2014年5月8日木曜日

紫陽花 11 - 56 Vol. 3



3階のブティックモテリコに行くと店長が 笑顔で向かえてくれた
神山が由貴と桃子にコートを見せると
「わぁー 素敵な毛皮ですね いいなぁー ねぇ桃子ちゃん」
「ええ ニーナ・ニーナでもここまでのコートはないと思います」
神山は二人にコートとブーツ バッグをプレゼントした
「ねえあなた 亜矢子さんの分 ここで送ったらどうかしら」
「そうか そうだね でも持って来なかったな」
「私がギフトカードを持って着ました ふふふ」
「そうしたら それは自分の分でしょ 明日返しますよ 貸してね」
「はーい」
神山は店長にコートやブーツを頼むと
「こちらのコートは900万円ですが30%offでブーツは80万円ですが
こちらも30%offでご提供させて頂きます 如何でしょうか」
神山は頷くと1372万円をギフトカードで支払い
由貴と桃子はコートとブーツを自宅届けにして貰った
「神山様 このお二人にぴったりのバッグがございます こちらです」
店長が陳列台からバッグを持って来ると由貴や桃子は
「わぁー 素敵なバッグね いいなぁー ねえ桃子ちゃん」
「うん このコートにぴったし 欲しいなぁー」
由貴と桃子はコートを着て バッグを持つと洋子が
「大丈夫よ似合っているわよ ねぇ祐子さん」
「ええ 大丈夫よ 10年は大丈夫 保障します ふふふ」
神山は150万円のバッグを買うことに決め店長に
「これはどの位引いてくれるのかな」
「ええ こちらは25%引かせて頂きます」
神山はギフトカードで225万円を支払い バッグも自宅届けをお願いした
洋子が店長にお届けの事で聞くとOKとの事なので
神山はコートとバッグを店長にお願いし ブーツの色合いを考えた
「亜矢子さんだったら 私よりもう少し濃い色で大丈夫だわ」
「そうだ 大きさって知っている」
「ええ 私と同じサイズよ 大丈夫です」
神山はブーツの色とサイズを確認すると 在庫があり大丈夫との返事だった
「神山さま 全部で798万円でお願いできますか」
神山は頷くと洋子から800万円のギフトカードを借り支払いをした
洋子がお届け伝票に住所をなど記入し 手続きをした

店を出ると神山が洋子に
「しかし 800万円で丁度足りたよ ありがとう ここに300あるから
明日 500を返します」
神山は300万円分のギフトカードを洋子に返すと由貴が
「神山さん そこでデザートを食べたいな ねぇ祐子さん」
「ええ 私も食べたいなぁー ふふふ」
5人はカフェテラスで デザートを注文し女性たちは美味しそうに食べた
神山はアイスクリームとグラスワインを貰い アイスクリームを食べていた
「ふふふ どうしても苦手なようね」
「うーん なんかさ 美味しいというより 甘いだけなんだよね
でも このお陰で バニラを好きになったよ 大丈夫だよ ははは」
5人はホテルを出ると 洋子に由貴と桃子を任せタクシー代1万円を渡し
神山と祐子はスタジオに戻った
「やあ お疲れ様」
「まあ ご馳走様でした 先にお風呂にされますか?」
「うん 入ろうか」

6月30日 火曜日 雨
昨夜は祐子とバスルームで2回 ベッドで2回のSEXをした
お互い疲れ果て寝てしまったが 早い時間だったので 神山は今朝も
6時だが目を覚まし テラスに出て ビールを呑んだ
雨が激しく スタジオで庭の紫陽花を見物していた
「おはようございます ふふふ」
「やあ おはよう やはり雨の紫陽花って 可憐で妖艶な美しさがあるね」
「そうですね 花がしっかりしてくると 見ごたえがあります
そうそう 花言葉があるんですが 移り気 高慢 無情 辛抱強い愛情 冷淡
って 一杯あるんですよ」
「でも どれも当てはまるね」
「やはり 辛抱強い愛情かなって 思いますよ 花びらが小さい時から
だんだんと色を変え なかなか散らないでしょ それに枯れたようでも
来年の春にはちゃんと 芽が出てくるでしょ いいなぁー」
「そうだね 辛抱強い愛情か うん 大切にしよう」
「まぁ 何方ですか?」
「ははは みんなさ さあ食事をお願いしますよ」
祐子はニコニコと返事をすると キッチンで朝食の準備をした
神山は祐子がこの頃 あか抜け一段と綺麗に成ってきていると思った
顔を見ながら食べていると祐子が
「ねえ さっきから私の顔を見ているけれど なにか可笑しい?」
「いやいや 綺麗になったと思って 見とれているんだよ ほんとだよ」
「まぁ 朝から嬉しいわぁー たまにはいい事を言われるのね」
神山は普段から心がけているつもりだったが がっかりした
食事を終わると ソファーに横になり一眠りした

「では行って来ます」
「はーい 行ってらっしゃい 夕飯はどうされますか」
「うーん 電話をします」
神山は真紅のポルシェに乗ると 銀座の次長室に向かった
駐車場のホテル禅から次長室の入っているビルまで駆け足をしたが
ジャケットが雨に濡れてしまい 部屋に入ると来客ハンガーに掛けた
神山が仕事に集中していると 洋子が出勤してきて
「おはようございます」
「おお 早いね」
神山はそう言うと また机に向かって仕事をした
9時30分になると神山はGプロの面々を集め最終打ち合わせをした
10時になるとアレックスジャパンのJr社長 篠原涼子秘書
ジャック副社長ナタリー秘書らが次長室にきた
高橋がブースの説明をした
アレックスジャパンブースは直径50mの円柱建物で外周はガラス張りで
出来ていて 地上2階地下1階 3フロアの構成になっている
フロアはドーナツ状になっていて フロア幅が12mで建物の真ん中は
吹き抜けになっている
フロアは最上階から 時計回りに少しずつ下がり 5つの売場を
階段を使い下がっていくと 1周で1階分降りた事になる
丁度 螺旋階段の踊り場を広くした部分が売場になっている
更に新しい試みとして 外壁ガラス側に太い楕円のパイプがあり
商品補充時や商品搬送に使われる
螺旋状のフロアでは 商品補充が大変な為に 一旦最上階まで
商品を上げ そこからパイプを使い各売場に送るシステムにした
商品がパイプの中を通過すると センサーが感知して外にあるランプが
点滅し商品通過が分かり見ているだけでも楽しくなる
お客が購入された商品も タグを付けパイプに入れると地下にある
預かり所まで搬送出来るシステムにした
この時も 商品通過のときセンサーが感知して7色のランプを
点滅させたり 音を出したり出来る

アレックスJrは先日の説明で殆ど問題なしと話していたが
「神山さん エレベーターは2基で大丈夫ですか?」
「ええ 大丈夫です 建築のほうで確認をしています」
エレベーターは地下1階から2階まで直通の運行になっている
アレックスJrは更に地下共有部分の説明を求めた
「まずARXブースに入る方法は1階から入る方法と 地下から入る
方法があります このときニーナ・ニーナ 鈴や食品の各ブースにも
行かれる様になっています 中央から各ブースに入るための導線を
各ブースの基本カラーやウインドーで訴求します 商品陳列を
行わない処は カラーコルトンで訴求する方法も考えています」

神山は地下共有部分は3つのブースの真ん中に 円形のブースを設け
その広場でファーストフードを提供するスペースを設ける
中央広場から各ブースへはトンネル通路をくぐり行く事になる
「わかった 神山さんに任せます それで最終的にはいくらですか?」
「ええ 概算ですが60億とみています」
「分かりました では会長に早速FAXを送っておきます」
「ええ お願いします 但しプラスマイナス5%は見て置いてください」
「了解しました」
「私の方も きちんとした金額が出ましたら 提示をします
それから ソフト面の金額は含まれていません
GOL用のCMやビデオなどは 別途請求ですが いいですね」
「ええ 了解です 出来ればその金額も教えてほしいです」
「ええ まだプラン段階なので はっきりした金額は提示できません」
「神山さんに お任せしますので お願いします」
洋子と涼子は今日の打ち合わせ記録に お互いサインをして
「涼子さんも 立派な秘書になられたわね」
「わぁー 褒めて頂いて 光栄です 頑張ります」
洋子と涼子の話が終わるとナタリーが話しかけてきた
「洋子さん あのクラブいいわね 早くゴルフをしたいわ」
「まぁー あのクラブを買ったんですか 凄いですね」
「ほら Jrが前日遊んだでしょ その口止めよ ねぇ涼子さん」
「そうなんですよ 帰りの車で約束したんです ねぇナタリー ふふふ」
「まあ Jrも高い遊びをしたものね あのクラブいいでしょ」
「ええ 以前のと飛びが全然違うし 力を入れないところがいいわね」
「まぁ大変ね うかうか出来ないわ 練習をしないと ふふふ」
女性たちが話しているとき 男性達も
「神山さん あの時の事がバレて 帰りの車の中で約束をしたよ」
「ははは 大変だったね でもそれで口止めだったら安いじゃないか」
「そうですね もうこりごりです」 
Jrは神山に
「先日伺う約束をしてましたが 遅い時間になり今日お持ちしました」
「ああ 例の繊維協会の件ですね」
「ええ こちらが私の分で こちらが父の分です」
「えっ アレックス氏からも ありがとうございます
アレックス氏によろしく伝えてください 僕からもお礼のFAXします」
「父も神山さんと早く会いたいと 話していましたよ」
「分かりました この案を県庁に持って行き OKを取ったら話します」

神山たちがJrを見送ると Gプロの面々に
「さあ これからが大変ですよ」
「そうですね 細かいところを詰めていかないといけないし」
「考ちゃん お願いしますね」
神山と洋子は次長室に戻ると
「しかし Jrも高くついたね」
「そうね ナタリーや涼子さんは喜んでいましたよ」
神山はJrが持って来た祝儀を開けてみると
Jrの分が2千万万円 アレックス氏は5千万円 合計7千万円だった
「わぁー 凄い金額ね」
「うん でもなー 使い道ないし 困ったものです」
「まあ 贅沢言っているわ」
「さあ お昼はどうしようか そうだテツはどうだろう 電話してくれる」
洋子はニコニコ頷き電話をするとOKサインを出した
「じゃ いせ丸でも行こうか」
「でも今日は火曜日で大変な日でしょ」
「大丈夫さ ギフトセンターは終わっているし 暇だよ 予約して」
洋子は銀座築地いせ丸寿司に予約を入れるとOKサインをだした

次長室を出ると丁度催事課の部屋から杉田と屋敷が出てきて
「先輩 ご馳走様です」
「うん」
4人はビルの出入り口でタクシーを待ったが来ないので杉田が
「テツ 向こうまで行ってタクシーを拾ってきて」
屋敷は傘を斜めにさし 駆け足で晴海通りまでいきタクシーを拾った
いせ丸寿司に着くと 女将がいつものように愛想良く挨拶し
「今日は 時田様がいらっしゃっていますが どうされますか?」
「ははは 止めておきます 内緒で」
女将は笑顔で 時田の部屋と離れた座敷を案内した
神山は女将にえさを一杯用意してくれるよう 注文した
席に着きビールで乾杯すると神山が杉田に
「どうだね 話はすすんでいるの」
「ええ 進んでいて 式場選びです」
「へぇー いつ挙式なんだよ」
「へへへ ええ 実は10月に行う予定です」
「そうか おめでとう 良かったな」
「でも 式場がなかなか条件に合う所がなくて 困っているんです」
「なんで」
「ええ 人数が120人ぐらいで 予算の関係です」
神山は二人の門出をプレゼントしようと考えた
「わかった で 挙式は何人なんだ」
「ええ 大体60人くらいで 披露宴が120人くらいです」
「日にちは決まったの?」
「ええ 9月30日か10月7日の水曜日です」

神山はアルタ内藤に電話をして オートモの予約担当を聞いた
「山ちゃん それだったら 僕が予約するよ それで折半はどうですか」
「ありがとうございます では聞いて頂けますか 本人は9月30日と
10月7日の水曜日希望です」
神山は電話を切ると杉田に
「10月7日だとホテル催事が近いじゃないか 大丈夫か」
「ええ その場合は新婚旅行 お預けです」
「まぁ 可哀想ね だったら23日はどうなの 何も無いでしょ」
「ええ 何も無いです ただ給料が出てからの方がいいと思いました」
神山と洋子は顔を見合わせ
「翔 分かった 新婚旅行もいけるようにしてあげる」
その話をした直後に内藤から電話が入った
「山ちゃん 23日なら開いているんだ どうだろう」
「大丈夫ですよ 本人は給料が出てからがいいと そんな訳ですから」
「じゃ 抑えますね 挙式会場は100人 披露宴300人でどうでしょう」
「ええ 披露宴は200でいけると思いますよ」
「そうしたら 5万円で1千万円 挙式込みです 500でどうでしょう」
「ええ ありがとうございます ではお願いします」
「美佳さんに担当者のことを案内しておきます」
「はい 分かりました」
神山は電話を切ると翔に
「翔 9月23日ホテルオートモで決定だ」
「えっ 先輩 オートモなんて高くて そんな 美佳に怒られます」
「ははは 内藤社長と僕のプレゼントだよ これから羽ばたく
若者に丁度いい 場所だよ 心配するな」
翔は嬉しくなって 顔を赤くし美佳に電話をした
「美佳 翔だけど」
「ねぇ 今 社長から聞いたわ 本当なの 大丈夫、、、」
「うん 大丈夫だよ でも良かったね 嬉しくてさ」
「ほ・ん・と、、、私も嬉しい よかったわ、、、」
「おい 仕事中に泣くな もう、、、」
翔が電話を切ると神山は
「どこに行きたいんだ」
「ええ 北海道でのんびりしたいと思っています」
「そうか 分かった 最高級のところを探すよ 心配するな」
今までの話を聞いていた屋敷が
「先輩 良かったですね 凄いですよ 僕も仲間に胸を晴れます」
「うん そうだね ありがとう」
「先輩 神山先輩のように早く偉くなって 僕の時もお願いしますね」
「もう テツはそればっかりだ」
4人は大笑いして 箸を進めた

「翔 それで新婚旅行は何日ぐらいを予定している」
「ええ 4泊5日でしょうね それ以上休むとテツに席を取られますから」
「そうだな そうしたら その日はオートモ宿泊で 翌日北海道だ
で 何処を見て廻りたいのか 考えている?」
「いえ まだ詳細は、、、でも 小樽とか函館とか 色々です」
「そうすると ツアーもいいけど ちょっと忙しないな うん分かった」
神山は屋敷にも寿司を食べるように進め 翔もお腹が一杯になった
「やっぱり先輩と一緒だと 気を張らないで食べられるからいいです」
「いつもそうだろ いまごろ」
「ええ でも先日美佳のご両親と お寿司屋に行ったんですよ
その時 こうやって食べられなかったです 美佳が心配して
それでようやく食べたんです」
「ははは 翔らしくないな」
「だって 先輩 知らないお寿司屋でいくら取られるか 心配でしょ
例え それがご馳走でも あとあと僕の父親ですからね」
「そうだね うん でも大丈夫だろう そこを踏まえてお寿司屋だろ」
「そうですかね 僕は貧乏性だから 分かりません」
「そうだな まあ よかった」
神山たちは綺麗に食べると洋子が精算しタクシーを待った

次長室に戻ると神山は洋子に
「ごめんごめん 渡すのを忘れるところだった」
神山は昨日借りた 500万円分のギフトカードを返した
「洋子 北海道でタクシーを借りるって高いのかな」
「全然見当が付かないわ 聞いてみますね」
「うん 貸切で朝9時から夕方5時でいいでしょ」
洋子はPCで札幌のタクシー会社に電話をすると 貸切り乗車は
出来るが 運転手が変わる事もありえるとの返事だった
「一日3万円から5万円ですって」
「へぇー 結構な金額だね そうしたら挙式が近づいてからにしよう」
神山は明日のニーナ・ニーナの打ち合わせ資料に目を通した
前回との変更点はブース自体が変更になり 以前の箱ではなく
ARXブースと同じように円柱の建物にし
細かいところ2,3箇所に説明を書き加えた
仕事に集中していると内藤から電話があった
「山ちゃん 先ほどの挙式と披露宴費用ですが」
「はい」
「それで 引き出物ですが 山ちゃんの処で揃えると
売り上げにもなるでしょ」
「そうですね ありがとうございます」
「それで ホテルの方には500万円を振り込んで頂けますか
引き出物は 掛かった分を折半でどうでしょうか」
「ええ そうしましょう では振込先を教えてください」
神山は内藤からホテルオートモの振込先口座を聞き確認した
「山ちゃん 美佳ちゃん 大喜びで泣きっぱなし 仕事にならないから
早く返しました 大変ですね ははは」
「そうですか そんなに喜んでいるんですね」
「ええ 突然私の部屋に来て もう涙が止まらないんですよ
それで 受付が2人いたので 自宅に帰しました」
「まあ 人生最大のイベントですからね 気持ち分かりますよ」
神山と内藤は久しぶりに嬉しい話をし電話を切った

「ちょっと銀行に行ってきます」
神山が出かけようとすると洋子が
「軍資金を使ってくださいよ」
「うーん、、、」
「だって もう引き出しに入らないですよ あなたの気持ちで充分ですよ」
「そうかな、、、」
神山は洋子の言うように 気持ちがあれば同じお金と割り切る事にし
洋子から預かった500万円を持ち 銀行でオートモの口座に振り込んだ
神山は催事課の部屋に入ると 奥村課長が
「山ちゃん 凄いね 今 翔から聞いたよ」
「ははは 内藤さんと二人でプレゼントです まあ二人の門出だから」
「しかし ビックリだよ オートモだと一杯包まないといけないな」
「ええ 最低でも10万でしょ 課長だし大変ですね」
「まあな しかしもっと安いところなら こちらの出費も抑えられたのに」
「まあ 一世一代ですから お願いしますね」
神山は奥村と話を終えると杉田を呼び
「翔 引き出物はもう決まっているのか」
「まだなんですよ でもクリスタルガラスのグラスセットにしようかって
一応 案は出ているんですが 僕の給料ではとても手が出ないんです」
「そうか クリスタルグラスセットか」
「ええ あれって氷を入れると 音が綺麗でしょ
美佳とデートした時 初めて同じ意見だったんです」
「そうか そんなエピソードがあるんなら 大事にした方がいいな」
神山は以前 上野店に居た時に クリスタルグラスにサウンドブラストで
絵を彫っている会社と話した事があった
クリスタルグラスに一つ一つ手彫りで絵を作るので 同じものは無く
5客でも6客でも 並べると物語になると言われた事を思い出した

「翔 そのクリスタルグラスにサウンドブラスト加工して
それを引き出物にしたらどうだ オートモで使う引き出物だから
多少 それなりの物でないといけないしな」
「でも そんな高いのは手が出ませんよ」
「うん そうしたら内藤さんと 話してみるよ 大丈夫だよ」
杉田は自分が知らないうちに 挙式の準備が行われて行くのが 不思議で
頭の中では 判っているつもりだが 嬉しさを表現できなかった
神山は次長室に戻ると 先ほどの会社をPCで探し電話をした
「鈴やの神山と申します こんにちわ 社長はいらっしゃいますか?」
社長は神山の事を覚えていて
「それでしたら 私どもの処でやらせてください
世界で認められている技術を その若い人たちに提供させて貰います」
「良かったです それで絵柄はなんでも構いません 1組送って頂けますか」
社長は快く引き受けてくれて
「値段はいくらになりますか?」
「ええ 私どもではグラスで12万円 桐箱2万円 14万円で出します」
「そうすると 店に納品して頂くことも可能ですね」
「ええ ただ口座が無いものですから そこだけです」
「分かりました 口座は私が責任を持って作らせて頂きます
それで 6客最低120組ですが 9月20日まで間に合いますか?」
「えっ 120組ですか、、、」
「ええ 最低です 上限は200組ですが」
「200組ですか、、、はい 何とか頑張ります
お目出度い席で 失敗は許されません 頑張りますよ 神山さん」
「では 届くのをお待ちします 出来れば代引きでお願いできますか」
「ええ 多少手数料が掛かりますが」
「ええ 構いませんよ ではお願いします」
「はい 明日 お届けできます これから手配します」
神山は電話を切ると 特選雑貨課の仕入課長に電話をした
「はい 神山次長のお話でしたら 喜んで口座を作らせて頂きます」
「うん ありがとう それで仕入れが14万なんだ どうだろう」
「えーと 普段ですと215000円ですが、、、」
「うん 分率を下げていくらになりますか」
仕入れ課長は電卓で計算し
「どうしても 20万円を切るのは難しいです」
「分かった 120組などトータルで考えて欲しかった
20万円を切れないようなら 話は無かった事にしてくれ では」
神山が電話を切ろうとすると
「次長 おいくらだったらいいんですか?」
「もういい 時間の無駄だ 利益ばかり求めているから 先日の
ホテル催事も赤字になるんだ もっといい商品を仕入れなさい では」

神山は電話を切ると上野店の特選雑貨仕入課長に電話をした
「やあ 山ちゃん どうしたの 次長直々に」
「ははは 相変わらずですね 先輩も」
「まあな なので進級できないよ ははは」
神山は事情を掻い摘んで話をすると仕入課長の渡辺晴智は
「ははは 自分の事じゃなくて 部下の事か いいよ
分率なんて関係ないさ でも銀座も天狗になっているな」
「まあ そこは言えませんが そうしたら18万円でいいですか」
「うん 15万円でもいいけど でもな うちにも儲けさせてくれ」
「ははは そうしたら 上野で口座を作って頂けますか」
「了解 それで今回は臨時口座になる しかし2回以上取引があれば
普通口座になるよ」
「それだったら 最初の120個を収めさせ 追加分を収めさせれば
普通口座は作れますね」
「まあ そうだな でも120個を収めた時に 入金がないと難しい」
「あっ そうしたら明日にでも入金しますよ」
「えっ 120個で18万だよ」
仕入れ課長は電卓をはじき
「山ちゃん 2160万円だよ 大丈夫なの」
「ええ 大丈夫ですよ」
「うん わかった」
「もし良かったら 今日にでも伺いますよ 商品券でもOKですか」
「うん いいよ 臨時口座を大至急作って待っています」
神山は内藤に経緯を掻い摘んで話をすると
「そうしたら 14万円の60個分840万円を明日 口座に振り込みます
しかし 18万円でもいいのに」
「ええ そこは鈴やの儲けの部分ですから 私が払います」
「さすがですね それで追加の場合は 教えてください
披露宴の方ですが 少なくなった場合は返金されます 又 連絡します」
「はい お願いします」

神山は電話を切ると洋子に
「今夜は上野でとんかつでも食べるか」
「嬉しいわ お願いします」
「そうしたら 悪いけれどポルシェをスタジオに届けて 祐子と一緒に
とんかつ屋で待っていてくれるかな」
「わぁー ポルシェも運転できるのね いいわよ」
神山はタクシー代1万円を洋子に渡すと商品券を2160万円分用意した
祐子に電話をして洋子と一緒に 上野に来る事を伝え 
今夜行くとんかつ屋へ電話をいれ 部屋をキープした
「じゃ お願いしますね 上野で30分ほど話があります
もし先に着いたら 呑んでいてね」
「はーい 分かりました」

洋子と神山はビルの出口で別れると 神山はタクシーで上野店に行った
鈴や上野店の5階にある特選雑貨に行くと 仕入れ課長が待っていて
「山ちゃん 良く来たね さあ」
課長は仕入れ席に案内して 口座開設書を見せてもらった
「では 先に入金しますよ」
「ははは 2ヶ月先の話で 今月の売り上げとは関係ないが
保留金で入金しておきましょう」
神山と仕入れ課長はレジに行き 商品券で2160万円分を支払いした
商品券を勘定するのに 手伝い店員も呼び 3回数えると
「山ちゃん ぴったしだよ ありがとうございます」
神山は馴染みの課長や係長と挨拶をすると みな気軽に話しをしてくれ
銀座と随分と違い 心の暖かさを感じた
神山は地下の酒売場で冷えたビール2ケースを買い求め催事課へ行った
部屋に入ると みな神山を歓迎し仕事を止め テーブルに集まった
課長がみんなに
「山ちゃんからの プレゼントだ 呑もう」
催事課課長は今年4月に名古屋店から 転勤できた課長だが
上野の催事課は少し元気が無いといい 率先して仲間と呑んだ
神山の噂は全店規模で伝わっていて 課長もいいチャンスだと思い
「山ちゃん 成功の秘訣を教えてください」
「ははは そんな ないですよ ただ一生懸命仕事をすれば
結果はあとから付いてくる でしょうか」
「あーあ そうだな みんな分かった お願いしますね」
神山は事務と経理を担当している 中田圭子を呼んで
「どう 課長のケチって有名だけど 大丈夫」
「まぁ ご存知なの でも ここに来てからはそんな事ないわよ」
神山は商品券100万円分を渡すと圭子は驚いて
「いいの こんなに頂いて」
「うん みんなでどんどん呑んでくださいよ 課長には内緒だよ」
「ふふふ 分かりました 大切に使わせていただきます」

神山はこれから仕事が有るといい 部屋を出るととんかつ屋へ向かった
受付で神山と名乗ると 3階の部屋に通され
「わぁー 漸く来ましたね」
「ははは ごめんね 催事課で話し込んで 遅くなりました
でも なにも注文していないの」
「だって なにがお勧めか 分からないじゃない だから来てからって」
神山はおつまみで とんかつの盛り合わせと 揚げ物の盛り合わせ
サラダの盛り合わせを注文した
祐子は洋子から 美佳のことを掻い摘んで話を聞いていたので
「美佳さん 驚いているわね ふふふ 私だって泣いちゃいますよ」
「そうか そんなに嬉しい事なんだね 少しだけ乙女心が分かりました」
「いつも周りに乙女ばかりなのに もう ねえ洋子さん」
「ほんと この人ってそこが鈍いのね でも鈍いところが厭味じゃないから
女が付いてくるのね きっと」
「おいおい 褒めているのか 貶しているのか もう」
3人は大わらして生ビールを呑んだ
「失礼します」
仲居がおつまみや日本酒を運び 座卓に並べると洋子が
「美味しそうなとんかつですね」
「ありがとうございます 揚げたてですから 気を付けて
お召し上がりくださいませ」
とんかつの発祥は一説に上野と言われ 御徒町から上野地域には
多数のとんかつ屋が存在し 今でもその味を求める顧客がおおい
洋子と祐子が一口食べると
「わぁー 美味しいわ 柔らかくて衣はパリパリ 中はジューシーよ」
「お肉も 甘くて美味しいわ 幸せぇーってね」
祐子のおどけた格好で みんなで大笑いをした






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