食事が終わりに近づくと権田が茶封筒をだし神山に
「山ちゃん これは我が社の株券だ 私からの気持ちだ
受け取ってください 名義は本日付けで変更してある」
「はい ありがとうございます 大切にいたします」
「それから田所さん これは貴女にだ どうぞ」
洋子にも茶封筒が渡され 洋子もお辞儀をして挨拶をした
「ありがとうございます」
神山はそろそろ引き上げ時と察し 女将に
「女将 こちらの分を纏めて欲しいのと しめ鯖だけどつまみと
握って貰って お土産にしてください」
女将が神山に
「あちらの分はどうされますか」
「ああ 一緒でいいですよ 纏めてください お願いします」
時田と権田は神山がNNの分まで持つのが分からなかったが 洋子が
「常務はNN東京支店のメンズアドバイザーに就任されました
なので 筒井さんと会社名こそ違いますが 同じNNの仲間です」
洋子は神山がニーナ・ニーナのアドバイザー就任の経緯を掻い摘んで
説明すると 時田や権田 前田や秋山は驚いていた
「ほー 神山さん 素晴らしいですね 私もモーガン氏とは
2回ほどしかお会いしていないが そうですか 頑張ってください」
洋子が更に支店長直轄職と言うと権田は
「へぇー そうすると 世界でトップ10に入る訳ですね へぇー」
権田は改めて神山の才能を褒め称えた
本社ビルで権田や時田と別れ 次長室に戻った神山は株券を調べた
「洋子 10万株だよ 凄いよ」
「私も2万株あるわ 凄いわね」
「うん 持っている人は 持っているんだね」
「ええ そうね だから鈴や食品のブースにも私財を出せたんでしょ」
神山が次長席に戻り 株券を鍵のかかる引き出しに入れると電話がなった
洋子が取ると
「あなた 亜矢子さんから電話です」
神山は自分の席に電話を廻して貰うと
「神山です ご無沙汰しています」
「ほんと 全然連絡ないし 寂しいわよ」
「まあまあ ちょっとGOLで忙しくて ごめんなさい」
「ふふふ ねえ 今夕ですが 例の不動産屋さんと会うんですが
よかったら 立ち会って頂けないかしら」
「うん いいよ それで何処なの 場所は」
「ええ 御殿場駅前のお寿司屋さん あそこよ」
「ああ 了解です それで明日は」
「ええ 明日は10時から土地を見て 良かったら契約するわ
だから 明日も立ち会って頂きたいのよ」
「うん 分かった そうすると 土地の購入だけで 建物はまだなんだ」
「ええ 建物は2,3プランを持って来ると言っていたわ」
「分かった 何時に寿司屋?」
「ええ 4時半に離れですって」
「そうか 分かった」
「ふふふ 由紀枝さんと逢いたいでしょ」
「しかし 亜矢子の個人的なことだから 不味いよ それより
宿泊先は手配したの?」
「ううん 貴方に任せるわ 但し 自分のホテルは嫌よ そうそう
素敵なコートありがとうございます ブーツやバッグまでも」
「いえいえ 気に入ってもらい良かったよ
それでは遅刻をしないように伺います では」
「はい お待ちしています」
神山は洋子に亜矢子との事を伝えると
「へぇー 遂に亜矢子御殿かぁー 凄いわね」
「まあ 上物はせいぜい 1億だね それ以上かけても贅沢だよ」
「そうね お母様の事を第一に考えないといけないし」
神山はもしかして 家が建つのを機会にホテルの仕事を
引退するかも知れないと思った
ソファーで寛ぐと 今夜の宿を決めかねていた
「ふふふ カトリアーナに会って来たらどう、、、」
「うーん それもそうだね、、、でも明日がきついな 近い所がいいな」
神山はカトリアーナのことも考えたが 強羅に泊まる事にした
早速 強羅にあるザ ホテル 強羅へ電話すると部屋を予約できた
神山は祐子に電話をして 今夜は帰れない事を伝えた
「じゃ そろそろ時間なので これで失礼するよ
洋子も切り上げて 明日はゆっくりでいいよ」
「はーい そうそう アレックスJPの軍資金はどうされますか?」
「うん 近いうちに行きます 電話があったらそのように伝えてくれる」
「はい 行ってらっしゃい」
神山は蒼いBMWに乗ると高速に入る前に ガソリンを入れた
首都高から東名高速に入り 御殿場ICまでそんなに時間は掛からなかった
御殿場駅前寿司の暖簾をくぐると 女将が
「離れで お待ち兼ねですよ 今日は何を食べるの」
「うーん ちょっと打ち合わせだから、、、不動産屋は来ているの」
「まだよ 不動産屋はいつも時間に来るから もう直だと思うわ」
「じゃ 先に離れに行きます」
女将に 案内され離れの部屋に入ると 亜矢子がお茶を飲んでいた
「まあ 早い事 ふふふ」
「うん 高速が空いていたからね」
女将が下がると 亜矢子と神山は軽くキスをしたが
「ねえ もう駄目よ これ以上は 分かっているでしょ ふふふ」
神山は仕方なく 亜矢子の隣に座ると
「ねえ ビールでも呑もうか 喉が渇いたな」
「運転は」
「うん 30分も寝れば大丈夫さ」
神山は電話で女将に ビールを注文した
女将がビールと鮮魚のおつまみを運んできて 暫くすると不動産屋が来た
不動産屋の社長は由紀枝のマンション紹介のときを侘び 話が進んだ
亜矢子に紹介された土地は ホテルとは離れていて御殿場駅の東側の場所で
近くに癌治療に精通した病院があるというところだった
「そうすると 県の予定では長泉町に県立ガンセンターが出来るわけですね」
「ええ ですから 桜川様が勤務される ホテルより病院に近い方が
いいと思いますし ここにも腕のいい先生がいらっしゃいます」
「どうですか 桜川さん」
「ええ こちらの方が 普段の生活に不便は感じないわね うん」
「うん そうしたら 明日にでも行きましょう 明日は現場でいいですか」
「ええ この地図で間違いございませんので お願いします」
弟の建築会社社長が建物のプランを提示した
亜矢子と神山が眺めていると 年寄りの生活空間と亜矢子の生活空間を
ある部分融合させ ある部分では切り離したプランだった
例えば庭については 母親の部屋からは 庭に出るのに電動式の椅子が
庭に移動するよう設計され 亜矢子の部屋からは その移動を制御できる
システムになっていた
母親の寝室には 病院が管理できるカメラやマイクなどが設置される予定で
神山もここまで 親身に考えてくれる社長の弟に敬服した
「では 建造物のプランは検討させて頂きます いいね桜川さん」
「ええ 私も大変喜んでいますよ ありがとうございます」
「桜川さん 神山さん 本日はありがとうございます
では 明日10時に現場でお待ちしています」
不動産屋が部屋から出て行くと 女将が部屋に来て
「神山さん 不動産屋が嬉しそうに出て行ったよ よかったね」
「まあ 彼女が気に入ってくれれば 問題ないですよ」
「あの土地は広すぎて 買い手がつかなかったんだよ
でも 直ぐ傍に 腕のいい先生がいて いい場所だよ よかったね」
神山は女将に30分程眠る事を伝え 奥の部屋に用意された床に横になると
「亜矢子 30分したら起こしてください」
亜矢子は頷き 神山の頬にキスをすると 座卓で土地の図面を見ていた
「さあ スッキリした ありがとう」
「どういたしまして」
神山は亜矢子に起こされると 軽くキスをし帰り支度をした
亜矢子も座卓に広げていた図面をたたみバッグに仕舞うと
「明日が楽しみです 腕のいい先生が直ぐ傍なら 安心できるわ」
「うん 僕もそう思うよ まずは土地を見てからだね」
神山は離れを出ると 女将に挨拶をしてお店を出た
御殿場ICを通り抜け 国道138号線を南下すると乙女峠のトンネルが
あり 抜けると直ぐに箱根だった
仙石原を右にみて 強羅にあるザ ホテル 強羅についた
「神山様 お待ちしていました いらっしゃいませ」
神山がTJカードをフロントに見せると 受付嬢がにこやかに挨拶した
フロント嬢が最上階のスイートを案内し 部屋に入ると亜矢子が
「わぁー 素敵な眺めね うちとは全然違うわね」
「うん 山の中だけど 空気は最高だし 見晴らしがいいね」
「ええ ねえ 遠くに見える海は相模湾なの」
「うん 相模湾だよ テラスで眺めるともっと良く見えるよ
露天風呂でゆっくりしながら 眺めようよ」
神山は亜矢子に露天風呂を勧めると 彼女は目をうっとりさせキスをした
「じゃ 入ろうか」
そう言うと着ている物を脱ぐと 亜矢子が丁寧に畳んだりハンガーに掛けた
神山が冷蔵庫から缶ビールを2つ取り出し 露天風呂に入り暫くすると
亜矢子がタオルで前を隠し 体を流した
「ねえ あなた 久しぶりね」
「そうだね ゴルフの時以来だね ごめんね」
「ふふふ いいのよ」
亜矢子は神山の隣に座ると 頭を神山の肩に預け 景色を見ていた
夕焼けで赤く染まった雲が 幻想的な空間を演出していた
神山も亜矢子も無言でビールを呑みながら 空間の芸術を楽しんでいると
山肌が漆黒色になり 民家の照明が蛍のように可愛らしく輝き始めた
露天風呂を照らす採光が 亜矢子の肌を怪しく浮き上がらせると神山は
「亜矢子 今夜は特別に美しいよ 輝いている」
「ふふふ もう私駄目なの でもお食事をしてからにしましょうね」
神山は普段と違う亜矢子に少し戸惑ったが 余り考えなかった
今までの亜矢子なら 露天風呂に入ると自分から積極的に求めたり
快楽を楽しんだと思った
しかし 今夜の亜矢子は神山といる事を楽しみ SEXは二の次のようで
二人が過ごす時間を大切にしようとしていた
亜矢子自身 すべすべした肌を温泉でより滑らかになるよう
優しく撫でたり 景色を楽しみ会話する事に時間を割いた
亜矢子が神山の背中を洗い 神山が亜矢子の背中を洗うと
「お願いだから 触らないでね ふふふ」
神山は頷くと それ以上彼女の体を触る事を止めた
露天風呂から出ると 亜矢子と神山は浴衣を着て亜矢子が
「ねえ お食事は何処にするの?」
「うん ステーキハウスはどう 美味しいよ」
「わぁー それだったら 行きましょう うちより美味しい?」
「うーん 難しいね お肉の仕入れで変わるし」
「じゃ コックの腕は同じくらいなんだ」
「うん でも 亜矢子のホテルの方が上だよ」
神山は由紀枝や洋子ときた時の事を 掻い摘んで説明した
「へぇー 由紀枝さん そんな大胆発言したんだ」
「うん 僕も驚いたよ でも結局美味しいステーキを頂けました」
「ふふふ 良かったわね では そこで頂きましょうよ」
亜矢子は神山と腕を組んで ステーキハウスに着くと案内嬢が
「神山さま こちらです どうぞ」
強羅を見渡せる眺めのいい窓際まで案内すると
「神山さま 美味しいお肉がございます 生をご用意できますが、、、」
「おお ありがとう ではお願いします でも なぜそこまで、、、」
案内嬢はニコニコしながら 神山をみて
「はい お客様のご注文を覚えるのが 私たちのお仕事です」
神山と亜矢子は頷き
「では 美味しいお肉を頂きます」
案内嬢は深くお辞儀をすると ウエイトレスに注文を伝え
もう一度 神山と亜矢子に対して お辞儀をして受付に戻った
暫くすると 生ビールと牛のたたきが運ばれ 口にした亜矢子は
「ほんと 美味しいわね」
「よかった 亜矢子に褒めてもらって」
「お肉が美味しいのと お醤油の味がうちと違って新鮮よ」
「そうだね そう言われれば タレの味がちょっと違うね」
「多分 タレ用に作ったんじゃないかしら ふふふ」
「うん そうかもしれないね」
二人が美味しく食べていると 赤ワインや魚介類 野菜を焼いたものが
運ばれ 亜矢子は神山の顔を見つめながら味を堪能した
ステーキを食べると 亜矢子は
「貴方が言うように 上手に焼いているわね 美味しいわよ」
「うん よかった」
最後のデザートが2品来て神山が驚いていると ウエイトレスが小声で
「TJのお客様 限定です」
可愛らしい笑顔で答えた
神山は周りの客に気づかれないよう見てみると なるほど
他のテーブルには デザートが1品しか出されていなかった
「あなた 凄いわね TJカードって」
「うん ほんと助かっています」
「うちでも差別化をしようかしら 提案してみるわね」
「そうだね いい事は真似した方がいいよ 限度があるけれどね」
「そうね 早速 椿に話してみるわ」
食後 部屋に戻ると亜矢子から神山に抱きついてきた
亜矢子自身 我慢していた欲望が一気に溢れ出て
「あなた お風呂に入る前に抱いてください」
自ら跪き神山のおちんちんをしゃぶると 目を潤ませ唇を動かした
頬や耳をピンクに染め 神山が大きくなるよう両手も使い始め
「本当に久しぶり ふふふ」
亜矢子は自分の性が大きくなるのを確認しながら愛撫していると神山が
「今夜の亜矢子は普段と違う どうしたの?」
「ふふふ 我慢した分 一杯 愛したいのよ」
神山は無言で頷くと 亜矢子を布団に寝かせ抱き寄せ激しいキスをし
唇を重ねたり舌でお互いの舌を探り絡ませ激しく答えた
亜矢子はキスをしながら 神山の肉棒を触りしごき
空いている手で 浴衣の紐を解き 神山の浴衣も同じようにした
神山は開かれた浴衣の中から 見事な形の良い乳房が現れると
キスを止め 唇で乳首を捕まえると舌先で転がし愛撫し
片手でもう片方の乳首を柔らかくつまみ始めた
空いている手で 亜矢子の秘所を探ると 粘り気のある体液が出ていて
クリトリスの愛撫は滑らかになり 亜矢子も気持ちよかった
暫く愛撫を続けた神山は亜矢子に
「亜矢子 ほら足を上げてごらん そう もっと広げて」
亜矢子がV字開脚をすると 神山の舌先は秘所の愛撫をした
「ああぁー 気持ちがいいわ もうそれだけで行きそうよ ああぁー」
亜矢子は 布団の傍にある姿見に 自分の下半身に神山が愛撫している
格好が映っているのを見ると 余計に気分が高まり腰を動かすようになった
神山が秘所から顔を離し 中指を小さな穴に入れると
亜矢子は腰を激しく振りながら
「ねえ 本物が欲しいわ お願い いれてぇー」
神山は頷くと 亜矢子の足をM字型にし
ヴァギナにゆっくりと肉棒を挿入し 少しずつピストン運動を早めた
「あっー 待っていたの ああっー いいわぁー」
下になっている亜矢子も腰を動かし 肉棒をヴァギナの奥まで誘い込んだ
「亜矢子 凄く気持ちがいいよ 僕も出そうだ」
「きてぇー あっ いいわぁー ああぁー ああぁー」
神山は射精を必死に堪えたが 我慢できずに発射してしまった
「ああぁー きているわぁー 抜かないでねぇー」
亜矢子も快楽の頂点に行くと 体を反らし果ててしまいぐったりした
神山が肉棒を抜かないでいると 膣の中が動き始め
「亜矢子 動き始めたぞ ああぁー」
「ふふふ 気持ちいいわぁー ああぁー いいわぁー」
神山は体位を色々と変えると 亜矢子と神山は気持ちがいいのか何回も
果ててしまい 二人とも布団の上で動かなかった
「あーぁ 本当に気持ちよかったわ もう 我慢していたんだから」
「ごめんごめん 僕も久しぶりに気持ちよかったよ」
暫くお互いの体を弄っていると 神山のおちんちんが大きくなったので
「もう 駄目よ これ以上は壊れるわ お願いだから触らないでね」
そう言うと 布団から立ち上がり 冷蔵庫から缶ビールを取り出し
2人のグラスに注ぎ
「ねえ あなた こちらに来て 一緒に呑みましょうよ ふふふ」
神山は浴衣を羽織り 亜矢子の浴衣を持ち立ち上がると
「亜矢子 さあ羽織って」
そう言いながら 亜矢子の体に浴衣を着せた
亜矢子は久しぶりのSEXと 神山と逢えた事が嬉しく
「時間が止まってくれると いいのになぁー」
「ははは もう 子供みたいな事を言って 困らせないでください」
「だって ほんとだもーん ふふふ」
ビールを呑み干すと亜矢子が冷蔵庫から缶ビールを出してきた
グラスに注ぎながら
「明日の土地だけれど 良かったら購入しようかな、、、」
「うん 敷地が広いと 何でも出来るし そうした方がいいよ
それに 腕利きの先生が傍にいるなら 条件は最高だと思うよ」
「そうね お買い物がどの位便利か そこら辺ね」
「そうだね ティッシュを買い求めるのに車で20分は頂けないしね」
二人は明日見学する土地の話で 盛り上がり亜矢子が
「ねえ もう一度露天風呂に入りましょうよ」
神山は亜矢子の誘いで 露天風呂に入ると再び交わり
「ほんと元気なんだから もう駄目よ あそこがジンジンしているわ」
亜矢子はそう言いながらも 肉棒を受付て何回も果て 神山も果てた
布団に入ると 時間が早かったが 直ぐに目をつぶり寝入った
7月2日 木曜日 快晴
二人はレストランでバイキング朝食を済ませると 時間は8時と早かったが
ホテルを出て 御殿場の土地に向かった
不動産屋から貰った地図を頼りにして土地を探していると
『御殿場 総合病院』という 大きな病院が見えた
神山はどこかで聞いた名前だと思っていると亜矢子が
「あなた 土地って 病院の脇じゃない」
「うーん そんな気がするな 他に無いものね」
神山は病院の駐車場を借りて 亜矢子と歩いて土地を探したが
やはり 病院の脇にある空き地が 不動産屋が紹介してくれた土地だった
「亜矢子 やっぱりこの土地だね しかし地図で見るのと違い広いね」
「ええ 広いわね それに病院が直ぐ傍って 嬉しいわ」
「でも 夜間でも緊急車両が来るから 多少煩いかもね」
「大丈夫よ 救急車なら 何処に住んでいても 走っているじゃない」
「ははは それはそうだね」
神山は待ち合わせの10時には時間があるので 車で周辺を見る事にした
御殿場駅周辺より 駅から車で10分ほど離れた処に 大型家電量販店や
ホームセンターなどが多く見られた
国道246号線沿いには 御殿場警察署もあった
反対に 御殿場IC付近には ホテルやホームセンター
ガソリンスタンドも数多くあり 日常的な買い物にも不便しないところで
「亜矢子 日常生活には 不自由しないところだね」
「ええ まあ住めば都 母が喜んでくれたらいいわ」
神山達は 御殿場IC傍にあるホテルのラウンジで コーヒーを飲み
時間を潰した
「余りぎりぎりだと 悪いから そろそろ出ようか」
そう言って神山と亜矢子はホテルを出て 約束の待ち合わせ場所に行くと
不動産屋の他に 白衣を着た人物が一人いた
不動産屋と亜矢子が挨拶をし神山も挨拶をすると 不動産屋の社長が
「桜川さん あの方がこの土地のオーナーさんです」
社長は神山と亜矢子に 白衣の人物を紹介した
神山と白衣の人物は 直ぐにお互いを思い出し
「いやぁー お久しぶりです」
「そうですね あの時は助けて頂き ありがとうございました」
そう言い 笑顔で握手をしていると 社長や亜矢子はきょとんとした
6月7日夜 伊豆山ホテル スキエのラウンジで 祐子やカトリアーナと
楽しく呑んでいる時 大竹組小田原支社長 麻生太郎らに 因縁をつけられ
ラウンジの外で投げ飛ばした時に 麻生らを診た先生だった
「先生の病院は ココなんですか」
「ええ それで 土地を購入してくださる方は神山さん?」
「いえいえ そこにいる桜川さんです」
神山は亜矢子に 副院長 金山大介の事を掻い摘んで話をすると
「そんな事があったんですか もう心配させないでね ふふふ」
亜矢子は金山にお辞儀をし挨拶をすると 金山も笑顔で挨拶をした
不動産屋の社長は 亜矢子に図面を見せて
「桜川さん こちら側 県道側は丁度裏手で 玄関は反対側になります」
なるほど 国道側は立派な杉林になっていて 玄関を創るにも大変そうで
みんなで不動産屋の車に乗り 丁度反対に駐車し車を降りると 亜矢子が
「わぁー 眺めがいいわね 病院も見渡せるところにあるのね」
「車がないと ちょっとシンドイけれど 小高い丘って感じだね」
神山は社長に
「広さは 図面に書いてある通り 0.8ヘクタールですか?」
「ええ そうですが なにか?」
「実際 土地の周りに杉林があるので 狭く感じるのかな」
「ええ そうだと思いますよ それから 右手に杉林がありますが
今回 ご紹介させて頂くのは 林のラインまでの土地です」
杉林の幅が30m位あり その向こうは 70m位空いていた
「向こう側は空き地ですか」
この質問に金山が答えた
「そろそろ 入院棟を造ろうかと思い 空き地にしています
現状でも充分ですが 温泉がありますので 造ろうと思っています」
「はぁー 凄いですね 今でも立派な病院なのに」
「ええ 長期療養の部分で 温泉治療なども頭に入れた構想です」
「なるほど ここはお水が美味しいし 温泉もいいですね」
「ええ 土地の優位性を最大限に引き出してあげようと思います
そうすれば 患者さんの負担も軽減されますしね」
「うん そうですね いいお考えですね 賛成です
亜矢子さん 如何ですか 僕は賛成ですね」
「ええ お願いします」
亜矢子は神山の顔と金山の顔を見ながら ニコニコし頷いた
「では 金山さん 桜川さまに土地を販売してよろしいですか」
「ええ お願いします 神山さんの友人なら大丈夫です」
金山は亜矢子と握手して
「それでは 病院で手続きをしましょう」
不動産屋は 急いで車に戻り 書類の確認をした 金山が
「桜川さん以前にも お話があったんですよ でも 購入する人物と
話をすると どうしても手放したくなくて、、、」
「そうですよ やはりご自分が気に入った人に 販売したいですよね
私もホテルで勤務していますから ある部分分かります」
「へぇー ホテルなんですか 何処ですか」
亜矢子はちょっと躊躇したが
「あそこに見える ホテルです」
「わぁー ゴテンバグランドインじゃないですか
凄いところに勤務されていますね 私はまだ利用した事がないんですよ」
「まあ 是非一度きてください お待ちしていますよ ふふふ
そうそう 私の母が肺が悪くて 今度先生に診て頂きますね」
「いいですよ どうぞ来診してください 長泉に県立がんセンターが
出来る予定ですが 出来ると そちらにも行くようになります」
金山と亜矢子が自己紹介をしていると 不動産屋の車につき乗車した
御殿場総合病院の6階の一部屋が 副院長室になっていて
不動産屋の用意した書類に亜矢子が署名や押印をした
「それでは桜川さま 現金を頂いた時点で 桜川さまの登記をします
それで よろしいですね」
亜矢子は神山を見ると 頷いているので
「銀行振り込みをします 口座を教えてください」
不動産屋の社長は 会社の口座を亜矢子に教えると
「ありがとうございます」
不動産屋が 改めて金額を提示した
「あれっ 先ほどより随分と安いじゃないか 大丈夫かね」
その言葉に 金山と不動産屋の社長は頷いて
「気持ちのいい お客様なので 金山さまが下げて頂いたのと 私どもも
下げさせていただきました」
先ほどは1㎡ 35000円の提示で 総額2億8千万円だったが
最終金額は1㎡ 30000円になり 総額2億4千万円と4千万円も
安くなった
「社長 この3万円の中には 社長の取り分も含まれているんだね」
「はい 神山さま 今回は薄利でご提供させて頂きます 大丈夫ですよ」
不動産屋が 入金確認後の手続きなどを終えると12時になっていた
「神山さま 如何でしょうか 昨日と同じですが 寿司屋では」
「私は構いませんよ 亜矢子さんは時間大丈夫ですか」
「ええ 今日は空けてありますから 大丈夫です」
4人は 金山に挨拶をして 部屋を出ると駅前寿司に向かった
不動産屋社長の弟に神山は
「この設計だと あそこの土地の傾斜に合うか否かですね どうですか」
「ええ 事前に調査をしていますので 殆ど誤差はない筈です」
御殿場駅前寿司の離れでは 不動産屋社長とその弟 建築会社の社長と
神山と亜矢子の4人が亜矢子邸の図面を見ていた
「そうしたら スケールモデルを作って頂くと 亜矢子さんも
分かり易く 修正点も指摘しやすいと思いますが 如何でしょうか」
「そうですね そうしましょう では早速製作します
出来上がりまでに1週間ほど お時間をください」
「はい 了解しました なるべく大きい方が見やすいと思います」
「ええ 出来るだけがんばって見ます」
不動産屋の社長とその弟は軽くビールを呑み定食を食べ終わると
「では 神山さま 桜川さま お先に失礼します」
「うん 分かりました ではスケールモデルの出来上がりを楽しみにします」
「はい それと ここのお勘定は 私どもで持ちますので
ごゆっくりとお食事をしてください」
「はい ではお言葉に甘えさせて頂きます」
不動産屋の社長とその弟は神山と亜矢子にお辞儀をして部屋を出て行った
「亜矢子 良かったね いい家が出来そうだ」
「ふふふ 貴方のお陰よ ありがとうございます」
「でも 社長の姓が勝間田なのに弟さんが勝又になっているね」
「ええ 私もあれって思っていたので 聞いてみたら
弟さんは 婿養子されたそうよ それで勝又姓になったって」
「そうか でも 紛らわしいね かつまたでしょ」
「ふふふ そうね 呼んだら二人とも振り向くものね」
名刺を確認すると【勝間田不動産 社長 勝間田 一朗】と
【勝又建設 社長 勝又征二】になっていた
神山と亜矢子はお好み寿司を食べると神山は いつもの様に
「亜矢子 30分寝かしてください」
「ふふふ いいわよ ごゆっくり寝てね」
神山は奥の間に用意された 布団に横たわると直ぐに寝てしまった
.