私が出しますよ しっかりといい肉を
注文してください」
「はい でも、、、」
「貴方も分らない方ですね 私は最高級の牛肉が欲しいと頼んでいるんです」
「はい 分りました ではそのように致します 
それから やはり従業員食堂の厨房が大きいのでそこを確保しました
あと 牛肉料理の上手な人間も確保しました 2時に伺います」
「お願いしますね」
神山は催事課と本社秘書室 人事課へ場所の決定を連絡した

「さあ そろそろお昼だけど どこにするか」
「3時のおやつにステーキでしょ そしたらパスタかな」
「あそこか うん いこう」
神山と洋子はまだ12時になっていないが次長室を出て
イタリア料理店に入った
ランチの時間はどこのお店も込み合うが少し前に来ると空きが目立った
「こうやって 外が見える場所も良いわね」
「うん 雨が降っていてもそれなりの情緒があるね銀座は」
二人はパスタとピザパイを一人前ずつ頼み
サラダを2人前注文しビールも注文した
テーブルにサラダとビールが来ると乾杯して呑んだ
「洋子 今日は面白い事になるよ」
「なに?」
「内緒だよ 僕もステーキを焼く」
「えっ なんで プロでしょ 来る人は」
「うん プロでも何でも良いさ 僕が今まで調べたデーターで
どこまで出来るか挑戦したいんだ」
「ふぁ~凄い事するわね まあそこが貴方のいいところね
負けても勝っても関係なく実力を試すわけね
だけど 無いと思うけど向こうが負けたら大変じゃないの」
「そうしたら 勉強さ それしかないでしょ」
「ええ そうね」
「だって 実力が無いのに駄目でしょ やはり美味しいく
調理をしてもらって 幾らの世界でしょ」
「そうね しかし貴方と戦う相手は大変ね ボーンにしても
アレックスJrにしても 東都食品にしても みんな貴方が
戦って負かしてきた相手ですもん 私 戦わなくて良かったわ」
「また ぼくはいつも洋子に負けているよ」
「そんな」
「時田さんが 寂しがっていたよ この頃部屋に来ないからって」
「でもね 用事を作らないといけないしね そんなねえ」 
「で 上手くいっているのかって だから上手く行き過ぎていますよって」
「それで」
「うん 喜んでいたよ そうか うん そうかって まあ嘘でもないし
ある部分困るしな~」
「私は 良いわよ 貴方次第だから ぜんぜん気にしていないから」
「もう 苛めないでくれ 今日はどうしたの」
「いえ 全然 普通よ」
二人はボトルワインを頼んでピザとパスタを平らげた
「あ~ 食べた 洋子と食べると美味しいや」
「また ほんと」
「うん ほんとだよ あと亜矢子さんの時もそうだけどね」
「やっぱりね、、、でも亜矢子さん凄いわね 私も自分だったら
怖くて買わないわよ」
「うん 僕も怖くなってきたよ だってゴルフでも上手く行ったでしょ
ほんと 信じられないよ」
「ねえ 今日は赤パン?」
「ううん 違うよ」
「そうしたら縁起を担いで 赤パンを買いにいこう」

洋子は神山の手をひっぱって他のデパートのランジェリー売場に行った
神山は大勢いる女性客に混じって洋子と一緒に売場を歩いた
「あったわよ これって この間 熱海で買ったのと同じよ」
そう言い 5枚も買って
「どうするの こんなに買って」
「良いじゃない 部屋が3箇所あるわけだから2枚ずつでもおいて置けば」
「まあ わかった ありがとうございます では試着をしましょうかね」
「もう ば~か なに言っているの ほんと」
洋子が清算を済ませて次長室へ戻る時に神山が
「酒売場でワインを買おう ステーキには欠かせないしね」
「そうね そうしたらニンニクとブラックペッパー お塩ね」
神山と洋子は地下の食品売場で3時の準備をした
ワインはどんな肉が用意されるか分らないので
ライトボディーとミディアムボディーを神山と洋子は何種類か試飲して
5本ずつ買って次長室へ戻った
神山は早速ワインを冷蔵庫に入れて冷やした 全部で8万円ほど掛かった

暫く先程のスケッチをPCで画像処理していると洋子が
「只今 黒江様がお見えになられました」
そう言い次長室のドアを開けると3人がスーツ姿で入ってきた
神山がソファーを勧め洋子がお茶を用意した
「黒江さん いらっしゃいませ」
「ありがとうございます 神山様」
「さて 早速本題ですが この絵を見て頂きたいのです」
神山は60インチのモニターに御殿場アウトレット 鈴や食品の
ブースをスケッチした画像を説明しながら見せていった 
黒江は説明を聞いている時は嬉しそうだったが終ると
「しかし 神山様 どうでしょうか 予算は?」
「ええ 1億は掛かりますね」
「へぇ~1億ですか 無いですよ そんなに」
「ええ お金はこれからです この案の概略は社長の時田さんは
ご存知で賛成をして頂いていますよ まあこれはあくまでたたき台です」
「神山さま ご存知だと思われますが 当社は従業員を相手にしている
会社です ですからこの様なブースまでは如何と感じています」
「分りました 兎にも角にもお金は抜きにして如何ですか 
方向性を尋ねているのです
例えば テナントを募っても良いと思われますが どうでしょう
何のために出店をしたか分りませんよね そこでどのようにされたいか
お聞きしているんです」
「ええ 先程も申し上げましたように何しろ神山様に任せておきなさいと
指示でしたので 何も考えていません」
「そうですか では 私の案は先程説明した通りですが 何かご提案が
有りましたら ご連絡を下さい」
黒江が
「申し遅れました こちらがコック長の多田美智雄で若い方が
調理師の東条忠徳です 二人とも肉料理は得意と聞きましたので
ここに来てもらいました」





.

2013年5月18日土曜日

薔薇 8 - 33 Vol. 2



「まあ 田所さん いらっしゃいませ」
資生堂商品のチーフが洋子を見つけて挨拶をした 神山が篠原を指して
「相談があります この今着ているスーツに合う化粧品を探しています
以前 洋子さんのように変身を希望します」
「このままのお化粧でも充分お似合いですよ」
「それは分っています 私が言葉が足りませんでした すみません
以前のようにイメージは 挑発的 男を魅了する しかし派手過ぎない」
「はい 分りやすいご説明でありがとうございます ふふふ
そうすると 変えなければ行けませんね 分りました
では篠原さん メイクしてよろしいですか 一所懸命メイクします」
「はいお願いします」
「どの位時間は掛かりますか?」
「ええ 直ぐですよ そこにお座りになって 見ていてください」
「えっ恥ずかしいわ 私」
「篠原涼子さん お仕事ですよ お願いします」
「はい 分りました」
チーフが篠原涼子にエプロンを掛け まず今の化粧を丁寧に落とした
神山とJrはすっぴんも綺麗だと感じた 下地を塗り始め どんどん
進めていく この位のスピードでこなさなければ 
チーフになれないのかと改めて思った 
洋子のときもそうだったが早くて正確な仕事だった
見ている間に出来上がり神山は驚いた
アイラインを入れ最後にルージュをさし やはりプロの仕事は違った
「はい神山様 仕上がりました 如何でしょうか?」
「ふぁ 凄い 篠原さんが見違えた うん OKです」
篠原涼子は手鏡をみてビックリしている
「篠原さん お化粧によって 素晴らしくいきいきしたわ
今までは どちらかと言うとお仕事柄 地味目だったの だから
思い切って 変えたんです 凄くこのスーツにお似合いよ
このお姿でしたら グラミー賞に行ってもひけをとりません
若返ったわ 今までのお化粧より素敵ですよ」 
「神山さん どうですか? 若返りました?」
「もう そう言うレベルではないでしょ 美しすぎます
そうしたら 今使った化粧品をください」
チーフは 今までのは全て使えない事を篠原に伝え
「はい 分りました お願いします」
チーフが計算して 18万円と言ったので洋子が手渡したとき
アレックスJrが
「この分は私が清算する ありがとう 神山さん」
そう言いJrが18万円支払いを済ませた
アレックスJrは神山と篠原は洋子と話しながら店内を歩いていると
女子店員達は素敵な4人に見とれていた

洋子がタクシーを拾うと築地 居酒屋 喜久屋へ向った
暖簾をくぐると店内は一杯だったが神山は2階の座敷に案内された
この2階は隣りと簡単な仕切りがある座敷で 通路を挟んで話が出来る
居酒屋だった
Jrは始めての体験で落ちつかない様子だったので篠原涼子が
「昔と変らない文化がここにあります」
と言ったがJrはまだ納得しいなかった
神山はビールを注文しておつまみを適当に選んだ
篠原涼子のビジネススーツがこの場所には似合わないのか
周りの客から変な目付きで見られるようになった
神山はその雰囲気を察して
「やあ 涼子さんアレックスジャパンの社長秘書就任おめでとうございます
これからも会社の繁栄の為 頑張ってください」
少し大きな声で言ったので廻りはアレックスジャパンのブランドを聞いて
少し静かになった 神山が
「さあ これも仕事だよ いいね 正々堂々としてJrを支えなければ」
篠原 涼子は俯き加減だったが神山の言葉が励みになり姿勢を正した
「よく似合うわよ すてき」
「Jr どうだ 彼女を見直しただろう」 
「ええ 凄く綺麗だ 神山さんのお陰でいい秘書を持つことが出来た」
神山と洋子は二人にどんどん食べなさいと言ったが
Jrが食べ方が分らないと何度も篠原 涼子に聞いていた 
「ねぇ あなた ここ結構美味しいですね 新鮮だし」
「うん だから人気なんだろうね」
4人の箸が進んでいくうちにJrと篠原涼子の息が合って来た
Jrは素直に分らないと言い涼子はそれを分りやすく説明していた
神山が
「Jr 日本酒は呑めるかね?」
「うん でも甘いのはだめだね 口の中がべとつくから」
神山は仲居に超辛口の日本酒を冷やしてもって来るように注文した
「篠原さんは呑める方ですか?」
「ええ でもそんなに呑んだ事有りませんから 分りません」
「そうしたら無理をしないでこの日本酒を少し呑んでごらん」
涼子は小さなグラスに水滴が付いた日本酒を少し呑むと
「ふぁ~美味しいわ Jr 美味しいわよ」
涼子に勧められてJrも一口呑んだが
「うん これはいけるね 美味しいです」
みんなで呑んでいると直ぐ傍で
「涼子先輩 どうしたんですか」
「美佳こそ どうしたの 久しぶり元気?」
「ええ さっき田所部長から呼ばれたのよ」
「おい 翔 どうしたんだ」
「ええ さっき美佳さんから田所さんから呼ばれ一緒に来なさいって」
洋子が
「私が二人を呼んだの だって涼子さんもハーバードで美佳さんと
同じ学部でしょ だから多分お付き合いがあると思って」
「そうか でも翔は」
「だって 昨日の今日だから付録よ」
「また 田所部長 酷いですよ 付録なんて」
二人が来て賑やかになったが涼子がみんなのつながりが分らなかった
洋子が
「神山次長は鈴やの本社次長 美佳さんのアルタでは担当常務
そして涼子さんのアレックスジャパンでは最高責任者なの
だからここにはその繋がりの人がいるわけ
私でしょ 神山 杉田君が鈴や 美佳さんがアルタ
Jrと涼子さんがアレックスジャパンって訳」
涼子が
「神山さんて凄いですね 会社3つもあって」
杉田が自慢するように
「もう一つ有るんだよ ねぇ先輩」
「なんですか それは」
「うん 東都食品の最高責任者さ」
神山は紹介されて悪い事ではないが 今は関係ないので
「まあ 翔 ここでは関係ないから 程ほどに」
美佳と涼子はハーバードを卒業してから会っていなかったので
ハーバード時代の話をしていた
洋子が
「涼子さん これもお仕事よ 昔のお友達とのお話も良いけど
Jrのグラスの管理も貴方がするのよ」
涼子は頷いてJrのグラスにお酒を注いで
「Jr 気が付きませんでした ごめんなさい」
「うん いいよ昔の友達を大切にしなさい」
「うん ありがとう」
「涼子先輩 そうすると秘書?」
「ええ 本日 就任です」
「ふぁ~ いいな~ 私 受け付けよ いいな~」
神山が
「まあまあ 美佳さん受付は誰でもなれる訳じゃないから」
「ええ しかし 秘書ってお給料良いでしょ いいわね」
「だけど 美佳にはご両親がしっかりいるでしょ 私は母だけよ
だから秘書になっても父はお金では戻ってこないもの」
「そうね 先輩はお父様がいないもんね ごめんなさい」
神山は洋子と相談して
「わかった 美佳さん あすから係長だ いいね これから
内藤社長に連絡を取る 待っていなさい」
神山は内藤社長と電話連絡をして少し話して頷き終わった
「結論 OK だ がしかし美佳さんの年齢だと難しいので
社内で英語教師をしてもらうことが条件だ いいね」
「ふぁ~ 神山常務 ありがとうございます 涼子先輩聞きました
私 係長だって 杉田さん 良かった」
美佳は杉田に抱きついて みなにはばからずに熱いキスをした
これにはJrも拍手をして喜んだ 涼子が
「杉田さんとどうなの そんな見せ付けて もう」
「ええ いい仲よ とっても ねぇ杉田さん」
「いい仲って いい仲なの?」
杉田も美佳もなぜか顔を真っ赤にして黙ってしまった 涼子が
「なんだ そうだったら早く言ってよ もう いいな~」
「涼子先輩 それがですね、、、」
「いうな 美佳さん お願いします」
杉田の様子がすごく慌てだしたので神山が小声で
「どうした 成功したのか?」
杉田はますます赤い顔になり
「失敗です、、、先輩 自信なくしました」
美佳が聞いていて
「だって山ちゃん 聞いてください 酷いですよ
避妊具をつけて下さいって頼んだら わかった 自分でつけるって
そう言ってて、、、私 待っていたのに恥ずかしかったわ」
「もう 美佳さん ごめんなさい ほんとごめんなさい」
「もう もっと頑張って我慢してください 今度から 嫌です」
洋子が
「杉田君 男の人は緊張すると誰でもあるわよ気にしない方がいいわよ」
聞いていたアレックスJrも
「僕も奥さんが始めての女性だったんだ 大変だったよ
コンドームが上手に付けられなくてそのうちにおちんちんが小さくなって
今でも笑い話さ 大丈夫だよ次は おちついてね」
Jrのなぐさめが効いたのか杉田は少し元気になった 涼子が
「杉田さん私が教えて差し上げましょうか」
それを聞いた美佳が
「涼子先輩 まだバージンでしょ だってその時は結婚式にとっておくって
昔から言っていたでしょ 私先輩の言葉を信じていたのに、、、」
「、、、美佳ね バージンでも出来る事はあるわよ
自慢じゃないけど、、、まだそうよ だってそんな男出てこないもんね」
美佳が明るい顔になって 
「そうでしょ だから私も杉田さんだったらOKかなって ふふふ」
「もう いいわよ あ~あ どこかに白馬の王子さま いないかしら」
アレックスJrが
「ここにいるよ 僕が」
「駄目です 不倫は絶対」
「そんなに言わなくても 神山さん 彼女はこの様に冗談が通じない
いつも注意されてばっかりだよ」
「まあまあ 仲良くしてよ 涼子さん 気分をリラックスさせるのも
秘書として大切な仕事だよ」
洋子が英語で美佳と涼子に
「男を成功させる事が秘書の勤めだがその報酬は男の笑顔で充分だ」
美佳と涼子は頷いてJrは
「神山さん すると僕は涼子のまえで
いつもニコニコしていなければ彼女が悲しむね こうしてニコニコ」
この言葉でみんな大笑いをした
杉田が神山に
「先輩 そろそろ戻ります 時間だし」
「大丈夫だよ 何かあったら携帯に来るだろう」
「ええ」
「そうしたら美佳さんと散歩して戻ればいい」
杉田は急に明るくなって
「美佳さん 行くよ でよう」
「はい 分りました」
二人は4人に挨拶をして階段を降りていった 

涼子が
「いいな~ 先を越されたわ Jr」
「うん でもこれから僕と一緒に色々な所に行くからいい男はいるよ」
「そうよ涼子さん 灯台下暗しらしもあるしね 人事は辛いわよね
嫌な事ばかり見えるから ある部分人間不信になるわね」
「ええ そうなんですよ いい人がいても分る事が多いですね」
「だけどね涼子さん 神山さんもそうだったの 人事の評価では
いまの活躍は誰も予測できなかったわ ごく普通の人よ
それが何がきっかけか分らないけど 本社の次長よ 私だって
信じられなかったもの」
Jrが
「神山さんは 強くて優しい そして嘘をつかない
柔道は強い 大丈夫だよ涼子 いいひとは僕も探すよ」
Jrが涼子のほほに軽くキスをした 涼子が顔を赤くして
「お願いしますね 一緒に探してね」
神山が涼子に
「涼子さん はっきりしていないので内定として聞いて欲しい
御殿場アウトレットが出来たら チーフで働いてもらう事に
なるかもしれない まだ決定ではないけど いいね 内緒だよ」
「そうすると 秘書は」
「うん 決定じゃないから今は心配しなくていいよ あくまで
僕の個人的な判断です 涼子さんの才能を
最大限引き出したいと思っているんだ 今は秘書を頑張ってね」
「はい 分りました」
神山達は美味しい鮮魚を食べて最後にお茶ずけでしめくくった
「さあ そろそろ9時を廻ったから帰ろうか」

涼子が
「そうですね 時間も丁度良いですね ご馳走様でした」
洋子が清算をして店を出た Jrが
「神山さん 今夜は楽しかった ありがとうございます」
そう言い涼子とJrはタクシーで有楽町駅まで行った
神山と洋子は銀座方面に歩き洋子が
「ねぇ もう一日泊まろうかな」
「えっ 大丈夫なのかな お母さんは」
「ええ 電話で話してあるの 貴方次第よ」
「そうしたら 代々木にいこう」
「ええ そうしましょ 私も疲れたわ」
神山と洋子はタクシーを拾って代々木のマンションへ向った
「しかし 翔は大丈夫なのかな 失敗すると結構自信無くすからね」
「あなたは どうだったの」
「うん 緊張したさ どこだか分らなかったからね」
「そうなんだ やはり女性と違うのね そんなに緊張したの」
「うん だって最初は肛門に入りそうになって 相手が違うって
それで意気消沈さ 翔の気持ち分るよ」
「いやねぇ お尻に入れようとしたなんて もう」
「でもね 入れる穴が目で確認していないから しょうがないよ」
神山と洋子が失敗談で盛り上がっていると代々木のマンションに着いた
二人が部屋に入ると神山は
「洋子 部屋着とか バスローブなんてあるといいね」
「そうね 渋谷に出て買おうかしら」
「うん 22時閉店だからまだ間に合う」
神山と洋子は急いで渋谷の専門店に向った
バスローブもホテルで使われるような高額品から安くて薄い生地まで
色々と種類があった
神山と洋子はホテルで使われている高額品を選び
部屋着も最高級コットンを使用した部屋着2種類を購入した
バスローブが5万円2着で10万円 部屋着は2万円が4着で8万円
洋子が現金で清算した
神山と洋子は店を出るとたこ焼きの美味しい匂いにつられて買った

代々木のマンションに着くと神山と洋子は部屋着に着替えて
「洋子 気持ちいいね この部屋着は」
「そうね コットンが違うとこんなに肌触りも違ってくるのね」
二人はお揃いの部屋着を着てソファーで寛いだ
神山は冷蔵庫から地ビールを出して洋子と自分のグラスに注ぎ
たこ焼きを食べてゆっくりした
「ねえ あなた ショーツを脱いでくれる」
「えっ なんで」
「今のうちに洗濯するわ 昨日履いた分も一緒よ 靴下もね」
神山はバッグに丸めて入れてある靴下とショーツをだして
部屋着を脱いでショーツを洋子に渡した
洋子も寝室でブラジャーとショーツ パンストを脱いで
洗濯機に入れた
「洋子 下着がないとなんか収まりが悪いけど 気持ちは最高だね」
「ええ ノーパンって気持ちいいわ 癖になりそうね」
二人が一息した所で洋子が湯船に湯を張ると
「ねぇ 入りましょよ」
「うん 今いくね」
神山が浴室に入ると湯船が泡で一杯だった
「驚いた さっき買ったの」
洋子がバスソープを入れて泡だらけにしていた
二人が入ると泡で首から下が見えないので
「気持ちいいけど 洋子のここが見えないよ」
神山が洋子の秘所を触って言うと
「たまにはいいでしょ こうやって湯船で汚れが取れるもん」
神山と洋子はゆっくりと浸かっていたが泡がなくなったので
ジャグジーを掛けると泡が作られ先程のように泡の山が出来た
今日一日曇っていたが夜空には星が出てきた
「さあ 出ようか」
「ええ そうしましょう」
神山は先に出て洋子を引き上げてあげるとそのまま抱き合ってキスをした

5月6日 水曜日 快晴
「おはよう あなた」
「うん おはよう 早いね今朝は」
「ええ 簡単だけど朝食を作ったわ」
「えっ ありがとう」
洋子は部屋着を着てキッチンで朝食を作っていた
「ねぇ あなた シャワーを浴びたら」
「うん そうするよ」
神山は洋子の勧めで熱いシャワーを浴びて髪の毛も洗った
バスローブで出てくると地ビールが用意されていて
「はい お疲れ様でした」
洋子はニコニコして神山のグラスに地ビールを注いだ
結局 昨夜はベッドの中で3回交わり 神山は疲れ果て寝てしまった
疲れた訳ではないが今朝は午前中の予定がなかったのでゆっくり寝ていた
「はい かんぱいよ」
「うん では頂きます」
昨夜コンビニで買った材料で美味しく作られていた
ベーコンエッグや一夜干し干物の焼き魚と和洋折衷だったが
美味しく食べた 神山は冷蔵庫から地ビールを出して
「ここで食べるのは初めてだね 落ち着くよ」
「ええ 良かったわ 喜んでもらえて」
「今度 食器自動洗浄器を買おう」
「ええ ありがとうございます 助かるわ」
「そうだね そのうち夜もここで食べたくなるよ」
「いいの そんな事言って お寿司屋さんや居酒屋さんが悲しむわ」
「う~ん まあ 時々だよ 毎日は無理でしょう
だって 洋子の生活も有るしね」
「そうね でも出来る限り一緒に居たいわ」
神山と洋子は窓を開けて5月の風を楽しみながら食べた
「ねえ ここに掛けてあったシャツは?」
「ええ 洗濯したわ」
「そうか そうしたらTシャツしかないな う~ん」
「そうしたら 靴とかシャツを買えば 靴も2足だと 休ませてあげないと」
「そうだね しかし今日は定休日だから明日だな」
「ええ 私 覚えておくわ だけど 渋谷で買えば良いでしょ
別にうちでなくても」
「そうだね そうしよう 洗って貰ったのは替えにおいておこう」
「ええ 下着や靴下もそのまま置いておけばいいわ 
そうしたら私も下着を買おっと」
「一杯持っているんでしょ 女性は」
「ええでもブラジャーが少しきつくなったの 貴方が弄るから」
「へぇ~ 知らなかったよ 愛撫をすると大きくなるんだ」
「分らないわ でも窮屈よ 今のサイズだと」
洋子が部屋着のスエットをたくし上げると見事な形の乳房が現れ
「どう 変っている」
「う~ん 分らないな でも余分に買えばいいさ 僕が出すよ」
「ほんと セットだと5万円もするわよ いいの」
「うん いいさ 洋子が欲しいのでしょ」
「ふぁ~ 嬉しいわ そうしたら3セット位買おうっと」
「ねえ わかったから 降ろしてくれないかな
朝からおっぱいをそうやって見せられると、、、こまる」
「ふふふ 大きくなったの どれどれ」
洋子は神山が座っているソファーに行って跪き
神山のバスローブを開くとすでに肉棒化しているのを見て
「まあ 元気ね」
洋子はそう言うと手で掴み口で咥え込んで動かした
「あっ あっ うっ 気持ちいいよ」 
洋子は更に肉棒の裏側をハーモニカを吹くように愛撫をすると
「駄目だよ でるぞ」
その言葉を聞いた洋子は部屋着を脱ぎ捨てて神山の上に乗って
膣に肉棒を上手に挿入すると動き始めた
神山は目の前で乳房が上下に踊っているので乳首を摘むと
洋子は喘ぎだし二人一緒に昇天してしまった
「ふぁ~ 気持ちよかったわ でももう駄目 抜くわね」
洋子は自分から肉棒を抜いた
「ほんと 私この頃可笑しくなったわ もう貴方よ こんなにしたの」
「うん わかっているよ 僕は嬉しいけどね」
「もう 乳首もジンジンと疼いているのよ ふぁ~困ったわ」
困った困ったと言っているが洋子の顔は全然困っていなかった

「さあそろそろ10時だ 渋谷へ行こうよ」
神山と洋子は代々木のマンションを出て渋谷の百貨店に行った
土地柄 若い買い物客で賑わっていて 紳士服売場では
若者に人気のブランドがたくさん入っていた
スタンドカラーのシャツも鈴やに比べると種類が豊富で
3着買う予定だったが5枚も買ってしまった
洋子の勧めでジャケットも今着ているものより軽くてデザインが
良いのを2着も買ってしまった
「ねえ 靴だけは良いのを買ったほうがいいわ」
そう言われて 靴も高い物を2足も買ってしまった
神山は計算した
シャツが2万5千円5枚で12万5千円 ジャケットが7万円が2着で 
14万円 靴が4万円を2足で8万円 合計34万5千円
「ふぁ~使ったな」
「じゃあ 今度は私よ 一緒に着てね」
洋子のランジェリー売場に神山も一緒に付いていったが
やはり洋子くらいから下の年齢層が多くて神山は居心地が悪かった
洋子が神山にこれはどうと聞いてくるが うんうんと頷くのがやっとだった
「ねぇ 肌着って ブラジャーよりショーツの方が先に駄目になるの
だから ショーツを3枚買っていい」
神山は分らないので
「うん いいよ」
洋子はブラジャー一枚に対してスタンダード ハイレグ Tバックと
セットにして 5セットが欲しいと言ったので
「全部で幾ら?」
「ええ 64万円になったわ」
神山は驚いたけど買うと約束したので現金で清算をした
「洋子 これ上原に持っていくよ」
「そうね 一緒に行っていい?」
「うん」
二人は大きな荷物を抱えてタクシーで上原のマンションへ向かった
神山は一日しか開けていないのに久しぶりに戻ってきた感じがした
「ねえ ジャケットは1着 靴も一足 次長室において置いたら」
「そうだね そうしようか」
神山は冷蔵庫から缶ビールを2本出して洋子に渡しそのまま呑んだ
「さてと 僕はこのまま銀座に行くけれど洋子はどうする」
「ええ 今日は何か有りますか」
「う~ん 特別無いな 休んでいいよ 夜だけだしね」
「ふぁ~ 嬉しい」
「うん この間の日曜日も出てきてくれたし 休んで」
「はい 分りました では18時に駅前寿司で良いですね」
「うん 頼むよ じゃあ出ようか」 
「忘れないでね カランダッシュ」
「うん 着いたらバッグに入れておくよ ありがとう」

神山と洋子は上原のマンションをでた
まだ12時前だったので洋子は家で色々と片づけが出来た
洋子はタクシーを拾って帰ったが神山は上原のニーナ・ニーナを覗いた
平日なのに4,5人のお客が入っていて繁盛していた
店員が忙しそうだったので挨拶をしないで地下鉄で
銀座へ行って次長室に入った
渋谷で買ったジャケットと靴をクローゼットにしまい次長席に座った
洋子から言われたようにジョン ブラームスのプレゼントを
忘れないうちにバッグに入れた
神山はウインドーや店内の造花が気になったのでウインドーに行くと
「先輩 こんにちわ 今日も出勤ですか」
「よう 翔 そうだよ 美佳さん どうした」
「ええ 大丈夫ですよ ご安心下さい 仲良く手を繋いで帰りましたよ」
「なんだ 翔は徹夜じゃなかったのか」
「へへへ ええ あのあとここで暫くいたんですけど 倉元さんも
帰っていいと言われて帰りました」
「美佳さんもここに居て?」
「ええ そうですよ」
「そうか それでは帰りなさいと言うよね まったく」
「作戦が成功しました」
「わかった そうしたらめしにいこうよ 誰かを待っているのかい」
「いえ このままでいいか見ていたんですよ 少し多い気がしているんです」
「そうだな でも倉さんが良いと言っているんだろ」 
「ええ まあそうです」
「だったら 任せておきなさい」
神山もこのウインドーの陳列方法だと少し多く感じたが
少ないよりましかなと思った
「何を食べようか 倉さんたちは」
「ええ 先程由香里姫が来て そのまま消えていないんです」
「そうか 近くだから遊びに来たのかな」
「ええ なんか買い物に来たって行っていましたよ」
「デコレーター達は」
「ええ 多分何時もの中華でしょう」
「わかった そうしたら美味しいほうの中華にするか」
「ごちです」





.

2013年5月13日月曜日

薔薇 8 - 33 Vol. 1



5月5日 火曜日 曇り
神山は代々木のマンションで初めて一夜を過ごし
隣りには可愛らしい洋子の寝顔があった
曇っていたが雨は降らないだろうと思っていた
神山は冷蔵庫から地ビールを出して テラスでタバコを吸いながら
初めてみる朝の景色を堪能していた
洋子との交わりはあの後ベッドで一回楽しんだが充分だった

神山は時計を見ると6時30分だったが 洋子を起こした
「なあに」
洋子は眠たそうな顔で神山をみて家でない事を知った
「洋子 ごめんね 起こして」
「ふぁ~ ごめんなさい 変な顔しているでしょ」
「いや 可愛いよとっても」
神山は洋子のおでこにキスをして上になると洋子が
「ねえ駄目 おトイレにいくわ」
そう言われがっかりしたが神山も浴室に入ると
「ばか すけべ 何しているの もう いや」
洋子が丁度用足しをしているところで
「うん あの 僕も出るんだ」
「もう とまっちゃったでしょ 脅かすから もう 早くして」
洋子は少し怒って便器を空けてくれた
神山は間一髪で便器に用を足していると洋子が覗き込んできて
「へぇ~ 男の人っておちんちんをそうやって支えるんだ ふ~ん」
神山は終るとおちんちんをぶるんと振るうとしずくが飛んだ
洋子は
「おちんちんって そうしないとしずくが飛ばないのね」
神山は何も言えずにシャワーを浴びて湯船に浸かった
熱い湯が体に染み渡り気持ちよかった
入れ替わりに洋子が入ると
「まあ 熱いわ よくこんな熱いのに入れるわね」
そう言い水をだしてぬるくして使った
神山はシャンプーをして出るとビールを呑んで寛いだ
「ねぇ 今日は途中まで運転しようか」
「うん でもいいよ 僕がするよ
県庁だと2時間見れば大丈夫だし 平気だよ
明日のジョン ブラームスの招待だけど 助けてもらったから
カランダッシュのセットでいいかな」
「そうね 当然アレックス氏に話が行っているし
両人が会ったときに持っていても可笑しくは無いわね」
「そうしたら今日にでも買っておこう それから
アレックスジャパンからも軍資金をもらえるように
考えないといけないな 今回は完全にアレックスジャパンだからね」
「そうね ジャックの奥様に話をするわ」
「それでは早いけど モーニングサービスをしようか」
「もう 私ほんと壊れるわよ」
「大丈夫だよ」

そう言い神山は洋子の体を優しく愛撫をして交わった
今回も発射したあと洋子の中にじっとしていると膣が動き出し
二人とも一緒に昇天してしまった
ぐったりしている洋子に神山は優しくキスをすると
そのまま少し寝てしまった
洋子が7時30分になったので神山を起こすと肉棒が天を向いていて
「まあ 寝ている間も考えているの厭らしいわ」
そう言って天を向いている肉棒をポンと横から叩いた
神山はようやく目が覚めて洋子にキスをして出かける仕度をした
「ねえ あなた私はこのスーツで行くの?」 
「そうか 次長室でGパンに着替えるか」
「ええ その方がうれしいわ」

仕度をして忘れ物の確認をして部屋を出た
車の往来はあるがなかなかタクシーが来なかった
少し坂を下るとタクシーが来たので乗り込み銀座に向った
神山は地下の駐車場から貴婦人を出して洋子の着替えを待った
時計を覗くと8時少し前だった
この時間はサラーリーマンの出勤する姿はまだまばらだった
洋子が着替えを済ませビルから出て乗り込んだ
神山は首都高に乗って東名に入ると飛ばした
先日降りた御殿場ICで約半分の距離で残り80kmあった
東名静岡ICを降りたところでガソリンスタンドに寄ってハイオクを
入れてもらった まだ9時30分になっていなかったので近くの
コンビニでサンドイッチを買い腹ごしらえをした
ここから洋子が県庁まで運転をした 丁度10時につき
車を駐車場に止めると国土開発課山城恵子を尋ねた

6階のカウンターに行くと山城も待っていたのか
「山城です いらっしゃいませ どうぞこちらへ」
会議室を案内してくれた
神山と洋子は名刺を出すと山城は2つの会社が入っているので
少し驚いた様子だった
ソファーに座ると他の女性職員がお茶を運んできた
山城がどうぞと勧めたので飲むと美味しかった
神山は御殿場アウトレットの仕事をする上で何か規約があるのか
工事をする時の規制などをまず聞きたかった
山城はまずゾーンごとにファッションが分かれること
既存の建物の中で割り当てられたブースで展開する方法
これが一番安い契約金
次にゾーンの中で箱から自分達で造る方法
最後にゾーン以外の広いスペースでの展開 
これはその敷地を有効に使って御殿場アウトレットに寄与する
デザインがある程度求められる
最初の契約は家賃と考えられ あとの2つは家賃プラス敷地面積の
金額が上乗せされる
山城は
「この土地は元々四菱地所の土地を県と国が買い取り 御殿場地区の
地域活性化を狙った計画で立ち上がりました
私が以前視察した時に広大な土地が何もされていなく雑草が
生えている土地で何とかできないかと動き始めて7年が経ちます
ご存知のように御殿場は山に囲まれた小さな街です 
この自然を多くの人に知っていただく事と観光客の誘致を目的に
考え色々と外国の資料を見ていて計画をしました
従いまして景観も重視されますし地域との調和も求められます
基本的に平屋で考えていますがフリーゾーン エリアゾーンの
箱ものを建てる場合は景観を重視し全体の調和を考慮したデザインを
最終的にはお願いすることになります」
今度は神山が大人と子供の融合性 飽きられない御殿場アウトレットの
あり方などを山城に説明すると
「全ての方が神山様のように考えてくださるととても嬉しいのですが
はたして どこまで出来るか不安です」
そのあと山城は御殿場アウトレットプロジェクトは静岡県と民間会社で
運営されている事 募集要項が6月に配布される事 エリアゾーンの
抽選 契約金など 今月末には書類が出来上がると言うので
神山はFAXをお願いすると快く引き受けてくれた

洋子がプロジェクトの場所を確認すると県庁の中にあるというので
山城に案内してもらった
国土開発課の隣りに30畳ほどの部屋に机が10台位並んでいて
まんなかに大きな会議用のテーブルがあった
たまたまプロジェクトのリーダーが在席していて山城が紹介してくれた
「私がここのリーダーを勤めます 竹内と申します」
竹内と神山 洋子は名刺を交換した
山城がソファーを勧めたので皆で座ると 竹内が基本的な計画概要を
説明してくれた
先程山城が言っていた自然保護と観光客の集客が大きな2本柱に
なっている事
その上で建物の景観 地域との融合性などが含まれたデザインが
必要になってくると説明され 神山も山城に話した
大人と子供の融合性 箱を造った時の異業種組み合わせなどを
分りやすく説明した
「一番は 年に何回来るかで決まります 大人が暇な時に子供に
せがまれればでは 行って見ようと そうする事によって集客力を
あげる事が出来ます
単なる安物売りだけでは直ぐに飽きられてしまいます
そこで この御殿場アウトレットの景観を損なわない楽しいものを
考えていくわけです
例えば休みはファミリーが多いと思われますが 子供は直ぐに飽きます
そこを解決すればファンは増えると思います 
私は ここのターゲットを20~30代の女性でブランドを理解している
女性だと思います しかし年に何回来るかで勝負は決まります」
竹内が頷いて聞いてくれた
「神山さん ここに全体の景観があります 見てください」
竹内はA全のパネルに御殿場アウトレットの
全体像を書いた物を見せてくれた
各ゾーン毎纏まってはいるが果たしてこれで集客が出来るか心配だった
全ての建物が平屋でメリハリが無くどうかと思った 竹内が
「神山さん ご感想は如何ですか?」
「ええ よく纏まっていますが どうでしょう 例えばここの建物を
3階建てにするとか 建物にメリハリをつけては如何でしょうか
当然 このエリアのように平屋に入るブティックもありますが
人が流れれば 大丈夫でしょう 
それに このフリーゾーン全部が高い建物を建てる訳ではないと
思いますし 電車からも見える訳ですから如何でしょうか」
「そうですね ありがとうございます 私一人で決定できませんので
決まり次第ご連絡いたします
神山さんのご出店は鈴や食品さんですよね 伺っていますが」
「ええ あと私はアレックスジャパンとニーナ・ニーナのブースを
最高責任者として監督しています」
「えっ あのアレックスジャパンさんをですか」
「ええ 先日契約しました 洋子さん契約書を」
洋子が契約書のコピーを竹内に見せると
「神山さま 大変失礼を申し上げました 済みませんでした
今までアレックスジャパンさんと 連絡が取れていたんですが
先日 責任者が変ったのでデザインは保留になっていると
言われたんですが 神山さまの事だったんですね 
しかし神山様に変られて安心しました 以前のデザインをお見せします」
竹内がやはり大きなパネルに書かれたパースを数枚出してきた
「どれも 帯に短し襷に長しで考えていたんです」
「私どももアルタを中心にプルジェクトを作って動き始めました
この様なデザインは出てこないと信じています
そこでお聞きしたいのですが 各ブースの建築上の規制は
どうなっていますか 例えば耐震性とか 消防法を何処まで適用するとか
色々とあると思いますが」
「ええ それも6月に入ったら今まで応募をされている所には配布します
神山様の所にも配布いたします」
「出来たら 事前にチェックをしたいのでFAXで構いませんので
お願いします」
「そうですね ここの次長室で宜しいですか」
「ええ そうです お願いします」
神山と竹内が握手をして別れる時にちょうど12時の時報が庁内に鳴った

竹内が
「神山様 どうですか 美味しいまぐろは」
「ええ 良いですね 頂きたいですね」
「それでしたら これから一緒に行きましょう」
竹内は山城も一緒にいこうと誘って4人で県庁の
裏にあるまぐろ定食に行った
店内は30人入ると一杯になる小さなつくりで満員で2階に案内され
座るとメニューが無いので神山が竹内に
「メニューは無いのですか」
「ええ ここはその日の朝仕入れたマグロを切り身にしてだす
それだけのお店ですが美味しいもんですから いつもこの様に満員です」
「ビールとかつまみは」
「あっ ありますよ 頼みましょうか」
「ええ お願いします」
竹内は定食を少し待って貰うのとビールと切り身のつまみを頼んだ
「神山さん 今度はゆっくり来て下さいよ ここも美味しいですが
こっちも美味しいところがあるんですよ」
竹内は神山を気に入ったのか酒の席を案内したがった
山城も
「竹内さんがお勧めは私もお勧めですよ 私も良く行きますよ」
「分りました 今度 近くに宿を取って伺います
それとデザインが出来ましたら伺わないと行けないですからね」
「どうです 予定は」
「ええ 一応8月に設計開始で10月に着工予定です」
「そうですよね やはりタイトな計画ですよね」
「ええ 突然の前倒し発表でしたから慌てましたね」
「ええ あれも国の予算が確実におりた事で発生しているんですよ
正直私もどうした物かと思いましたがね」
4人で話しているとまぐろのぶつ切りが出てきて一口食べると
美味しかった 竹内がビールを注ぎ4人で乾杯をした
ぶつ切りには中とろや大とろも入っていて直ぐになくなった
竹内がもう一皿頼むと直ぐにきて定食も運ばれてきた
神山が好きなあさりの味噌汁が大きな椀で出てきて お新香がついて
これで1000円とは安すぎた
神山は全員の会計をしたが1万円でおつりが来た
店を出ると 竹内と再び握手をして別れた

「あなた 良かったですね ここにきて」
「うん 竹内さんも山城さんも親切だね良かった」
二人は駐車場に止めたフェアレディーZに乗り込むと
「私がICまで行きますから寝ていてくださいね あとはお願いします」
「うん わかった ありがとう」
そう言い洋子が市街地をゆっくり走り神山はシートを倒して眠った
東名静岡ICに近づくと洋子が神山を起こして近くのコンビニで
コーヒーを買って頭をすっきりさせた タバコを吸い終わると
「では 帰るよ」
神山は自分に言い聞かせながら貴婦人を発進させた
東京まで約160km銀座まで約1時間20分もあれば着いてしまう
神山は今朝と同じ様に飛ばしていると同じフェアレディーZが
後ろから追い駆けてきた 
神山は左によってやり過ごしたが凄いスピードだった
暫く行くと先程のフェアレディーZがスピード違反で捕まっていた
「危なかったな 良かったよ」 
「そうね あのままだったら2台とも捕まっていたわ」
「あの覆面 見たことが無い色だったね ここはブルーが多いのに」
「ええ 私が知っている時と時代が違うから分らないわ」
「そうか ごめんなさい」
洋子はしかし気にしていなかった 又 得意の鼻歌が出た
神山もリズムに合わせて鼻歌を歌った 御殿場ICを過ぎた時に
静岡ICから40分掛かった 先程の覆面が気になってスピードを
落として運転したので仕方なかった
結局次長室に戻ったのは16時になっていた

「お疲れ様でした」
「うん ありがとう しかし覆面を見ると気疲れするね」
「ええ スピード出していなければ関係ないけどね 貴方のスピードだと
やはり 前や後ろを気にするわね」
「うん 男の二人乗りは絶対に不味いね
以前ね結構スピードが出ていたんだ 前の車もね それでその前の
車が急にスピードを落としてわざと追い越しをさせた訳
その時に男二人組で不味いと思って追い越しをしなかったんだ
そうしたら僕の前を走っていたのがスピード違反で捕まった
まあ やられたと思ったのがその一回位かな でも助かった」
「ねえ ジョン ブラームスのお礼を買いに行かない
お疲れだと思いますが いかが」
「うん そうだねいこう」
二人は銀座 田中やへお礼のカランダッシュを買いに行った
「アレックス夫妻のと同じでいいでしょ」
「そうね 万年筆も格好いいし そうしましょうよ」
神山と洋子は先日買った240万円のカランダッシュを
プレゼント包装をしてもらうと洋子が
「ねぇ この間ここで買った時にポイント貰ったでしょ
あれが128000ポイント だから128000円あるわよ
それで今日の分が48000円あるわ」
ここ銀座 鈴木やは50円で1ポイント1円がついてくるお店だった
1000円買うと20円分のポイント券がもらえた
神山たちもポイントが溜まっているのでファイルとかこれから必要に
なるものをポイント券で買った
二人は買い物を済ませ次長室へ戻った

洋子が早速アレックスジャパンのジャック夫人に電話をすると
アレックス氏からボーン傷害事件解雇のお礼と給料の件について
FAXが来ているので次長室に送ると言った
洋子がFAXを待っていると4枚ほど来て
アレックス氏からボーンの傷害事件の解決 副社長解雇などCCAの
働きなど感謝している事 ジョン ブラームス氏からの報告
ボーンの車の処分など考慮して 神山さんに5000万円のボーナス
毎月の給料 神山が300万円 洋子が200万円 軍資金が
3ヵ月毎に2000万円 支払い月は1、4、7、10月 各1日現金で
今回は4月から6月分を支払うと書かれいた 給料は月末支払いで
振込み先の口座をアレックスジャパンに至急連絡するようにと書かれいた
軍資金とボーナスは現金払いなのでアレックスジャパンに受け取りに
来るようかいてあった
洋子は直ぐにアレックスジャパンのジャック夫人に確認をすると
用意をしてあるのでこれからでも来て欲しいといわれた
洋子は神山にFAXされた書類を見せると神山は
「えっ すごいな 軍資金が 特別ボーナスは怪我を考えれば
妥当な金額かも知れないな よし行こう バッグを持って」
神山と洋子は地下の駐車場から貴婦人を出すと
青山のアレックスジャパンへ向った
車を駐車場に止めると玄関の受付が神山の顔を見てお辞儀をした
「神山さま お待ちしていました」
受付嬢がエレベーターに一緒に乗って8階まで行った
部屋に入るとジャック夫人が迎えてくれた
社長室などの工事が終るまでは副社長室を会議室として
使うといい出て行った 暫くするとアレックスJrとジャックが来て
「神山さん ありがとうございます 父も大変喜んでいます」
Jrが言った ジャックが現金を神山の前に出して
「この分がボーナスの5000万円 この分が来月30日までの
軍資金2000万円 この書類に受け取りのサインをください」
神山と洋子はサインと日付を書いた
ジャックが
「これはアレックスジャパンの気持ちです 受け取ってください」
そう言い2000万円を出した
「ありがとうございます ジャック サインは」
「この分は本国には内緒です」
神山は少し考えたが受け取る事にした
ジャック夫人が給与の振込み口座の申請書を持ってきたので
神山と洋子はその書類に必要事項を記入した
ジャック夫人が
「今月末から入るわよ」
とウインクをした 洋子が
「ありがとう 助かるわ」
そう言いお金の話を終ると 神山が今日御殿場アウトレットの件で
静岡県庁へ行き聞いた事や話して来た事を分りやすく説明した
時々ジャック夫人が洋子に確認をしていたので
時間を空けながら説明をした Jrが
「神山さん 先に提出したデザインはボーンが高いお金で書かせた
パースです もう使えないですか」
「うん 無理だ 僕たちが考えている 大丈夫だよ
それに 余分にお金は必要ないさ 貰った分で充分だよ」
「えっ こんな金額で仕事をするのか」
「但し さきの契約書にもあるようにコマーシャルはアルタがビジネスで
行うよ 僕は能力を評価して貰えばいいのさ」
「わかった 神山さんはいい人だ なあジャック」
「ええ この仕事で3億とか5億の請求がきたらどうしようと
考えていました 助かります その代わり何でも協力します」
「わかった ありがとう 僕らは5月21日から新しいデザインを
起こします 出来上がったら私の部屋で打ち合わせをしたい
それまでは普段どおりの仕事をしてください
何かある時はこちらからジャック夫人に連絡を入れます」
「はい お待ちしています それと社長の秘書をリストアップしました」
ジャック夫人が3名の候補者リストを見せた 
神山が見ていると洋子が
「この日本人の女性はどう?」
「うん 僕もいいかなと思うけど Jrどうだこの子で」
「うん 神山さん この子は苦手なんだ」
「どうして?」
「うん きついというか 冗談が通じないというか硬いな」
「そうしたら ジャック夫人 この女性を呼んで頂けますか
一応面接します」
ジャック夫人は人事課に行ってその女性を連れてきた
部屋にはいる時にお辞儀をして
「人事課の 篠原 涼子です」
「うん 今 アレックスJr氏の秘書の面接をさせて頂いています
この会社に要望する所とか自分が何かしたいとか 希望を聞かせてください」
涼子は暫く考えてから
「Jr氏の奥様のように秘書が勤まるか分りません しかし私の
学んだ日本の良さをJr氏に伝えることが出来ればいいと思います
そのためには もっと日本の文化を知って頂く事が先決と思います
私が秘書をさせて頂いたらそこから始めます 以上です」
神山が洋子に聞くと頷くので
「わかった Jr 秘書が誕生だ
ジャック夫人 メモをお願いします
本日5月5日火曜日 ここに人事課勤務 篠原涼子を
アレックスJr氏の秘書として認める 以上 最高責任者 神山龍巳」
ジャック夫人が洋子に確認をしたのでOKと言った Jrが
「神山さん ありがとうございます 彼女の給料はどうしますか」
神山がジャック夫人に尋ねると税込み24万円だと言ったので
「給与は税込み50万円で良いでしょ どうだろう」
ジャック夫人が私が70万円だから最低70万円にして欲しいと言った
「わかった 税込み70万円とします
詳細はジャック夫人と決めるように」
洋子がジャック夫人からメモを受け取ってタイプを打って書類を
持ってきた ジャック夫人が早いのねと驚いていた
Jr ジャック 神山 篠原がサインをした 立会人で
ジャック夫人 洋子がサインをして原本は神山が預かった
神山は部屋をでて フロアの皆を集めて
「本日この時間より 人事課の 篠原涼子さんはアレックスJr社長の
秘書になりました 引継ぎは迅速に以上 最高責任者 神山」
これでJrにあたしい秘書が誕生した事になった
洋子は早速本国のアレックス氏宛にFAXした
篠原が付いて来たので英語で話をするとすらすらと会話が出来るので
神山に
「大丈夫よ 彼女 ビジネス英語は抜群よ」
「そうか そんなに上手か 使えるね ジャック夫人ちょっと良いですか
篠原涼子の履歴書を頂きたいが 大至急」
OKと言って直ぐに用意してきた
神山はポケットに入れるとジャック夫人にお礼を言った
「では 一応終ったかな 洋子どうですか」
「ええ 人員削減はどうしますか」
「うん 会議室が出来てからで良いでしょう オープンのほうが」
「そうね そのためのガラス張りですものね」
神山はJr ジャック 秘書のジャック夫人 篠原涼子 に挨拶をして
部屋を出ると駐車場から車を出し洋子が運転した

次長室に戻るともう18時を過ぎていた
神山はアレックスジャパンから貰った現金9000万円を積み上げた
「さあ 洋子 どうするこんなに」
「ええ 困ったわね」
「はい 軍資金2000万円 それとボーナス2000万円 僕が
軍資金3000万円 ボーナス2000万円 でどう」
「は~い 分りました 頂かないと損しますからありがたく頂きます」 
「うん」
洋子がそろそろ来る時間だと思ったときに
案内所からアレックスJr氏がお見えになられたと連絡が入った
神山が洋子に
「どうだろう 篠原涼子さんにビジネススールをプレゼントは」
「いいアイディアね 私 少し持って出ますね」
「うん 一応100で足りるよ」
「は~い 分りました」
神山と洋子は1階の案内所に行くとアレックスJrと篠原涼子が
待っていて二人を見つけると笑顔で
「ふぁ~久しぶりに来ました 大きいですね」 
「ええ ありがとうございます Jr 彼女にビジネススーツを
プレゼントしたいんだ 今日の就任祝いにさ」
「OK 神山さん ありがとうございます」
4人はニーナ・ニーナブティックに入ると安田桃子が
「いらっしゃいませ 神山次長
本日は久保が休んでおりますが、、、」
「うん この人に例のビジネススーツをプレゼントしようと思ってね」
「ありがとうございます 少々お待ちくださいませ」
安田 桃子はバックヤードで在庫確認すると
「お待たせいたしました ございます」
「うん ありがとう あとブラウスはある?」
「ええ ございます ご試着されますか」
「うん 頼む」
安田桃子は篠原涼子を試着室へ案内して商品を中に入れた
着替えを済ませた篠原涼子は皆に
「どうですか」
不安そうな顔つきだったが 神山や洋子が
「素敵だよ ねぇJr」
「神山さん ありがとうございます」
「そうしたら 安田さん ハイヒールも出してくれる」
安田 桃子はバックヤードから出してきて篠原 涼子が履くと
「うん ますます美しい 洋子さんどう」
「ええ 素敵よ」
神山は安田桃子にスーツ2着ブラウス3着ハイヒール3足の合計を
聞いて清算しようとするとJrがブラウスとハイヒールは自分が
清算するといったので神山は36万円だしJrは27万円をだした
神山が
「そうしたらこの際 化粧も変えようか」
「ふふふ そうですね 少し地味だから」
洋子の発言を聞いた篠原 涼子が
「私はそれなりの化粧をしています、、、」
「ええそうよ これからはアレックスJr氏の秘書なの
だから それなりのお化粧が必要なのよ」
篠原 涼子は洋子のあとに付いて行った





次回は5月18日掲載です
.

2013年5月8日水曜日

薔薇 7 - 32 Vol. 4



神山が隣りの奥村課長に
「さっきも言いましたけど いいコンビですね」
「うん 翔がああいう性格だから部屋がまた煩くなったね
聞こえるのは いつも テツ テツ だもんね
余程 部下が出来て嬉しいんだよ 屋敷君も昨夜山ちゃんに
励まされたと言って 元気を出しているしね まあ若返りだね」
神山は乾杯を忘れていて
「え~ 乾杯を忘れました 皆さんありがとうございます 乾杯」
みんなが大笑いして乾杯をした 洋子が美佳に
「面白いでしょ 催事課の人って仕事はきちんとするのに
なぜか肝心な所を忘れるのね まったく」
「ますます 杉田さんを好きになりました 大好きです」
「あら そんなに好きだったら ここでキスをすれば」
美佳は顔を真っ赤にして杉田のほほにかるくキスをして
終ると両手で顔を隠してしまった
キスをされた杉田はなにが起こったか分らずにいると屋敷が小さい声で
「先輩 そっと優しく抱いてあげないと美佳さん可哀相ですよ」
「うるさい 分っているけど 手が動かないんだよ」
屋敷が杉田の手をとって美佳を抱くようにした
ここで静まり返っていた座がまた拍手で盛り上がった
杉田が勇気をだして 口を尖らせ美香のほほにキスをしようとした時に
襖が開いて 鮮魚の盛り合わせが運ばれてきた
杉田は尖らせた口を元に戻して美佳に
「ありがとう 僕も美佳さんを好きで好きで大好きです」
美香が両手を顔から話した時 杉田は唇に軽くキスをした
こうなったらもう大変な騒ぎが始まった
みんなから杉田が野次られると美佳が怒って
「私が守ります」
と言ったり 呑兵衛と野次られると
「きちんとお家で呑みます 私が付いています」
と完全に杉田を弁護していた 神山が
「翔 良かったな 美佳さんこんなに翔の事 考えてくれて」
「先輩 ありがとうございます 田所さん ありがとうございます」
杉田は涙を流して神山と洋子にお礼を言った 美佳がハンカチを渡すと
「ありがとう でもいらない」
洋子は
「杉田君 良かったわね 美佳さんきっと良いお嫁さんになるわよ
だから その時期まで優しく大切にしてあげてね」
杉田は頷くだけで声にならなかった
神山が洋子に
「洋子さん しかし思い切った事を言ったね 驚いたよ」
「ええ 機は熟していましたから だから男は駄目なの わかった」
「はい 済みませんでした」
奥村課長が杉田に
「翔 これですっきりしただろう まあ携帯電話も高いから
皆がいない時は会社の電話を使っていいぞ」
「はい ありがとうございます」
屋敷が
「僕は聞いていませんから 気にしないでいいですよ
その代わり時々ご馳走してくださいね」
「駄目だ もう 行かない 貯めるんだ テツわかんないか
お金が無ければ 結婚できないぞ まったくこれから節約だ」
「いいですよ そんなに僕に冷たくして 皆に言おうかな」
「わかった テツ それだけは辞めてくれ お願いします おごるから」
笑いが耐えない慰労会が続いた
何時も日本酒を呑んで酔っ払う杉田が今夜はしかっりしていた
隣りの美佳もよく呑んで顔をピンクに染めていた
二人は廻りを気にしないで思う存分話していた
時々美佳が口を押さえて笑ったり楽しい時間を過ごしていた
洋子が神山に
「美佳さんとても嬉しいのよ 見て目が潤んでいるでしょ」
「うん 綺麗だね」
「そうだわ デジカメで撮影しようっと」
洋子はそう言ってバッグからデジカメを取り出して
「ねぇ美佳さん もっとくっ付いて そうよ 杉田君は笑って」
洋子は何枚か撮影してモニターで見ると
「ふぁ~ 綺麗よ美佳さん」
洋子が美佳に見せると
「でも杉田さんが、、、でもいいです ありがとうございます」
杉田の頭上少しが無い写真だったり杉田がきちんと収まっていなかった
「田所さん ぼくもちゃんと入れてくださいよ お願いします」
そう言われ洋子は何枚か撮影をした
今度はちゃんと入っていて美佳も喜んでいた
楽しく呑んでいると由香里が少し酔って来て倉元が手で罰のサインを出した
奥村課長は神山に
「そろそろお開きにする」
と聞いてきたので 神山は頷いた
時計を見るとまだ20時を少し廻った所だった
洋子が席を立って会計をしに行き戻って来ると
奥村課長が
「え~ 由香里姫がダウンしましたのでこれにて解散です」
倉元が由香里を抱いて出て先に玄関に行った
神山は杉田を捕まえて
「今夜どうする」
「ええ どこか二人だけで呑みます」
「わかった 美佳さんは踊りは好き?」
「踊りって ダンスですか」
「まあ 体を動かす こうやって」
神山はツイストを踊って見せると
「ええ 好きです でも神山常務お上手ですね」
「よし 連れて行ってあげる 洋子さんいこう4人で 赤坂へ」
「ふぁ~ 嬉しいわ」
玄関を出ると奥村課長が
「山ちゃん 頑張ってな おれも協力するから」 
「ええ ありがとうございます その時はお願いします」
奥村課長と神山は握手をして別れた

4人はタクシーを拾ってアフターシックスに入った
「神山様 いらっしゃいませ お席をご案内します」
バニーガールが席に案内すると神山が美香と杉田に呑みものを聞いた
杉田は
「僕は初めてなので 先輩と一緒でいいです」
「私も分らないから 田所部長と一緒でお願いします」
神山はドライマティニーで洋子がトマトジュースベースの
カクテルを注文した
曲が丁度ポップスが流れていてツイストをみんなが踊っていた
美佳が杉田の手を取ってセンターに連れて行って踊り始めた
杉田は始めてらしくぎこちなかったが美佳の踊りをみようみまねして
段々とリズムが取れるようになった
「ねぇ あなた美佳さんどう見る」
「どう見るって」
「私 感じるの 彼女も辛い過去があってここまで綺麗になったって」
「うん そうだね 実はさっき洋子が目が潤んでいるって言っただろ
そのときに感じていたよ」
「やっぱり 貴方が感じるんだったら間違いないわね
杉田君とちゃんと結婚出来ればいいな ほんと」
「そうだね 出来るさ 翔の性格だからきっと」
話しているとカクテルが運ばれてきた
神山と洋子は二人で乾杯すると杉田と美佳が戻ってきて
「杉田さんて 優しいの 自分が踊れないのに私に踊りの
指導してくれるんです」
「当たり前だよ 格好いい方がいいでしょ ねえ先輩」
「そうだね それから美佳さん 僕のことは山ちゃんでいいよ
それから田所部長ではなくて 先輩でいいよ ねぇ洋子さん」
「ええ 可愛い妹ですもの そう呼んで構わないわよ」
「でも 先輩ってお呼びするのに時間が掛かります
あと 山ちゃんとは呼べません」
「そうか 呼べなければ首だ」
杉田が驚いて
「それは無いでしょ 先輩 酷いですよ」
美佳が
「分りました 山ちゃん で良いですか」
「出来るじゃないか よしそうしたらご褒美だ」
神山は財布から1万円札2枚出して美佳に渡すと
「次回のデート代にしなさい 大切に使うんだよ」
美佳と杉田は
「ありがとうございます 先輩」
「ありがとうございます 山ちゃん」
美佳はにこにこして嬉しそうだった

曲が変りバラードになった 洋子が神山の手を引いてセンターに来ると
昨日の踊りを知っている照明係りが二人の所にスポットを当てた
杉田と美佳はそれだけで驚いたのに曲が始まるとまるで映画を
見ているように綺麗に映り杉田と美佳は目を釘付けにした
神山の周りは踊りを止めて席について見入っていた
二人の華麗で軽快なステップは見ている者を圧倒し
曲が最後になるとアレックス夫人のように洋子を横にして
ひと回りして終った
会場からは盛大な拍手や指笛が吹かれた
席に戻ると杉田と美佳が
「凄い なにか映画を見ているようでした」
「ええ 私も映画を見ているようでビックリしています」
神山が洋子に
「今日はどうでした 横は?」
「ええ 最初はどきとしたけど 安心していたわ あなたの事だから
大丈夫と思っていたわ」
「うん アレックス夫人と変らなかったよ あれってバランスがあるからね
同じ体重でもね だからきっとほうり投げても大丈夫だよ うん」
杉田がドライマティニーをあっと言う間に呑んだので神山が
「翔 このカクテルはビールと違ってゆっくりと舐めるように呑むんだ
そんな呑みかたをするとあとで大変な事になる わかった?」
「はい 分りました」
「うん 美佳さんを守らなければいけないからな」 
「はい 分りました」
神山はドライマティニーを一つ注文した
曲がポップスに変ると 神山が杉田に
「カップルで5曲踊ると楽しいプレゼントがある
さあ 僕も負けないぞ いこう洋子さん」
「ええ 負けないわよ」 
「杉田さん 行きましょ 先輩に負けないようにね」
センターにはどんどんと人が出てきたが 神山と洋子の周りは
みな空けて踊っていた 3曲目が終る頃には踊っているカップルは
神山組と杉田組と外人のカップルの3組だけだった
杉田も曲をこなして行くうちにだんだんと美佳とリズムが合って来て
美佳も嬉しそうな顔でニコニコとテンポ良く踊っていた
最後の5曲目に入ると外人カップルはリタイヤして二組だけになった
曲が終ると杉田はあはあ言いながら席に戻ったが神山が呼んでいるので
センターに戻るとアナウンスがあり
正装の紳士が現れ バニーガールがクリームピザを皆に渡し
アナウンスがどうぞ投げてくださいといわれると
神山と洋子は顔をめがけて見事にあたり
杉田と美佳は少しずらしてしまった
4人が席に戻ると杉田が
「済みません 僕はやっぱりビールが良いです」
神山はビールを注文した
「楽しかったわ ねぇ杉田さん 凄く上手よ」
「そうかな 美佳さんが上手だからさ」
美佳は杉田の唇に熱いキスをした
今度は杉田もしっかり抱いていた
洋子は神山に小さい声で
「今度 彼女と話して聞くわ 気になるから」
「うん 頼んだよ」
曲がバラードに変ったので神山が
「翔 キスしたまま踊ってこいよ ほら」
美佳が手を引いてセンターに来ると杉田の首に両手を絡ませ
キスをしたままステップをした
周りの外人たちは杉田のところから離れて踊っていた
1曲が終って戻ってくるかと思ったが続けて踊っていたので
神山と洋子は顔を見合わせて二人を見守った
2曲目が終るとさすがに疲れたのか席に戻ってきた
周りからは拍手がやまなかった

「杉田さん ありがとうございます 美佳はこれできっぱりと
兄の事を忘れる事が出来ました 本当にありがとうございます」
洋子が
「ねぇ美佳さん よかったらもう少し教えて」
「ええ 兄とは丁度10歳離れていて いつも遊んでくれていました
公園で転んで怪我をした時も中学校から帰ったばかりの制服姿で
私を抱きかかえて病院まで連れて行ってくれたり 母に怒られて
気落ちしていると励ましてくれたり 兄が成人式の時に私は
私と兄の結婚式の絵をプレゼントしたんですが そんなプレゼントも
大事に飾ってくれていました 
そんな兄は私が中学の時に交通事故でなくなりました
大好きではなくて愛していました 優しくて楽しくて頼もしい兄は
この世にはいないと自分に言い聞かせてもどこかにいて
辛い時はその兄が励ましてくれていたんです 
だから 男の人とお付き合いしても兄のような人でないと
長続きしませんでした
だけど今夜杉田さんとキスをして兄と違う優しさや楽しさを
発見したんです 杉田さんごめんなさい 黙っていて嫌いになったでしょ」
「そんなこと無いよ いい話を聞かせて貰ったよ ありがとう
僕は僕なりに美佳を大切にする わかってください」
「ええ わたし杉田さんだったら 何処までも付いていくわ」
「うん 美佳を一杯幸せにするよ」
杉田と美佳は抱き合ってキスをした
神山と洋子は
「なるほどね そのような過去があったんだ 辛かっただろうな」
「でも杉田君が見つかって良かったわ」 

店内ではバラードが流れていて神山と洋子はセンターに出て踊った
洋子は美佳に刺激されたのか神山の唇に熱いキスをした
二人は慣れたステップで軽快に踊りまわりの人を魅了した
曲の最後になると神山は約束通り洋子を少し放り投げ抱きかかえて
踊り終わった 周りからは最大級の拍手と指笛が鳴り止まなかった
二人が皆に手を振って席に戻ると美佳や杉田も興奮して
「やはり大人のダンスって 素敵ですね いいわね 杉田さん」
「うん 何回見ても惚れ惚れするって言うかいいです」
その時に近づいてくる外人がいて神山が 
「ジョン 今日はありがとうございます」
「神山さん 何回見ても素敵な踊りだ また楽しませてくれ」
「ええ 時間を作ってお食事をしましょう」
「うん 夜は大体あいている」
「はい 分りました ではご連絡します ジョンさんはお寿司は好きですか」 
「うん よく食べるよ」
「分りました ではアレックス氏も絶賛したお店にご招待します 
今度の8日金曜日は如何ですか?」
「うん だめだな 6日の水曜は大丈夫だよ」
神山は18時に鈴やの1階案内所に来てもらうよう約束した
神山と洋子 ジョンが手を振って別れた
杉田が
「何もんですか あの外人」
「うん アメリカナ大使館の高官さ 今日も助けて貰った」
神山はアレックスジャパン社内で起きた事件を掻い摘んで説明すると
「へぇ~ 先輩がナイフを持った男を倒したんですか へぇ~」
「まあ この話は内緒にしておくれ 今後の事もあるのでいいね」
「そうよ この話が鈴やで噂になったら翔君は左遷よ」
「またぁー 絶対に言いませんよ」
「杉田さん お願いね 言わないでね 美佳また一人になる」
「うん わかった」
神山が時計を見ると22時を指していたので
「さあ そろそろ帰るぞ 二人はどうする」
「ええ もう少しどこかで呑んで帰ります」
洋子が美佳を呼んで
「はい これ」
「なんですか?」
「避妊具よ」
美佳は真っ赤な顔になって
「私 そんな事しません」
「だけど 自然の摂理よ 男が愛している女性を求める事は
そこで 結婚式前に赤ちゃんが出来たら大変じゃない だから」
美佳は分っているが迷っていると
「杉田君は もう貴方のお兄さんじゃないのよ 男よ」
そう言われ美佳は頷いて受け取った
4人は店を出ると洋子が先にタクシーを拾い杉田と美佳を乗せた
テールランプが見えなくなると洋子は神山のほほにキスをした
「しかし美佳さんて大胆だね 驚く事ばかりだよ」
「彼女 高校に入ってからアメリカンスクールに通っているわ
その時に身に付いたんでしょ 大学もハーバードだし」
「そこまで調べたの」
「だって 履歴書見れば分るわよ」
「まあそうだね ハーバード大学か」
「だから英語は抜群よ」
「そうしたら 洋子といい勝負かな」
「う~ん 向こうはまだ学校の英語で私はビジネスだから どうかしら」
神山がタクシーを拾って代々木のマンションを伝えた

代々木のマンションに着くと洋子は神山に抱き付いてきて
「ねぇ 今夜は優しくしてね」
「うん いつも優しいだろう」
「でも 時々早かったり、、、」
神山は何が早いのか聞けなかった 強烈な先制攻撃を受けた
洋子がビジネススーツを脱ぎ始めると神山は
「洋子 そのままでいいよ」
そう言い寝室に連れて行って優しくブラウスを脱がせ
そのままベッドに倒れこんだ
「ねぇまだブラジャーしているのにいいの?」
洋子はパンストも穿いたままの格好なので恥ずかしかった
神山は上から洋子に熱いキスをして洋子も受け反応した
キスが胸に移ると神山はブラジャーの上に乳首を出して愛撫をした
普段と違う愛撫に洋子は興奮して喘ぎだしていた
自分から腰を突き上げ神山のおちんちんを刺激していた
神山は洋子の背中に手を廻してホックを外すと乳房がぷるんと
はじけ出てきた 両手で乳首を愛撫していると腰の動きが激しくなった
片手を秘所にあてがうとすでに濡れていた
神山がベッドから降りて着ている物を脱ぎ捨てショーツ一枚になると
洋子が大きくなった肉棒を触り
「元気ね どう気持ちいい?」
「うん じかに触ってもらうのも気持ち良いけどこれも良いね」
洋子がショーツを下げるとぶるんと肉棒が跳ね返った
「ふぁ~ 凄いこんなに元気なんだ」
洋子はパンストの格好のまま肉棒を咥えて両手も使い硬く大きくした
神山は
「だめだ 出ちゃうよ」 
洋子はすぐに止めて愛撫を求めたのでパンスト越しに肉棒を擦り付けると
「あっ あっ うっ うっ~ へんよ 気持ちいいわ」
神山も肉棒の裏側がざらついている刺激で気持ちよかった
両足をさげてパンストを脱がせると何時もの洋子が出てきて
神山はゆっくり進入していった
「あっ うっ うっ~ きもちいいわ」 
「もう ぬるぬるだよ ほら」
「うっ~ あつっ あうぅ いいわ」
神山は少しスピードを上げると洋子の反応は強まった
乳首を愛撫したりクリトリスを愛撫すると洋子は近づいたのか
「あつっ あうぅ あぅ~ いいわ~ いく き・て 」
神山も気持ちよくなり更に早くすると
「あ~ こわれる あ~ いく きて あ~」
洋子の膣がきゅんと肉棒を締め付けると二人は一緒に昇天してしまった
神山がそのまま抜かないでいると洋子の膣の中が動いてきた
「動いてきた 洋子 わかる」
「ええ すごく感じているわ あっ あっ うっ うっ~ 」
「すごいよ 熱いよ」
「あなたの おおきい あ~ だめ いく だめ」
洋子は神山が腰を動かしてもいないのに昇天してしまった
そのまま肉棒を挿入していると又 動き始めた
今度は膣が狭くなった感じで神山も気持ちが良くなり腰を動かすと
「だめ いく だめよ いくわ き・て~」
段々神山のスピードが速くなると洋子は昇天してしまった
神山も合わせて発射をしてしまった

ぐったりしている洋子が肉棒をみずから外した
暫くすると二人は熱いキスを繰り返した
神山はベッドから起き冷蔵庫からビールを出して洋子と呑んだ
「ねぇ あなたもう壊れるわ どうしたのかしら私の体」
「すごく気持ちよかったよ なにか膣の中に手が潜んでいる感じだったよ」
「貴方のが動いているみたい感じたわ 気持ち良いけど大丈夫かしら」
「大丈夫だよ どんどん性能がアップしているんだよ」
「そうかしら 凄く疲れたわ お風呂に入りましょ」 
洋子がベッドから立ち上がって浴室でシャワーを浴びていると
「あなた 用意できました きて」
神山は浴室に入ると洋子がおちんちんを洗いながら
「ご苦労様でした だけど入れる所は私と亜矢子さんだけだからね
わかった わかったたら返事をしなさい」 
神山はわざとおちんちんを動かしサインを出した
洋子は笑いながらおちんちんを握って二人で湯船に浸かった
「あの二人どうしているかな」
神山がぽつんと独り言を言うと洋子が
「大丈夫よ うまく行っているわ 多分美佳さんがリードしているわね」
「なんで」
「だって 女ってゲットしたら私の者って心の中でリードするわよ」
「そうか 翔も年貢の納め時か」
「そうね あそこまで告白されたら さよならは出来ないでしょ」
「そうだね 後はいつ結ばれるかだね」
洋子は黙って星空を眺めていた





.

2013年5月3日金曜日

薔薇 7 - 32 Vol. 3



「ところで Jrの秘書は居ないのか?」
「今 お産で休んでいる 私の嫁です あと3ヶ月でジュニアができる」
「そうか おめでとう それまで一人ではきついな どうだ誰か居ないか」
「う~ん」
「だって 生まれても直ぐに復帰できないだろう これから大変な時期だし」
「う~ん 神山さん 難しいよ」
「そうしたら ジャック夫人 人選をお願いします いいですね」
「はい 分りました 決まったらFAXします」
「お願いしますね 大事な仕事です 最終決定は私がします 
2,3人選んで下さい」
「そうですね 分ったわ お願いしますね」
アルタの二人は大体2日で出来る事と経費が300万かかる事を伝えた
神山はOKをだして 至急デザインをして簡単な図面を次長室に
持ってくる事を伝えた Jrが
「空いたスペースはどうするのか」
「うん 打ち合わせの会議室にする ここもガラス張りだよ」
Jrは頷いて神山と握手をした
神山は社長室に皆を呼んで御殿場アウトレットの簡単な説明をした
まだデザインは決定していないのでここまでしか話せないことなど説明した
Jrやジャックは頷いて 神山と固い握手をした

アレックスジャパンを出た神山と洋子は近くにあるアメリカナ大使館を
訪れ高官に挨拶をした
ジョン ブラームス氏は海軍で大佐をしている凄腕で
「よく来ました」
「先程はありがとうございます 助かりました」
「ああ言うのがいて困ります しかし神山さんは凄い CCAから聞いたが
ナイフを持った男をやっつけるなんて素晴らしい」
「ええ しかし彼の目は死んでいました だから簡単だった」
神山と洋子はアフターシックスでまた会う約束をしてジョンと別れ
銀座に着いて車をホテルの地下駐車場に止めると
「さあ 何を食べようか」
時計は12時30分を廻っていた
「この時間は込んでいるでしょ だから一回部屋に戻ってからにしましょう」
「うん そうだね 13時頃にでよう」
神山と洋子は部屋に入ると自分の席に座って整理をした 神山が
「ねえ 洋子 この書類だけどファイリングをしておいて下さい」
「は~い 分りました」
洋子は造り棚のファイルにしまうと
「さて 着替えよっと」
と言って神山の前で着替えを始めた
タイトなスカートを脱いでパンスト姿になると
「ねえ 駄目よ もうパンストないから」
先に言われて神山は元気を無くした
Gパンを穿いて普段の格好になると
「ねぇ 今夜泊まれるわよ だからそれまで我慢してね」
「そうか でも」
「だって今夜は催事課への慰労会でしょ だから遅くなるし」
「そうだったね 築地に行くんだね 確認はしている?」
「ええ 大丈夫よ」
「ありがとう」
神山はアルタの高橋に電話をして
「どう 準備は」
「ええ 順調ですよ 今お昼で鈴やさんの社食で食べています」
「わかった 何時頃終るかな」
「ええ 4時か5時には終りますがなにか?」
「うん まあ明日からの旅の出発をお祝いしようと考えていた」
「ありがとうございます 場所は」
「うん Gプロジェクトの部屋でいいでしょう 17時から始めよう
僕は18時前に出るけどね では後で部屋に行きます」
神山は洋子にアルタの小谷が17時で出られるか聞いた
「ええ 先程人事に指示を出して17時に出られるようしました」
「直接行くのかな」
「ええ 場所を教えましたので直接くると思います」
「そうしたら 彼女にここに来て貰って一緒にタクシーでいこう」
「ええ でも部屋は閉まっていますよ」
「うん 着いたら洋子に電話するようにしておけば大丈夫だよ」
「はい」
洋子はアルタの小谷 美佳に電話をして次長室に来るよう指示をした
神山は17時からの件で
「洋子 17時からのパーティーでワインを出すか」
「ええ いいですね おしゃれで そうすると洋風オードブルで
揃えましょうか」
「うん 10人前位あれば足りるだろう 僕らは途中で抜けるし」
「は~い 分りました ビールは先にここで冷やしますか」
「いや売場で冷たくしてもらって17時にGプロジェクトへ
持って来て貰う方がいいでしょ あとオードブルは中華も入れよう
専門店に僕の名前を言っていくつか出来たてを持ってきてもらおう
取り皿やお手元は付いて来ると思うが確認してください」
「は~い 分りました」
洋子は早速フランス料理の専門店 イタリヤ料理の専門店 
中華料理の専門店に電話をして17時にGプロジェクトへ持って来るように
頼んだ 酒売場に電話をしてビール1ケースとワインを3本を
Gプロジェクトの部屋に持って来て貰うように頼んだ
「さあでは 何を食べようか」
「スパゲッティーが食べたいわ」
「そうか 店だと煩いから 外で食べよう」
「ふぁ~ 嬉しいわ」

神山と洋子は銀座通りを歩いてイタリアン料理の店に入った
「僕は決まっているんだ 洋子は何にしますか」
「私は カルボナーラがいいわ」
神山はカルボナーラと紫蘇とアサリのコンビニアンコを頼んだ
サラダは追加してハーフボトルのワインを注文した
最初グラスビールで乾杯してサラダを食べていると
「貴方は 何故強いの さっきナイフが見えたとき怖かったわ」
「うん 小さい頃いろいろな武道を学んだよ だからそれが役に立っている」
「最後にボーンを蹴ったでしょ あれはやり過ぎと思ったけど」
「うん でも動けなくするにはあれしか手が無かった だって
あの時もナイフをこちらに向けていたでしょ 咄嗟の判断さ」
「そうなんだ でも良かったわ 何ともなくて 
これからアレックスジャパンは良くなるわね」
「うん でないと困るよ Jrもジャックにも頑張ってもらわなければ」
「まずは大掃除ね 車は売ったし あと人事ね 多すぎるわね 
幾ら中枢の部署と言っても、、、」
「どうしたらいい」
「ええ 私が見ると3分の1は減らせるわ 営業に移行させるか
退職ね まだ給与を見ていないけど結構な額が浮く筈よ」
「そうか わかった ジャック夫人と進めて資料を下さい」
洋子は早速ジャック夫人に電話をして 資料集めの指示を出した
お互い人事の仕事をしていた事で話がスムースに流れた
ジャック夫人は内容を聞いて 給与関係資料も直ぐ作り
ファイルにして次長室に持ってくると言った
洋子は強い見方を得たと嬉しかった
神山と洋子は美味しく食べて満足して次長室に戻った

「あ~あ おなかが一杯だ 洋子 運動しようよ」
「もう 駄目です 今夜まで」
神山は洋子のお尻を触ってGプロジェクトの部屋に入った
「山ちゃん ありがとうございます みんな喜んでいます」
「うん 孝ちゃん達に頑張ってもらわないと首になるし」
「そんな事無いですよ それからこれ内藤社長からです」
「どうしたの」
「この話をしたら 内藤社長が喜んでくれて先程使いが持ってきました」
神山は手紙が入っているので読んで見ると
【軍資金を当てての勉強旅行 出発パーティー ありがとうございます
これを少し足しにしてください 内藤】
神山は現金は見ないでポケットに閉まった
「孝ちゃん 17時には料理が来ますからお願いしますね
僕もその時間になったら上がってきます それからその冷蔵庫だけど
運転している?」
「ええ さっきビールを買って入れてます」
「たはー ビールを買っちゃった まあいいや」
「えっ」
「うん それで 冷えている」
「ええ 冷たいのを買ってきました あとウーロン茶とか」
「わかった では」
神山は重要な話が無かったので次長室に戻ろうと考えたが
洋子のお尻を見るとむずむずするので隣りの催事課へ行った
今日は慰労会とあって全員が顔を揃えていた 杉田が
「先輩 昨日はご馳走様でした」
そう言うと
「ほら テツ 挨拶しろってば」
屋敷が
「神山次長 ご馳走様でした ありがとうございます」
「うん 頑張ってな 焦らずゆっくりな」
「おう 山ちゃん いらっしゃい どうしたの」
「ええ 昨夜 翔が酔っ払って大丈夫かと思いまして」
「また 先輩 ちゃんと帰りましたよ」
「うん 屋敷君に送ってもらったんだろ 車で」
「先輩 駄目です あ~あ ばらっしゃった」
「おう 翔 酔っ払ったのは 翔か さっきはテツって言ってたぞ」 
杉田が皆に
「すみません 私です 酔っ払って送って貰ったのは テツごめんなさい」
「なんだ 翔 そんな事格好悪くないから正直に話せばいいのに
だって 屋敷君に借りを作るぞ」
「はい もうしません」
しょぼくれている杉田に屋敷が
「先輩 大丈夫ですよ これからも美味くやりましょう」
「ばかだな もう分ったテツに借りないよう考える まったく 誘惑するな」
奥村課長が
「山ちゃん ご苦労様 赤坂だけど良かったよ クリアしたし 130%だ」
「良かったですね あとオートモですね」
「うん 翔オートモはどうなっている 山ちゃんのデザインは知っているが
その後進んでいるか」
「ええ 少しですがスケッチをしています」
「うん わかった」
「課長 いいコンビじゃないですか」
「うん ひやひやするけどな まあ2,3年後だな」
「ええ そうですね それと6時には築地に着けるように
してくださいね お願いします 準備をしていますから」
「うん わかった タクシー2台でいくつもりだよ」
神山は財布から1万円札をだして
「これは行き帰りで使ってください お願いします」
「うん ありがとう 残ったら呑んじゃうよ」
「ええ かまいません 使ってください では6時に向こうで」

そう言うと神山は部屋を出て次長室に入った
「お帰りなさい」
「うん」
神山は次長席に座って内藤の手紙を分らないように刻んで捨てて
現金を封筒から出すと300万円入っていた
神山は引出しに入れて洋子には話さなかった
「ねえ Gプロの支払いは」
「ええ 今してきました 全部で8万円でした結構安くしてくれましたよ」
「わかった ありがとう それで今夜は10万位かな」
「ええ 幾ら呑んでもそんなに行かないでしょ」 
「うん そうだね まあ何時ものように50は持っていく」
「ええ それがいいですね」
神山はこれ以上話すとむずむずが起きるので仕事をした
アレックスジャパンブースのデザインを考えていたが昨夜考えた
以上にいいアイディアが浮かぶず鉛筆を放り投げた
「あ~あ 洋子が欲しいな~ 駄目だ あ~あ」

神山が独り言を言っていると洋子が
「私の責任にしないで下さい」
と言い部屋を出て行った 神山はなんか不味い事を
言ったかと反省していると何事も無いように戻ってきた
「どうしたの 突然」
「私だって おしっこします ば~か」 
神山はやられたと思ってまた仕事に熱中したがどうしても集中出来なかった
そんな時に副社長の時田から電話があって洋子が
「副社長のおじ様から電話よ」
神山は自分の席にある電話機のボタンを押して洋子に頷き話をした
「はい 神山ですが」
「おお ワシじゃ 先日の御殿場アウトレットの件
静岡県の発案者が分ったぞ メモしてくれ」
「はい ありがとうございます」 
「県の国土開発課の山城さんて方だ 係長をしているそうだ
これでいいか」
「はい ありがとうございます では早速連絡をします」
「うん 頼んだよ」
神山は電話を切ると早速電話をした
「私は株式会社鈴やの神山と申します 今回御殿場アウトレットに
出店をしますが 静岡県のスタンスなどをお伺いしたく
お目にかかって説明を受けたいと思っております」
「はい ありがとうございます すでにプロジェアクトが出来て
動いています どうでしょう 私だけで宜しいのでしょうか」
「はい まずは発案者さまのご意見を伺いたいと思います」
「そうしますと 明日の午前中は如何でしょうか」
「はい 分りました なるべく早く伺います」
「ええ お待ちしています」 
神山は洋子に
「明日 10時頃 静岡県庁国土開発課 山城さんで予定をいれて」
「は~い 分りました 女性ですか」
「うん なんで?」
「いいえ あなたは女性に弱いから 心配したのよ」
「もう 仕事 仕事」
「お仕事で 私をこんなにしたでしょ もう」
「さあ 仕事 静岡県庁の人脈を分る範囲で調べて」
「は~い 分りました 出来ていますよ とっくに」
「ありがとう もう」

神山は冷蔵庫からビールを出して呑んでいると副社長の時田が部屋に来た
「おお ここが山ちゃんの城か いいな もう呑んでいるのか」
「いらっしゃいませ ええ今洋子さんにこけにされて はい」
神山は冷蔵庫から地ビールを出して時田に渡しソファーを勧めた 
「うん どうだった 県は」
「ええ 明日午前中のアポを取りました 実は」
神山はGプロで見せたスケッチを時田に説明しながら見せると
「うん 山ちゃんの言うように県の見解が必要になってくるな」
「ええ それで発案者が必要になってきたわけです
今聞いた所 プロジェクトチームが出来ているとの事でした
今回は山城さんの意見を聞いて作戦を練った上で改めてと考えています」
「うん そうだな ワシに出来る事あったら相談しなさい」
「はい ありがとうございます」
「しかし うまいなこの地ビールは」
「ええ この地ビールの販売権も鈴やで取ろうと考えているんですが
今は御殿場アウトレットを先行させてからと考えています
御殿場アウトレットの販売権はアルタが取りましたから
アルタを刺激しないよう動こうと思っています」
「うん 内藤社長を怒らすと元も子も無くなるしな」
「ええ 難しいタイミングですね」
「うん そうだな」
神山は時田がビールを全部呑んだのを見てもう一本出し勧めた
「どうだ 山ちゃん 洋子とうまく行っているか」
「ええ よく働いてくれています」
神山はアレックスジャパンのファイルを出して
「これ 全部洋子さんが速記で記録して作ったものです 素晴らしいです」
「そんなのはわかっている そのほら男女としてどうかと聞いているんじゃ」
洋子が
「大丈夫ですよ おじ様 神山さんて優しいの
もういつもキスをしてくれるわ」
時田は顔をほころばせて
「そうか よかった うん 頼んだよ山ちゃん では」 
神山は時田を見送ると洋子にお辞儀をして
「ありがとうございます 助かりました」
「わかった もう 私を大切にしないとおじ様 怒るわよ」
「わかったけど いつも大切にしているでしょ」
「だから」
洋子は顔を真っ赤にし 小さな声で
「だから ほどほどにしてください お願いします」
神山は洋子にキスをして抱きしめたが 程ほどにしてあきらめた
仕事に集中をしていると5時が近くなったのでタバコを吹かし
「洋子 そろそろ止めよう 5時になるよ」
「ええ 明日の資料も出来ています OKです」
神山はタバコを灰皿に捨てると洋子が部屋の外にある洗い場で
綺麗にしてきた 神山はゴミ箱をやはり部屋の外にある大きな
ゴミ箱に捨てて部屋に戻ってきた
「では Gプロへ行こうか」
「ええ その前に着替えるわ スーツに」
「えっ なんで」
「だって その方がけじめがつくでしょ」
洋子はそう言ってまた神山の前で着替え始めた
神山は窓の外を見ていて
「普通のビジネススーツでいいよ わかった」
「ええ もういいわよ こっちを向いても」
神山が振り向くと洋子はわざとスカートをたくし上げてお尻を振った
「もう 心臓に悪い 何がやさしくしてねだよ こっちだよほんと」
「まあ 嬉しくてしょうがないんでしょ ほら」
神山はこんなふうにしてしまった自分に情けなかった
「いくよ」

洋子はいつのまにか化粧をしていて驚くほど綺麗だった
5時を少し廻ってGプロの部屋に入ると高橋が
「山ちゃん 遅いです 3分待ちました」
皆で笑った
神山が席に座ると田中が用意したビールを皆に注いで廻った 神山が
「それでは Gプロの発足と勉強旅行の期待を込めて乾杯」
一同起立して乾杯をした 神山が
「今まで皆が何処に行くか聞いていなかったが教えて欲しいな」
高橋が
「僕は色々なところ 特に田舎を歩いてきます 何があるか分りませんが」
「うん そうだね 結構大物が釣れたりしてね」
そうしてメンバー全員の目的を聞いた
「そうすると 2班に分かれるわけだ」
「ええ その方が例え一緒の場所でも刺激があるし
有事のことを考えると いいかなって」
「うん 一緒だと結構その一言で発見できたりいいね 
わかりました それではどんどん食べて帰ってきて
いいアイディアをだして 返金をなくそうね」
高橋 内野 田中の3人が田舎周りを選び
田辺 山下の2人が海と山に挑むとやる気まんまんだった
神山は5月20日が楽しくなった
みんなで楽しく食べているとオードブルも半分近く無くなり
神山は丁度良かったと思い高橋に
「足りなかったら これでどこかで飲みなおししなさい」
そう言って3万円だし渡した
「ありがとうございます しかし 明日早いのでラーメンくらいなので
これお返ししますよ 今度お願いします」
神山は
「わかった では孝ちゃん 今度に取っておいてくれ ねっ」
高橋は仕方なさそうな顔で受け取った

そうしてる時に洋子に電話が入った 
「はい 田所ですが」
「こんばんわ 小谷です」
「今 何処?」
「ええ 次長室の前に来ています」
「わかったわ ちょっと待っていてね」
洋子が迎に行くというので 神山が時計を見るとまだ30分あったので  
この部屋に来るように言った
洋子が出ると
「孝ちゃん 椅子を一つ下さい お客さん」
田中が椅子を用意すると洋子が連れて来たのが会社の小谷だったので
「なーんだ 美佳か 誰かと思ったよ どうしたの今日は綺麗な服来て」
小谷 美佳は顔を赤らめながら 小さい声で
「ええ 催事課さんの慰労会に出ます」
「何で~ 関係ないじゃん 美佳は」
「ええ でも」
洋子が見かねて
「女の子には色々事情があるの そうやって苛めているから
美佳ちゃんに嫌われるの 分る」
洋子がぴっしゃっと言ったものだから一同シーンと静まった
「まあ 実は催事課で僕の部下だった杉田君と小谷美佳さんが
まだ手も繋いでいないが 何か心を打たれる所があって
今日 わざわざ来て貰ったんだ だから小谷君を温かくみて欲しい」
みんなが
「へぇ~ 美佳って そんなに純情だったんだ 分った ごめんな」
洋子が
「女の子にごめんな はないでしょ ごめんなさいと言いなさい」
「はい 美佳さんごめんなさい」
「そう 宜しい 120点」
みんなで笑ったが高橋が
「ねぇ 山ちゃんもああやって やられているの」
「うん さっきもやられた 何しろ本社の人事課ばりばりだもん
もう 怖い物知らずさ」
「そうか 山ちゃんでも駄目なら 僕なんか全然駄目だ
駅前寿司の時は こんなに怖くなかったけどね」
「うん 態度とか言葉使いとかがおろそかだと怒るね」
「うんうん なんとなくイメージできます」
洋子がさっき注意した田中がしょんぼりしているので
「田中君 美佳さんて素敵でしょ そう思わない」
「ええ 思います」
「そうしたら 素直に今日は綺麗だよって言ってあげれば喜ぶわよ
女って そう言う言葉に弱いのよ ねぇ美佳さん」
美佳は顔を赤くして
「ええ そうです」
「わかった 田中君」
「はい 分りました」
「宜しい そうしたら どんどん食べて元気だしてね
女って元気のない男は嫌いなの ねぇ美佳さん」
「ええ そして楽しいともっといいです」
「そうね 杉田君のことそんなに好きなんだ」
「ええ 勿論です 楽しいし何時も気を使ってくれるし
優しいですよ まだ電話だけですけど」
「ほら 田中君わかった 美佳さんも真剣よ 貴方も頑張ってね」
田中は少し考えて
「美佳 ごめんなさい 女の子としか見ていなかった ごめんなさい」
神山が
「では 僕たちはお先に失礼します 
きっと何かを掴んでくると信じています 元気に5月20日に
朝10時 ここで会いましょう 尚 高橋さんは
メンバーの監督として 時々報告ください
僕のほうも電話をします 
あと 全員の連絡先などを書いて今夜にでもFAX下さい
勿論携帯もお願いします」
高橋が
「山ちゃん 一応書いたの準備したけど見てくれる」
「おお 早いね 見せてね」
神山は全員の住所自宅電話番号 携帯番号を確認して
「孝ちゃん ありがとうございます OK では気を付けてね
それと タバコだけはきおつけてね 消して外に出してね」
神山はメンバーに手を振ってGプロの部屋を出た

次長室に寄り帰り仕度をした
「さあ 洋子さん タクシーでいこう」
「ええ」
洋子がタクシーを拾い神山が前に座り洋子と美佳は後ろに座った
「しかし美佳ちゃん 綺麗で美しいわ それでチャーミングで
ねえ 神山さん」
「うん 洋子さんの若い時と同じでしょ」
「また 何もでないわよ ねえ まったく」
3人でふざけていると銀座築地 寿司屋いせ丸についた
少し時間を過ぎてしまったが 神山は小谷に
「落ち着いてね」
神山は女将に挨拶をすると女将が
「神山様 いらっしゃいませ 皆様お待ちでございます」
「うん そうしたら 運んでください 今日は普段と違いますから
盛り合わせでいいですよ」
「はい 畏まりました では失礼します」
部屋に3人が入ると 皆がきょとんとしたが杉田は美佳をみて
顔を真っ赤にした
奥村課長が神山と洋子に上座を勧め美佳をどうするか迷った時に杉田が
「ここ 空いていますからここです」
そう言い 屋敷を少しずらせ美佳の席を作った
美佳はにこにこして杉田の脇に座って小さくなっていた
丁度 神山 洋子 美佳 杉田 屋敷と並んで洋子が話しやすい
席についた 奥村課長が
「え~ 神山次長のご好意で今夜 催事課の慰労会をさせていただく事に
なりました え~ そこで ありがとうございます です」
皆笑った 神山が 
「私の昇進に色々と骨をポキポキ折ってくださいまして
大変感謝しています ありがとうございます 今夜は
私の気持ちで御座いますのでどうぞごゆっくりしていってください
尚 今夜は特別ゲストとしまして私の部下である小谷美佳さんを
連れて来ました 彼女はアルタ本社受付業務をしております
どうぞよろしくお願いします 杉田くん頼んだよ」
突然言われた杉田は
「はい 幸せにします あっ違う 分りました」
一瞬みんなが静まり返ったので神山は
「実は二人は電話連絡だけで恋を実らせています
まだ小さいつぼみです みなさん温かく見守ってください」
これで みんなが納得をして拍手が沸いた 洋子が
「良かったわね これであなたも正々堂々とお付き合い出来るわね」
「神山常務 ありがとうございます」
「うん 良かったね 翔 ちゃんと話をしろよ 間違えて
まだプロポーズもしていないのに 美佳さん笑っていたぞ」 
ようやく杉田が美佳に
「ごめんなさい あの いつも思っている事が電話で言えなくて
君を見たら 言っちゃいました おれ慌てもんだから 許して」
屋敷が聞いていて
「美佳さん ほんと先輩でいいんですか あわてんぼうですよ」
「テツ 黙っていろ もう こっちは真剣なんだぞ もう」
「だって 先輩より僕の方がお似合いですよ ねぇ 美佳さん」
「テツの前に知り合っているの だからおれでいいの もう
テツ お願いします 壊さないで この通りねぇ」
みんなまたおおわらいをした





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