2012年8月6日月曜日

若葉 4 - 11 Vol. 2



「しかし大変だね 皆振り回されたね 僕も仲間か」
「そうだよ ほんと 昨日筒井さんとのゴルフで
自宅に帰ったら忘れていて今朝早く起こされたわけよ
昨日 話をしておいてくれればこんなに慌てないのに」 
「まあ 内藤さんらしいね」
「ほんと では」
「あっ 僕が撮影したプリントも渡すよ」
「えっ それはありがたいです お願いします」
神山が電話を切ったときにドアのノックがあった

由香里が温泉大浴場から戻ってきたので
「今 由香里が大浴場に行っている間に大変な事が起きた」
由香里は丹前を脱ぎタオルで髪を拭きながら
「どうされたの?」
神山は沼津港に桜川が同伴し案内してくれる事とアルタが
ニーナ・ニーナ以外で写真が必要になり
これから取りに来る事を伝えた
「両方とも凄いわね だけど桜川さん どうしてかしら」
「それは聞いていない 由香里から聞いてよ」
「だけど 二人きりじゃないからつまらないな」
「そんな事言うなよ 折角案内してくれるんだから」
「そうね 由香里じゃなくて 斎藤さんよ」
「うん 分った」
「アルタの社長ものんびりしているわね」
「だけど 昨日の内に現像しておいて良かったね」
「ほんとね これで佐藤部長も助かるでしょ」
「由香里のおかげだよ」
「昨日 三脚を買わなければ現像していないですもんね」
「そうだね 後は幸ちゃんに渡すだけだ」
「何時頃こちらに来るの?」
「10時頃と言っていたよ」
「そうしたら 朝食のときカウンターに預けておけば」
「そうだね そうしよう 電話するよ」
神山は高橋に電話をしカウンターに預けておく事を伝えた
「了解です 幸に連絡します ご迷惑をお掛けします」
「いや 探している時間ももったいないでしょ」
「そうです 了解しました」
電話を切ると由香里に
「ではゆっくりと朝食が出来るね」
「行きますか 忘れないでね写真とフィルム」
「了解です 由香里殿」
神山が敬礼をして言うとくすっと笑った
由香里と神山は丹前を羽織ってレストランに向かった
途中4階のカウンターによってフイルムと写真を預けた
3階のレストランはバイキング専用になっていて
和食、洋食、中華の朝食は2階のレストランになっていた
夕食までに明日の朝食メニューを聞き準備していたが
朝になると別メニューが欲しくなる客の為に多めに作ってあった
レストラン入り口で部屋番号を聞かれたので
「ええと S-720です」
受付が宿泊者名簿を確認し
「神山様ですね 只今ご案内しますのでお待ちください」
受付の女性がウエイトレスを呼び指示をした
「どうぞこちらです 何かご注文がございましたらお呼びください」
神山たちが座ったのは窓際で 日本庭園が良く見える所だった
「すみませんが 地ビールを2本下さい」
「はい かいこまりました」
由香里と神山はトレーに取り皿をのせ料理されたものを見た
神山は一通り見てみてビールのつまみになるような物を選んだ
席に戻り神山の選んだ料理をみて由香里は
「主食はどうするのですか 食べないといけないでしょ」
「これだけあると 迷うよね 後で選びますよ」 
実際 種類が豊富で選びすぎ残す客も居るほどだった
神山はグラスにビールを注ぎ乾杯をした
窓から見える日本庭園が都会の慌しい生活を忘れさせた
神山は現実から逃避したとき誰が付いて来るか考えた
由香里か 祥子か 果たして桜川か
しかしそんな思いも払拭された
「神山様 カウンターにアルタの高橋様がお見えになっていますが」
「えっ、、、どうしよう、、、」
「合って来たらどうですか 折角だから」
「そうしようか」
「そのほうが いいですよ」
「では 行って来ます すぐに戻るよ」
「はい いってらっしゃい」
神山は エスカレーターでカウンターへ向かった
田中は神山を見つけると手を振りお辞儀した
「神山さん すみません ほんとうに」 
「しかし どうした」
「はい これは少ないですけど今回の謝礼です」
「なんだよ 後で良いのに」 
「社長からのお話で すみません」
神山は田中から茶封筒を受け取り丹前にしまった
「その中には僕が撮影した プリントが入っているよ」 
「ええ 高橋から聞いています」
「これから プレゼンを製作するの?」
「はい まいっています」
「うん 帰り道 気をつけてな」
「ありがとうございます では失礼します」
神山は短い時間だったが現実に引き戻された
レストランに戻ると由香里が寂しそうに庭園を見ていた
「ごめんね」
「早いわね もう終ったの」
「うん 終ったよ これから本当の休みだ」
「そうね お疲れ様でした」
神山が戻ってきたので笑顔が戻った
二人は先ほどのビールを呑みほし新たに注文した
「ねぇ あなた そろそろご飯は食べないの?」
神山は地ビールが美味しいと言ってつまみばかり食べていた 
「うん 何を食べようか迷っています」
「そうしたら お雑炊が美味しいわよ」
神山は由香里の勧める鳥雑炊を食べる事にした
奥行きのある日本庭園を眺めながら雑炊を食べていると
「ねぇ 本当に会社の事を忘れますね」
由香里も現実の世界を忘れたいのか否か 忘れる為に
神山を愛しているのか それとも心底愛しているのか
由香里自身も分らなかった
今は愛している人と時を過ごして幸せだが
果たして現実の世界でも 一緒になれるだろうか不安はあった

神山は食べ終わると時計を見た
「まだ9時をすこしすぎたところだけど どうする」
周りの宿泊客が少しずつ居なくなり神山も食べ終わったので
「出ますか」
「ええ 最後は恥ずかしいですよ」
神山と由香里はレストランを出て 部屋に戻った
部屋に戻るとソファーに腰掛け由香里を呼んだ
「ねえ さっき田中君が謝礼と言って僕に渡したんだよ」
「えっ また謝礼 どうなっているの」
神山は銀行の封筒を由香里に渡した
「これは 由香里が受け取っていいものだよ」
「なんで だって ただ撮影しただけでしょ」
「しかしニーナ・ニーナの仕事以外で使用するからその分でしょ」
由香里は封筒から現金を取り出し 驚いた
「ねぇ あなた受け取れないわ こんな大金」
由香里が神山に見せたのは30万円あった
しかし神山は 由香里が撮影していなければ
ニーナ・ニーナ以外のプレゼンが出来ない事を考えれば安いと思った
「良いじゃない 受け取っておきなよ」
「いやよ こんな大金」
「安いもんだよ アルタにしてみれば」
「だけど なんか怖いわ」
「ビジネスで考えれば安いもんだよ」
「そうしたら フィルムの売買契約書とか有ったほうが、、、」
「そうだね 今夜にでも電話するから受け取っておきなよ」
「それまで あなたが預かっていて」
「うん だけど使っちゃうぞ」
「だって あなたが居なければ無いもんだから いいわよ」
「おいおい うそだよ 預かりますよ」
神山は預かるのが嫌だったので 高橋に電話した
「孝ちゃん 神山です」
「ありがとうございます 先ほど田中君から連絡ありました」
「そこで 相談だが 今いい?」
「うん 大丈夫」
「実は斉藤さんが受け取らないんだよ さっきの謝礼」
「どうして?」
「うん フイルムの売買契約書があれば頂きますと言っている」
「うん 山ちゃん 難しいよ」
「そうか 社長の隠し資産か」
「まあ 多分ね そうしたら山ちゃんが貰った事にし渡せばどう?」
「そうしようか そうしたらいいかもね 一回話してみる」
「しかし 山ちゃんありがとうございます」
「では」
神山は由香里に対し
「このお金は僕からの気持ちとして受け取って欲しい」
「なんで あなたなの」
「うん 結局社長のポケットマネーなんだ」
「分りました あなたを苦しめるのが嫌だから半分頂きますね」
「そんな事言わないで ねっ」
「ううん あなたが居なければ頂けないお金よ だから」
「わかった 半分ずつにしよう」
「ありがとうございます 分ってくださって」
「しかしな お金があっても暇がないよな」
「どうせだったら 書類を書いて頂き100万円ぐらい頂けないかしら」 
「おいおい 過激だよ」
「だって ビジネスでしょ その位でもいいでしょ」
「それは そうだけど しかし出ないでしょ」
「なんで?」
「そこは 内藤社長の政策だからだよ」
「ふ~ん まあ いいか あなたから貰う事にして」
「そうそう そうしなさい」
「なに言っているの 何かの時危ないわよ しっかりして」
どきっとしたが 今に始まった事ではないので
その時はその時と考えた
神山は12時の御殿場待ち合わせにまだ時間があるので
「少し 寝ようか どうする?」
「うん ホテルの周りを散歩できる遊歩道に行きましょうか」
「そうしようか たまには外の空気を吸おう」
由香里は嬉しそうは顔をして
「着替える所を見ちゃだめよ」
「だって もう下着を着けているだろう」
「いいの 後でお預けですよ」
由香里は浴衣を脱ぎ 新しいTシャツを着て
「ねぇ あなたも早くして」
せかされた神山も Gパンを穿きTシャツを新しいのに買えた
「へぇ Gパンも持ってきていたの」
「うん 会社の打ち合わせでは少し抵抗あったからね」
「だけど これにジャケットでも充分お似合いですよ」
「そうか ありがとう」
由香里はカメラを忘れずに部屋を出た

ホテルの周りにある遊歩道はゆっくり歩くと1時間かかった
北と南に分かれているコースを北側へ進んだが
少し歩くと富士の原生林を使った林に入った
由香里は神山の手をしっかりと握り歩いていたが
時々 カメラを手にして風景を撮影していた
丁度中ごろににある人口池にたどり着くと
「すこし そこのベンチで休みましょ」
由香里が急に言い出したので ベンチに座った
ここまで軽い昇り傾斜で知らないうちに体力を消耗したのだろう
「では ここでビールです」
神山が紙袋に入れてきたビールを見て
「よく 気がつくわね お酒は」
「なに それ? まあ呑んでください 地ビールを」
「はい ありがとうございます 頂きます」
ベンチで缶ビールを乾杯し 周りの景色を見ていると
霧が少しずつ発生してきたようで見通しが悪くなってきた
「わぁ 凄いわ 幻想的な写真が撮れるわ」
由香里が嬉しそう立ち上がりカメラを構えシャッターを押した
「ねぇ あなたも撮影してみる」
「うん だけど上手には撮影できないよ きっと」
「そんな事無いわ 昨日の写真も上手よ」
神山は由香里からカメラを受け取り アングルを決め撮影したが
どんな写真が出来るか楽しみと不安だったが 
多分失敗していると思っていた
撮影していると富士の山から霧が流れ濃霧になったため
ホテルの警告アナウンスが響いた
しかし 二人は道しるべが分りやすいので安心していた
神山は由香里を美しいと思い抱き寄せた
「どうしたの 撮影しないで」
「だって 霧の中だと邪魔な物が無いから 美しいよ ほんと」
「じゃあ 普段は美しくないの?」
「そうじゃなくて 廻りが無くなって霧が美しく見せているのさ」
「ほんと」
「すごく美しいよ よし 記念写真だ そこに立って」
由香里は恥ずかしい部分もあったが記念の言葉に従った
霧は視界を50m位にし廻りの世界と切り離した
ファインダーから覗いた由香里はモデルのように美しく
神山はアングルを変え何回もシャッターを押した
「ねぇ あなた 二人の写真を撮りましょ」
「良いけど どうやって」
由香里はベンチにカメラを置いてセルフタイマーで撮影した
それが終るとビールを呑むので
ベンチに腰掛けると由香里がキスをしてきた
神山はキスを合図に下半身が元気になってくるのが分った
「ねぇ 由香里 欲しくなった」
「ほんと 実は私も、、、」
由香里はうつむきながら告白した
神山の手は由香里のGパンを下げ始めた
黒いショーツがあらわになり神山の下半身はさらに元気になった
由香里は後ろ向きになりベンチに手をつくと
神山を受け入れやすい格好になった
神山もGパンとビキニブリーフをさげ肉棒を聳え立たせた
由香里の秘所に手をやるとすでに体液が溢れ出ていて
肉棒はすんなりと挿入する事が出来た
「ねぇ わたしって すけべ?」
「なんで」
神山はゆっくりと動かしながら なぜ今聞いてくるのか考えた
「だって こんな所で SEXするなんて、、、すけべよね」
「そんな事無いよ 僕も欲しいもん」
だからそれに従った由香里はすけべでないと言いたかった
愛している人の欲望に答えるのも愛している証だよと言いたかった
由香里は真意が伝わらなかったのか喘ぎながら
「私って はしたない? 嫌いになった?」
神山は否定するように 腰の動きを段々早くしていった
「あっ だめ ねぇ こ・た・え・て~」
腰の動きは神山だけではなく由香里の腰も早くなった
霧のカーテンが幻想的なSEXを生み出したが
神山はその世界に興奮しすぎたのかすぐに発射してしまった
しかし由香里の腰が動いているので 動きを止めないでいると
「ねぇ だめ ほんと あっ、、、 あなた あっ、、、」
由香里は昇天しそのまま動けなくなってしまった
足を突っ張り 腰は突き出したままで震えていた
神山が抜き出すと
「あっ」
と言い 跪く格好になった 
白いお尻が綺麗だが 下半身をあらわにしたその格好は
小用をしている格好とオーバーラップしてエロティックにも思えた
神山は動けない由香里を抱きかかえ着ている物を引き上げてあげた
「ありがとう 初めてよ 自然の中でSEXするなんて」
「僕も初めてだよ 凄く興奮した ありがとう」
由香里はまだ納まっていない下半身を触り
「だけど ほんとうに元気さんね」
少し笑いながら言うと
「だって 前から言っているように 別な生き物さ」
由香里はまだ元気な肉棒をきれいになめまわし
「はい 綺麗になったわよ 早くしまいなさい」
神山はまだ硬くなっているおちんちんをしまいジッパーをあげた
ホテルに戻る途中でも撮影が出来る場所があればシャッターを押し
時々キスをしながら霧の別世界を楽しんだ

部屋に戻ると11時を過ぎていた
神山が今回の謝礼が予想外の金額になったので
「ねぇ 僕もカメラを買おうかな」
「そうよ 上手だから買いましょう 一杯貰ったし」
「そうしようかな」
神山は仕事で使うことも頭においた
これからどんな現場でも使うことが出来るので買う事に決めた
「そうしたら アルタにも協力してもらうかな このさい」
「う~ん これからの仕事中心なら相談したら」
神山はアルタの高橋に電話した
「高橋です」
「孝ちゃん 神山ですが 今大丈夫?」
「山ちゃん ありがとう フイルムの件ありがとう」
「どういたしまして」
「どうしたの 急に」
「うん これからさ カメラを買おうか迷っているんだけど」
「どうぞ これから撮影の仕事増えるし 買ってよ」
「そう言って貰えると嬉しいな」
「だけどさ 10万円未満の領収書にして
20万でも30万でも良いけど それだけはお願いね」
「分った 分ければ良いね」
「うん それで 今日買うの」
「うん 御殿場にカメラ屋があったから」
「そうしたら 丁度都合が良いよ 買ったら教えて」
「了解です」
神山は由香里にアルタが全面的に協力してくれる事を伝えると
「良かったわね そうしたら全部揃いますね」
「まあ 程ほどに選ぶよ」
「カメラ本体は ニコンにすれば 私と一緒よ」
「そうだね 由香里と同じにすればいいね」
神山と由香里は帰り仕度を終えるとソファーに座り
冷蔵庫からビールを出し由香里を座らせると
「では 由香里 今回はご苦労様 ありがとう」
「いいえ こちらこそありがとうございます」
神山は美味しそうに呑んでいる由香里のバストを触ると
「お願い 気持ちは分るけど やめて」
「どうして いいだろう」
「だって また歩けなくなるから ねぇ」
神山は頷きバストから手を離すとジーンズのジッパーを触った
「何しているの ほんとうに だめぇったら だめぇです」
「だって ショーツの替えはまだあるでしょ」
「何言っているの もう無くなったのよ だからやめて」
神山はまだショーツの替えがあると思い悪戯をしたが
「わかった もう止めるよ ごめんね」
「良かったわ だって おかしいの どんどん出てくるの」
「健康な証拠じゃないか」
「今まで 無いわよ こんなに溢れるほど出てくるの」
神山は由香里を触るのをあきらめ 地ビールを呑んだ
「そうしたら 出ましょうか 仕度は大丈夫ですか」
神山は由香里にそう言うとホテルの電話を取り桜川へ電話した
「こんにちわ 神山様 桜川です」
「こんにちわ 神山ですお世話になりました これから帰ります」
「はい では少々お待ちください すぐにお伺いします」
由香里と神山はソファーで桜川が来るのを待った
ドアがノックされ
「桜川です」
神山はドアを開け桜川を部屋の中に招いた
「神山様 色々とご便宜をはかって頂きましてありがとうございます」
「いえいえ こちらこそありがとうございます」
「お忘れ物は ございませんか?」
「はい」
「では 玄関までお供させて頂きます」
「あっ 忙しいのに」
「いえ 玄関に椿が待っております」
「そんな ねぇ 斉藤さん 恥ずかしいよね」 
「ええ お忙しいのに、、、」
「椿がどうしてもお見送りをさせて頂くと申しております」
「なんか おしりがかゆくなるよ」
由香里と桜川は神山が本当にお尻を触ったので笑った
「では 玄関に行きましょうか」
三人は部屋を出てエレベーターでグランドフロアに着き
吹き抜けガラスの周りにあるエスカレーターで玄関に向かった
「では 桜川さん御殿場でお待ちしています」
桜川は仕事の仮面を剥し普段の顔になり嬉しそうに
「はい 楽しみにしています」
その顔を見た由香里も
「あなたと一緒にお食事が出来ると思うと嬉しいわ」
「ありがとうございます 私も嬉しいです」
エスカレーターが一階の玄関に着くと椿が待っていた
「神山様 今回は私どものお願いで 大変申し訳ございませんでした」
「そんな事無いですよ 食べ物は美味しかったし ねぇ斉藤さん」
「本当に こちらこそご丁寧にさせて頂きまして」
「今 タクシーを呼んでいるのですが 暫くお待ちください」
椿に言われると神山は
「そうしたら 10分位待って頂いて良いですか」
「ええ 構いませんけど 何か?」
「ええ ちょっと忘れ物が」
そう言うと神山はエスカレーターに戻りあがっていった
残された由香里達は
「何を 忘れてきたのかしら」
と 慌てぶりをみて考えていた
神山は3階のショッピングモールで由香里が昨夜見ていた
ブティック「モテリコ」に入った
ウインドーに飾ってあるブレスレットを気に入ったみたいで
欲しいと話していたのを思い出し 店員に
「ウインドーに飾ってある ブレスレットを下さい」
「はい 承知致しましたが こちら陳列品が最後となりますが、、」
「ええ 構いません 至急包んでください」
「それではこちらにお願いします」
ショッピングカードで清算すると
「プレゼント包装をして置いてください 直ぐに戻りますから」
神山は隣がランファンのブティックと思い出し店内に入り
レースの可愛いフリルが付いたシルクのショーツを買った
ブティック「モテリコ」に戻り商品を受け取ると急いで玄関に戻った
「神山様 タクシーが着ました 遅くなって申し訳ございません」
神山と由香里は椿と桜川にお辞儀をしてタクシーに乗った
「何を忘れたのですか?」
神山はシルクのショーツが入った紙袋を手渡した
「あけてごらん きっと気に入ってもらえると思うよ」
「何かしら」
由香里は紙袋の中に包装されたものを丁寧に開けた
中に入っているシルクのショーツをみて驚き
「どうしたの?」
「どうしたのって 買ってきたんだよ」
「だって シルクでしょ それに3枚も 高いでしょ」
「そんなこと言ったって ありがたくない訳?」
「違うの 充分すぎて、、、」
うつむいた由香里に耳打ちをした
「だって 着替えが無いって言われたから 買った」
由香里はかまわず神山の胸に頭を持たせ小声で
「ごめんなさい 私があんなこと言ったから、、、」
「違うよ 何枚有っても良いでしょ 僕の為にさ」
由香里は神山の気持ちが嬉しくて涙ぐんだ
「ほら 元気だそうよ マグロが待っているよ」
神山が由香里を慰めていると御殿場駅前に着いた

目の前にあるカメラ屋に入り目的のカメラを探していると
「このカメラよ 私と一緒 それに安いわ」
由香里に言われニコンF4ボディーを買った
「レンズはとりあえずだったらズームレンズでOKよ」
「それなに?」
「うん難しい話は新幹線でするわね 今はこのレンズで大丈夫よ」
由香里が勧めてくれたズームレンズと同様の物で
ランクアップしたレンズを見つけ尋ねると 
「だって 高いもん 性能は比較にならない位良いですけどね」
「そうしたら このレンズにする」
「そのレンズは私も欲しく買いたいレンズのひとつよ」
「そんなにいいレンズなの?」
「ええ 広角側で明るいレンズは描写に幅が出ていいわよ」
「よし決めた このレンズにする」
「そうね いいレンズだと愛着が湧いてくるし、、、」
「あと 望遠はやはりズームで良いかな」
「望遠ズームも性能が良くなってきているからズームでもOKよ」
「しかし ニコンの純正は高いね」
「ええ 私はトキナーのレンズよ」
神山は結局標準ズーム望遠ズームとマクロレンズ3本を購入し
「由香里のカメラバッグに入れてもらう訳には行かないな」
「ええ カメラバッグも購入したら」
神山はタムラックのカメラバッグを
2泊3日程度の旅行に便利そうな収納が付いたカメラバッグを選んだ
由香里と一緒でリュック式で両手が空くので便利だった
「本格的なカメラマンね 素敵よ」
神山は空箱やレンズケースを捨てカメラバッグの中に収めた
今回カメラで使った金額は48万円にもなった
桜川との食事代などを考え
「ねぇ 由香里 さっきの15万円を貸してくれないか」
「ええいいわよ」
由香里から借りて腕時計を見てみると12時を廻っていた
「さあ そろそろ桜川さんがご到着しますよ」
「あら もうそんな時間 急がないといけないわね」
由香里と神山は店を出て駅に向かって歩いた
すぐにホテルの送迎バスが来て降りてくる人を見ていたが
従業員らしい女性が笑顔で労を労いながら降りてくるが
桜川はその中に入っていなかった
神山は少し心配し 責任者なので早く出られないのかと思っていた
若い従業員達がバス停に並んだり駅舎に吸い込まれたり
人通りが少なくなってきた時に1台のタクシーが近寄ってきた
中から桜川が手を振りながら
「遅くなってすみません」
そう言いながらタクシーから降りてきた
「こんにちわ 遅くなってすみません」
桜川は二人を前に丁寧にお辞儀をした
ホテルの制服と同じような白いブラウスから豊かなバストが覗いた
神山と由香里もお辞儀をし挨拶した
「お休みのところお付き合いさせてすみません」
「いえ こちらこそ神山様とご一緒させて頂いて光栄ですわ」
神山達3人は御殿場線で沼津駅まで電車で行く事になった
日曜日なのに車内は空いていてBOX席を3人一緒に座る事が出来た
神山は駅売店で買ってきたホテルの地ビールを皆に渡し
「それでは お近づきの乾杯」 
桜川も由香里と乾杯をした
女性軍は窓際に座りよく話していたが神山も時々口を挟み
和やかな雰囲気で笑い声が絶えない車中だった
神山が2本目のビールを呑もうとしたときに桜川が
「このビールはどこで買われましたか?」
「御殿場の駅売店ですよ 駆け込んで買いました」
「そうしたら 売れ行きが思わしくないのかしら」
「そんなことは無いですよ これが最後でしたから」
「良かったわ」






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