2014年5月23日金曜日

紫陽花 12 - 57 Vol. 3



「じゃあ スケールモデルが出来たら また連絡ください」
「はい 分かりました また泊まってね」
亜矢子は何時になく 神山の顔を真剣に見ながら話した
神山は亜矢子にタクシー代を渡し 自分もタクシーに乗った
運転手に御殿場総合病院を告げると
「あそこの若先生は そのうちに世界一になりますよ」
「へぇー 先生を知っているの」
「ええ うちのかーちゃんがガンで入院したんだけど
治してくれたんですよ それも最新技術で 凄いですよ」
タクシーの運転手が言うには まだ公表されていない 治療方法で
治療を行うといわれ 最初は躊躇したが 実験結果や副作用などの
説明を受け 金山の治療を信じ受ける事にしたと言う
みごとに治療は成功し 副作用もなく元気になったと話してくれた

病院に着くとBMWに乗り御殿場ICから東名高速に入り渋谷に向かった
銀座の次長室に着いたのは15時少し前だった
「お帰りなさい」
「やあ ただいま お昼は済んだ?」
「ええ 済ませました 土地は如何でしたか?」
「うん 広くて 少し丘になっていて 眺めもいいところだよ」
「よかったわ」
神山は6月の大竹組麻生事件の時にお世話になった先生の土地で
病院も直ぐ傍にあり 帰りのタクシーでは評判のいい先生だと言われた
事など掻い摘んで説明すると 洋子は
「それは良かったわね もう安心して生活できるし」
「そうだね 僕も嬉しいよ 少しだけ力になれて」
神山はもしかしたら ホテルを辞めるかもしれないと言った由紀枝の
言葉を思い出していた
ちょっとだけ複雑な思いで次長席に着き 少し考えていると
電話がなり洋子が取ると
「あなた ニーナ・ニーナの久保チーフからお電話です」
「はい」
「NNの祥子です こんにちわ お忙しいところ申し訳ないのですが
GOLのオープニングの件などで お時間を作って頂けませんか?」
「そうだね じゃ 今夜はどうかな?」
「はい そうしたら 上原の駅前寿司でもいいですか?」
「うん 出来れば浜野さんや安田さんも一緒に参加してもらい
色々な意見を聞きたいと思いますが 如何ですか?」
「、、、、、、 はい 分かりました では7時にお待ちしています」
神山は祥子の話し方が今までと違うので 少し気になった
洋子には参加を控えてもらうか否か考えていると
「ふふふ いいわよ 私は もしかしたらの事を考えているんでしょ」
「うん それに女性って気が付くし」
「まぁ ご自分の女性でしょ でもいいわよ 由貴さんと桃子ちゃんに
これから連絡しておくわね」
「まあ 大丈夫だと思うよ 逆にそんな事すると 由貴や桃子にばれるよ」
「ふふふ もう知っていますよ 貴方に話していないだけよ」
「えっ そっ そうなの、、、」
「私より感度がいいわよ 若いって凄いわね」
「何時から知っているの?」
「ふふふ 知らないわよ もう ご自分で聞いたら」
「あーあ もう 苛めないで欲しいな お願いします」
「上原ショップが出来る時よ あの時に気が付いたんですって」
「へぇー そうなのかぁー」
「だって誤魔化しかたが下手なのよ 同じマンションから出勤しているのに」
「そうかぁー 分かっていたんだぁー あーあ」
神山はみんなに知られていた事が分かり 少しがっかりしたが
それはそれとして それを自分に話さない由貴や桃子の態度に敬服した

「あなた 由貴さんよ」
「神山です」
「ふふふ 今 洋子さんから聞きました 全然気にしていませんよ
それより 桃子ちゃんは今日お休みで今夜は特別参加をしてくれるって
だから 寿司屋でその話が出たら 褒めてあげてね お願いね」
「そうか 先ほど久保さんとの話では 休みの件は出なかったな
うん でも分かりました」
「もう お願いしますよ 桃子ちゃんには私から連絡するわ 大丈夫よ」
「うん ありがとう」
「ねぇ 神山さん いつお泊りしてくれるの 寂しいなぁー」
「うん 今夜は無理だ 時間を作るよ 待っていてね」
「はーい ではお寿司屋さんで」
電話を切ると洋子に
「あーあ 墓穴を掘ったよ もう あーあ」
「ふふふ どうしたの?」
「うん いつお泊りですかって あーあ 時間が欲しいなぁー」
「まぁ 贅沢な悩みね でも そう言われて励みになるでしょ ふふふ」
「洋子 そうしたら祐子とどこかで夕飯でも食べてから帰る?」
「わぁー 嬉しいわ」
「分かった そうしたら 家まで行って そこから何処に行くか、、、」
「そうしたら イタリアンレストラン スパでお食事をしようかしら どう」
「うん そうしたら予約の電話をしておいた方がいいね」
洋子は神山からOKが出たので 予約を入れると総支配人の石原が
「はい お待ちしております」
と答え 洋子は神山に
「良かったわ 予約をして ふふふ ありがとうございます」
神山は洋子に現金10万円を渡そうとすると
「ねえ 軍資金を使わせて もう引き出しに入らないのよ いいでしょ」
神山は頷いて 10万円を洋子に渡し
「これは お小遣いだよ 取っておきなさい」
「はーい ありがとうございまーす」

神山が次長席に戻ると洋子が
「あなた 先ほど本社秘書課から代引きの品物が届いてると言われ
代金を支払い 持って来ました」
「あっ そうか 忘れていた ごめんごめん」
「なあに 金額が高額だったので 秘書課でもどうしたらいいか
悩んでいたみたいよ 電話をしておいた方がいいわ」
「そうか ごめん」
神山は早速中村部長に電話をし 事情を説明した
「ははは 大丈夫ですよ ご安心ください 神山常務の事ですから はい」
「はい ありがとうございます これからは事前に連絡します」
「ええ そうして頂くと ありがたいです」
「では 失礼します」
神山は電話を切ると ダンボール箱を開け桐箱を出した
洋子も何が入っているのか気になり 次長席に来ると
「わぁー 素敵なグラスね」
「うん これがクリスタルグラスの手彫り絵巻さ そうだ 翔を呼んで」
洋子は杉田に電話をして 大至急次長室に来るよう話した

「済みません 今 テツに説明していたので遅くなりました」
「翔 これだ どうだね 素晴らしく綺麗だろ」
杉田は見たことがないグラスの絵巻に驚いて声が出なかった
神山は洋子にビールを出すように指示をすると 洋子が冷蔵庫から
ビールを出しそのグラスに注いだ
「わぁー ビールを入れると 向こう側の絵も見えるんですね凄い わぁー」
「どうだ 翔 気に入ってくれたかな」
「もう 先輩 気に入るなんて もう ありがとうございますの一言です」
「そうか そうしたら翔 これから1時間くらい時間あるかな」
「ええ 大丈夫ですよ でもどうして?」
「これから 内藤さんのところに行く 美佳さんにも見てもらい
それからこの会社に 正式に発注をします いいかな?」
「はい お願いします そうそう先輩 この会社 クリスタル大和って
2年前かなぁー 確かNHKの番組で取り上げられていましたよ
なんでも 一つ一つが手彫りって話していました」
神山は上野店のときに クリスタル大和と話したタイミングが一緒で
その時に口座を作り 取引を始めていればよかったと思った

「じゃあ 洋子 内藤さんに電話をして都合を聞いてくれるかな」
「ふふふ 都合じゃなくて 伺いますでしょ」
神山はこのとき 洋子の言うとおりと思い 翔はなるほどと思った
洋子が確認をすると 美佳も丁度休憩時間に合わせることが出来ると言った
杉田は催事課に戻ると奥村課長に外出を伝え ビルの下で待った
神山は蒼いBMWを駐車場から出すと 杉田と洋子を乗せアルタ本社に
向かった 蒼いBMWに初めて乗った杉田は
「凄く乗り心地がいいですね 最高です」
「ふふふ そうでしょ 翔君も頑張れば 自分で運転できるわよ」
「そうですね いい道しるべを先輩が作ってくれているし 頑張ります」
話していると 直ぐにアルタに着き 杉田が美佳を見つけると洋子が
「美佳さん どんどんと綺麗になっていくわね 羨ましいわ」
「そんな 先輩だって 美しいですよ ほんと 美佳がいつも言っています」
「まぁ お上手なこと 神山に似てきたわね ふふふ」
「おいおい 早く降りてください 車を向こうに置いて来るから」
「はーい 翔君 降りましょ」

2人が車を降り駐車場に止めると 美佳がエレベーターまで案内し
一緒に社長室まで来た
「やあ 山ちゃん 早いですね さあどうぞ」
内藤がソファーを勧めたので 4人が座ると神山は絵巻グラスをだした
「ほぉー 素晴らしい 大したものですね 初めてみました」
神山が持参した缶ビールでビールを注ぐと 向こう側の絵が見え
「うーん 素晴らしい こうすると幻想的な世界に引き込まれますね」
「ええ この大きさのグラスなので この絵柄が生きていると思います」
「分かりました それではこれで進めましょう
そうそう 肝心な本人達の意見を聞かないといけないですね」
「翔は先ほどOKですが 美佳さんは如何ですか」
美佳は翔の顔を見て
「凄く嬉しいのですが こんなに甘えていいのか迷っています」
「そうですか 山ちゃんどうしましょうか」
「そうですね 甘えられる時は甘えた方がいいと思いますが、、、
例えば 甘えられない時に甘えられるか そう考えると どうだろう
スタートラインをこれからの生活に少しでもプラスの位置において
そこからスタートした方が 何かのときにプラスに働くと思うが」
「そうよ 美佳さん 折角オートモで挙式でしょ 折角だから甘えなさい
これは上司の命令です いいですか」
美佳は杉田の顔を見ると 頷いているので
「ごめんなさい お言葉に甘えさせて頂きます ありがとうございます」
美佳はそこまで言うと 目に涙を浮べ 杉田の胸の中で泣いてしまった
「まぁ 美佳さん 嬉しいのは分かるけれど お仕事よ さあ
もう しっかりしなさい また泣いて内藤社長を困らせると 降格よ」
美佳はこの言葉が効いたのか 杉田の胸から離れくしゃくしゃの顔で
「はい 先輩ごめんなさい 山ちゃんごめんなさい うぇーん」
「美佳 しっかりしろよ もう 泣くなよ でも良かったな」
「うん ぐすぅ ごめんなさい 翔ちゃん 嬉しくて ぐすぅ」
神山と内藤はニコニコと見ていたが洋子が
「さあ お二人は外でお化粧をなおしなさい」
きょとんとしている翔に
「美佳さん一人じゃ可哀想でしょ 付いていてあげなさい ふふふ」
翔と美佳はみんなに挨拶をして部屋を出ると神山は内藤に
「内藤さん ではこれで正式に発注します」
「数はどうされますか」
「ええ 最低120組 最高200組と伝えてありますが
早めに連絡した方が 先方も仕事がしやすいでしょう どうでしょうか」
「そうですね わかりました 私の方も急いで人数を確認します」
「分かりました 私の方も人数を詰めます お忙しいところお願いします」
「ははは 山ちゃんの事だからそうくると思っていましたよ」
「ははは 想定内の事ですね」
「ええ そうです」

「ところで 内藤さん これを御殿場で出しませんか」
神山は2年後のシドニーオリンピックに併せ アレックスジャパンが
世界限定販売をする オリンピックマークの入ったクリスタルグラス
「うちのメリットは?」
「グラスのデザインです」
「うーん そうすると どの位売れるか未知ですね」
「ええ そこで GOLで先行販売するんですよ アレックスだって
利益があり スポーツに関係していれば 販売はしやすいでしょ
それにオリンピックマークの使用権利も獲得しているので
このグラスに使うのも 問題ないはずですよ」
「そうすると このグラスはいくらですか」
「ええ 1客2万円です プラスデザイン料2万円 五輪権利料1万円
アレックス利益2万円 合計7万円で6客42万円を50万円で販売」
「うーん 1000個限定で 2000万円ですかどうでしょう、、、」
「世界限定なので 1万個でどうでしょう そうすれば2億です
アレックスが本腰入れたらすぐに売り切れますよ どうされますか」
「分かりました やりましょう しかし山ちゃん 凄い事考えますね」
「次の冬季五輪がアメリカでしょ そうすればもっと出ますよ
そうそう 販売方法にもひと工夫すれば もっと売れますよ」
「例えば?」
「ええ 各競技ごとにシリアルナンバーを振るんですよ バラで買えば
大変な金額ですよ」
「あっ そうか そうすると大変な事になるね」
「でしょ なので セットはほどほどにして バラに力を入れて
予約販売でもなんでも出来ると思いますよ GOLではその動きを
見るのに丁度いいと思いますよ」
「そうですね 分かりました」
「それにGプロの仕事が出来るじゃないですか」
「うん いいですね 山ちゃん お任せします お願いしますね」
「はい この件は少しの間 オフレコでお願いします」
「はい 了解です ははは しかし凄いな もう付いていけません ははは」
「それでは そろそろ失礼します」
「そうそう 山ちゃん 小田原工場から例のアンケートが戻ってきました」
内藤は野菜缶詰アンケート用紙の詰まった封筒を神山に渡した
「早いですね さすが小田原工場ですね」
「ええ パテントが絡んでいるんでしょ なので大至急って話しました」
「ありがとうございます これでGOLが楽しくなりますよ」
内藤はニコニコしながら 1階の受付まで見送りにくると杉田と美佳が
きちんとお辞儀をして待っていた
「美佳さん よかったね じゃ車を持って来るから」
神山は駐車場から車を出すと 玄関で翔と洋子を乗せアルタを後にした

次長室に戻ると神山はクリスタル大和の社長 大森和一に電話をした
「はい ヤマトの大森ですが」
「先日の神山です こんばんわ」
「ああ 鈴やさんの神山さんですね ありがとうございます
上野店さんから連絡を頂き 臨時口座開設と伺いました」
「それで 例の6客120組の件ですが 正式に発注させて頂きます
最終数字も早急に詰めて ご連絡したいと思っています」
「ありがとうございます ところで神山さま 実はまだ試作段階なんですが
あの6客中に 機械彫りがあるんですが 分かりましたか」
「いいえ 全然分からないですよ でも そうすると手彫りの良さとか
貴重さなどが薄れるんではないですか?」
「ええ 仰られるとおりですが 機械も進歩していまして 手彫りのように
彫る事が出来るようになりました 逆に機械だとまだまだ修正を
していかなければ 難しいところがあるんですが どうでしょうか
今度 お時間があるときに 会社を見て頂けませんか」
「そうですね 私の方もちょっとお話があるんですよ そうそう
お伺いしたいんですが 百貨店で入っている所は他にありますか?」
「いいえ 鈴やさんだけですよ この不況でちょっと難しいですね」
「そうですか 分かりました そうしたら こちらからご連絡します」
「はい お待ちしています 失礼します」

神山は大森との電話を終えると時計を覗いた
「洋子 そろそろ出ようか」
「そうですね では着替えをします」
洋子が着替えている間に祐子に電話をすると
「はい 分かりました 直ぐに出られるように支度をします
それから タクシーの手配もしておきますね」
「そうだね ありがとう では 10分くらいでいきます」
電話を切ると洋子の支度が終わり 次長室を出た
赤坂のスタジオに戻ると 祐子が迎えてくれた
神山は2階の主賓室で着替えると GOLのNNブースのデザインを
鞄に入れ スタジオに下りると丁度タクシーが来た

「運転手さん 青山3丁目で二人降り 僕は代々木上原までお願いします」
「はい 分かりました 交差点の少し手前で止めますね」
洋子と祐子は頷き 食後のショッピングやカクテルバーの話で盛り上がり
神山は一人蚊帳の外だった
青山3丁目で洋子と祐子が降りると 神山は洋子に
「じゃ 祐子を頼みましたよ」
「はーい 分かりました」
「祐子 今夜は分からないから 先に寝ていなさい」
「はーい ごゆっくりどうぞ 行ってらっしゃい」
タクシーが出ると 洋子と祐子は手を振って見送ってくれた
代々木上原の駅前に着くと タクシーを降りて駅前寿司に入った
時間はまだ7時前なので 祥子は着ていなかったが桃子が着ていた
奥の座敷から桃子が手を振り合図をしてきたので
「やあ こんばんわ 今夜はありがとう 助かるよ」
「ふふふ もう 突然なんだから 驚くわ」
「ごめんごめん でも ほら 若い人たちの意見も聞きたくてさ」
「またまた 顔を見たかったんでしょ もう 分かっているんだぁー」
「参ったなぁー ところで 調子はどう」
「絶好調よー 次回は優勝を争うわ 絶対に 真っ直ぐに飛ぶし
アイアンはほぼ狙い通りのところに落とせるようになったわ」
「おいおい 凄いなぁー もうこれ以上上達すると 追い越されるよ」
二人で笑っていると 女将がおつまみの鮮魚の盛り合わせやビールを
持って来てくれた
「女将 あと10分くらいで もう2名来ます お願いね」
「あいよー そうそう 美味しい照り焼きがあるけれど どうする?」
「うーん みんなが揃ってからでいいよ そうだ 10分したら焼いてね」
「あいよ 10分したら4つでいいかい」
「ええ 人数分焼いてください」
やり取りを聞いていた桃子が
「神山さんて 良く気が付くのね 改めて感心しました ふふふ」
桃子は神山の顔をまじまじ見つめながら 微笑んだ
「おいおい いつもそのつもりだけどな でも褒められたんだからいいか」
「そうよ いいでしょ こんなピチピチに寂しい思いさせて もう」
「わかった ごめんごめん そろそろ元気になったよ 大丈夫さ」
桃子は神山が元気と言うと 顔を少しピンクに染めて俯いた
「こらぁー 自分で言い出しておいて でもごめんね 時間を作るよ」
「ほんと 嬉しいわ でもね 今日からレディースディーなのよ 残念ね」
「そうか 分かった じゃその後だね」
「祐子さんと一緒でもいいよ 全然気にしていないし 楽しいもん」
「分かった 時間を作ります」

二人の約束が成立した時に 祥子と由貴が店に入ってきた
桃子が直ぐに気が付き由貴に手を振ると 由貴も合図に答えた
「やあ こんばんわ 先に頂いています」
「ごめんなさい お忙しいところ 時間を作っていただいて」
「そんな事はないよ これもお仕事ですからね 僕にとっては大事な時間さ」
祥子は少し躊躇し
「でも 良かったわ 改めてGOLのことを話せるし よかった」
祥子と由貴が落ち着いたところで 女将がビールとおつまみを運んだ
「ではGOL成功を祈願して かんぱーい」
みんなでジョッキをカチンと合わせると祥子が
「それで 早速で申し訳ないのですが メンズをどの様に位置づけし
どの様に展開するか 全然検討が付かないんですよ
あと ブースデザインは先日の打ち合わせで拝見しましたが
商品展開方法など ランニングを考えて行きたいと思っています」
神山は祥子がこの時期からGOLの事を考えてくれている事に
嬉しく思い 出会ったときの祥子を思い出した

「メンズはあくまでも御殿場発進のデザインで 全国展開の様子見と
位置づけする事は 知っていると思います ある部分アンテナです なので
婦人服との関連付けは考えなくてもいいと思います どうだろう浜野さん」
「はい 私も初めての事なので はっきりは分からないのですが
商品構成が全然違うステージなので 無理やり関連付けさせるより
見せていく部分で 例えば小物などで 雰囲気を醸し出す方法とか
逆に アンバランスな商品群を同じステージで展開しても面白いと思います」
「ええ 私も由貴先輩が話したように メンズがどのような形で
出来上がってくるか分からないじゃないですか だったら無理やり
同じステージで見せていかなくてもいいと思いますよ」
「そうだ 浜野さん メンズは僕のファッションが基本になるよ どうかな」
祥子は事前に知っているので クスクス笑い神山の手を取り立ち上がると
「ねえ どうかしら 似合っているかしら ふふふ」
神山以上に由貴と桃子は驚いていると 祥子は更に腕を組み
「こんな感じよ どう 似合っている?」
神山は完全に何もいえない状態だったが 由貴が落ち着いて
「神山さん マネキンの使い方で大丈夫だと思います
例えば 顔のメイクがないものや そうもっとシンプルに 目と鼻がない
シンプルなボディーなんかだと イメージが沸いて来ますよね」
「そうそう 変にメイクや顔の形があるとイメージが 固定されるでしょ
でも 何も無いとイメージが膨らんで ステージの違う商品でも
同じステージで展開しても全然 可笑しくないですよ 大丈夫です」
神山は漸く心に余裕が出来 席に座ると
「久保さん オープニングは僕達が 精一杯演出します しかし
ランニングについては まだなにも決まっていないんです しかし
イベント関係や 各ブースの集客プランについてはGプロで行います
そこで ディスプレイやVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は
まだ はっきりと決まっていません なので今後の課題となります
当然 婦人服の新作とメンズの新作を展開しますが 大規模な構想だと
当然予算が絡んできます そこだけですね」
「そうすると 展開するには 私たちの力では限られた演出しかなく
ランニングを考えていくと 少し無理が出てきます そこで提案ですが
神山さんがポールに掛け合って頂き ランニングの予算捻出を
お願い出来ませんか そうすれば安心して 計画する事が出来ます」
神山は暫く考えたが 祥子のいう通りなので
「分かりました メンズアドバイザーと言う立場とGOLデザイナーと言う
ところで 経費の捻出を相談します 最悪はNNジャパンになり
筒井さんにも報告させていただく事になります 
でも 大丈夫ですよ ポールは分かってくれますよ」
神山の話を聞いた ニーナ・ニーナの面々は一安心した

話が落ち着くと女将が運んできてくれた照り焼きなどを食べたりし
ビールも呑むと日本酒を頼んだりして 和やかに話が進んだ
由貴も桃子もGOLに対し積極的に意見や提案が出され 神山は
デザインに書き込みをしていくと 参考になる事案ばかりだった
おつまみや巻物を食べると由貴が桃子に
「桃子 そろそろ帰ろうよ 後はチーフと神山さんに任せましょう」
「はい そうですね 神山さん ご馳走様でした」
「いやぁー こちらこそ 貴重な意見をありがとう 助かったよ
そうそう もう遅い時間だから これで帰りなさい」
神山は二人に2万円ずつ渡し
「残業代少ないけど 気をつけて 帰ってくださいね ごめんね」
「わぁー ご馳走になって 残業代まで頂いて ありがとうございます」
由貴と桃子は神山と祥子にお辞儀をして お店を出て行った
「ねぇ あなた お部屋に来てくださる」
神山は一瞬考えたが
「うん いいよ」
神山と祥子は駅前寿司屋を出ると祥子のマンションに向かったが
以前のように楽しい会話がなく 神山も祥子も暗い道を歩くだけだった
神山は歩きながら その壁を取り除こうと思い考えていたが 足取りも重く
祥子は祥子でその空気を打ち破ろうと考えていたが 出来ずに
二人は言葉を交わすことなく 祥子のマンションに着いた

「ごめんなさい 私 寂しかったの」
「そうか 僕も祥子が自分から離れていった事が凄く寂しかったよ」
祥子はベッドの中で神山に充分に愛された後 少しずつ話してきた
神山と連絡を取れなくなったのは 別れた夫(黒石)がしつこく迫ってきて
自分一人で解決できず 黒石の当時の上司に相談にのってもらった
その上司は小島真人と言い 黒石と結婚することに反対をしていた
「なんで 僕に前の旦那の事を話してくれなかったの
祥子の悪いところだよ 自分で溜め込んで、、、」
「ええ、、、ごめんなさい」
「それで、、、」
「ええ 黒石の話は結局は財産目当ての話なんです それで 当時上司で
良く相談していた小島さんに 話したら 僕が話してあげると言われ
お任せしたんです ごめんなさい」
神山は祥子の髪の毛を弄りながら聞いていた
「最初は親切に私の悩みを聞いてくれていたの でも そのうちに
だんだんと 彼のことが私の中に入ってきたのよ ごめんなさい
私 寂しかったの だから、、、 ごめんなさい、、、」
神山は祥子と小島の交わりの事を聞きたくなかったが
「うん それで」
「ええ 貴方と会えない寂しさを小島さんに求めました ごめんなさい」
「でも いまさらだよね 今 経緯を話されても納得できないし
逆に 自分だったらそんなことしたら どうなるか、、、寂しいね」
「ごめんなさい」
「で 今も その小島って男と付き合っているの」
「、、、、、、」
「そうか、、、これからどうする」
「、、、、、、」
「まあ 僕は祥子次第だけど」
「、、、だけど 貴方は一杯女性に囲まれているし、、、」
「なんだよ」
「だって 洋子さんだっているし 私なんか必要ないでしょ、、、」
「なんだ その言い方 随分だね
はっきり言わせて貰うよ 仕事とプライベートは区別しています
それに 連絡をしなくなったのは 祥子からだろ
変な言いがかりは やめて欲しいな」
「ごめんなさい、、、、、、」
「それで その小島って幾つなの」
「ええ 52歳です」
「今も付き合っているんだろ」
「ううん それがね 浮気がばれて 逢っていないわ」
「ふーん」
「ほんとよ 横浜の本牧に住んでいるの それで小島さんは婿養子なのよ
財産は凄いわ 小高い丘全部小島さんの土地で 驚いたわ」
「へぇー じゃ 奥さんと別れられないんだ ふーん」
「ねえ 戻ってきて お願い、、、」
「祥子 言っておくが 都合が良すぎるよ いくらなんでも」
「分かっているわ 恥を承知でお願いしているの ねえ」

神山は祥子の寂しい部分を覗いたような気がして このまま泊まるか否か
少し考えていたが 余りにも自己中心的な考えに付いて行けず
「祥子 悪いけれど 今夜は帰らせてもらうよ」
祥子は結果を予測していたのか 以外にも明るい顔で
「そうね ごめんなさい お仕事にも影響するし GOLもあるし
私 あなたの事 待っています 今度こそ本気よ ねっ」
神山は明るくなった祥子の顔を見て少し安心し 帰り支度を始めた
1階のエントランスホールで祥子が
「GOLを成功させましょうね お願いします」
祥子は深々とお辞儀をすると 神山に抱きつきキスをした
二人だけの空間 祥子はこのまま時間が止まって欲しいと思ったが
「さあ お仕事お仕事 ふふふ おやすみなさい アドバイザー殿」
神山も祥子の事を思い 
「じゃ おやすみ」
大きなガラス戸が開くと 1回だけ振り向き祥子に手を振り大通りに出た
タクシーを拾い 赤坂のスタジオに戻った







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2014年5月18日日曜日

紫陽花 12 - 57 Vol. 2



食事が終わりに近づくと権田が茶封筒をだし神山に
「山ちゃん これは我が社の株券だ 私からの気持ちだ 
受け取ってください 名義は本日付けで変更してある」
「はい ありがとうございます 大切にいたします」
「それから田所さん これは貴女にだ どうぞ」
洋子にも茶封筒が渡され 洋子もお辞儀をして挨拶をした
「ありがとうございます」
神山はそろそろ引き上げ時と察し 女将に
「女将 こちらの分を纏めて欲しいのと しめ鯖だけどつまみと
握って貰って お土産にしてください」
女将が神山に
「あちらの分はどうされますか」
「ああ 一緒でいいですよ 纏めてください お願いします」
時田と権田は神山がNNの分まで持つのが分からなかったが 洋子が
「常務はNN東京支店のメンズアドバイザーに就任されました
なので 筒井さんと会社名こそ違いますが 同じNNの仲間です」
洋子は神山がニーナ・ニーナのアドバイザー就任の経緯を掻い摘んで
説明すると 時田や権田 前田や秋山は驚いていた
「ほー 神山さん 素晴らしいですね 私もモーガン氏とは
2回ほどしかお会いしていないが そうですか 頑張ってください」
洋子が更に支店長直轄職と言うと権田は
「へぇー そうすると 世界でトップ10に入る訳ですね へぇー」
権田は改めて神山の才能を褒め称えた

本社ビルで権田や時田と別れ 次長室に戻った神山は株券を調べた
「洋子 10万株だよ 凄いよ」
「私も2万株あるわ 凄いわね」
「うん 持っている人は 持っているんだね」
「ええ そうね だから鈴や食品のブースにも私財を出せたんでしょ」
神山が次長席に戻り 株券を鍵のかかる引き出しに入れると電話がなった
洋子が取ると
「あなた 亜矢子さんから電話です」
神山は自分の席に電話を廻して貰うと
「神山です ご無沙汰しています」
「ほんと 全然連絡ないし 寂しいわよ」
「まあまあ ちょっとGOLで忙しくて ごめんなさい」
「ふふふ ねえ 今夕ですが 例の不動産屋さんと会うんですが
よかったら 立ち会って頂けないかしら」
「うん いいよ それで何処なの 場所は」
「ええ 御殿場駅前のお寿司屋さん あそこよ」
「ああ 了解です それで明日は」
「ええ 明日は10時から土地を見て 良かったら契約するわ
だから 明日も立ち会って頂きたいのよ」
「うん 分かった そうすると 土地の購入だけで 建物はまだなんだ」
「ええ 建物は2,3プランを持って来ると言っていたわ」
「分かった 何時に寿司屋?」
「ええ 4時半に離れですって」
「そうか 分かった」
「ふふふ 由紀枝さんと逢いたいでしょ」
「しかし 亜矢子の個人的なことだから 不味いよ それより
宿泊先は手配したの?」
「ううん 貴方に任せるわ 但し 自分のホテルは嫌よ そうそう
素敵なコートありがとうございます ブーツやバッグまでも」
「いえいえ 気に入ってもらい良かったよ
それでは遅刻をしないように伺います では」
「はい お待ちしています」

神山は洋子に亜矢子との事を伝えると
「へぇー 遂に亜矢子御殿かぁー 凄いわね」
「まあ 上物はせいぜい 1億だね それ以上かけても贅沢だよ」
「そうね お母様の事を第一に考えないといけないし」
神山はもしかして 家が建つのを機会にホテルの仕事を
引退するかも知れないと思った
ソファーで寛ぐと 今夜の宿を決めかねていた
「ふふふ カトリアーナに会って来たらどう、、、」
「うーん それもそうだね、、、でも明日がきついな 近い所がいいな」
神山はカトリアーナのことも考えたが 強羅に泊まる事にした
早速 強羅にあるザ ホテル 強羅へ電話すると部屋を予約できた
神山は祐子に電話をして 今夜は帰れない事を伝えた
「じゃ そろそろ時間なので これで失礼するよ
洋子も切り上げて 明日はゆっくりでいいよ」
「はーい そうそう アレックスJPの軍資金はどうされますか?」
「うん 近いうちに行きます 電話があったらそのように伝えてくれる」
「はい 行ってらっしゃい」
神山は蒼いBMWに乗ると高速に入る前に ガソリンを入れた
首都高から東名高速に入り 御殿場ICまでそんなに時間は掛からなかった

御殿場駅前寿司の暖簾をくぐると 女将が
「離れで お待ち兼ねですよ 今日は何を食べるの」
「うーん ちょっと打ち合わせだから、、、不動産屋は来ているの」
「まだよ 不動産屋はいつも時間に来るから もう直だと思うわ」
「じゃ 先に離れに行きます」
女将に 案内され離れの部屋に入ると 亜矢子がお茶を飲んでいた
「まあ 早い事 ふふふ」
「うん 高速が空いていたからね」
女将が下がると 亜矢子と神山は軽くキスをしたが
「ねえ もう駄目よ これ以上は 分かっているでしょ ふふふ」
神山は仕方なく 亜矢子の隣に座ると
「ねえ ビールでも呑もうか 喉が渇いたな」
「運転は」
「うん 30分も寝れば大丈夫さ」
神山は電話で女将に ビールを注文した
女将がビールと鮮魚のおつまみを運んできて 暫くすると不動産屋が来た
不動産屋の社長は由紀枝のマンション紹介のときを侘び 話が進んだ
亜矢子に紹介された土地は ホテルとは離れていて御殿場駅の東側の場所で
近くに癌治療に精通した病院があるというところだった
「そうすると 県の予定では長泉町に県立ガンセンターが出来るわけですね」
「ええ ですから 桜川様が勤務される ホテルより病院に近い方が
いいと思いますし ここにも腕のいい先生がいらっしゃいます」
「どうですか 桜川さん」
「ええ こちらの方が 普段の生活に不便は感じないわね うん」
「うん そうしたら 明日にでも行きましょう 明日は現場でいいですか」
「ええ この地図で間違いございませんので お願いします」

弟の建築会社社長が建物のプランを提示した
亜矢子と神山が眺めていると 年寄りの生活空間と亜矢子の生活空間を
ある部分融合させ ある部分では切り離したプランだった
例えば庭については 母親の部屋からは 庭に出るのに電動式の椅子が
庭に移動するよう設計され 亜矢子の部屋からは その移動を制御できる
システムになっていた
母親の寝室には 病院が管理できるカメラやマイクなどが設置される予定で
神山もここまで 親身に考えてくれる社長の弟に敬服した
「では 建造物のプランは検討させて頂きます いいね桜川さん」
「ええ 私も大変喜んでいますよ ありがとうございます」
「桜川さん 神山さん 本日はありがとうございます
では 明日10時に現場でお待ちしています」
不動産屋が部屋から出て行くと 女将が部屋に来て
「神山さん 不動産屋が嬉しそうに出て行ったよ よかったね」
「まあ 彼女が気に入ってくれれば 問題ないですよ」
「あの土地は広すぎて 買い手がつかなかったんだよ
でも 直ぐ傍に 腕のいい先生がいて いい場所だよ よかったね」
神山は女将に30分程眠る事を伝え 奥の部屋に用意された床に横になると
「亜矢子 30分したら起こしてください」
亜矢子は頷き 神山の頬にキスをすると 座卓で土地の図面を見ていた

「さあ スッキリした ありがとう」
「どういたしまして」
神山は亜矢子に起こされると 軽くキスをし帰り支度をした
亜矢子も座卓に広げていた図面をたたみバッグに仕舞うと
「明日が楽しみです 腕のいい先生が直ぐ傍なら 安心できるわ」
「うん 僕もそう思うよ まずは土地を見てからだね」
神山は離れを出ると 女将に挨拶をしてお店を出た
御殿場ICを通り抜け 国道138号線を南下すると乙女峠のトンネルが
あり 抜けると直ぐに箱根だった
仙石原を右にみて 強羅にあるザ ホテル 強羅についた
「神山様 お待ちしていました いらっしゃいませ」
神山がTJカードをフロントに見せると 受付嬢がにこやかに挨拶した
フロント嬢が最上階のスイートを案内し 部屋に入ると亜矢子が
「わぁー 素敵な眺めね うちとは全然違うわね」
「うん 山の中だけど 空気は最高だし 見晴らしがいいね」
「ええ ねえ 遠くに見える海は相模湾なの」
「うん 相模湾だよ テラスで眺めるともっと良く見えるよ
露天風呂でゆっくりしながら 眺めようよ」
神山は亜矢子に露天風呂を勧めると 彼女は目をうっとりさせキスをした
「じゃ 入ろうか」
そう言うと着ている物を脱ぐと 亜矢子が丁寧に畳んだりハンガーに掛けた
神山が冷蔵庫から缶ビールを2つ取り出し 露天風呂に入り暫くすると
亜矢子がタオルで前を隠し 体を流した
「ねえ あなた 久しぶりね」
「そうだね ゴルフの時以来だね ごめんね」
「ふふふ いいのよ」
亜矢子は神山の隣に座ると 頭を神山の肩に預け 景色を見ていた 
夕焼けで赤く染まった雲が 幻想的な空間を演出していた
神山も亜矢子も無言でビールを呑みながら 空間の芸術を楽しんでいると
山肌が漆黒色になり 民家の照明が蛍のように可愛らしく輝き始めた

露天風呂を照らす採光が 亜矢子の肌を怪しく浮き上がらせると神山は
「亜矢子 今夜は特別に美しいよ 輝いている」
「ふふふ もう私駄目なの でもお食事をしてからにしましょうね」
神山は普段と違う亜矢子に少し戸惑ったが 余り考えなかった
今までの亜矢子なら 露天風呂に入ると自分から積極的に求めたり
快楽を楽しんだと思った
しかし 今夜の亜矢子は神山といる事を楽しみ SEXは二の次のようで
二人が過ごす時間を大切にしようとしていた
亜矢子自身 すべすべした肌を温泉でより滑らかになるよう
優しく撫でたり 景色を楽しみ会話する事に時間を割いた
亜矢子が神山の背中を洗い 神山が亜矢子の背中を洗うと
「お願いだから 触らないでね ふふふ」
神山は頷くと それ以上彼女の体を触る事を止めた
露天風呂から出ると 亜矢子と神山は浴衣を着て亜矢子が
「ねえ お食事は何処にするの?」
「うん ステーキハウスはどう 美味しいよ」
「わぁー それだったら 行きましょう うちより美味しい?」
「うーん 難しいね お肉の仕入れで変わるし」
「じゃ コックの腕は同じくらいなんだ」
「うん でも 亜矢子のホテルの方が上だよ」
神山は由紀枝や洋子ときた時の事を 掻い摘んで説明した
「へぇー 由紀枝さん そんな大胆発言したんだ」
「うん 僕も驚いたよ でも結局美味しいステーキを頂けました」
「ふふふ 良かったわね では そこで頂きましょうよ」

亜矢子は神山と腕を組んで ステーキハウスに着くと案内嬢が
「神山さま こちらです どうぞ」
強羅を見渡せる眺めのいい窓際まで案内すると
「神山さま 美味しいお肉がございます 生をご用意できますが、、、」
「おお ありがとう ではお願いします でも なぜそこまで、、、」
案内嬢はニコニコしながら 神山をみて
「はい お客様のご注文を覚えるのが 私たちのお仕事です」
神山と亜矢子は頷き
「では 美味しいお肉を頂きます」
案内嬢は深くお辞儀をすると ウエイトレスに注文を伝え
もう一度 神山と亜矢子に対して お辞儀をして受付に戻った
暫くすると 生ビールと牛のたたきが運ばれ 口にした亜矢子は
「ほんと 美味しいわね」
「よかった 亜矢子に褒めてもらって」
「お肉が美味しいのと お醤油の味がうちと違って新鮮よ」
「そうだね そう言われれば タレの味がちょっと違うね」
「多分 タレ用に作ったんじゃないかしら ふふふ」
「うん そうかもしれないね」

二人が美味しく食べていると 赤ワインや魚介類 野菜を焼いたものが
運ばれ 亜矢子は神山の顔を見つめながら味を堪能した
ステーキを食べると 亜矢子は
「貴方が言うように 上手に焼いているわね 美味しいわよ」
「うん よかった」
最後のデザートが2品来て神山が驚いていると ウエイトレスが小声で
「TJのお客様 限定です」
可愛らしい笑顔で答えた
神山は周りの客に気づかれないよう見てみると なるほど
他のテーブルには デザートが1品しか出されていなかった
「あなた 凄いわね TJカードって」
「うん ほんと助かっています」
「うちでも差別化をしようかしら 提案してみるわね」
「そうだね いい事は真似した方がいいよ 限度があるけれどね」
「そうね 早速 椿に話してみるわ」

食後 部屋に戻ると亜矢子から神山に抱きついてきた
亜矢子自身 我慢していた欲望が一気に溢れ出て
「あなた お風呂に入る前に抱いてください」
自ら跪き神山のおちんちんをしゃぶると 目を潤ませ唇を動かした
頬や耳をピンクに染め 神山が大きくなるよう両手も使い始め
「本当に久しぶり ふふふ」
亜矢子は自分の性が大きくなるのを確認しながら愛撫していると神山が
「今夜の亜矢子は普段と違う どうしたの?」
「ふふふ 我慢した分 一杯 愛したいのよ」
神山は無言で頷くと 亜矢子を布団に寝かせ抱き寄せ激しいキスをし
唇を重ねたり舌でお互いの舌を探り絡ませ激しく答えた
亜矢子はキスをしながら 神山の肉棒を触りしごき
空いている手で 浴衣の紐を解き 神山の浴衣も同じようにした
神山は開かれた浴衣の中から 見事な形の良い乳房が現れると
キスを止め 唇で乳首を捕まえると舌先で転がし愛撫し
片手でもう片方の乳首を柔らかくつまみ始めた
空いている手で 亜矢子の秘所を探ると 粘り気のある体液が出ていて
クリトリスの愛撫は滑らかになり 亜矢子も気持ちよかった
暫く愛撫を続けた神山は亜矢子に
「亜矢子 ほら足を上げてごらん そう もっと広げて」
亜矢子がV字開脚をすると 神山の舌先は秘所の愛撫をした
「ああぁー 気持ちがいいわ もうそれだけで行きそうよ ああぁー」
亜矢子は 布団の傍にある姿見に 自分の下半身に神山が愛撫している
格好が映っているのを見ると 余計に気分が高まり腰を動かすようになった
神山が秘所から顔を離し 中指を小さな穴に入れると
亜矢子は腰を激しく振りながら
「ねえ 本物が欲しいわ お願い いれてぇー」
神山は頷くと 亜矢子の足をM字型にし 
ヴァギナにゆっくりと肉棒を挿入し 少しずつピストン運動を早めた
「あっー 待っていたの ああっー いいわぁー」
下になっている亜矢子も腰を動かし 肉棒をヴァギナの奥まで誘い込んだ
「亜矢子 凄く気持ちがいいよ 僕も出そうだ」
「きてぇー あっ いいわぁー ああぁー ああぁー」
神山は射精を必死に堪えたが 我慢できずに発射してしまった
「ああぁー きているわぁー 抜かないでねぇー」
亜矢子も快楽の頂点に行くと 体を反らし果ててしまいぐったりした

神山が肉棒を抜かないでいると 膣の中が動き始め
「亜矢子 動き始めたぞ ああぁー」
「ふふふ 気持ちいいわぁー ああぁー いいわぁー」
神山は体位を色々と変えると 亜矢子と神山は気持ちがいいのか何回も
果ててしまい 二人とも布団の上で動かなかった
「あーぁ 本当に気持ちよかったわ もう 我慢していたんだから」
「ごめんごめん 僕も久しぶりに気持ちよかったよ」
暫くお互いの体を弄っていると 神山のおちんちんが大きくなったので
「もう 駄目よ これ以上は壊れるわ お願いだから触らないでね」
そう言うと 布団から立ち上がり 冷蔵庫から缶ビールを取り出し 
2人のグラスに注ぎ
「ねえ あなた こちらに来て 一緒に呑みましょうよ ふふふ」
神山は浴衣を羽織り 亜矢子の浴衣を持ち立ち上がると
「亜矢子 さあ羽織って」
そう言いながら 亜矢子の体に浴衣を着せた
亜矢子は久しぶりのSEXと 神山と逢えた事が嬉しく
「時間が止まってくれると いいのになぁー」
「ははは もう 子供みたいな事を言って 困らせないでください」
「だって ほんとだもーん ふふふ」
ビールを呑み干すと亜矢子が冷蔵庫から缶ビールを出してきた
グラスに注ぎながら
「明日の土地だけれど 良かったら購入しようかな、、、」
「うん 敷地が広いと 何でも出来るし そうした方がいいよ
それに 腕利きの先生が傍にいるなら 条件は最高だと思うよ」
「そうね お買い物がどの位便利か そこら辺ね」
「そうだね ティッシュを買い求めるのに車で20分は頂けないしね」
二人は明日見学する土地の話で 盛り上がり亜矢子が
「ねえ もう一度露天風呂に入りましょうよ」
神山は亜矢子の誘いで 露天風呂に入ると再び交わり
「ほんと元気なんだから もう駄目よ あそこがジンジンしているわ」
亜矢子はそう言いながらも 肉棒を受付て何回も果て 神山も果てた
布団に入ると 時間が早かったが 直ぐに目をつぶり寝入った


7月2日 木曜日 快晴
二人はレストランでバイキング朝食を済ませると 時間は8時と早かったが
ホテルを出て 御殿場の土地に向かった
不動産屋から貰った地図を頼りにして土地を探していると
『御殿場 総合病院』という 大きな病院が見えた
神山はどこかで聞いた名前だと思っていると亜矢子が
「あなた 土地って 病院の脇じゃない」
「うーん そんな気がするな 他に無いものね」
神山は病院の駐車場を借りて 亜矢子と歩いて土地を探したが
やはり 病院の脇にある空き地が 不動産屋が紹介してくれた土地だった
「亜矢子 やっぱりこの土地だね しかし地図で見るのと違い広いね」
「ええ 広いわね それに病院が直ぐ傍って 嬉しいわ」
「でも 夜間でも緊急車両が来るから 多少煩いかもね」
「大丈夫よ 救急車なら 何処に住んでいても 走っているじゃない」
「ははは それはそうだね」
神山は待ち合わせの10時には時間があるので 車で周辺を見る事にした
御殿場駅周辺より 駅から車で10分ほど離れた処に 大型家電量販店や
ホームセンターなどが多く見られた
国道246号線沿いには 御殿場警察署もあった
反対に 御殿場IC付近には ホテルやホームセンター 
ガソリンスタンドも数多くあり 日常的な買い物にも不便しないところで
「亜矢子 日常生活には 不自由しないところだね」
「ええ まあ住めば都 母が喜んでくれたらいいわ」
神山達は 御殿場IC傍にあるホテルのラウンジで コーヒーを飲み
時間を潰した
「余りぎりぎりだと 悪いから そろそろ出ようか」
そう言って神山と亜矢子はホテルを出て 約束の待ち合わせ場所に行くと
不動産屋の他に 白衣を着た人物が一人いた

不動産屋と亜矢子が挨拶をし神山も挨拶をすると 不動産屋の社長が
「桜川さん あの方がこの土地のオーナーさんです」
社長は神山と亜矢子に 白衣の人物を紹介した
神山と白衣の人物は 直ぐにお互いを思い出し
「いやぁー お久しぶりです」
「そうですね あの時は助けて頂き ありがとうございました」
そう言い 笑顔で握手をしていると 社長や亜矢子はきょとんとした
6月7日夜 伊豆山ホテル スキエのラウンジで 祐子やカトリアーナと
楽しく呑んでいる時 大竹組小田原支社長 麻生太郎らに 因縁をつけられ
ラウンジの外で投げ飛ばした時に 麻生らを診た先生だった
「先生の病院は ココなんですか」
「ええ それで 土地を購入してくださる方は神山さん?」
「いえいえ そこにいる桜川さんです」
神山は亜矢子に 副院長 金山大介の事を掻い摘んで話をすると
「そんな事があったんですか もう心配させないでね ふふふ」
亜矢子は金山にお辞儀をし挨拶をすると 金山も笑顔で挨拶をした
不動産屋の社長は 亜矢子に図面を見せて
「桜川さん こちら側 県道側は丁度裏手で 玄関は反対側になります」
なるほど 国道側は立派な杉林になっていて 玄関を創るにも大変そうで
みんなで不動産屋の車に乗り 丁度反対に駐車し車を降りると 亜矢子が
「わぁー 眺めがいいわね 病院も見渡せるところにあるのね」
「車がないと ちょっとシンドイけれど 小高い丘って感じだね」
神山は社長に
「広さは 図面に書いてある通り 0.8ヘクタールですか?」
「ええ そうですが なにか?」
「実際 土地の周りに杉林があるので 狭く感じるのかな」
「ええ そうだと思いますよ それから 右手に杉林がありますが
今回 ご紹介させて頂くのは 林のラインまでの土地です」

杉林の幅が30m位あり その向こうは 70m位空いていた
「向こう側は空き地ですか」
この質問に金山が答えた
「そろそろ 入院棟を造ろうかと思い 空き地にしています
現状でも充分ですが 温泉がありますので 造ろうと思っています」
「はぁー 凄いですね 今でも立派な病院なのに」
「ええ 長期療養の部分で 温泉治療なども頭に入れた構想です」
「なるほど ここはお水が美味しいし 温泉もいいですね」
「ええ 土地の優位性を最大限に引き出してあげようと思います
そうすれば 患者さんの負担も軽減されますしね」
「うん そうですね いいお考えですね 賛成です
亜矢子さん 如何ですか 僕は賛成ですね」
「ええ お願いします」
亜矢子は神山の顔と金山の顔を見ながら ニコニコし頷いた

「では 金山さん 桜川さまに土地を販売してよろしいですか」
「ええ お願いします 神山さんの友人なら大丈夫です」
金山は亜矢子と握手して
「それでは 病院で手続きをしましょう」
不動産屋は 急いで車に戻り 書類の確認をした 金山が
「桜川さん以前にも お話があったんですよ でも 購入する人物と
話をすると どうしても手放したくなくて、、、」
「そうですよ やはりご自分が気に入った人に 販売したいですよね
私もホテルで勤務していますから ある部分分かります」
「へぇー ホテルなんですか 何処ですか」
亜矢子はちょっと躊躇したが
「あそこに見える ホテルです」
「わぁー ゴテンバグランドインじゃないですか
凄いところに勤務されていますね 私はまだ利用した事がないんですよ」
「まあ 是非一度きてください お待ちしていますよ ふふふ
そうそう 私の母が肺が悪くて 今度先生に診て頂きますね」
「いいですよ どうぞ来診してください 長泉に県立がんセンターが
出来る予定ですが 出来ると そちらにも行くようになります」
金山と亜矢子が自己紹介をしていると 不動産屋の車につき乗車した

御殿場総合病院の6階の一部屋が 副院長室になっていて
不動産屋の用意した書類に亜矢子が署名や押印をした
「それでは桜川さま 現金を頂いた時点で 桜川さまの登記をします
それで よろしいですね」
亜矢子は神山を見ると 頷いているので
「銀行振り込みをします 口座を教えてください」
不動産屋の社長は 会社の口座を亜矢子に教えると
「ありがとうございます」
不動産屋が 改めて金額を提示した
「あれっ 先ほどより随分と安いじゃないか 大丈夫かね」
その言葉に 金山と不動産屋の社長は頷いて
「気持ちのいい お客様なので 金山さまが下げて頂いたのと 私どもも
下げさせていただきました」
先ほどは1㎡ 35000円の提示で 総額2億8千万円だったが
最終金額は1㎡ 30000円になり 総額2億4千万円と4千万円も
安くなった
「社長 この3万円の中には 社長の取り分も含まれているんだね」
「はい 神山さま 今回は薄利でご提供させて頂きます 大丈夫ですよ」
不動産屋が 入金確認後の手続きなどを終えると12時になっていた
「神山さま 如何でしょうか 昨日と同じですが 寿司屋では」
「私は構いませんよ 亜矢子さんは時間大丈夫ですか」
「ええ 今日は空けてありますから 大丈夫です」
4人は 金山に挨拶をして 部屋を出ると駅前寿司に向かった

不動産屋社長の弟に神山は
「この設計だと あそこの土地の傾斜に合うか否かですね どうですか」
「ええ 事前に調査をしていますので 殆ど誤差はない筈です」
御殿場駅前寿司の離れでは 不動産屋社長とその弟 建築会社の社長と
神山と亜矢子の4人が亜矢子邸の図面を見ていた
「そうしたら スケールモデルを作って頂くと 亜矢子さんも
分かり易く 修正点も指摘しやすいと思いますが 如何でしょうか」
「そうですね そうしましょう では早速製作します
出来上がりまでに1週間ほど お時間をください」
「はい 了解しました なるべく大きい方が見やすいと思います」
「ええ 出来るだけがんばって見ます」
不動産屋の社長とその弟は軽くビールを呑み定食を食べ終わると
「では 神山さま 桜川さま お先に失礼します」
「うん 分かりました ではスケールモデルの出来上がりを楽しみにします」
「はい それと ここのお勘定は 私どもで持ちますので
ごゆっくりとお食事をしてください」
「はい ではお言葉に甘えさせて頂きます」
不動産屋の社長とその弟は神山と亜矢子にお辞儀をして部屋を出て行った
「亜矢子 良かったね いい家が出来そうだ」
「ふふふ 貴方のお陰よ ありがとうございます」
「でも 社長の姓が勝間田なのに弟さんが勝又になっているね」
「ええ 私もあれって思っていたので 聞いてみたら 
弟さんは 婿養子されたそうよ それで勝又姓になったって」
「そうか でも 紛らわしいね かつまたでしょ」
「ふふふ そうね 呼んだら二人とも振り向くものね」
名刺を確認すると【勝間田不動産 社長 勝間田 一朗】と
【勝又建設 社長 勝又征二】になっていた
神山と亜矢子はお好み寿司を食べると神山は いつもの様に
「亜矢子 30分寝かしてください」
「ふふふ いいわよ ごゆっくり寝てね」
神山は奥の間に用意された 布団に横たわると直ぐに寝てしまった







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2014年5月13日火曜日

紫陽花 12 - 57 Vol. 1



7月1日 水曜日 快晴
神山はいつものように早く目が覚めると 祐子の寝顔をみてテラスに出た
今日は本社とアルタで辞令が発令され また大変な一日になる予感がした
「ねえ 神山さん この頃 洋子さんと上手く行っているの」
「なんで?」
「うん ちょっと寂しそうにしていたから」
神山はその言葉が 朝になっても残っていて考えてしまった
そう言われれば ゴルフをしてからは みんなと余り関係していなかった
洋子と由紀枝は鎌倉と強羅旅行で交わったが由貴や桃子 カトリアーナと
関係がなくなっていた
しかし 自身の元気が無くなっているのも確かだった

神山が考えていると 祐子が起きてきて 朝食の準備をするため
一緒に下がった
神山は久しぶりにゴルフクラブの素振りをし 汗を流した
主賓室でシャワーを浴び 簡単に汗を流し スタジオで朝食を食べ
朝寝をした

「じゃ 行って来ます」
「はーい 行ってらっしゃい」
「今日は 遅くなる 先に寝ていていいからね」
神山は蒼いBMWで銀座の次長室へ向かった
9時に次長室へ入ると洋子が出勤していて
「やあ おはよう」
「おはようございます ねえ 今日はあのスーツに着替えませんか
私は NNのスーツで辞令を頂きますよ」
「そうか、、、うん着替えよう」
神山は祥子から貰ったドレスシャツにNNのスーツを着た
「やっぱり素敵よ ふふふ」
洋子はそういうと神山にキスをした
以前の神山なら抱き返して 交わるところだが 元気がないのと
時間が無いので 支度に専念した
9時15分になると二人はお揃いのスーツ姿で部屋を出ると 催事課の
みんなが 全員で拍手してくれた
「ありがとうございます でも照れるから 止めてくださいよ」
そういい 本社ビルの8階へ行くと フロアのみんながお辞儀をして
迎えてくれた 秘書室の秋山が
「神山次長 お似合いですよ ふふふ どうぞ」

副社長室へ通されると 社長の権田や理事全員が迎えてくれた
秘書部長の中村が
「では 神山次長が来られましたので、、、」
時田が言葉を遮って
「君 田所君を忘れてはいかんな」
「はっ はい 申し訳ございません」
このとき権田や理事も大笑いし
「訂正いたします 神山次長と田所部長が来られましたので
これから 特別人事命課を行います 神山次長どうぞ」
神山は呼ばれて 権田の前に行った
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って東京本社次長常務を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長  権田三朗」
神山は信じられないことが起きたと思いながら命課を手にした
中村部長が田所洋子を呼ぶと
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って東京本社次長常務 神山龍巳の
専属秘書理事を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長  権田三朗」
洋子は落ち着き払い 命課を手にした
中村部長が神山を呼ぶと
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って鈴や食品副社長を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長  権田三朗」
神山は再び命課を手にし下がった
洋子はここで終わりと考えていたが 中村部長が呼び
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って鈴や食品副社長 神山龍巳の
専属理事秘書を任命する
平成10年7月1日 株式会社鈴や 社長  権田三朗」
洋子はこの話を聞いていなかったので 驚き時田を見ながら深くお辞儀をし
辞令を手にして 下がった
列席していた理事たちから拍手が沸いた
社長の権田三朗が近寄ってきて
「神山さん 頑張ってください 期待しています」
「はい ありがとうございます ご期待に添うよう頑張ります」
また拍手が沸いて 神山と洋子の儀式が終った

時田が神山のところに来て
「山ちゃん 驚いただろ ははは」
「もう 心臓が破裂しそうです」
「正式には8月の株主で了承される 問題ないよ ははは」
「しかし 次長常務って始めて聞く言葉だし 実感が沸かないですよ」
「ははは ワシのすぐ下だよ だから池上君より上だ そのつもりでな」
「はあ 店長より上ですか、、、」
「そうだ 全店の店長より上だよ トップ3だ」
「はあー ありがとうございます」
神山と時田が話していると洋子が呼ばれ
「洋子さん どうだ理事は」
「ええ 驚いています ありがとうございます」
「中村君 例のものを用意してくれ」
権田や理事たちが副社長室から出ると時田は神山と洋子にソファーを勧めた
中村部長や秋山がシャンパンを用意し時田が
「権田さんに声を掛けてください」
3人は権田が部屋に入ってくると お辞儀をし時田が
「では 新しい次長常務に乾杯」
4人はグラスをあげるとシャンパンを飲んだ
「神山さん 時田さんから伺いました 私財を鈴やの為に使って頂き
本当に感謝しています 心から御礼申し上げます」
「はい ありがとうございます でも 社員だったら当然ですよ
GOLで早期撤退はしたくありませんからね」
時田が
「社長 お話したとおりの人間です 頼もしいではありませんか」
「そうだね 時田さんが3億 私が4億 神山さんが2億
絶対に潰してはいけませんね 時田さん」
「ええ 鈴や食品の副社長ですから 大丈夫ですよ」
神山は鈴や食品ブースの予算のからくりを初めて聞いて驚くのと
同時に責任感が沸いた
結局 最初から鈴や食品の予算は3億しかなく 10億にしたのは
二人の私財出資でできた数字だった

4人がシャンパンを飲み終わり権田が出て行くと時田が
「洋子 山ちゃん これ少ないけれど気持ちじゃ
それから今日は理事達もはずむだろうから 誰か来て貰った方がいいな」
神山は頷くと催事課の杉田と屋敷を呼んだ
杉田と屋敷は副社長室に入った事が無く 秘書室前で探していると
「催事課の杉田さんですか」
「はい 神山先輩から副社長室に来るよう言われたんですが
副社長室が何処だか 分からないんですよ 何処ですか?」
秋山由実子はつい数ヶ月前の神山とオーバーラップし クスクス笑い
「こちらですよ どうぞ」
秋山に案内され 杉田と屋敷が部屋に入ると秋山は堪えていた笑いを
堪えきれずに 笑い出してしまった 時田が
「どうした 秋山君」
「ええ 数ヶ月前の神山次長とそっくりなんですよ
物怖じしない態度は ほんとそっくりでした ふふふ」
杉田は何を言われているのか分からなかったが
「でも ただ副社長室を探していただけですけどね 可笑しいのかな テツ」
「いいんじゃないですか 可笑しくないですよ」
それを見ていた時田はニコニコして杉田を呼び
「だいぶ力を付けて来たみたいだね 奥ちゃんからもいい報告を聞いている」
時田はそういうと席に戻り 引き出しから50万円出し
「杉田君 ほら こちらに来なさい」
杉田が時田のところに行くと お小遣いと言われ封筒を貰った
屋敷にも手渡しで5万円を渡すと
「山ちゃん いい部下を持ったな そして育っているな いいことだ」
神山はお辞儀をしながら 挙式の事を考え
「実は社長 翔は9月23日にホテルオートモで挙式と披露宴を行います
是非 ご出席をして頂き ご祝辞をお願いします」
杉田本人は信じられずにきょとんとしていると神山が
「翔 ちゃんと挨拶をしろ ほら」
「しゃ 社長 お お願いします、、、」
杉田はそれだけ言うと 神山と同じようにお辞儀をした

「杉田君 おめでとう 分かった出席させて頂くよ
中村君 9月23日は空けてくれ いいな」
「はい 分かりました 行方不明にしておきます」
杉田と屋敷は意味が分からなかったが 神山や洋子は大笑いした
「でも 杉田君 凄いな オートモとは」
「はっ はい 先輩と内藤さんのご協力です はい」
「ははは そうか 山ちゃんの仕掛けか なるほど それで
相手の方は 何処の方だね」
「はい アルタで受付をしています」
「はあー 内藤さんのところか ははは これは大変だな 山ちゃん」
「ええ 門出を精一杯盛り上げてください お願いします」
「うん 山ちゃんに言われたら なんでもするよ ははは
そうだ 理事にちゃんと宣伝しておきなさい いいね杉田君」
「はい 分かりました ありがとうございます」
時田は中村部長を呼び 小さな声で指示をだすと
中村はにこやかな顔で頷き 直ぐに部屋を出ていった
「秋山君 シャンパンもうないか」
「ございますが」
「うん 開けて来てくれ 今日は目出度い日じゃ」
時田は杉田と屋敷にソファーを勧め シャンパンが来るとみんなで乾杯した
杉田は時田と以前話しているので 物怖じせず接する事が出来たが
屋敷は緊張し シャンパンをジュースのように飲んでいた
神山が注意しようとした時 杉田が気が付き
「テツ このお酒はジュースじゃないんだ 味わって飲むんだ もう」
「はい でも 緊張していて はい 分かりました」
やり取りを聞いていた 時田や秋山は神山の後釜が出来たと思った
暫く飲んでいると中村が戻ってきて時田に
「用意して頂きました 一様に驚かれていました」
「ははは そうだろう 若いのにオートモとは あっ ははは」
杉田は自分の事を言われていると思ったが 感知しない事にした
「じゃ 山ちゃん 理事のところへあいさつ回りしてきなさい」
「はい お心配りありがとうございます 翔 挨拶だ」
杉田はやはりと思い
「時田社長 ありがとうございます 23日はお願いいたします」
二人で深々とお辞儀をして部屋を出ると フロアから拍手が沸いた
屋敷が神山の隣を歩いているので 杉田が注意して
「テツ 主人公は先輩なの テツは下がるんだよ もう」

神山が各理事に挨拶し終わると 杉田が
「私 催事課の杉田です この度 結婚をすることになりました
これには 神山先輩や田所先輩のお力で 縁を作って頂き結ばれる
運びになりました さらに式場も甘えさせて頂きました
ご招待状を持参させて頂きますので ご検討をお願いいたします」
「うん 分かりました 頑張ってください
山ちゃん よかったね 頼もしい若者が育ってくれて」
「ええ 是非 ご出席をお願いします」
「大丈夫だよ 開けておきます そうそうはい お祝いです杉田君
式場は また別だから 安心しなさい お小遣いだ 大切に使いなさい」
神山と洋子 杉田と屋敷はこのように全理事を回り 次長室に戻った
「翔 ありがとう よかったな 理事に覚えて貰って」
「はい ありがとうございます」
「これから がんばってな」
神山はそういうと席の引き出しから 5万円を出して杉田に渡し
「屋敷君と 美味しいものを食べなさい」

杉田は部屋に戻ると 理事や部長から貰ったお小遣いを見て驚いた
全部で1600万円もあり どうしたらいいか分からず神山に電話した
「ははは 大切に使いなさい そう言われただろ
それから みんなに言いふらさない事 お礼は会った時にすればいい」
「はい 分かりました」
奥村課長が現金を見て
「翔 どうした そのお金」
「内緒ですが ちょっとだけお話しますね」
杉田は掻い摘んで説明すると
「あーあ 山ちゃんと理事のところに挨拶に行きたいなぁー」
「課長 時田さんと仲良くならないと 駄目ですよ」
「な なに 時田さん 翔 副社長だぞ あーあ もう翔に抜かれた」
「おう 翔 時田さんと話してきたか」
「ええ お小遣い頂きました」
「ははは それは立派だ 大したものだ いくら貰った」
「ええ50万円です」
「えっ おう50万円か 呑みに行こう」
「駄目です 大切に使いなさいって 時田さんも神山先輩も言っていました」
「おう いい先輩を持ったな もう いいなぁー なぁ奥ちゃん」
「ええ ほんとですよ でも山ちゃんは凄いですね
次長常務で全店でトップ3ですよ 池上店長を抜いて 鈴や食品でも
副社長 アルタでも副社長 出世街道超スピードですよ」
「ニーナ・ニーナでもアドバイザーで副社長と同格だろ たいしたもんだ」
「ほんと 催事課の器じゃないと思っていましたが これほどとは」
そんな話をしていると池上店長が部屋に入ってきた

「奥ちゃん ちょっと」
催事課の会議室にはいると
「今 時田副社長から電話で特別人事の話があったんだ」
「ええ 外商でしょ」
「うん 今日の電話は杉田君の進級の話だ」
「えっ 翔が進級ですか、、、はあ、、、」
「9月23日にオートモで挙式だそうだね」
「えっ 何も聞いていませんが オートモですか 翔が、、、へぇー」
「山ちゃんと内藤さんが仕掛けたそうだ」
「はぁー あの二人なら仕掛けますね」
「それで 全理事に出席をお願いしたんだと」
「えっ 全理事にですか、、、はぁー、、、」
「副社長も出席されると言われているんだ」
「えっ 副社長もですか、、、凄い事になりましたね」
「そこで 今 人事で調べたが あと1年で課長なんだ でも副社長は
早く課長にしてあげろ って もうこちらも大変なんだよ 奥ちゃん」
「わぁー そうすると人事考課の変更ですか」
「うん 出来るところまで あげてくれ いいね ほら銀座店の事だろ
本社のように 行かないところがあるから」
「はい ありがとうございます では副社長にお礼の電話を入れます」
「うん 今日は凄く機嫌がいいよ そうそう屋敷君がシャンパンを
がぶがぶ飲んでいたら 杉田君が注意したんだそうだ
それが 山ちゃんとオーバーラップした様子みたいだ
物怖じせず 堂々と話せるところは山ちゃん譲りだとさ よかったな」
「はい わかりました」

池上店長が催事課の部屋から出ると奥村は杉田を呼び
「翔 池上店長からだ 8月1日に課長だ」
「えっ 本当ですか もう うそ言って 僕のお小遣い狙っても駄目です」
「違うよ 副社長命令だよ これは」
奥村は池上との話を掻い摘んで伝え
「なので 副社長の期待を裏切らないよう 行動してくれ いいね」
「でも 普段の行動していれば 大丈夫でしょ わかりました」
「しかし翔も 凄い人をバックにつけたな 大したものだ」
杉田は席に戻ると 現金を鍵のかかる引き出しに入れた

次長室では神山が洋子とご祝儀を見て驚いていた
「凄いお金ね」
「うん 洋子も一杯貰ったね すごいね ほんと」
神山は副社長と全理事から3億2千万円貰い 洋子も1億6千万円貰った
「アルタは11時だから 10時30分に出よう」
「はい 分かりました そうすると銀行にいけないわね」
「うん ロッカーに仕舞っておこうよ」
洋子と神山は現金をロッカーに仕舞い鍵をかけた

アルタに少し早く着くと 洋子が美佳に
「おめでとうございます よかったわね」
小谷美佳は顔を赤らめ 丁寧なお辞儀をした
「でも まだ信じられないんですよ オートモで式を挙げるなんて」
「大丈夫よ そうそうゴルフの時の仲間を呼んであげればいいわ
みんな独身でしょ 羨ましがるかな ふふふ」
「そうですね そうします でも 大丈夫かしら 日曜日って大変でしょ」
「大丈夫よ 早めに連絡すれば ねっ」
「ええ 後で住所と電話番号を教えてください」
「はい ではFAXしますね」
「お願いします」
3人が受付で話をしていると 内藤が来て
「やあ 山ちゃん 早いですね」
「ええ 最初から遅れると不味いですからね」
「そうしたら 会議室に行きましょうか 準備は出来ています」
3人はエレベーターで会議室に行くと 秘書課長の案内で席に座った
会議室は過日の役員が全員並んでいて 内藤社長が辞令を読み始めた
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
担当副社長を任命する
平成10年7月1日 株式会社 アルタ 社長  内藤 一哉」
神山が辞令を受け取ると 丁寧にお辞儀をして下がり 洋子が呼ばれた
「田所 洋子 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
担当副社長 神山 龍巳の専属秘書理事を任命する
平成10年7月1日 株式会社 アルタ 社長  内藤 一哉」
洋子も深々とお辞儀をすると 辞令を手にし 席に戻った
儀式が終わり役員からは拍手が沸いた

役員が部屋を出て3人が社長室に入ると内藤が
「しかし山ちゃん 味方に付けてよかったです もし敵なら
私の会社は 完全に潰されていますよ」
「そんな事は無いでしょう まずGOLの成功を目指しましょう」
「ほんと 山ちゃんに任せておけば 大丈夫ですね
真面目に 社長を変わりましょうよ」
「ははは それだけはご勘弁ください まだまだですよ」
3人は大笑いし 内藤が
「そうそう オートモの件ですが 入金を確認しましたと
先ほど連絡がありました ありがとうございます
山ちゃんの方にも 連絡が行くと思います」
「内藤さん 杉田の招待客ですが 時田副社長がご出席されます
あと 本社の全理事にもお願いしてきました」
「やりますね 分かりました 私の方も全員出席させます」
「ありがとうございます 硝子屋が喜びますよ」
「そうですね 期待しています それではこれは お祝い金です どうぞ」
内藤は神山と洋子に祝儀を渡すと
「山ちゃん 副社長が各役員室にご祝儀を貰いに行くのも 変な構図なので
ここに纏めてあります 包みの上に役員名が分かるようにしてあります」
内藤はそういうと 紙袋を席の後ろから4つ出し
「こちらは山ちゃん こちらは田所さんです」
神山はお辞儀をして 紙袋を受け取ると重く 洋子の分を一つ持ち
社長室を後にした

次長室に戻り神山と洋子は普段着に着替えると
「洋子 お疲れ様 ほんと疲れたよ ははは」
「お疲れ様でした でもこれから大変ですね」
「なにが、、、」
「だって 今までと違うところで お仕事が増えるでしょ
例えば 会社の役員会とか出席しなければいけないし」
「うん そこは毎回出席しなくてもいいと 言われているんだ
でも 他にも理事があるから 困ったものですね」
「デザインのお仕事だけでは無くなったでしょ 私には出来ないわ」
「まあ 何とか成るさ 駄目だったら 止めればいいんだし」
神山と洋子はアルタの祝儀包みを開けて驚いた
「洋子 アルタって役員が10人だったよね」
「ええ 列席されていた方は10名でした どうされたんですか」
「内藤さんが5千万円で役員分が2億円あるんだ」
「私も社長から3千万円と1億あります 凄いわね」
神山は銀行に電話をして 職員に現金を運んでもらった

銀行に行くと大口預金の部屋に通され 機械が現金を数えると
「神山様 6億円でよろしいでしょうか」
神山が頷くと 入金手続きがされ 通帳に記入された
洋子も入金を済ませると 通帳を見てニコニコしていた
次長室に戻ると神山が
「洋子もスイス銀行に 口座を作ればいいのに」
「ふふふ 今ね 申請しているの もう直ぐ申込書がきます」
「そうか そうだよね さあ お昼は何処にしようか」
二人でお昼を相談していると電話が鳴り洋子が出ると
「まあ おじ様 どうされたんですか」
「うん 権田さんが しめ鯖の美味しいのを食べたいって話だ
どうだろうか 上原の寿司屋は」
「はい お店に聞いてみます」
洋子が神山に説明すると
「しかし どうだろう こればっかりは はいそうですかって訳にはねぇー」
それでも神山は駅前寿司に聞いてみると女将が
「今日は 美味しいのがありますよ どうぞ来て下さい」
「そうしたら2尾取って置いてください これから伺います」
神山は電話をきると 時田に電話をした
「まだ頂いていませんが 美味しいそうです 2尾キープしました」
「分かった ありがとう そうしたらこれから下に来てくれ」
「はい 分かりました 伺います」
電話を切ると洋子と支度をして 本社ビル1階で時田と権田を待った
暫く待つと時田と秋山由実子 権田とその秘書がエレベーターから
降りてきた
神山は二人にお辞儀をすると 洋子がその秘書に
「加奈子さん お久しぶりです」
「まあ洋子さん お久しぶり 偉くなられたのね 羨ましいわ」
「神山常務のお陰です」
「私なんか まだ課長よ ねぇ社長」
権田は何も言えず困っていると時田が
「おいおい 秋山君も課長だ そう背伸びをする事無いだろう ははは」

権田社長の秘書 前田加奈子は田所と同期入社で 名古屋本社では
人事課を勤務し 数年前に社長秘書になった
東の田所 西の前田と言われ 二人とも才色兼備だった
「まあ こちらが神山常務ですか 前田です よろしくお願いします
本日は社長の我侭で 申し訳ございません」
「はい ご光栄です ありがとうございます」
洋子がタクシーを拾うと 神山が運転手に
「後ろから2台付いてくるので 信号では離さない様注意してくださいね」
神山たちのタクシーの後ろに 時田の車 その後ろに権田の車が続いた

6人が上原の駅前寿司に入ると 女将が席を作り
「神山さん いつもありがとうございます」
「あれっ そちらは利用できないの」
「ええ 以前来られた 時田様の予約でして」
みんなが笑い 神山が
「女将 ほら時田さんだよ もう しっかり覚えて」
女将は時田を見て
「あら ごめんなさ さあ それではこちらを利用してください」
テーブルを2卓併せ 大きな座卓にし 権田と前田が座り
反対側に秋山、時田、神山、洋子と並び座った
神山が女将に注文しようと席を立つと 女将が料理を運んできた
「大丈夫ですよ 神山さん いつものように美味しいのを持って来ます」
神山は礼をいうと 女将は生ビールを運んできて
「しめ鯖はあの時と同じくらい 美味しいよ よかったね」
「ほんと ありがとうございます それで余ったら 握ってお土産」
「はいはい 心得ていますよ 大丈夫ですよ」
二人のやり取りを聞いていた時田が権田に
「社長 お聞きになりましたか」
「うん 時田君の言うとおりの男だな 大したものだ
時田君が惚れるのも分かる 大したものだ」
権田も神山の人柄に惚れていった

つまみでしめ鯖が出されると 時田と権田は美味しいを何回もいい
「実に美味しい 神山さん いつもこんなに美味しいのを食べているのかね」
「ええ 仕事ですから食べて呑んでます ここは安くて美味しいです」
「ははは 仕事か そうだ髭は元気か?」
「ええ 倉さんや催事課全員元気ですよ」
「うん いいことだ 時田君 頼もしい常務だな」
「ええ 夢を現実にしますからね 大したものです
鈴やの社員でよかったですよ 敵に廻したら 潰されます ははは」
「そうか 潰されるか うん 分かるような気がするな ははは」
3人の男たちがしめ鯖や鮮魚のつまみを食べていると
店の玄関が賑やかになり 神山が見てみるとNNの面々が入ってきた
筒井は直ぐに時田と神山を見つけ 祥子などに静かにするよう指示し
「時田副社長 ご無沙汰しています 山ちゃんおめでとう」
「やあ 筒井君か 社長がいらっしゃる」
筒井は権田にお辞儀をし挨拶をした
「筒井さん まあまあ 仕事抜きだよ そこのお店 良かったですね」
「ええ 全て山ちゃんのお陰です 助かりました」
「そうか 神山さんのお陰か うん 楽にして食べてください」
筒井は楽にしろと言われても 緊張していた
隣の座卓に案内され 席に着くが 背中合わせに権田が居ると緊張した
神山が気配を察し祥子に
「久保さん 僕からのプレゼントですよ 女将 出してあげて
それから お目出度い日なので ビールや日本酒もお願いね」
「はいよ 大丈夫ですよ じゃしめ鯖も出していいの」
「ははは もう1尾追加して 余ったら仲間に握りにしてお土産でお願い」
権田は神山の気の配り方や 周りを見る感覚が鋭いと判断し
「神山さん いつもそうなんですか」
「ええ 普段と一緒ですよ なにか? ねぇ洋子」
「社長 神山はほんと スーパーマンです でもね ふふふ」
「おいおい 余計な事言わないの もう」
「ほう スーパーマンか 大したものだ」

洋子はアレックスとの出会いやJrとの出会いなど 掻い摘んで説明し
「ほお スーパーマンだな 凄いですね 神山さん」
「あのー 社長 神山さんは辞めてください 山ちゃんでお願いします」
「そうか 山ちゃんか 分かった 前田君 山ちゃんだ 分かったね」
「はい これから人事発表も山ちゃんで行きましょう」
6人は大笑いし 箸を進めた
「ところで山ちゃん こっちはどうなんだ」
権田は小指を立てて 神山に聞いた
「、、、、、、、」
神山が答えられないでいると 洋子が
「ふふふ そこだけスーパーマンじゃないようです」
「そうか 勿体無いない話だな」
前田が
「だったら 私が誘っちゃおうかな いいかしら洋子さん」
「ええ いいわよ でもどうかしら ねぇ神山常務」
神山は下を向いていたが
「あのね 洋子さん もう苛めなくてもいいでしょ
折角の料理が不味くなるし ねえ 秋山さん」
秋山は突然振られたが クスクス笑いながら
「頼もしいスーパーマンを 苛めると潰されますよ 苛めない方がいいわ」
「おっ さすが秋山さん ありがとうございます」
「しかしね 神山常務 ファンとしては結婚して欲しいし 欲しくないし
凄く 複雑な思いをしているんですよ 分かるかしら」
「はぁー 済みません うぶですから 乙女心が分からず」
「本社の8階では 殆どの女性が神山常務のファンですよ ご存知?」
「えっ 全員ですか、、、知らないです せいぜい人事の子だと
思ってましたが 全員ですか 参ったな ねぇ洋子」
「知りませんよ ご自分が鈍いんです もう 私も大変なんですから」
「へぇー なにが?」
「もう 貴方と話したくて電話が来ても 私が処理をしているの」
「そうか ありがとう へぇー」
時田と権田はニコニコしながら 話を聞き箸を進めていた







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2014年5月8日木曜日

紫陽花 11 - 56 Vol. 3



3階のブティックモテリコに行くと店長が 笑顔で向かえてくれた
神山が由貴と桃子にコートを見せると
「わぁー 素敵な毛皮ですね いいなぁー ねぇ桃子ちゃん」
「ええ ニーナ・ニーナでもここまでのコートはないと思います」
神山は二人にコートとブーツ バッグをプレゼントした
「ねえあなた 亜矢子さんの分 ここで送ったらどうかしら」
「そうか そうだね でも持って来なかったな」
「私がギフトカードを持って着ました ふふふ」
「そうしたら それは自分の分でしょ 明日返しますよ 貸してね」
「はーい」
神山は店長にコートやブーツを頼むと
「こちらのコートは900万円ですが30%offでブーツは80万円ですが
こちらも30%offでご提供させて頂きます 如何でしょうか」
神山は頷くと1372万円をギフトカードで支払い
由貴と桃子はコートとブーツを自宅届けにして貰った
「神山様 このお二人にぴったりのバッグがございます こちらです」
店長が陳列台からバッグを持って来ると由貴や桃子は
「わぁー 素敵なバッグね いいなぁー ねえ桃子ちゃん」
「うん このコートにぴったし 欲しいなぁー」
由貴と桃子はコートを着て バッグを持つと洋子が
「大丈夫よ似合っているわよ ねぇ祐子さん」
「ええ 大丈夫よ 10年は大丈夫 保障します ふふふ」
神山は150万円のバッグを買うことに決め店長に
「これはどの位引いてくれるのかな」
「ええ こちらは25%引かせて頂きます」
神山はギフトカードで225万円を支払い バッグも自宅届けをお願いした
洋子が店長にお届けの事で聞くとOKとの事なので
神山はコートとバッグを店長にお願いし ブーツの色合いを考えた
「亜矢子さんだったら 私よりもう少し濃い色で大丈夫だわ」
「そうだ 大きさって知っている」
「ええ 私と同じサイズよ 大丈夫です」
神山はブーツの色とサイズを確認すると 在庫があり大丈夫との返事だった
「神山さま 全部で798万円でお願いできますか」
神山は頷くと洋子から800万円のギフトカードを借り支払いをした
洋子がお届け伝票に住所をなど記入し 手続きをした

店を出ると神山が洋子に
「しかし 800万円で丁度足りたよ ありがとう ここに300あるから
明日 500を返します」
神山は300万円分のギフトカードを洋子に返すと由貴が
「神山さん そこでデザートを食べたいな ねぇ祐子さん」
「ええ 私も食べたいなぁー ふふふ」
5人はカフェテラスで デザートを注文し女性たちは美味しそうに食べた
神山はアイスクリームとグラスワインを貰い アイスクリームを食べていた
「ふふふ どうしても苦手なようね」
「うーん なんかさ 美味しいというより 甘いだけなんだよね
でも このお陰で バニラを好きになったよ 大丈夫だよ ははは」
5人はホテルを出ると 洋子に由貴と桃子を任せタクシー代1万円を渡し
神山と祐子はスタジオに戻った
「やあ お疲れ様」
「まあ ご馳走様でした 先にお風呂にされますか?」
「うん 入ろうか」

6月30日 火曜日 雨
昨夜は祐子とバスルームで2回 ベッドで2回のSEXをした
お互い疲れ果て寝てしまったが 早い時間だったので 神山は今朝も
6時だが目を覚まし テラスに出て ビールを呑んだ
雨が激しく スタジオで庭の紫陽花を見物していた
「おはようございます ふふふ」
「やあ おはよう やはり雨の紫陽花って 可憐で妖艶な美しさがあるね」
「そうですね 花がしっかりしてくると 見ごたえがあります
そうそう 花言葉があるんですが 移り気 高慢 無情 辛抱強い愛情 冷淡
って 一杯あるんですよ」
「でも どれも当てはまるね」
「やはり 辛抱強い愛情かなって 思いますよ 花びらが小さい時から
だんだんと色を変え なかなか散らないでしょ それに枯れたようでも
来年の春にはちゃんと 芽が出てくるでしょ いいなぁー」
「そうだね 辛抱強い愛情か うん 大切にしよう」
「まぁ 何方ですか?」
「ははは みんなさ さあ食事をお願いしますよ」
祐子はニコニコと返事をすると キッチンで朝食の準備をした
神山は祐子がこの頃 あか抜け一段と綺麗に成ってきていると思った
顔を見ながら食べていると祐子が
「ねえ さっきから私の顔を見ているけれど なにか可笑しい?」
「いやいや 綺麗になったと思って 見とれているんだよ ほんとだよ」
「まぁ 朝から嬉しいわぁー たまにはいい事を言われるのね」
神山は普段から心がけているつもりだったが がっかりした
食事を終わると ソファーに横になり一眠りした

「では行って来ます」
「はーい 行ってらっしゃい 夕飯はどうされますか」
「うーん 電話をします」
神山は真紅のポルシェに乗ると 銀座の次長室に向かった
駐車場のホテル禅から次長室の入っているビルまで駆け足をしたが
ジャケットが雨に濡れてしまい 部屋に入ると来客ハンガーに掛けた
神山が仕事に集中していると 洋子が出勤してきて
「おはようございます」
「おお 早いね」
神山はそう言うと また机に向かって仕事をした
9時30分になると神山はGプロの面々を集め最終打ち合わせをした
10時になるとアレックスジャパンのJr社長 篠原涼子秘書
ジャック副社長ナタリー秘書らが次長室にきた
高橋がブースの説明をした
アレックスジャパンブースは直径50mの円柱建物で外周はガラス張りで
出来ていて 地上2階地下1階 3フロアの構成になっている
フロアはドーナツ状になっていて フロア幅が12mで建物の真ん中は
吹き抜けになっている
フロアは最上階から 時計回りに少しずつ下がり 5つの売場を
階段を使い下がっていくと 1周で1階分降りた事になる
丁度 螺旋階段の踊り場を広くした部分が売場になっている
更に新しい試みとして 外壁ガラス側に太い楕円のパイプがあり
商品補充時や商品搬送に使われる
螺旋状のフロアでは 商品補充が大変な為に 一旦最上階まで
商品を上げ そこからパイプを使い各売場に送るシステムにした
商品がパイプの中を通過すると センサーが感知して外にあるランプが
点滅し商品通過が分かり見ているだけでも楽しくなる
お客が購入された商品も タグを付けパイプに入れると地下にある
預かり所まで搬送出来るシステムにした
この時も 商品通過のときセンサーが感知して7色のランプを
点滅させたり 音を出したり出来る

アレックスJrは先日の説明で殆ど問題なしと話していたが
「神山さん エレベーターは2基で大丈夫ですか?」
「ええ 大丈夫です 建築のほうで確認をしています」
エレベーターは地下1階から2階まで直通の運行になっている
アレックスJrは更に地下共有部分の説明を求めた
「まずARXブースに入る方法は1階から入る方法と 地下から入る
方法があります このときニーナ・ニーナ 鈴や食品の各ブースにも
行かれる様になっています 中央から各ブースに入るための導線を
各ブースの基本カラーやウインドーで訴求します 商品陳列を
行わない処は カラーコルトンで訴求する方法も考えています」

神山は地下共有部分は3つのブースの真ん中に 円形のブースを設け
その広場でファーストフードを提供するスペースを設ける
中央広場から各ブースへはトンネル通路をくぐり行く事になる
「わかった 神山さんに任せます それで最終的にはいくらですか?」
「ええ 概算ですが60億とみています」
「分かりました では会長に早速FAXを送っておきます」
「ええ お願いします 但しプラスマイナス5%は見て置いてください」
「了解しました」
「私の方も きちんとした金額が出ましたら 提示をします
それから ソフト面の金額は含まれていません
GOL用のCMやビデオなどは 別途請求ですが いいですね」
「ええ 了解です 出来ればその金額も教えてほしいです」
「ええ まだプラン段階なので はっきりした金額は提示できません」
「神山さんに お任せしますので お願いします」
洋子と涼子は今日の打ち合わせ記録に お互いサインをして
「涼子さんも 立派な秘書になられたわね」
「わぁー 褒めて頂いて 光栄です 頑張ります」
洋子と涼子の話が終わるとナタリーが話しかけてきた
「洋子さん あのクラブいいわね 早くゴルフをしたいわ」
「まぁー あのクラブを買ったんですか 凄いですね」
「ほら Jrが前日遊んだでしょ その口止めよ ねぇ涼子さん」
「そうなんですよ 帰りの車で約束したんです ねぇナタリー ふふふ」
「まあ Jrも高い遊びをしたものね あのクラブいいでしょ」
「ええ 以前のと飛びが全然違うし 力を入れないところがいいわね」
「まぁ大変ね うかうか出来ないわ 練習をしないと ふふふ」
女性たちが話しているとき 男性達も
「神山さん あの時の事がバレて 帰りの車の中で約束をしたよ」
「ははは 大変だったね でもそれで口止めだったら安いじゃないか」
「そうですね もうこりごりです」 
Jrは神山に
「先日伺う約束をしてましたが 遅い時間になり今日お持ちしました」
「ああ 例の繊維協会の件ですね」
「ええ こちらが私の分で こちらが父の分です」
「えっ アレックス氏からも ありがとうございます
アレックス氏によろしく伝えてください 僕からもお礼のFAXします」
「父も神山さんと早く会いたいと 話していましたよ」
「分かりました この案を県庁に持って行き OKを取ったら話します」

神山たちがJrを見送ると Gプロの面々に
「さあ これからが大変ですよ」
「そうですね 細かいところを詰めていかないといけないし」
「考ちゃん お願いしますね」
神山と洋子は次長室に戻ると
「しかし Jrも高くついたね」
「そうね ナタリーや涼子さんは喜んでいましたよ」
神山はJrが持って来た祝儀を開けてみると
Jrの分が2千万万円 アレックス氏は5千万円 合計7千万円だった
「わぁー 凄い金額ね」
「うん でもなー 使い道ないし 困ったものです」
「まあ 贅沢言っているわ」
「さあ お昼はどうしようか そうだテツはどうだろう 電話してくれる」
洋子はニコニコ頷き電話をするとOKサインを出した
「じゃ いせ丸でも行こうか」
「でも今日は火曜日で大変な日でしょ」
「大丈夫さ ギフトセンターは終わっているし 暇だよ 予約して」
洋子は銀座築地いせ丸寿司に予約を入れるとOKサインをだした

次長室を出ると丁度催事課の部屋から杉田と屋敷が出てきて
「先輩 ご馳走様です」
「うん」
4人はビルの出入り口でタクシーを待ったが来ないので杉田が
「テツ 向こうまで行ってタクシーを拾ってきて」
屋敷は傘を斜めにさし 駆け足で晴海通りまでいきタクシーを拾った
いせ丸寿司に着くと 女将がいつものように愛想良く挨拶し
「今日は 時田様がいらっしゃっていますが どうされますか?」
「ははは 止めておきます 内緒で」
女将は笑顔で 時田の部屋と離れた座敷を案内した
神山は女将にえさを一杯用意してくれるよう 注文した
席に着きビールで乾杯すると神山が杉田に
「どうだね 話はすすんでいるの」
「ええ 進んでいて 式場選びです」
「へぇー いつ挙式なんだよ」
「へへへ ええ 実は10月に行う予定です」
「そうか おめでとう 良かったな」
「でも 式場がなかなか条件に合う所がなくて 困っているんです」
「なんで」
「ええ 人数が120人ぐらいで 予算の関係です」
神山は二人の門出をプレゼントしようと考えた
「わかった で 挙式は何人なんだ」
「ええ 大体60人くらいで 披露宴が120人くらいです」
「日にちは決まったの?」
「ええ 9月30日か10月7日の水曜日です」

神山はアルタ内藤に電話をして オートモの予約担当を聞いた
「山ちゃん それだったら 僕が予約するよ それで折半はどうですか」
「ありがとうございます では聞いて頂けますか 本人は9月30日と
10月7日の水曜日希望です」
神山は電話を切ると杉田に
「10月7日だとホテル催事が近いじゃないか 大丈夫か」
「ええ その場合は新婚旅行 お預けです」
「まぁ 可哀想ね だったら23日はどうなの 何も無いでしょ」
「ええ 何も無いです ただ給料が出てからの方がいいと思いました」
神山と洋子は顔を見合わせ
「翔 分かった 新婚旅行もいけるようにしてあげる」
その話をした直後に内藤から電話が入った
「山ちゃん 23日なら開いているんだ どうだろう」
「大丈夫ですよ 本人は給料が出てからがいいと そんな訳ですから」
「じゃ 抑えますね 挙式会場は100人 披露宴300人でどうでしょう」
「ええ 披露宴は200でいけると思いますよ」
「そうしたら 5万円で1千万円 挙式込みです 500でどうでしょう」
「ええ ありがとうございます ではお願いします」
「美佳さんに担当者のことを案内しておきます」
「はい 分かりました」
神山は電話を切ると翔に
「翔 9月23日ホテルオートモで決定だ」
「えっ 先輩 オートモなんて高くて そんな 美佳に怒られます」
「ははは 内藤社長と僕のプレゼントだよ これから羽ばたく
若者に丁度いい 場所だよ 心配するな」
翔は嬉しくなって 顔を赤くし美佳に電話をした
「美佳 翔だけど」
「ねぇ 今 社長から聞いたわ 本当なの 大丈夫、、、」
「うん 大丈夫だよ でも良かったね 嬉しくてさ」
「ほ・ん・と、、、私も嬉しい よかったわ、、、」
「おい 仕事中に泣くな もう、、、」
翔が電話を切ると神山は
「どこに行きたいんだ」
「ええ 北海道でのんびりしたいと思っています」
「そうか 分かった 最高級のところを探すよ 心配するな」
今までの話を聞いていた屋敷が
「先輩 良かったですね 凄いですよ 僕も仲間に胸を晴れます」
「うん そうだね ありがとう」
「先輩 神山先輩のように早く偉くなって 僕の時もお願いしますね」
「もう テツはそればっかりだ」
4人は大笑いして 箸を進めた

「翔 それで新婚旅行は何日ぐらいを予定している」
「ええ 4泊5日でしょうね それ以上休むとテツに席を取られますから」
「そうだな そうしたら その日はオートモ宿泊で 翌日北海道だ
で 何処を見て廻りたいのか 考えている?」
「いえ まだ詳細は、、、でも 小樽とか函館とか 色々です」
「そうすると ツアーもいいけど ちょっと忙しないな うん分かった」
神山は屋敷にも寿司を食べるように進め 翔もお腹が一杯になった
「やっぱり先輩と一緒だと 気を張らないで食べられるからいいです」
「いつもそうだろ いまごろ」
「ええ でも先日美佳のご両親と お寿司屋に行ったんですよ
その時 こうやって食べられなかったです 美佳が心配して
それでようやく食べたんです」
「ははは 翔らしくないな」
「だって 先輩 知らないお寿司屋でいくら取られるか 心配でしょ
例え それがご馳走でも あとあと僕の父親ですからね」
「そうだね うん でも大丈夫だろう そこを踏まえてお寿司屋だろ」
「そうですかね 僕は貧乏性だから 分かりません」
「そうだな まあ よかった」
神山たちは綺麗に食べると洋子が精算しタクシーを待った

次長室に戻ると神山は洋子に
「ごめんごめん 渡すのを忘れるところだった」
神山は昨日借りた 500万円分のギフトカードを返した
「洋子 北海道でタクシーを借りるって高いのかな」
「全然見当が付かないわ 聞いてみますね」
「うん 貸切で朝9時から夕方5時でいいでしょ」
洋子はPCで札幌のタクシー会社に電話をすると 貸切り乗車は
出来るが 運転手が変わる事もありえるとの返事だった
「一日3万円から5万円ですって」
「へぇー 結構な金額だね そうしたら挙式が近づいてからにしよう」
神山は明日のニーナ・ニーナの打ち合わせ資料に目を通した
前回との変更点はブース自体が変更になり 以前の箱ではなく
ARXブースと同じように円柱の建物にし
細かいところ2,3箇所に説明を書き加えた
仕事に集中していると内藤から電話があった
「山ちゃん 先ほどの挙式と披露宴費用ですが」
「はい」
「それで 引き出物ですが 山ちゃんの処で揃えると
売り上げにもなるでしょ」
「そうですね ありがとうございます」
「それで ホテルの方には500万円を振り込んで頂けますか
引き出物は 掛かった分を折半でどうでしょうか」
「ええ そうしましょう では振込先を教えてください」
神山は内藤からホテルオートモの振込先口座を聞き確認した
「山ちゃん 美佳ちゃん 大喜びで泣きっぱなし 仕事にならないから
早く返しました 大変ですね ははは」
「そうですか そんなに喜んでいるんですね」
「ええ 突然私の部屋に来て もう涙が止まらないんですよ
それで 受付が2人いたので 自宅に帰しました」
「まあ 人生最大のイベントですからね 気持ち分かりますよ」
神山と内藤は久しぶりに嬉しい話をし電話を切った

「ちょっと銀行に行ってきます」
神山が出かけようとすると洋子が
「軍資金を使ってくださいよ」
「うーん、、、」
「だって もう引き出しに入らないですよ あなたの気持ちで充分ですよ」
「そうかな、、、」
神山は洋子の言うように 気持ちがあれば同じお金と割り切る事にし
洋子から預かった500万円を持ち 銀行でオートモの口座に振り込んだ
神山は催事課の部屋に入ると 奥村課長が
「山ちゃん 凄いね 今 翔から聞いたよ」
「ははは 内藤さんと二人でプレゼントです まあ二人の門出だから」
「しかし ビックリだよ オートモだと一杯包まないといけないな」
「ええ 最低でも10万でしょ 課長だし大変ですね」
「まあな しかしもっと安いところなら こちらの出費も抑えられたのに」
「まあ 一世一代ですから お願いしますね」
神山は奥村と話を終えると杉田を呼び
「翔 引き出物はもう決まっているのか」
「まだなんですよ でもクリスタルガラスのグラスセットにしようかって
一応 案は出ているんですが 僕の給料ではとても手が出ないんです」
「そうか クリスタルグラスセットか」
「ええ あれって氷を入れると 音が綺麗でしょ
美佳とデートした時 初めて同じ意見だったんです」
「そうか そんなエピソードがあるんなら 大事にした方がいいな」
神山は以前 上野店に居た時に クリスタルグラスにサウンドブラストで
絵を彫っている会社と話した事があった
クリスタルグラスに一つ一つ手彫りで絵を作るので 同じものは無く
5客でも6客でも 並べると物語になると言われた事を思い出した

「翔 そのクリスタルグラスにサウンドブラスト加工して
それを引き出物にしたらどうだ オートモで使う引き出物だから
多少 それなりの物でないといけないしな」
「でも そんな高いのは手が出ませんよ」
「うん そうしたら内藤さんと 話してみるよ 大丈夫だよ」
杉田は自分が知らないうちに 挙式の準備が行われて行くのが 不思議で
頭の中では 判っているつもりだが 嬉しさを表現できなかった
神山は次長室に戻ると 先ほどの会社をPCで探し電話をした
「鈴やの神山と申します こんにちわ 社長はいらっしゃいますか?」
社長は神山の事を覚えていて
「それでしたら 私どもの処でやらせてください
世界で認められている技術を その若い人たちに提供させて貰います」
「良かったです それで絵柄はなんでも構いません 1組送って頂けますか」
社長は快く引き受けてくれて
「値段はいくらになりますか?」
「ええ 私どもではグラスで12万円 桐箱2万円 14万円で出します」
「そうすると 店に納品して頂くことも可能ですね」
「ええ ただ口座が無いものですから そこだけです」
「分かりました 口座は私が責任を持って作らせて頂きます
それで 6客最低120組ですが 9月20日まで間に合いますか?」
「えっ 120組ですか、、、」
「ええ 最低です 上限は200組ですが」
「200組ですか、、、はい 何とか頑張ります
お目出度い席で 失敗は許されません 頑張りますよ 神山さん」
「では 届くのをお待ちします 出来れば代引きでお願いできますか」
「ええ 多少手数料が掛かりますが」
「ええ 構いませんよ ではお願いします」
「はい 明日 お届けできます これから手配します」
神山は電話を切ると 特選雑貨課の仕入課長に電話をした
「はい 神山次長のお話でしたら 喜んで口座を作らせて頂きます」
「うん ありがとう それで仕入れが14万なんだ どうだろう」
「えーと 普段ですと215000円ですが、、、」
「うん 分率を下げていくらになりますか」
仕入れ課長は電卓で計算し
「どうしても 20万円を切るのは難しいです」
「分かった 120組などトータルで考えて欲しかった
20万円を切れないようなら 話は無かった事にしてくれ では」
神山が電話を切ろうとすると
「次長 おいくらだったらいいんですか?」
「もういい 時間の無駄だ 利益ばかり求めているから 先日の
ホテル催事も赤字になるんだ もっといい商品を仕入れなさい では」

神山は電話を切ると上野店の特選雑貨仕入課長に電話をした
「やあ 山ちゃん どうしたの 次長直々に」
「ははは 相変わらずですね 先輩も」
「まあな なので進級できないよ ははは」
神山は事情を掻い摘んで話をすると仕入課長の渡辺晴智は
「ははは 自分の事じゃなくて 部下の事か いいよ
分率なんて関係ないさ でも銀座も天狗になっているな」
「まあ そこは言えませんが そうしたら18万円でいいですか」
「うん 15万円でもいいけど でもな うちにも儲けさせてくれ」
「ははは そうしたら 上野で口座を作って頂けますか」
「了解 それで今回は臨時口座になる しかし2回以上取引があれば
普通口座になるよ」
「それだったら 最初の120個を収めさせ 追加分を収めさせれば
普通口座は作れますね」
「まあ そうだな でも120個を収めた時に 入金がないと難しい」
「あっ そうしたら明日にでも入金しますよ」
「えっ 120個で18万だよ」
仕入れ課長は電卓をはじき
「山ちゃん 2160万円だよ 大丈夫なの」
「ええ 大丈夫ですよ」
「うん わかった」
「もし良かったら 今日にでも伺いますよ 商品券でもOKですか」
「うん いいよ 臨時口座を大至急作って待っています」
神山は内藤に経緯を掻い摘んで話をすると
「そうしたら 14万円の60個分840万円を明日 口座に振り込みます
しかし 18万円でもいいのに」
「ええ そこは鈴やの儲けの部分ですから 私が払います」
「さすがですね それで追加の場合は 教えてください
披露宴の方ですが 少なくなった場合は返金されます 又 連絡します」
「はい お願いします」

神山は電話を切ると洋子に
「今夜は上野でとんかつでも食べるか」
「嬉しいわ お願いします」
「そうしたら 悪いけれどポルシェをスタジオに届けて 祐子と一緒に
とんかつ屋で待っていてくれるかな」
「わぁー ポルシェも運転できるのね いいわよ」
神山はタクシー代1万円を洋子に渡すと商品券を2160万円分用意した
祐子に電話をして洋子と一緒に 上野に来る事を伝え 
今夜行くとんかつ屋へ電話をいれ 部屋をキープした
「じゃ お願いしますね 上野で30分ほど話があります
もし先に着いたら 呑んでいてね」
「はーい 分かりました」

洋子と神山はビルの出口で別れると 神山はタクシーで上野店に行った
鈴や上野店の5階にある特選雑貨に行くと 仕入れ課長が待っていて
「山ちゃん 良く来たね さあ」
課長は仕入れ席に案内して 口座開設書を見せてもらった
「では 先に入金しますよ」
「ははは 2ヶ月先の話で 今月の売り上げとは関係ないが
保留金で入金しておきましょう」
神山と仕入れ課長はレジに行き 商品券で2160万円分を支払いした
商品券を勘定するのに 手伝い店員も呼び 3回数えると
「山ちゃん ぴったしだよ ありがとうございます」
神山は馴染みの課長や係長と挨拶をすると みな気軽に話しをしてくれ
銀座と随分と違い 心の暖かさを感じた
神山は地下の酒売場で冷えたビール2ケースを買い求め催事課へ行った
部屋に入ると みな神山を歓迎し仕事を止め テーブルに集まった
課長がみんなに
「山ちゃんからの プレゼントだ 呑もう」
催事課課長は今年4月に名古屋店から 転勤できた課長だが
上野の催事課は少し元気が無いといい 率先して仲間と呑んだ
神山の噂は全店規模で伝わっていて 課長もいいチャンスだと思い
「山ちゃん 成功の秘訣を教えてください」
「ははは そんな ないですよ ただ一生懸命仕事をすれば
結果はあとから付いてくる でしょうか」
「あーあ そうだな みんな分かった お願いしますね」
神山は事務と経理を担当している 中田圭子を呼んで
「どう 課長のケチって有名だけど 大丈夫」
「まぁ ご存知なの でも ここに来てからはそんな事ないわよ」
神山は商品券100万円分を渡すと圭子は驚いて
「いいの こんなに頂いて」
「うん みんなでどんどん呑んでくださいよ 課長には内緒だよ」
「ふふふ 分かりました 大切に使わせていただきます」

神山はこれから仕事が有るといい 部屋を出るととんかつ屋へ向かった
受付で神山と名乗ると 3階の部屋に通され
「わぁー 漸く来ましたね」
「ははは ごめんね 催事課で話し込んで 遅くなりました
でも なにも注文していないの」
「だって なにがお勧めか 分からないじゃない だから来てからって」
神山はおつまみで とんかつの盛り合わせと 揚げ物の盛り合わせ
サラダの盛り合わせを注文した
祐子は洋子から 美佳のことを掻い摘んで話を聞いていたので
「美佳さん 驚いているわね ふふふ 私だって泣いちゃいますよ」
「そうか そんなに嬉しい事なんだね 少しだけ乙女心が分かりました」
「いつも周りに乙女ばかりなのに もう ねえ洋子さん」
「ほんと この人ってそこが鈍いのね でも鈍いところが厭味じゃないから
女が付いてくるのね きっと」
「おいおい 褒めているのか 貶しているのか もう」
3人は大わらして生ビールを呑んだ
「失礼します」
仲居がおつまみや日本酒を運び 座卓に並べると洋子が
「美味しそうなとんかつですね」
「ありがとうございます 揚げたてですから 気を付けて
お召し上がりくださいませ」
とんかつの発祥は一説に上野と言われ 御徒町から上野地域には
多数のとんかつ屋が存在し 今でもその味を求める顧客がおおい
洋子と祐子が一口食べると
「わぁー 美味しいわ 柔らかくて衣はパリパリ 中はジューシーよ」
「お肉も 甘くて美味しいわ 幸せぇーってね」
祐子のおどけた格好で みんなで大笑いをした






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2014年5月3日土曜日

紫陽花 11 - 56 Vol. 2



6月28日 日曜日 快晴
昨夜は降参してから みんなでブランデーを呑み早い時間に寝たので
早く目が覚めてしまい 露天風呂で朝日を眺めていた
ホテルの斜め左の稜線から眩しい光が差し 清々しい気持ちになった
「ふふふ 早いのね」
「やあおはよう 洋子も早いじゃないか」
「入ってもいいかしら」
「うん じゃ缶ビール持って来てくれる」
洋子は冷蔵庫から缶ビールを取り出し 神山に渡すと大事なところを洗い
「ねえ 最近降参が多くなったみたいけれど 毛を剃ったからじゃない」
神山は全然気がつかなかったが 言われればそうだと思った
降参するのも ここ毎日の事で ゴルフの前に由紀枝と祐子そして
カトリアーナと3人で夜中に剃られてからだと思い出した
「うん 絶対に由紀枝と祐子とカトリアーナの責任だ うん」
「まぁ でもまた何かすると 剃られるわよ」
「そうだな 困ったものだ」
洋子は神山のおちんちんを触りながら 少しずつしごいていた
「ねえ 欲しい」
神山は立ち上がると 洋子の口に肉棒を宛がうと 洋子は美味しそうに
ペロペロと舐め 肉棒の裏側をハーモニカのように愛撫すると
「うん 気持ちいいよ」
洋子は下から神山の顔を見ながら 時々激しく舐めたりした
神山は洋子を露天風呂の縁に座らせると 足を開き クリットを舐めた
洋子は気持ちよくなり 愛液がヴァギナから溢れ出してきた
神山は中指を使いヴァギナの中に挿入し ピンポイントで愛撫すると
「ねえ もう我慢できないの 入れて」
そう言うと自分からお尻を突き出し 神山の肉棒を待った
肉棒が挿入されると 洋子は自分から腰を動かし更に奥まで導いた
「ああ いいわ 入っている ああぁ」
神山はだんだんとスピードを上げていくと 洋子の喘ぎが激しくなり
首を振ったり 腰も回転させるようになり 神山もだんだんと硬くした
「いくわぁー ああぁー あっ」
洋子の膣が狭くなると 亀頭も我慢できなくなり 充血し
「駄目だ 出るぞ」
「きてぇー いくぅー」
洋子と神山は一緒に快楽の頂点を向かえ果ててしまった
神山は寝ている二人に来られると又 降参すると思い直ぐに出て
着替えると洋子に
「洋子 車を持って来ます」
「はい 待っています」

神山はフロントに頼んでおいたタクシーに乗ると 箱根湯元駅でおりた
有料駐車場から蒼いBMWを出すと 一気に山を上った
綴れ折の登り坂に木の陰が出来ていて 差し込む光が気持ちよかった
ホテルの駐車場に止めると部屋に戻り
「やあ 気持ちよかったよ」
「やだぁー 神山さん一人で 気持ちよくなってー」
「ははは さあ朝ごはんを食べに行きましょう」
神山はみんなに揃えて 浴衣に半纏にした
今日もバイキングを選び 由紀枝と祐子は納豆と温泉玉子を中心に
二人で協力してバイキングを楽しんでいた
神山はベーコンエッグやポテトフライなどビールのおつまみを中心に選び
白身魚のフライやフランクフルトなど洋食中心の料理だった
席に着くと神山はビールを注文してみんなで乾杯をした
食事をしていると由紀枝の携帯電話が鳴った
「はい 庄司です」
「おはようございます 橘です」
「おはようございます」
「庄司さん 実は本日の16時でいいのですが 勤務出来ないでしょうか」
由紀枝は理由を聞いてみると 山側の若い女の子が体調を崩し 体制に
穴が開くのでどうしても出勤をして欲しいと要請だった
「あのー A子さんですか 体調崩したのは」
橘がそうだと言うと
「私は出勤しません A子さんを出勤させるべきです」
由紀枝はA子は体調不良を理由に時々ずる休みをしているのを知っていて
先日もずる休みは良くないと話したばかりだった
「橘さん 私は出勤しませんよ それで辞めさせるならどうぞ
でもA子さんのずる休みに 会社が有給を与えるなんてどうかと思います」
橘はA子の出勤を促すように連絡すると言うので
「私がします チームが違ってもいい迷惑です」
由紀枝は電話番号を聞きA子の自宅に電話をした
A子は突然由紀枝から 電話が来たので驚き戸惑った
由紀枝は理由を聞くとA子に
「そんなに休みたいなら 会社を辞めればいいじゃない
私から椿さんに話しましょうか どうする」
A子は由紀枝に泣きながら誤り これから会社に電話をして出勤すると言い
「貴女はそうやって ずる休みの癖が抜けないのよ 迷惑だから
いっそうの事辞めてもらった方が 会社のためになるわ どう」
A子は心を入れ替えると言うので 由紀枝も場所のことを考え
「いいわね 明日出勤したら サブマネージャーと話します では」
由紀枝は電話を切ると みんなに謝った
「由紀枝 しかし凄いな 本当に驚いって聞いていたよ」
「もう いやだぁー だって ずる休みの常習犯よ
そんな相手のために 自分が犠牲に成る事無いでしょ ふふふ」
祐子や洋子も頷き 神山も頷いていた
「ごめんなさいね なんか変な話で」
「でも由紀枝って お姉さんなんだね ほんと知らなかったよ」
「ふふふ A子さんって 私より上よ でもだらしないの
だから私が しっかりと言わないと どんどん駄目になるわ
それって彼女に留まらないで ホテルが潰れるのよ
だから私が頑張っているの ふふふ」
由紀枝がニコニコ話していると総支配人の椿から電話があった
「由紀枝さん ありがとう 橘から聞きました A子さんには今後
気をつけて貰い 私たちも注意して見るようにします」
「ええ お願いします では失礼します」
由紀枝は簡単に挨拶するとニコニコしているので神山が
「だれからだったの」
「ええ 支配人からの電話」
「えっ そんな簡単な挨拶で、、、」
「だって お給料頂いていても お休みよこっちは もう」
「うん そうだね さあ 食べよう」
神山は由紀枝の伊豆高原赤沢ホテルでの引越しのときを思い出した
仲間から信頼され 部下からは慕われていた時を回想すると
由紀枝自身は気が付いていないが リーダーの資格充分だった
適切なアドバイスをしたり はっきりと物言う姿勢は充分に上に立つ
資格を持っているし そのうち亜矢子と並ぶだろうと思った

食事を終え部屋に戻ると神山は由紀枝に
「由紀枝 どこか行きたい処はない?」
「うーん パリでしょ イタリア そうそう地中海もいいなぁー」
「こらぁ 由紀枝 真面目に聞いているの」
「そうよ 真面目に答えているわよ なぁにもう」
「ごめんごめん あのぉー 今日これから行きたいところだよ」
「うーん 紫陽花はもうたっぷり見たし うーん地獄谷で玉子かな」
神山はロープウェイやケーブルカーの観光ルートにして
最終はここに戻って 由紀枝を自宅に送り東京に戻ることを提案した
「わぁー 嬉しいわ 祐子さん 観光船に乗りましょうよ ねっ」
「ええ 私も久しぶりなの 楽しいわね」

神山はフロントでチェックアウトの手続きを済ませると
「車を 夕方まで預かって欲しいのですが」
「はい 畏まりました 行ってらっしゃいませ」
神山たち4人はロープウェイで早雲山に着くと ケーブルカーに乗り換え
大涌谷に着いた 祐子や由紀枝は手を繋ぎ駅舎から出ると
「わぁー 硫黄の臭いがするわね やっぱり温泉の元って感じ」
「ほんと ねえ由紀枝さん 早く温泉玉子に行きましょうよ」
由紀枝と祐子は二人でキャァキャァ話しながら 神山から離れていった
「ふふふ 若いっていいわね」
「まあまあ その時を謳歌すればいいんじゃないのかな
年齢にあった 謳歌のしかたって違うでしょ でも羨ましいね」
「ふふふ そうね」
神山と洋子は手を繋ぎ 前を歩いている由紀枝と祐子を
羨ましく そしてこれから頑張って貰いたいと思い見ていた

「ねえ これ一つ食べると寿命が7年延びるんだって 本当かしら」
由紀枝と祐子はケタケタ笑いながら 黒い温泉玉子を食べていた
「おいおい 僕にもくださいよ」
「はーい ひとつで7年寿命が延びるんですって」
4人で食べると直ぐになくなり神山はもう一袋購入した
温泉玉子を販売しているところから 少し上に登ると
地下から湧き出ている源泉にたどり着いた
「うーん やっぱり温泉ですね ふふふ」
玉子を籠に入れて 茹でている所を見ることが出来た
神山は由紀枝と祐子がここを満足したので 再びロープウェイに乗り
桃源台まで楽しんだ
豪華な客船をイメージした客船の船首で 記念撮影をしたりし乗船した
神山たち4人はデッキに出ると 祐子と由紀枝は写真を撮り楽しんでいた
箱根町に着くと旧箱根関所など見学した
由紀枝の希望で 湖畔のホテルで昼食を取ると 由紀枝が帰るまで
充分に時間があり 庭の芝生でデザートやドリンクを飲み過ごした
「気持ちいいわね 湖がそこにあるし 空気が美味しいわ」
「都会では味わえない 贅沢ね」
神山と洋子は祐子と由紀枝が仲良く話しているのを見て
「本当に姉妹みたいですね ふふふ」
「うん 洋子と亜矢子みたいだ 顔も何処となく似ているし」
「そうね 陰になっているところって そっくりな輪郭だし」
「あの楽しそうな 目尻はそっくりだよ 笑うと分からないね」
「まぁ そんな事言われて ふふふ」
「洋子 30分寝かしてください」
神山はそう言うと 芝生にごろりと横になり直ぐに寝てしまった

30分経つと洋子が起こしてくれて
「さあ では一旦ホテルに戻ろうか それから紫陽花見物です」
神山はホテルで精算したがTJカード会員なので 全て無料だった
タクシーでホテルに戻ると 大平台まで下がり 駅周辺などの
紫陽花を見物すると 由紀枝や祐子はデジカメで撮影をしていた
神山は箱根湯本まで 紫陽花の咲いている所に車を止め 
祐子や由紀枝の 紫陽花撮影に協力した
車に戻ると 二人は後ろに乗り 撮影した写真をモニターで確認し
キャァーキャァーと騒ぎながら 楽しそうに話していた

神山は箱根湯本駅で休憩すると みんなに
「由紀枝さえよかったら 寿司でも食べて それから帰ろうか」
「私は全然構わないわよ 洋子さんは大丈夫ですか」
「うーん 神山さん 帰りましょうよ ごめんなさい」
神山は頷くと 缶コーヒーを飲みトイレに行った
「じゃ 由紀枝のマンションまで行きまーす いいですかー」
「はーい 大丈夫でーす レッツゴー」
由紀枝と祐子は後ろの座席で鼻歌を歌いだし 神山もハミングした
蒼いBMWは小田原に戻り 北上して東名高速に入った
御殿場ICをおりて直ぐに由紀枝のマンションに着くと祐子が
「由紀枝さん 今度は東京でゆっくりしようよ」
「ギャハァー ありがとう でも空気がいいところがいいわね」
「そうね ではプランを練りましょうね」
「はーい 神山さん ありがとうございました」
神山は頷くと車を出した
由紀枝は神山の車が見えなくなるまで 手を振っていた

神山は東名高速をいつもの様に巧みなドライブテクニックで
遅い車を追い越し渋谷ICで降りると 洋子の自宅傍に行った
「ありがとうございました」
「うん お母さんに言われたら 上手く誤魔化してね」
「ふふふ 大丈夫よ では明日」
「洋子さん ありがとうございました」
「祐子さん 余り苛めないでね ふふふ」
「はーい」
神山は車を出すと 赤坂のスタジオまで直ぐだった

「祐子 お疲れ様でした 夕食は寿司屋に行こうか」
「上原ですか」
「うん」
「わぁー 着替えますね」
祐子は楽しそうに自分の部屋に入り 着替えをした
神山も主賓室のシャワーで汗を簡単に流し 着替えをした
呼んだタクシーが門扉に来ると 上原に向かった
駅前寿司屋の暖簾をくぐると 由貴と桃子が居て神山に気が付くと
「神山さーん 大変よ」
「やあ こんばんわ どうしたの」
安田桃子は周りを見て 小さな声で
「先週買った宝くじだけど 1等と前後賞が当ったの」
「よかったじゃないか 宝くじを信じない桃子としては驚いたでしょ」
「それで 一人で2億円なんて 罰が当るわ 神山さん半分受け取ってね」
「いやいや 罰は当らないよ 誰にも話さなければね
だから全て桃子のものだよ 大切に使いなさい ねぇ由貴」
「でもね 私と同じで 半分は受け取って 桃子も是非って言うので」
「うん 分かった それでいつ換金にいくの」
「ええ 明日休みなので 午前中に行こうと思っています」
「そうしたら 朝一番でどうだろうか」
「ええ お願いします」
「僕が桃子のところに迎えに行くよ 但しお昼は付き合えない いいかな」
「ええ 全然大丈夫よ 私 明日はゴルフの練習だから ふふふ」
「8時半にマンションに行きます」
「はーい 分かりました」

上原で食事をした後 祐子と神山は赤坂のスタジオに戻った
ソファーで寛いでいると カトリアーナから電話が入った
「やあ こんばんわ どうしたの?」
「神山さん 大変よ 先日買った宝くじだけど 当ったわ」
「えっ よかったじゃないか」
「ほんと それで1等の8千万円と前後賞が8千万円なの」
「大切に使いなさい それからこの事は 誰にも話しては駄目だよ
お金目当ての人間が寄り付くし 破滅するのは自分だよ 大丈夫?」
「ええ 大事な時に使うようにします」
「うん 絶対に話しては駄目だからね 本当だよ
僕の周りで みんな当っている でも誰も話さないだろ それが大事だよ」
「へぇー みんな当っているんだ 分かりました」
「うん 普段 足りない時に少し使うならいいけれど
何か 高額なものを買い出すと 分かるからね いいね」
神山はまだ若いカトリアーナに 失敗しないように忠告をした

「神山さん 凄いですね カトリアーナも桃子ちゃんも」
「うん でもみんな話したことがないでしょ それでいいんだよ
急に金遣いが荒くなると 直ぐに分かるからね」
「そうね 私は全然手に付けていないわ って言うより 使い道ないもん」
「そう それでいいんだよ そうしないと絶対に破滅するよ」

6月29日 月曜日 曇り
神山は6時に起きると少し体がだるかったが 熱いシャワーを浴び
体をシャッキとさせると テラスで缶ビールを呑んだ
昨夜は祐子の求めるままSEXし 最後は二人とも疲れ果て寝てしまった
祐子が起きてきて 朝食を食べるといつものように朝寝をした
30分し起きると
「じゃ 行ってきます 何かあったら携帯までね」
「はーい 行ってらっしゃい」
祐子はニコニコし 神山を見送った
神山は赤いポルシェで桃子のマンションへ行くと
「わぁー おはようございます 早いですね ふふふ」
神山は桃子を抱きしめるとキスをした
「神山さん 駄目ですよ もう 今はそのモードじゃないから ふふふ」
二人は宝くじを確認をして 前後賞の宝くじは神山が貰った
渋谷の銀行で換金すると桃子は
「さあ これからゴルフの練習よ ふふふ」
「分かったけれど 余り上手になると 僕の出番が無くなるよ」
神山は桃子を自宅まで届けると 銀座の次長室へ向かった

次長室に入ると洋子が出勤していて
「おはようございます 早いですね」
「おはよう 洋子だって早いじゃないか」
「ええ 連休したから 早く出てきました 早速ですが 警備室に
お中元が届いているのと 秘書室に書留が届いていると言われました」
神山は催事課で台車を借りて 警備室に行くと
「神山さん もうここもお手上げです 見てください」
神山は案内された 待機室に行くと長椅子や床までお中元の山だった
「凄いですね 早速持って行きます 済みません」
神山は10往復して次長室に持って来ると 洋子が
「わぁー どうするんですか こんなに」
「うん 配送課の倉庫に入れるよ 住所を控えてお礼状を出してください」
「そうそう 秘書室だけど 台車で来て下さいって」
神山は洋子を連れ 台車を持って秘書室へ行った
秘書室の秋山が神山を見ると
「凄い量ですよ 一応紙袋に入れておきましたが 初めてだわ」
「いつも済みません では持って行きます」
神山は秋山にお辞儀をすると 洋子と一緒に次長室に戻った
紙袋8個を次長席に置くと 完全に仕事が出来ない状態だったが
洋子と二人でお中元の整理を始めた
神山はお届け伝票を剥がし 配送から借りてきたコンテナに積み込み
鍵のかかる倉庫に仕舞った
部屋に戻ると洋子が書留を整理していて
「全部 住所は控えました」
「ありがとう しかしコンテナ3台分だもの 凄いね」
「わぁー 考えただけで お歳暮が大変だわ あーあ」
「おいおい そんなに嘆かないでしょ お願いします」
「書留は全部で167社です お中元と併せ直ぐにお礼状を出します」
「うん お願いします」
神山は書留をあけて中身を整理した
ギフトカードや商品券が52社で5千万円分あった
現金が115社で1億8千5百万円あった
「洋子 ハイ 夏のボーナス」
神山は商品券8百万円分渡すと
「えっ いいんですか」
「要らないなら 返してもらうよ」
「はーい 頂きます ありがとうございます」
残った4千2百万円分のギフトカードを洋子に
「これを 由紀枝 由貴 桃子 カトリアーナ 亜矢子 祐子に
各7百万円ずつ送って欲しい 速達小包で大丈夫だよ カトリアーナは
ホテルに送ったほうがいいね」
洋子は頷くと 早速小さなダンボール箱に入れ郵便局で手配した

「あーあ 漸く終わったね お昼を食べに行きましょう」
「ほんと 午前中は仕事が出来なかったわ ふふふ うなぎにしましょうよ」
「では 行きましょう」
二人は鈴や店内のうなぎ屋に入ると 仲居がニコニコして奥座敷を案内し
「いつもと同じでよろしいですか」
「ええ お願いします」
暫くすると生ビールやおつまみが運ばれ 
「洋子 ありがとう 助かりました」
「どういたしまして ふふふ でも凄い量ね」
「うん 現金だけでいいのに」
「ふふふ 贅沢な悩みよ」
二人が食べ終えると 神山は商品券で支払いをして店をでた
次長室に戻り 仕事に集中していると神山に電話があった
「はい 神山ですが」
「神山理事 私は日本繊維品質管理協会 東京事務所の引田泰子と申します
実は理事宛の書留が事務所で一杯になり ご連絡を差し上げました」
「ああ 先日の引田さん ありがとう それではこれから直ぐに
伺うようにしますが 他に連絡事項はありませんか」
「はい 理事に面談をさせて欲しいと電話が多数ありますが、、、」
「うん 分かりました ではその件も併せて伺います
そうそう 依頼主の住所控えや 礼状はどうですか」
「ええ 控えてありますし 礼状も先ほど出しておきました」
「分かった ありがとう」
「はい ではお待ちしています」

神山は洋子に断り 日本繊維品質管理協会東京事務所へ向かった
場所は食品協会が入っている隣のビルという事で直ぐに分かった
ビル最上階の日本繊維品質管理協会東京事務所へ入ると 事務員が
理事室を案内した
「やあ 神山です」
「引田泰子と申します 繊維協会の纏めをしています」
引田は早速 書留を入れた紙袋を理事席に運ぶと
「こんなに頂いたのは 初めての経験です」
紙袋10個も貰うのは初めてと言うが 神山本人も驚いた
引田や事務員に手伝ってもらい 車に積み込んだ
理事室に戻ると神山が
「7月4日の土曜日 14時から18時に面談を行います 尚 各社
10分程度でお願いします」
「ふふふ 神山理事 慣れていますね」
「いやいや 食品や建築協会で教えていただきました ははは」
「ふふふ 香織さんや真由美さんの事 全部お聞きしました
私も誘ってくださいね お待ちしています
そうそう お尻ペンペンだけは 勘弁してくださいね ふふふ」
二人は顔を見合わせると 笑ってしまった
「神山理事 新しい名刺が出来ています どうぞ」
神山は受け取ると アルタの副社長や鈴や食品の副社長になっていた
「理事って凄いですね 私 始めての経験ですよ
こんなに肩書きを持たれている方って 本当に凄いですね」
「ははは たまたまですよ」
二人で話していると 食品協会の眞鍋香織と建築協会の安堂真由美が
理事室にきた
「神山理事がここにいらっしゃっているとお聞き 伺いました」
香織と真由美が挨拶をすると 書留を渡した
「ありがとう 礼状は出してくれたかな」
「ええ 真由美さんのところと一緒に 出しました 大丈夫です」
神山は食品関係や建築関係の書留を事務員に手伝って貰い 車に積むと
「では ありがとう 7月4日14時に伺うつもりだが もう少し早い方が
いいのかな」
「そうですね 出来れば11時頃に来てくださると 打ち合わせが出来ます」
「分かりました 大体その時間に伺います では」

神山は次長室に戻ると 台車で書留を3回に分けて運んだ
「わぁー また書留ですか」
「うん 困ったものだ」
神山は全ての書留を開け整理すると 食品関係が68社 ギフトカード
2千2百万円現金6千6百万円 建築関係が72社でギフトカード
4千8百万円現金8千4百万円入っていた
繊維関係が初めてという事で多く168社でギフトカード7200万円
現金1億8千万円入っていた 合計GCが1億4千2百万円 現金が
3億3千万円になった
神山は洋子に手伝って貰い 5億円を銀行の大口預金で入金した

次長室に戻るとGプロの高橋と進捗について話をした
「しかし 良くここまでこぎ着けたね ありがとう」
「うん 本社の人間も頑張ったよ よかったよ出来て」
神山は洋子に明日午前中にアレックス 翌々日午前中ニーナ・ニーナの
打ち合わせを希望するといい 連絡をしてもらうとOKとの返事が貰えた
「そうしたら考ちゃん 明日もお願いしますね そうそう これを使って」
神山は高橋にギフトカード100万円分渡すと
「はい 大事に使わせて貰います」
「うん では」
神山は高橋を見送ると 洋子に
「さあ 仕事はお終い 食事は何処にしようか」
「うーん しゃぶしゃぶでもいいかな」
神山は由貴と桃子のコートのことを考え 赤坂スカイハイホテルの
しゃぶしゃぶに決めた
洋子に予約を入れてもらい 由貴に電話をするとOKとの返事で
桃子も しゃぶしゃぶを食べたいといいOKだった
神山は祐子に電話をし食事は待つように指示をした
「さあ では帰ろうよ」
「はーい」
神山と洋子は赤いポルシェでスタジオに戻ると 神山は着替え
スタジオのソファーで寛いだ
「ねえ 由貴さんと桃子ちゃんにコートを買ってあげるんでしょ」
「おお 良く分かるね そうなんだ 残るは亜矢子かな」
「カトリアーナは」
「おお そうだ カトリアーナはいつ上京するんだろう うーん」
洋子がどこかに電話をしていたが 電話を切ると
「ねえ GGIのモテリコへ電話をしたのよ そうしたら
振込みをしてくれれば 商品を亜矢子さんに渡せると言っていたわ」
「そうか まさか勤務中に買い物はできないしね そうしようか」
「そうね モテリコに行く機会も少ないでしょ その方法がいいと思うわ」
「そうしたら 明日にでもコートとブーツ バッグの金額を振り込んで」
「はーい 軍資金を使っていいでしょ」
「うん そうして 明日 ギフトカードを渡すよ」
「いいわよ 軍資金も使わないと 私の引き出しはもう一杯よ」
「うん わかった」

時間になるとタクシーが迎えに来て スカイハイホテルに行った
3階にいくとすでに由貴と桃子が来ていて 
「神山さんと 一日に2回も逢えるなんて 嬉しいわ ふふふ」
桃子が嬉しいと話すと由貴が
「もう いいわね でも許してあげるわ 仕方がないものね ふふふ
でも 絶対に話しては駄目よ 例え私でも いいわね」
「はい わかりました」
「だって ここにいる女性は全員が当っているけれど
その話は 今まで全然話しをした事がないわ いいわね」
「まあまあ 由貴 そこまでだ もう充分に反省しているよ
それと由貴の事を 信じて話した事だろう もういいでしょ ねえ桃子」
「はい これからは 身内にも話しません ごめんなさい」
「さあ 入ろうか」
神山は受付に案内され 窓際の6人用のテーブルに座った
「あのー ここはギフトカードでもOKだよね」
受付はニコニコと答えた
「ええ 大丈夫ですよ」
洋子が生ビールと牛肉の生などおつまみなど注文した
話の中心は ゴルフクラブの話で 洋子や由貴 桃子などが
真っ直ぐ飛ぶようになり 次回のコンペが楽しみだと話した
「今日もね 5番アイアンで ピンポイントに落とす練習をしたの」
「へぇー 凄いね 桃子が言うように どの様な状況でも ピンポイントに
落とせるようにすると スコアアップが図れるね」
「いいわね 私もアイアンに力を入れるわ ふふふ」
「うん まずはクラブに慣れることが 一番大切だね
僕はまだまだだよ 力を入れると 左に曲がるし 困ったものです」
5人は運ばれたしゃぶしゃぶ牛肉を直ぐに食べてしまい
洋子は500gの牛肉とワインを追加注文した
今夜は洋子が良く気が着き 注文をしていた
「洋子 今週のNNなどが終わったら 亜矢子に会いに行こうか」
「そうね 家の件もあるし 私は大丈夫ですよ
鎌倉で母とすれ違ったでしょ 私 自分から話をしたのよ
ちょうど紫陽花寺で見かけたので話そうとしたけれど 観光客の波に押され
会えなかったって そうしたら そうなの全然気が付かなかったわって」
「そうか でももしかしたら 知らんふりしているかもね」
「ええ だからその話はもう何もしていないわ ふふふ」
「じゃ 行こうね」
神山と洋子が話をしていると 由貴と桃子 祐子が楽しそうに
話をしていて 箸も良く動いていた
祐子がスイミングクラブの話をしているみたいで 由貴や桃子も休みの日に
同行したいと申し出ていた
食べ終わると 神山がギフトカードで10万円支払った






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2014年4月28日月曜日

紫陽花 11 - 56 Vol. 1



6月27日 土曜日 快晴
「神山さん 起きてください もう」
由紀枝は神山のおちんちんを引っ張り起こすと
「わぁおぉー 痛いぃー 分かった 起きます」
神山と由紀枝は昨夜 ベッドでもSEXをし 神山が降参をした
「ねえ 早くシャワーを浴びてくださいよ もう7時よ」
神山は由紀枝の言う事に従い シャワーを浴びるとビールを呑んだ
「ねえねえ サラダ缶詰って 簡単でいいわね」
「うん?」
「うん さっきちょっと食べたの 美味しかったわ
今 冷蔵庫で冷やしているから もっと美味しいわよ」
神山はサラダ缶詰が売れると思い 一安心した
「さあ 出来ました 今日は和洋折衷だけど 勘弁してね ふふふ」
由紀枝はそうめんスープや缶詰など 神山から貰ったお中元の御裾分けを
ふんだんに使い 調理した
神山は缶ビールをだし由紀枝と呑みながら 朝食を食べた
「うん いけるね 生のサラダと比べても遜色ないよ 美味しいよ」
由紀枝はもう一皿サラダを冷蔵庫から出し
「じゃ こっちはどうかしら?」
神山は何も考えずに 端を進めたが
「あれっ こっちの方が美味しいよ パリパリと歯ごたえがあるし」
「ふふふ 今食べたのがサラダ缶詰よ 先ほどのは2日前のレタスなの」
「へぇー そうか そんなに違うんだ 美味しいよほんと」
「でしょ 私だったら 安売りの時に纏め買をするわ」
「まあ 当分の間は無いと思うけれど ホテルで買えるはずだよ」
神山は経緯を掻い摘んで説明し 伊豆高原ホテルにも試食して貰っている
事を伝えると 由紀枝は
「絶対にこの缶詰だったら 買うわねみんな だって野菜を
好きな子ばかりよ お昼に食べてもいいし 夜食べても大丈夫だし
ふふふ それに原価で食べられるメリットがあるわ」
「そうだね 仕入れ値で食べられれば 絶対に欲しい一品だよね」
「きっと GOLでも売れるわよ でも貴方って凄いわね 見直したわ」

食後 神山はいつものように30分横になると 頭がしゃっきとした
「さあ 由紀枝 支度は出来ましたか」
「ええ 大丈夫よ そうそうデジカメを忘れていたわ」
由紀枝はデジカメをモテリコのボストンに仕舞うと 神山と腕をくみ
駐車場まできた
蒼いBMWに由紀枝を乗せると 神山はゆっくりと車を出した
いつものように45分で渋谷に着くと思ったが 予定より早く着いた
「ここって2回目だけど やっぱり 大きな街ね」
都会を見るのは2回目だが由紀枝には何もかも新鮮に見えた
サラリーマンや学生が多く人の多さにもビックリしていた
洋子と待ち合わせたシブヤ ハイアット ホテルのタクシー乗り場には
5分程早く着いたが洋子と祐子が待っていて手を振った
「やあ おはよう」
「わぁー祐子さん おはよう 洋子さんおはようございます」
「さあ 乗って そしたら由紀枝は後ろに行って祐子と一緒で良いでしょ」
「でも、、、」
「良いわよ 由紀枝さん 私が後ろに乗るから」
洋子と祐子が後ろに乗ると由紀枝はニコニコして神山を見つめてキスをし
「わぁ~ 素敵よ 嬉しいわ」
由紀枝は洋子と祐子を無視して嬉しさを表現していた
蒼いBMWは再び首都高に入って鎌倉を目指し飛ばした
横浜横須賀道路を朝比奈ICで下りると北鎌倉まで行って有料駐車場に
車を止めると神山は
「では 紫陽花ツアーの始まりでーす」
神山は最初に東慶寺の紫陽花を見学した
先月きた時も カメラマンが多かったが この時期は特に多く
三脚を構えているカメラマンは 見学者の事を考えずにいた
石畳の参道を我が物顔で三脚を構えているカメラマンが居て 神山は
「もしもし 写真もいいけど 考えて撮影してください」
カメラマンが神山を睨むが 神山の言う事が正しいので 三脚を参道から
外しアングルを決め直していた

何年か後 北鎌倉、鎌倉とカメラマンの三脚持込が禁止されるようになり
アマチュアカメラマン達は不満を口にしたが 結局は 自分達が
自分の首を絞めることになった
カメラマンの不道徳さで電車を止めたりし モラルの向上を望むが
ごく一部のカメラマンによる 暴走でイメージを悪くしている現状だ

「先月と全然違うわね 綺麗ね祐子さん」
「ほんと ブルーとパープルの組み合わせや 白でしょピンクでしょ」
「ねえ 祐子さん 写真とって」
由紀枝はデジカメを祐子に渡すと 鐘楼の紫陽花の前で写真を撮って貰い
次は神山と並んでいるところも撮影してもらった
「わぁー 祐子さんって 上手ね ありがとうございます」
祐子と洋子は神山とのツーショットは撮影しなかったが 一人の写真は
撮影した 神山が3人一緒の撮影すると洋子が
「あーあ やっぱりお姉さんになるわね」
それを聞いた祐子と由紀枝はクスクス笑いだした
4人は奥にある菖蒲畑をみて 鎌倉街道に戻った

神山は次に紫陽花寺(明月院)を案内した 
ここも5月に来た時には 本当に蕾が可愛らしかったが
今はまだ蕾を持った株もあるが 涼しさを感じさせた
観光ピークとあって 人の流れにのり 山門までいくが 中に入っても
観光客で一杯なので 記念撮影は取りやめた
しかし 洋子 祐子 由紀枝は思い思いに 風景やみんなを撮影し
紫陽花の花に囲まれて 嬉しそうだった
神山は今夜のホテルに電話をするので 女性たちと離れた
以前 宿泊した強羅のザ ホテル 強羅へ電話をすると スイートが
空いていたので 大人4名でキープした
神山は洋子たちを探したが 見つからないので 携帯電話をかけると
「ふふふ 直ぐ後ろに居ますよ もう 何処見ているの」
神山は後ろを振り向くと 3人がニコニコして
「私たちより いい女いた?」
神山は何も答えられず
「さあ 次は浄智寺にいきます はぐれない様にね」
洋子たちは 後ろで はぐれるのは神山だと話をしていて
「うん 何か言った」
洋子たちはクスクスと笑い 神山の後ろを楽しそうにおしゃべりしながら
歩いていると 洋子が
「ねえ 向こうから来るの 町内会の叔母さんだわ どうしましょう」
神山はとっさにみんなに
「いいかい 会話は英語だよ 分かったね」
由紀枝や祐子は 訳が分からなかったが 英語で話をした
運良く 洋子の母親はこちらに気がつかないで 通り過ぎたが 神山は
用心のために 浄智寺まで英語で会話をした

浄智寺に着くと神山が
「はい 英語のテストは終了です ありがとうございます」
「もう 神山さんなんなの 突然 ねえ祐子さん」
「うん 事情は後でお話します では紫陽花を見に行きましょうね」
山門までの緩やかな階段の左右に紫陽花が綺麗に咲いていた
特に 太鼓橋を渡り右側奥が竹林で 緑の空間に紫陽花が浮き出て
幻想的な光景を見ることが出来た
3人ともデジカメで アングルを変え何枚も撮影していた
神山が山門を背景に3人並ばせ 記念写真を撮影した
ここは他の寺に比べると紫陽花を見るところが少ないので
有料駐車場へ戻り BMWで鎌倉に向かった
トンネルを越え下ると鶴岡八幡宮を左に 鎌倉駅近くの有料駐車場に
車を止めた

「さあ 少し早いけれど 昼食にしよう」
神山は3人を駅傍の蕎麦屋に連れて行った
「わぁー おしゃれなお店ですね」
「うん 現実から逃避できるだろう なかなか心安らぐお店だよ」
店内は全て座敷でテーブル席は無く 仕切りは籐で出来ていた
壁は杉の木を焼き黒くしたもので 落ち着いて食事が出来た
神山は仲居に生ビールとおつまみでてんぷらや鳥の照り焼きなど頼んだ
直ぐに生ビールが運ばれると 神山は
「えっー お疲れ様です かんぱーい」
みんなで乾杯すると 由紀枝が早速
「神山さん 紫陽花寺の英語はなんだったの?」
神山が洋子の顔を見ると 頷いているので
「えっー実は 英語で話そうというときに 洋子の母親が近づいて着ました
そこで 由紀枝をアテンドしているお芝居をしました 以上です」
「ごめんなさい でも 母は気がつかなかったわ 紫陽花を見ていたわ」
「へぇー そうか 休みで鎌倉って 不味いわね うん」
「そうね これから楽しいのに 不味いわね ふふふ ねぇ洋子さん」
「まぁ 意地悪」
洋子は顔を真っ赤にして 笑ってしまった

神山達は日本酒を呑みながら 楽しく食事を終えると
「では 今日はちょっと外れたところに行きます」
神山が精算し駅前でタクシーに乗った
「鎌倉宮までお願いします」
タクシーでは神山が前に座ったので 女性たちは後ろでキャーキャーと
話していて 少し騒がしいと思ったが 何も言わなかった
鎌倉宮に着くと 神山は売店で缶ビールを買い求めみなに配った
「神山さーん 頂いて文句言えないんですが たまにはジュースとか
お茶が良い時もありますよ」
「うん 分かった」
そう言うと 売店で熱いお茶を3つ買い みなに渡した
祐子や由紀枝はクスクスと笑い 洋子は呆れていた
車一台が通れる狭い道を歩いていると 平山画伯のスタジオが右手に見え
更に少し歩くと瑞泉寺に着いた
総門で200円払い 石畳を進むと左右に坂が分かれていた
右側をゆっくりと登ると右手に竹林があり そこに紫陽花が咲いて
午後の斜光を浴び 花が生き生きと浮き出ていた
山門をくぐると 左手に鐘楼がありそこにも紫陽花が咲いていて
みなで記念撮影すると 休憩所で一休みした
ベンチに座りながら 傍にある紫陽花を撮影し楽しいひと時を過ごした
本堂裏の石庭を見学した後 鎌倉宮まで戻り タクシーを待った

「今日は紫陽花ばかりで とても楽しいわ 東京に居るとこうやって
時間が空いたら見ることが出来るなんて いいわね」
「うーん 逆に近すぎて余り見に来なくなったね
ほら 観光客が多いから 平日の方がいいし でも平日も多いかな」
「ふふふ 贅沢な悩みね 御殿場には無いわよ いいわね」
タクシーが来ると 神山は鎌倉駅に戻り 江ノ電に乗車した
極楽寺で降りると 極楽寺や成就寺を見て周り 鎌倉まで戻った

「さあ それでは紫陽花のライトアップを見ましょうね」
神山は国道134号線に出ると 左に海岸を見ながら走った
途中 江ノ島で給油をし 飛ばすが土曜日の午後なので
多少 混みだし西湘バイパスまでは ゆっくり走った
二宮ランプで西湘バイパスに入ると いつもの調子で走り
箱根湯元までは1時間も掛からないで到着した
神山は駅前で3人を降ろすと 近くの有料駐車場に止めた
みんなのところに戻ると 箱根登山電車の線路脇には紫陽花が見ごろで
3人ともデジカメで撮影をしていた
時間的に少し早く ライトアップまで乗車は待つ事にして撮影した
神山も3人をモデルにして 紫陽花を撮影していたが
「ねえ 神山さん なんで下からばかり撮影しているの 嫌だぁー」
「ほら 紫陽花が綺麗に入らないんだよ 普通に撮影すると
ちょこんと上のほうに写るだけだからさ それで下から撮ったんだ」
由紀枝はデジカメのモニターを見てみると 確かにそうで
「ふーん 分かりました ふふふ パンツを見たいのかと思ったわ」
その話を聞いていた 洋子と祐子は大笑いした
話していると 直ぐに暗くなり紫陽花にライトアップされた
3人は 綺麗といいデジカメでライトアップされた紫陽花を撮影した
「ねえ 神山さん どう 綺麗でしょ」
「私のも見て 綺麗でしょ」
神山は祐子と由紀枝の写真を見て頷いていると 祐子が
「神山さん 3人の写真を撮って」
デジカメを渡され 神山は少ししゃがみ 背景にライトアップされた
紫陽花をいれ撮影をした 
祐子や由紀枝が見に来て 顔が暗いのでがっかりしていたが
「分かった ごめん フラッシュを使います もう一度ね」
神山は先ほどと同じアングルでフラッシュをたき撮影すると
「わぁー 綺麗 ありがとうございます ふふふ」
由紀枝や祐子 洋子が納得してくれたので 電車に乗ることにした

電車は箱根湯元駅を出ると右側斜面に紫陽花が咲いていて
ライトアップされると 幻想的な世界に引き込まれた
ボックス席のマド側に祐子と由紀枝が座り 楽しそうに話しながら
紫陽花を撮影をしていた
洋子と神山はそんな二人を 微笑ましく見て洋子が
「良かったわね あなた ふふふ」
神山が祐子の方をみると 洋子はニコニコして頷いた
途中スイッチバックを2回行い 彫刻の森美術館が見えてきて
照明が夜空に映え 幻想的な世界を醸しだしていた
「わぁー 綺麗ね おとぎの国みたい あそこだけ別世界ね」
「そうそう ほんと綺麗ね あれでチカチカしたらクリスマスかしら」
神山は二人の話を聞いていて はっと思いついた
GOLで使えるかもしれない

電車は強羅駅に着き タクシーで ザ ホテル 強羅までいった
神山はフロントでTJカードを見せるとフロントが
「いらっしゃいませ 神山さま お待ちしておりました」
神山は簡単な宿泊手続きをするとカードキーを渡されて
「ご夕食は3箇所とラウンジをご利用できます
ご朝食は2箇所とラウンジがご利用できます」
フロントが詳細を説明したあとにポーターが荷物を運んでくれた
最上階にあるスィートルームは広くて部屋の真中に浴室があった
「みんな ちょっと会社に電話をします ごめんね」
神山は3人に断るとGプロの高橋に電話をした
「考ちゃん 神山です」
「山ちゃん こんばんわ どうしたの」
神山は今見てきた 彫刻の森美術館の夜間照明のことを説明した
「それはいいアイデアですね そうすれば会場内も明るくなるし
御殿場線からも充分に見えるよ アッパーとライン照明をやりましょう」
「それで クライアントだけではなく 県庁にも納得してもらう為に
大至急 PC処理で 製作してくれないかな」
「うーん 山ちゃんの言う事分かりますが 順番にやります
今夜も11時までやるつもりで がんばっていますよ そうそう
明日も休みなしです 頑張ります」
「うん それが出来たら クライアントに説明して 県庁だ うん
考ちゃん 頼むから お願いしますね」
「了解ですよ 本社にも依頼してNNや鈴やフード 頑張っていますよ
本社も明日の休日返上で 頑張っています なので照明の件は
それが出来た後でないと PC処理が出来ないんですよ」
「そうだね ごめんごめん お願いします」

「どうもお待たせしました お仕事終了でーす」
「もう 早く露天風呂に入るんだから お仕事ばかりで」
「うん ごめんごめん さあ では入ろうか」
神山が由紀枝のワンピースを脱がそうとすると キャァーキャァーいい
逃げ回り 洋子と祐子が助太刀し神山はベッドに倒された
「ごめん もうしません 誤ります」
仰向けに寝ている神山のおちんちんを3人は ポンポンと叩き大笑いした
神山だけ取り残され 3人は露天風呂に入った
冷蔵庫から缶ビールを取り出し 3人に渡し
「ねえ 入れてくれるかな?」
「いいわよ ねぇー」
「そうよ 入ればいいじゃん そんな気にしないで」
神山はどうしたものか 考えたが思い切り入る事にした
「ねえ 今夜はステーキハウスにしようか?」
「ええ 多分美味しくなっているわよ そうしましょう」
由紀枝は事情を知らない祐子に先月の出来事を掻い摘んで説明した
神山も缶ビールを貰い 一口で呑干すと新しい缶ビール冷蔵庫から
持ってきて みんなに配った
群青の夜空を眺めていると 由紀枝と祐子が神山のおちんちんを触り
「きゃぁー まだ小さいわ どうしたの ねぇ祐子さん」
「そうそう 小さいわね ふふふ」
祐子と由紀枝は立ち上がると お尻を突き出し神山に見せた
「おいおい 大事なところがまる見えだよ」
洋子がおちんちんを触ると 大きくなっているので
「ねえねえ 大きくなったわよ」
「えっ ほんと わぁー」
洋子と由紀枝 祐子ら3人は肉棒をしごいたりキスをしたりした
「わぁー 硬くなったわ 不味いわね もう止めときましょうよ 洋子さん」
「そうね これからだと お腹が空いているし ねぇー」
3人は神山から離れると ペチャクチャ話し出し由紀枝が
「神山さーん 早くステーキを食べに行こうよ」
「そうですよ 早く行きましょうよ」
神山は完全に弄ばれ 意気消沈した

4人は丹前を羽織ってステーキハウスに行くと受付でカードキーの
確認があり受付嬢が
「カウンターとテーブル席とどちらにされますか」
神山は3人に聞くと景色の見える窓際の席が良いと言うのでテーブルにした
「ふぁ~綺麗 祐子さんほら 見て」
由紀枝と祐子は窓から見える強羅の夜景を堪能していた
窓際に由紀枝が 隣に洋子が座り神山は洋子の正面に座った
神山は外を見た後に生ビールを頼み
「出来れば 焼いてくださる牛肉を生で食べたいのですが、、、」
「ええ 構いませんよ ニンニクとしょうがをおろした
しょうゆたれで宜しいですか?」
「ええ お願いします それと特に人気のあるステーキは有りますか?」
「はい ございますが 神山様は最高級のお肉を使わせて頂きますが」
「ありがとうございます それでしたら そのお肉も
2人前でお願いしますね」
「はい 畏まりました」
ウエイトレスはニコニコして厨房に戻りオーダーを入れた
生ビールと生の牛肉が運ばれると4人は乾杯をして食べた
神山が
「味が濃厚で期待出来るね 前回より美味しいよ」
「そうね 今夜は柔らかくて美味しいお肉が期待できるわね」
そんな話をしていると シェフが神山のところに来て
「過日は勉強になりました 本日は最高のお肉を食べて頂けたらと思います」
「やぁ こんばんわ お願いしますね それに合うワインをお願いします」
「はい 畏まりました 最初は野菜類や魚介類をお持ちいたしますが」
「ええ ステーキも準備が出来次第 持って来てください」

シェフは丁寧にお辞儀をすると 厨房に戻っていった
料理が順番に運ばれ 野菜や魚介類も美味しく頂け
シェフの美味しいステーキが運ばれると 由紀枝が
「わぁー 柔らかくてジューシーで美味しいわ ねぇ祐子さん」
「ええ 美味しいわね うん 口の中で蕩けるわ」
「ソースも美味しいし お肉もこれが牛肉っていう感じ」
「うん お乳の味が嫌味なくて いくらでも食べられるわ」
「そうそう 私たちのおっぱいの味かしら ふふふ」
由紀枝と祐子はよほど嬉しいのか 楽しく話をして食べていた
神山はステーキの量が少し少なめだったので ウエイトレスを呼び
「申し訳ないけれど ステーキだけ単品でお願いします
それで にんにくをもう少し効かせて下さい お願いします」
ウエイトレスはニコニコしてお辞儀すると厨房にオーダーを入れた
暫くするとウエイトレスが大きな伊勢海老を持って来た
「これはシェフが考えたメニューで 是非食べて頂きたいとの事です」
みると 伊勢海老を縦半分に捌かれ 焼かれたものだが 一口食べ
「うん 凄く美味しいよ バジルとオリーブオイル にんにくと
ブラックペッパーが微妙に絡み合い でも甘さがあって非常に美味しい」
3人の女性たちも神山同様の評価で ウエイトレスは
「良かったです シェフも喜びますよ」
ウエイトレスは ニコニコしお辞儀をして厨房にさがった
神山達は ステーキに満足をして食事を終えると部屋に戻った

神山がソファーでブランデー呑み寛いでいると洋子が
「ねえ モテリコでコートを買わない?」
「えっ だって洋子は買ったでしょ」
「ううん 祐子さんと由紀枝さんの分よ」
「うーん 今回は1千万円しか持って来ていないんだ」
「ふふふ 私が軍資金 1千5百万円持って来ているわ」
「えっ 1千5百万円も もう、、、大丈夫?」
「大丈夫よ それに軍資金をそんなに使っていないでしょ
来月になればアレックスの軍資金も入るし ねっ」
神山達は3階のショッピングモールにある『モテリコ』にいった
先日洋子に買ってあげた毛皮のコートが飾られていて
「由紀枝に祐子 それを着てごらん よかったら買うよ」
二人は一瞬驚いたが 顔を見合わせニコニコして
「本当ですか 気に入ったら買って頂けるんですね ふふふ ねぇ祐子さん」
神山は店長に話すと コートを由紀枝に着せてくれた
「凄く暖かくて 軽いわ 気に入りましたー ふふふ 祐子さんよ」
由紀枝は脱ぐと祐子に着せてあげると 祐子も
「ほんと 軽くて暖かいわ 私も気に入りましたぁー」
神山は店長にこれに合うブーツも出して貰うと由紀枝が
「穿きやすそうなブーツですね」
そういいながら穿いて 店内を歩くと
「うん 歩きやすいわね 大丈夫 はい祐子さんどうぞ」
次に祐子が穿き 店内をお尻を振って歩いた
3人は大笑いしたが祐子は
「うん お尻を振って歩いても 歩きやすかったわ 大丈夫よ ふふふ」
神山は店長に御殿場グランドインのカードを見せると
「神山様 いつもご利用ありがとうございます もう神山様のことは
覚えさせて頂きましたので 次回からはカード提示なしで大丈夫です」
店長はニコニコして神山にお辞儀をしていた
「こちらのコートは900万円ですが30%offでブーツは80万円ですが
こちらも30%offでご提供させて頂きます 如何でしょうか」
神山は頷くと洋子から1千万円を受け取り372万円をギフトカードで
支払い コートとブーツを自宅届けにして貰った
「神山様 このお二人にぴったりのバッグがございます こちらです」
店長が陳列台からバッグを持って来ると祐子や由紀枝は
「わぁー 素敵なバッグね でもどうかしら」
由紀枝と祐子はコートを着て バッグを持つと洋子が
「大丈夫よ似合っているわよ ねぇ私も欲しいわ ねえ神山さん」
神山は150万円のバッグを買うことに決め店長に
「これはどの位引いてくれるのかな」
「ええ こちらは25%引かせて頂きます」
神山は洋子から337万5千円を受け取り支払いをし バッグも
コートと一緒に自宅届けをお願いした

ブティックを出るとラウンジでカクテルを呑む事にした
「でも あのコートで祐子さんと一緒に歩くと 姉妹に間違われるわね」
「そうね ふふふ ピチピチギャルズ ふふふ」
その話を聞いていた洋子は私も買っていると言えず がっかりした
神山はそんな洋子の気持ちを察し
「ははは ギャルズではなくて ボインレディーズだよ
だって亜矢子にも買ってあげるつもりだし、、、」
そこまで言われ祐子と由紀枝は
「わぁー そうするとボインボインレディーズなのね ふふふ
楽しいわね 洋子さんや亜矢子さんとみんな一緒だと 後ろから見たら
全然分からないし 前から見るとさてさて 貴方の好みはだあれって」
それを聞いた洋子は
「もう いいですよ どうせ私と亜矢子さんは叔母さんだから もう」
洋子が口を尖らせ笑い出すと みんなで笑った
「しかし 安いね それに良く値引きをしてくれているよ」
「まぁ 高いわよ もっとも今の貴方にとっては安いわね」
「うん まあ 逆に3着1000円のTシャツが着れなくなったがね」
「そうね 昔が懐かしいでしょ」
「おいおい 昔って3ヶ月前の話だよ そんなにおじさんにしないでしょ」
「へぇー神山さんて 3ヶ月前は普通のサラリーマンだったの」
「そうよ 私も普通の係長よ ふふふ」
「へぇー 凄い ねぇ祐子さん」
「ええ 凄いわね 私も始めてお聞きしました」
「ははは もういいでしょ さあ呑もうよ」
神山たちはフロアでダンスを楽しむと部屋に戻った

「さあ 露天風呂に入ろう」
神山達は露天風呂でSEXを楽しみ ベッドに戻ると神山は
「さあ 今夜は頑張るからね」
「楽しみね ふふふ」
神山は由紀枝や祐子そして洋子を次々と快楽の頂点へと送ったが
女性たちは直ぐに回復し神山を攻め立てた
「どうしたの まだまだこれからよ」
神山を寝かせると 洋子がフェラチオをし祐子が顔に跨ったり
由紀枝が蟻の門渡りを攻めたりと 肉棒も麻痺してきて 降参した
「もう まだ欲しいのに もう降参なの」
由紀枝は天を向いている肉棒をぴしゃりと叩くが 反応がなく
「うん やっぱり無理だ ごめん」
神山は3人に降参宣言をしみんなに許してもらった






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2014年4月23日水曜日

紫陽花 10 - 55 Vol. 3



説明が終わると田宮が缶詰を神山に渡し
「昨日の試作品です どうぞ」
神山は缶詰を開けると 真空パックのサラダが綺麗な彩で見ただけで
よだれが出てきた
パックを開けその中に水を入れると 野菜が元に戻り
缶詰に野菜を入れてみて 一口食べると 新鮮で美味しかった
洋子もこれなら 多少高くても売れると里香に話した
林敬子がニコニコして神山に
「あなたはうちの救世主です ありがとう 本当に嬉しいわ」
神山の手をとり両手で握手をした
「まあまあ 普通の事をしているだけですよ ほんと」
林は頭を上げるとうっすらと 涙ぐんでいた
田宮が神山に
「この試作品 3ケース120個あります これを皆様で試食して頂き
ご意見を頂きたいんです お願いします」
神山は快く引き受けると森和幸が車から出してきて 次長室に運んだ
「田宮さん 現在何ケース有りますか」
「ええ まだ試作なので 100ケース限定ですが 一応1ロットなんです」
「そうしたら 若い人などに設定価格で食べて貰いましょうか いいですか」
「ええ お願いします それで何ケースでしょうか」
「ええ 10ケースお願いします」
「えっ10ケースですか こちらの分も含んでですか」
「はい 全部で10ケースお願いします それで卸と設定価格は」
田宮は林と相談して
「卸は100円です 設定価格は300円です」
「わぁー そんなに利益が出るんですね 分かりました
設定価格は崩さずに 試食してもらいます アンケート付きで」
神山は4万円を田宮に渡し 洋子が用意した領収書にサインした
「楽しみに待っていてください」
「はい お願いします」
神山は東都食品の面々をビルの出口で見送ると次長室に戻った
時計を見ると10時30分を指していたがゴテンバ グランド インの
椿総支配人に電話をした
神山はGOLで限定販売する東都食品のサラダ真空パック缶詰を
従業員に食べてもらいたい事とアンケートをお願いしたい事
GOLがオープンしたら お土産で置いてもらいたい事など伝えると
快く引き受けてくれ お土産については生産品を試食してからと言われ
神山も充分大丈夫と話した
電話を切ると伊豆高原赤沢ホテル 総支配人山本清次郎にも椿と同じ内容で
伝えると快く引き受けてくれた
アレックスジャパンのJrにも同様の話をするとOKと言われたので
神山は3箇所の住所をメモして 宅配便で送る手配をした
「さあこれで6ケースさばけたね あと2ケースアルタ小田原工場に送るよ
それから 1ケースはうちで処理をして あとは洋子の知っている
一人暮らしの女性に分けてくれるかな」
「そうね 女性の意見の方がいいでしょ 分かりました
でも 凄いわね 早い決断力は鈍っていないわ ふふふ」
洋子は神山のおちんちんをポンと叩き
「ここはまだ 鈍っているようね ふふふ」
「こらぁー」
神山は洋子のお尻を叩く振りをすると洋子は キャーキャーいい逃げた 

「じゃ 今日は久しぶりにZで行こうか」
「ええ 乗ってあげないと可哀想よ」
神山はサラダ缶詰2ケース持ち 駐車場までかけ足でいった
「わぁー だから傘をさせばよかったのに」
「うん まあ さあ行こうか」
文京区のアルタ本社に着くと 受付で小谷美佳が神山を見て立ち上がり
「副社長いらっしゃいませ」
深々とお辞儀をして迎えてくれた
「おめでとう 良かったね 話は又聞くよ」
小谷はニコニコして内藤に電話をすると エレベーターまで案内した
神山と洋子は社長室に入ると 内藤が
「山ちゃん まさか爆弾じゃないよね そのダンボール」
「いえいえ 爆弾ですよ 日本中が驚く爆弾です」
「えっ またそんなの物騒なもの持って来て 驚かさないで さあどうぞ」
神山と洋子は進級のお礼を伝えた後に
「実は社長 私はニーナ・ニーナ東京支店のメンズアドバイザーに
昨日付けで就任しました 洋子さん見せて」
洋子が契約書を内藤に見せると 内藤は驚いて声が出なかった
「それでNNメンズをGOL限定販売します プロモーションビデオや
CMなどアルタと契約しました 洋子さんお願いします」
洋子は契約書を内藤に見せた
内藤は嬉しいが声を失っていた
「如何でしょうか」
「や、山ちゃん ほ、本当の話ですよね」
「ええ それで話はもう進んでいますよ 勿論プランですが
プロモーションビデオのコンテも頭の中にありますし」
「えっ そ、そこ、そこまで詰めているの、、、へぇー」
「驚かないでくださいよ しっかりしてください 部下がお手柄立てたのに
褒めてくださいよ もう ねぇー洋子さん」
「うん ありがとう 素晴らしすぎて 頭の中がパニックって」

神山は昨日の出来事を話すると スタジオで出来ない事はないが
臨場感や雰囲気を出すんなら そこで撮影した方がいいと言った
神山は午前中なら出来るだろうと答えた
「いやー 山ちゃん 凄いないつも驚いているけど 凄い それでそれは」
神山はサラダ缶詰の経緯を話し 試作品が出来あがったので
小田原工場でみんなに食べてもらい アンケートを回収したいと伝えた
「わぁー 本当に爆弾だね 缶詰業界はびっくりするよ」
「ははは 協会理事の私は驚いていませんがね」
「ははは そうだったね うん でも業界は驚くよ」
「そこでパテントの件もあるので社名は伏せてください
それと早期試食 早期回収でお願いします 時間があればあるほど
技術を盗まれますから」
神山は自分で言ってはっと思い
「洋子さん 里香さんに大至急連絡とって」
洋子は携帯で里香に電話すると
「里香さんです
もしもし神山です 先ほどはありがとうございます」
「いえ こちらこそ それでなにか?」
「ええ サラダ缶詰ですが パテントを取得されるわけでしょ」
「ええ そのつもりです」
「なら 試食も限定した方がいいですよ 時間があればあるほど
技術が盗まれます 特に同業者には直ぐに分かるでしょ」
「あっ そうですね 分かりました 早急に手配します
本当に何から何まで ありがとうございます」
神山は電話を切ると洋子に
「よかった 早期試食 早期回収 間に合ったよ」
「よかったですね あなたのアイデアですものね 良かったわ」
「な、なに、このサラダ缶詰、山ちゃんのアイデアなの、、、」
「って言うか 洋子さんと話をしていたら出てきたんですよ」
「へぇー 爪の垢をください」
3人は大笑いした
神山と内藤は御殿場アウトレットの経過確認をして別れた

貴婦人の中で
「しかし内藤社長 驚いていたね サラダ本物以上に美味しいって」
「ええ 私もそう感じたわ 歯ごたえも充分だし」
「でもさ ドレッシングが欲しかったな えっドレッシングかぁー」
「そうね ドレッシングがあると又違うわね」
「でも 出来るんだろうか 兎に角部屋に着いたら電話するよ」
「缶詰の中には一回分だから 鉛筆の太さで充分でしょ」
「そうだね でも 油って瞬間冷凍した後 解凍って出来るのかな」
「そうか そうよね 解凍に時間が掛かったら 台無しね」
「うん 食べる気なくなるもん」
話しているとビルに着き洋子を降ろすと 駐車場に止めた
神山は駆け足でビルに入ると びっしょりと濡れてしまった
次長室に戻るとジャケットを洋子に渡し田宮に電話をした
「はい 田宮です」
「神山です 度々すみません 実はサラダ缶詰ですが ドレッシングって
付ける事が出来ますか って言うのはドレッシングがあるのと無いでは
印象が全然違ってくると思いまして」
「ええ ありがとうございます その件は現在試作をしていますが
解凍に時間が掛かったりと問題があって 今回の試作には外しました」
「はあ やはり考えるところは同じですね」
「ええ 私も考えましたが どうするか試行錯誤しています」
「はい 分かりました では」

神山は電話を切ると洋子に
「やはり解凍に問題があって 今回の試作には外したんだって」
「へぇー でもそうよね あなた流に考えれば 味があった方が美味しさが
倍増するものね ふふふ」
「洋子 そこなんだよ でも解凍が上手く行かないんだな、、、」
神山もサラダ缶詰にだんだんとはまり込んでいった
「ねえ お昼はどこに行こうかしら 雨が強いもの」
「店のうなぎにするか」
「ええ そうね ではいきましょう」
神山たちは店のうなぎ屋へいくと 仲居が奥の座敷に案内した
「えーっと 蒲焼のおつまみと 湯葉のおつまみ 生ビールかな」
神山は注文すると 仲居は襖を閉め出て行った
暫くすると生ビールとなま湯葉などおつまみが運ばれた
「洋子 今回祐子は外したんだが どうしようか」
「えっ 今までそんな事 私に相談した事がないのに どうしたの」
「うん 単純だよ どうしようかなって」
「私は何も言えないわ 貴方が決めてください」
「そうだよな なんか調子が可笑しいな なんだろう、、、」
「ふふふ 毎晩祐子さんに降参しているんでしょ」
「まさか そんな事はないよ でも降参する回数が増えた事は事実だね」
「まぁ 大変」
「うん 初心貫徹 今回は外します」
神山がそういうと蒲焼が運ばれてきた
二人は美味しく食べ終わると神山はギフトカードで精算し
次長室に戻ると 神山はいつものように昼寝をした

神山は30分寝ると頭がスッキリした
「洋子 銀行に行ってきます」
神山は銀行の窓口でスイス銀行入金手続きをした
「神山さま 60億で間違いございませんか」
「うん 口座を間違えないよう お願いしますね」
窓口嬢は神山に言われた口座番号を丁寧に入力した
スイス銀行は日本の銀行と違い 残高がペーパーで分からないように
なっていて 電話で確認す方法が取られていた
神山は直ぐに電話すると 口座番号と暗証番号を聞かれ 答えると
残高の案内だけ教えてくれた
神山は入金した金額があっていたので 窓口嬢にお礼を言った

次長室に戻ると何も無かったので
「ありがとう 少しGプロに行ってくる」
神山がGプロの部屋に行くと 高橋が田中や内野のデザインを見ていた
「考ちゃん どう 進み具合は」
「ええ 大丈夫ですよ 昨夜も11時までやりましたし今夜も同じです」
「うん でないと 予算は取れました出来ませんでは 恥ずかしいからね」
「そうですね それで県庁にはいつ持っていくんですか」
「うん 出来上がって クライアントに見せてからだから
大体 1週間ぐらいでしょう 大丈夫でしょ」
「ええ 基本プランは変わらないし 山ちゃんのデザインが生きるから
修正でいけるから 来週の月曜日には山ちゃんに見せられるよ」
「うん それで手直し2日として やはり1週間だね」
「そうですね 頑張りますよ」
神山は時計を見ると3時を少し回ったので 部屋を出て次長室に戻った

「ねえ 昨日頂いたニーナ・ニーナの包みは確認されましたか」
神山は気がつき 次長席の上に出すと モーガンが2千万円で
筒井が1千万円包んで来てくれた
「すっかり忘れていたよ でも銀行が閉まったから 引き出しに仕舞うよ」
「もう 大切な事じゃないですか 私 頂くわよ 本当に ふふふ」
「おいおい 勘弁してくれ」
「でもいいわね NNの紳士服なんて 絶対に素敵よ 早く見たいわ」
「でも 基本デザインは この格好だよ あとは素材だね」
「ええ 素敵よ 私が男だったら 毎日着ているわ」
「そうか まあ デザイナーに任せるよ
そうだ NNで専属秘書の辞令を貰わなかったな どうしようか、、、」
「大丈夫ですよ もう一杯頂いていますから」
「うーん ちょっと待って」
神山は筒井に電話をして 洋子の専属秘書の件を伝えると
快く引き受けてくれ NN東京支店の辞令を発令すると話した
「それでしたら 私はそちらに伺えませんので 本人に渡してください」
「うん それから昨日の辞令も一緒に渡しておきます」
「ところで役職は」
「うーん 部長秘書でどうだろう」
「筒井さん 私はアドバイザーですが、、、」
「うん山ちゃんは 副社長と並ぶ権限を持っているよ 上は支店長だが
私より権限はあると モーガンから言われ そのようになっています」
「へぇー 凄いですね」
「うん 私を抜いたんだよ ははは 困った人だ 山ちゃん」
「ははは そんなに困らないでくださいよ では何時がよろしいですか」
「うん 今からでもいいよ 準備は直ぐに出来ます」
「はい 洋子さんに伝えます」

神山は洋子にNN東京支店の部長秘書辞令が出る事を伝えた
「わぁー 凄いわね ありがとうございます」
「うん 頼みますよ 調整が忙しくなるけれどね」
「それで いつ伺えばいいんですか」
「うん 今からでもどうぞって だからポストは用意してあったんだと思う」
「そうね では行ってきますね」
「うん 僕も出るから 一緒に出ようよ」
神山はボストンバッグを持って部屋を出る時に
「そうだ Gプロに話してくるよ 今夜も11時まで仕事だし
洋子はこのまま帰っていいよ 何も無いし 何かあったら携帯まで」
「はい そうしたら支度します ちょっと待ってね」
神山はGプロに行くと高橋に
「僕は用事で居なくなります 田所さんも帰りますので 何かあったら
携帯まで連絡をくださいね」
「了解 月曜日を楽しみにしてね」
「うん 分かりました」
神山は洋子を蒼いBMWに乗せるとニーナ・ニーナのビルに着いた
「じゃ 帰りはタクシーでお願い それと明日9時に渋谷」
「はーい 雨だから気をつけてね」
「うん じゃ」

神山は蒼いBMWを発進させると 渋谷で首都高速に乗った
東名高速に入るとスピードを上げたが タイヤはピタリと路面に吸い付き
運転に不安は無かった
青山を出た時に3時30分だったので4時半には充分間に合う時間だった
御殿場ICを降りると由紀枝のマンションまではすぐだった
駐車場にBMWを止めると 由紀枝のマーチがあるので駆け足で
マンションに入った 入り口で部屋のボタンを押すと
「はーい 今 開けますね」
自動扉が開き エレベーターで最上階に行くと 由紀枝が待っていた
「お帰りなさい ふふふ」
「やあ 久しぶり」
由紀枝は神山に抱きつくと キスをして
「残念ね これだと夕食は 駅前寿司になるわね」
「うん 仕方ないさ さあ部屋に入れてください」
「ふふふ そうね でも嬉しいわ 私の事ちゃんと覚えていてくれて」
「うん ほら庭に紫陽花が咲き始めたんだよ だから思い出した」
神山は部屋に入ると ジャケットを脱いで ソファーで寛いだ
由紀枝が冷蔵庫から缶ビールを取り出し グラスに注ぐと呑んだ
「わぁー 美味しいな」
「ふふふ いつもでしょ もう」
「サブマネージャー どうですか」
「楽しいわよ それに部下も言う事聞くし 大丈夫よ」
「そうか 良かった 急に特進だろ 下からの突き上げって
結構 きついものがあるでしょ 特に女性の場合は」
「ええ だから私は たまたまサブですが まだまだここの人間に
成りきっていませんから 悪いところは陰で言わないで
私に正面から 話してください でないと減俸対象ですって
みんなの前で はっきり言ったの そうしたら笑われたけどね」
「へぇー 凄い事を言ったね」
「だって 人事考課はそうなっているのよ だからその事を言ったの
でも みんな良く教えてくれているわよ 大丈夫よ
それに私を怒らせると 怖い事分かるから ふふふ」
「えっ 何かあったの?」
「ううん 雰囲気で分かるんじゃないかしら それに最初のイメージが
あるでしょ ほらモテリコのスーツで挨拶したでしょ」
「ああ そうだね うん 分かるよ じゃ練習に行こうか」
「はーい 行きましょうね」

「由紀枝 凄く上手になったね ナイスショットばかりだよ」
「ほんと 嬉しいわ 実はね 夜勤の時に密かに練習しているの
ほら レッスン書なんかに書いてあるんだけど タオルでできるでしょ」
「ああ タオルを使って 素振りをするんだね」
「そうそう ちゃんと振り切れないと タオルが巻きつくでしょ」
「うん なるほど それで上手になったんだ」
由紀枝の打つボールは殆ど真っ直ぐに飛び 距離も出ていた
神山は振りぬく時の力が強ければ もっと距離が出ると教えた
由紀枝は言われたとおりすると ボールがフックし始めたので
クラブヘッドを放り投げる感覚で振りぬくと フックが出ないと教えた
由紀枝は練習熱心で 曲がりだすと修正をし その繰り返しをした
暫くして神山が後ろから見ていると ボールが低い弾道で飛び出し
距離が出るようになった
「由紀枝 素晴らしいよ 最初のころと球筋が全然違うよ うん凄い」
「ほんと 嬉しいわ」
「うん 今のタイミングを忘れないように練習するしかないね」
「はーい 頑張ります ふふふ」
「では お寿司に行きますか」
「ねえ 部屋に戻る?」
「由紀枝は」
「うーん 私はこのままでも大丈夫よ」
「うん では行きましょうか」

神山の運転で 御殿場駅前寿司の暖簾をくぐると 大将が威勢良く
「いらっしゃいませ お待ちしていました おーいビールサービスだよ」
「はいよー ビールサービス」
威勢がいいのは大将だけでなく 息子たちや女将も威勢が良かった
「いらっしゃい いいの向こうでなくて」
「うん 今夜は大丈夫です いつものおつまみをください」
「鮮魚盛り合わせ 照り焼き お願いねー」
「あいよー 鮮魚大盛り 照り焼き5つだよー 頼んだよー」
「鮮魚大盛りー 照り焼きー5つ 了解ー」
神山はここに来ると なにか元気を貰えそうで 好きなお店だった
「ねえ 神山さん内緒よ」
「うん」
「亜矢子さんもしかしたら 辞めるかも知れないわ」
「ああ お母さんの事だね」
「なんだ 知っているの もう つまらない」
「そこまでだよ 知っているのは 教えてよ」
「それで 家を建てるんだって 貴方と相談したいって言っていたわ」
「うん 時間がね 由紀枝と逢うのにも難しいし うーん」
「そうね でも早い時期に相談にのってあげて」
「わかった もう相談者の行列だよ」
「えっー そんなに女を作ったの もう」
「違うよ 恋愛の相談とかさ 結婚の相談とかなどなど」
「へぇー 凄いじゃん アドバイザーね」
「うん ニーナ・ニーナのメンズアドバイザーに成ったよ 昨日」
「えっ NNのメンズ またぁー あそこは婦人服だもん 駄目よ」
「それが本当の話なんだな 副社長と同じだよ それでね
出来たジャケットを着るんだって そのうちにシューズやバッグさ」
「わぁー ほんと 凄いですね そうするとこのファッションが変わるの」
「うん 基本はこのファッション路線だよ だから婦人と路線が
少し違うけれど シンプルで上品なデザインをするそうだ」
「へぇー 凄い なんでも出来ちゃうのね 見直したわ」
「ははは 子供は出来ないけれどね」
「もう ばーか 当たり前でしょ なに考えているの 幻滅ー」
「ははは まあまあ 食べようよ」

「神山さん 美味しいしめ鯖があるけど 食べる?」
「わぁー 食べますよ お願いします ねえ由紀枝」
「ええ お願いします ふふふ」
女将がしめ鯖のおつまみをだすと 神山と由紀枝は一口食べて
「うん いけますね 美味しい ねえ由紀枝」
「美味しいわ 久しぶりに美味しいものを頂きました 幸せー」
女将はニコニコして
「日本酒2合サービスだよー」
「はーい 2合2本サービス」
「おいおい 女将2合を2本なんて 大丈夫?」
「大丈夫さ さあ どんどん呑んでね」
「ありがと」
由紀枝は日本酒を美味しそうに呑んでいるが
神山は車があるのでセーブしながら呑んだ

「ねえ 祐子さんはどうしたの?」
「うん お留守番だよ なんで」
「一緒に鎌倉に行きたかったなー」
「そうか」
「うん ゴルフのパーティーの時に話していたんだ だから ふふふ」
神山は由紀枝の優しさに 心を打たれ
「分かった 呼ぶよ 明日合流だ いいね」
「ほんと 嬉しいなぁー」
神山は祐子に電話をした
「神山ですが」
「わぁー どうされましたか 大丈夫?」
「うん 明日朝に渋谷 9時に来てください 洋子も一緒だよ」
「えっー 嬉しいわ ありがとうございます」
「うん 洋子に電話をするから 合流するところを確認してね」
「はーい 待っています」
「そうそう お泊りだからね お願いします」
「わぁー 分かりました 待っていまーす」
神山は電話を切ると洋子に電話をした
「はい 洋子です どうしたの」
「うん 明日だけど 祐子と合流してください」
「はーい 分かりました それで私が祐子さんに電話をすればいいの?」
「うん お願いしますね 9時でお願いします」
「ふふふ 由紀枝さんに言われたのね」
「、、、、、、、」
「ふふふ 頑張ってね では」
神山は電話を切ると なにか調子が出なくため息をついた
「どうしたの ため息ばかりついて」
「うーん なんだかこの頃 可笑しいんだ まあ気にしないで食べよう」
二人は握りも食べ 神山はお腹一杯になった
女将がフルーツのデザートを持って来ると由紀枝が
「素敵ですね メロンもこうすると綺麗」
神山がフルーツを眺めていると由紀枝が
「食べないんだったら 今夜はお・あ・ず・け ですよ」
神山はしぶしぶ食べると 日本酒の酔いがどこかに消えていった
あーあと思いながら 無理やり食べると由紀枝が
「あーあ 感謝の気持ちが全然ないわね もう もっと美味しそうに食べて」
神山はニコニコしながら 美味しいといい全部食べた

「じゃ 女将精算です」
「きょうは5千円でいいよ」
神山は1万円を出すと女将はニコニコして
「はーい 次に取っておくね」
二人は駅前寿司を出ると神山の運転で 由紀枝のマンションに着いた
部屋に入ると神山はソファーに座り由紀枝に
「缶ビールをください」
由紀枝は頷くと 2本持って神山の隣に座った
「はい どうぞ 喜んでいたでしょ 祐子さん」
「うん 凄い喜びようだった でも行き先を伝えていないのにな、、、」
由紀枝は神山から鎌倉行きの話が有った時に ゴルフのパーティーで
祐子が一緒に行きたいと話していた事を思い出した
直ぐに祐子に伝えると 神山は泊りがけで出かけるとしか言われなかった
と言われると 由紀枝は祐子に 神山さんに話すから一緒に行けるよと
伝えると 祐子は喜んでいた
「まあまあ 余り深く考えないで 呑みましょうよ」
神山は明日の運転があるので 控えていたがビールを呑んだ
「そうだ由紀枝 忘れるところだった 明日のおかず ちょっと待ってね」
神山はボストンバッグからサラダ缶詰を取り出し 由紀枝に渡した
「由紀枝 これはねサラダ缶詰で 明日の朝食で食べようね」
「へぇー でも何も印刷されていないよ」
「うん 試作品でアンケートを取っているんだ これはグランドインの
椿さんにも話をして 従業員に試食してもらう事になっている
だから 月曜日には会社で食べられるよ」
「へぇー ってことは生と同じくらい美味しいの」
「うん 凄く美味しいよ 驚いたもの まあ 明日のお楽しみだね」

「さあ お風呂に入ろうか」
「はーい 準備しますね」
由紀枝が湯船に湯を張ると
「ねえ 洗濯物を出してくださいね 着替えはあるし」
「うん そうだね」
「いいわよ 準備OKでーす どうぞ」
神山はショーツ姿になると 洗濯機の中に肌着や靴下を入れた
「ねえ シャツはどうするの 洗濯すればいいのに」
神山は裸でシャツを取りに行くと
「もう ぶらぶらさせて ほんと ぶらぶらね ふふふ」
神山はGパンを除いて 全て洗濯機に入れた
シャワーで簡単に汗を流すと 湯船に浸かった
外には小さな星が輝き 明日は晴れるだろうと思った
「失礼しますね ふふふ」
由紀枝もシャワーで簡単に汗を流し 大事なところを石鹸で洗った
湯船に入ると 神山の隣に座り 一緒に星空を眺めた
片手で神山の下半身を触ると
「わぁー 伸びてきてるわ 良かったわね ふふふ」
「もう チクチクしたよ ははは もう懲りました」
由紀枝は神山にキスをすると おちんちんをしごき始めた
神山も由紀枝のクリトリスを触ると
「あーあ 気持ちいいわ 久しぶりだもの いいわぁー」
神山はだんだんと 愛撫の動きを早くすると 由紀枝は喘ぎだし
「駄目よ いきそうだわ あーあ いいわぁー あっ」
中指をヴァギナにいれ 更に愛撫を続けると 由紀枝は
「駄目っ いくっ あっ あっ うっー あっー」
由紀枝は腰をがくがくさせると 果ててしまった






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2014年4月18日金曜日

紫陽花 10 - 55 Vol. 2



「山ちゃん ちょっと着てみてください モーガン副社長も居るし」
神山はFRでスーツとシャツに着替えると モデル顔負けの格好良さだった
洋子を初め みな驚き モーガンは神山に近寄り
「うん 素敵だ 筒井さん 紳士服をつくろうよ 素晴らしい」
モーガンは神山と両手で握手をすると何度も頷いていた
神山はスーツやシャツを脱ぎ普段の格好に戻るとモーガンが
「紳士服の基本プランを 神山さんに任せないかね 私は彼の服装を
見ていると シンプルで非常に上品だと思うが どうだね」
「ええ 普通のファッションでありながら 上品さが漂っています
私も副社長の意見に賛成です」
「では ここで契約を結ぼう いいでしょ神山さん」
「大変 光栄なお話ですが 私はファッションデザイナーではありません
そこでアドバイザー契約でしたら 結びます 如何でしょうか」
「分かった 神山さんの言うとおりにしよう
勿論基本デザインの打ち合わせの時には 出席してもらうよ いいね」
「ええ 時間のある限り 私の本職はGOLのデザイナーです
そこのところを ご理解してください」
「わかった 筒井さん パリからデザイナーを2人 こちらに回す
部屋は久保さんのマンションでいいでしょう どうですか」
「はい あと責任者はどうしましょうか」
「うん 最高責任者は久保さんで アドバイザーが優先する どうですか」
「うーん どうだね久保君」
「私は纏め役になります その方が神山さんのお仕事が自由に出来るし
責任者は何人も作らないほうがいいと思います
売り上げ数字などは 組織で管理しなければいけませんが
デザインの時は トップが一人で充分だと思います」
「わかった モーガン副社長 如何でしょうか 日本ニーナ・ニーナより
ニーナ・ニーナ東京支店のメンズアドバイザーとして 来て頂いたら」
「そうですね そうしましょう」
「そうすれば ここだけの契約で済みます 日本ニーナ・ニーナだと
出向という形を取らざる得ません 私のように鈴やも絡みます」
「うん ニーナ・ニーナ東京支店のメンズアドバイザーの誕生だ いいね」

洋子が契約書を英語で製作すると みんなに見てもらった
神山は筒井に 給料と賞与のことを話すと 少し躊躇してモーガンに話した
「うん 筒井さん 販売はインセンティブがあるが 彼は先行投資だ
だから 私が決めてパリから支払いをする どうだろう」
「そうですね ありがとうございます」
「神山さん 給料は日本円で400万円で如何ですか
ボーナスは1600万円で年に3回で如何でしょうか 但し条件が有ります
お召しになられるシャツやジャケットはNNの商品を最優先する
そのうちにメンズシューズやバッグまで製作します それも最優先する
勿論 他社のものを着用出来ない訳では有りません 最優先です」
神山は仕事の時にはなるべく着用するが 普段の格好で合わない時は
着用しない事などモーガンに確認をした
「OK 神山さんに任せれば大丈夫です それでしたら給料は480万円
ボーナスは2400万円出しましょう お願いします」
洋子はこの話も全て英語で契約書を製作するとモーガンから見せた
みなが確認したので 2部作りモーガン 神山 筒井がサインし
立会人 洋子と祥子のサインをした
「モーガン 振込み日はいつですか?」
「ごめんごめん 給料はフランス時間20日 ボーナスはフランス時間
3月7月11月の各10日で土日の場合は翌営業日です」
「分かりました 洋子 追加して製作してくれるかな」
「大丈夫ですよ」
「神山さん それでは口座を教えてください」
神山は少し躊躇したがスイス銀行の口座を教えた
「ただし ここは入金が100万円単位なので 500万円にして欲しい」
「分かった でも凄いですね 私だって口座は作れないんだ」
神山は洋子から契約書の用紙を貰うと口座番号を書き入れた
数字のところには数字の上にチェックを入れ分かり易くした
「さあ 洋子 これで大丈夫ですよ 2部製作してください」

洋子が給与契約書をモーガン 神山 筒井がサインをして
洋子と祥子が立会人でサインをした
神山は先ほどのアドバイザー契約書と給与契約書に日時とサインをし
1部をポール・モーガンに渡し 1部を神山 筒井がコピーを受け取った
神山は洋子にワインと簡単なおつまみの準備を指示した
モーガンは嬉しいのか 筒井や神山と良く話した
「筒井さん モーガンはお寿司はどうですか」
「うん 大丈夫だよ そうしたら上原にでも行こうか?」
「ええ 電話で予約を入れますよ そうしたら ショップの子たちも
呼びましょうよ」
「そうだね そうしよう」
神山は上原駅前寿司に電話をして テーブル席を2卓キープした
洋子がワインの準備ができ ワイングラスをテーブルに並べた
祥子がワインを神山から順番に注ぎ モーガンが
「アドバイザー誕生 おめでとう 乾杯」

タクシー2台に分乗し上原の駅前寿司に着いた
祥子はショップに寄り 仕事が終了したら全員駅前寿司に来るよう伝えた
神山と洋子と筒井 反対側には祥子とモーガンが座った
昨日の築地いせ丸より少し窮屈だが 味はこちらが美味しいと話し
神山もアレックス夫妻を招待した時に ホテルオートモより美味しいと
褒めて 一杯食べていった事を話した
モーガンは アレックス氏もここに来たのかと驚いていた
洋子が
「神山さんのお客様は 美味しいものを食べられ 満足しています」
「うん 分かるよ 美味しい フランスでは食べられないし羨ましい」
モーガンもアレックスと同じように 箸が良く動き祥子に注意された
「ははは 美味しくて ごめんなさい」
神山は女将にもっと持って来るよう伝え 日本酒も注文した
女将は心得たもので 氷をどんぶりの大きいのに入れて日本酒持ってきた
祥子が日本酒を勧めると モーガンは美味しいといい 良く呑んだ
そのうちにショップの女の子が入ってきて由貴と桃子が神山を見つけ
「わぁー 神山さん いらっしゃい 副社長いらっしゃいませ」
みんながお辞儀をするとモーガンは 嬉しいのか
「さあ 早くビールを準備して さあ ははは」
女の子たちは隣のテーブルに座り 女将が用意したビールで準備すると
「お疲れ様でした 良く働いてくれてありがとう
そんな貴女たちに 凄いプレゼントがあるんだ この神山さんが
メンズアドバイザーでニーナ・ニーナ東京支店に来られた かんぱーい」 
みんなで乾杯をしたあと 彼女達はざわざわしたが由貴が神山に
「おめでとうございます そうすると出向ではないんですね」
「うん ニーナ・ニーナと契約したよ お願いしますね」
「わぁー これで神山さんが私たちと一緒の会社だなんて 凄いわ ねえ」
「ええ 私びっくりです もう凄いですね」

神山は筒井にアドバイスの頻度を聞くと
「うん 婦人服の場合は1ヶ月に2回くらいだがはっきりとは分からない
だってパリの本社だからね」
「基本的なところで集中すれば 後は流れると思うんですよ
コンセプトがしっかりしていれば 大丈夫だと思いますが 甘いですか」
「ははは 心配はいらないよ 山ちゃんのペースで大丈夫さ うん
しかし 私より給料が高いし 凄い金額だよ 私の5年分だよ ははは」
「でも 上になると知らないところで 消費しますね」
「まあ 仕方が無いな」
「そうそう ここは持ちますよ」
「うん ありがとう それで もう少ししたら帰ります 家内が、、、」
「ええ そうするとモーガンはどうしますか 久保さんに任せますか」
「うん どうだろうか 出る時に聞いてみるよ モーガンはもう一日
日本に居るんだ 明日は鎌倉の紫陽花を見ると言っていた」
「ホテルはオートモですか?」
「うん」
「それだったら 私が楽しいところをご案内しますよ」
「うん それなら久保君にも一緒に行って貰おうか」
「ええ その方が楽しいですよ」
「分かった 帰りにそのように伝えます ありがとう 助かります
しかし スイス銀行なんて凄いところに預金するね」
「ええ 洋子さんが調べてくれたんです ほら潰れないでしょ」
「そうか でもそんなに持っているんだ 凄いな」
「まあ たまたまですよ それに使わないし 貯まるだけです」
「ははは 参った こちらは使わなくても貯まらないよ」
神山はおトイレに行く時 由貴を呼んで
「僕達は別な場所に行くが ここを出たらみんなで呑みに行きなさい
これは帰りのタクシー代と一緒だよ 桃子を頼むね」
そう言うと神山は10万円を由貴に渡した
由貴は頷くと何も言わず直ぐ席に戻った

ネギトロも食べ モーガンの顔がピンクになり 箸も進まないので神山は
「さあ そろそろ出ましょうか そちらは大丈夫ですか 浜野さん」
「ええ 大丈夫です」
神山の勧めで店を出る事になり洋子が精算をした
「じゃあ 浜野さん お願いしますね では」
「はい おやすみなさい」
神山とモーガンら4人はタクシーで赤坂まで向かった

筒井が浜野達に
「悪いけれど 先に帰るよ ごめんね」
筒井が財布から2万円出すと由貴が
「さきほど神山さんから 頂きました なので大丈夫ですよ ふふふ」
「そうか 悪いな」
「そうそう 奥さんを大事にしてくださいね おやすみなさい」
筒井はタクシーで家にむかった
由貴たち4人は
「そうしたら 渋谷でカラオケして 帰ろうか」
「うん でも軍資金が有るんだったら ホテルでカクテルもいいでしょ」
「そうだね じゃカクテルの後にカラオケ」
「もう カラオケに拘って」
4人はきゃーきゃー言いながらタクシーに乗り込んだ

神山たちが乗ったタクシーは赤坂のアフターシックスで止まった
祥子は勿論初めてだったが モーガンは2回目で
「神山さん ここに入れるのか 凄い事だ 私だって入れないんだ」
神山は多くを語らずに 店に入るとバニーガールにカードを見せた
バニーガールが席を案内すると神山はモーガンに飲物を聞いた
「神山さんと同じでいいです」
「久保さんは何にされますか」
「私は ソコ・クランベリー・ソーダをお願いします」
「洋子はどうする?」
「私は久保さんと同じでいいわ 呑んでみたいなぁー」
「ははは では僕はドライマティニをお願いします」
バニーガールは注文を聞くと バーに戻りドリンクを伝えた
最初に運ばれてきたのが グラスビールなので不審に思うと
「あちらのお客様からです」
バニーガールが指を指すところに ジョン・ブラームスが手を振った
神山と洋子はお辞儀をして挨拶をした モーガンが
「神山さんは ここでも有名なんですね 凄い事です」
「いえいえ たまたまですよ」
みんなで乾杯すると 神山と洋子はジョンに向かってグラスを差し上げ
「洋子 良かったね 向こうも覚えてくれていて」
「ふふふ 忘れないでしょ CCAに欲しいって言われているんでしょ」
「もう 勘弁して欲しいな ははは」
モーガンはCCAも知っているのかと聞いたので
「知ってはいません 3回お世話になりました」
「はぁー 凄いなぁー 本当にデザイナーなのか 分からなくなったよ」
「ははは 僕もそう思います 本業はなんだろうって」
「でも神山さんは なんでも出来る人だ 頑張ろう」
「そうしたら GOLで紳士服を限定販売しましょう」
「おお それはいいアイデアだ」
「リピートが増え 数字が分かってきたら 全国展開 どうですか」
「うん 分かった そうすると夏物からだな」
「ええ そうしましょう」
「うん 目標が出来たから 話は早いぞ 久保さん頼んだよ」
洋子はしっかりとメモをして 契約書は後日パリに送るといい
モーガンと神山のサインを貰い祥子と洋子が立会人でサインをした
最後に神山が日時を記入してサインをした

神山は洋子にデジカメを用意してもらい
「これから 久保さんと踊るから僕を撮影をしてください お願いします」
神山は曲が終わると久保の手をとりセンターに行った
バラードが流れ 神山は4月に踊った時の事を思い出し
「さあ 今日は 格好良く決めるからね 信じてね」
「久しぶり 嬉しいわ お時間を作ってくださいね」
神山は頷くだけだった
二人は慣れたステップで軽快に踊りまわりの人を魅了した
曲の最後になると神山は約束通り祥子を少し放り投げ抱きかかえて
踊り終わった 周りからは最大級の拍手と指笛が鳴り止まなかった
洋子は神山のポーズを撮影したが 上手に撮れなかった
「ごめんなさい こんな感じになったわ」
写真は余りにも神山を意識しすぎて 祥子が半分無かった
祥子が覗くと
「わぁー 半分無いわ ふふふ でも神山さん格好いいわ」
「うん イメージ写真をストックすれば デザイナーにわかり易いでしょ」
それを聞いたモーガンが
「大したものだ そこまで考えているとは 普通は考えないよ
アレックス氏が神山さんに惚れた意味が分かるよ 私も神山さんに惚れた」
4人は大笑いしながら 神山は今度は洋子と踊った

先ほどの踊りで神山の周りには誰もいなくなり 席で見るものが増えた
洋子との踊りでも軽快なステップで洋子をリードしていると
「ねえ 祥子さんと昔 あったでしょ」
神山はどきりとしたが もう時候だと思い
「今は無い」
それだけ言うと洋子は腰を付けてきて 神山も軽快なステップにした
二人は慣れたステップで軽快に踊りまわりの人を魅了した
「ねえ 祥子さんよりもっと上に投げてね」
神山は頷くと 曲の終わりを読んでいた
曲の最後になると神山は約束通り洋子を放り投げ抱きかかえて
踊り終わった 周りからは最大級の拍手と指笛が鳴り止まなかった
席に戻るとモーガンが二人に
「素晴らしい 映画でも見ているみたいだ 美しいく綺麗だ」
「モーガン イメージビデオにしましょうよ どうですか」
「おお いいアイデアだ スタジオで作ろう 紳士服と婦人服だね」
「そうです それでGOLをイメージさせるようにすれば
きっとヒットしますよ どうでしょうか」
「うん そうしよう」
神山は名刺を見せ アルタの常務だが7月1日に副社長になることと
アレックスJPのCMもここで製作する事を伝えた
「わかった 神山さんに任せる 経費は言ってくれ 全額出すよう努力する」
洋子は早速 契約書をメモで作った
この時 神山はアルタ担当常務と記されていた
モーガンは頷き サインをして神山に任せたと言った
神山もサインをして 洋子は勿論 アルタ神山の秘書としてサインし
久保が立会人でサインをした
最後に 神山が日時をいれてサインをした
「モーガン プロモーションビデオは 第一弾が好評なら 秋とか冬
そのように考えて行きましょう」
「うん その為にも オープニングのCMが大切だね お願いします」
「分かりました 明日内藤に話をして プランを進めます」
「うん GOL発信メンズファッションだな」
「あっ そのフレーズいいですね 頂です ははは」
4人は大笑いした
話が楽しく実現可能な事ばかりなので カクテルも良く呑んだ

「では神山さん そろそろ失礼します」
「はい 今夜は楽しくお話が出来ました ありがとうございます」
「いやいや NNのためにこんなに熱い男を見たのは 初めてです」
「ありがとうございます」
「筒井さんの目に狂いは無かった いいパートナーが出来て嬉しいよ」
「明日 筒井さんに報告させて頂きます」
「うん そうだ ちょっと待ってくれ」
ポール・モーガンは名刺に自宅と別荘の電話番号を書き入れ
「会社以外は ここにいるよ それで掴まらない時は行方不明だ ははは」
神山も頷き笑い 名刺を貰った
モーガンを見送ると神山は
「洋子 どうする まだ時間が早いな」
「ふふふ ラーメンですか もう嫌ですよ 太るぅー」
曲がバラードからビートの効いたポップスに変わると
「洋子 5曲踊ろうよ いこう」
洋子と神山はセンターで踊りだし 周りと楽しく話しながら体を動かした
3曲目が終わると 神山は少し動きが鈍くなったが 洋子に励まされ
4曲目が終わった時点では 3組のカップルが踊っていた
5曲目の最後まで踊ると さすがに二人とも息が切れた
センターにいるとアナウンスがあり
正装の紳士が現れ バニーガールがクリームピザを皆に渡し
アナウンスがどうぞ投げてくださいといわれると
神山と洋子は顔をめがけて見事にあたり
「わぁー 当ったわぁー」
「ははは やったね」
会場に急にバラードが流れ 神山と洋子はそのままチークを踊った
照明も落とされると ピンスポットが3組のカップルに照らされた

他の2組は途中で辞退し センターでは神山と洋子だけになった
軽やかなステップワークで洋子をリードし 見ていても引き込まれる
流れだった
「先ほどと 同じように投げてね ふふふ」
神山は返事の変わりにキスをすると 周りからは拍手が沸いた
曲が終わりに近づくと 神山は洋子の顔を見て
終わる瞬間に 上のほうに投げると洋子は1回転し神山に受けて貰い
ポーズを決めた
この時は 綺麗で美しく 映画を見ているようだった
神山はみんなに手を振り挨拶しながら 席に戻ると ジョンがやってきて
「神山さん いつ見ても素晴らしい 今度CCAで見せてくれ」
3人は大笑いしジョンが店を出て行った
「さあ では僕らも出ましょうか」

神山はタクシーを拾うと洋子に1万円札を渡し 見送った
自身もタクシーでスタジオに戻ると祐子が起きていて ニコニコと
「お帰りなさい」
「やあ ただいま ありがとう 起きていてくれたんだね」
主賓室にいくとシャワーで汗を流していると祐子が入ってきて
「ふふふ 一緒に入りましょう」
神山の返事を待たずに祐子は神山の隣に座り おちんちんを握った
「祐子 3時にメイドクラブの山中さんが来て 持って行って貰ったよ」
「ええ 確認の電話がありました 山中さん 驚いていたわ ふふふ」
「うん 今回は75%だけど 次回もこの位纏まれば78%で引き取るって」
「ええ 良かったわ ふふふ」
神山が湯船から出ると 祐子がボディーソープで体を洗い始め
「祐子 気持ちいいよ 今日は疲れた 本当に疲れた ははは」
祐子は本当か おちんちんを洗ったが いつものように元気が無かった
神山の肩や背中をマッサージすると
「あーあ 気持ちいいなぁー ほんと気持ちいいよ」
祐子は神山の状態を判断して 今夜のSEXは無理と思った
神山は浴室から出ると 珍しくビールで気持ちよくなり
「祐子 こっちにおいで」
ベッドに入ると祐子を抱きしめ寝息を立てた

6月26日 金曜日 雨
神山は久しぶりに気持ちよく目が覚め 祐子を起こさないよう
シャワーを浴び 体をしゃっきとさせた
テラスでビールを呑みながら タバコをふかしていると
外の空気で目が覚めたのか
「神山さん 早いですね」
「やあ おはよう 昨夜は疲れていたみたいだ 直ぐに寝てしまった」
祐子はガウンを羽織ってテラスに出ると 神山に抱きつき
「ねえ ほしい」
神山は頷くと祐子をベッドに運び ガウンを脱がせると
乳房と乳首を愛撫した
祐子は敏感に感じ 乳首を愛撫されると 喘ぎだした
神山は片手で クリットを愛撫するとすでに 体液があふれ出ていた
「あーあ きもちいいよぉー あなた いいわぁー」
祐子は神山の肉棒を掴むと上下に動かし硬くなるようにした
神山も昨日は誰とも交わらなかったので 性欲が貯まっていて
祐子のメリハリある愛撫に 直ぐに反応し大きく硬くした
「ねえ 硬くなったよ いれて」
神山は頷くと 祐子のヴァギナに肉棒を挿入した
膣の中はぬめぬめで するりと肉棒が入った
「あーあ いいわ」
神山はゆっくりと肉棒を動かし始めると祐子の顔がだんだんと崩れ
両足も 自分から広げると 肉棒を奥まで受け入れようとした
祐子は足を上に上げると両手で足を掴み更に広げた
神山は祐子の腰を少し上げると 斜め下から突き上げた
祐子は余りの気持ちよさに
「あっ いい あっ もっと もっとよ そう いいわぁー」
祐子は自分から腰を動かし始め 膣もだんだんと狭まってきた
神山の肉棒の先が 更に充血すると
「あっ あっ いく いくわぁー あっ あっ あぅー」
祐子はがくんと腰を下ろしたときに神山も果ててしまった

シャワーを浴びた祐子が
「ふふふ さあ 朝食の準備をしますね 良かったわ元に戻って ふふふ」
祐子はそういうと ガウンを羽織って キッチンに下りていった
神山はソファーでタバコをふかし 庭を見ていた
【私 鎌倉の紫陽花も見たいなぁー まだ見ていないから】
突然 由紀枝の言葉が脳裏に現れ 逢いたくなった
神山は今日と明日のスケジュールを考えると 由紀枝と逢えると思った
早速 由紀枝に電話をすると
「わぁー おはようございます」
「やあ おはよう ところでお休みはどうなっていますか」
「ええ 明日はお休みよ どうして」
「うん 鎌倉の紫陽花を見ようと思ってさ」
「わぁー 大丈夫よ」
「ねえ そうしたら 翌日の休みはどうかな」
「うーん 難しいけれど 亜矢子さんに聞いてみまーす 待っていて」
電話を切ると由紀枝は亜矢子に電話をして連休を頼んだ
暫くすると由紀枝から
「ふふふ やったぁー OKでーす」
「分かった 今夜 由紀枝のところに行くよ いいかな」
「全然 OKですよ そうそう 早く来て 私は4時で上がれるの
だから ゴルフの練習をしましょうよ ふふふ」
「わかった でもなぜ4時上がりなの」
「私 もう24時間に入ったのよ だから本当は12時上がりなの
でもね連休だから 4時までにしたの 交代時間がスムーズに行くように」
「そうか もう24時間になったんだ サブマネージャー」
「そうよ 亜矢子さんの下だから愛さんと一緒なの ふふふ 楽しいわ」
「わかった では4時30分にそちらに伺います」
「はーい そうそう バーベキューでいい?」
「うん 任せるよ 駅前寿司でも良いし うん」
「では 待っていまーす 嬉しいな じゃ 行ってきまーす」

神山は由紀枝の元気を貰い スタジオにおりると祐子が
「ビールにされますか」
神山は頷くと祐子はソファーのテーブルに用意してくれた
ビールを呑みながら
「祐子 今夜から 戻れない 頼んだよ」
「はーい 帰りはいつですか」
「うん もしかしたら月曜日の夜になる」
「はーい 分かりました そろそろ出来ますよ こっちに来て」
神山はダイニングテーブルに着くと お味噌汁がいい香りがった
「ねえ アサリか」
「ぴんぽーん 美味しそうでしょ」
神山は一口飲むと アサリを美味しそうに食べてしまい
「祐子 御代り」
「まぁ ご飯も食べないで ふふふ」
祐子は椀に注ぐと
「ねえ これって冷凍って分かる?」
「えっ 全然 美味しいよ へぇー 味噌汁も冷凍の時代か、、、」
「ううん お味噌は後で入れるのよ その前の段階で冷凍するの」
「へぇー 凄い事を知っているね 参りました」
「ふふふ 種明かしは 先日ノートパソコンを買って レシピを見たの」
「へぇー ノートパソコン買ったんだ、、、」
「ええ だってあなたのパソコンはお仕事で使うものでしょ
だから自分専用を買ったの ふふふ」
「いくらしたの」
「うん それがね ほらプールの会員だと20%Offで12万円なの
でもね 定価は24万円よ 昨年の秋モデルだって」
「へぇー そうするとスペック的には問題ないわけだ」
「ええ 大丈夫です でもね ネット回線は神山さんの回線を借りてまーす」
「うん いいよ全然 そうしたら自分の部屋に回線を引こうか」
「うん出来たらその方が いいなぁー だってあなたの事務所でしょ
何かあったら 嫌だもん」
「うん わかった」
神山は早速 内藤に電話をすると快く引き受けてくれた
「それから ビジネスですが 今日11時にそちらに伺っていいですか」
「はい また何かやったんですか もう驚かせないでくださいね」
「ええ では11時に」
神山は祐子にアルタから午前中に回線を設置する為に来ると伝えた
「さあ ご飯を頂きましょうよ」
祐子は神山がいない時の出来事や プールの出来事など楽しそうに話した
神山も昨日の出来事を掻い摘んで話をすると
「そうそう サラダって レタスを一つ買ってもその時に丸々使えないわ
だから プラスアルファーの要素があれば 絶対に高くても売れるわよ
私だったら 絶対に纏め買いするわね」
「そうか そんなに関心があるんだ」
「だって 女性の一人暮らしで考えた場合 帰宅時間が遅かったら
お野菜を買うところが無いでしょ コンビニで売っていても 
鮮度が落ちているし だったら多少無理しても新鮮で美味しい方がいいわ」
「ふーん そうなんだ 僕はそこまで考えた事ないんだ なるほど」

食事が終わると神山は洋子に電話をして
「おはよう 今 大丈夫ですか」
「おはようございます」
「東都食品の打ち合わせだけど 9時30分に変更して欲しい
それで 11時に昨夜の件を内藤さんに報告に行きます」
「はい 分かりました もう少ししたら 電話を入れます」
「うん 頼んだよ」
神山は祐子に30分の朝寝を伝えるとソファーに横になった

30分経ち神山は起こされると 主賓室に行き着替えをした
ボストンに着替えや会社の書類など入れ部屋を出ると祐子に20万円を渡し
「これはPC代と僕がいない間 美味しいものでも食べなさい」
「えっ いいんですか?」
「じゃ 仕舞うよ」
「駄目っ 頂まーす ふふふ」
「何かあったら 携帯に電話をください いいね」
「はーい 行ってらっしゃい」
神山は蒼いBMWで銀座の次長室まで向かった

次長室には意外に早く着き 今日の打ち合わせ資料に目を通した
東都食品の単独打ち合わせで 予算だけの話し合いになるので
時間は1時間もあれば充分だった
洋子も直ぐに出勤してきて
「おはようございます この頃早いですね」
「うん 逃げているよ この間から調子が出ないんだ もう参った」
「ふふふ そろそろ 元気が無くなったのかしらね」
「それで 洋子 明日は泊まり出来るかな」
「ええ 大丈夫ですよ」
「うん 由紀枝を鎌倉に連れて行こうと思っている」
「わぁー 鎌倉かぁー 参った」
「どうした」
「ふふふ 母が鎌倉いくのよ 泊りがけで」
「わぁー なんだそれ 不味いな ねぇー」
「そうよね 見つかる確立は1万分の1としても 不味いかなぁー」
「そうしたら 由紀枝と同じような格好をしても駄目かな」
「そうしたら 余計に目立つでしょ 多分無理ね
だってまだまだ元気よ 目や耳はしっかりしているし 参ったなー」
「そうしたら お客様のアテンドってどうだ」
「うーん」
「うん 由紀枝のアテンドにしよう 由紀枝には英語で話してもらう」
「まぁ でも楽しくないでしょ どうかしら」
「由紀枝のアテンドなら 明日の晩泊まりでも理由が出来るでしょ」
「そうね そうしたら 今夜それとなく聞いておくわ
町内会の叔母さん連中でいくのよ 多分お昼ごろに紫陽花寺だと思うわ」
「そうだね 東京を10時に出ても11時に北鎌倉だよ
それとなく聞いてくれる それで明日は9時に渋谷でいいかな」
「ええ 先日のところで9時ですね 分かりました」

洋子が早くに連絡をしてくれたお陰で 東都食品は少し早めに来た
今日は田宮副社長 里香秘書 森和幸営業推進部長 佐久間隆志
営業統括部長 林敬子財務部長 とそうそうたるメンバーだった
洋子がコーヒーをみなの所に配ると神山が
「朝早くからありがとうございます 本日は東都食品としての経費
費用対効果などを詳細をつめ 12億の出資をお願いします」
神山は鈴や食品ブースの東都食品としての役割 地下共有部分の
費用対効果を分かり易く説明した
鈴や食品ブースでは ブースとしての管理は鈴や食品 生産については
東都食品が行う この場合ミニ工場設備は東都食品で準備すること
調理や衛生管理は鈴や食品が行うこと
「簡単ですが なにかありますか」
財務部長の林敬子が
「その場合の 東都食品のメリットは何ですか」
「ええ ミニ工場を見せていくのに 東都食品を訴求します
その美味しい食品をここで食べて頂いています などなどアピールし
美味しさ知名度を上げていくプランです 例えば田宮副社長にご提案した
野菜缶詰は東都食品で製造しています これも訴求します」
「そうすると 東都食品のイメージアップと考えていい訳ですね」
「ええ その通りです GOL限定販売になれば イメージアップは
間違いなくあがり いままで知らなかった人も 購入するようになります」
「分かりました 私からは以上です 12億出します」
「ありがとうございます あとはありませんか」
秘書の里香が
「サラダの真空パック缶詰ですが どの様に位置づけされていますか」
「はい 例えば出回っている缶詰はちょっと高級感があったり
プラスアルファーの要素が多いと思います なので普段購入する客層が
ある程度限定されてきます しかしサラダ缶詰は底辺の客層を広げる事が
出来ます レタスサラダにした場合 レタス1個丸まる使う事はないと
思いますし 日にちが経てば鮮度も落ちます それに一人暮らしの女性が
サラダを購入しようにも 販売しているところはコンビにのように
限られ 美味しさや鮮度にしても 八百屋のレタスには負けます
多少高くても 美味しくて鮮度が良ければそのような客層は
必ずリピートします なので東都食品のイメージアップと購買客層の
拡大が図れると思います GOLで試行錯誤しながら 全国販売でも
いいと思います まずはGOLで限定販売をしっかりします」
「はい 分かりました 私も神山さんの言われている通りだと思います
私もサラダを作るときに 鮮度が良い物があれば 多少高くても
購入しますし 昨日のご提案なら間違いないですね 絶対にいいですよ」
里香は神山の顔をみながら ニコニコして頷いた
「ありがとうございます あとはございませんか」






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