2012年8月1日水曜日

若葉 4 - 11 Vol. 1



11日 土曜日

浴衣を羽織った二人はソファーで今日の写真を見ていた
神山が撮影したフイルムはネガフイルムなのでプリントで検証でき
由香里の使ったフイルムはポジフイルムなのプリントしないで
そのままフイルムの状態で検証する事ができる
勿論プリントアウト出来るが フイルムでも充分見る事ができる
由香里が神山のプリントを見て
「上手よ あなた ほんと」
「そうかな 自分では分らないけど」
「ほんとよ 私より上手よ 教えるなんて出来ないわ」
神山の写真も充分使えることを伝え
自身が撮影したフイルムをルーペで見た
「上出来です 大丈夫よ あなた」 
「そうすると 明日はゆっくりできるね どうする 明日の行動は」
「あなた次第よ 私は今夜寝れば疲れが取れます」
チェックアウトの時間を確かめる為 桜川に電話したが出なかった
2,3分後に電話をすると桜川でない女性が電話口にでた
「こんばんわ 神山様 私は桜川と交代しました矢田部と申します
どのようなご用件でしょうか」
「あれっ あの~ すみませんがチェックアウトは何時でしょうか」
「神山様は15時のチェックアウトが可能です」
「はい ありがとう おやすみなさい」
神山は由香里に桜川さんではなく矢田部さんが出た事を伝えると
「それはそうでしょ 3交代でシフトしているのでしょ 多分」
「そうだよな でないと大変だ それと15時までOKだって」
「凄いわ ゆっくりできるわね どうします あなた」
「ゆっくりして 沼津港に行ってみようか」
「沼津に何があるの」
「沼津港はマグロの冷凍が上げられるところだよ」
「見た事無いわ しかし時間が」
「そうだよね でもここにマグロが着ていると思えばどう」
「そうね」
「それに解凍マグロだけど 築地のように食べられる所もあるし」
「よく知っているわね」
「明日 訳を話すよ」
「変なの 寝る前においしいお酒を頂いてもいいかしら」
「大丈夫だよ 冷蔵庫をみてくる」
神山は冷蔵庫を開けると見た事が無い日本酒が入っていたので
由香里に見せながら戻ってきた
「私も見た事無いわ 開けてみる?」
300㏄の瓶は小さいが値段が2000円と高かった
「凄い高いよ どうする 呑もうか」
「そうね 記念にいいでしょ」
由香里は 小さなグラスを探しテーブルに用意した
神山は冷蔵庫から乾き物を持ってきた
由香里が栓をあけ香りを確かめると
「ねぇ あなた 素晴らしい香りよ」
由香里はグラスに注ぎ神山にわたした
「すごいね フルーティーな香りだ」
神山は 少しだけ口の中に入れ 転がした
ピリとは感じないが 完全に辛口に仕上がっていた
「由香里 そうしたらこれでいきますか」
「ええ 大丈夫よ」

由香里は洋酒より日本酒が大好きで
今まで滅多な事では酔いつぶれる事は無かった
洋酒も雰囲気が好きでよく呑むがどちらかと言えば日本酒を好んだ
神山は逆に日本酒の雰囲気は好きだが呑み過ぎると
翌日に響く事があり 洋酒を良くたしなんだ
「すごくおいしいわ あなた」
「良かった 由香里がそんなに誉めるなんて珍しいよ」
「ええ おいしいわ」
「ねえ 由香里 催事課スタッフの住所だけどわかる?」
「ええ 手帳に書いてあるわよ」
「そうしたら みんなに還元だ」
「やっぱりね いいわよ 私も参加する」
「いいよ 僕は一杯貰いすぎだから」
「なによ 格好つけて」
由香里は神山の行動を微笑ましく思った 
「そうしたら 今夜の内に注文しておこう」
「悪いわよ こんな遅い時間だし」
「だから良いのさ 向こうは刺激になって」
「変な理屈」
神山は内線の7200番をまわし受話器を持って待った
「はい神山様 こんばんわ なにかございましたか?」
「遅くにごめんなさい
実は今頂いている日本酒を発送したいのですが」
「はいそれでは配達伝票をお持ちいたします」
「はい お待ちしています」
「由香里はどうする」
「私も頼むわ」
「うん 僕が送るよ」
「えっ いいの そんなに甘えて」
「何言っているんだ これでも安いもんだろ」
「ありがとう うれしいわ」
由香里が手帳を用意しソファーに座ろうとした時に
ドアがノックされた
由香里がモニターで確認すると女性従業員が立っていた
ドアを開け中に入ってもらうと彼女は
「神山様 今晩わ 私がサブの矢田部と申します」
由香里と神山にお辞儀をした
「こちらの日本酒を気に入って下さいましてありがとうございます」
「うん凄く美味しい」
「ところで 何件さまのお届けですか?」
「ええと 全部で10件くらいかな」
「はい ではこちらの伝票にご記入をお願いできますか」

神山が手渡されたのは一括伝票を渡された 
個別に一枚一枚伝票に記入するのではなく大変便利な伝票だった
神山は催事課スタッフの住所を書き入れた後自分の携帯で
アルタの内藤社長の住所を書こうとした時
由香里が自分の手帳を手に取り次のページを開けると
アルタの高橋まで連絡先が記されていた
神山は自分の携帯をしまい手帳をみて書き始めた
全て書き終わり確認したとき
ニーナ・ニーナの筒井副社長を忘れているのを発見したが
祥子の住所が分り変な疑いが生まれるのもどうかと思案していると
「では 神山様 今ご記入されましたお届け先に
どのタイプを送られますか 記号を右のマスにご記入お願いします」
神山は矢田部に言われた事を上の空で聞いていた
伝票に記入するのは記号なのにセット数を記入していた
由香里がおかしい事に気がつき      
「神山さん ここは記号を記入するの」
「あっ そうか ごめんごめん」
セットタイプは一升瓶3本、2本、1本、
700㏄3本、2本と5種類の
セットが用意されていた
「斉藤さん 課長と倉さん 内藤さんは3本セットで 他の人は
一本で良いよね」
「そうね 気持ちだから 良いでしょ」
「あと ニーナ・ニーナの筒井さんだけど、、、」
「ごめんなさい お取引業者様で無いので書いていません、、」
「うん いいよ 自宅から送るよ」
「ごめんなさい 神山さん」
「うん いいよ あとは漏れないよね」
「ええ ご自分の住所をお届け先に書かないと」
「そうだね それと 斎藤さんの住所も書きなさい」
「はい 分りました」
一括伝票を全て書き終え矢田部に渡した
矢田部は申し訳なさそうに
「神山様 こちらの商品につきましては
サービス扱いが出来ませんのですがよろしいでしょうか」
「勿論ですよ ここまでサービスして頂いたらバチが当ります」
「ありがとうございます 只今計算をさせて頂きます
暫くお待ちくださいませ」 

由香里は改めてカタログを見てみると一升瓶1本が1万円なので
送料を加算すると20万円以上の出費になると思っていた
しかし 今回の神山はそのくらい還元してもおかしくないと思った
今のうちに高名を知らしめておけば
これ以上のものが転がり込んでくる事に間違いないと信じていた
由香里と神山は矢田部が計算している間に
もう一本を冷蔵庫から取り出し呑み始めた
矢田部は送料で戸惑ってさかんに胸に付いている小さなマイクで
連絡を取り合っていた
ようやく伝票計算が終わり
「神山様 遅くなって申し訳ございません
合計金額は18万8千でございます」
「はい 分りました 今もってきますので、、、」 
神山はジャケットの内ポケットから19万円を出した
矢田部はおつりを持参していなかったので
「おつりは明日 お帰りになられる時でもよろしいでしょうか」
「ええ 構いませんよ お願いします」
「はい 承知致しました」
「こんなに夜遅く申し訳ないです」
「そんな事無いですよ」
矢田部は仕事が終った安堵からか愛らしい顔つきで話した
よく観察するとプロポーションなど桜川によく似ているが
若いのだろう 顔に張りが有り胸も少し大きいように感じた
「では 神山様ご注文ありがとうございました
ごゆっくりとお過ごしくださいませ」
「うん ありがとう お休み」
神山は矢田部が部屋を出て行ったあと由香里に
「変な事 言っちゃたよ お休み だって」
「そうね 彼女まだ仕事中ですもん」
「うん、、、」
「しかし 大盤振る舞いされたわね」
「そうかな?」
「ううん 良いと思うわ これからですもん」
「僕はこんなにお金を持っていてはバチが当ると思ってさ」
「いいじゃない その考え方で 素敵よ あなた」

由香里は3本目を冷蔵庫から取り出し呑み始めた
「しかし由香里とこんなにゆっくりするのは初めてだよね」
「ええ 私もあなたをこんなに観察させて頂いたのは初めてよ」
「いつも仕事で話をしているから 分らない部分が多いね」
「そうでしょ だけど私はあなたを観察していたわよ」 
「えっ どうゆう意味 それ?」
「だって 店長の肝いりで銀座に来たんだから どんな男かって」
「ふ~ん それでどうでした」 
「うん 浮いた話は無いし 真面目だし OKだったわ」
「そうか そんな風に見られていたんだ」
「当たり前よ そんな事」
「それで 僕が酔いつぶれたとき 
由香里がどうして介抱してくれたの?」
「あなたが 本当の男かどうか見る為よ」
「えっ そんな」
「そうよ だからあの晩は何も無かったの ごめんなさい」
「そうしたら 朝のあの時が初めてだった」
「いや 言わないで 恥ずかしいでしょ」
「そうなんだ しかしよく話してくれたね ありがとう」
「もう この話は止めましょ 恥ずかしいもん」
「まあ 僕も久しぶりで酔いつぶれたよ」
「ほんと 凄かったわ 呑むペースが速くて それで平気だった」
「だけど 店を出た途端分らなくなった」
「多分緊張していたのね 店長もいたし」
「うん なんか何を呑んでいるのか分らなかった」
「ねぇ もうあんな無茶な呑み方しないで お願いだから」
「うん そうするよ」
由香里は神山にもたれかかってキスを求めてきた
「私を一人にしないでね」
「うん、、、、」
「たとえ浮気をしていても忘れないで下さい」
「えっ」
神山は唇をふさがれ何も言えなくなった
と言うより由香里はその後の言葉を聞きたくなかった
(独り占めできないこと分っているわ だけど愛してね)
由香里は目に涙を浮かべながら神山とキスを続けていた
ほほを伝わる涙が神山の唇に当たり目を開いた
いじらしい由香里をきつく抱き寄せソファーに倒れ込んだ
由香里は神山の背中から手を解こうとはせず
さらにきつく手に力を入れ神山を抱きしめた
神山はこのままベッドに行っても良かったが由香里を考え
「ねぇ バスに浸かろう ゆっくりと」
「そうね 髪も流したいわ」
「そうしたら 準備をしてくるよ」

神山はバスルームで浴槽に湯を張っていると携帯がなった
「ねぇ あなた 携帯電話が鳴っているわよ」
由香里がバスルームに教えに来た
急いで携帯に出てみると祥子からだった
「祥子です こんばんわ 今大丈夫?」
「うん これから風呂に入る所です」
「ごめんなさい 寂しくなって電話したの」
「いや 誰でもあることさ」
「御殿場の現場はどうでしたか?」
「うん 綺麗に更地になっているよ 大丈夫ですよ」
「良かった」
神山はバスルームとは離れた場所に歩き始め 由香里に聞こえる声で
「では ごめんなさい 裸だから 明日連絡します」
「は~い 頑張ってくださいね」
由香里が怪訝そうな顔をして
「だれ 今の電話?」
「ニーナ・ニーナの久保さんから 御殿場を心配して電話をくれた」
「こんなに夜遅く?」
「だって 彼女 今実家に帰って娘さんと一緒だろ だからじゃない」
「ふ~ん 良くご存知ね」
「だって そんなのおかしくないでしょ 現場で話題になる事だもの」
「そんなに親しいの 彼女と」
「それは現場での話や筒井さんの話や 結構話していますよ」
「それだけ?」
「だって仕方ないだろ 食事をしながら現場の話を分り易くしたり
だから アルタも喜んでいるし 筒井さんも喜んでいるでしょ」
「だから それだけ?」
「当たり前だろ 仕事のお付き合いだけだよ」
「ごめんなさい 疑って」
「さあ 風呂にはいろう」
「ええ」

由香里は着ているものを脱ぐと肌着だけになったが
「ねぇ あなたねがせて」
突然の言葉に驚き
「えっ だっていつも、、、」
「今はそうして欲しいの だから脱がせて」
神山はブラジャーのフォックをはずし取ると後ろからショーツを
脱がせようとしたが由香里が正面を向き
「ちゃんと正面から脱がして」
ゆっくりと優しく下げていくと秘所を隠している黒い密林が現れ
生暖かい空気が流れてきた
神山は更に下げながら秘所にくちづけを始めた
由香里のショーツは体液で湿っていたが
今夜は恥ずかしがらずに神山に全てを見せた
由香里はどうしようもなく溢れ出る体液を
神山の口に押し付け喘ぎ始めた
腰が立たなくなった由香里は神山を立たせ着ているものを脱がせ
下着を脱がせる段になるとビキニブリーフの上から肉棒を愛撫した
立っている神山は時々襲ってくる快感に
うめき声をあげながら我慢していたが
由香里からも喘ぎ声が聞こえてきた
ビキニブリーフの愛撫は続き神山もぬめりのある体液を出してきた
由香里の手は体液が染み出てくるとまた根本のほうから先のほうに
唇を動かし先端に来ると咥えこんだ
由香里の喘ぎが段々と大きな声になり
ブリーフを片手で脱がそうとしているので神山もかがみ
手伝うと由香里の手は自分の秘所をまさぐっていた
ブリーフから出た肉棒を咥えたりなめまわしたり
神山はどうにも我慢が出来なくなった
「由香里 欲しいよ ベッドにいこう」
由香里は何も答えずに従った
由香里のヴァギナからは今までより多く体液にまみれていた
肉棒をすんなり受け入れると 下から腰を動かしてきた
神山は両足を持ち上げる格好になったり
片足だけを真上に持ち上げたり
色々と体位を変え由香里を喜ばせた
神山は交わったまま上下を入れ替え由香里を上にした
腰が上下に動いたり 前後に動いたり 回転運動したり
由香里も感じていたが神山は初めての経験だったので
「由香里 だめだ 我慢できないよ」
「いいわよ わたしも も う す ぐ 」
「だめだ~ 出ちゃうぞ~」
「私と いっしょ に~」
由香里の膣がきゅんと締り 腰の動きが速くなった
髪は乱れ目はうつろで焦点が定まっていない
「いく~」
由香里は上半身を後ろに反らせると
次はばたっと神山の胸に落ちてきた
神山も少し遅れて発射した
そのままの格好で暫くいたが 由香里が全然動かないので
肉棒を抜きながら体を入れ替えると目を覚ました
「ごめんなさい どうしたのかしら私」
「いったきり 動かなくなってしまって驚いた」
「ほんと ごめんなさい」
「いいよ 息をしていたから安心したけどね」
「凄く気持ちよかったの 初めてよ」
「では お風呂でさっぱりするか」
「そうね でももう12時よ」
「だけど 髪を流すでしょ」
「ええ 入りましょ」

由香里と神山は浴槽に使ったが髪を流すので先に由香里の
髪をシャンプーで優しく洗ってあげた
由香里は時々神山のおちんちんを触り
「ほんと 元気君ね こら 他でおいたしたらだめだぞ」
神山は答えるようにぴくぴくさせ由香里を笑わせた
由香里のシャンプーが終ると神山の番になったが
「いいよ 由香里 ゆっくりと浸かっていなさい」
「どうして?」
「いいからゆっくり浸かって 疲れを取りなさい」
神山は言いながらシャンプーを髪の毛に掛けマッサージをし
泡を良く立てながら洗った
シャンプーを流し終わると由香里と一緒に浴槽に浸かった
「ねぇ なんで私じゃいけないの 教えて」
「だって 又 触りたくなったらシャンプーが目に入って痛いもん」
「ふーん そうしたら触らなければ良いでしょ」
「そんな訳にはいかないでしょ」
「あなたは自制できないんだ」
「うん 手は勝手にうごくし おちんちんは大きくなるし」
「そうなんだ そうですか おちんちんくん?」
由香里は浴槽で小さくなっているおちんちんを触りながら言った
二人は笑って今日の疲れを癒した
髪の毛を乾かすのでソファーに座っていると
「あなた 冷蔵庫にブランディーがありますが 呑む?」
「うん 頂きますよ」
二人は備え付けのバスローブを身に着け寝る仕度をしていた
「はい 何も入れないで良いでしょ」
「チェイサーは欲しいな」
少し大きめのグラスに水とアイスを入れテーブルに置いた
「さっきから 何を計算しているの」
「うん 今夜までの収支を出しているんだ」
「ふ~ん」

神山が由香里から受け取った出張費14万円 
網代の清碧旅館支払いが5万円
アルタから50万円 椿から20万円 お酒の支払いが19万円
三脚代4万円 タクシー代1万円
由香里にこの数字を見せると
「凄い収入ね あなた」
「うん 84万円の収入で 由香里に20万 支払い計29万
手元には35万円もあることになる」
「凄いわね 私も大切に使います」
「この他に椿さんから宿泊券やカードでしょ 凄いよね」
「ええ もう一回無いかしら 御殿場出張」
「出来るでしょ ただし謝礼はないと思うよ」
「そうよね いいわ次回に貯めておこう あなたは出張でいいけど」
「だけど 贅沢しなければ僕の出張費でOKじゃないですか」
「そうね そうしたらやっぱりレンズを買います」
「うん その方が良いよ」
「あなたもカメラを買って一緒に撮影に行きましょうよ」
「しかし今はそれどころではないな 欲しいけど」
「そうね このお仕事が終ってからね」
神山はこの機会だから買ってもいいかなと考えたが
予算が無いので諦めた
「そろそろベッドに行こうか 由香里も疲れただろ」
「そうね 髪も乾きましたし 寝ましょうか」
「うん 先に入っていて 一服したら行くよ」
由香里はベッドでバスローブを脱ぐとそのまま布団の中に入った
神山は桜川の白いバストが忘れられず思い出していた
次回は何時来れるか思案していたが時間が取れそうに無かった
タバコを吸い終わると神山もベッドに行ったが由香里は
横を向いてぐっすりと寝ていた
神山はバスローブを脱ぐと何も付けず由香里の横に寝た
手を動かしバストを触っても反応しないので下にずらし
秘所をまさぐっても反応しないので寝てしまった
(ねぇ やめて 今日の私 あそこがおかしいの
だから諦めて お願い 私をこわさないで)

4月12日 日曜日                                        
今朝は昨日と違い今にも雨が降りそうな雲行きだった
先に目を覚ましたのは神山で化粧室で用を足すと窓を開け
部屋の中の空気を入れ替えた
少しひんやりした気持ちの良い風が神山は好きだった
テーブルのタバコを取りベランダで吸っていると
駐車場が騒がしくなってきた
団体のゴルフ客が出発する所だった
アテンドしている女性が桜川と直ぐに分り大急ぎで部屋に戻った
バスローブを羽織ってベランダに出てみると駐車場の車が出た後で
桜川がお辞儀をして見送っている所だった
神山はガラスを閉め一か八か叫んだ
「おはよ~」
桜川も気がつきこちらに向かってお辞儀をした
神山も手を振って答えた
桜川がホテルに戻ると神山もガラス戸を開け部屋に戻った
由香里を見に行ってみるとまだぐっすりと寝息を立てていた
神山は3階の温泉大浴場に行きたくなったので
メモを残し浴衣で出て行った
【由香里殿 3階の大浴場に行く 30分で戻る】
神山はタオルをもって3階の温泉大浴場に入ったが
先客が2,3人いただけで 貸しきり状態だった
柱についている時計を見てみると7時30分をさしていたので
8時前に上がれば約束の時間には部屋に着くと思った
ゆっくりと浸かり体を温めた後 サウナで汗を流した
吹き出る汗をぬぐいながら我慢をしたあとは水風呂で躰を
引き締め又 サウナで汗を流した
最後に温泉で体を温め風呂を出てエレベーターを待っていると
桜川が近づいて来たので会釈をした
「お風呂ですか 如何でしたでしょうか?」
「ええ 大変広くて綺麗で驚きました 湯加減も良かったですよ」
「ありがとうございます お食事はどのようにされますか」
「バイキングを頂きます」
「そうですね 人気がありますしお口に合うといいのですが」
「それと昨夜はありがとうございますステーキ美味しかったですよ」
神山は桜川が手配した事だと思い礼を言うと
「あの件は椿が手配しておりました 私ではないのですよ」
「そうだったんですか いや失礼しました」
二人が話しているとエレベーターが来て扉が開いた
乗り込む人がいないか確認をして扉を閉めた
箱の中は二人きりになり神山は少し息苦しくなった
「今日はどちらまで行かれるのですか」
「ええ 沼津港まで 美味しいマグロを食べに」
桜川は嬉しそうな顔で
「美味しいところをご案内させて頂きますよ ご迷惑でなかったら」
「それは よかった お願いします しかしお仕事があるでしょ」
「ええ 今日はお昼の12時にあがりです」
「そうですか では12時にどこで待ち合わせますか」
「出来れば御殿場駅で12時過ぎにお願いできますか」
「では御殿場駅でお待ちしています お願いします」
話が終る時にエレベーターが止まり扉が開いた
神山と桜川は反対方向に歩き出したが神山が
振り返ると桜川はこちらに向かってお辞儀をしていた

部屋に戻ると由香里はまだ寝ていた
余程昨日の撮影は疲れたのだろうと思いそのまま寝かせてあげた
神山は桜川との事を考えると余り遅い朝食もいけないと思い
「由香里 さあ起きてください」
「う~ん なあに あなた」
寝ぼけ眼で神山を見つけると両手を広げ神山に抱きついた
「どう 起こしてしまったけど 大丈夫」
「う~ん まだ眠ったいわ」
神山は甘える由香里の上半身を起こしキスをした
ようやく目がさめた由香里に
「さっき由香里が寝ている間に温泉大浴場に行ってきた」
「ずるい 一人で行って」 
「だって 何回か起こしたけど寝ていたから」
「いいな それでどうでしたか 大浴場は?」
「広くて綺麗で 申し分なかったよ」
「じゃあ 私も行って来ていいですか?」
「うん 行ってきなよ 満足するよきっと」
「では行くわ 私も 浴衣で大丈夫かしら?」
神山は人前で由香里の浴衣姿を見せたくなかったが
「うんみんな浴衣姿だったよ 丹前を羽織ってゆけば良いよ」
「そうね そうするわ あなたはどうするの」
「僕は ここで待っているよ ビールを呑みながらね」
「わかったわ 呑みすぎたらだめよ」
由香里は新しい肌着をバッグから取り出し 大浴場へ行く仕度をした
「どこだか直ぐに分る? 一緒に来て」
神山は由香里と一緒に部屋を出て3階の大浴場まで案内した
「そうしたら僕は部屋に戻ります」
「はい 待っていてください」

神山は部屋に戻ると一服しながら携帯で祥子に電話したが
なかなか出なかったのでテーブルに置いといた
地ビール呑もうと冷蔵庫を開けると全然無くて桜川に電話した
「神山様 何かご注文でしょうか?それとも、、、」
「お忙しい所申し訳ないですが 地ビールを全部呑んでしまい、、
出来れば5,6本追加できますか 勿論お支払いしますが」
「かしこまりました 直ぐにお伺いします」
電話を切って直ぐにドアがノックされた
モニターを見ると桜川がバスケットにビールを入れて立ていた
ドアを開け中に入れると 冷蔵庫にしまってくれた
「どうもすみません」 
「そんな このビールは本当に人気者ですから」
「お支払いをしますよ」
「いえ 本当によろしいのですよ」
「では お言葉に甘えます」
「神山様 昨夜の日本酒の件ですが 今日発送で宜しいでしょうか」
「ええ お願いします」
「あの日本酒も人気者ですのよ 皆様お買い求められます」
「そうですか 3本も呑んでしまいました」
「ええ矢田部から伺っております」
「では 12時過ぎに御殿場でお待ちしています」
桜川は嬉しそうな顔をして丁寧に深くお辞儀をしたので
バストを覗く事が出来た
神山は冷蔵庫に入れられた地ビールを取り出し呑み始めた
タバコを吸いながら桜川の事を考えていた時 携帯電話が鳴った
祥子からの電話でさっきは部屋に置いといて分らなかったと言いい
「今夜ですけど やはり友子と夕飯を食べてから
出ますから遅くなります」
「うん 分ったよ 気をつけてね 雨が降りそうだし」
「はーい 着いたら電話します」
「うん 了解です」
「お仕事は順調に進んでいますか」
「うん 今日はもうゆっくりします」
「では 気をつけて下さい あなたも」
神山は電話を切るとビールを呑みながら どんよりした外を見ていた
先ほどよりは明るくなったが 
それでもいつ降ってきてもおかしくは無かった
ビールを2本空けたところで眠気が襲ってきて
そのままうたた寝をしてしまった
うとうとしていると携帯電話がけたたましく鳴った
神山は携帯電話にでると
「山ちゃん おはようございます 高橋です」
「どうしたの こんなに早く それに日曜日だよ」
「ごめん 寝ていた?」
「いや 風呂上りさ ところでなに」
「実は写真なんだけど いつ貰えるかな」
「昨日のアウトレットは出来ているよ」
「ほんと ありがとう」
「だけど 話したようにポジだぜ」
「うん 大丈夫」
「どうしたの そんなに急ぐ話しじゃないだろ」
「ところがさ 明日 朝一でプレゼンがはいちゃったんだよ」
「えっ ニーナ・ニーナの他に?」
「そうなんだよ それで急遽写真が必要になってね」 
「それで どうするの?」
「それでね 言いづらいけど10時頃までホテルに居てくれる?」
「どうして?」
「今 田中君がそっちに向かっているんだ」
「なんだ だから早くに電話をしてきたんだ 出かける前に」
「そうなんだ お願いします」
「いいよ 孝ちゃんの頼みだから」
「ごめんね 山ちゃん 埋め合わせするから」
「たかいぞ だってニーナ・ニーナの仕事じゃないもんな」
「うん 分っている 大体社長が忘れていたんだよ」
「分った しかしホテル内に居るからカウンターで呼び出ししてくれ」
「了解です 田中君にメールを出しておく」






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